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特許7507778電子部品を封止するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】電子部品を封止するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/28 20060101AFI20240621BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240621BHJP
   B05C 1/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B05D1/28
B05D7/00 H
B05C1/02 102
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021553098
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 US2020021531
(87)【国際公開番号】W WO2020185615
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】62/815,799
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509292766
【氏名又は名称】エイチ.ビー.フラー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・レマース
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・ケー・ケストラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エフ・カウフマン
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0295385(US,A1)
【文献】特開2013-069808(JP,A)
【文献】特開2012-115789(JP,A)
【文献】特開2016-189466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05C 1/00-21/00
B32B 1/00-43/00
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を封止する方法であって、
封止組成物の第1の層をアプリケータロールから基材上に配設された電子部品上に塗布することを含み、
前記アプリケータロールが、外側表面を含み、間隙が前記アプリケータロールと前記電子部品との間に存在するように、前記電子部品から間隔が空けられており、前記間隙が、前記封止組成物の第1の層の厚さを制御し、
前記封止組成物の第1の層が、前記基材上で前記電子部品を封止し、
前記電子部品の表面と前記封止組成物との間の界面に、ボイドが実質的にない、方法。
【請求項2】
前記第1の層を塗布することが、前記アプリケータロールを越えて前記基材を通過させることと、前記基材の移動方向と同一方向に前記アプリケータロールを回転させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アプリケータロールの接線速度が、前記基材の線速度よりも速い、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の層を塗布することが、前記アプリケータロールを越えて第1の方向に前記基材を通過させることと、前記アプリケータロールを前記第1の方向とは反対の方向に回転させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電子部品と接触する前に、前記封止組成物が120℃170℃の温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記封止組成物が、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、及び非晶質ポリアルファオレフィンのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
基材の表面上で電子部品を封止する方法であって、
アプリケータロールから基材上に封止組成物の第1の層を塗布すること、
前記封止組成物の第1の層の上に電子部品を位置付けること、
前記アプリケータロールから前記電子部品上に封止組成物の第2の層を塗布して、前記電子部品が前記封止組成物内に封止され、前記封止組成物にボイドが実質的にないようにすること、
を含み、
アプリケータロールから基材上に封止組成物の第1の層を塗布する工程において、前記アプリケータロールが、外側表面を備え、間隙が前記アプリケータロールと前記基材との間に存在するように、前記基材から間隔が空けられており、前記間隙が、前記封止組成物の第1の層の厚さを制御する、方法。
【請求項8】
前記封止組成物の第2の層を塗布することが、前記アプリケータロールが前記電子部品に接触しないように、前記アプリケータロールの外側表面と前記基材の前記表面との間に画定された間隙のサイズを制御することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記封止組成物の第1の層を塗布することが、前記アプリケータロールを越えて第1の方向に前記基材を通過させることと、前記第1の方向と同一方向に前記アプリケータロールを回転させることと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記アプリケータロールの接線速度が、前記基材の線速度よりも速い、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記封止組成物の第1の層を塗布することが、前記アプリケータロールを越えて第1の方向に前記基材を通過させることと、前記第1の方向とは反対の方向に前記アプリケータロールを回転させることと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記電子部品と接触する前に、前記封止組成物が120℃170℃の温度である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
電子部品を封止するためのシステムであって、
送りデバイスと、
封止組成物を基材の表面に塗布するように構成された外側表面を画定するアプリケータロールと、
前記アプリケータロールを越えて前記基材を前進させるように構成された支持構造体と、
前記基材の前記表面と前記アプリケータロールの前記外側表面との間に画定される間隙のサイズを制御するように構成されたエレベータと、
を含み、
前記アプリケータロールは、前記アプリケータロールが前記電子部品に接触することなく、前記基材の前記表面に沿って位置付けられた電子部品上に前記封止組成物を塗布するように構成され、
前記アプリケータロールが、前記封止組成物にボイドが実質的にないように、封止組成物を電子部品上に塗布するように構成されている、システム。
【請求項14】
前記支持構造体が、前記アプリケータロールの円周に接する方向に基材を移動させるように構成され、前記エレベータが、前記アプリケータロールの前記円周に対して半径方向に前記基材を移動させるように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記エレベータが、前記間隙のサイズを制御することによって、前記アプリケータロールによって堆積される封止組成物の層の厚さを制御するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、封止組成物中に少なくとも1つの構成部品を封止することに関する。
【背景技術】
【0002】
概して、電子デバイスを構築するために使用することができる1つのプロセスは、電子部品を基材上で封止することを含む。電子部品は、予め形成されたフィルムを電子部品の上に配置し、次いで、電子部品及びフィルムを有する基材を炉内に配置することによって、基材上で封止され得る。フィルムを加熱し、軟化させるために炉が使用され得る。軟化したフィルムは、電子部品上で成形されることができ、冷却して固化できるようになっている。固化後、フィルムは、基材上で電子部品を封止することができる。封止される構成部品の上での後続の成形のために加熱される予め形成されたフィルムを使用する場合、多くの場合、フィルムは、加熱前にフィルムの取り扱いを可能にするために自立性である必要がある。自立性であるのに十分な厚さのフィルムを使用する場合、フィルムは、場合によって、プロセス中に電子部品を損傷するリスクがある十分な重量を有し得る。例えば、脆い材料で形成された電子部品は、予め形成されたフィルム、特に自立性であるため好適な厚さを有するフィルムを位置付ける際に生じ得る衝撃又は衝突からの損傷を受けやすくなり得る。更に、予め形成されたフィルムが自立性であるために、フィルムは、多くの場合、一定の厚さを有することになり、これは、得られる封止層が望ましくなく厚くなることにつながり得る。予め形成されたフィルムを使用することはまた、封止プロセス中に気体が封止フィルムと封止される構成部品との間に溜まる結果として、フィルム内、例えば、封止層と封止される構成部品との間に形成されるボイド又は気泡にもつながり得る。封止プロセスは、真空工程を含むことがあり、この工程中、封止材料が依然として柔らかい間に気体が封止材料内から除去される。真空工程は、多くの場合、封止プロセスに追加的工程を加えるため、望ましくないことがある。
【0003】
光起電力電池は、多くの場合、脆いウェーハから形成され、シリコン又はガラスを含むことができる。結果として、光起電力電池は、傷、衝撃、及び衝突による損傷を受けやすい。以前は、光起電力電池をソーラーアレイなどの光起電力アレイに形成するには、光起電力電池を裏材(例えば、基材)に取り付けることと、予め形成されたフィルムを電池の上部に配置すること、次いで、全体の構成(すなわち、光起電力電池及び予め形成されたフィルムを有する基材)を炉内に配置することとが、必要とされた。炉内では、フィルムが加熱され、それによってフィルムが溶融し、電池上にフィルムが生じて、光起電力電池が封止される。予め形成されたフィルムをこのように使用する場合、光起電力電池を損傷させるリスクがある。予め形成されたフィルムを使用すると、望ましくない厚さを有する封止層になり得る。
【0004】
封止される構成部品を損傷せずに、構成部品と封止組成物との間の界面にボイドがない物品を製造する、構成部品(例えば、電子部品)を封止する方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2008/014492号
【文献】米国特許出願第2007/295387号明細書
【文献】米国特許第8158450号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011083661号明細書
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、構成部品を封止する方法が開示されている。本方法は、封止組成物の第1の層をアプリケータロールから基材上に配設された構成部品上に塗布することを含む。アプリケータロールは、外側表面を含み、アプリケータロールと構成部品との間に間隙が存在するように、構成部品から間隔が空けられている。この間隙は、封止組成物の第1の層の厚さを制御する。封止組成物の第1の層は、基材上で構成部品を封止する。電子部品の表面と封止組成物との間の界面には、ボイドが実質的にない。本方法は、最小限のボイドを呈するか、又はボイドがない封止された物品を提供することができる。
【0007】
いくつかの態様では、第1の層を塗布することは、アプリケータロールを越えて基材を通過させることと、基材の移動方向と同一方向にアプリケータロールを回転させることと、を含む。いくつかの態様では、アプリケータロールの接線速度が、基材の線速度よりも速い。いくつかの態様では、第1の層を塗布する工程は、アプリケータロールを越えて基材を第1の方向に通過させることと、アプリケータロールを第1の方向と反対の方向に回転させることと、を含む。いくつかの態様では、本方法は、封止組成物の第1の層を塗布した後に、封止組成物の第1の層を加熱することを更に含む。いくつかの態様では、第1の層を塗布することは、毎分0.5メートル以下の速度でアプリケータロールを越えて基材を通過させることを含む。
【0008】
構成部品は、電子部品であり得る。いくつかの態様では、電子部品とアプリケータロールとの間に画定される間隙のサイズは、約0.2mmである。いくつかの態様では、封止組成物の第1の層は約0.2mmの厚さを呈する。いくつかの態様では、封止組成物の塗布温度は約120℃~約170℃である。いくつかの態様では、封止組成物の塗布温度は120℃以下である。いくつかの態様では、封止組成物の塗布温度は100℃以下である。いくつかの態様では、封止組成物は、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、及び非晶質ポリアルファオレフィンのうちの少なくとも1つである。いくつかの態様では、電子部品は半導体デバイスである。
【0009】
本明細書では、基材の表面上で電子部品を封止する方法が開示されている。本方法は、封止組成物の第1の層をアプリケータロールから基材上に塗布することを含む。アプリケータロールは、外側表面を含み、アプリケータロールと基材との間に間隙が存在するように、基材から間隔が空けられている。間隙は、封止組成物の第1の層の厚さを制御する。本方法は、封止組成物の第1の層の上に電子部品を位置付けることを含む。本方法は、電子部品が封止組成物内に封止され、封止組成物がボイドを実質的に含まないように、封止組成物の第2の層をアプリケータロールから電子部品上に塗布することを含む。
【0010】
いくつかの態様では、封止組成物の第1の層を塗布することは、アプリケータロールが基材に接触しないように、アプリケータロールの外側表面と基材の表面との間に画定される間隙のサイズを制御することを含む。いくつかの態様では、封止組成物の第2の層を塗布することは、アプリケータロールが電子部品に接触しないように、アプリケータロールの外側表面と基材の表面との間に画定される間隙のサイズを制御することを含む。いくつかの態様では、封止組成物の第1の層は、電子デバイスの厚さ未満である第1の厚さを画定する。いくつかの態様では、封止組成物の第2の層は、電子デバイスの厚さ未満である第2の厚さを画定する。
【0011】
いくつかの態様では、封止組成物の第1の層を塗布することは、アプリケータロールを越えて第1の方向に基材を通過させることと、第1の方向と同一方向にアプリケータロールを回転させることと、を含む。いくつかの態様では、アプリケータロールの接線速度が、基材の線速度よりも速い。いくつかの態様では、封止組成物の第1の層を塗布することは、アプリケータロールを越えて第1の方向に基材を通過させることと、第1の方向とは反対の方向にアプリケータロールを回転させることと、を含む。いくつかの態様では、本方法は、封止組成物の第1の層を基材上に塗布した後に、封止組成物の第1の層を加熱することを更に含む。いくつかの態様では、封止組成物は液体として塗布される。いくつかの態様では、封止組成物の塗布温度は、約120℃~約170℃である。いくつかの態様では、封止組成物の塗布温度は120℃以下である。いくつかの態様では、封止組成物の塗布温度は100℃以下である。いくつかの態様では、封止組成物の第1の層は第1の厚さを画定し、位置付け工程は、封止組成物の第1の厚さに電子部品を位置付けることを更に含む。
【0012】
電子部品を封止するためのシステムが、本明細書で開示されている。システムは、封止組成物を基材の表面に塗布するように構成された外側表面を画定するアプリケータロールを含む。システムは、アプリケータロールを越えて基材を前進させるように構成された支持構造体を更に含む。システムは、基材の表面とアプリケータロールの外側表面との間に画定される間隙のサイズを制御するように構成されたエレベータを更に含む。アプリケータロールは、アプリケータロールが電子部品に接触することなく、基材の表面に沿って位置付けられた電子部品上に封止組成物を塗布するように構成される。アプリケータロールは、封止組成物にボイドが実質的にないように、封止組成物を電子部品上に塗布するように構成されている。
【0013】
いくつかの態様では、支持構造体は、基材をアプリケータロールの円周に接する方向に移動させるように構成され、エレベータは、基材をアプリケータロールの外周に対して半径方向に移動させるように構成されている。いくつかの態様では、エレベータは、アプリケータロールによって堆積された封止組成物の層の厚さを間隙のサイズを制御することによって制御するように構成されている。いくつかの態様では、システムは、基材上に配設された封止組成物を加熱するように構成された加熱要素を更に備える。
【0014】
外部表面を有する電子部品を含む電子物品と、電子部品の外側表面と直接接触している封止組成物とが、本明細書に開示されている。封止組成物と電子物品の外側表面との間の接触領域が、界面を画定し、界面にはボイドが実質的にない。封止組成物は、150℃で500センチポアズ(cP)~50,000cP以下の粘度を呈する熱可塑性組成物と、シラン変性熱可塑性ポリマ、ビニル変性スチレン系ブロックコポリマ、ビニル変性水素化スチレンブロックコポリマ、アクリレートポリマ、及びこれらの組み合わせから誘導される硬化組成物と、からなる群から選択される。
【0015】
いくつかの態様では、熱可塑性組成物は、シラン変性非晶質ポリアルファオレフィン、シラン変性メタロセン触媒ポリオレフィン、シラン変性アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、熱可塑性組成物は、熱可塑性ポリマと、粘着付与剤、可塑剤、及びワックスのうちの少なくとも1つと、を含むホットメルト接着剤組成物を含む。
【0016】
予め形成されたフィルムを形成することを必要とせず、溶融して、構成部品を封止するために、予め形成されたフィルムを炉内で加熱することを必要としない封止プロセスが、本明細書で開示されている。本開示は、予め形成されたフィルムから形成された封止層のコーティング重量に対して相対的により軽いコーティング重量を有する封止層を提供する封止プロセスを含む。
【0017】
複数の実施形態が開示されるが、本開示の例示的実施形態を示し、説明する以下の詳細な説明から、本開示の更に他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、事実上例示的なものであり、制限的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】特定の実施形態による、封止された物品の概略図である。
図1B】特定の実施形態による、封止された物品の概略図である。
【0019】
図2】特定の実施形態による、封止組成物を塗布するためのシステムの概略図である。
【0020】
図3】特定の実施形態による、図1のシステムの概略図である。
【0021】
図4】いくつかの実施形態による、例示的なプロセスの様々な段階における、図1のシステムの特定の構成部品の概略図である。
【0022】
図5】いくつかの実施形態による、例示的なプロセスの様々な段階における、図1のシステムの特定の構成部品の概略図である。
【0023】
図6】いくつかの実施形態による、図1のシステムと共に使用することができるプロセスの例示的なフローチャートである。
【0024】
図7】いくつかの実施形態による、図1のシステムと共に使用することができるプロセスの例示的なフローチャートである。
【0025】
図8】いくつかの実施形態による、図1のシステムで形成され得る例示的なデバイスの分解図である。
【0026】
図9】いくつかの実施形態による、本明細書で開示されるシステム及び方法で形成された例示的なデバイスの写真である。
【0027】
図10】いくつかの実施形態による、本明細書で開示されるシステム及び方法で形成された例示的なデバイスの写真である。
【0028】
[用語集]
本明細書で使用するとき、「ボイドが実質的にない」という語句は、0.1mmを超える断面寸法を有するボイドが存在せず、平均で0~20個以下のボイドが、封止組成物の各平方ミリメートルに存在することを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「ボイド」は、気体(例えば、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、及びこれらの組み合わせ)によって占有される空間を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
構成部品を封止するプロセスは、基材上に位置付けられた構成部品上に液体封止組成物を塗布することを含み、それによって、封止組成物内に構成部品を封止し、封止組成物と構成部品との間の界面にボイドが実質的にない封止された物品を製造する。界面は、構成部品と封止組成物との間の直接的接触領域である。
【0031】
液体封止組成物が、アプリケータロールと構成部品との間に間隙が存在するように、構成部品から間隔が空けられたアプリケータロールから構成部品に塗布される。この間隙は、液体封止組成物から形成される封止組成物の層の厚さを制御する。プロセスは、任意選択的に、第1の液体封止組成物で基材をコーティングして第1の層を形成することと、液体封止組成物の層を構成部品上に塗布する前に、第1の層を構成部品に接触させることと、を含む。封止組成物の複数の層は、基材及び構成部品のうちの少なくとも1つの上にコーティングされ得る。封止組成物の複数の層が存在する場合、層は、同一か、又は異なる封止組成物から形成され得る。加えて、封止組成物の複数の層が塗布されている場合、層のうちの少なくとも2つは、任意選択的に共に融合して単一層を形成する。所望の総コーティング厚さを達成するために、任意の好適なコーティング重量を有する封止組成物の任意の数の層が塗布されることができる。
【0032】
このプロセスは、インラインプロセスとして実行され得る。プロセスは、基材と封止される構成部品の、処理ラインからの取り出しを必要とせずに、基材と封止される構成部品が処理ラインを通って進むような連続工程として実行され得る。
【0033】
図1Aに示すように、封止物品2は、基材4、構成部品5、並びに構成部品5及び基材4の上に配設された封止組成物の第1の層6を含む。構成部品5は、封止組成物の第1の層6によって完全に封止され、界面7が封止組成物と構成部品5との間に画定される。界面7には、ボイドが実質的にない。図1Bは、封止組成物の第1の層6でコーティングされた基材4及び第1の層6上に位置付けられた構成部品5を示す。図示するように、封止物品2は、基材4、基材4上に配設された封止組成物の第1の層6、構成部品5、並びに構成部品5及び基材4上に配設された封止組成物の第2の層8を含む。構成部品5は、封止組成物の第1の層6及び第2の層8内で完全に封止され、基材4の表面上に位置付けられており、構成部品5は、基材4の表面の上方に「浮く」ようになっている。換言すれば、構成部品5は、封止組成物内に完全に封止されることができ、封止組成物の第1の層6が構成部品5と基材4とを分離する。基材4及び構成部品5は、封止組成物の第1の層6を介して互いに取り付けられている。
【0034】
構成部品5及び基材4は、封止組成物の第1の層6によって、構成部品5と基材4が互いに直接接触しない状態で、機械的に、又は化学的に接続され得る。構成部品5は、封止組成物の第1の層6を介して基材4に取り付けられ、封止組成物の第1の層6によって基材4から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施例では、構成部品5は、封止組成物の第1の層6によって基材4から分離され得、構成部品5は、ワイヤなどで基材4に電気的に接続されることができる。封止組成物は、封止組成物によって構成部品5が基材4と電子通信し得るように導電性であり得る。
【0035】
構成部品5は、電子部品であり得る。構成部品5は、1つ以上の電子部品を含み得る。構成部品5は、例えば、アレイを形成するように位置付けられた複数の電子部品を含み得る。例えば、構成部品5は、光起電力アレイを形成するために基材4に沿って位置付けられた複数の光起電力電池を含み得る。構成部品5は、互いに電子的に通信している1つ以上の電子部品であり得、例えば、互いにワイヤ接続で電子的に通信する1つ以上の電子部品であり得る。更なる例では、構成部品5は、互いに、かつ基材4と電子通信電子通信している1つ以上の電子部品であり得、例えば、互いに、かつ基材4とワイヤ接続で、又は導電性封止組成物を介して電子通信している1つ以上の電子部品であり得る。
【0036】
液体組成物を基材上にコーティングするための任意の好適なシステムは、封止組成物内に構成部品を封止するプロセスと共に使用され得、例えば、ロールコーティングシステム、メニスカスコーティングシステム、及び液体組成物を基材に塗布するのに好適な他のシステムを含む。システムはまた、一般にロールコーティングと呼ばれるプロセスの一部として使用されることができる。好適な市販のロールコーティングシステムは、様々な納入業者のもとで入手可能であり、例えば、Hardo(Bad Salzuflen,Germany)から入手可能なHARDO T150ロールコーティングシステム、(Omma(Limbiate,Italy)から入手可能なOMMA HGS314ロールコーティングシステム、及びHardo(Bad Salzuflen,Germany)から入手可能なPU SHUTTLEなどのシャトルシステムを含むHARDO-THERMO650ロールコーティングシステムを含む。好適なロールコーティングシステムの更なる例としては、片面及び両面ローラーコーティングシステム、光反射防止コーティング用のローラーコーティングシステム、及びその好適な例がRobert Burkle GmbH(Freudenstadt,Germany)から入手可能である多機能コーティングシステムなどのローラコーティングラインが挙げられる。
【0037】
図2は、封止組成物で構成部品をコーティングするためのシステム10の概略図である。図2に示されるように、1つ以上の構成部品を封止するプロセスと共に使用するためのシステム10の一例は、アプリケータロール20、送りデバイス22、支持構造体24、エレベータ26、任意選択のニップロール28、及び任意選択の加熱要素30を含む。アプリケータロール20は、中心軸54及び外側表面36を画定する。支持構造体24は支持面25を画定する。基材32は、支持構造体24上に位置付けられている。基材32は、第1の表面34を画定する。
【0038】
封止組成物の送り供給部40は、送りデバイス22とアプリケータロール20との間に位置付けられ、封止組成物のアプリケータ層42は、アプリケータロール20の外側表面36に沿って位置付けられ、封止組成物の第1の層44は、基材32の第1表面34に沿って位置付けられている。
【0039】
送りデバイス22は、アプリケータロール20に近接して位置付けられている。送りデバイス22は、例えば、ロール、ノズル、ブレード、ニップ、又は液体封止組成物をアプリケータロール20の外側表面36に供給するための任意の同様のデバイスを含む、液体として封止組成物を供給するのに好適な任意の装置であり得る。送りデバイス22は、任意選択的に、押出機、例えば、液体封止組成物を提供し、それをアプリケータロール20に、例えばスロットノズルを通して、又はカーテンとして送ることができる押出機を含む。概して、送りデバイス22は、封止組成物の送り供給部40をアプリケータロール20に供給するように構成されている。いくつかの実施形態では、送りデバイス22は、送り供給部40とアプリケータロール20との間の封止組成物のバルク容積を維持するのに好適な容積送り速度で封止組成物を提供するように構成される。例えば、送り供給部40は、封止組成物のプールなどのバルク容積であってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、送りデバイス22は、アプリケータロール20の外側表面36に沿って配設された封止組成物の厚さを制御するように構成されている。例えば、アプリケータ層42は、アプリケータロール20の外側表面36から、外側表面36から半径方向に測定されたアプリケータ層42の最外点までで測定される厚さを画定し得る。送りデバイス22は、アプリケータロール20への封止組成物の容積送り速度を制御することによって、アプリケータ層42の厚さを制御することができる。場合によっては、送りデバイス22からの封止組成物の好適な容積送り速度は、送り供給部40を提供し、送りデバイス22とアプリケータロール20との間で封止組成物のバルク容積を維持することができる。アプリケータロール20は、アプリケータロール20が回転し、外側表面36がバルク容積として維持される送り供給部40を通過する際に、封止組成物を取り込むことができる。場合によっては、アプリケータ層42の厚さは、アプリケータロール20の接線速度、若しくは、例えば、温度、粘度、湿潤性、又は表面張力のような封止組成物の特定の特性などの、特定のプロセスパラメータによって決定され得る。追加的に又は代替的に、送りデバイス22は、アプリケータ層42をアプリケータロール20上に広げるなど、封止組成物がどのように外側表面36に提供されるかを調節することによって、アプリケータ層42の厚さを制御する。例えば、封止組成物をアプリケータロール20上に置き、アプリケータ層42を機械的に広げて好適な厚さを形成するために送りデバイス22が使用され得る。いくつかの実施形態では、送りデバイス22は、封止組成物が、約100℃、110℃、120℃、約130℃、又は約140℃から約150℃、約160℃、約170℃、又は約200℃までの温度にある間、若しくは、更なる温度も考慮されているが、前述の値の任意の対の間の温度である間に、封止組成物を提供するように構成されている。
【0041】
アプリケータロール20は、概して円筒として形状化されており、中心軸54を画定し、中心軸54から半径方向に配向された外側表面36を画定する。アプリケータロール20は、中心軸54に沿った方向、例えば長手方向軸に沿って測定される長さを画定することができる。アプリケータロール20は、送り供給部40から封止組成物を受容し、アプリケータ層42として好適な厚さで封止組成物を担持し、封止組成物を支持構造体24上に位置付けられた物体に塗布するように構成されている。アプリケータロール20は、中心軸54を中心に回転するように構成されている。例えば、アプリケータロール20は、矢印56によって示されるように時計回りの方向で、又は矢印58によって示されるように反時計回りの方向で回転することができる。アプリケータロール20は、モータ(図示せず)によって駆動されることができ、アプリケータロール20の回転速度は、回転速度を増減させるために制御システムを使用して調整され得る。回転速度は、アプリケータロール20の接線速度が、例えば、支持構造体24の線速度に対して好適な速度で好適であるように選択され得る。いくつかの実施形態では、アプリケータロール20は加熱される。例えば、アプリケータロール20は、外側表面36の内側に加熱されたコイル又は蒸気管を含むことができ、又はシステム10は、アプリケータロール20及びその外側表面36上に配設された材料を加熱するために、アプリケータロール20の外側表面36に近接する加熱要素(図示せず)を含むことができる。アプリケータロール20の外側表面36は、例えば、ステンレス鋼などの所望の表面特性を提供する任意の好適な材料で形成することができ、これは、コーティングされていなくてもよく、又はゴムなどの追加材料の層でコーティングされてもよい。
【0042】
支持構造体24は、アプリケータロール20に近接して配置される。支持構造体24は、基材32などの物体をアプリケータロール20を通過させて搬送する。いくつかの実施形態では、支持構造体24は、一体型本体であり、例えば、支持面25を画定する平面を有する材料である。いくつかの実施形態では、支持構造体24は、例えば、物体がアプリケータロール20を越えて転がることができる、連続して配置された一連のローラのような、組み合わされて支持構造体24を形成する複数の離散表面を含む。支持構造体24は、矢印50によって示される方向など、第1の移動方向に沿って物体を移動させるように構成されている。支持構造体24は、任意選択的に、アプリケータロール20に対して第1の移動方向に沿って好適な直線速度で物体を前進させるための機構であって、例えば、支持構造体24が一体の場合は、それを移動させる1つのモータ、又は、支持構造体24が一連のローラを含む場合には、一連のモータを含む。
【0043】
支持構造体24は、矢印50によって示される方向に沿ってのような、アプリケータロール20の外側表面36に対して接線方向で、支持表面25に沿って位置付けられた物体を移動させるように構成することができる。例えば、支持構造体24が一体型本体を含む場合、支持構造体24は、支持表面25全体がアプリケータロール20に対して移動し、アプリケータロール20を越えて基材32を搬送するように構成することができる。支持構造体24が、一連の連続するローラ、又はローラとプラットフォームとの組み合わせのような一連の構造体を含む場合、支持構造体32は、1つのローラ又はプラットフォームから次のローラ又はプラットフォームに沿って基材32を移動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、支持構造体24は、基材32を好適な速度で水平方向に移動させるように制御され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、支持構造体24は、アプリケータロール20の中心軸54に対して上下に、すなわち、矢印52によって示される方向である半径方向に移動するように構成されている。いくつかの実施形態では、エレベータ26は、アプリケータロール20に向かって、又はアプリケータロール20から離れる方向に支持構造体24を移動させるように構成されている。すなわち、エレベータ26は、支持構造体26全体を、中心軸54に対して半径方向、例えば矢印52によって示される方向に沿って移動させるように構成され得る。
【0045】
図2に示すように、システムは、アプリケータロール20の外側表面36と支持構造体24又は支持構造体24上に位置付けられた物体との間に画定される間隙38を含む。支持構造体24に沿って支持構造体24に物体がない場合、支持構造体24の支持面25及びアプリケータロール20の外側表面36によって間隙38が画定される。基材32が支持構造体24とアプリケータロール20との間に位置付けられる場合、基材32の第1の表面34及びアプリケータロール20の外側表面36によって間隙38が画定される。いくつかの実施形態では、エレベータ26は、アプリケータロール20に向かって又はアプリケータロール20から離れる方向に支持構造体32を移動させるように制御され得、エレベータ26が間隙38のサイズを制御するようになっている。いくつかの実施形態では、支持構造体24が、アプリケータロール20を越えて、アプリケータロールに対する接線方向などに基材32を移動させている間に、支持構造体24をアプリケータロール20に向かって又はアプリケータロール20から離れる方向に移動させるために、エレベータ26が制御され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、エレベータ26は、支持構造体24のアプリケータロール20からの距離、例えば、矢印52によって示されるような、アプリケータロール20から半径方向への距離を制御するように構成されている。エレベータ26は、支持構造体24をアプリケータロール20に近づけて、又はアプリケータロール20から更に離れるように移動させることによって、間隙38のサイズを制御するように構成され得る。場合によっては、エレベータ26は、アプリケータロール20の外側表面36が、支持構造体24、及び基材32などの支持構造体24上の物体のうちの少なくとも1つと直接接触しないように、間隙38のサイズを制御する。例えば、支持構造体は、支持構造体24を移動させ、間隙38の制御サイズをアプリケータ層42の厚さと同じに、又はそれより小さくすることができる。場合によっては、基材32及び基材32の表面に沿って位置付けられた任意の構成部品を移動させるのを補助するように構成されたエレベータ26を有することで、間隙38のサイズを、アプリケータロール20と基材32との間の規定の距離に制御することを補助している。
【0047】
いくつかの実施形態では、エレベータ26は、基材32がアプリケータロール20を越えて移動する際に、支持構造体24をアプリケータロールに向けて、又はそこから離れる方向に移動させるように制御され得る。システム10は、任意選択的に、センサ(図示せず)又は支持表面25の上方の基材32の高さを測定する任意の好適な検出装置を含むことができ、エレベータ26は、支持構造体24を移動させるように制御され得、基材32の第1表面34とアプリケータロール20の外側表面36との間の間隙38のサイズが好適なサイズで制御されるようになっている。例えば、センサは、支持構造体24上に位置付けられた物体がないことを検出することができ、エレベータ26は、間隙38が所望のサイズになるように支持構造体24を移動させることができる。基材32などの物体が支持構造体24上に位置付けられ、アプリケータロール20に接近する場合、センサは、基材32の高さを検出することができ、支持構造体24をアプリケータロール20から離れる方向に移動させて、基材32とアプリケータロール20との間の間隙38が所望のサイズに維持されるようになっている。
【0048】
いくつかの実施形態では、間隙38のサイズは、構成部品に塗布される封止組成物の厚さを判定する。アプリケータ層42が基材32に接触すると、アプリケータ層42は、封止組成物を基材32へ移送することができる。アプリケータロール20が回転し続けると、アプリケータロール20は封止組成物を基材32に塗布し続ける。封止組成物が非圧縮性である場合、第1の層44の厚さは、間隙38のサイズによって制限される。例えば、封止組成物が非圧縮性であることから、第1の層44の高さが間隙38の高さを超えることを抑えるように、第1の層44の厚さが間隙38のサイズによって制限され得る。このようにして、アプリケータロール20は、封止組成物を基材32上に広げ、間隙38が第1の層44の高さを画定する。場合によっては、封止組成物が基材に塗布される容積速度は、アプリケータロール20の回転速度、アプリケータロール20の長さ、アプリケータ層42の厚さ、及び基材32の線速度によって制御される。
【0049】
図2に示されるように、ニップロール28とアプリケータロール20との間に支持構造体24があるようにニップロール28は位置付けられている。ニップロール28は、アプリケータロール20に近づくように、又はそれから離れるように移動することができるように制御され得る。ニップロール28は、アプリケータロール20と平行な方向に回転するように適合され得る。すなわち、ニップロール28は、アプリケータロールの中心軸54に平行な中心長手方向軸を中心に回転する。ニップロール28は、アプリケータロール20を越えて基材32を移動させるのを補助するように、かつ、基材32をアプリケータロール20に向けて、又はそれから離れる方向に付勢するのを補助するように適合され得る。例えば、ニップロール28は、間隙38のサイズを制御するのを補助する一方で、アプリケータロール20を越えて基材32を移動させるために、エレベータ26及び支持構造体32のうちの少なくとも1つと協働することができる。場合によっては、システム10がニップロール28を含まないことも想定されている。例えば、支持構造体24が矢印50の方向に移動される場合、ニップロール28は含まれないことがある。
【0050】
加熱要素30は、好適な距離で支持構造体24に近接して位置付けることができる。加熱要素30は、基材32に熱を供給し、基材32の材料及び封止組成物の第1の層44の材料のうちの少なくとも一方の温度を上昇させるように構成され得る。加熱要素30は、支持構造体24上に位置付けられた物体を加熱するために使用することができる任意の好適なデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、加熱要素30は、熱風を供給し、支持構造体24上に位置付けられた物体に熱風の流れを方向付けるように構成されている。他の実施形態では、加熱要素30は、周囲熱放射、赤外線放射、又はマイクロ波放射、及びこれらの組み合わせを介して熱を供給するように構成される。
【0051】
図3に示すように、システム10は、支持構造体24上に位置付けられた基材32の第1表面34上に封止組成物を塗布するために使用され得る。追加的に又は代替的に、システム10は、基材32上に位置付けられた構成部品60a、60b、60cの上に封止組成物を塗布するために使用され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、システム10は、封止組成物の第1の層44を第1の構成部品60a上に、例えば、第1の構成部品60aの上に直接的に、かつ、第1の構成部品60aの周りの基材32の部分の上に封止組成物の第1の層44を塗布する。
【0053】
アプリケータロール20は、第1の構成部品60aから間隔が空けられており、アプリケータロール20と第1の構成部品60aとの間に間隙38が形成されるようになっている。間隙38のサイズは、封止組成物の第1の層44の厚さを制御する。場合によっては、アプリケータロール20の回転速度などのシステム10の追加的パラメータを制御することは、第1の層44の厚さの制御を補助することができる。いくつかの実施形態では、封止組成物の第1の層44は、基材32上に第1構成部品60aを封止する。すなわち、第1の層44は、第1の構成部品60aを完全に覆い、第1の構成部品60aの第1の側面上に位置付けられた基材32及び第1の構成部品60aの残りの側面上の封止組成物を用いて、それを封止する。いくつかの実施形態では、アプリケータロール20は、約120℃、約130℃、又は約140℃から約150℃、約160℃、約170℃、又は約200℃までの塗布温度で、若しくは前述の値の任意の対の間の温度で封止組成物を塗布するように構成されるが、追加的な温度も更に企図される。
【0054】
システム10は、構成部品上に封止組成物の複数の層を塗布するために使用され得る。システム10は、第1の層44、第1の構成部品60a、及びそれらの組み合わせの上に封止組成物の第2の層48を直接塗布することができる。アプリケータロール20は、基材32上に位置付けられた第1の構成部品60a上に第1の層44を塗布する。次いで、基材32及びコーティングされた第1の構成部品60aは、再びシステム10を通過し、封止組成物の第2の層48が、第1の層44の表面、第1の構成部品60a、又はその両方に塗布される。いくつかの実施形態では、処理ラインは、ライン内に配置された複数のシステム10を含み、第1の構成部品60aがシステム10の第1の実施形態を通過するようになっており、そこで、第1の層44が塗布され、これは次いで第1のシステム10の下流に位置する第2のシステム10を通過し、第2の層48が第2のシステム10によって塗布される。第1及び第2のシステム10は、同一であり得るか、又は異なり得る。第1の層44及び第2の層48を形成するために使用される封止組成物は、同一の組成物であり得るか、又は異なる組成物であり得る。
【0055】
支持構造体24は、封止組成物が塗布されている間に、基材32をアプリケータロール20を越えて矢印50によって示される方向に移動させる。アプリケータ層42は、コーティングされる基材又は封止される構成部品と接触するように導入されることができ、封止組成物を塗布して、封止組成物の第1の層44を形成することができる。基材32が矢印50によって示される方向に移動すると、エレベータ26は、矢印52によって示される方向に沿って基材26を同時に移動させることができ、間隙38のサイズを制御することができる。エレベータ26は、構成部品60a、60b、60cがアプリケータロール20を通過するときに、間隙38のサイズが一貫したサイズで制御されるように、支持構造体24を移動させることができる。一例として、エレベータ26は、第1構成部品60aを有さない基材32の一部が通過すると、基材32の第1の表面34間の間隙38のサイズが好適に規定された距離となるように、支持構造体24をアプリケータロール20の近くに移動させることができる。第1の構成部品60aがアプリケータロール20を通過すると、エレベータ26は、支持構造体24をアプリケータロール20から離れる方向に移動させて、間隙38のサイズを好適に規定された距離に維持することができる。エレベータ26は、第2の構成部品60b及び第3の構成部品60cが通過すると、第1の層44のサイズが、構成部品60a、60b、及び60cの上で、構成部品60a、60b、及び60cの間、又は周りでの基材32の一部と同じになるように、支持構造体24をアプリケータロール20から離すように移動させることができる。場合によっては、エレベータ26は一定の高さに保持され、支持構造体24とアプリケータロール20との間の間隙38のサイズが、基材32がアプリケータロール20を通過して移動するときと同一であることを維持するようになっている。例えば、支持構造体24は、基材32及び第1の構成部品60aをアプリケータロール20を越えて移動させることができ、支持構造体24は、封止組成物を塗布し、余分な封止組成物を除去し、第1の層44が、構成部品60a、60b及び60c並びに基材32の上に概ね平面的な表面を画定するようになっている。いくつかの実施形態では、第1の層44の厚さは、約0.01mm、約0.02mm、約0.05、又は約0.1mmから、約0.2mm、約0.2mm、0.5、又は約1mmまでであり得、若しくは、前述の値の任意の対の間のサイズであり得、第1の層が追加の厚さを有する実施形態も更に企図されている。いくつかの実施形態では、第1の層の好ましい厚さは、約0.05~約0.2mmである。
【0056】
基材32がアプリケータロール20を越えて移動しているとき、アプリケータロール20は、矢印58によって示される時計回り方向、又は矢印56によって示される反時計回り方向のいずれかで回転するように制御され得る。いくつかの実施形態では、アプリケータロール20を矢印56によって示される方向、又は基材32の移動方向とは反対に回転させることは、封止組成物を封止される物体に対して押し付けることによって、封止組成物中に空気などのボイドを形成し得る物質を追い出す働きをする。例えば、図2に示すように、アプリケータロール20を反時計回り方向に回転させると、封止される構成部品、及び基材32に封止組成物を塗布し、封止組成物が好適な速度で塗布されるように好適な速度でアプリケータロール20を回転させることにより、封止される構成部品と基材32との間に閉じ込められ得る空気を追い出す働きをする。いくつかの実施形態では、アプリケータロール20は、矢印58によって示される時計回り方向に回転するように制御され得、アプリケータロール20の接線速度は、矢印50によって示される方向で基材の線速度よりも速くなるか、又はそれより遅くなるように制御されることができる。例えば、アプリケータロール20の回転速度を外側表面36の接線速度が基材32の線速度よりも好適に大きくなるように制御することにより、封止組成物を好適な速度で提供することができ、アプリケータロール20が封止される構成部品に対して封止組成物を押し付けるか又は操作して空気などボイドを形成し得る物質を追い出すことができる。封止組成物は非圧縮性であることから、アプリケータロール20が封止組成物を封止される構成部品に対して好適な速度で提供する場合、アプリケータロール20は、封止組成物を封止される構成部品に対して押し付けるか、又は操作することができ、一方で間隙38は維持される。
【0057】
封止組成物は、アプリケータロール20が封止される成分と接触することなく、封止される構成部品に塗布され得る。場合によっては、アプリケータロール20が、封止される構成部品と接触することなく封止組成物を塗布することは、例えば、特定の電子部品のような脆弱な構成部品など、アプリケータロール20に接触することによって損傷され得る構成部品を封止することを支援する。アプリケータロール20が封止組成物を封止される構成部品に対して押し付けるか又は操作することで、ボイドが実質的にない封止組成物を塗布することを支援することができる。封止組成物の第1の層44、第2の層48、及び任意選択的に第3、第4又はそれ以上の層を塗布するためにシステム10が使用され得、封止組成物と構成部品60a、60b、60cとの間の界面にボイドが実質的にないようになっている。いくつかの実施形態では、構成部品60a、60b、60cは封止組成物内に封止され、封止組成物はボイドが実質的にない。
【0058】
いくつかの実施形態では、封止組成物が封止される構成部品に塗布された後、封止組成物は、加熱などによって平滑化され得る。例えば、封止組成物は、そのガラス転移温度を超えるような好適な温度まで加熱されることができ、これは、封止組成物の平滑化又は水平化を支援することができる。例えば、第1の層44は、加熱要素30の下を通過することによって加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、封止組成物は、炉内で構造体を加熱することによって加熱され得る。例えば、上に配設された封止組成物を含む基材32は、封止組成物をある温度に加熱することができる炉内に、組成物を軟化させ、かつ水平化させるのに好適な時間にわたって配置されることができる。他の実施形態では、封止組成物は、任意選択的で加熱されるドクターブレードなどの平滑化装置で水平化することによって平滑化され得る。
【0059】
図4は、封止される構成部品に封止組成物を塗布するための例示的なプロセスを示す。図4に示されるプロセスは、図2及び3に示されるシステム10を使用して実行され得る。工程302では、1つ以上の構成部品360a、360b、360cが基材332上に位置付けられ得る。工程304では、封止組成物の第1の層344が基材及び構成部品360a、360b、360c上に塗布されている。工程304の後、第1の層344が任意選択的で平滑化され得る。工程306では、封止組成物の第2の層348が第1の層344上に塗布されている。いくつかの実施形態では、好適な総厚さを有する封止組成物が塗布されるまで、封止組成物の第3、第4、又はそれ以上の層を構成部品360a、360b、360c上に追加するために更なる工程が含まれ得る。
【0060】
図5に示すように、工程402では、封止組成物の第1の層444は、基材432上に直接的に、かつ接触して塗布されている。工程402の後、第1の層444は任意選択的で平滑化される。工程404では、構成部品460a、460b、460cは、第1の層444上に位置付けられ、これらが基材432と直接接触していないことから、基材の上方で「浮く」ようになっている。工程406では、封止組成物の第2の層448が、第1の層444及び構成部品460a、460b、460cの上に塗布されている。いくつかの実施形態では、構成部品460a、460b、460cは、封止組成物の第1の層444及び第2の層448の中で完全に封止されている。いくつかの実施形態では、第3、第4、又はそれ以上の封止組成物を構成部品460a、460b、460cの上に追加するために、好適な総厚さを有する組成物が塗布されるまで、更なる工程が含まれ得る。
【0061】
図6は、封止される構成部品に封止組成物を塗布するための例示的なプロセスを示すフローチャートを示す。図6に示されるプロセスは、図2及び3に示されるシステム10を使用して実行され得る。工程502では、1つ以上の電子部品が基材上に位置付けられ得る。工程504では、封止組成物の第1の層が電子部品上に塗布される。図2及び3に示されるシステム10は、封止組成物を塗布するために使用され得る。封止組成物と電子部品との間の界面にボイドが実質的にないように封止組成物の第1の層を塗布するために、システム10が使用され得る。いくつかの実施例では、工程506において、第1の層が、任意選択的に平滑化され得る。平滑化の有用な方法としては、例えば、封止組成物を加熱すること、ドクターブレードなどの平滑化装置を使用すること、及びこれらの組み合わせが挙げられる。工程508では、封止組成物の第2の層が塗布される。封止組成物の第2の層は、第1の層上に塗布される。いくつかの実施形態では、好適な総厚さを有する封止組成物が塗布されるまで、第3、第4、又はそれ以上の封止組成物を電子部品上に追加するために工程510が含まれ得る。
【0062】
図7は、電子部品などの封止される構成部品に封止組成物を塗布するための別の例示的なプロセスを示すフローチャートである。図7に開示されるプロセスは、図2及び図3に示されるシステム10を使用して実行され得る。工程602では、封止組成物の第1の層が基材に塗布される。いくつかの実施例では、工程604において、第1の層は任意選択的に平滑化され得る。平滑化の有用な方法としては、例えば、封止組成物を加熱すること、ドクターブレードなどの平滑化装置を使用すること、及びこれらの組み合わせが挙げられる。工程606では、1つ以上の電子部品が、工程602で塗布された封止組成物の第1の層上に位置付けられ得る。工程608では、封止組成物の第2の層が、第1の層上に位置付けられた電子部品上に塗布される。封止組成物と電子部品との間の界面にボイドが実質的にないように封止組成物の第2の層を塗布するために、システム10が使用され得る。電子部品が封止組成物の中に完全に封止され、封止組成物にボイドが実質的にないように、封止組成物の第2の層が、電子部品上に塗布され得る。いくつかの実施形態では、電子部品は、封止組成物の第1の層及び第2の層内に完全に封止され、基材の表面上に位置付けられることができ、構成部品は、基材の表面の上方に「浮く」ようになっている。いくつかの実施形態では、好適な総厚さを有する封止組成物が塗布されるまで、第3、第4、又はそれ以上の封止組成物を電子部品上に追加するために工程610が含まれ得る。
【0063】
[封止組成物]
封止組成物は、構成部品に塗布される前では液体の形態であり、コーティングされる基材に塗布された(例えば、コーティングされた)後に固化する。封止組成物の化学的性質に応じて、封止組成物の固化は、例えば、硬化すること、室温(22℃~25℃)まで冷却する際に固化すること、及びこれらの組み合わせを含む様々なメカニズムで生じ得る。架橋としても知られる硬化は、紫外線照射、電子ビーム照射、熱(すなわち、熱照射)、化学添加剤、及びこれらの組み合わせへの曝露によって生じ得る。
【0064】
熱可塑性封止組成物の場合、この封止組成物は、コーティング温度(すなわち、アプリケータロールから放出される前の組成物の温度(本明細書では塗布温度とも称される)に加熱されると液体になる。有用なコーティング温度としては、190℃以下、160℃以下、140℃以下、120℃以下、又は更には100℃以下が挙げられる。
【0065】
封止組成物は、好ましくは、コーティング温度で、約160℃超で、又は、更に190℃超で、約1000センチポアズ(cp)、約5,000cp、約10,000cp、又は約50,000cpから、約700,000cp、約800,000cp、約900,000、又は約1,000,000cpまでの粘度、又は前述の値の任意の対の間の粘度を呈する。
【0066】
有用な封止組成物は、約190℃以上の温度で、約1,000,約5,000又は約10,000cpから、約50,000~約75,000cp、又は約100,000cpまでの剪断粘度、又は前述の値の任意の対の間の剪断粘度を呈する。有用な封止組成物は、約230℃及び2.16キログラムで測定したときに、約6g/10分、約20g/10分、約100g/10分、約200g/10分、又は約300g/10分から、約800g/10分、約900g/10分、約1,000g/10分までのメルトインデックス、又は前述の値の任意の対の間のメルトインデックスを呈する。
【0067】
固化した封止組成物は、例えば、半透明であること、透明であること、及び/又は不透明であることを含む様々な光学特性を呈することができ、固化した封止組成物の複数の層が存在する場合、個別の層は、独立して前述の光学特性のいずれかを呈することができる。光起電力電池を封止するのに特に有用な封止組成物としては、実質的に透明な、又は更に透明な封止組成物が挙げられる。
【0068】
固化した封止組成物はまた、電子的に導電性、又は電子的に非導電性であることができる。封止組成物の複数の層が封止された物品内に存在する場合、個別の層は、独立して、電子的に導電性又は電子的に非導電性であることができる。
【0069】
好適なクラスの封止組成物としては、例えば、熱可塑性組成物、ホットメルト接着剤組成物、放射線硬化性接着剤組成物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な熱可塑性組成物及びホットメルト接着剤組成物は、熱可塑性ポリマの様々な部類の基づいており、例えば、湿気硬化性熱可塑性ポリマ(例えば、シラン変性熱可塑性ポリマ)、放射線硬化性熱可塑性ポリマ(例えば、紫外線硬化性及び電子ビーム硬化性熱可塑性ポリマ)、過酸化物硬化性熱可塑性ポリマ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
好適な熱可塑性ポリマの具体例としては、ポリオレフィンホモポリマ及びコポリマ(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びこれらの組み合わせ)、メタロセン触媒ポリオレフィン(例えば、メタロセン触媒ポリプロピレン)、エチレン酢酸ビニル、非晶質ポリアルファオレフィン、ポリイソブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な市販の熱可塑性ポリマとしては、例えば、VISTAMAXX8880メタロセン触媒プロピレン-エチレンコポリマを含むExxonMobil(Irving,Texas)から商品名VISTAMAXXシリーズで入手可能なポリマ、並びにATEVAエチレン酢酸ビニルコポリマ(例えば、28%酢酸ビニルを含み、かつ6g/10分のメルトインデックスを有するATEVA、例えば、ATEVA2810A及びATEVA2861A)を含む、Celanese Corporation(Irving,Texas)から商品名ATEVAシリーズで入手可能なエチレン酢酸ビニルコポリマが挙げられる。
【0071】
有用な湿気硬化性シラン変性熱可塑性ポリマとしては、例えば、シラン変性非晶質ポリオレフィン、シラン変性メタロセン触媒ポリオレフィン(例えば、シラン変性メタロセン触媒ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、及びこれらのコポリマ)、シラン変性アクリレートポリマ(例えば、シラン変性エチルアクリレート、シラン変性ブチルアクリレート、及びこれらの組み合わせ)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な湿気硬化性シラン変性熱可塑性ポリマは、様々な商品名で市販されており、例えば、Evonik Industries(Essen,Germany)から市販されている、VESTOPLAST206を含む商品名VESTOPLASTシリーズが挙げられる。
【0072】
有用な放射線硬化性ポリマ及び組成物としては、例えば、アクリレートベースの放射線硬化性組成物、アクリレート末端ポリエステル、放射線硬化性ビニル変性ブロックコポリマ組成物(例えば、米国特許第6,579,915号に記載され、本明細書に組み込まれているような放射線硬化性接着剤組成物)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な放射線硬化性ポリマ及び組成物は、様々な商品名で市販されており、例えば、ACRESIN A 204UV、ACRESIN A 250UV、ACRESIN A 260UV及びACRESIN UV 3532を含む、BASF SE(Ludwigshafen,Germany)から入手可能な商品名ACRESINシリーズ、KRATON D-KX-222Cを含む、Shell Chemical Company(Houston,Texas)から入手可能な商品名Kratonシリーズ、並びにSR-8272及びSR-8273を含む、Firestone Polymers,LLC(Akron,Ohio)から入手可能な商品名SRシリーズが挙げられる。有用な過酸化物硬化性接着剤組成物としては、例えば、過酸化物架橋剤、及びエチレンビニルアセテートコポリマを含む組成物が挙げられる。
【0073】
ホットメルト接着剤組成物の形態の封止組成物は、任意選択的で追加的に、粘着付与剤、可塑剤、ワックス、光開始剤、架橋剤、酸化防止剤、安定剤、追加的ポリマ、接着促進剤、紫外線安定剤、レオロジー変性剤、腐食防止剤、及びこれらの組み合わせを含む。
【0074】
[物品]
図8は、本明細書に開示されるシステム及びプロセスを使用して形成され得るサンプル物品702の分解図である。物品702は、太陽エネルギーを吸収し、太陽エネルギーを変換して電流をドライブするための光起電力アレイなどの電子デバイスであり得る。図7に示すように、物品702は、基材層704と、電子部品層706と、封止層708と、任意選択の最上層710と、を含む。基材層704は、光起電力アレイのための任意の好適な裏材などのソーラーパネル用の裏材を形成することができる任意の好適な材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、基材層704は、シリコン、ガラス、金属、ポリマ、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、電子部品層706は、太陽光に曝されたときに電流を生成するデバイスを含む。例えば、電子部品層706は、少なくとも1つの光起電力電池を含むことができる。封止層708は、電子部品層706、基材層704、及び任意選択の最上層710のうちの少なくとも1つに塗布されることができ、電子部品層706基材層704及び任意選択の最上層710のうちの少なくとも1つに接着することができる。
【0075】
封止層708は、電子部品層706を封止し、それを損傷及び水分から保護するのに有用であり得、電子部品層706を電気的に絶縁するのに有用であり得る。封止層708は、ある程度の可撓性を有し得、例えば、電子部品層706を保護すると同時に、電子部品層706の膨張及び収縮を可能にするように構成されることができる。任意選択的に、封止層708は十分に可撓性であり、デバイス702が巻き上げられることを可能にする。いくつかの実施形態では、電子部品層706を更に保護するために任意選択的な最上層710が含められてもよい。最上層710は、透明であり、可視光、紫外光、又は任意の形態の太陽エネルギーが電子部品層706を通過して接触することを可能にする、任意の好適な材料から形成することができる。最上層710に好適な材料としては、例えば、ガラス及びプラスチック(例えば、ポリカーボネート)が挙げられる。
【0076】
本明細書に開示される方法及びシステムは、予め形成されたフィルムを炉内で加熱して、溶融して構成部品を封止することを必要とせずに、処理中にこの工程を排除することを可能にする、封止プロセスを提供する。追加的に又は代替的に、封止層のコーティング重量は、予め形成されたフィルム層を使用するときに形成される重量よりも低減されることができる。
【0077】
本明細書で開示されるシステム及び方法を使用して、現在可能なものよりも広い総面積を有する光起電力アレイのような耐久性のある電子デバイスを製造することができることが想定されている。本明細書で開示されるシステム及び方法は、現在製造され得るものよりも薄い封止層を有する電子デバイスを形成するのに有用である。このような電子デバイスは、複数の層から形成することができ、各層は可撓性であり得る。いくつかの態様では、本明細書で開示されるシステム及び方法から形成される電子デバイスは、例えば、輸送されるために巻き上げられるのに十分に可撓性であり得る。
【実施例
【0078】
以下の非限定的な実施例は、様々な実施形態を更に例示するために含まれており、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
【0079】
基材1:長さ120mm×幅100mm×厚さ3mmの透明窓用ガラスプレート。
【0080】
基材2:長さ225mmx幅200mmx厚さ3mmの一般的にソーラーパネルを形成するために使用される、フロントガラスプレート。フロントガラスプレートは、外側が平坦で、内側のコーティングされた面に3次元反射防止表面を有する。
【0081】
基材3:長さ360mm×幅220mm×厚さ5mmの外側が平坦で、内側のコーティングされた面上に構造化されているガラス屋根板。
【0082】
基材4:長さ250mm×幅100mm×厚さ0.5mmのBAYER MAKROLONポリカーボネートプレート(Covestro,Leverkusen,Germany)。
【0083】
基材5:長さ250mm×幅100mm×厚さ1mmのBAYER MAKROLONポリカーボネートプレート。
【0084】
封止組成物1:VISTAMAXX8880メタロセン触媒ポリプロピレン(ExxonMobil,Irving,Texas)。
【0085】
封止組成物2:28%の酢酸ビニルを含み、メルトインデックスが6g/10分であるATEVA2810エチレンビニルアセテート(Celanese Corporation,Irving,Texas)。
【0086】
封止組成物3:VESTOPLAST206シラン変性非晶質ポリアルファオレフィン(Evonik Industries,Essen,Germany)。
【0087】
構成部品1:長さ100mmx幅40mmx厚さ0.2mmの光起電力電池。
【0088】
構成部品2:直径58mmx厚さ約0.2mmの200メッシュフィルタプレート。
【0089】
[実施例1]
実施例1の封止された物品は、メインタンク、混合ロール、アプリケータロール、及び基材4上に封止組成物3を塗布するドクターブレードを含むHARDO T150塗布システム(Hardo,Bad Salzuflen,Germany)を使用して調製された。混合ロールを140℃に設定した。ドクターブレードからアプリケータロールまでの距離が0.45mmとなるようにドクターブレードを位置付けた。アプリケータロールと基材4との間の間隙のサイズは0.2mmであった。
【0090】
実施例1の封止物品を調製するために、封止組成物3を、完全に溶融し、液体の形態になるまで140℃の温度まで加熱した。次いで、基材が下から支持されている間に、基材4がアプリケータロールの下で可能な限り水平に通過するような方法で、基材4を3.5メートル/分(m/分)の直線速度でアプリケータロールを通過させた。基材4がアプリケータロールの下を通過すると、封止組成物3が基材4上でコーティングされ、厚さ0.2mmの封止層を形成した。次いで、ホットエアガンから層上に向けられた熱気に封止層を通過させることによって平滑化及び水平化した。測定された厚さが0.2mmである封止組成物の滑らかで均一な層を形成した。封止組成物の層の外観をデジタル顕微鏡(Keyence VHX2000,St.Louis Park,MN)で確認した。封止組成物の層には、ボイドがないことが観察された。
【0091】
[実施例2]
封止層を基材4上に形成した後に封止層が依然として熱い間に、長さ100mm×幅40mm×厚さ0.2mmの薄膜ソーラーアレイを封止層上に置いたことを除いて、上述の実施例1と実質的に同じ方法で、実施例2の封止物品を調製した。
【0092】
次いで、基材とアプリケータロールとの間の間隙のサイズを0.4mmに設定し、HARDO T150塗布システムのアプリケータロールの下に、封止層の上に位置付けられた薄膜ソーラーアレイを有する基材を通過させ、封止組成物3が薄膜ソーラーアレイ上に塗布され、それによって封止組成物3の層を有する薄膜ソーラーアレイを封止した。得られた構造体が更に2回システムを通過され、その間に封止組成物3の2つの追加層が構成体に塗布された。2回目及び3回目の通過の前に、基材とアプリケータロールとの間の間隙をそれぞれ0.6mmまで、次いで0.8mmまで増加させた。
【0093】
得られた封止層の外観をデジタル顕微鏡(Keyence VHX2000,St.Louis Park,MN)で確認した。外観検査により、複数のコーティングで封止された薄膜ソーラーアレイ及び封止層には、ボイドが実質的にないことが確認された。
【0094】
図9は、本明細書に開示されるシステム及び方法を使用して封止された実施例2の例示的な構成部品を示す。図9に示すように、実施例1及び2に開示される機器及び材料を使用して、第1の構成部品802及び第2の構成部品804が封止組成物806内に完全に封止された。
【0095】
図10は、実施例1及び実施例2のシステム及び方法を使用して塗布された例示的な封止組成物(VESTOPLAST206(Evonik Industries,Essen,Germany))を示す。第1のサンプル902は、基材が移動しているのと同一方向でアプリケータロールを回転させて塗布された。第1のサンプル902は、隆起でマークされた粗い表面を有していた。解釈の1つでは、隆起は、アプリケータロールの表面と封止組成物との間の空気同伴の結果であり得ると考えられる。粗い縞は、封止組成物の流動性能によって引き起こされる。不均一な波状構造は、アプリケータロールの表面によって引き起こされたと考えられる。図9に示される粗い表面であっても、封止組成物はボイドが実質的になかった。第2のサンプル904は、リバースロールコーティングとも称される技術で、基材が移動しているときに反対方向に回転するアプリケータロールを用いて塗布した。図9に示されるように、逆方向にコーティングされ、アプリケータロール表面及び基材が反対方向に移動し、第1のサンプル902よりも滑らかな表面が得られた。
【0096】
様々な修正及び追加が、本発明の範囲から逸脱することなく、論じられている例示的な実施形態に行われ得る。例えば、上で説明した実施形態は、特定の特徴を指すが、本発明の範囲はまた、上で説明した特徴の全てを含まない特徴及び実施形態の異なる組み合わせを有する実施形態も含む。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10