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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】無線電力伝送のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20240621BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240621BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021553802
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020053994
(87)【国際公開番号】W WO2020187507
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】19163757.8
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ドラーク ヨハネス ウィルヘルムス
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-075200(JP,A)
【文献】特表2013-540411(JP,A)
【文献】特開2016-007117(JP,A)
【文献】特開2008-312434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0166928(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0112552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁的な電力伝送信号を用いた電力送信機から電力受信機への無線電力伝送のための装置であって、当該装置は前記電力送信機および前記電力受信機のうちの一方であり、当該装置は、
前記電力伝送信号を受信または生成するための電力伝送コイルと、
電力伝送フェイズの間に電力伝送を実行するように前記装置を制御するためのコントローラであって、前記電力伝送フェイズは、電力が伝送される電力伝送インターバルと、前記電力伝送信号の電力レベルが低減される異物検出インターバルとを有する、コントローラと、
電力伝送動作の間に前記電力伝送コイルと相補装置の電力伝送コイルとの間に配置される磁気シールド素子であって、前記相補装置は、前記電力送信機および前記電力受信機のうちの他方の装置である、磁気シールド素子と、
を有し、
前記磁気シールド素子は、前記電力伝送インターバルの間に飽和モードで動作し、前記異物検出インターバルの間に非飽和モードで動作するように、飽和点を持つ磁気シールド材料を有し、前記飽和点は、前記電力伝送インターバルの間に前記電力伝送信号により生成される磁場強度未満であって、前記異物検出インターバルの間に生成される磁場強度より大きい、装置。
【請求項2】
前記磁気シールド素子が、厚さが1mmを超えないシート状の素子である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記磁気シールド素子がフェライト材料である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が前記電力受信機であり、前記相補装置が前記電力送信機である、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が前記電力送信機であり、前記相補装置が前記電力受信機である、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
異物検出アンテナと、
前記異物検出インターバルの間に異物検出電磁試験信号を生成するために前記異物検出アンテナを駆動するための駆動信号を生成し、前記駆動信号に応じて異物検出を実行するように構成された異物検出器と、
をさらに有し、
前記磁気シールド素子が前記電力伝送コイルと前記異物検出アンテナとの間に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記異物検出器が、前記飽和点を下回るように前記磁気シールド素子中の前記異物検出電磁試験信号の電磁場強度を制限するように前記駆動信号を生成するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記異物検出アンテナが前記電力伝送コイルと重なる、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記磁気シールド素子の前記飽和点が100 mTから1 Tの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記磁気シールド素子の前記飽和点が200 mTから400 mTの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
電磁的な電力伝送信号を用いた電力送信機から電力受信機への無線電力伝送を実行するための無線電力伝送システムであって、
前記電力伝送信号を生成するための前記電力送信機の第1電力伝送コイルと、
前記電力伝送信号を受信するための前記電力受信機の第2電力伝送コイルと、
電力伝送フェイズの間に電力伝送を実行するように前記電力伝送システムを制御するためのコントローラであって、前記電力伝送フェイズは、電力が伝送される電力伝送インターバルと、前記電力伝送信号の電力レベルが低減される異物検出インターバルとを有する、コントローラと、
電力伝送動作の間に前記第1電力伝送コイルと前記第2電力伝送コイルとの間に配置される磁気シールド素子と、
を有し、
前記磁気シールド素子は、前記電力伝送インターバルの間に飽和モードで動作し、前記異物検出インターバルの間に非飽和モードで動作するように、飽和点を持つ磁気シールド材料を有し、前記飽和点は、前記電力伝送インターバルの間に前記電力伝送信号により生成される磁場強度未満であって、前記異物検出インターバルの間に生成される磁場強度より大きい、無線電力伝送システム。
【請求項12】
前記電力送信機および前記電力受信機のうちの少なくとも一方が、前記異物検出インターバルの間に異物検出電磁試験信号を生成するための第1異物試験アンテナを有し、前記無線電力伝送システムが、前記異物検出電磁試験信号の測定に応じて異物検出を実行するように構成された異物検出器をさらに有する、請求項11に記載の無線電力伝送システム。
【請求項13】
前記測定が、前記異物試験アンテナに対する駆動信号のパラメータの測定である、請求項12に記載の無線電力伝送システム。
【請求項14】
異物検出アンテナをさらに有し、前記測定が、前記異物検出インターバルの間に前記異物検出アンテナに誘導される信号の測定であり、前記異物試験アンテナおよび前記異物検出アンテナが前記電力送信機および前記電力受信機の相補装置中にある、請求項12に記載の無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送システムに関し、特に、例えばキッチン用品をサポートするためのような、高電力無線電力伝送をサポートするための装置および方法に関する(但しそれに限られない)。
【背景技術】
【0002】
現在のほとんどの電気製品は外部電源から電力を供給するために、専用の電気接点を必要とする。しかしながら、これは、非実用的である傾向があり、ユーザが物理的にコネクタを挿入するか、さもなければ物理的な電気的接触を確立することを必要とする。典型的には、電力要件も大きく異なり、現在のところ、ほとんどの装置には専用の電源が提供されており、その結果、典型的なユーザは、各電源が特定の装置専用である多数の異なる電源を有することになる。しかし、内蔵バッテリの使用は使用中に電源への有線接続の必要性を回避し得るが、これはバッテリの再充電(または交換)を必要とするため、部分的な解決策を提供するに過ぎない。また、バッテリを使用することは、装置の重量および潜在的なコストおよびサイズを実質的に増大させ得る。
【0003】
著しく改善されたユーザ体験を提供するために、電力が電力送信装置内の送信機コイルから、個々の装置内の受信機コイルに誘導伝送される無線電源を使用することが提案される。
【0004】
磁気誘導を介した電力伝送はよく知られた概念であり、大部分は、一次送信機インダクタ/コイルと二次受信機コイルとの間の密結合を有する変圧器に適用される。一次送信機コイルと二次受信機コイルを二つの装置間で分離することにより、これらの間の無線電力伝送が疎結合変圧器の原理に基づいて可能になる。
【0005】
このような構成は、有線または物理的な電気接続を行う必要なく、装置への無線電力伝送を可能にする。実際、外部から再充電または電力を供給するために、単に、送信機コイルに隣接してまたはその上に装置を配置することができる。例えば、電力送信機は、電力を供給するために装置を単に配置することができる水平面を有するように構成されることができる。
【0006】
さらに、そのような無線電力伝送構成は、電力送信機がある範囲の電力受信装置と共に使用され得るように有利に設計され得る。特に、Qi規格として知られる無線電力伝送アプローチが定義され、現在さらに開発されている。このアプローチは、Qi規格を満たす電力送信機装置が同じ製造業者からのものである必要も、互いに専用である必要もなく、Qi規格を満たす電力受信機装置と共に使用されることを可能にする。Qi規格は、特定の電力受信装置に動作を適合させることを可能にするためのいくつかの機能をさらに含んでいる(例えば、特定の電力ドレインに依存する)。
【0007】
Qi規格は、ワイヤレスパワーコンソーシアムによって開発され、より詳細な情報は例えば、それらのウェブサイトhttp://www.wirelesspowerconsortium.com/index.html)に見出すことができ、特に、定義された仕様書を見出すことができる。
【0008】
Qiのような電力伝送システムでは、必要なレベルの電力を電力受信機に伝達するために生成される電磁界がしばしば非常に大きい。このような強い磁場の存在は、多くの状況において、周囲に影響を及ぼし得る。例えば、無線電力伝送に伴う潜在的な問題は、電力が例えば、偶然に電力送信機の近傍にある金属物体に意図せずに伝送される可能性があることである。
【0009】
例えば、例えば硬貨、キーリング等の異物が電力受信機を受け入れるように配置された電力送信機プラットフォーム上に配置される場合、送信機コイルによって生成される磁束は、金属物体に渦電流を引き起こし、物体を加熱することになる。熱の増加は非常に重大であり、非常に不利なことがある。
【0010】
そのような状況が生じるリスクを低減するために、電力送信機が異物の存在を検出し、正の検出が発生したときに、送信電力を低減し、及び//又はユーザ警報を生成することができる異物検出を導入することが提案される。例えば、Qiシステムは異物を検出し、異物が検出された場合に電力を低減する機能を含む。具体的には、Qi規格バージョン1.2.1のセクション11には異物を検出する様々な方法が記載されている。
【0011】
このような異物を検出する1つの方法が、国際公開第2015018868号公報に開示されている。別の例は、未知の電力損失を決定することに基づくアプローチを開示する国際公開第2012127335号公報に提供される。このアプローチでは、電力受信機と電力送信機の両方がそれらの電力を測定し、受信機はその測定された受信電力を電力送信機に通信する。電力送信機が送信機によって送信された電力と受信機によって受信された電力との間の著しい差を検出すると、望ましくない異物が存在する可能性があり、電力伝送は、安全上の理由で制限されるか、または中止されることができる。
【0012】
Qi電力伝送規格では、電力受信機が、例えば、整流された電圧および電流を測定し、それらを乗算し、電力受信機内の内部電力損失(例えば、整流器、受信機コイル、受信機の一部である金属部品などの損失)の推定値を加えることによって、その受信電力を推定する。電力受信機は最小レート、例えば4秒毎に、決定された受信電力を電力送信機に報告する。
【0013】
電力送信機は例えば、インバータのDC入力電圧及び電流を測定し、それらを乗算し、例えば、インバータ、一次コイル及び電力送信機の一部である金属部分などにおける推定電力損失のような、送信機における内部電力損失の推定値を差し引くことにより、その結果を補正することにより、その送信電力を推定する。
【0014】
電力送信機は、報告された受信電力を送信電力から減算することにより、電力損失を推定することができる。この差が閾値を超える場合、送信機は過剰な電力が異物で消費されたと仮定し、その後、電力伝送を終了するように進むことができる。しかし、実際には、このアプローチは望ましいよりも正確ではなく、特に、電力送信機および電力受信機における内部電力損失の影響を推定する誤差および不確実性が、最適には及ばない性能を引き起こす可能性があることが分かっている。
【0015】
あるいは、一次コイルおよび二次コイルによって形成される共振回路の品質またはQ値を、対応するキャパシタンスおよび抵抗と共に測定することが提案されている。測定されたQ値の減少は、異物が存在することを示すことができる。
【0016】
実際には、Qi規格書に記載された方法を用いて十分な検出精度を達成することは困難である傾向がある。この困難性は、特定の現在の動作条件に関する多くの不確実性によって悪化する。
【0017】
例えば、特定の問題は、フレンドリ金属(すなわち、電力受信機または電力送信機を具現化するデバイスの金属部分)の潜在的な存在であり、これらの磁気特性および電気特性は、未知であり得(かつ、それぞれの装置で変化し得)、したがって、補償することが困難であり得る。
【0018】
更に、比較的少量の電力が金属異物中で放散されることから、望ましくない加熱が生じる可能性がある。従って、送信電力と受信電力との間のわずかな電力の食い違いさえ検出する必要があり、これは、電力伝送の電力レベルが増加する場合には特に困難である可能性がある。
【0019】
Q値劣化アプローチは、多くのシナリオにおいて、金属物体の存在を検出するためのより良好な感度を有することができる。しかしながら、それは、依然として十分な精度を提供しないことがあり、例えば、フレンドリ金属の影響を受けることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、現在のアルゴリズムは最適以下である傾向があり、いくつかのシナリオおよび例では、最適以下の性能を提供することがある。特に、それらは、検出されない異物の存在、または存在しない場合の異物の誤った検出をもたらし得る。
【0021】
正確な異物検出の困難さは、電力伝送信号の電力レベルが高い場合及び/又は変動する場合のシナリオでは特に困難である。したがって、異物検出は、電力伝送段階において特に困難である。
【0022】
従って、電力伝送システムのための改良された動作が有利であり、特に、増大した柔軟性、低減されたコスト、低減された複雑さ、改良された異物検出、電力受信機または電力送信機装置の特性の変動に対する感度の低減、改良された適応性、改良された後方互換性、および/または改良された性能を可能にするアプローチは有利であろう。特に、異物を検出するための改善された電磁環境を提供するアプローチが有利であろう。
【0023】
したがって、本発明は、好ましくは上記の欠点の1つ以上を単独でまたは任意の組み合わせで軽減、低減または排除しようとするものである。
【0024】
したがって、本発明は、好ましくは上記の欠点の1つ以上を単独でまたは任意の組み合わせで軽減、低減または排除しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一側面によれば、電磁電力伝送信号を用いて電力送信機から電力受信機に無線で電力を伝送する装置が提供され、当該装置は、前記電力送信機および前記電力受信機の一方であり、当該装置は、前記電力伝送信号を受信または生成するための電力伝送コイルと、電力伝送フェイズで電力伝送を行うように前記装置を制御するコントローラであって、前記電力伝送フェイズは、電力が伝送される電力伝送インターバルと、前記電力伝送信号の電力レベルが低下される異物検出インターバルとを有する、コントローラと、前記電力伝送コイルと相補装置の電力伝送コイルとの間に配置された磁気シールド素子であって、前記相補装置は、前記電力受信機と前記電力送信機のうちの他方の装置である、磁気シールド素子と、を有し、前記磁気シールド素子は、電力伝送インターバル中は飽和モードで動作し、異物検出インターバル中は非飽和モードで動作するような飽和点を有する磁気シールド材料で構成されており、前記飽和点は、前記電力伝送インターバルの間に前記電力伝送信号によって生成される磁界強度以上であり、前記異物検出インターバルの間に生成される磁界強度以下である。
【0026】
本発明は、多くのシナリオにおいて改善された性能を提供することができる。多くの実施形態では、効果的で有利な異物検出を可能にしながら、電力伝送コイル間の密接な結合を可能にすることができる。このアプローチは、多くの実施形態において、改善された異物検出および/または改善された電力伝送を提供し得る。このアプローチは、異物検出に対する電力伝送コイルの影響を低減または緩和することができる。このアプロ
ーチは、電力伝送の許容できない劣化を導入することなく、異物検出中に異物検出アンテナと電力伝送コイルとの間の分離を達成することができる。多くの実施形態では、無視できる程度の影響しか電力伝送に導入せずに、電力伝送コイルが異物検出に及ぼす影響を大幅に低減することができる。
【0027】
このアプローチは、多くのシナリオにおいて、異物検出に対する改善された適合性を示す電磁環境を提供することができ、具体的には、異物の電磁効果がより顕著であり、検出がより容易な電磁環境を提供することができる。
【0028】
磁気シールド素子は、異物検出インターバル中は異物検出アンテナにより生成される磁界強度よりも高く、かつ、電力伝送インターバル中は電力伝送コイルにより生成される磁界強度よりも低い磁界強度に対応する飽和点を持つことで、電力伝送インターバルには飽和モードで、異物検出インターバルには非飽和モードで動作するように構成されることができる。飽和点は、異物検出インターバル中に磁気シールド素子に発生する最大磁場強度より高いが、電力伝送インターバル中に磁気シールド素子に発生する(最小)磁場強度より低い磁場強度に対してであってもよい。多くの実施形態では、この動作は、100mT~1Tの範囲、しばしば200mT~400mTの範囲の飽和点を有するように磁気シールド要素を設計することによって達成される。
【0029】
磁気シールド素子の飽和点は、0Tの磁界強度に対する透磁率の1/10に透磁率が低減される、磁気シールド素子における磁界強度であってもよい。
【0030】
磁気シールド材料は、典型的には、磁場強度が飽和点を上回る場合は飽和状態と見なされ、磁場強度が飽和点を下回る場合は飽和状態とは見なされない。
【0031】
異物検出アンテナは、電力伝送のための2つの装置の公称/最適空間位置に対して、異物検出アンテナの少なくとも一部が、装置の電力伝送コイルと相補装置の電力伝送コイルとの間にあるように、電力コイルに重なり合うことができる。電力伝送コイルは中心軸を有してもよく、具体的には、軸に垂直な平面内に実質的に平坦な構成を有することができる。異物検出アンテナは、異物検出アンテナの少なくとも一部が、電力伝送コイルの領域を軸の方向に平行移動させることによって形成される3D図形内に入るように、電力コイルと重なり合ってもよい(この3D図形は、電力伝送コイルの領域に対応する一定の断面を有し、軸に沿って延在すると考えられてもよい)。
【0032】
電力伝送インターバルおよび異物検出インターバルは、典型的にはオーバーラップしていない。
【0033】
電力伝送コイル及び異物検出アンテナは、通常、異物検出アンテナが電力伝送コイルよりも電力伝送が行われる表面に近くなるように配置される。この構成は、典型的には、異物検出アンテナが電力伝送動作中に電力伝送コイルと相補装置の相補的電力伝送コイルとの間に配置されるような構成である。異物検出アンテナは、相補装置に結合するために、電力伝送コイルと装置の表面との間に配置されることができる。
【0034】
実施形態によっては、異物検出アンテナが30cm2以上の面積を有する平面アンテナである。
【0035】
いくつかの実施形態では、電力伝送コイルの面積は50cm2以上である。
【0036】
いくつかの実施形態では、異物検出アンテナ及び電力伝送コイルは平面コイルである。
【0037】
いくつかの実施形態では、異物検出アンテナ及び電力伝送コイルが同軸である。
【0038】
いくつかの実施形態では、電力伝送インターバルおよび異物検出インターバルが互いに素である。
【0039】
いくつかの実施形態では、飽和点は、異物検出インターバルの間に異物検出アンテナによって生成される磁界強度よりも高く、電力伝送インターバルの間に電力伝送コイルによって生成される磁界強度よりも低い磁界強度に対応する。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記装置は、異物検出アンテナと、前記異物検出アンテナを駆動する駆動信号を発生するように構成された異物検出器とをさらに有し、前記異物検出インターバル中に異物検出電磁試験信号を生成して、前記駆動信号に応じて異物検出を行う。
【0041】
本発明のオプションの特徴によれば、磁気シールド素子は、1mmを超えない厚さを有するシート状の素子である。
【0042】
これは多くの実施形態において、効率的なシールド効果を提供しっつ、コンパクトな寸法および高い結合係数を達成することを可能にし得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、シート状の素子は、0.5mm、2mm、または5mmを超えない厚さを有することができる。
【0044】
本発明のオプションの特徴によれば、磁気シールド材料はフェライト材料である。
【0045】
これは、多くの実施形態において、特に有利な動作および性能を提供し得る。
【0046】
本発明のオプションの特徴によれば、装置は電力受信機であり、相補装置は電力送信機である。
【0047】
このアプローチは、多くの実施形態において、改良された電力受信機を提供することができる。
【0048】
本発明のオプションの特徴によれば、装置は電力送信機であり、相補装置は電力受信機である。
【0049】
このアプローチは、多くの実施形態において、改良された電力送信機を提供することができる。
【0050】
本発明のオプションの特徴によれば、前記装置はさらに、異物検出アンテナと、前記異物検出アンテナを駆動する駆動信号を発生させて、前記異物検出インターバル中に異物検出電磁試験信号を発生させ、前記駆動信号に応じて異物検出を行うように構成された異物検出器とを有し、前記磁気シールド素子が、前記電力伝送コイルと前記異物検出アンテナとの間に配置される。
【0051】
これは、多くの実施形態において、特に有利な動作および性能を提供し得る。
【0052】
本発明のオプションの特徴によれば、異物検出器は、磁気シールド素子における異物検出電磁試験信号の電磁界強度を飽和点以下になるように制限するように前記駆動信号を生成するように構成される。
【0053】
これは、多くの実施形態において、特に有利な動作および性能を提供し得る。
【0054】
本発明のオプションの特徴によれば、異物検出アンテナは、電力伝送コイルに重なる。
【0055】
本発明のオプションの特徴によれば、磁気シールド素子のための飽和点は、100mTから1Tの範囲内にある。
【0056】
これは多くの実施形態において特に効率的な動作を提供することができ、具体的には、多くの実施形態において、磁気シールド材料が、電力伝送インターバル中は飽和モードで、異物検出インターバル中は非飽和モードで動作するように構成されることを意味し得る。
【0057】
本発明のオプションの特徴によれば、磁気シールド素子のための飽和点は、200mTから400mTの範囲内にある。
【0058】
これは多くの実施形態において特に効果的な動作を提供することができ、具体的には、多くの実施形態において、磁気シールド材料が電力伝送インターバル中は飽和モードで、異物検出インターバル中は非飽和モードで動作するように構成されることを意味し得る。
【0059】
本発明の一側面によれば、電磁電力伝送信号を用いて電力送信機から電力受信機への無線電力伝送を行う無線電力伝送システムが提供され、当該無線電力伝送システムは、電力伝送信号を生成するための電力送信機の第1電力伝送コイルと、前記電力伝送信号を受信するための電力受信機の第2電力伝送コイルと、電力伝送フェイズで電力伝送を行うように電力伝送システムを制御するコントローラであって、前記電力伝送フェイズは、電力が伝送される電力伝送インターバルと、前記電力伝送信号の電力レベルが低下される異物検出インターバルとを有する、コントローラと、電力伝送動作の間に第1電力伝送コイルと第2電力伝送コイルの間に配置される磁気シールド素子と、を有し、前記磁気シールド素子は、電力伝送インターバル中は飽和モードで動作し、異物検出インターバル中は非飽和モードで動作するような飽和点を有する磁気シールド材料で構成され、前記飽和点は、前記電力伝送インターバルにおいて前記電力伝送信号により生成される磁界強度以上であり、前記異物検出インターバルにおいて生成される磁界強度以下である。
【0060】
本発明のオプションの特徴によれば、前記電力送信機及び前記電力受信機の少なくとも一方が、前記異物検出インターバルの間に異物検出電磁試験信号を生成するための第1異物試験アンテナを有し、前記無線電力伝送システムは、前記異物検出電磁試験信号の測定に応じて異物検出を実行するように構成された異物検出器をさらに有する。
【0061】
本発明のオプションの特徴によれば、測定は、異物試験アンテナのための駆動信号のパラメータの測定である。
【0062】
本発明のオプションの特徴によれば、前記無線電力システムは、異物検出アンテナをさらに有し、前記測定は前記異物検出インターバル中に前記異物検出アンテナに誘導される信号の測定であり、前記異物試験アンテナ及び前記異物検出アンテナは前記電力送信機及び前記電力受信機の補完装置中にある。
【0063】
本発明の一側面によれば、電磁電力伝送信号を用いて電力送信機から電力受信機に無線で電力を伝送する方法が提供され、前記装置は前記電力送信機および前記電力受信機の一方であり、当該方法は、電力伝送コイルが電力伝送信号を受信または生成するステップと、電力伝送フェイズの間に電力伝送を行うように装置を制御するステップであって、前記電力伝送フェイズは、電力が伝送される電力伝送インターバルと、前記電力伝送信号の電力レベルが低減される異物検出インターバルとを有する、ステップと、前記電力伝送動作の間に、前記電力伝送コイルと相補装置の電力伝送コイルとの間に配置される磁気シールド素子を提供するステップであって、前記相補装置は、前記電力受信機と前記電力送信機の他方の装置であるステップと、を有し、前記磁気シールド素子は、電力伝送インターバルの間は飽和モードで動作し、異物検出インターバルの間は非飽和モードで動作する磁気シールド材料で構成され、前記磁気シールド素子の飽和点は、前記電力伝送インターバルの間に前記電力伝送信号により生成される磁界強度以上であり、前記異物検出インターバルの間に生成される磁界強度以下である。
【0064】
本発明の一側面によれば、電磁電力伝送信号を用いて、電力送信機から電力受信機への無線電力伝送を行う無線電力伝送システムの動作方法が提供され、前記無線電力伝送システムは、前記電力送信機および前記電力受信機のうちの一方である第1装置を有し、当該方法は、前記第1装置が、以下のステップ、すなわち、電力送信機の第1電力伝送コイルが電力伝送信号を生成するステップ、電力受信機の第2電力伝送コイルが電力伝送信号を受信するステップ、前記電力伝送システムを制御して電力伝送フェイズの間に電力伝送を行うステップであって、前記電力伝送フェイズは、電力が伝送される電力伝送インターバルと、前記電力伝送信号の電力レベルが低減される異物検出インターバルとを有する、ステップ、電力伝送動作中に前記第1電力伝送コイルと前記第2電力伝送コイルとの間に配置される磁気シールド素子を提供するステップ、を実行し、前記磁気シールド素子は、電力伝送インターバルの間は飽和モードで動作し、異物検出インターバルの間に非飽和モードで動作する磁気シールド材料で構成され、前記磁気シールド素子の飽和点は、前記電力伝送インターバルの間に前記電力伝送信号により生成される磁界強度以上であり、前記異物検出インターバルの間に生成される磁界強度以下である。
【0065】
いくつかの実施形態では、電力送信機と電力受信機とを有する電力伝送システムが提供され、前記電力送信機および前記電力受信機の少なくとも一方は、電力伝送信号を受信または生成するための電力伝送コイルと、電力伝送フェイズで電力伝送を行うように装置を制御するコントローラであって、前記電力伝送フェイズは、電力が伝送される電力伝送インターバルと、前記電力伝送信号の電力レベルが低減される
異物検出インターバルとを有する、コントローラと、前記電力伝送コイルと相補装置の電力伝送コイルとの間に配置された磁気シールド素子であって、前記相補装置は、前記電力受信機と前記電力送信機のうちの他方の装置である、磁気シールド素子と、を有し、前記磁気シールド素子は、電力伝送インターバルの間に飽和モードで動作し、異物検出インターバルの間に非飽和モードで動作するような飽和点を有する磁気シールド材料で構成され、前記飽和点は、前記電力伝送インターバルの間に前記電力伝送信号によって生成される磁界強度以上であり、前記異物検出インターバルの間に生成される磁界強度以下である。
【0066】
このようなシステムにおいて、前記電力送信機及び前記電力受信機の少なくとも一方は、異物検出アンテナと、前記異物検出アンテナを駆動する駆動信号を発生するように構成された異物検出器とを有し、前記異物検出インターバル中に異物検出電磁試験信号を発生させ、前記駆動信号に応じて異物検出を行う。
【0067】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴および利点は以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本発明の実施形態は、単なる例として、図面を参照して説明される。
図1】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムの素子の例を示す図。
図2】本発明のいくつかの実施形態による電力送信器の要素の一例を示す図
図3】本発明のいくつかの実施形態による電力受信器の要素の一例を示す図
図4】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムの時間フレームの一例を示す図。
図5】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置の一例を示す図。
図6】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置の一例を示す図。
図7】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置に対する磁界分布の一例を示す図。
図8】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置の一例を示す図。
図9】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置に対する磁界分布の一例を示す図。
図10】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置に対する磁界分布の一例を示す図。
図11】フェライト磁気シールド層に対するいくつかの性能特性を示す図。
図12】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置の一例を示す図。
図13】本発明のいくつかの実施形態による電力受信機の要素の一例を示す図。
図14】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムのためのコイル配置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下の説明は、Qi規格から知られているような電力伝送アプローチを利用する無線電力伝送システムに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てる。しかしながら、本発明は、この用途に限定されず、多くの他の無線電力伝送システムに適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0070】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムの一例を示す。電力伝送システムは、送信機電力伝送コイル/インダクタ103を含む(またはそれに結合される)電力送信機101を備える。このシステムは、受信機電力伝送コイル/インダクタ107を含む(またはそれに結合される)電力受信機105をさらに備える。
【0071】
システムは、電力送信機101から電力受信機105に電力を誘導的に伝送することができる電磁電力伝送信号を提供する。具体的には、電力送信機101が電磁信号を生成し、これは送信機コイルまたはインダクタ103によって磁束として伝搬される。電力伝送信号は、電力送信機から電力受信機へのエネルギー伝送を表す電磁電力伝送成分に対応してもよく、電力送信機から電力受信機へ電力を伝送する生成された電磁界の成分に対応するとみなされてもよい。例えば、受信機電力伝送コイル107の負荷がない場合、(損失とは別に)生成された電磁界から電力受信機によって電力が取り出されることはない。このようなシナリオでは、送信機電力伝送コイル103の駆動は、潜在的に高い電界強度の電磁界を生成することができるが、電力伝送信号の電力レベルは(損失とは別に)ゼロであろう。
【0072】
電力伝送信号は、典型的には、約20kHz乃至約500kHzの間の周波数を有してもよく、Qi互換システムに対しては、典型的には、95kHz乃至205kHzの範囲である(または例えば、高出力キッチン用途に対しては、周波数は典型的には20kHz乃至80kHzの範囲であってもよい)。送信機電力伝送コイル103及び受信機電力伝送コイル107は、緩く結合されており、従って、受信機電力伝送コイル107は、電力送信機101からの電力伝送信号(の少なくとも一部)をピックアップする。したがって、電力は、送信機電力伝送コイル103から受信機電力伝送コイル107への無線誘導結合を介して、電力送信機101から電力受信機105に伝送される。電力伝送信号という用語は主に、送信機電力伝送コイル103と受信機電力伝送コイル107との間の誘導信号/磁界(磁束信号)を指すために使用されるが、同等性によって、送信機電力伝送コイル103に提供されるか、または受信機電力伝送コイル107によってピックアップされる電気信号を指すとも考えられ、使用され得ることが理解されるであろう。
【0073】
例において、電力受信機105は、具体的には、受信機電力伝送コイル107を介して電力を受信する電力受信機である。しかしながら、他の実施形態では、電力受信機105は、金属加熱要素のような金属要素を含んでもよく、この場合、電力伝送信号は渦電流を直接誘導して、この要素の直接加熱(例えば、鍋加熱要素における直接的な加熱)をもたらす。
【0074】
システムは、実質的な電力レベルを伝送するように構成され、具体的には多くの実施形態において、電力送信機は500mW、1W、5W、50W、100Wまたは500Wを超える電力レベルをサポートすることができる。例えば、Qi対応アプリケーションの場合、電力伝送は、典型的には低電力アプリケーション(基本電力プロファイル)の場合は1~5Wの電力範囲、Qi規格バージョン1.2の場合は15Wまで、電動工具、ラップトップ、ドローン、ロボットなどの高電力アプリケーションの場合は100Wまでの範囲、例えばキッチンアプリケーションなどの非常に高電力のアプリケーションの場合は100Wを超え、1000Wを超える範囲とすることができる。
【0075】
以下では、電力送信機101および電力受信機105の動作が、(本明細書で説明される(または結果として生じる)修正および拡張を除いて)一般にQi規格に従うか、または無線電力伝送コンソーシアムによって開発されている高電力キッチン仕様に適した実施形態を特に参照して説明される。特に、電力送信機101および電力受信機105は、Qi規格バージョン1.0、1.1または1.2の要素(本明細書で説明される(または結果として生じる)修正および拡張を除く)に従うか、または実質的に互換性があり得る。
【0076】
図1のような無線電力伝送システムにおいて最適な性能を得るためには、電力送信機101及び電力受信機105の電力伝送コイル103、107は、最大可能量/実用可能量の磁束を共有するように、密接に位置合わせされることが望ましい。したがって、送信機コイルと受信機コイルとの間の結合係数(κ)を最大にするために、コイル103、107を幾何学的に整列させることが望ましい。
【0077】
図2は、電力送信機101の要素を図示し、図3は、図1の電力受信機105の要素をより詳細に図示する。
【0078】
電力送信機101は、駆動信号を生成することができるドライバ201を有し、この駆動信号は電力送信機の電力伝送コイル103に供給され、電力伝送コイル103は、電力受信機105に電力伝送を提供する電磁界、すなわち電磁電力伝送信号を生成する。電力伝送信号は、(少なくとも)電力伝送フェイズ中に供給される。
【0079】
ドライバ201は、当業者に周知のように、典型的にはフルブリッジ又はハーフブリッジを駆動することによって形成されるインバータの形の出力回路を備えることができる。
【0080】
電力送信機101は、所望の動作原理に従って電力送信機101の動作を制御するように構成される電力送信機コントローラ203をさらに有する。具体的には、電力送信機101は、Qi規格に従って電力制御を実行するために必要な機能の多くを含むことができる。
【0081】
電力送信機コントローラ203は、特に、ドライバ201による駆動信号の生成を制御するように構成されており、駆動信号の電力レベル、従って、生成される電力伝送信号/電磁界のレベルを具体的に制御することができる。電力送信機コントローラ203は、電力制御フェイズ中に電力受信機105から受信した電力制御メッセージに応じて電力伝送信号の電力レベルを制御する電力ループコントローラを備える。
【0082】
電力受信機105では、受信機コイル107は、受信機コイル107を負荷303に結合する電力受信機コントローラ301に結合される。電力受信機コントローラ301は、受信機コイル107によって抽出された電力を負荷303に適した供給に変換する電力制御経路を含む。さらに、電力受信機コントローラ301は、電力伝送を実行するために必要とされる様々な電力受信機コントローラ機能、特に、Qi規格に従って電力伝送を実行するために必要とされる機能を含むことができる。
【0083】
電力受信機105および電力送信機101は、電力制御メッセージなどのデータを通信するための機能を備える。通信は、例えば、電力伝送信号の周波数または位相変調によってデータを通信する電力送信機101と、当業者に知られているように、電力伝送信号の負荷変調によってデータを通信する電力受信機105とによって、通信キャリアとして電力伝送信号を使用して達成されることができる。
【0084】
代替的に又は追加的に、通信は、典型的には、別個のアンテナを含む別個の通信システムを使用して実施される別個の通信チャネルを介して実行されてもよい。別個の専用通信システムの使用は、通信および電力伝送の機能および動作がそれらの特定の目的のために個別に最適化され得ることを意味する。例えば、それぞれの機能のために使用される信号は、個々に最適化されることができる。一例として、効率的な電力伝送は、例えば、20kHzから500kHzの範囲の比較的低い周波数を有する信号に対してしばしば達成され得るが、一方、効率的な短距離通信は例えば、10MHzを超えるか、または実際にはるかに高い周波数に対してしばしば達成され得る。
【0085】
特定の例として、通信は、NFCまたはRFID通信システムなどの短距離通信システムを使用して実装され得る。このような通信アプローチは13.56MHzの周波数を使用し、この周波数を有し、特定のNFCまたはRFID規格に従うキャリアを使用して通信するために、別個の通信コイルまたはアンテナが含まれて、配置されることができる。
【0086】
図1のシステムは、異物検出のための機能を更に含み、以下の説明は、電力送信機によって実行される異物検出に焦点を当てるが、いくつかの実施形態では、異物検出は、代替的に又は追加的に、電力受信機によって実行されてもよい。
【0087】
無線電力伝送システムでは、オブジェクト(典型的には電力伝送信号から電力を抽出し、電力送信機101または電力受信機105の一部ではない、すなわち、電力伝送に対する意図しない、望ましくない、および/または干渉要素である導電性要素)の存在は電力伝送中に非常に不利であり得る。このような望ましくないオブジェクトは、この分野において異物として知られる。
【0088】
異物は、動作に電力損失を付加することによって効率を低下させるだけでなく、電力伝送動作自体を劣化させることもある(例えば、電力伝送効率を妨害することによって、または、例えば、電力伝送ループによって直接制御されない電力を抽出することによって)。さらに、異物に電流(特に異物の金属部分に渦電流)が誘導されると、非常に望ましくない異物の加熱が生じることが多い。
【0089】
このようなシナリオに対処するために、しばしば電力伝送システムは、異物検出のための機能を含む。具体的には、電力送信機が、異物
が存在するかどうかを検出しようとする機能を含んでもよい。異物が存在する場合、電力送信機は、例えば、電力伝送を終了させたり、伝送可能な最大電力量を減少させたりする。
【0090】
典型的なアプローチは、(送信された電力と報告された受信された電力を比較することによって)電力損失を検出すること、または電力伝送信号を生成する出力共振回路の品質Qの劣化を検出することに基づいている。また、システムによっては、異物検出アンテナを用いて異物検出専用の電磁信号を生成してもよく、異物検出は、存在する可能性のある異物に起因する異物検出電磁信号に対する何らかの影響を検出することに基づく。
【0091】
図2の例では、電力送信機101は、異物検出を行うように構成された異物検出器205を有する。異物検出器205は、異物検出アンテナ207に結合されており、これに対する駆動信号を生成するように構成されている。この駆動信号により、異物検出アンテナ207は異物検出電磁試験信号を生成し、すなわち異物検出アンテナ207により電磁界が生成される。また、異物検出器205は、駆動信号のパラメータを決定/測定し、そのパラメータに応じて異物検出試験を行うように構成されている。具体的にはパラメータが所与の基準を満たす場合、異物検出器205は異物の潜在的な存在が検出されたとみなす。
【0092】
決定されるパラメータ、および使用される特定の異物検出基準は、個々の実施形態の特定の選好および要件に依存する。特に、例えば電力伝送信号を用いた異物検出から既知の前述した異物検出アプローチが、駆動信号や異物検出電磁試験信号(以下、単に試験信号ともいう)に基づいて、異物検出器205によって使用されることができる。したがって、具体的には、駆動信号/試験信号から抽出される電力量が所与の閾値を超える場合、または例えば、異物検出アンテナ207を備える共振回路の減衰が閾値を超える場合に、異物検出が検出されたとみなすことができる。
【0093】
以下でさらに詳細に説明するように、記載されたシステムは、電力伝送フェイズの間に時分割アプローチを利用し、異物検出(および場合によっては通信)や電力伝送などの動作を異なるインターバルで実行することにより、これらの間の干渉(具体的には、電力伝送が異物検出/通信に及ぼす影響)を大幅に低減することを可能にする。
【0094】
具体的には、無線電力伝送システムに対して、電力伝送信号は、少なくとも1つの電力伝送インターバルPTと1つの異物検出インターバルDとを有する、図4に示すような繰り返し時間フレームを受ける。
【0095】
電力伝送信号の電力レベルは、電力伝送インターバルに対して異物検出インターバル中に低減され、典型的には、異物検出インターバルの間は最大許容電力が、電力伝送インターバルの間よりも、少なくとも5倍、10倍または50倍低い。電力レベルの減少は、電力送信機及び/又は電力受信機でのアクションから生じることができる。いくつかの実施形態では、電力送信機が異物検出インターバルの間、電力伝送信号をオフにするように構成されることができる。
【0096】
次に、電力送信機(および/または電力受信機)は、異物検出インターバル中に異物検出が実行されるように構成することができる。具体的には、異物検出インターバル中に電力伝送信号をoffにして、異物検出器205が、代わりに、駆動信号/試験信号を発生させて異物の有無を確認するようにしてもよい。このようにして、異物検出に対する電力伝送及び電力伝送信号の影響を低減でき、かつ、しばしば最小化できる。
【0097】
記載されたシステムではこのように、電力伝送および異物検出が異なるインターバルで実行される時分割アプローチが適用される。具体的には、電力送信機コントローラ203および電力受信機コントローラ301が電力伝送インターバル中に電力伝送を実行し、異物検出インターバル中に異物検出を実行するように、電力送信機および電力受信機をそれぞれ制御するように構成され、電力伝送インターバルおよび異物検出インターバルは通常別個であり、具体的には重なり合わない。このアプローチの一例を図4に示す。繰り返し時間フレームは、電力伝送が行われる(かつ、異物検出が行われない)電力伝送インターバルPTと、異物検出が行われる(かつ、電力伝送が行われない)異物検出インターバルDとからなる。このように、この例では、時間フレームを、電力伝送信号が生成されるが通常は異物検出試験信号が生成されない電力伝送インターバル/タイムスロットと、電力伝送信号が発生せず、(異物検出試験信号が生成される)異物検出する異物検出インターバル/タイムスロットとに分ける。例では、送信機電力伝送コイル103及び受信機電力伝送コイル107が電力伝送インターバル中にアクティブであり、異物検出器205及び異物検出アンテナ207は異物検出インターバル中にアクティブである。
【0098】
いくつかの実施形態では、インターバルが動的に変化する持続時間を有してもよく、時間フレームが動的に変化する持続時間を有する可能性があることが理解されるであろう。また、時間フレームは、他の動作または組み合わせが実行される他のインターバルを含むことができることも理解されよう(例えば、時間フレームは例えば、通信が実行されるタイムスロットを含むことができる)。
【0099】
時間領域における電力伝送と異物検出との分離は、一方の動作の他方への影響の特に効果的な分離を提供することができ、具体的には、異物検出における電力伝送信号によって引き起こされる干渉を低減または完全に排除することができる。しかしながら、この場合であっても、別個の異物検出および電力伝送機能は、互いに影響を及ぼす可能性がある。特に、これらの機能をサポートするために必要とされる機能性は影響を有し得る。具体的には、電力伝送コイルと異物検出アンテナの両方の存在が影響を及ぼす可能性がある。事実、異物検出アンテナの存在は、電力伝送コイル間の位置及び結果としての距離に影響を及ぼす可能性がある。同様に、しばしば大きな電力伝送コイルの存在は、異物検出電磁試験信号に重大な影響を及ぼす可能性がある。したがって、それぞれの機能の特定の構成および設計は、対処すべき重要な課題である。
【0100】
この問題は、電力伝送コイルと異物検出アンテナの両方が、両方とも電力送信機の外側の環境において電磁界を発生させるために必要であるという点で、同じ要求を持つ傾向があるという事実によって、悪化する。
【0101】
いくつかの実施形態において、異物検出アンテナは、例えば、電力伝送コイルと同軸である異物検出試験コイルであってもよい。コイルは、それらが分布される共通の中心軸を有することができる。
【0102】
図5は、電力伝送のために装置が(最適な)構成に配置された、電力送信機および電力受信機の両方のための構成の断面図を示す。この例では、電力受信機105が電力送信機101の上に配置されている。
【0103】
電力送信機101は、電力伝送信号を生成する送信機電力伝送コイル103を備える。図5の例では、送信機電力伝送コイル103は、巻線を含む領域の断面を反映し、中心領域が巻線を含まないことを反映する、2つの領域によって示されている。
【0104】
異物検出アンテナ207は、送信機電力伝送コイル103の上に電力受信機105に向かって配置されている。図5は、異物検出アンテナ207が送信機電力伝送コイル103よりも実質的に小さいコイルである典型的な例を示している。また、図5の例では、異物検出アンテナ207の巻線は中心領域も埋めている。
【0105】
送信機電力伝送コイル103および異物検出アンテナ207は、中心軸501の周囲に同軸で対称に分布されている。それらはまた、中心軸501の周りの回転に対しても実質的に不変である。
【0106】
同様に、電力受信機105は、電力伝送信号を受信するための受信機電力伝送コイル107を備える。図5の例では、受信機電力伝送コイル107は、巻線を含む領域の断面を反映し、中心領域が巻線を含まないことを反映する、2つの領域によって示されている。
【0107】
受信機電力伝送コイル107は、特定の例では、電力送信機101のための中心軸と同じ周囲に同軸で対称に分布されている(電力送信機101上の電力受信機105の最適な位置決めを反映している)。また、中心軸501の周りの回転に対しても実質的に不変である。
【0108】
図5は中心軸501が電力送信機のためのコイル配置および電力受信機のためのコイル配置の両方に共通であるように、電力受信機が電力送信機に対して最適に配置される例を示しているが、通常、電力受信機はいくらかの位置ずれを伴って配置され、中心軸501は電力受信機を電力送信機に完全に整列させないことが理解されるであろう。しかしながら、これは、結合をある程度減少させる可能性があるのに対して、アプローチ及び動作は依然として適用可能であり、位置ずれがあまり大きくない限り、記載された利点及び利益を提供することは理解されるであろう。許容できる正確な位置ずれは、個々の実施形態の特定の選好及び要求事項(例えば、コイルの寸法)に依存するであろう。
【0109】
図5の構成は、具体的には、送信機から受信機へ電力を伝送するために使用される2つの大きな電力伝送コイル103, 107を備えたコードレスキッチン器具に対するものであってもよい。異物検出アンテナ207は、電力伝送コイル103, 107の間に配置されている。
【0110】
この構成は、異物検出アンテナ207が電力受信機と電力送信機との間の領域に近接して配置されるので、良好な異物検出と同様に、電力伝送コイル103, 107間の非常に良好な結合を提供することができる。
【0111】
しかしながら、このような構成の問題は、異物検出と電力伝送との間の時分割を使用する場合であっても、コイルの存在が互いに影響を及ぼす可能性があることである。具体的には、大型の金属製の電力伝送コイルが異物検出の性能、特に、生成された異物検出電磁検出信号に重大な影響を及ぼす可能性がある。
【0112】
具体的には、電力伝送コイルの存在が電力コイル内で伝送される電力の一部を喪失させることにより、異物検出に影響を及ぼす可能性がある。電力伝送コイルは異物検出試験信号と結合し、電力の一部を吸収する。これは、異物のように作用し、したがって、大きな電力伝送コイル103, 107の存在を異物の存在から分離することが困難であり得る。電力伝送コイル(及びその付属回路)はまた、異物検出システムにおいて不要な共振を付加する可能性がある。
【0113】
典型的には、異物検出は、比較的無差別であり、本質的には生成された試験信号に十分に影響を及ぼし得る導電性要素が存在するかどうかを単純に検出する。しかしながら、これは、多くのシナリオにおいて問題となり得る。例えば、電力受信機及び実際には電力送信機自体は、典型的には、しばしばフレンドリ金属と呼ばれる導電性部分の種々の要素を含む。このようなフレンドリ金属は、異物として検出されたり、異物検出の精度を低下させたりするおそれがある。
【0114】
例えば、図6は、異物検出が送信機コイル103によって生成された電磁界からの電力損失の検出に基づく構成を示す。これは、異物603が検出されることを可能にする(所与のサイズの金属物体に対する)有効検出領域601をもたらすことができる。しかしながら、送信機コイル103と受信機コイル107の両方の金属は、また、生成された試験信号の負荷に影響を与え、その結果、異物検出によって補償されなければならない。これは、電力送信機の異物検出が特定の電力受信機の特定の性質の知識なしに設計されるので、特に電力受信機の場合にとって、困難であり得る。
【0115】
電力送信機及び電力受信機の更なる他の導電性部分が検出に影響を与える可能性がある。例えば、電力受信機と電力送信機のそれぞれのフレンドリ金属605, 607と、異物603との間の差異を検出することは困難であり得る。
【0116】
図7は、図6の例の磁場の磁力線の例を示す(構成の右側のみを示す)。送信機コイル103、受信機コイル107およびフレンドリ金属703の存在下での小さな異物701の異物検出は、非常に困難であり得る。
【0117】
図1乃至5のシステムでは、異物検出は、1つまたは複数の磁
気シールド素子を含めることによって改善されることができる。
【0118】
図5の設定では、第1磁気シールド素子503が電力コイル103と異物検出アンテナ207との間に配置されている。同様に、第2磁気シールド素子505が受信機コイル107と電力送信機101との間に配置される。したがって、両方の磁気シールド素子は、それぞれの電力コイルと相補電力装置との間、およびそれらのそれぞれの電力コイルと異物検出アンテナ207(使用時)との間に配置される。
【0119】
磁気シールド素子は、特に、構成の高さを著しく増加させない(例えば、電力伝送コイル間の距離を実質的に増加させない)薄いシールドシートであってもよい。
【0120】
図5の構成では、異物検出アンテナ207は、電力伝送動作の間、受信機コイル107と送信機コイル103の両方に最も近いコイルとなるように配置される。送信機コイル103及び異物検出アンテナ207は、異物検出アンテナ207が送信機コイル103よりも電力伝送が行われる表面に近くなるように配置されている。いずれの装置についても、磁気シールド素子は、電力伝送コイルよりも電力伝送表面に近い(ただし、装置内に異物検出アンテナ207が存在する場合には異物検出アンテナ207よりも電力伝送表面から遠い)ように配置される。この配置は、典型的には、異物検出アンテナ207および磁気シールド素子503, 505が、装置自身(電力送信機101または電力受信機105)の電力伝送コイルと電力伝送動作中の他方の装置(相補装置)の電力伝送コイルとの間に配置されるようになっている。異物検出アンテナ207は、特に、送信機コイル103と電力受信機105へと結合する表面との間に配置される。
【0121】
磁気シールド素子は、インターバルの間に飽和モードで、異物検出インターバルの間に非飽和モードで動作させる飽和点を有するように構成された磁気シールド材料を有する。従って、磁気シールド材料は、電力伝送動作中のより高い磁場強度に対して飽和に達するのに対して、異物検出中はるかに低い磁場強度に対しては磁気シールド材料がその非飽和モードに留まるように選択される。
【0122】
異なる実施形態では異なる材料を使用することができるが、多くの実施形態では。磁気シールド材料はフェライトであってもよく、磁気シールド素子は薄いフェライトシートであってもよいことが理解されよう。したがって、多くの実施形態では、薄いフェライトシートが異物検出アンテナ207と電力コイルとの間に配置される(多くのシナリオでは電力受信機のみ又は電力送信機のみがこのような磁気シールド素子を利用することができるが、場合によっては送信機側及び受信機側の両方に配置される)。
【0123】
異物検出アンテナ207と電力伝送コイル103, 107との間に薄いフェライトシートが挿入されると、異物検出アンテナ207および試験信号は、電力伝送コイル103, 107によって、または実際には磁気シールド素子の反対側の金属要素によって、ほとんど影響を受けない。フェライト材料は、異物検出中に経験されるような低い磁場強度に対しては高い透磁率μを有し、従って、(例えば銅製の)電力送信機コイル及びフレンドリ金属から離れるように試験信号の磁束を誘導することができる。フェライトシートは、異物検出時に、電力伝送コイルと異物検出アンテナ207との間に人工的な電磁的距離の増加を効果的に作り出すことができる。これは、電力コイルの導電性巻線からの異物検出アンテナ207の磁気的絶縁と考えることができる。
【0124】
事実上、図8に示すように、磁気シールド素子は、異物検出電磁試験信号を磁気シールド素子間の領域801に制限することができる。これにより、より焦点が合って制限された異物検出検査を行うことができる。磁気シールド素子505, 503は、特に、電力コイル103, 107及び電力受信機又は電力送信機の一部であるフレンドリ金属からの影響を低減する。その結果、試験信号の変動、したがって駆動信号の検出パラメータは主に異物が存在するか否かによって決定され、したがって、異物検出、特に、より小さい金属要素の異物検出を改善することができる。
【0125】
これは、異物検出アンテナ207によって生成される電磁試験信号が2つの磁気シールド素子の間の領域内にどのように集中され、それによって小さな異物のより大きな相対的影響をもたらすかを示す図9によって示され得る(構成の右側のみが示される)。
【0126】
しかしながら、電力伝送インターバルの間は磁場ははるかに強く、フェライトは飽和する。これにより、磁気シールド素子の効果を事実上無視することができ、空気/真空と事実上同じ効果を得ることができる。つまり、磁気シールド素子の効果がなくなり、あたかも磁気シールド素子がないかのように電力伝送が進行する。
【0127】
したがって、このアプローチにおいて、磁気シールド素子はスイッチのように有効に振る舞い、電力伝送インターバルと異物検出インターバルとの間で非常に異なる効果及び機能を提供することができる。これは、電力伝送に有害な影響を与えることなく、異物検出インターバルの間、異物検出アンテナと電力伝送コイルとの間のアイソレーションを増加させるという所望の利点を提供することができる。
【0128】
異物検出インターバル中の機能は図10にも示されている。このようなインターバルの間に、異物検出アンテナ207は、異物検出用の試験信号を生成する。この動作中、フェライトシートは、異物検出アンテナ207(および/または307)と電力伝送コイルとの間のシールドとして作用する。フェライトシートは、異物検出アンテナ207を電力伝送コイルから遮蔽することになり、電力伝送コイルの存在および近接が異物検出アンテナに及ぼす悪影響が激しく低減される。同様に、フレンドリ金属に対する感受性が低下する。
【0129】
図10に示されるように、磁力線はフェライトシート503, 505内に集中することができ、その結果、電力伝送コイル103, 107の影響を大幅に低減することができる。磁束線はシートを介してガイドされ、電力伝送コイルの銅の面は、異物検出アンテナ207から効果的に遮蔽される。また、磁束線がフェライトシートに集中し、電力伝送コイルの巻線から離れるように保たれており、電力受信機および電力送信機の両方に対して効果が達成されることが分かる。図10の例では、フェライト素子1001が送信機電力伝送コイル103の内側巻線の隣に配置され、したがって、磁束線もこの素子を通ってガイドされることに留意されたい(送信機電力伝送コイル103は図10には示されていない外側巻線を含んでもよいことも理解されるであろう)。
【0130】
したがって、この具体例では、異物検出時には第1磁気シールド素子503が異物検出アンテナ207と送信機コイル103との間のシールドとして動作し、これにより、異物検出アンテナ207により生成される試験信号に対する電力コイル(及び他のフレンドリ金属)のマイナスの影響が大幅に低減される。このシートは、好ましくは、試験信号の周波数で正の特性を有するように選択される(これは異物検出の特定の選好及び要求に応じて、典型的には1MHz未満である)。
【0131】
電力伝送の間、送信機コイル103から誘導される磁場は、試験信号の磁場強度よりもはるかに大きく、シールドは直ちに飽和する。シールドが飽和すると、それは空気のように振る舞い、電力コイル103, 107間の結合および電力伝送に最小限の影響しか及ぼさない。
【0132】
これにより、第1磁気シールド素子503は、異物検出インターバルにおける動作と電力伝送インターバルとにおける動作との間でスイッチのように効果的に振る舞う。これは、許容できない劣化を電力伝送に導入することなく、異物検出のための所望の利点を提供することができる。
【0133】
同様に、第2磁気シールド素子505は、電力受信機105のフレンドリ金属に対する、特に受信機コイル107自体に対するシールドを提供することができる。
【0134】
第1磁気シールド素子503及び/又は第2磁気シールド素子505を形成するために使用される薄いフェライトシートは、異物検出に対するフレンドリ金属の影響を低減する。高いμのフェライト材料は、これがフレンドリ金属を取り巻く磁束をガイドすることを可能にする。これは、異物検出アンテナ207とフレンドリ金属との間に人工的な距離増加を生じさせるので、磁気絶縁として見ることができる。異物検出は、典型的には、比較的低い周波数(100kHz未満)を使用して行われ、フェライトは、意図された動作に特に有利な低い損失および高い透磁率を提供し得る。
【0135】
シールドの欠点は、電力コイル間の結合を減少させるが、これはシートを非常に薄く保ち、電力伝送に使用される電力レベルにおいて有効に飽和する材料を使用することによって、実質的に軽減され得ることである
【0136】
磁気シールド素子および材料の特定の特性は、個々の実施形態の選好および要件に依存し得る。
【0137】
多くの実施形態では、薄い磁気シールド素子を使用することができ、典型的には1mmを超えない厚さ(またはいくつかの要件では0.5mm、2mm、さらには5mmを超えない厚さ)を有することができる。これは、多くの実施形態において、電力伝送コイル間の結果として生じる距離と磁気シールドとの間の有利なトレードオフを提供し得る。これは、典型的には、電力伝送中の性能に著しい影響を与えることなく、異物検出中に効果的なスクリーニングを提供することができる。
【0138】
従って、磁気シールド素子は電力伝送コイル間の結合を減少させる可能性があるが、磁気シールド素子を形成するために非常に薄いシートを使用することにより、これを低いレベルに保つことができる。これにより、異物検出の利点/検出中の利点を維持しながら、電力伝送に及ぼすシートの影響を無視できるようになる。シートが薄い場合には、さらに、電力伝送中に飽和モードで動作し、異物検出中に非飽和モードで動作する磁気シールド素子を実装することがより実用的であり得る。シートの厚さは、特に、異物検出が任意の状況(例えば、最大試験信号電力)下で磁気シールド素子がアンテナによって飽和されないように、設計されることができる。同時に、厚さは、電力伝送中に飽和されることを可能にするのに十分に薄くなるように設計されることができる。
【0139】
特定の材料はまた、合理的に達成され得る最適な性能に近いように選択され、設計され得る。例えば、材料は、所与の異物検出周波数に対して、高い透磁率および低い損失を有するように選択されることができる。
【0140】
例えば、図11は、フェライト材料について透磁率μ'が高く損失μ"が低い、より低い周波数での使用に適した、フェライト材料についての透磁率μ'および損失μ"の例を示す。
【0141】
フェライト材料が飽和する特定の磁場強度は、異なる実施形態において異なってもよい。磁気シールド素子は例えば、0.5W、1W、5W又は10W未満の電力伝送レベルに対して非飽和モードで動作するように構成されてもよい。
【0142】
同様に、磁気シールド素子は、例えば0.5W、1W、5Wまたは10Wを超える電力伝送レベルに対して飽和モードで動作するように構成されてもよい。飽和点に対応する電力レベルは、通常、通常の電力伝送中に許容される、または予想される最小電力伝送レベルを下回ることになる。
【0143】
異物検出インターバル中の磁気シールド素子内の磁場強度は、通常、試験信号によって主に与えられる。実際、ほとんどの実施形態では、電力伝送信号は、異物検出インターバルの間、すなわち、電力伝送信号が生成されないときに、完全にオフにされてもよく、異物検出インターバルの間は電力伝送が発生しない。したがって、このようなシナリオでは、磁場強度は、専ら、生成された電磁試験信号によって与えられる。
【0144】
異物検出器207は、試験信号を生じさせる駆動信号を生成するとともに、磁気シールドにおける異物検出電磁試験信号の電磁界強度が飽和点以下となるように駆動信号を生成するように構成されている。
【0145】
多くの実施形態では、これは結果として生じる磁場強度が飽和点を下回ることを確実にする振幅を有する駆動信号を生成することによって単純に行うことができる。いくつかの実施形
態では、これは、異物検出インターバルの間に生成され得る最大電力伝送信号レベルの考慮を含んでもよい。
【0146】
典型的には、デザインは重要ではなく、即ち、多くのシナリオ及び実施形態において、電力受信機の合理的に期待される特性及び位置決めに対して、異物を検出するには十分に高いが、飽和が生じないことを確実にするのに十分に低い電界強度を発生させるように、振幅を決定することが可能である。
【0147】
実施形態では、駆動信号の振幅を制御するために動的及び適応的アプローチを使用することができる。例えば、小型の検出器コイルを電力コイルの側面に配置して、異物検出インターバルの間の磁場強度を測定してもよい。次いで、駆動信号の振幅は、小型の検出器コイルが電磁界の存在を検出する値のすぐ下の値に設定されてもよい。
【0148】
一般に、電力送信機は、生成される磁場強度が電力伝送インターバル中の飽和および異物検出インターバル中の非飽和を保証するように、送信機コイル103および異物検出アンテナ207の駆動を制御することができる。
【0149】
多くの実施形態では、飽和点は、異物検出インターバルの間に異物検出アンテナによって生成されるよりも高く、電力伝送インターバルの間に電力伝送コイルによって生成されるよりも低い磁界強度に対応する。
【0150】
一般的に、異物検出インターバル中および電力伝送インターバル中に生成される電力レベル/磁場強度間の差は大きい。例えば、異物検出のための典型的な電力レベルは数百mWの範囲であるが、電力伝送中の電力レベルは10W以上の範囲であり、実際には例えばキッチン用品の場合には大幅に高いものである場合がある。従って、典型的には、ある程度の余裕を持って、電力伝送インターバル及び異物検出インターバルでそれぞれ飽和モードと非飽和モードとの間を切り替える磁気シールド素子を提供することが可能である。
【0151】
多くの実施形態において、磁気シールド素子のための飽和点は、100mT乃至1Tの範囲の磁界強度に対するものであってもよい。この範囲の飽和点は、典型的には、異物検出インターバルにおける非飽和モードと電力伝送インターバルにおける飽和モードとの間の非常に効率的で信頼性の高い切り替えを提供する。この範囲は、一般に、典型的な異物検出および電力伝送機能および動作のための実用的/典型的な電力レベルに対するこのような効率的な切り替えを提供する。多くの実施形態において、磁気シールド素子は、200mT乃至400mTの範囲の磁場強度に対してある飽和点に対して、特に有利な性能を達成することができる。
【0152】
記載された装置の利点は、大型のコイルに対して効率的な動作および結合を達成することを可能にし、実際に、大型の異物検出コイルおよび大型の電力伝送コイルの両方を可能にすることである。
【0153】
多くの実施形態では、異物検出アンテナ207を実装する異物検出コイルの面積は、20cm2以上(または場合によっては用途によっては10cm2、30cm2、50cm2、100cm2以上)である。多くの実施形態では、電力伝送コイルの面積は、50cm2以上(またはいくつかの用途ではおそらく30cm2、100cm2、200cm2、500cm2以上)である。面積は、平面コイル/アンテナの平面内で測定されることができる。面積は、コイル/アンテナの最大断面の面積であってもよい。
【0154】
このような大型のコイルの使用は、多くのシナリオおよび実施形態において多数の利点を提供する。例えば、それは、広い面積で高い磁場強度を提供し、したがって、電力受信機の配置における自由度を増大させる。また、より広い領域での異物検出を容易にすることができる。
【0155】
また、大きな電力伝送コイルは、典型的には、より高い電力レベルのための効率的な設計(より多くの巻線、より太いワイヤ)を可能にし、従って、例えばキッチンアプリケーションにおいて経験される電力レベルのような、より高い電力レベルに特に適している。
【0156】
前述の説明は、電力送信機101によって異物検出が行われる実施形態に焦点を当てている。しかしながら、他の実施形態では、電力受信機105が、追加的にまたは代替的に、異物検出を実行するための機能を備えてもよい。
【0157】
例えば、電力受信機105は、いくつかの実施形態では、図12に示すように、異物検出アンテナ1203及び異物検出器1201も含むことができる。そのような実施形態では、電力伝送インターバル中の異物検出アンテナ207および異物検出器205の動作のコメントおよび説明は、必要な変更を加えて、電力受信機105の異物検出アンテナ1203および異物検出器1201に等しく適用されることができる。
【0158】
このような実施形態では、第2磁気シールド素子505が、図13に示すように、異物検出アンテナ1203と受信機コイル107との間に配置されてもよい。
【0159】
従って、電力送信機の異物検出の説明は、電力受信機における対応する/対称的な実装及び構成に等しく適用されることができることが理解されるであろう。
【0160】
さらに、先の例では、電力送信機及び電力受信機の両方が磁気シールド素子を含んでいたが、いくつかの実施形態では、電力送信機のみ又は電力受信機のみが磁気シールド素子を含んでいてもよいことが理解されよう。したがって、いくつかの実施形態では、記載された構成、具体的には磁気シールド素子の包含は、電力送信機または電力受信機のいずれかにのみ提供されてもよい。したがって、電力送信機におけるコイル/アンテナ構成の前述の説明は、電力受信機における任意の特定のコイル/アンテナ構成に依存せず、同様に、電力受信機におけるコイル/アンテナ構成の前述の説明は、電力送信機における任意の特定のコイル/アンテナ構成に依存しないことが理解されるべきである。磁気シールド素子を使用する記載されたアプローチは、電力送信機および電力受信機の両方の実装に、実際に個々に適用可能である。
【0161】
いくつかの実施形態では、異物検出電磁試験信号の生成と、異物検出電磁試験信号の測定に基づく異物検出を行うために、別々のアンテナを用いてもよい。先の例では、異物検出電磁試験信号は異物検出アンテナ207によって生成されており、異物検出電磁試験信号を生成するために使用される駆動信号への影響を測定することによって、すなわち異物検出アンテナ207による測定に基づいて、潜在的な異物による試験信号への影響が検出されている。
【0162】
しかしながら、いくつかの実施形態では、異物検出電磁試験信号への影響の測定は、異なる別個の異物検出アンテナであってもよく、即ち、一方のアンテナが異物検出電磁試験信号を生成する異物試験アンテナであり、そして他方の異物検出アンテナが異物検出電磁試験信号を測定するものであってもよい。基本的には、異物検出電磁試験信号への影響の測定は、異物検出アンテナに誘導される信号の測定によって判断されればよい。
【0163】
また、異物試験アンテナと異物検出アンテナは異なる装置内であってもよく、すなわち、一方が電力受信機内にあり、他方が電力送信機内にあってもよい。図14は、電力送信機が第1異物アンテナ1401を含み、電力受信機が第2異物アンテナ1403を含む構成の一例を示す。この例では、2つの異物アンテナの一方を異物検出電磁試験信号を発生する異物試験アンテナとして用いてもよく、他方のアンテナを異物検出電磁試験信号を測定する異物検出アンテナとして用いてもよい。また、第1異物アンテナ1401が異物検出アンテナ207に対応し、第2異物アンテナ1403が異物検出アンテナ1203に対応し、これらの一方が電磁試験信号を生成し、他方がそれを測定するようにしてもよい。
【0164】
例えば、異物検出アンテナ207を備えたセットアップの場合、第2異物検出アンテナ1403はNFCアンテナであってもよく、システムはTx NFCアンテナが送信する電力と、Rx NFCアンテナが受信する電力とを測定することができる。次に、その値が変化するかどうか、または損失が多すぎるかどうかをチェックすることができる。受信された電力と送信された電力との差が閾値を超える場合、異物が検出されたとみなされる。
【0165】
異なる実施形態では、他のタイプのアンテナおよび異なる周波数を使用することができる。
【0166】
実際、いくつかの実施形態では、送信機コイル103および/または受信機コイル107は、試験信号の生成および異物の検出の一方または両方に使用されてもよい。
【0167】
例えば、電力送信機101は、異物検出インターバル中に異物検出試験信号を生成するように構成されていてもよい。この信号は、電力伝送インターバルの間よりもはるかに低い値を有し、第2磁気シールド素子505における磁場強度の低下は結果として、これを非飽和モードにすることができる。このようにして、電力受信機、具体的には受信機コイル107の構成は、生成された電磁試験信号から効果的に遮蔽されることになる。
【0168】
しかし、磁場強度は、第1磁気シールドエレメント503において、これが送信機コイル103により近いので、大幅に高くなり得、具体的には、磁場強度は第1磁気シールドエレメント503が飽和モードになるように高くなり得る。従って、送信機コイル103は、特に電力送信機と電力受信機との間のような付近の異物によって影響を受ける電磁試験信号を生成する。従って、異物検出は、例えば、試験信号を生成する駆動信号の特性に応じて、電力送信機において実行されてもよい。複雑性の低い例として、異物検出インターバルの間に送信機コイル103に供給される駆動信号の電力が所与の閾値を超える場合、異物検出が発生すると考えられ得る。
【0169】
同様の考慮事項が電力受信機に適用されてもよく、例えば、電力受信機は、異物検出インターバルの間に、受信機コイル107を使用して試験信号を生成し、対応する駆動信号の特性(例えば、抽出された電力レベル)に応じて異物が存在するかどうかを検出してもよいことが理解されよう。ここでも、試験信号を生成する装置の磁気シールド素子が飽和する一方で、相補装置の磁気シールド素子が飽和しないように、信号レベル及び飽和点が選択されることができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、電力送信機及び電力受信機の両方が記載されるように異物検出を行うように構成されることができ、実際に、これらの動作は並行して同時に実行されてもよい。
【0171】
多くの実施形態では、第1磁気シールド素子503および第2磁気シールド素子505のうちの1つのみが存在してもよく、すなわち、電力送信機および電力受信機のうちの1つのみが磁気シールド素子を含んでもよい。
【0172】
例えば、上述のように送信機コイル103を用いて電力送信機によって異物検出が行われる実施形態の場合、電力送信機は、いかなる磁気シールド素子も含んでいなくてもよく、電力受信器のみが磁気シールド素子を含んでもよい。
【0173】
これは、多くの実施形態において、依然として非常に大幅な改善を提供することができる。特に、装置の異物検出は、しばしば、装置自身の特定の特性を補償するように適合され得る。しかしながら、例えば、装置が、広範囲の異なる装置と共に使用される場合、例えば、電力送信機が、広範囲の異なる電力受信機と共に使用される場合、現在存在する装置の特定の特性は、典型的には十分な精度では知られておらず、従って、十分に補償することはできない。従って、このような装置内に磁気シールド素子が存在することによって、特定の特性がシールドされ、はるかに改良された異物検出が得られる。
【0174】
具体例として、例えば図5の電力受信機105によって例示されるような磁気シールド要素を電力受信機に設けることは、任意の対応する磁気シールド要素を含まない従来の電力送信機、または例えば送信機コイル103を使用する従来の異物検出を単に使用する従来の電力送信機よりも、はるかに改善された異物検出をサポートし、可能にし、かつ提供することができる。
【0175】
このように、特に、それ自体が異物検出を行わない電力伝送装置に1つの磁気シールド素子を設けるだけでも、異物検出を大幅に改善する
ことができる。磁気シールド素子は、より精度の高い異物検出に適した改善された電磁環境を提供することができ、具体的には、異物の電磁的影響がより大きく検出しやすい電磁環境を提供することができる。
【0176】
明確にするための上記の説明は、異なる機能回路、ユニットおよびプロセッサを参照して本発明の実施形態を説明したことが理解されるであろう。しかしながら、本発明から逸脱することなく、異なる機能回路、ユニットまたはプロセッサ間での機能の任意の適切な分散を使用できることは明らかであろう。例えば、別個のプロセッサまたはコントローラによって実行されることが示されている機能が同じプロセッサまたはコントローラによって実行されてもよい。したがって、特定の機能ユニットまたは回路への言及は、厳密な論理的または物理的構造または編成を示すのではなく、説明された機能を提供するための適切な手段への言及としてのみ見なされるべきである。
【0177】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの任意の組合せを含む任意の適切な形態で実施することができる。本発明は、オプションで、1つまたは複数のデータプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装され得る。本発明の実施形態の要素およびコンポーネントは、任意の適切な方法で物理的、機能的および論理的に実装され得る。実際、機能は、単一のユニットで、複数のユニットで、または他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。したがって、本発明は、単一のユニットで実施されてもよく、または異なるユニット、回路およびプロセッサの間で物理的および機能的に分散されてもよい。
【0178】
本発明はいくつかの実施形態に関連して説明されてきたが、本明細書に記載された特定の形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、或る特徴が特定の実施形態に関連して説明されるように見えるかもしれないが、当業者は説明された実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わされ得ることを認識するであろう。請求項において、「有する(comprising)」という用語は、他の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0179】
好ましい値への言及はそれが異物検出初期化モードにおいて決定された値であることを超えるいかなる限定も意味しないこと、すなわち、それは、適応プロセスにおいて決定されることが好ましいことが理解されるであろう。好ましい値への参照は、例えば第1の値への参照に置き換えることができる。
【0180】
さらに、個別に列挙されているが、複数の手段、素子、回路または方法ステップが、例えば単一の回路、ユニットまたはプロセッサによって実装され得る。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれている場合があるが、これらは場合によっては有利に組み合わされてもよく、異なる請求項に含まれることは特徴の組み合わせが実現可能ではない及び/又は有利ではないことを意味しない。また、或る特徴を請求項の1つのカテゴリに含めることは、このカテゴリへの限定を意味するものではなく、むしろ、その特徴が必要に応じて他の請求項カテゴリに等しく適用可能であることを示す。さらに、請求項における特徴の順序は、当該特徴が動作しなければならない特定の順序を意味するものではなく、特に、方法の請求項における個々のステップの順序は、当該ステップがこの順序で実行されなければならないことを意味するものではない。むしろ、ステップは任意の適切な順序で実行されることができる。さらに、単数への言及は複数を除外しない。従って、「a」、「an」、「第1」、「第2」等の参照も、複数を排除するものではない。請求項中の参照符号は、単に明確な例として提供されているにすぎず、請求項の範囲を何らかの態様で限定するものと解釈してはならない。
図1
図2
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