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特許7507785リステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法及びヤクチ精油
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】リステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法及びヤクチ精油
(51)【国際特許分類】
   A01N 65/48 20090101AFI20240621BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 36/9062 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240621BHJP
   C11B 9/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A01N65/48
A01P3/00
A61K36/9062
A61P31/04
C11B9/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021560525
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2021106837
(87)【国際公開番号】W WO2023272797
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】202110731159.0
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521440596
【氏名又は名称】中国▲熱▼▲帯▼▲農▼▲業▼科学院▲熱▼▲帯▼作物品▲種▼▲資▼源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】于 福来
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲シュアン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 丹
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 悦
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ 小▲麗▼
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-205658(JP,A)
【文献】特開2007-223944(JP,A)
【文献】West China Journal of Parmaceutical Sciences,2011年,Vol.26, No.2,pp.147-149
【文献】Asian Journal of Chemistry,2014年,Vol.26, No.21,pp.7177-7183
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B
A61K
A61P
A01N
A01P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して篩にかけて、粉末を得ることと、
粉砕して篩にかけることにより得られた粉末を、まず35±5℃で、相対湿度60~70%の条件下で5~7日間置くことと
粉末とpHが7.5~8.5である水とを固液質量比1:10~12で混合して2~3h静置して浸漬して、220~300℃で5~7h水蒸気蒸留することと、
を含むことを特徴とする、リステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法。
【請求項2】
前記篩が40~60メッシュの篩であることを特徴とする、請求項1に記載の抽出方法。
【請求項3】
前記粉末と混合する前記水のpHが8.5であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項4】
前記水蒸気蒸留の温度が220~230℃であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬の技術分野に属し、具体的にはリステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法及びヤクチ精油に関する。
【背景技術】
【0002】
ヤクチ(ラテン名:Alpinia oxyphylla Miq)は、別名がヤクチニン、ヤクチシであり、アルピニア種多年生草本植物である。ヤクチは、中国の4つの主な南部の薬物の1つであり、生薬として使用できるだけでなく、広範な薬理作用も持つ。雲ケイ瑩ら(ヤクチニン精油の酸化防止及び抗菌能力についての分析及び研究[J].弘光学報、2013、(第71期))は、超臨界CO抽出法でヤクチ精油を抽出し、その酸化防止及び抗菌能力を分析し、結果として、抽出されたヤクチ精油が大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対して顕著な阻害効果を有することを発見した。羅琴ら(水蒸気蒸留法によるヤクチニン揮発性油の抽出プロセスの最適化及びその体外静菌活性についての研究[J].華西薬学雑誌、2011、26(02):147-149)は、水蒸気蒸留法でヤクチニン揮発性油を抽出し、結果として、ヤクチニン揮発性油が大腸菌、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌に対していずれも明らかな阻害作用を有することを発見した。現在、ヤクチ精油がリステリア・モノサイトゲネスに対して阻害作用を有することに関する報告はない。
【0003】
リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)は、人獣共通感染症の病原体であり、自然界に広く存在しており、食品由来のリステリア・モノサイトゲネスは、人間の安全に危険をもたらし、該細菌は、4℃の環境でも成長し繁殖することができ、冷蔵食品が人間の健康を脅かす主な病原菌の1つである。該細菌は、物理化学的因子に対して高い耐性があり、土壌、糞便、サイレージなどの様々な環境でいずれも長期間生存することができ、アルカリ及び塩に対して高い耐性があり、凍結及び解凍するのが困難であり、高い浸透圧に耐えることができ、抑制したり殺したりするのが困難である。出願人は、研究によると、特定の方法で抽出したヤクチ精油がリステリア・モノサイトゲネスに対して明らかな阻害作用を示すことを発見した。
【0004】
精油を異なる抽出方法で抽出する場合にその化学成分なども大きく異なり、精油の用途に応じて適切な抽出方法を選択する必要がある(王瑶ら、2017、Bakkali et al、2008)。したがって、本発明がリステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法を開示することは、ヤクチ精油の普及及び応用に対して重要な意味を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ヤクチニン精油の酸化防止及び抗菌能力についての分析及び研究[J].弘光学報、2013、(第71期)
【文献】水蒸気蒸留法によるヤクチニン揮発性油の抽出プロセスの最適化及びその体外静菌活性についての研究[J].華西薬学雑誌、2011、26(02):147-149
【文献】王瑶ら、2017、Bakkali et al、2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点に鑑み、上記問題を解決するために、本発明の目的は、リステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法及びヤクチ精油を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決手段は、以下の内容を含む。
【0008】
リステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法は、
ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して篩にかけて、粉末を得ることと、粉末と水とを固液質量比1:10~12で混合して2~3h静置して浸漬して、220~300℃で5~7h水蒸気蒸留することとを含む。
【0009】
好ましくは、粉砕して篩にかけることにより得られた粉末を、まず35±5℃で、相対湿度60~70%の条件下で静置し、次に水を加えて浸漬して水蒸気蒸留する。
【0010】
好ましくは、前記静置時間が5~7dである。
【0011】
好ましくは、前記篩が40~60メッシュの篩である。
【0012】
好ましくは、粉末と水とを混合する場合、水のpHが塩基性である。
【0013】
好ましくは、粉末と水とを混合する場合、水のpHが7.5~8.5である。
【0014】
好ましくは、粉末と水とを混合する場合、水のpHが8.5である。
【0015】
好ましくは、水蒸気蒸留の温度が220~230℃である。
【0016】
他の態様では、本発明は、ヤクチ精油を提供し、該精油は、本発明に係る方法で製造されたものであり、リステリア・モノサイトゲネスに対して阻害活性を示す。
【0017】
本発明によって達成される有益な効果は以下のとおりである。
【0018】
本発明に係るリステリア・モノサイトゲネスを阻害するヤクチ精油の抽出方法は、水蒸気蒸留法で該精油の高効率抽出を実現し、抽出率が1.5%以上である。
【0019】
本発明の抽出方法は、操作しやすく、化学試薬を大量に使用する必要がなく、安全かつ効率的である。
【0020】
本発明により得られたヤクチ精油は、リステリア・モノサイトゲネスに対して非常に高い阻害活性を示す。阻止円の直径は8.6mm以上であり、MICは15μL/mL以下である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術内容をよりよく理解するために、具体的な実施例を以下に提供して、本発明をさらに説明する。
【0022】
前記ヤクチは、ヤクチAlpinia oxyphylla Miq. の乾燥した成熟果実であり、サンプルが海南省白砂県擁処村で採取された。
【0023】
試験例1 粉砕度への考察
ヤクチの乾燥した成熟果実をそれぞれ粉砕して10、20、30、40、50、60メッシュの篩にかけて、粒子サイズの異なる粉末を得て、粒子サイズの異なる粉末をそれぞれ50g秤量し、10倍の質量のpH6.8の蒸留水を添加し、3h浸漬し、220℃で5h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2020年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0024】
結果を以下に示した:サンプル粒子が10メッシュから40メッシュに減少すると、ヤクチ精油の抽出率が急激に上昇し、拡散の法則によれば、ヤクチ果実の粉砕度が高いほど、蒸留水との接触が多いほど、浸出効果が高く、精油抽出率が高い。サンプル粒子が40メッシュから60メッシュに減少すると、ヤクチ精油の抽出率がほぼ安定するまで徐々に低下する。これは、ヤクチ果実の粉砕度が高すぎて、水蒸気蒸留中、ヤクチ果実から浸出された成分が粉砕度の向上に伴って増加し、水に浸漬された成分が多すぎると精油が水蒸気に伴って蒸発する抵抗を上げて、精油抽出率の低下をもたらすことによるものである可能性がある。したがって、粉砕度が40メッシュ(抽出率が1.7%である)を選択する。
【0025】
試験例2 固液比への考察
ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、7、8、9、10、11、12倍の質量のpH6.8の蒸留水をそれぞれ添加し、3h浸漬し、220℃で5h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2020年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0026】
結果を以下に示した:固液比が1:5~12である場合、抽出率は徐々に高くなり、固液比が1:10である場合、抽出率は最大1.7%である。
【0027】
固液比が7~10倍である場合、ヤクチ精油の抽出率は急激に上昇する。固液比が10~12倍である場合、ヤクチ精油の抽出率はまず低下し、その後に変化せず(抽出率が1.5~1.7%である)、水量の増加に伴って、サンプルと蒸留水との接触面積が大きくなり、精油の浸出と水中への拡散を促進する。固液比が増加し続け、精油量が増加しない場合、過剰な水溶液により精油の蒸留水への溶解を増加させて、精油が水蒸気に伴って揮発しにくくなり、精油抽出率を低下させるため、固液比を10倍に選択する。
【0028】
試験例3 浸漬時間への考察
ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量のpH6.8の蒸留水でそれぞれ0、1、2、3、4、5h浸漬し、220℃で5h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2020年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0029】
結果を以下に示した:浸漬時間が0~2hである場合、浸漬時間とヤクチ精油の抽出率が正の相関で増加する。これは、所定の時間範囲内で浸漬時間が水中への精油の分散効果を決定でき、浸漬時間が長いほど、水による分散作用が大きくなることによるものである可能性がある。浸漬時間が2~5hである場合、浸漬時間とヤクチ精油の抽出率が逆相関し、ヤクチ果実精油の抽出量の損失が非常に多い。これは、浸漬時間が長すぎて一部の精油成分が揮発して、精油の抽出率を大幅に低下させることによるものである可能性があり、したがって、浸漬時間を2~3hに選択する。
【0030】
試験例4 蒸留時間への考察
ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量のpH6.8の蒸留水で2h浸漬し、220℃でそれぞれ2、3、4、5、6、7、8h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2015年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0031】
結果を以下に示した:蒸留時間が2~5hである場合、ヤクチ精油の抽出率が急激に上昇し、精油の浸出量が蒸留時間に比例し、5hで最大値になって変化しない。これは、主に、蒸留時間が長くなるにつれて、精油が水蒸気に伴って揮発し続け、所定の時間になると、ヤクチ果実の精油成分全体が浸出し、浸出量が最高値になるからである。5h浸漬すると、抽出率は最大値(1.65%)なって変化しなかった。蒸留時間が5~8hである場合、抽出率は大きく変化しなかった。したがって、単変量試験によって、エネルギー及び時間を節約する視点から、蒸留時間を5hに選択する。
【0032】
試験例5 蒸留温度への考察
ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量のpH6.8の蒸留水で2h浸漬し、それぞれ100、140、180、220、260、300℃で5h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2015年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0033】
結果を以下に示した:蒸留温度が100~220℃である場合、抽出率が上昇する傾向にあり、蒸留温度が220~300℃である場合、抽出率が徐々に低下する。温度が上昇するにつれて、サンプル中の揮発性成分は蒸発し続け、蒸留温度が高すぎると、サンプル中の揮発性成分のごく一部は冷却し収集せずに空気へ蒸発するため、温度が高すぎると、精油抽出率は徐々に低下し、蒸留温度が220℃である場合、ヤクチ果実精油の抽出率は最も高く、1.75%である。
【0034】
単変量実験及びスターテストにより、最終的にヤクチ果実精油の条件として、粉砕度が40メッシュで、固液比が1:10で、230℃で2.4h浸漬し、5.5h蒸留することを決定し、抽出率が1.8%である。
【0035】
また、研究によると、一部のサンプルがリステリア・モノサイトゲネスに対してより高い静菌活性を示すことを発見した。比較試験の結果は以下のとおりである。
【0036】
試験例6 静菌活性への研究
6.1 材料、菌種、試薬
材料:精油1)~5):ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、それぞれ10倍量のpH7.0、7.5、8.0、8.5、9.0の蒸留水で2.4h浸漬し、230℃で5.5h水蒸気蒸留して得られたものである。精油6):ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量のpH7.0の蒸留水で2.4h浸漬し、180℃で5.5h水蒸気蒸留して得られたものである。精油7)~10):ヤクチの乾燥した成熟果実を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を35±5℃で相対湿度65±5%で(厚さ2~3cmで)それぞれ3、5、7、9d静置し、粉末を50g秤量し、10倍量のpH8.5の蒸留水で2.4h浸漬し、180℃で5.5h水蒸気蒸留して得られたものである。
【0037】
菌種とリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes ATCC 19111)、及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538)は、いずれも北京北納創聯生物工学研究院から購入された。
【0038】
試薬:培地、レボフロキサシンなどは、いずれも北京索ライ宝科学技術有限公司から購入された。
【0039】
6.2 試験方法
6.2.1 阻止円の測定
濾紙寒天ディスク拡散法を使用して、ピペットを用いて20μLの精油又はコントロールを滅菌環境条件下で滅菌濾紙(d=6mm)に滴下し、濾紙が精油又はコントロールを完全に吸収してから、各細菌溶液(細菌溶液の濃度が10cfu/mlで、塗布量が60μLである)を均一に塗布した培地プレート(TSA、d=6cm)に当該濾紙を貼り付け、マークを付け、各細菌に対して3回繰り返し、陰性コントロールが滅菌水であり、陽性コントロールがレボフロキサシン(濃度15μg/ml)であり、培養条件がインキュベータ内で37℃で24h培養することである。培養した後、阻止円の有無及び直径の大きさを感度の判断基準として観察して記録し、クロス法で阻止円の直径を測定し、その平均値を測定結果とした。結果標準は、阻止円の直径が20mmを超えると、感度が非常に高いとし、直径が15~20mmであると、感度が高いとし、直径が10~15mmであると、感度が中程度であるとし、直径が10mmよりも小さいと、感度が低いとする(蘭仕梅ら、2018)ことである。
【0040】
6.2.2 最小発育阻止濃度(MIC)
MIC試験を微量二倍希釈法で96ウェルプレートで実施し、A1を第1のウェルとして使用して、左から右に順に行い、各プレートの1~12個のウェルに薬液を入れ、プレートごとに3つのブランク、陽性コントロール及び陰性コントロールを作成し、陰性コントロールが滅菌水であり、陽性コントロールがレボフロキサシンである。まずピペットを用いて各列の第1のウェルに180μLの各細菌懸濁液(細菌濃度10cfu/m、塗布量60μL)を添加し、第2~12のウェルにそれぞれ100μLの各細菌懸濁液を添加し、次に20μLの精油を第1のウェルにそれぞれ吸引し、精油の濃度をそれぞれ100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.563、0.781、0.391、0.195、0.097μL/mLにするように第1~12のウェルに対して順に段階希釈を行い、十分かつ均一に混合し、3回繰り返し、培養条件がインキュベータ内で37℃で24h培養することであり、その後にマイクロプレートリーダーで真菌の吸光度を測定し、抗菌率が80%であるサンプルの濃度を該細菌に対する該サンプルの最小発育阻止濃度(MIC)とする。
【0041】
6.2.3 最小殺菌濃度(MBC)の測定
寒天培地プレート法を使用して、「6.2.2」での各サンプルのMIC値に対応する溶液を対応する培地に均一に塗布し、培養条件がインキュベータ内で28℃で培養することであり、その後に培地において菌株が増殖しているか否かを観察し、該薬物のMBCはコロニー数が5個よりも少ないプレートに対応するウェルでの最低濃度である。
【0042】
6.3 結果及び分析
結果を表1~2に示す。結果は、得られたヤクチ精油が、リステリア・モノサイトゲネスに対して優れた阻害作用を示し、殺菌活性がないことを示した。そのうち、精油8)と精油9)がより高い阻害活性を示した。
【0043】
表1 細菌に対する各サンプルの阻止円の直径
【表1】
同じ列の異なる文字は、クリアランス率の差異が顕著である(p<0.05)ことを示し、「-」は、阻止円がないことを示す。
【0044】
表2 細菌に対する各サンプルのMIC値
【表2】
以上の記載は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の構想及び原則内に行われた全ての修正、等価置換及び改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。