IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特許7507801情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図9
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図10
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240621BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20240621BHJP
【FI】
G06Q50/163
G06Q30/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022006909
(22)【出願日】2022-01-20
(65)【公開番号】P2022145504
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2021044404
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 涼介
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159963(JP,A)
【文献】特開2019-159962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
賃貸物件を賃借するテナントと賃貸管理を仲介する仲介会社と共に、前記賃貸物件の賃貸管理を行う、前記賃貸物件を所有する家主の情報処理装置であって、
契約情報マスタに記憶された各前記テナントの契約情報に基づいて、各前記テナントを請求先とし、各前記テナントに対する請求金額及び未収金額を含む請求情報を生成する請求情報作成部と、
前記未収金額に基づいて、前記請求金額が未収となっている前記テナントを抽出し、各前記テナントを請求先とし、各前記テナントに対する精算金額及び前記仲介会社を精算先とした精算情報を生成することで、前記テナントに対する債権を前記仲介会社に付け替えるその他精算登録処理部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記テナントから賃貸料が入金された際に、前記仲介会社から送信される少なくとも入金を行ったテナント及び入金された金額を示すレポートに基づいて、請求先を前記仲介会社とし、入金された金額を示す入金情報を生成する入金処理部を、さらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記テナントから賃貸料が入金された際に送信される前記レポートに基づいて、債権先を前記仲介会社とし、前記賃貸料を消込額とした入金消込情報を生成する入金消込処理を行う入金消込処理部を、さらに備え、
前記請求情報作成部は、賃貸料を入金した前記テナントの前記請求情報に含まれる前記未収金額を「0円」に更新処理して、前記入金消込処理を反映させた前記請求情報を生成すること、
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記入金消込処理が反映された前記請求情報に基づいて、賃貸料が未収の賃貸物件の一覧表である未入金一覧表を、取引先を前記仲介会社とし、未収金額を含めて表示し、前記入金消込処理が反映された前記請求情報に基づいて、賃貸料が入金済の賃貸物件の一覧表である入金一覧表を、取引先を前記仲介会社とし、入金額を含めて表示し、前記賃貸料が未収の賃貸物件の一覧及び前記賃貸料が入金済の賃貸物件の一覧を含めた仲介レポート帳票を表示部に表示する表示制御部と、をさらに備えること、
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
賃貸物件を賃借するテナントと賃貸管理を仲介する仲介会社と共に、前記賃貸物件の賃貸管理を行う、前記賃貸物件を所有する家主の情報処理装置を用いて行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の請求情報作成部が、契約情報マスタに記憶された各前記テナントの契約情報に基づいて、各前記テナントを請求先とし、各前記テナントに対する請求金額及び未収金額を含む請求情報を生成する請求情報作成ステップと、
前記情報処理装置のその他精算登録処理部が、前記未収金額に基づいて、前記請求金額が未収となっている前記テナントを抽出し、各前記テナントを請求先とし、各前記テナントに対する精算金額及び前記仲介会社を精算先とした精算情報を生成することで、前記テナントに対する債権を前記仲介会社に付け替えるその他精算登録処理ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
賃貸物件を賃借するテナントと賃貸管理を仲介する仲介会社と共に、前記賃貸物件の賃貸管理を行う、前記賃貸物件を所有する家主のコンピュータを、
契約情報マスタに記憶された各前記テナントの契約情報に基づいて、各前記テナントを請求先とし、各前記テナントに対する請求金額及び未収金額を含む請求情報を生成する請求情報作成部と、
前記未収金額に基づいて、前記請求金額が未収となっている前記テナントを抽出し、各前記テナントを請求先とし、各前記テナントに対する精算金額及び前記仲介会社を精算先とした精算情報を生成することで、前記テナントに対する債権を前記仲介会社に付け替えるその他精算登録処理部として機能させること、
を特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、不動産を所有するオーナー会社と物件を賃借するテナントとの間に、ビル管理会社を仲介させて賃貸管理を行う管理形態が知られている。
【0003】
不動産管理に関する先行技術としては、特許文献1(特開2005-173957号公報)に、複数の賃貸不動産を対象とし、複数の関係者に対しそれぞれに必要な情報を提供し管理できるようにした賃貸不動産情報管理システムが開示されている。
【0004】
この賃貸不動産情報管理システムは、賃貸不動産資産に関する基本情報、賃貸管理情報、保守管理情報、及び、各情報に関連付けられる地図、写真、電子書庫の各情報を格納し管理するデータベースを備える。アプリケーション機構は、データベースに格納された各賃貸不動産資産に関する各情報に対応して管理する複数の機能を備える。アクセス/サービス制御機構は、ユーザ名毎にアクセス可能な賃貸不動産に関する各情報と各機能の権限の範囲を設定し、通信回線を介して受信したユーザ名に基づいてユーザグループを確認する。そして、アクセス/サービス制御機構は、アクセス可能な各賃貸不動産資産に関する各情報と利用可能な機能の権限の範囲を判定し、アプリケーション機構に通知する。これにより、複数の関係者に必要な情報をそれぞれ提供して、複数の賃貸不動産を管理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-173957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、不動産物件を所有する家主と不動産物件を賃借する店子(テナント)との間を、不動産仲介業者が仲介する場合、テナントの賃貸管理は不動産仲介業者により行われるため、家主によるテナントの管理が困難となる問題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、仲介会社がテナントの管理を仲介している場合でも、家主が仲介会社と共にテナントの管理を行うことを可能とした情報処理装置、情報処理方法、及び、情報処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、賃貸物件を賃借するテナントと賃貸管理を仲介する仲介会社と共に、賃貸物件の賃貸管理を行う、賃貸物件を所有する家主の情報処理装置であって、契約情報マスタに記憶された各テナントの契約情報に基づいて、各テナントを請求先とし、各テナントに対する請求金額及び未収金額を含む請求情報を生成する請求情報作成部と、未収金額に基づいて、請求金額が未収となっているテナントを抽出し、各テナントを請求先とし、各テナントに対する精算金額及び仲介会社を精算先とした精算情報を生成することで、テナントに対する債権を仲介会社に付け替えるその他精算登録処理部と、を有する。
【0009】
また、本発明に係る情報処理方法は、上述の課題を解決するために、賃貸物件を賃借するテナントと賃貸管理を仲介する仲介会社と共に、賃貸物件の賃貸管理を行う、賃貸物件を所有する家主の情報処理装置を用いて行う情報処理方法であって、情報処理装置の請求情報作成部が、契約情報マスタに記憶された各テナントの契約情報に基づいて、各テナントを請求先とし、各テナントに対する請求金額及び未収金額を含む請求情報を生成する請求情報作成ステップと、情報処理装置のその他精算登録処理部が、未収金額に基づいて、請求金額が未収となっているテナントを抽出し、各テナントを請求先とし、各テナントに対する精算金額及び仲介会社を精算先とした精算情報を生成することで、テナントに対する債権を仲介会社に付け替えるその他精算登録処理ステップと、を有する。
【0010】
また、本発明に係る情報処理プログラムは、上述の課題を解決するために、賃貸物件を賃借するテナントと賃貸管理を仲介する仲介会社と共に、賃貸物件の賃貸管理を行う、賃貸物件を所有する家主のコンピュータを、契約情報マスタに記憶された各テナントの契約情報に基づいて、各テナントを請求先とし、各テナントに対する請求金額及び未収金額を含む請求情報を生成する請求情報作成部と、未収金額に基づいて、請求金額が未収となっているテナントを抽出し、各テナントを請求先とし、各テナントに対する精算金額及び仲介会社を精算先とした精算情報を生成することで、テナントに対する債権を仲介会社に付け替えるその他精算登録処理部として機能させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、仲介会社がテナントの管理を仲介している場合でも、家主が仲介会社と共にテナントの管理を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態の賃貸管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態の賃貸管理装置の管理業務の概要を示す図である。
図3図3は、実施の形態の賃貸管理装置の賃貸管理動作の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、契約情報に基づいて作成される請求情報一例を示す図である。
図5図5は、その他積算登録画面の一例を示す図である。
図6図6は、その他積算登録処理により生成される精算情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態の賃貸管理装置の入金処理を説明するための図である。
図8図8は、実施の形態の賃貸管理装置における入金消込処理を説明するための図である。
図9図9は、入金消込情報の一例を示す図である。
図10図10は、未入金一覧表及び入金一覧表の表示画面の一例を示す図である。
図11図11は、PMレポート帳票の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施の形態となる賃貸管理装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
(ハードウェア構成)
図1は、実施の形態の賃貸管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。この賃貸管理装置としては、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ装置の他、ノート型のパーソナルコンピュータ装置又はタブレット型のパーソナルコンピュータ装置を用いることができる。また、賃貸管理装置としては、PDA(Personal Digital Assistants)装置又はスマートフォン等携帯型情報処理装置を用いることができる。この賃貸管理装置は、賃貸物件を所有するオーナー会社(家主)の情報処理装置の一例であり、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。
【0015】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網等のネットワークに接続される。
【0016】
入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置及びマウス装置、及びマイクロホン装置の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置を用いることができる。
【0017】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、それぞれ所定の情報が記憶された記憶領域である契約情報マスタ11が設けられている。契約情報マスタ11には、賃貸契約を行った物件毎の貸借人、賃貸料(月額)等が関連付けされて記憶されている。詳しくは、後述する。
【0018】
なお、契約情報マスタ11及び各種情報等は、ネットワーク8上のサーバ装置9に記憶し、ネットワーク8を介して送受信してもよい。
【0019】
(機能構成)
また、記憶部2には、賃貸管理プログラム(情報処理プログラムの一例)が記憶されている。制御部3は、この賃貸管理プログラムを実行することで、契約情報登録制御部21、請求情報作成部22、その他精算登録処理部23、入金処理部24、入金消込処理部25及び表示制御部26として機能する。
【0020】
契約情報登録制御部21は、賃貸を行う物件の貸借人(テナント)及び賃貸料(月額)等を関連付けて契約情報マスタ11に登録する。請求情報作成部22は、契約情報マスタ11に登録されている契約情報に基づいて、各テナントの貸借料に対応する請求情報を作成する。その他精算登録処理部23は、請求情報の債権先をテナントから不動産仲介管理会社(PM会社:PM:Property Management)に付け替えた精算情報を生成する「その他精算処理」を行う。
【0021】
入金処理部24は、テナントから賃貸料が入金された際に、仲介会社から送信される少なくとも入金を行ったテナント及び入金された金額を示すPMレポートに基づいて、請求先を仲介会社とし、入金された金額を示す入金情報を生成する。入金消込処理部25は、賃貸料が入金されたテナントの未収金額を消込処理した請求情報を作成する。表示制御部26は、その他精算登録画面、入金消込登録画面、未入金一覧表、入金一覧表及びPMレポート帳票等を、出力装置7を介して表示する。
【0022】
(賃貸管理動作の概要)
図2は、実施の形態の賃貸管理装置における賃貸管理動作の概要を示す図である。賃貸管理装置は、この図2に示す委託PMに相当し、テナントから入金されるテナント賃料をオーナー会社に送金処理する。具体的には、賃貸管理装置は、テナントに対する賃貸料及び共益費等の請求は、請求元をPM会社(賃貸管理装置)とし、請求先をテナントとして行う。また、賃貸管理装置は、オーナー会社に対する送金は、請求元をオーナー会社とし、請求先を委託PM(賃貸管理装置)として行う。
【0023】
(賃貸管理動作の詳細)
図3のフローチャートは、実施の形態の賃貸管理装置における賃貸管理動作の流れを示すフローチャートである。まず、賃貸管理に先立って、契約情報マスタ11に対して契約情報を登録する。図4(a)は、契約情報マスタ11に登録されている契約情報の一例を示す図である。この図4(a)に示すように、契約情報は「契約番号(契約NO)」、「物件番号(物件CD)」、「賃貸人(オーナー)」、「賃借人(テナント)」、「請求先」、「費目」及び「賃貸料(月額)」を含んで構成される。図1に示す契約情報登録制御部21は、業務オペレータの操作従って、このように契約情報を、記憶部2の契約情報マスタ11に登録する。
【0024】
次に、ステップS1において、請求情報作成部22が、契約情報マスタ11に登録されている各テナントの契約情報を参照し、業務オペレータの入力操作に応じて、図4(b)に示す請求情報を作成する。この図4(b)に示すように、請求情報は、契約番号、物件番号、請求先、費目、該当月、入金月、請求金額、入金額、及び、未収金額を含んで構成される。この図4(b)の例は、2月分の請求情報であり、テナント1、テナント2、テナント3に対して、それぞれ70000円、80000円、90000円の賃料が請求された例を示している。この時点における各テナントからの入金は、それぞれ0円であるため、テナント1、テナント2、テナント3の未収金額は、それぞれ70000円、80000円、90000円となっている。
【0025】
また、契約先(賃借人)は各テナントであり、請求先はPM会社であるが、各テナントの未収状態も管理するために、請求先=テナントとして登録する。
【0026】
次に、ステップS2では、その他精算登録処理部が、テナントに対する債権をPM会社の債権として付け替える「その他精算登録処理」を行う。すなわち、業務オペレータにより、「その他精算登録処理」が指定操作されると、表示制御部26は、図5に例示するその他精算登録画面を出力装置7に表示制御する。業務オペレータにより、図5に示す「未収」の文字が表示されたボタンが操作されると、その他精算登録処理部23は、図6(a)に例示する請求情報から請求金額が未収となっているテナントの情報を抽出し、図6(b)に例示する精算情報を生成する。
【0027】
精算情報は、契約番号、物件番号、精算先、請求先、費目、該当月、入金月及び積算金額を含んで構成される。その他精算登録処理部23は、この図6(b)に示すように、各テナントの精算先としてPM会社を登録する。これにより、テナントに対する債権をPM会社の債権として付け替えることができる(その他精算登録処理)。
【0028】
なお、この精算情報では、未収の残高管理用とするために、精算先とは別に、請求先は元々入力されていたテナントの情報を保持する。
精算先:PM会社→債権管理
請求先:テナント→未収金額残高管理
【0029】
この「その他精算登録処理」以降、該当データの債権請求先は、精算先(PM会社)となる。元々の請求先(テナント)の情報は、上書きされるのではなく、債権残高に付随する取引先として内部的に保持される。
【0030】
次に、図3のフローチャートのステップS3では、入金処理部24が、PM会社から送信されるPMレポートに基づいて入金処理を行い、入金情報を生成する。具体的には、テナントから賃貸料が入金されると、仲介会社は、図7(c)に示すPMレポートを生成する。このPMレポートは、入金が行われたテナントを示す資料となっており、テナントの契約番号、賃借人、費目及び入金額を含んで構成される。図7(c)の例「は、テナント2から80000円の入金があり、また、テナント3から90000円の入金があったことを示すPMレポートである。このようなPMレポートは、ネットワーク8を介してオーナー会社の賃貸管理装置に送信され、又は、印刷されてオーナー会社に郵送される。
【0031】
賃貸管理装置を操作する業務オペレータは、このようなPMレポートを受信すると、入金処理を指定する。入金処理が指定されると、表示制御部26は、図7(a)に例示する入金登録画面を出力装置7に表示する。業務オペレータは、PMレポートに基づいて、この入金登録画面に対し、請求先をPM会社とし、賃貸料の入金を行った各テナントの入金額の合計額を入力する。この図7(a)の例は、図6(b)に示すテナント2及びテナント3から、それぞれ80000円、90000円の入金により、計170000円の入金があった例である。
【0032】
業務オペレータは、このような入金の入力を行うと、図7(a)に示す「実行」の文字が表示された実行ボタンを操作する。入金処理部24は、実行ボタンが操作されると、図7(b)に示すように、請求先をPM会社とし、入金日及び入金額を含む入金情報を生成して記憶部2に記憶する。
【0033】
次に、図3のフローチャートのステップS4では、入金消込処理部25により、入金のあったテナントに対する請求額の消込処理が行われる。具体的には、業務オペレータにより入金消込処理を指定する操作が行われると、表示制御部26は、図8(a)に示す上述の精算情報に基づいて、図8(b)に例示する入金消込登録画面を出力装置7に表示する。
【0034】
この入金消込登録画面には、債権先をPM会社とし、上述の170000円の入金額、及び、各テナントの請求額が表示される。また、各テナントの請求額に対しては、入金が完了した際にチェックが入力されるチェックボックス(完了)が表示される。業務オペレータは、入金が完了したテナントのチェックボックスにチェックを入力操作する。図8(b)の例は、テナント2及びテナント3から入金があったため、このテナント2及びテナント3のチェックボックスにそれぞれチェックが入れられた例である。
【0035】
表示制御部26は、チェックボックスにチェックが入れられたテナントの消込額に、請求額と同じ金額を表示する。図8(b)の例は、テナント2及びテナント3のチェックボックスにそれぞれチェックが入れられたため、テナント2の消込額に、請求額と同じ80000円を表示し、テナント3の消込額に、請求額と同じ90000円を表示した例である。これにより、業務オペレータは、入金を行ったテナントの請求額が消し込まれたことを認識することができる。
【0036】
また、入金消込処理部25は、図9(a)に例示する入金消込情報を生成し記憶部2に記憶する。この入金消込情報は、債権先、消込日、契約番号、物件番号、請求先(テナント)、費目、該当月及び消込額を含んで構成される。図9(a)の例は、上述のテナント2及びテナント3の80000円及び90000円が消込額として入力された入金消込情報の例である。
【0037】
また、請求情報作成部22は、図9(b)に示すように、賃貸料を入金したテナント2及びテナント3の請求情報に含まれる未収金額を「0円」に更新処理する。これにより、入金を行ったテナントに対する未収金額の消込処理が完了する。
【0038】
次に、表示制御部26は、業務オペレータの表示指示操作に従って、未入金一覧表、入金一覧表、及び、仲介レポート帳票(PMレポート帳票)を表示する。具体的には、業務オペレータにより未入金一覧表の表示指示操作が行われると、表示制御部26は、図9(b)に示した上述の入金消込処理を反映させた請求情報から、賃貸料が未収の賃貸物件を抽出する。そして、表示制御部26は、抽出した各賃貸物件の物件番号及び未収金額を、取引先をPM会社として未入金一覧表に表示する。
【0039】
図10(a)は、「A0001」の物件番号の賃貸物件が、賃貸料が未収の賃貸物件として抽出された例であり、その未収金額は70000円であることを示している。この図10(a)の表示例は、賃貸料が未収の賃貸物件が一つのみ抽出された例であるが、賃貸料が未収の賃貸物件を複数抽出し場合、表示制御部26は、複数の物件を列方向に並べて一覧表示する。
【0040】
また、業務オペレータにより入金一覧表の表示指示操作が行われると、表示制御部26は、図9(b)に示した上述の入金消込処理を反映させた請求情報から、賃貸料が入金済の賃貸物件を抽出する。そして、表示制御部26は、抽出した各賃貸物件の物件番号、入金額及び入金日を、取引先をPM会社として入金一覧表に表示する。図10(b)は、「A0001」の物件番号の2件の賃貸物件が、賃貸料が入金済の賃貸物件として抽出された例であり、その入金額は、80000円及び90000円であることを示している。
【0041】
また、業務オペレータにより、PMレポート帳票の表示指示操作が行われると、表示制御部26は、図9(b)に示した上述の入金消込処理を反映させた請求情報から、賃貸料が未収の賃貸物件、及び、賃貸料が入金済の賃貸物件をそれぞれ抽出する。そして、表示制御部26は、抽出した各賃貸物件の物件番号、未収金額及び入金額を、対応するテナントを取引先としてPMレポート帳票に一覧表示する。図11の例は、「A0001」の物件番号でテナント1の賃貸物件の未収金額が70000円であることを示している。また、図11の例は、「A0001」の物件番号でテナント2の賃貸物件の入金額が80000円で、「A0001」の物件番号でテナント3の賃貸物件の入金額が90000円で、あることを示している。
【0042】
このような未入金一覧表、入金一覧表又はPMレポート帳票を表示することで、賃貸料が入金済のテナント、及び、賃貸料が未収のテナントを認識して管理することができる。
【0043】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の賃貸管理装置は、テナントのオーナーが、自らテナントの契約管理及び未収管理を行うことができる。このため、積極的な折衝交渉及びテナント動向の分析が可能となる。
【0044】
また、実施の形態の賃貸管理装置は、テナントの契約管理をしつつ、未収管理をテナントの目線で行うことができると共に、実入金先であるPM会社の入金との消込をするための債権データを作成することができる。このため、業務の効率化及びPM会社任せになっていた未収管理をシステム内で管理することができる。
【0045】
不動産業界は複数の取引形態が存在するが、実施の形態の賃貸管理装置は、使用頻度の高い取引形態にフォーカスしているため、ニーズもあり、かつ、事務効率化に貢献することができる。
【0046】
また、実施の形態の賃貸管理装置は、ビルディングを売買する際に重要な機能であり、ビルディングを未収管理する際の負荷を軽減できる。
【0047】
さらに、実施の形態の賃貸管理装置は、未収金の残高管理と回収先管理を分離することで、不動産業界における契約に即した柔軟な債権管理が可能となる。
【0048】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0051】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてもよい。
【0052】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0053】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0054】
また、賃貸管理装置に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0055】
例えば、賃貸管理装置が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて賃貸管理装置に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0056】
また、このコンピュータプログラムは、賃貸管理装置に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0057】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための賃貸管理プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0058】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0059】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0060】
また、賃貸管理装置は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、賃貸管理装置は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0061】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば、不動産は所有しているが、管理はPM会社に委託しているオーナー会社等において有用である。
【符号の説明】
【0063】
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
8 ネットワーク
9 サーバ装置
11 契約情報マスタ
21 契約情報登録制御部
22 請求情報作成部
23 その他精算登録処理部
24 入金処理部
25 入金消込処理部
26 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11