(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】加熱部品及び電子アトマイザー
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240621BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240621BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022189978
(22)【出願日】2022-11-29
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】202123320550.6
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】李俊
(72)【発明者】
【氏名】曾昭煥
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-521834(JP,A)
【文献】国際公開第2021/186603(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/180815(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108378427(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基質を加熱するための加熱部品であって、
第1導電領域と、
前記第1導電領域の片側に設けられた第2導電領域と、
前記第1導電領域と前記第2導電領域との間に設けられ、前記第1導電領域と前記第2導電領域との間の電気的接続を絶縁するための絶縁領域と、を備える加熱チャンバーを備え、
前記エアロゾル発生基質が前記加熱チャンバーに
挿入されて収容された状態で、
前記エアロゾル発生基質が前記第1導電領域と前記第2導電領域に同時に接触することにより、前記第1導電領域と前記第2導電領域は、前記エアロゾル発生基質を介して電気的に接続される、ことを特徴とする加熱部品。
【請求項2】
前記加熱チャンバーは、対向して設けられた第1端及び第2端を含み、前記エアロゾル発生基質は前記第1端から前記第2端に挿入され、前記第1導電領域は前記第2端に向いた前記第2導電領域の側に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱部品。
【請求項3】
前記第1導電領域は前記加熱チャンバーの前記第2端に位置し、前記第2導電領域は前記加熱チャンバーのチャンバー側壁に位置している、ことを特徴とする請求項2に記載の加熱部品。
【請求項4】
前記第2導電領域は、一端が前記絶縁領域に接続され、他端が前記絶縁領域から離れる方向に向かって前記加熱チャンバーの第1端まで延伸する、ことを特徴とする請求項3に記載の加熱部品。
【請求項5】
前記加熱部品は、第1構造部材、第2構造部材及び絶縁部材を含み、
前記第1構造部材は前記加熱チャンバーの一部のチャンバー底壁を形成するように構成され、少なくとも一部の前記第1構造部材自体は前記第1導電領域を形成し、
前記第2構造部材は前記加熱チャンバーの一部のチャンバー側壁を形成するように構成され、少なくとも一部の前記第2構造部材自体は前記第2導電領域を形成し、
前記絶縁部材は前記第1構造部材と前記第2構造部材との間に設けられ、前記絶縁部材自体は前記絶縁領域を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱部品。
【請求項6】
前記第1構造部材全体は導電材料で製造され、及び/又は前記第2構造部材全体は導電材料で製造される、ことを特徴とする請求項5に記載の加熱部品。
【請求項7】
前記絶縁部材は、絶縁底壁と、絶縁底壁から同一方向に延伸して形成された絶縁側壁とを含み、
絶縁側壁は周方向に沿って前記絶縁底壁を取り囲んで絶縁収容チャンバーを形成し、
前記絶縁底壁には前記絶縁収容チャンバーに連通する取り付け孔が穿設され、前記第1構造部材は前記取り付け孔内に収容される、ことを特徴とする請求項5に記載の加熱部品。
【請求項8】
前記取り付け孔の内径は、前記絶縁収容チャンバーの内径よりも小さい、ことを特徴とする請求項7に記載の加熱部品。
【請求項9】
電池部品と、前記電池部品に電気的に接続された請求項1~8のいずれか1項に記載の加熱部品とを含む、ことを特徴とする電子アトマイザー。
【請求項10】
前記加熱部品は、第1構造部材及び第2構造部材を含み、少なくとも一部の前記第1構造部材自体は前記第1導電領域を形成し、少なくとも一部の前記第2構造部材自体は前記第2導電領域を形成し、
前記電子アトマイザーは、振動ユニットをさらに含み、前記第1構造部材と前記第2構造部材が前記エアロゾル発生基質を介して電気信号を伝送する場合、振動を発生させる、ことを特徴とする請求項9に記載の電子アトマイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化技術の分野に関し、特に加熱部品及び電子アトマイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルは、固体又は液体の微小な粒子が気体媒体に分散して浮遊するコロイド分散系であり、呼吸システムを介して人体に吸収されるため、ユーザに新規な代替吸収方法を提供している。例えば、エアロゾル基質からエアロゾルを発生させる電子霧化装置を医療などの異なる分野に適用して、従来の製品形態や吸収方法の代わりに、吸入可能なエアロゾルをユーザに送達することができる。
【0003】
現在、固体のエアロゾル発生基質を焼成するための電子アトマイザーは、通常、エアロゾル発生基質を収容するための加熱チャンバーを備えており、使用する際には、使用者はエアロゾル発生基質を加熱チャンバーに挿入した後に、起動ボタンを押して電子アトマイザーを起動してエアロゾル発生基質を焼成するので、操作が比較的煩雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、エアロゾル発生基質の挿入を検出するための検出方法が複雑であり、検出構造の信頼性が低いという問題に対して、検出方法を簡略化し、検出構造の信頼性を向上させるという技術的効果を達成することができる加熱部品及び電子アトマイザーを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、エアロゾル発生基質を加熱するための加熱部品であって、第1導電領域と、前記第1導電領域の片側に設けられた第2導電領域と、前記第1導電領域と前記第2導電領域との間に設けられ、前記第1導電領域と前記第2導電領域との間の電気的接続を絶縁するための絶縁領域と、を備える加熱チャンバーを備え、前記エアロゾル発生基質が前記加熱チャンバーに収容された状態で、前記第1導電領域と前記第2導電領域は、前記エアロゾル発生基質を介して電気的に接続される加熱部品が提供される。
【0006】
一実施例において、前記加熱チャンバーは、対向して設けられた第1端及び第2端を含み、前記エアロゾル発生基質は前記第1端から前記第2端に挿入され、前記第1導電領域は前記第2端に向いた前記第2導電領域の側に位置している。
【0007】
一実施例において、前記第1導電領域は前記加熱チャンバーの前記第2端に位置し、前記第2導電領域は前記加熱チャンバーのチャンバー側壁に位置している。
【0008】
一実施例において、前記第2導電領域は、一端が前記絶縁領域に接続され、他端が前記絶縁領域から離れる方向に向かって前記加熱チャンバーの第1端まで延伸する。
【0009】
一実施例において、前記加熱部品は、第1構造部材、第2構造部材及び絶縁部材を含み、前記第1構造部材は前記加熱チャンバーの一部のチャンバー底壁を形成するように構成され、少なくとも一部の前記第1構造部材自体は前記第1導電領域を形成し、前記第2構造部材は前記加熱チャンバーの一部のチャンバー側壁を形成するように構成され、少なくとも一部の前記第2構造部材自体は前記第2導電領域を形成し、前記絶縁部材は前記第1構造部材と前記第2構造部材との間に設けられ、前記絶縁部材自体は前記絶縁領域を形成する。
【0010】
一実施例において、前記第1構造部材全体は導電材料で製造され、及び/又は前記第2構造部材全体は導電材料で製造される。
【0011】
一実施例において、前記絶縁部材は、絶縁底壁と、絶縁底壁から同一方向に延伸して形成された絶縁側壁とを含み、絶縁側壁は周方向に沿って前記絶縁底壁を取り囲んで絶縁収容チャンバーを形成し、前記絶縁底壁には前記絶縁収容チャンバーに連通する取り付け孔が穿設され、前記第1構造部材は前記取り付け孔内に収容される。
【0012】
一実施例において、前記取り付け孔の内径は、前記絶縁収容チャンバーの内径よりも小さい。
【0013】
本発明の他の態様では、電池部品と、前記電池部品に電気的に接続された上記の加熱部品とを含む電子アトマイザーが提供される。
【0014】
一実施例において、前記加熱部品は、第1構造部材及び第2構造部材を含み、少なくとも一部の前記第1構造部材自体は前記第1導電領域を形成し、少なくとも一部の前記第2構造部材自体は前記第2導電領域を形成し、前記電子アトマイザーは、振動ユニットをさらに含み、前記振動ユニットは、前記第1構造部材と前記第2構造部材が前記エアロゾル発生基質を介して電気信号を伝送する場合、振動を発生させる。
【0015】
上記加熱部品によれば、加熱チャンバーにおける第1導電領域、第2導電領域及び絶縁領域を設けることにより、エアロゾル発生基質が加熱チャンバー内に収容されたか否かを正確に検出することができ、使用者による手動操作を必要とせず、比較的高い使いやすさと信頼性を有するとともに、エアロゾル発生基質に過度の押圧を与えてエアロゾル発生基質を損傷するリスクを解消することもできる。また、加熱チャンバーは、構造が簡単で、電磁誘導コイルなどの部品を多く増加する必要がないため、比較的低い生産コスト及び比較的高い組立効率を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例の加熱部品の構造模式図である。
【
図2】エアロゾル発生基質が挿入された
図1に示される加熱部品の構造模式図である。
【
図3】本発明の他の実施例の加熱部品の構造模式図である。
【
図4】本発明のまた他の実施例の加熱部品の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下は図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本発明を十分に理解するために、以下は多くの具体的な詳細を説明する。しかし、本発明は本明細書の記載以外の多くの態様で実施することができ、当業者は本発明の主旨から逸脱しない限り、類似改良を行うことができる。したがって、本発明は以下に開示された具体的な実施例に限定されるものではない。
【0018】
本発明の説明において、理解すべきものとして、用語「長さ」、「上」、「下」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などが指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものだけであり、言及される装置又は素子は特定の方位を有し、特定の方位の構造及び操作をしなければならないことを意味又は示唆するものではなく、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0019】
また、用語「第1」、「第2」は説明の目的だけであり、相対的な重要性を意味もしくは示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも一つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明示的かつ具体的に制限されていない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0020】
本発明において、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、一体になってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0021】
本発明において、特に明確な規定及び限定がない限り、第1特徴は第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴が直接接触してもよく、又は第1特徴と第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1特徴は、第2特徴の「上」や「上方」にあることは、第1特徴は、第2特徴の真上または斜め上方にあってもよいし、第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことのみを示してもよい。第1特徴は第2特徴の「下」や「下方」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下又は斜め下方にあってもよいし、第1特徴の水平高さが第2特徴より小さいことのみを示してもよい。
【0022】
なお、素子は、他の素子に「固定される」又は「設置される」と呼ばれる場合、他の素子に直接存在してもよく、または介在する要素が存在してもよい。一つの素子は、他の素子に「接続される」と考えられる場合、他の素子に直接接続されてもよく、または介在する要素が存在してもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は説明の目的だけであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【0023】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例は、電池部品(図示せず)及び加熱部品110を含む電子アトマイザー100を提供する。エアロゾル発生基質200は加熱部品110に挿入可能であり、加熱部品110は、電池の電気エネルギーの作用で固体のエアロゾル発生基質200を加熱して使用者が吸入するためのエアロゾルを発生させるように構成される。具体的には、以下の実施例において、エアロゾル発生基質200は円柱状固体構造である。
【0024】
背景技術の記載のように、従来の電子アトマイザーについては、エアロゾル発生基質が挿入されたか否かを判断する検出方法が複雑であり、信頼性も低く、電子アトマイザーの普及と応用をある程度妨げている。
【0025】
例えば、ある電子アトマイザーは、挿入信号を出力可能な制御ボタンを備えており、エアロゾル発生基質を電子アトマイザーに挿入した後に、挿入信号を出力するために制御ボタンを人為的に押下する必要がある。このように、電子アトマイザーの使用に不便をもたらし、且つ制御ボタンが長時間に押圧された後に故障しやすく、電子アトマイザーが正常に使用できなくなってしまう。
【0026】
ある電子アトマイザーには巻線コイルと電磁検出回路が取り付けられており、且つエアロゾル発生基質内には一層の金属箔が設けられ、巻線コイルはエアロゾル発生基質の挿入後に挿入信号を生成する。このように、余分な巻線コイルや電磁検出回路を追加する必要があり、電子アトマイザーの生産コストを向上させるとともに、電子アトマイザーの体積を増大させる。
【0027】
ある電子アトマイザーには押圧式の機械スイッチが取り付けられており、エアロゾル発生基質が電子アトマイザーに挿入される時に、機械スイッチを押圧して挿入信号を生成することができる。しかし、エアロゾル発生基質によって押圧するため、エアロゾル発生基質を損傷するリスクが存在し、且つ機械スイッチの組み立てが複雑であり、電子アトマイザーの組み立て効率を低下させる。
【0028】
また、ある電子アトマイザーには光電スイッチが設けられており、エアロゾル発生基質が電子アトマイザーに挿入された後に光電スイッチから発する光線を反射して挿入信号を生成することができる。しかし、光電スイッチは、安定した作動のためにエアロゾル発生基質の近くに取り付ける必要があるが、エアロゾル発生基質の周囲の温度が高いため、光電スイッチの安定した作動に影響を与えやすく、且つ使用終了後の残留エアロゾル発生基質は光電スイッチの正常な作動を容易に妨害する可能性がある。
【0029】
上記問題を解決するために、
図1及び
図2を引き続き参照すると、加熱部品110はメインハウジング120を含み、メインハウジングは一端が開口した加熱チャンバー147を有し、加熱チャンバー147はエアロゾル発生基質200を収容するように構成される。電子アトマイザー100はさらに検出ユニット(図示せず)を含み、検出ユニットは、加熱部品110に電気的に接続され、エアロゾル発生基質200が加熱筒140に収容されたか否かを判断して、電子アトマイザーの動作状態を制御するように構成される。
【0030】
具体的には、加熱チャンバー147は、第1導電領域、第2導電領域、及び絶縁領域を備えている。第2導電領域は第1導電領域の片側に設けられ、第1導電領域と第2導電領域は、静電容量誘導信号と抵抗変化信号を送受信するために、それぞれ静電容量誘導と抵抗測定の送受信機として使用することができる。絶縁領域は、第1導電領域と第2導電領域との間に設けられ、第1導電領域と第2導電領域との間の電気的接続を絶縁するように構成される。検出ユニットは、第1導電領域と第2導電領域との間の静電容量誘導信号と抵抗信号を検出し、且つ静電容量誘導信号と抵抗信号に基づいて挿入信号を出力するように構成される。
【0031】
加熱チャンバー147にエアロゾル発生基質200が存在していない状態で、第1導電領域と第2導電領域は絶縁領域によって電気的な接続が絶縁されるため、第1導電領域と第2導電領域は電気信号回路を形成することができない。この時検出ユニットが取得した第1導電領域と第2導電領域との間の静電容量誘導信号をC1、抵抗信号をR1と表記する。エアロゾル発生基質200が加熱チャンバー147に収容されている状態で、エアロゾル発生基質200によって第1導電領域と第2導電領域の導電性が増加し、第1導電領域と第2導電領域は固体エアロゾル発生基質200によって電気的接続を形成し、それにより第1導電領域と第2導電領域との間の静電容量誘導信号と抵抗信号の大きさが変化する。この時検出ユニットが取得した第1導電領域と第2導電領域との間の静電容量誘導信号をC2、抵抗信号をR2と表記する。検出ユニットはアルゴリズムにより前後の2回の測定値の差(即ち、C1とC2の差、R1とR2の差)をフィルタして得ることができ、さらに前記測定値の差と予め設定された基準差の大きさを判断することにより、エアロゾル発生基質200が加熱チャンバー147内に収容されたか否かを判断することができる。
【0032】
このように、加熱チャンバー147における第1導電領域、第2導電領域及び絶縁領域を設けることにより、上記加熱部品110は、エアロゾル発生基質200が加熱チャンバー147内に収容されたか否かを正確に検出することができ、使用者による手動操作を必要とせず、比較的高い使いやすさと信頼性を有するとともに、エアロゾル発生基質200に過度の押圧を与えてエアロゾル発生基質200を損傷するリスクを解消することもできる。また、加熱部品110は、構造が簡単で、電磁誘導コイルなどの部品を多く追加する必要がないため、比較的低い生産コスト及び比較的高い組立効率を備える。
【0033】
いくつかの実施例において、検出ユニットは、静電容量又は抵抗検出チップである。検出ユニットは、通常は待機状態にあり、一定間隔でウェイクアップして検出を行うが、その間隔の時間は、0.1秒~1秒であることが好ましい。他の実施例では、検出ユニットがエアロゾル発生基質200の存在を検出すると、その検出を数回繰り返し、その都度エアロゾル発生基質200の存在を検出すると、エアロゾル発生基質200が加熱チャンバー147内に収容されていると判断し、挿入信号を出力して加熱部品110を発熱させてエアロゾル発生基質200を加熱する。
【0034】
いくつかの実施例において、加熱チャンバー147は対向して設けられた第1端及び第2端を含み、第1端は外部環境と連通する開口端が設けられた加熱チャンバーの一端であり、第2端はチャンバー底壁が設けられた加熱チャンバー147の一端であり、エアロゾル発生基質は加熱チャンバー147の第1端から第2端に挿入される。第1導電領域は第2端に向いた第2導電領域の側に位置している。即ち、エアロゾル発生基質200の挿入過程において、エアロゾル発生基質200はまず第1導電領域に接触し、続いて第2導電領域に接触し、最終的には、一部のエアロゾル発生基質200は第1導電領域に接触し、他の一部のエアロゾル発生基質200は第2導電領域に接触し、それにより、第1導電領域と第2導電領域の電気的接続が実現する。第1導電領域と第2導電領域との間の電気的接続は、エアロゾル発生基質200が第1導電領域と第2導電領域に同時に接触する場合にのみ実現できるため、第2導電領域の位置を設定することにより、エアロゾル発生基質200の加熱領域の範囲を制御して、異なる加熱要求を実現することができる。
【0035】
好ましい実施形態として、第1導電領域は加熱チャンバー147の第2端に位置し、第2導電領域は加熱チャンバー147のチャンバー側壁に位置し、且つ第2導電領域は、一端が絶縁領域に接続され、他端が絶縁領域から離れる方向に向かって加熱チャンバー147の第1端まで延伸する。第1導電領域は加熱チャンバー147の第2端に位置するため、エアロゾル発生基質200が加熱チャンバー147の底部に挿入される場合にのみ、エアロゾル発生基質200は第1導電領域に接触し、第1導電領域と第2導電領域は固体エアロゾル発生基質200によって電気的に接続される。これにより、エアロゾル発生基質200が適所に挿入されていない時にエアロゾル発生基質200を加熱することを回避し、エアロゾル発生基質200が加熱チャンバー147内に完全に挿入されていないことによる加熱範囲の位置ずれを防止し、加熱部品110の加熱効果を保証することができる。
【0036】
図1に示されるように、具体的には、いくつかの実施例において、加熱部品110は、メインハウジング120に取り付けられた加熱筒140を含み、加熱筒140は、加熱チャンバー147を形成するように、略円筒状構造を呈している。具体的には、加熱筒140は、第1構造部材141、第2構造部材143及び絶縁部材145を含み、第1構造部材141は加熱チャンバー147の一部のチャンバー底壁を形成するように構成され、少なくとも一部の第1構造部材141自体は第1導電領域を形成する。第2構造部材143は加熱チャンバー147のチャンバー側壁の一部を形成するように構成され、少なくとも一部の第2構造部材143自体は第2導電領域を形成する。絶縁部材145は第1構造部材141と第2構造部材143との間に設けられ、絶縁部材145自体は絶縁領域を形成する。
【0037】
具体的には、第1構造部材141は中実の円柱状構造を呈し、第1構造部材141全体は導電材料で製造され、第1構造部材141の上面は加熱チャンバー147の一部のチャンバー底壁を形成し、第1構造部材141自体は第1導電領域を形成する。
【0038】
絶縁部材145は中空の回転体状構造を呈し、絶縁部材145全体は絶縁材料で製造され、絶縁底壁1452と、絶縁底壁1452から同一方向に延伸して形成された絶縁側壁1454とを含み、絶縁側壁1454は周方向に沿って絶縁底壁1452を取り囲んで絶縁収容チャンバーを形成する。絶縁底壁1452には絶縁収容チャンバーに連通する取り付け孔が穿設され、取り付け孔は絶縁収容チャンバーと同軸に設けられ、且つ取り付け孔の内径は絶縁収容チャンバーの内径よりも小さい。第1構造部材141は取り付け孔内に収容され、絶縁底壁1452の上面は第1構造部材141の上面を取り囲んで他の一部のチャンバー底壁を形成し、絶縁側壁1454の内側面は加熱チャンバー147の一部のチャンバー側壁を形成し、絶縁部材145自体は絶縁領域を形成する。
【0039】
第2構造部材143は中空の管状構造を呈し、第2構造部材143全体は導電材料で製造され、第2構造部材143は、一端が絶縁側壁1454に接続され、他端が第1構造部材141から離れる方向に垂直に延伸して中空の円柱状構造を形成し、且つ絶縁収容チャンバーに連通し、且つ第2構造部材143の内径は絶縁部材145の内径と同じであり、第2構造部材143の内側面は加熱チャンバー147の他の一部のチャンバー底壁を形成し、第2構造部材143自体は第2導電領域を形成する。
【0040】
このように、絶縁部材145、第1構造部材141及び第2構造部材143は共に一端が開口した加熱チャンバー147を形成し、絶縁底壁1452は第1構造部材141と共に加熱チャンバー147のチャンバー底壁を形成し、絶縁側壁1454は第2構造部材143と共に加熱チャンバー147のチャンバー側壁を形成する。エアロゾル発生基質200の一端は第2構造部材143を貫通して第1構造部材141に当接し、第2構造部材143はエアロゾル発生基質200の外周面を覆っているため、エアロゾル発生基質200は第1構造部材141と第2構造部材143との間の抵抗値と静電容量値を増加させる役割を果たすことができる。ここで、必要に応じて第1構造部材141のサイズ及びそれにマッチングする取り付け孔の大きさを調整して、第1構造部材141と第2構造部材143との間の最小隙間を調整することで、第1構造部材141と第2構造部材143との間の距離が小さすぎることによる誤トリガを回避することができる。
【0041】
図3に示されるように、他のいくつかの実施例において、絶縁部材145は両端が開口した筒状構造を呈し、絶縁部材145の内径は各箇所で等しく、第1構造部材141は絶縁部材145内に収容され、且つ絶縁部材145の軸方向の長さは第1構造部材141の軸方向の長さより大きく、絶縁部材145は加熱チャンバー147の開口端に向いた第1構造部材141の一端から突出する。
【0042】
図4に示されるように、他のいくつかの実施例において、絶縁部材145は第1構造部材141と第2構造部材143との間に設けられ、絶縁部材145は両端が開口した筒状構造を呈し、第1構造部材141及び第2構造部材143はそれぞれ絶縁部材145の対向する両端に当接される。
【0043】
他のいくつかの実施例において、上記の第1構造部材141及び第2構造部材143の代わりに、第1導電領域及び第2導電領域はいずれもメインハウジングに形成された導電膜層で形成される。
【0044】
いくつかの実施例において、電子アトマイザーは振動ユニット(図示せず)をさらに含み、振動ユニットは、第1構造部材141と第2構造部材143が固体エアロゾル発生基質200を介して電気的に接続される場合、振動を発生させて、エアロゾル発生基質200が正確な位置に挿入されたことを使用者に通知し、エアロゾル発生基質200が第1構造部材141に接触した後に使用者が力を入れ続けてエアロゾル発生基質200を変形又は損傷させることを回避することができる。
【0045】
上記の加熱部品110と電子アトマイザーは、エアロゾル発生基質200によって第1導電領域と第2導電領域との間の導電性が増加する原理を利用して挿入検出を行い、構造が簡単で且つ比較的高い信頼性を有するとともに、エアロゾル発生基質200を損傷することがない。また、上記加熱部品110は、エアロゾル発生基質200が加熱チャンバー147の底部に挿入されたか否かを正確に検出することができ、且つ振動によって使用者にフィードバックし、加熱位置のずれによる加熱効果への影響を回避すると同時に、使用者が過度に力を入れてエアロゾル発生基質200を変形させることを回避し、良好な喫煙体験を保証することができる。
【0046】
上述した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明の簡潔さのために、上述した実施例の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせが記載されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせが矛盾しない限り、本明細書の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0047】
以上の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を表現したに過ぎず、より具体的且つ詳細に説明されているが、本発明の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。当業者にとっては、本発明のコンセプトから逸脱しない限り、若干の変形や改良が可能であり、これらは本発明の保護範囲に含まれることに留意されたい。したがって、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に規定されるものとする。
【符号の説明】
【0048】
100 電子アトマイザー
110 加熱部品
120 メインハウジング
140 加熱筒
141 第1構造部材
143 第2構造部材
145 絶縁部材
1452 絶縁底壁
1454 絶縁側壁
147 加熱チャンバー