(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】物品搬送システム及び物品搬送システムの運営方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240621BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240621BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240621BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G05D1/43
B65G1/00 501C
H01L21/68 A
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2022207823
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0189974
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0158084
(32)【優先日】2022-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジン,メイ シャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,シク
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/132651(WO,A1)
【文献】特開2007-141019(JP,A)
【文献】特開2017-191361(JP,A)
【文献】特開2005-026421(JP,A)
【文献】特開平11-102953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 ー 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品搬送システムの運営方法において、
前記物品搬送システムは、
基板処理装置の上側に設置されるレールと、
前記レールに沿って走行し、前記基板処理装置に物品を搬送する搬送車両と、を含み、
前記運営方法は、
前記物品搬送システムを運営して運営データを収集するデータ収集段階と、
前記運営データに基づいて前記基板処理装置の予測搬送要請時点を導出し、導出された前記予測搬送要請時点より以前時点である前記搬送車両に対する先呼出時点を導出する先呼出時点演算段階と、
先呼出の可否判断段階と、
搬送段階と、を含み、
前記先呼出時点演算段階に
おいては、
前記運営データに基づいて前記基板処理装置の予測搬送時間間隔を導出し、
実際の搬送要請時点に前記予測搬送時間間隔を加えて前記予測搬送要請時点を導出
し、
前記運営データに基づいて前記搬送車両が前記基板処理装置に到着するのに所要される予測到着所要時間及び/又は前記搬送車両が前記基板処理装置に到着する時まで移動した予測移動距離を導出し、
前記予測搬送要請時点から前記予測到着所要時間を引いた時点と同一であるか、或いはそれより早い時点を前記先呼出時点で指定し、
前記先呼出の可否判断段階においては、
指定された前記先呼出時点が現在時点を過ぎたか、又は前記現在時点を過ぎていないかを判断して前記搬送車両の先呼出を進行するかどうかを判断し、指定された前記先呼出時点が前記現在時点を過ぎていない場合、第1搬送モデルに基づいて前記搬送段階を遂行し、
前記搬送段階においては、
前記先呼出の可否判断段階で判断された結果に基づいて、前記第1搬送モデルと前記第1搬送モデルと異なる第2搬送モデルの中で選択された搬送モデルを利用して物品を搬送し、
前記第1搬送モデルは、
前記搬送車両の中でいずれか1つを選択して選択された前記搬送車両と前記基板処理装置の距離を確認し、
測定された前記距離に基づいて、選択された前記搬送車両の予約が可能であるかどうかを判断する、運営方法。
【請求項2】
前記第1搬送モデルは、
前記予測移動距離に対する測定された前記距離との比率を利用して前記搬送車両の予約可能可否を決定する請求項
1に記載の運営方法。
【請求項3】
前記第1搬送モデルは、
予約された前記搬送車両が前記基板処理装置に移動する途中前記基板処理装置の実際の搬送要請が発生する場合、前記搬送車両の予約を確定して搬送を遂行する請求項
2に記載の運営方法。
【請求項4】
前記第1搬送モデルは、
予約された前記搬送車両が前記基板処理装置に移動する途中、前記基板処理装置の実際の搬送要請が発生しない場合、前記基板処理装置の上側で待機する請求項
2に記載の運営方法。
【請求項5】
前記基板処理装置の上側で前記搬送車両が待機する間に、前記搬送車両の回避が必要である場合、前記第2搬送モデルを適用して他の搬送車両を呼び出す請求項
4に記載の運営方法。
【請求項6】
前記第2搬送モデルは、
前記基板処理装置が実際の搬送要請を発生させ、
その後、前記基板処理装置の前記実際の搬送要請を遂行することができる前記搬送車両を検索し、
検索された前記搬送車両に制御装置が課題を割当し、
前記制御装置から課題が割当された前記搬送車両が搬送を遂行する請求項
1に記載の運営方法。
【請求項7】
半導体製造ラインに物品を搬送する物品搬送システムにおいて、
基板処理装置の上側に設置されるレールと、
前記レールに沿って走行し、前記基板処理装置に物品を搬送する搬送車両と、
前記搬送車両の走行を制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、
前記搬送車両が前記基板処理装置に物品を搬送しながら、獲得される運営データを収集するデータ収集部と、
前記運営データに基づいて搬送要請時間間隔を予測し、実際の搬送要請が発生した搬送要請時点に前記搬送要請時間間隔を加えて前記基板処理装置の予測搬送要請時点を導出し、導出された予測搬送時点より以前時点である前記搬送車両の中で第1搬送車両に対する先呼出時点を導出
し、前記運営データに基づいて前記搬送車両が前記基板処理装置に到着するのに所要される予測到着所要時間及び/又は前記搬送車両が前記基板処理装置に到着する時まで移動した予測移動距離を導出し、前記予測搬送要請時点から前記予測到着所要時間を引いた時点と同一であるか、或いはそれより早い時点を前記先呼出時点で指定する先呼出時点演算部と、
導出された前記先呼出時点が現在時点を過ぎたか、又は前記現在時点を過ぎていないかを判断して前記第1搬送車両の先呼出を進行するかどうかを判断し、
指定された前記先呼出時点が前記現在時点を過ぎていない場合、第1搬送モデルに基づいて搬送を遂行する先呼出の可否判断部と、
前記先呼出の可否判断部で前記先呼出を進行することと判断した場合、
前記第1搬送モデルに基づいて物品を搬送し、前記先呼出を進行しないことと判断した場合、前記第1搬送モデルと異なる第2搬送モデルに基づいて物品を搬送するように前記搬送車両に制御信号を伝送する搬送遂行部と、を含
み、
前記第1搬送モデルは、前記搬送車両の中でいずれか1つを選択して選択された前記搬送車両と前記基板処理装置の距離を確認し、測定された前記距離に基づいて、選択された前記搬送車両の予約が可能であるかどうかを判断する、物品搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送システム及び物品搬送システムの運営方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を製造するためにウエハのような基板には写真、蝕刻、アッシング、イオン注入、そして薄膜蒸着等の様々な工程が遂行される。各々の工程を遂行することができる基板処理装置(半導体装備)は半導体製造ラインに配置される。半導体製造ラインには物品を搬送する搬送車両が提供される。例えば、半導体製造ラインには、半導体製造ラインの天井に設置されたレールに沿って走行するオーバーヘッドトランスポート(Over Head Transport:OHT)、半導体製造ラインの底に沿って自律走行するオートビヒクルロボット(Auto Vehicle Robot:AVR)が提供されることができる。OHTとAVRは工程を遂行するのに必要である物品を搬送する。工程を遂行するのに必要である物品は被処理物であるウエハ、ガラス等の基板であるか、又は工程に使用されるマスクや、フォーカスリングのようなプロセスキット(Process Kit)であり得る。
【0003】
半導体製造ラインはOHTのような搬送車両を制御する制御装置を具備する。制御装置は搬送車両の走行速度、搬送車両の走行方向、搬送車両が物品を搬送する搬送目的地等のような運行情報を収集することができる。また、制御装置は搬送車両を制御するための制御信号を発生させることができる。一般的な搬送システムの運営方法に対して説明すれば、まず基板処理装置で物品が必要である場合、基板処理装置が物品搬送要請信号を発生させる。例えば、基板処理装置が伝達されたウエハに対する処理を完了した場合、基板処理装置は未処理ウエハを搬送するように要求された物品搬送要請信号を発生させる。物品搬送要請信号は有線/無線通信等の方式に搬送システムが具備する構成を制御する制御装置に伝送される。物品搬送要請信号が伝送されれば、制御装置は物品搬送要請信号を発生させた基板処理装置に関する識別情報(識別情報は基板処理装置の位置情報を含む)、必要である物品の種類、及び必要である物品の数に関する情報を課題リーストに追加する。即ち、課題リーストには搬送システムが搬送しなければならない搬送課題がリーストアップ(List Up)される。その後、制御装置は該当搬送課題を遂行することができる搬送車両を探索し、探索された搬送車両の中で課題を遂行するのに適合な搬送車両に上の搬送課題を割当する。課題が割当された搬送車両は搬送を遂行する。
【0004】
しかし、このような運営方法は、基板処理装置での搬送要請が発生した後に搬送課題がリーストに追加される。言い換えれば、搬送システムの搬送車両の制御は基板処理装置の搬送要請が発生した後に行われる。したがって、一般的な搬送システムの運営方法は後続的であり、受動的である。また、一般的な搬送システムの運営方法は搬送車両が搬送を要請した後、搬送車両が基板処理装置に到着するのに所要される時間を短縮させることに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は物品を効果的に搬送することができる物品搬送システム及び物品搬送システムの運営方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は物品搬送の時、所要される時間を短縮することができる物品搬送システム及び物品搬送システムの運営方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は物品搬送の時、ターゲット装置の搬送要請時点を予測して、搬送車両を先行的、そして能動的に制御することができる物品搬送システム及び物品搬送システムの運営方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は物品搬送に所要される時間を最小化して、ターゲット装置の稼動率を改善することができる物品搬送システム及び物品搬送システムの運営方法を提供することにある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題が上述した課題に限定されることはなく、言及されなかった課題は本明細書及び添付された図面から本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は物品搬送システムの運営方法を提供する。運営方法は、予め収集された前記物品搬送システムの運営データからターゲット装置の予測搬送要請時点を導出し、導出された前記予測搬送要請時点より以前に前記物品搬送システムが有する搬送車両を呼び出して前記ターゲット装置に移動させることができる。
【0012】
一実施形態によれば、前記運営データに基づいて、前記搬送車両を呼び出す時、前記ターゲット装置に前記搬送車両が到着するのに所要される予測到着所要時間を導出し、導出された前記予測搬送要請時点と前記予測到着所要時間に基づいて搬送車両を呼び出す搬送車両先呼出時点を導出することができる。
【0013】
一実施形態によれば、前記搬送車両先呼出時点は、前記予測搬送要請時点から前記予測到着所要時間を引いた時点と同一であるか、或いはそれより早い時点で指定されることができる。
【0014】
一実施形態によれば、前記物品搬送システムを設定する期間の間に運営して、a)前記ターゲット装置の搬送要請時間間隔、b)搬送車両呼出の時、搬送車両が前記ターゲット装置に到着するのに所要される到着所要時間、及び/又はc)搬送車両呼出の時、搬送車両が前記ターゲット装置まで移動する移動距離に関するデータを収集することができる。
【0015】
一実施形態によれば、収集された前記データの代表値を前記運営データに追加することができる。
【0016】
一実施形態によれば、前記運営データに格納された前記代表値に各々加重値を掛けて、前記予測搬送要請時間間隔、前記予測到着所要時間、及び/又は搬送車両の予測移動距離を導出することができる。
【0017】
一実施形態によれば、最近に前記運営データに追加された前記代表値であるほど、前記加重値のサイズを大きくすることができる。
【0018】
一実施形態によれば、前記加重値の和は1であり得る。
【0019】
また、本発明は物品搬送システムの運営方法を提供する。運営方法は、前記物品搬送システムは、基板処理装置の上側に設置されるレール、及び前記レールに沿って走行し、前記基板処理装置に物品を搬送する搬送車両を含み、前記運営方法は、前記物品搬送システムを運営して運営データを収集するデータ収集段階、及び
前記運営データに基づいて前記基板処理装置の予測搬送要請時点を導出し、導出された前記予測搬送要請時点より以前時点である前記搬送車両に対する先呼出時点を導出する先呼出時点演算段階を含むことができる。
【0020】
一実施形態によれば、前記先呼出時点演算段階には、前記運営データに基づいて前記基板処理装置の予測搬送時間間隔を導出し、実際の搬送要請時点に前記予測搬送時間間隔を加えて前記予測搬送要請時点を導出することができる。
【0021】
一実施形態によれば、前記先呼出時点演算段階には、前記運営データに基づいて前記搬送車両が前記基板処理装置に到着するのに所要される予測到着所要時間及び/又は前記搬送車両が前記基板処理装置に到着する時まで移動した予測移動距離を導出し、
前記予測搬送要請時点から前記予測到着所要時間を引いた時点と同一であるか、或いはそれより早い時点を前記先呼出時点で指定することができる。
【0022】
一実施形態によれば、指定された前記先呼出時点が現在時点を過ぎたか、又は前記現在時点を過ぎていないかを判断して前記搬送車両の先呼出を進行するかどうかを判断する先呼出の可否判断段階をさらに含むことができる。
【0023】
一実施形態によれば、前記先呼出の可否判断段階で判断された結果に基づいて、第1搬送モデルと前記第1搬送モデルと異なる第2搬送モデルの中で選択された搬送モデルを利用して物品を搬送する搬送段階を含むことができる。
【0024】
一実施形態によれば、指定された前記先呼出時点が前記現在時点を過ぎていない場合、前記第1搬送モデルに基づいて前記搬送段階を遂行し、前記第1搬送モデルは、前記搬送車両の中でいずれか1つを選択して選択された前記搬送車両と前記基板処理装置の距離を確認し、測定された前記距離に基づいて、選択された前記搬送車両の予約が可能であるかどうかを判断することができる。
【0025】
一実施形態によれば、前記第1搬送モデルは、前記予測移動距離に対する測定された前記距離との比率を利用して前記搬送車両の予約可能可否を決定することができる。
【0026】
一実施形態によれば、前記第1搬送モデルは、予約された前記搬送車両が前記基板処理装置に移動する途中に前記基板処理装置の実際の搬送要請が発生する場合、前記搬送車両の予約を確定して搬送を遂行することができる。
【0027】
一実施形態によれば、前記第1搬送モデルは、予約された前記搬送車両が前記基板処理装置に移動する途中に前記基板処理装置の実際の搬送要請が発生しない場合、前記基板処理装置の上側で待機することができる。
【0028】
一実施形態によれば、前記基板処理装置の上側で前記搬送車両が待機する間に、前記搬送車両の回避が必要である場合、前記第2搬送モデルを適用して他の搬送車両を呼び出すことができる。
【0029】
一実施形態によれば、前記第2搬送モデルは、前記基板処理装置が実際の搬送要請を発生させた後、前記基板処理装置の前記実際の搬送要請を遂行することができる前記搬送車両を検索し、検索された前記搬送車両に制御装置が課題を割当し、前記制御装置から課題が割当された前記搬送車両が搬送を遂行することができる。
【0030】
また、本発明は物品搬送システムを提供する。物品搬送システムは、半導体製造ラインに物品を搬送する物品搬送システムにおいて、基板処理装置の上側に設置されるレール、前記レールに沿って走行し、前記基板処理装置に物品を搬送する搬送車両、前記搬送車両の走行を制御する制御装置を含み、前記制御装置は、前記搬送車両が前記基板処理装置に物品を搬送しながら、獲得される運営データを収集するデータ収集部、前記運営データに基づいて前記基板処理装置の予測搬送要請時点を導出し、導出された予測搬送時点より以前時点である前記搬送車両の中で第1搬送車両に対する先呼出時点を導出する先呼出時点演算部、導出された前記先呼出時点が現在時点を過ぎたか、又は前記現在時点を過ぎていないかを判断して前記第1搬送車両の先呼出を進行するかどうかを判断する先呼出の可否判断部、及び前記先呼出の可否判断部で前記先呼出を進行することと判断した場合、第1搬送モデルに基づいて物品を搬送し、前記先呼出を進行しないことと判断した場合、前記第1搬送モデルと異なる第2搬送モデルに基づいて物品を搬送するように前記搬送車両に制御信号を伝送する搬送遂行部を含むことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一実施形態によれば、物品を効果的に搬送することができる。
【0032】
また、本発明の一実施形態によれば、物品搬送の時、所要される時間を短縮することができる。
【0033】
また、本発明の一実施形態によれば、物品搬送の時、ターゲット装置の搬送要請時点を予測して、搬送車両を先行的、そして能動的に制御することができる。
【0034】
また、本発明の一実施形態によれば、物品搬送に所要される時間を最小化して、ターゲット装置の稼働率を改善することができる。
【0035】
本発明の効果が上述した効果によって限定されることではなく、言及されない効果は本明細書及び添付された図面から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態による物品搬送システムを概略的に示した説明図である。
【
図2】
図1の搬送車両を正面から見た断面図である。
【
図3】
図1の搬送車両を側面から見た断面図である。
【
図4】
図1の制御装置を概略的に示したブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態による運営方法の予測モデルを概略的に示した説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態による運営方法を概略的に示したフローチャートである。
【
図7】
図6のデータ収集段階を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図6の先呼出時点演算段階を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図6の第1搬送モデルを説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図6の第2搬送モデルを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では添付した図面を参考として本発明の実施形態に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施形態に限定されない。また、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明することにおいて、関連された公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすることができていると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。また、類似な機能及び作用をする部分に対しては図面の全体に亘って同一な符号を使用する。
【0038】
異なりに定義されない限り、技術的であるか、或いは科学的な用語を含んで、ここで使用されるすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されることと同一な意味である。一般的に使用される事前に定義されていることと同一の用語は関連技術の文脈の上に有する意味と一致する意味であることと解析されるべきであり、本出願で明確に定義しない限り、理想的であるか、或いは過度に形式的な意味として解釈されない。
【0039】
以下では説明する物品搬送システムは半導体素子及び/又は平板表示パネルを製造する製造ライン上で物品を搬送するシステムであり得る。以下では説明する物品搬送システムはウエハ、マスク、ガラス、フォーカスリングのようなプロセスキット(Process Kit)のような物品を搬送するシステムであり得る。物品はカセット(Cassette)、フープ(FOUP)、ポッド(POD)、マガジン(MAGAZINE)、トレイ(TRAY)である容器に収納されて搬送されることができる。
【0040】
以下では、説明する搬送車両は半導体製造ラインの天井に設置されたレールに沿って走行するオーバーヘッドトランスポート(OverHead Transport)であることを例として説明する。また、以下では、物品搬送システムがウエハのような基板をフープ(FOUP)に収納し、フープ(FOUP)に収納された基板を搬送することを例として説明する。また、以下では、搬送車両が物品を搬送するターゲット装置が基板に対する写真、蝕刻、アッシング、イオン注入、そして薄膜蒸着等の半導体素子製造工程を遂行する基板処理装置であることを例として説明する。
【0041】
図1は本発明の一実施形態による物品搬送システムを概略的に示した説明図である。
【0042】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による物品搬送システム10は物品の搬送が必要であるターゲット装置である基板処理装置APに物品を搬送することができる。半導体製造ラインには複数の基板処理装置APが配置されることができる。例えば、半導体製造ラインには第1基板処理装置AP-A乃至第12基板処理装置AP-Lが配置されることができる。しかし、これは例示に過ぎなく、半導体製造ラインにはこれより多い基板処理装置APが配置されることができる。
【0043】
物品搬送システム10はレール100、搬送車両200、及び制御装置300を含むことができる。
【0044】
レール100は半導体製造ラインの天井に設置されることができる。レール100は半導体製造ラインの天井に金属素材の懸垂棒を通じて懸垂される形態に設置されることができる。レール100は半導体製造ラインの天井に設置され、搬送車両200が基板処理装置APの上方を通過できるように設置されることができる。例えば、レール100は上方で基板処理装置APを見る時、基板処理装置APが有するロードポートと重畳されるように設置されることができる。ロードポートは搬送車両100が搬送する容器がローディング又はアンローディングされることができる基板処理装置APの一部を構成するユニットであり得る。ロードポートは搬送車両200が搬送する容器が安着されるように構成されることができる。ロードポートに容器が置かれれば、容器内に収納された物品、例えばウエハのような基板は基板処理装置APの内部に搬送されることができる。基板処理装置APの内部に搬送された基板には処理工程が遂行されることができる。
【0045】
搬送車両200はレール100に沿って走行することができる。物品搬送システム10は複数の搬送車両200を有することができる。例えば、物品搬送システム10は第1搬送車両200A乃至第12搬送車両200Lを有することができる。しかし、これは例示に過ぎなく、物品搬送システム10はこれより多い搬送車両200を具備することができる。
【0046】
搬送車両200はレール100に沿って走行しながら、物品を搬送することができる。搬送車両200は後述する制御装置300から制御信号が伝送されて物品を搬送することができる。搬送車両200は後述する制御装置300から物品搬送に関する搬送課題が割当されて基板処理装置APに物品を搬送することができる。また、搬送車両200が物品を搬送することは、基板処理装置APに物品を持って下ろすことだけでなく、基板処理装置APから物品を回収することも含む概念として解釈されるべきである。
【0047】
図2は
図1の搬送車両を正面から見た断面図であり、
図3は
図1の搬送車両を側面から見た断面図である。
【0048】
図1乃至
図3を参照すれば、本発明の一実施形態による搬送車両200は上述した走行レール100に沿って走行可能に構成されることができる。搬送車両200は容器Cを把持可能に構成されることができる。搬送車両200は容器Cを把持した状態にレール100を走行可能に構成されることができる。搬送車両200はボディー210、走行ホイール220、ステアリング器具230、フレーム240、ネック250、スライダー260、昇降器具270、グリップ器具280、そして制御ユニット290を含むことができる。
【0049】
ボディー210には走行ホイール220、ステアリング器具230、そしてネック250が結合されることができる。ボディー210には走行ホイール220が回転可能に結合されることができる。また、ボディー210には走行ホイール220を回転させる走行駆動器211が具備されることができる。また、ボディー210には搬送車両200の動作を制御する、制御ユニット290が具備されることができる。また、ステアリング器具230はボディー210の上面に提供されることができる。また、ボディー210にはネック250が回転可能に結合されることができる。
【0050】
走行駆動器211は走行ホイール220に動力を伝達して走行ホイール220を回転させることができる。また、ボディー210は複数に提供されることができる。各々のボディー210は上述した走行駆動器211を有することができる。また、各々のボディー210には上述した走行ホイール220、ステアリング器具230、そしてネック250が結合されることができる。
【0051】
走行ホイール220はボディー210に回転可能に結合されることができる。走行ホイール220は走行駆動器211から動力が伝達されて回転されることができる。走行ホイール220は走行レール100と接触して回転されることができる。走行ホイール220はボディー210に結合されることができる。走行ホイール220はボディー210に回転可能に結合されることができる。走行ホイール220は走行レール100と接触され、回転されて走行レール310を走行することができる。走行ホイール220は複数に提供されることができる。走行ホイール220は一対で提供されることができる。走行ホイール220の中でいずれか1つはボディー210の一面に回転可能に結合され、走行ホイール220の中で他の1つはボディー210の一面と対向される他面に回転可能に結合されることができる。
【0052】
ステアリング器具230はボディー210の上部に設置されることができる。ステアリング器具230は複数のステアリングホイール232、そしてステアリングレール234を含むことができる。ステアリングホイール232は、上部から見る時、搬送車両ト200の走行方向と平行である方向に沿って配置されることができる。また、ステアリングレール234はその長さ方向が、上部から見る時、搬送車両200の走行方向と垂直になる方向と平行することができる。また、ステアリングホイール232はステアリングレール234の長さ方向に沿ってその位置が変更されることができる。
【0053】
フレーム240は内部空間を有することができる。フレーム240の内部空間には後述するスライダー260、昇降器具270、そしてグリップ器具280が提供されることができる。また、フレーム240は両側面及び下面が開放された六面体形状を有することができる。即ち、フレーム240の前面及び背面はブロッキングプレート(Blocking Plate)で提供されることができる。したがって、搬送車両200が走行する時、空気抵抗によって把持された容器Cが揺れることを防止することができる。また、フレーム240はネック250を媒介でボディー210に結合されることができる。ネック250はボディー210、そしてフレーム240に対して回転可能に提供されることができる。フレーム240は少なくとも1つ以上のネック250を媒介で少なくとも1つ以上のボディー210に結合されることができる。例えば、フレーム240は1つが提供され、1つのフレーム240には2つのネック250が結合されることができる。そして、2つのネック250は互いに異なるボディー210に各々結合されることができる。
【0054】
スライダー260はフレーム240に結合されることができる。スライダー260は昇降器具270の位置を変更させることができる。スライダー260は昇降器具270を搬送車両200の走行方向に垂直になる方向に移動させることができる。即ち、スライダー260はグリップ器具280がグリップする容器Cを搬送車両200の走行方向に対して左右側方にその位置を変更させることができる。
【0055】
昇降器具270はボディー210、そしてグリップ器具280の間に提供されることができる。昇降器具270はグリップ器具280を上下方向に移動させることができる。昇降器具270はグリップ器具280を上昇又は下降させることができる。昇降器具270は昇降駆動器271とベルト272を含むことができる。昇降器具270はホイスト(Hoist)装置と称されることができる。昇降駆動器271はベルト272を巻くか、或いは緩めて懸垂されるベルト272の長さを変更させることができる。例えば、昇降駆動器571がベルト272を緩めると、ベルト572の長さは長くなり、昇降駆動器271がベルト272を巻くと、ベルト272の長さは短くなることができる。また、ベルト272は複数に提供されることができる。複数のベルト272の一端は、各々グリップ器具280と連結されることができる。
【0056】
グリップ器具280は容器Cを把持することができる。グリップ器具280がクローズ(Close)される場合、グリップ器具280は容器Cを把持することができる。グリップ器具280がオープン(Open)される場合、グリップ器具280は容器Cを置くことができる。即ち、グリップ器具280は容器Cを着脱可能に把持することができる。グリップ器具280は容器Cを基板処理装置APのロードポートからアンローディングすることができる。
【0057】
制御ユニット290は上述したようにボディー210に具備されることができる。制御ユニット290はボディー210が有する内部空間に具備されることができる。制御ユニット290は搬送車両200が有する構成、例えば走行駆動器211、昇降駆動器271、そしてスライダー260の中で少なくとも1つ以上を制御することができる。制御ユニット290は走行駆動器211、昇降駆動器271、そしてスライダー260を制御することができる制御信号を発生させることができるプロセッサを含むことができる。プロセッサは演算及び信号処理のための1つ、又はその以上のプロセシング回路で構成されることができる。
【0058】
また、制御ユニット290は後述する制御装置300と無線通信が可能に無線LANカード(LAN Card)を含むことができる。制御ユニット290は制御装置300に搬送車両200の走行速度、走行方向、搬送目的地、搬送車両200の現在位置、搬送車両200と搬送目的地までの距離、搬送車両200が搬送目的地まで到着するのに所要される到着所要時間、搬送物品の種類、搬送物品の数等のようなデータを制御装置300に伝送することができる。
【0059】
再び
図1を参照すれば、制御装置300は物品搬送システム10を制御することができる。制御装置300は搬送車両200を制御することができる。制御装置300は搬送車両200を制御して半導体製造ラインに配置される基板処理装置APに物品が収納された容器を搬送することができる。制御装置300は搬送車両200の走行を制御することができる。制御装置300は搬送車両200を制御する制御信号(命令)を搬送車両200に伝送することができる。制御装置300は搬送車両200と無線通信方式に接続されることができる。制御装置300の制御信号(命令)にしたがって搬送車両200は制御装置300が指令する出発位置から目的地位置に物流を移送することができる。制御装置300はOCS(Overhead Transport Control System:OCS)であり得る。
【0060】
制御装置300は物品搬送システム10の構成の制御を実行するマイクロプロセッサー(コンピュータ)で行われるプロセスコントローラと、オペレータが物品搬送システム10を管理するためにコマンド入力操作等を行うキーボードや、基板処理装置の稼動状況を可視化して表示するディスプレー等で成されるユーザインターフェイスと、物品搬送システム10で実行される処理をプロセスコントローラの制御で実行するための制御プログラムを記憶する記憶媒体を具備することができる。また、ユーザインターフェイス及び格納媒体はプロセスコントローラに接続されていることができる。記憶媒体は、ハードディスクであってもよく、CD-ROM、DVD等の可搬性ディスクや、フラッシュメモリ等の半導体メモリであってもよい。
【0061】
図4は
図1の制御装置を概略的に示したブロック図である。
【0062】
図1及び
図4を参照すれば、制御装置300の機能的構成を説明すれば、制御装置300はデータ収集部310、先呼出時点演算部320、先呼出の可否判断部330、及び搬送遂行部340を含むことができる。データ収集部310は搬送車両200がレール100に沿って走行して基板処理装置APに物品を搬送しながら、獲得する運営データを収集することができる。即ち、データ収集部310は後述するデータ収集段階(S10)を遂行することができる。
【0063】
先呼出時点演算部320はデータ収集部310が収集した運営データに基づいて、基板処理装置APの予測搬送要請時点を導出し、導出された予測搬送時点より以前に搬送車両APの中でいずれか1つ、例えば第1搬送車両AP-Aに対する先呼出を進行する先呼出時点を導出することができる。即ち、先呼出時点演算部320は後述する先呼出時点演算段階(S20)を遂行することができる。
【0064】
先呼出の可否判断部330は先呼出時点演算段階(S20)で導出された先呼出時点が、現在時点を過ぎたか、又は現在時点を過ぎていないかを判断して、搬送車両APの中でいずれか1つ、例えば第1搬送車両AP-Aに対する先呼出を進行するかどうかを判断することができる。即ち、先呼出の可否判断部330は後述する先呼出の可否判断段階(S30)を遂行することができる。
【0065】
搬送遂行部340は後述する第1搬送モデルPMと、第2搬送モデルBMを記憶することができる。第1搬送モデルPMと第2搬送モデルBMは予め設定されたアルゴリズムであり得る。第1搬送モデルPMと第2搬送モデルBMは互いに異なる搬送アルゴリズムであり得る。先呼出の可否判断部330で先呼出を進行することと判断した場合、搬送遂行部340は第1搬送モデルPMに基づいて物品搬送システム10を運営することができる。先呼出の可否判断部330で先呼出を進行しないことと判断した場合、搬送遂行部340は第2搬送モデルBMに基づいて物品搬送システム10を運営することができる。即ち、搬送遂行部340は先呼出進行の可否にしたがって搬送車両200に制御信号を伝送することができる。搬送遂行部340は後述する搬送段階(S40)を遂行することができる。
【0066】
図5は本発明の一実施形態による運営方法の予測モデルを概略的に示した説明図である。
【0067】
図1及び
図5を参照すれば、一般的に搬送車両200に物品を搬送するという課題を割当することは、まず基板処理装置APで物品を搬送してもらうという搬送要請信号を発生させ、その後に制御装置300が該当搬送要請信号に合致する課題を遂行することができる搬送車両200を検索する。そして、制御装置300は検索された搬送車両200に課題を割当する。課題が割当された搬送車両200は基板処理装置APに物品を搬送する搬送を遂行する。しかし、このような方式は基板処理装置APの搬送要請信号が発生された後に搬送車両200に対する課題割当が行われるので、物品搬送時間を短縮させるのに限界がある。
【0068】
したがって、本発明の一実施形態によれば、
図5に図示されたような物品搬送システム10に予測モデルを適用して物品を搬送する。
【0069】
基板処理装置APは一般的に同一な処理工程を反復的に遂行する。したがって、基板処理装置APが物品の搬送を要請する搬送要請時点も反復される。基板処理装置APは同一な工程を反復的に遂行するので、搬送要請時点もある程度一定である。即ち、物品搬送システム10を運営して獲得される運営データの統計的処理を通じて、基板処理装置APの搬送要請時間間隔TFを高い確率で予測することができる。搬送要請時間間隔TFを予測できるようになれば、搬送要請時点t0の後、その次の搬送要請時点として予測される、予測搬送要請時点tPを導出することができる。
【0070】
また、物品搬送システム10を運営して獲得される運営データから、搬送車両200が搬送要請を発生させた基板処理装置APに到着する到着所要時間を高い確率で予測することができる。搬送車両200の予測到着所要時間と、予測搬送要請時点tPを導出できるようになれば、搬送車両200に対する先呼出時点tnextを導出することができる。先呼出時点tnextは実際の搬送要請が発生した搬送要請時点t0と予測搬送要請時点tPとの間の時点であり得る。先呼出時点tnextに搬送車両200を先呼び出すようになれば、搬送車両200は高い確率でその次の搬送要請時点として予測される予測搬送要請時点tPに基板処理装置APに到着することができる。
【0071】
以下では、
図5で説明した予測モデルを適用した物品搬送システム10の運営方法をより詳細に説明する。
【0072】
図6は本発明の一実施形態による運営方法を概略的に示したフローチャートである。
【0073】
図1及び
図6を参照すれば、本発明の一実施形態による物品搬送システム10の運営方法は、データ収集段階(S10)、先呼出時点演算段階(S20)、先呼出の可否判断段階(S30)、及び搬送段階(S40)を含むことができる。データ収集段階(S10)、先呼出時点演算段階(S20)、先呼出の可否判断段階(S30)、及び搬送段階(S40)は順次的に遂行されることができる。データ収集段階(S10)、先呼出時点演算段階(S20)、先呼出の可否判断段階(S30)、及び搬送段階(S40)は上述した制御装置300によって遂行されることができる。
【0074】
図7は
図6のデータ収集段階を説明するためのフローチャートである。
【0075】
図1、
図6、及び
図7を参照すれば、ステップS11では、物流ラインを運営する。物流ラインを運営することは物品搬送システム10を通じてターゲット装置、例えば基板処理装置APに物品を伝達し、基板処理装置APから物品を回収することを意味することができる。上述したように物品搬送システム10を運営すれば、様々なデータを収集することができる。
【0076】
データとは基板処理装置APが物品の搬送を要請する搬送要請時間間隔、制御装置300が基板処理装置APの搬送要請に基づいて搬送車両200を呼び出す時、搬送車両200が基板処理装置APに到着するのに所要される時間、制御装置300が基板処理装置APを呼び出す時、搬送車両200が基板処理装置APまで移動する移動距離であり得る。
【0077】
例えば、基板処理装置APの中で第1基板処理装置AP-Aの搬送要請時間間隔は10分、10分15秒、9分58秒、10分12秒等のように大略10分程度の時間間隔に物品の搬送を繰り返して要請することができる。
【0078】
例えば、第1基板処理装置AP-Aが発生させる各々の物品搬送要請信号に対応して、制御装置300が搬送車両200を呼び出す時、搬送車両200の中でいずれか1つが選択されて第1基板処理装置AP-Aに到着するのに掛かる時間は5分、5分3秒、4分35秒、4分59秒等のように大略5分程度が所要されることができる。
【0079】
例えば、制御装置300が搬送車両200を呼び出す時、搬送車両200の中で選択されたいずれか1つが第1基板処理装置AP-Aに到着するまで移動する移動距離は、50m、52m、48m、51m等のように大略50m程度を移動することができる。
【0080】
即ち、搬送要請時間間隔、到着所要時間、及び移動距離のようなデータは継続して収集されて制御装置300に格納される。
【0081】
また、ステップS11は、設定期間の間に行われることができる。設定期間は1ヶ月、1週、1日、数時間、または数分等の多様に指定されることができる。設定期間間にデータの収集が行われれば、制御装置300は格納されたデータを利用して搬送要請時間間隔、到着所要時間、及び移動距離各々の予測値を導出することができる。
【0082】
ステップS12、S13、S14では、ステップS11で収集されたデータに対する確率分布フィッティング(Fitting)を遂行することができる。確率分布フィッティングとは、一定値に収集されたデータを非線形関数の形態で近似することを意味することができる。確率分布フィッティングを通じて最も高い確率で発生することができる基板処理装置APの搬送要請時間間隔、最も高い確率で発生することができる搬送車両200の基板処理装置APヘの到着所要時間、及び最も高い確率で発生することができる搬送車両200が基板処理装置APに到着するまで移動した移動距離を導出することができる。
【0083】
例えば、最も高い確率で発生することができる基板処理装置APの搬送要請時間間隔、最も高い確率で発生することができる搬送車両200の基板処理装置APヘの到着所要時間、及び最も高い確率で発生することができる搬送車両200が基板処理装置APに到着するまで移動した移動距離は、データの代表値であり得る。
【0084】
例えば、最も高い確率で発生することができる第1基板処理装置AP-Aの搬送要請時間間隔は、ステップS11が遂行される間に収集された第1基板処理装置AP-Aの搬送要請時間間隔の平均値Tであり得る。
【0085】
また、最も高い確率で発生することができる搬送車両200の基板処理装置APヘの到着所要時間は、搬送車両200の中で選択された搬送車両が第1基板処理装置AP-Aに到着するのに所要された時間の平均値△tであり得る。
【0086】
また、最も高い確率で発生することができる搬送車両200が基板処理装置APに到着するまで移動した距離は、選択された搬送車両200が第1基板処理装置AP-Aに到着するまで移動した移動距離の平均値dであり得る。
【0087】
上述した例ではステップS11が設定期間の間に運営された後、ステップS12、S13、S14を遂行することを例として説明したが、これに限定されることではない。例えば、ステップS11が遂行される間に、実時間にステップS12、S13、S14が行われることができる。そして、設定期間の間に、実時間に累積されたデータに基づいて、以下では説明する平均値を設定期間単位に運営データに追加することができる。
【0088】
ステップS15、S16、S17では、このように収集されたデータの代表値を運営データに追加することができる。
【0089】
運営データは搬送要請時間間隔に対する平均値Tの集合MTと、搬送車両到着所要時間に対する平均値△tの集合M△tと、搬送車両移動距離に対する平均値dの集合Mdを含むことができる。
【0090】
例えば、MTはT1、T2、…、Tnを含むことができる。第1期間の間に収集された搬送要請時間間隔の平均値をT1とし、第2期間の間に収集された搬送要請時間間隔の平均値をT2とし、第n期間の間に収集された搬送要請時間間隔の平均値をTnとすることができる。ここで、下付き文字の数字が小さいほど、より最近に収集されたデータに基づいて運営データに追加された代表値であり得る。例えば、T1は最も最近に収集されたデータに基づいて、最も最近に運営データに追加された代表値であり得る。
【0091】
また、M△tは△t1、△t2、…、△tnを含むことができる。第1期間の間に収集された搬送車両200の中で選択された搬送車両200が基板処理装置APに到着するのに所要された到着所要時間の平均値を△t1とし、第2期間の間に収集された搬送車両200の中で選択された搬送車両200が基板処理装置APに到着するのに所要された到着所要時間の平均値を△t2とし、第n期間の間に収集された搬送車両200の中で選択された搬送車両200が基板処理装置APに到着するのに所要された到着所要時間の平均値を△tnとし、ここで、下付き文字の数字が小さいほど、さらに最近に収集されたデータに基づいて運営データに追加された代表値であり得る。例えば、△t1は最も最近に収集されたデータに基づいて、最も最近に運営データに追加された代表値であり得る。
【0092】
また、Mdはd1、d2、…、dnを含むことができる。第1期間の間に収集された選択された搬送車両200が基板処理装置APに移動した距離の平均値をd1とし、第2期間の間に選択された搬送車両200が基板処理装置APに移動した距離の平均値をd2とし、第n期間の間に収集された選択された搬送車両200が基板処理装置APに移動した距離の平均値をdnとすることができる。ここで、下付き文字の数字が小さいほど、さらに最近に収集されたデータに基づいて運営データに追加された代表値であり得る。例えば、d1は最も最近に収集されたデータに基づいて、最も最近に運営データに追加された代表値であり得る。
【0093】
制御装置300は運営データを記憶することができる。制御装置300は予め収集されて記憶された運営データから基板処理装置APの予測搬送要請時点と、搬送車両先呼出時点を演算して導出することができる。
【0094】
図8は
図6の先呼出時点演算段階を説明するためのフローチャートである。
【0095】
図1、
図6、及び
図8を参照すれば、ステップS21では搬送要請時間間隔を予測する。例えば、第1基板処理装置AP-Aの予測される搬送要請時間間隔を予測することができる。より詳細には、運営データには上述したT
1、T
2、…、T
n-が予め記憶されている。T
1は最も最近に収集されたデータに基づいて追加された搬送要請時間間隔の平均値である。最も最近に収集されたデータであるほど、物品搬送システム10の状態及び基板処理装置APの状態を最も良く反映しているので、最も最近に収集されたデータに基づいて最も最近に追加された搬送要請時間間隔の平均値であるほど、加重値をさらに大きくして予測搬送時間間隔T
Fを導出することができる。
【0096】
例えば、予測搬送時間間隔TFは以下のような数式1を通じて求めることができる。
【0097】
【0098】
ステップS22では搬送車両200の中で選択された搬送車両200が基板処理装置APに到着するのに所要される時間を予測する。例えば、第1基板処理装置AP-Aに搬送車両200の中で制御装置300から呼出信号が伝達された選択された搬送車両200が第1基板処理装置AP-Aに到着するのに所要される時間を予測することができる。より詳細には、運営データには上述した△t1、△t2、…、△tn-が予め記憶されている。△t1は最も最近に収集されたデータに基づいて追加された搬送要請時間間隔の平均値である。最も最近に収集されたデータであるほど、物品搬送システム10の状態及び基板処理装置APの状態を最も良く反映しているので、最も最近に収集されたデータに基づいて最も最近に追加された到着所要時間の平均値であるほど、加重値をさらに大きくして予測到着所要時間(△tF)を導出することができる。
【0099】
例えば、予測到着所要時間△tFは以下のような数式2を通じて求めることができる。
【0100】
【0101】
ステップS23では搬送車両200の移動距離を予測する。例えば、第1基板処理装置AP-Aが搬送要請信号を発生させれば、搬送車両200の中で選択された搬送車両200が第1基板処理装置AP-Aに到着するまで移動した距離を予測することができる。より詳細には、運営データには上述したd1、d2、…、dn-が予め記憶されている。d1は最も最近に収集されたデータに基づいて追加された移動距離の平均値である。最も最近に収集されたデータであるほど、物品搬送システム10の状態及び基板処理装置APの状態を最も良く反映しているので、最も最近に収集されたデータに基づいて最も最近に追加された移動距離の平均値であるほど、加重値をさらに大きくして予測移動距離dFを導出することができる。
【0102】
例えば、予測移動距離dFは以下のような数式3を通じて求めることができる。
【0103】
【0104】
ステップS24では、上述したステップS21、S22、S23予測搬送要請時間間隔TF-を利用して基板処理装置APの搬送要請時点を予測することができる。例えば、第1基板処理装置AP-Aの実際の搬送要請がt0に発生すれば、その次の搬送要請時点(予測搬送要請時点)であるtpは以下のような数式4を通じて導出されることができる。
【0105】
【0106】
ステップS25では、予測搬送要請時点tPから搬送車両の先呼出時点であるtnextを導出することができる。先呼出時点tnextは実際の搬送要請時点t0よりは遅く、予測搬送要請時点tPより以前の時点であり得る。先呼出時点tnextは下の数式5を通じて導出されることができる。
【0107】
【0108】
一方、先呼出時点tnextは必要によって、予測搬送要請時点tPから予測到着所要時間△tFを引いた時点より設定時間くらい早い時点と指定されることができる。設定時間は5秒から30秒程度に予め設定されることができる。予測搬送要請時点tPから予測到着所要時間△tFを引いた時点より設定時間くらい早い時点で先呼出時点tnextを指定する場合、搬送車両200が基板処理装置APに向かう途中に基板処理装置APで実際の搬送要請信号を発生させるかを確認することができる。仮に実際の搬送要請信号が発生しない場合、制御装置300は搬送車両200の呼出を取り消すことができるので、搬送車両200の運営上の長所がある。
【0109】
再び
図1及び
図6を参照すれば、先呼出の可否判断段階(S30)には搬送車両200に対する先呼出を進行するかどうかを判断することができる。具体的に、先に導出された先呼出時点t
nextが現在時点t
curを過ぎたか、又は過ぎていないかに基づいて搬送車両200に対する先呼出を進行するかどうかを判断することができる。先呼出時点t
nextが現在時点t
curを過ぎていない場合には、第1搬送モデルPMに基づいて搬送段階(S40)を遂行することができる。先呼出時点t
nextが現在時点t
curを過ぎた場合には、第2搬送モデルBMに基づいて搬送段階(S40)を遂行することができる。
【0110】
搬送段階(S40)は先呼出の進行の可否にしたがって選択される搬送モデルに基づいて搬送車両200による物品搬送を遂行することができる。搬送段階(S40)に適用されることができるモデルは、第1搬送モデルPMと第2搬送モデルBMであり得る。第1搬送モデルPMは先呼出を進行する場合選択される予測モデルであり得る。第2搬送モデルBMは先呼出を進行しない場合に選択される基本モデルであり得る。搬送段階(S40)で遂行された物品搬送に関するデータ(例えば、搬送要請時間間隔、到着所要時間、移動距離等)は制御装置300が収集することができる。
【0111】
図9は
図6の第1搬送モデルを説明するためのフローチャートである。
【0112】
図1、
図6、及び
図9を参照すれば、第1搬送モデルPMは予測モデルを適用した制御装置300に予め記憶されたアルゴリズムであり得る。ステップPM1では、予約することができる搬送車両200を選定し、選定された搬送車両200と基板処理装置APとの間の実際の距離d
curを測定することができる。
【0113】
ステップPM2では、予測移動距離dFと、実際の距離dcurの比率を利用して搬送車両200の予約可能可否を決定することができる。例えば、搬送車両200の予約可能の可否は下の数式6によって判断することができる。
【0114】
【0115】
tcurは現在時点、tpは予測搬送要請時点、dcurは選定された搬送車両200と搬送要請信号を発生させた基板処理装置APとの間の距離、△tFは選択された搬送車両200の予測到着所要時間であり得る。[tp-dcur/dF*△tF]は選定された搬送車両200に適用される先呼出時点であり得る。
【0116】
dcurが大き過ぎる場合(即ち、選定された搬送車両200と搬送要請信号を発生させた基板処理装置APがあまりにも遠く離れている場合)、該当搬送車両200を選定する時、搬送車両200が基板処理装置APに到着するまであまりにも多い時間が所要されることができる。
【0117】
例えば、第1基板処理装置AP-Aに物品を搬送する搬送車両として第12搬送車両200Lを選定したが、第12搬送車両200Lは第1基板処理装置AP-Aとあまりにも遠く離れているので、第1基板処理装置AP-Aに対する搬送を遂行する搬送車両200として適合でない。即ち、選定された第12搬送車両200Lに適用される先呼出時点を導出し、該当先呼出時点が現在時点tcurを過ぎた場合には、第12搬送車両200Lは予約が不可能である搬送車両200として判断して、他の搬送車両200を選定する。
【0118】
例えば、第1基板処理装置AP-Aに物品を搬送する車両として第1搬送車両200Aを選定した場合には、第1搬送車両200Aが第1基板処理装置AP-Aと隣接するように位置するので、第1基板処理装置AP-Aに対する搬送を遂行する搬送車両200として適合することができる。即ち、選定された第1搬送車両200Aに適用される先呼出時点を導出し、該当先呼出時点が現在時点tcur-を過ぎていない場合には、第1搬送車両200Aは予約が可能な搬送車両として判断する。
【0119】
ステップPM3では、予約が可能な搬送車両200に対する仮予約を進行する。仮予約を進行すれば、制御装置300は予約された搬送車両200に対して呼出信号を伝達し、呼出信号が伝達された搬送車両200は搬送課題を遂行するために基板処理装置APに向かって移動することができる。例えば、第1搬送車両200Aが予約可能な搬送車両200として判断されれば、第1搬送車両200Aに対する仮予約を進行する。予約された第1搬送車両200Aは搬送課題を遂行するために第1基板処理装置AP-Aに向かって移動することができる。
【0120】
ステップPM4では、搬送車両200が搬送課題を遂行するために基板処理装置APに移動する途中(場合によって、移動を完了した場合)に基板処理装置APの実際の搬送要請が発生したか否かを判断する。
【0121】
実際の搬送要請が発生した場合には、ステップPM5で該当搬送車両200に対する搬送予約を確定し、ステップPM6で搬送車両200による実際の搬送を遂行する。例えば、第1搬送車両200Aが第1基板処理装置AP-Aに対する搬送課題を遂行するために、第1基板処理装置AP-Aに移動する途中、第1基板処理装置AP-Aで実際の物品搬送要請信号を発生させた場合、制御装置300は第1搬送車両200Aに対する予約を確定し、第1搬送車両200Aが実際の搬送を遂行する。
【0122】
言い換えれば、予測搬送要請時点tPは予測時点に過ぎないので、基板処理装置APの実際の搬送要請信号が発生しなければ、搬送車両200は物品を下ろすか、或いは物品を回収する等の搬送動作を遂行しない。
【0123】
実際の搬送要請が発生しない場合には、ステップPM41で搬送車両200は目的地である基板処理装置APに到着する。例えば、第1搬送車両200Aは第1基板処理装置AP-Aの上方に到着することができる。
【0124】
ステップPM42では、搬送車両200は基板処理装置APの上方で、基板処理装置APで実際の物品搬送要請信号を発生させる時まで待機する。例えば、第1搬送車両200Aは第1基板処理装置AP-Aの実際の搬送要請信号が発生する時まで待機する。
【0125】
ステップPM43では、搬送車両200が基板処理装置APの上方で待機する間に、回避が必要か否かを継続して確認する。回避が必要でない場合、搬送車両200は基板処理装置APの上方で待機する。
【0126】
反面、回避が必要である場合には、搬送車両200に対する仮予約を取り消し、ステップPM44に応じて第2搬送モデルBMに基づいて搬送車両200を予約することができる。例えば、第1搬送車両200Aが第1基板処理装置AP-Aの上方で待機する間に、第2搬送車両(200B)の搬送課題が遂行され、第2搬送車両200Bが搬送課題を遂行するために移動する経路と第1搬送車両200Aが待機する位置が重畳される場合、回避が必要であることと判断することができる。この場合、第1搬送車両200Aに対する仮予約を取り消し、第2搬送モデルBMに基づいて搬送車両200に対する課題割当を実行することができる。
【0127】
図10は
図6の第2搬送モデルを説明するためのフローチャートである。
【0128】
図1、
図6、及び
図10を参照すれば、第2搬送モデルBMは第1搬送モデルPMと異なるモデルであり得る。第2搬送モデルBMは予測モデルを適用しない、基本モデルであり得る。第2搬送モデルBMは予測モデルを適用しない、制御装置300に予め記憶されたアルゴリズムであり得る。
【0129】
ステップBM1では、基板処理装置APが実際の物品の搬送要請信号を発生させることができる。
【0130】
ステップBM2では制御装置300が基板処理装置APに対する搬送課題を課題リーストに追加することができる。
【0131】
ステップBM3では課題リーストに追加された課題を遂行する搬送車両200を検索することができる。
【0132】
ステップBM4では検索された搬送車両200が課題を遂行するのに適合な場合、制御装置300は該当搬送車両200に搬送課題を割当することができる。搬送課題を遂行するのに適合であるかどうかは、搬送車両200と搬送要請信号を発生させた基板処理装置APとの距離、搬送車両200が把持している容器C内の物品の種類及び数量等を考慮して選択されることができる。
【0133】
ステップBM5では搬送課題が割当された搬送車両200が搬送を遂行することができる。
【0134】
第2搬送モデルBMは、先呼出の可否判断段階(S30)で先呼出を進行しないことと判断される場合や、又は第1搬送モデルPMのステップPM43で回避が必要であることと判断される場合に選択されることができる。
【0135】
上述したように、本発明の一実施形態によれば、基板処理装置APで実際の物品搬送要請信号が発生する前に、搬送車両200を先呼出して基板処理装置APに向かって移動させる。即ち、本発明の一実施形態による物品搬送システム10の運営方法は先行的であり、能動的である。本発明の一実施形態による運営方法によれば、搬送車両200による物品搬送の効率性を改善することができ、基板処理装置APで物品搬送要請信号が発生した時点と概ね同一な時点に物品の搬送を完了することができるので、全体物品搬送に所要される時間を短縮させることができる。
【0136】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、前述した内容は本発明の好ましい実施形態を例として説明することであり、本発明は多様な他の組合、変更、及び環境で使用することができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、前述した開示内容と均等な範囲、及び/又は当業界の技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施形態は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明することであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される様々な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。添付された請求の範囲は他の実施状態も含むことと解析されなければならない。
【符号の説明】
【0137】
AP 基板処理装置
10 物品搬送システム
100 レール
200 搬送車両
300 制御装置
310 データ収集部
320 先呼出時点演算部
330 先呼出の可否判断部
340 搬送遂行部
S10 データ収集段階
S20 先呼出時点演算段階
S30 先呼出の可否判断段階
S40 搬送段階
PM 第1搬送モデル
BM 第2搬送モデル