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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】コーヒーメーカの抽出ユニット
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/36 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A47J31/36 110
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022502802
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020069207
(87)【国際公開番号】W WO2021008957
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】102019119103.3
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510098962
【氏名又は名称】メリッタ プロフェッショナル コーヒー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Professional Coffee Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Zechenstrasse 60, D-32429 Minden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーミン ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】ディアク マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ブーフホルツ
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-152637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0209577(US,A1)
【文献】特開平09-203849(JP,A)
【文献】特開2015-075137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0109223(US,A1)
【文献】特開2007-282650(JP,A)
【文献】特表2009-539533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストン式コーヒーメーカの抽出ユニット(1)であって、該抽出ユニット(1)は、抽出室としての抽出スライダ(2)と、シャワースクリーン(9)およびプランジャ(10)としての2つのピストンユニットと、駆動モータ(20)と、少なくとも1つの伝動装置(21,22)とを有している、スピンドル式抽出ユニットとして形成されており、前記抽出ユニット(1)は、外側スピンドル(3)と内側スピンドル(7)とを備えたダブルスピンドルアッセンブリを有しており、
前記抽出スライダ(2)は、第1の終端位置から中間位置へ、次いで第2の終端位置へと調節可能であって、そして再び前記第1の終端位置へと戻ることができ、
前記外側スピンドル(3)は、前記抽出スライダ(2)内に軸方向で固定されている外側スピンドルナット(15)に係合する移動ねじ山(3e)を有している、
抽出ユニット(1)において、
前記外側スピンドル(3)の前記移動ねじ山(3e)は、前記抽出スライダ(2)の前記第1の終端位置および前記第2の終端位置で、前記外側スピンドルナット(15)との係合を解除されており、前記外側スピンドル(3)がさらに回転する場合でも、前記抽出スライダ(2)の速度はゼロであり、
前記抽出ユニット(1)は、前記外側スピンドルナット(15)と前記移動ねじ山(3e)とを、前記第1の終端位置または前記第2の終端位置で新たに係合させる少なくとも1つのスピンドル再係合装置を有していることを特徴とする、抽出ユニット(1)。
【請求項2】
前記外側スピンドル(3)は調節可能な前記抽出スライダ(2)に接続されており、前記内側スピンドル(7)は、調節可能な前記シャワースクリーン(9)または調節可能な前記プランジャ(10)に接続されており、前記プランジャ(10)または前記シャワースクリーン(9)は定置に配置されており、調節可能な前記抽出スライダ(2)は前記外側スピンドル(3)とガイドロッド(4)とによって長手方向摺動可能にガイドされており、前記シャワースクリーン(9)または前記プランジャ(10)は前記抽出スライダ(2)の内側で長手方向摺動可能にガイドされており、前記抽出スライダ(2)と、前記シャワースクリーン(9)または前記プランジャ(10)とは互いに異なる速度で、共通の移動方向(BR1,BR2)で調節可能である、請求項1記載の抽出ユニット(1)。
【請求項3】
前記外側スピンドル(3)は前記駆動モータ(20)によって駆動されていて、前記内側スピンドル(7)に、前記少なくとも1つの伝動装置(22)を介して連結されている、請求項1または2記載の抽出ユニット(1)。
【請求項4】
前記抽出ユニット(1)は、少なくとも1つの切替え可能な電磁石を有しており、該電磁石は、前記抽出スライダ(2)を、前記各終端位置で、直接に、または機械的なロック装置を介して間接に、再び解除可能に位置固定する、請求項1から3までのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、それぞれ圧縮ばね(18b,19b)を備えた少なくとも1つのストッパユニット(18,19)を有しており、前記抽出スライダ(2)は、前記第1の終端位置で、第1のストッパユニット(18)の前記圧縮ばね(18b)に予荷重をかけ、前記抽出スライダ(2)は、前記第2の終端位置で、第2のストッパユニット(19)の前記圧縮ばね(19b)に予荷重をかける、請求項1から4までのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項6】
前記第1のストッパユニット(18)の前記圧縮ばね(18b)は、前記抽出スライダ(2)が前記外側スピンドル(3)によって前記第1の終端位置から移動させられるときに、前記外側スピンドル(3)の前記移動ねじ山(3e)を前記抽出スライダ(2)の前記外側スピンドルナット(15)に再び係合させ、前記第2のストッパユニット(19)の前記圧縮ばね(19b)は、前記抽出スライダ(2)が前記外側スピンドル(3)によって前記第2の終端位置から移動させられるときに、前記外側スピンドル(3)の前記移動ねじ山(3e)を前記抽出スライダ(2)の前記外側スピンドルナット(15)に再び係合させる、請求項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、少なくとも1つの切替え可能な電磁石を有しており、該電磁石は、前記抽出スライダ(2)に、前記各終端位置で、直接に、または機械的な装置を介して間接に、前記外側スピンドルナット(15)と前記移動ねじ山(3e)とを、前記第1の終端位置または前記第2の終端位置で新たに係合させる移動パルスを加える、請求項からまでのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、切替え可能かつ極性変更可能な少なくとも2つの電磁石を有しており、該電磁石のうちの一方は定置に取り付けられ、他方は前記抽出スライダ(2)に取り付けられている、請求項からまでのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、可動の前記内側スピンドル(7)に直接に、または前記内側スピンドル(7)に取り付けられた構成部分に間接に、前記抽出スライダ(2)に摩擦力を伝達する少なくとも1つの摩擦エレメントを有している、請求項からまでのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、液圧的なシールエレメントとして形成されている少なくとも1つの摩擦エレメントを有しており、前記少なくとも1つの液圧的なシールエレメントは、圧力を付与することにより制御される、前記シャワースクリーン(9)または前記プランジャ(10)に取り付けられるシール(34)である、請求項からまでのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、少なくとも1つの連行体(37)を備えた連行体装置を有しており、前記連行体は一方では前記内側スピンドル(7)に、または前記内側スピンドル(7)に接続された構成部分に、他方では前記ガイドロッド(4)に、摺動可能にガイドされており、前記連行体(37)は、前記内側スピンドル(7)に関する、または前記内側スピンドル(7)に接続された構成部分に関する休止位置で、前記休止位置の外側よりも前記休止位置において、より大きい所定の保持力で保持されている、請求項2を引用する請求項から10までのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの連行体(37)は第1の保持エレメントを有しており、第2の保持エレメントが、前記内側スピンドル(7)表面にまたは前記内側スピンドル(7)内に、または前記内側スピンドル(7)に接続された前記構成部分表面にまたは前記構成部分内に取り付けられており、前記第1の保持エレメントと前記第2の保持エレメントとは、前記連行体(37)の前記休止位置で所定の保持力を発生させる、請求項11記載の抽出ユニット(1)。
【請求項13】
前記第1の保持エレメントは永久磁石であって、またはばね力によって負荷される球状押圧エレメントであって、該球状押圧エレメントは、前記連行体(37)の前記休止位置で、前記内側スピンドル(7)におけるまたは前記内側スピンドル(7)に接続された前記構成部分における対応する凹部または溝に接触しており、前記第2の保持エレメントは永久磁石である、請求項12記載の抽出ユニット(1)。
【請求項14】
前記内側スピンドル(7)は移動ねじ山(7b)を有しており、該移動ねじ山は、定置に回転可能に支持された内側スピンドルナット(27a)に係合している、請求項1から13までのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)。
【請求項15】
前記内側スピンドルナット(27a)は、前記少なくとも1つの伝動装置(22)の被駆動歯車(27)の構成部分である、請求項14記載の抽出ユニット(1)。
【請求項16】
前記内側スピンドル(7)は、回動防止装置としての固定ロッド(7f)に接続されている、請求項14記載の抽出ユニット(1)。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の抽出ユニット(1)を備えたピストン式コーヒーメーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念によるピストン式コーヒーメーカの抽出ユニット、ならびにこのような抽出ユニットを備えたピストン式コーヒーメーカに関する。
【背景技術】
【0002】
ピストン式コーヒーメーカの抽出ユニットは、多様な構成で公知である。ピストン式コーヒーメーカの抽出ユニットの内側では、コーヒー粉が粉砕されて抽出室内へ入り、次いで圧縮されてコーヒーケークが形成される。次いで、高圧下で、ケークを通るように加熱水を案内して、これにより粉末からフレーバーを抽出する。製品特有の水量の貫流後は、湿ったコーヒー粉を押し出し、コーヒーケーク(かす)をかす容器内へと放出する。
【0003】
抽出ユニットの典型的な抽出室は、円形であって、例えば約45mmの直径を有している。高温の水が、一方の側で、シャワースクリーンと呼ばれる一方のピストンユニットに通されて抽出室内へと導入され、この際に、この水でコーヒーケークのすべての部分を湿らすように、できるだけ均一に噴霧される。他方の側では、別のピストンユニットを形成するプランジャによって、抽出されたコーヒーが放出される。この場合、抽出されたコーヒーは、コーヒーの上に典型的なクレマを生成するために、小さな開口ギャップのみを可能にする、ばね負荷された振動する構成部分(クレマ弁)を通して案内されることが多い。
【0004】
極めて微細な粒子がコーヒーカップ内に一緒に放出されないように、プランジャにはしばしば微細なスクリーンが配置されている。
【0005】
駆動モータを介して、プランジャとシャワースクリーンとの間の相対移動が行われることにより、これらの間の間隔を変更することができる。これにより、様々なモータトルクを介して、定義されたプレス力を調節することができる。
【0006】
同時に、コーヒー粉のための投入位置を実現するために、密閉された抽出室を形成するために、そして最後に抽出し終わったコーヒーケークを排出することができるようにするために、抽出スライダの移動も行わなければならない。廃棄は、水平型の抽出ユニットではしばしば重力原理によって行われる。垂直型のユニットでは、通常、プッシャを介して意図的にケークをかす容器内に排出するために、付加的な運動機構が設けられている。
【0007】
コーヒーケークの高さから、間接的にその重量を推測することができ、次いでこの重量を、例えば、グラインダーの変更可能な粉砕出力を修正するために、目標重量に合わせて調節することができる。粉のプレス中のプランジャまたはシャワースクリーンの位置は、モータインクリメントを介して容易に把握される。
【0008】
基本的に、抽出ユニットの2つの設置形式が区別される。水平型(横型)のユニットおよび垂直型(縦型)のユニットである。横型の態様は、コーヒーメーカを極めてコンパクトに形成することができ、コーヒーかすが、多くの場合重力のみによってかす容器内へと放出されるという利点を有している。
【0009】
縦型の抽出ユニットは、通常、出し殻廃棄のために、付加的なプッシャ機構を必要とする。しかしながら、縦型のユニットは、より大きな重量を処理することができ、コーヒー粉をより均一に圧縮することもできる。
【0010】
プランジャ、シャワースクリーン、および抽出室の必要な相対位置に到るために、様々な駆動コンセプトがある。
【0011】
まずは、非同期的な2つの移動経過を、2つの異なる駆動モータによって実施することができる。この場合、一方のモータは抽出室の移動のために用いられ、他方のモータはコーヒー粉のプレスのために用いられる。このような単純な手段の欠点は、2つの駆動装置にかかるコストがしばしば極めて高いことにある。かす引出し内にコーヒーかすを廃棄するために何度も、付加的なモータがプッシャ運動のために使用される。この場合、多様な設計で、例えば、台形ねじスピンドルのような移動ねじ山は、スライドブロックを用いて、駆動装置の回転運動を、線形のピストン運動に変換することができる。
【0012】
1つだけのモータが使用される場合には、相対位置は、例えば、制御溝(例えば、制御ローラ)を介して達成される。この場合、複数の構成部分(プランジャスライダ、抽出ブシュ)が1つの回転運動によって同時に溝内でガイドされる。この場合、複雑かつコンパクトではない構造と、偏心的なガイドによる高い曲げモーメントとが欠点である。
【0013】
とりわけ家事分野では、トグルレバーの作用原理がしばしば見受けられる。この場合、複雑な運動学的アプローチにより、複数のジョイントを介して、機能に合った直線運動が生成される。通常、この場合の欠点は、ピストンエレメントは迅速に移動することができるが、コーヒー粉は、製品に関係なく同じ力で圧縮されることにある。より大規模な定義された変更可能な力は得られない。
【0014】
一般的には、抽出ユニットの好ましい構成では、ピストン機能エレメントの高速の移動と、コーヒー粉の定義された調節可能なプレスとの間の妥協点が甘受される。
【0015】
欧州特許第2907427号明細書には、高いプレス力と、同時に短い移動サイクルとの間の妥協点が達成される非直線の伝動装置区分が記載されている。様々な位置に到るために、機能エレメントは大きなピッチで移動させられる。コーヒー粉の圧縮の際には、同じガイドで大きな力を伝達するために、駆動モータは、著しく小さいピッチによって減速される。
【0016】
しかしながら、このような構成では、構成部分、機能群、組付け時間、および保守整備における一連のコスト削減のもとで、常に改善の余地があることが実証されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明の課題は、改善された抽出ユニットおよび改善されたピストン式コーヒーメーカを提供するために、ピストン式コーヒーメーカの抽出ユニットを、好適にさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を備えた抽出ユニットおよび請求項18の特徴を備えたピストン式コーヒーメーカによって解決される。
【0019】
本発明の思想は、ダブルスピンドル原理における全体的な伝動比が一定である、すなわち、スピンドルと伝動装置とが、一定の同じピッチまたは伝動比を有しているというものである。抽出スライダのスピンドル係合解除により、抽出スライダの停止が実現されるので、この場合、伝達は行われない。
【0020】
本発明によるピストン式コーヒーメーカの抽出ユニットであって、抽出室としての抽出スライダと、シャワースクリーンおよびプランジャとしての2つのピストンユニットと、駆動モータと、少なくとも1つの伝動装置とを有している、スピンドル式抽出ユニットとして形成されている抽出ユニットは、外側スピンドルと内側スピンドルとを備えたダブルスピンドルアッセンブリを有していることを特徴としている。
【0021】
この場合、特別な利点は、単純な、ひいては安価な構造を可能とする、極めてコンパクトかつ軽量な構成形式にある。
【0022】
好適な構成では、外側スピンドルは、抽出スライダ内に軸方向で固定されている外側スピンドルナットに係合する移動ねじ山を有している。したがって、好適には、市場で安価に存在している、高品質の構成部品を使用することができる。
【0023】
好適な構成では、抽出スライダは、第1の終端位置から中間位置へ、次いで第2の終端位置へと調節可能であって、そして再び第1の終端位置へと戻ることができることが想定されている。これにより、抽出スライダの定義された位置が、好適には簡単に得られる。
【0024】
外側スピンドルの移動ねじ山は、抽出スライダの第1の終端位置および第2の終端位置で、外側スピンドルナットとの係合を解除されており、外側スピンドルがさらに回転する場合でも、抽出スライダの速度がゼロであるならば、好適な構成において特別な利点が得られる。これにより、各終端位置におけるストッパで抽出スライダの休止位置が簡単に得られるにもかかわらず、この場合、駆動モータによって駆動される外側スピンドルは、内側スピンドルを、伝動装置を介して引き続き駆動して、内側スピンドルを、したがってシャワースクリーンを、位置決めすることができる。さらなるモータは必要ない。
【0025】
1つの構成では、外側スピンドルは調節可能な抽出スライダに接続されており、内側スピンドルは、調節可能なシャワースクリーンに接続されており、プランジャは定置に配置されている。外側スピンドルと内側スピンドルとは、安価に、高い品質レベルで簡単に製造することができる構成部品である。
【0026】
この場合、調節可能な抽出スライダは外側スピンドルとガイドロッドとによって長手方向摺動可能にガイドされており、シャワースクリーンは、抽出スライダの内側で長手方向摺動可能にガイドされており、抽出スライダとシャワースクリーンとは互いに異なる速度で、共通の移動方向で調節可能であることが想定されている。この場合、極めて高い速度を実現可能な、簡単かつ安価な構造という利点が得られる。
【0027】
抽出群の好適な中央での力の導入、ひいては高い剛性は、外側スピンドルが駆動モータによって駆動され、内側スピンドルに、少なくとも1つの伝動装置を介して連結されていることによって得られる。付加的なさらなるモータは必要ない。
【0028】
抽出ユニットが少なくとも1つの切替え可能な電磁石を有しており、この電磁石が、抽出スライダを、各終端位置で、直接に、または機械的なロック装置を介して間接に、再び解除可能に位置固定すると、好適である。なぜならば、抽出スライダの「停止状態」で、移動ねじ山と外側スピンドルナットとの過剰係止ノイズを回避することができるからである。
【0029】
抽出スライダの終端位置では、外側スピンドルの移動ねじ山が、抽出スライダの外側スピンドルナットとの係合から外れる。これは、「スピンドル係合解除」と記載される。この終端位置から抽出スライダが再び移動することができるようにするためには、抽出スライダの外側スピンドルナットは再び、外側スピンドルの移動ねじ山に係合しなければならない。この工程は、「スピンドル再係合」と記載される。
【0030】
1つの構成では、抽出ユニットは、外側スピンドルナットと移動ねじ山とを、第1の終端位置または第2の終端位置で新たに係合させる少なくとも1つのスピンドル再係合装置を有している。この場合、外側スピンドルナットと移動ねじ山とのスピンドル再係合が、僅かな数の部品だけで簡単に可能であるという利点がある。
【0031】
1つの構成は、少なくとも1つのスピンドル再係合装置が、それぞれ圧縮ばねを備えた少なくとも1つのストッパユニットを有していることを想定している。これらは、簡単かつ安価な構成部品である。
【0032】
この場合、抽出スライダが、第1の終端位置で、第1のストッパユニットの圧縮ばねに予荷重をかけ、かつ、抽出スライダが、第2の終端位置で、第2のストッパユニットの圧縮ばねに予荷重をかけるならば、すなわち、蓄力エレメントに「荷重を蓄える」ならば好適である。
【0033】
さらにこの場合、1つの構成では、第1のストッパユニットの圧縮ばねは、抽出スライダが外側スピンドルによって第1の終端位置から移動させられるときに、外側スピンドルの移動ねじ山を抽出スライダの外側スピンドルナットに再び係合させ、第2のストッパユニットの圧縮ばねは、抽出スライダが外側スピンドルによって第2の終端位置から移動させられるときに、外側スピンドルの移動ねじ山を抽出スライダの外側スピンドルナットに再び係合させることが想定されている。
【0034】
代替的な構成では、少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、少なくとも1つの切替え可能な電磁石を有しており、この電磁石は、抽出スライダに、各終端位置で、直接に、または機械的な装置を介して間接に、外側スピンドルナットと移動ねじ山とを、第1の終端位置または第2の終端位置で新たに係合させる移動パルスを加える。これにより、極めて僅かな個数の付加的な構成部品によって簡単な構造が得られる。
【0035】
少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、可動のコアを備えた少なくとも1つの切替え可能な電磁石を有していてもよい。可動のコアは、好適かつ簡単に、移動パルスを抽出スライダに加えることができる。
【0036】
別の代替的な構成では、少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、切替え可能かつ極性変更可能な少なくとも2つの電磁石を有しており、これらの電磁石のうちの一方は定置に取り付けられ、他方は抽出スライダに取り付けられていることが想定されている。この構成は、可動の部分を必要とせず、電磁石は、簡単に制御できるだけではなく、高い品質を備えた市販の安価な構成部品でもあるので、好適である。
【0037】
スピンドル再係合のために、摩擦エレメントも、可動の内側スピンドルに、特にシャワースクリーン(または、プランジャ)に取り付けることができる。シャワースクリーンと抽出室との間の摩擦力によって、内側スピンドルにおいて移動方向の反転が行われるとすぐに、抽出スライダの外側スピンドルナットは再び、外側スピンドルの所属の雄ねじ山内へと押される。
【0038】
このために1つの構成では、少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、可動の内側スピンドルに直接に、または内側スピンドルに取り付けられた構成部分に間接に、抽出スライダと協働する少なくとも1つの摩擦エレメントを有していることが想定されている。
【0039】
プランジャ/シャワースクリーンにおける液圧的なシールエレメントも、このような機能のために好適に利用することができる。内側スピンドルの方向反転後に、シールの遅延した負荷軽減により、抽出スライダには高い摩擦力が伝達され、この摩擦力は一時的に、内側スピンドルの移動に同期する。これにより、抽出スライダへの好適な移動パルスが生じ、その結果、スピンドル再係合が行われる。この場合、好適にはさらに、シール負荷軽減後の残りの移動経過において、高い摩擦はもはや存在しないという効果がある。これにより可動の構成部分の付加的な摩耗が回避される。
【0040】
このために、別の構成では、少なくとも1つのスピンドル再係合装置が、少なくとも1つの液圧的なシールエレメントとして形成されている少なくとも1つの摩擦エレメントを有している。
【0041】
この場合、少なくとも1つの液圧的なシールエレメントが、シャワースクリーンまたはプランジャに取り付けられた、圧力を負荷することによって制御されるシールであると、好適である。少なくとも1つの液圧的なシールエレメントが電磁弁を介して制御されていると、好適な制御が可能である。このようにして、このような形式の2つ以上のシールが設けられている場合には、液圧的なシールエレメントの分離された独立的な制御が可能となる。
【0042】
可動の内側スピンドルの側では、共にガイドされている回動防止装置上に配置される摩擦エレメントも考えられる。これは、スピンドル再係合のために必要なパルスを抽出スライダに与え、抽出ユニットをロックすることなく、抽出スライダの別の位置へ移動させることができる。
【0043】
このために、別の構成では、少なくとも1つのスピンドル再係合装置は、少なくとも1つの連行体を備えた連行体装置を有しており、連行体は一方では内側スピンドルに、または内側スピンドルに接続された構成部分に、他方ではガイドロッドに、摺動可能にガイドされており、連行体は、内側スピンドルに関する、または内側スピンドルに接続された構成部分に関する休止位置で、休止位置の外側よりも休止位置において、より大きい所定の保持力で保持されている。この場合の利点は、所要スペースが僅かなことである。
【0044】
さらに別の構成では、少なくとも1つの連行体は第1の保持エレメントを有しており、第2の保持エレメントが、内側スピンドル表面にまたは内側スピンドル内に、または内側スピンドルに接続された構成部分表面にまたは構成部分内に取り付けられており、第1の保持エレメントと第2の保持エレメントとは、連行体の休止位置で所定の保持力を発生させる。これにより、好適な単純な構造を可能とすることができる。
【0045】
さらに別の構成では、第1の保持エレメントおよび第2の保持エレメントがそれぞれ1つの永久磁石である。これらは、高品質の簡単かつ安価な構成部品である。
【0046】
代替的に、第1の保持エレメントは、ばね力によって負荷される球状押圧エレメントであってよく、球状押圧エレメントは、連行体の休止位置で、内側スピンドルにおけるまたは内側スピンドルに接続された構成部分における対応する凹部または溝に接触している。
【0047】
摩擦を、場合によっては、摩擦によって増大する摩耗部分の割合を回避するためには、摩擦エレメントを、磁気的に作用する、またはばね力が負荷される連行体によって置き換えると好適である。固定ロッドとして形成されている、内側スピンドルによって平行に共に動かされる回動防止装置内には、連行体に対する吸引力が生じるような極性をもった別の永久磁石が配置されているか、または球状押圧エレメントのための溝を有している。
【0048】
この接続部の接合力は、抽出ブシュのスピンドル再係合のためのパルスとしては十分大きいが、抽出ユニットの引っかかりが生じないように、十分小さい。
【0049】
さらに別の構成では、内側スピンドルが移動ねじ山を有しており、移動ねじ山は、定置に回転可能に支持された内側スピンドルナットに係合していることが想定されている。このようにして、好適には、外側スピンドルから伝動装置を介して内側スピンドルナットに伝達される回転によって、内側スピンドルを、したがって内側スピンドルに接続されたシャワースクリーンを、長手方向に移動させることができる。
【0050】
特に好適な構成スペース削減のためには、内側スピンドルナットが、少なくとも1つの伝動装置の被駆動歯車の構成部分であってよい。
【0051】
さらに別の構成では、内側スピンドルは、回動防止装置としての固定ロッドに接続されている。固定ロッドによって、シャワースクリーンの付加的に好適なガイド安定化が得られる。
【0052】
固定ロッド、外側スピンドル、内側スピンドル、およびガイドロッドが互いに平行に配置されていると、コンパクトな構造のためにさらに好適である。
【0053】
駆動モータが伝動装置を介して外側スピンドルに連結されていると、好適には、この伝動装置を適合させることにより、様々な種類の駆動モータを使用することができる。
【0054】
本発明によるピストン式コーヒーメーカは、上述した抽出ユニットを有している。
【0055】
さらなる好適な構成は、他の従属請求項に記載されている。
【0056】
以下に、コーヒーメーカ用の従来の抽出ユニット構造に対する利点を記載する:
・極めてコンパクトかつ軽量な設計
・単純な、ひいては安価な構造
・極めて高速を実現可能
・中央での力の導入、ひいては抽出群の高い強度
・定義されたかす廃棄
・スピンドル間のベルト伝動による組み込まれた変速段
・1つの駆動モータしか必要としない
・極めて多様な伝達比が、スピンドルピッチおよびベルト変速の適切な選択により、構造的に可能である->選択された駆動モータへの、抽出ユニットの柔軟な適合
・出力が比較的減じられた駆動装置によって、高い移動速度、ならびに広い範囲で調節可能な押圧力が実現可能
・かす容器への粉砕通過位置
・プランジャおよびシャワースクリーンの構成群、およびベースプレートにおける同じ部品
・抽出プロセス中の内側スピンドルのセルフロック、したがって駆動モータの対抗保持は不要
・クレマは製品特有に選択可能(オプションとして、クレマ弁を有さない抽出経路)
・液圧的な入口および出口がピストンユニットに組み込まれている(スピンドルガイドされたFEP管)。
【0057】
以下に本発明を、実施例および変化態様に基づき、図面を参照しながら詳細に説明する。図面は、本発明を詳しく説明するためにだけ役立ち、本発明を制限するものではない。個々に記載した特徴は、一般的な専門知識の範囲で、単独で別の実施態様に転用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】コーヒーメーカの本発明による抽出ユニットの実施例を示す概略的な斜視図である。
図2図1の実施例を示す別の概略図である。
図3図1の実施例を示す別の概略図である。
図4図3のIV-IV線に沿った概略的な断面図である。
図5図3のV-V線に沿った概略的な断面図である。
図6図2のVI-VI線に沿った概略的な断面図である。
図7図5の概略的な断面図を、本発明による抽出ユニットの一方の終端位置で示す図である。
図8図5の概略的な断面図を、本発明による抽出ユニットの他方の終端位置で示す図である。
図9】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図10】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図11】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図12】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図13】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図14】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図15】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図16】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図17】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図18】本発明による抽出ユニットを様々な位置で概略的に示す図である。
図19】連行体を備えた、図1の実施例の変化態様を示す概略的な斜視図である。
図20】連行体を備えた、図1の実施例の変化態様を示す概略的な斜視図である。
図21図19図20の連行体を示す概略的な断面図である。
図22図19図20の変化態様を所定の位置で概略的に示す図である。
図23図19図20の変化態様を所定の位置で概略的に示す図である。
図24図19図20の変化態様を別の位置で概略的に示す図である。
図25図19図20の変化態様を別の位置で概略的に示す図である。
図26図19図20の変化態様をさらに別の位置で概略的に示す図である。
図27図19図20の変化態様をさらに別の位置で概略的に示す図である。
図28図22図27の連行体を1つの位置で概略的に示す拡大断面図である。
図29図22図27の連行体を別の位置で概略的に示す拡大断面図である。
図30図22図27の連行体をさらに別の位置で概略的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1には、ピストン式コーヒーメーカの本発明による抽出ユニット1の実施例の概略的な斜視図が示されている。図2は、図1の抽出ユニット1の下面の概略的な平面図を示している。図3には、図1の視線方向IIIで見た抽出ユニット1の概略的な側面図が示されている。図4には、図3のIV-IV線に沿った概略的な断面図が示されている。図5は、図3のV-V線に沿った概略的な断面図を示している。
【0060】
ここで説明する実施例は、水平型の抽出ユニット1である。この構成は、垂直型の抽出ユニット1または任意の別の形式の傾斜角度型の抽出ユニットにも転用することができる。抽出ユニット1は、スピンドル式抽出ユニットである。
【0061】
抽出ユニット1は、ここでは、抽出室とも呼ばれる抽出スライダ2と、外側スピンドル3と、ガイドロッド4と、第1のベースプレート5および第2のベースプレート6と、内側スピンドル7と、2つのピストンユニット、すなわち、いわゆるシャワースクリーン9およびプランジャ10と、駆動モータ20とを含む。
【0062】
このシステムにより、図示されていないピストン式コーヒーメーカのための抽出ユニット1のプランジャ10、シャワースクリーン9、および抽出スライダ2の間の必要な相対位置を、ダブルスピンドルアッセンブリと駆動装置とによって実現することができる。
【0063】
(1つだけの)駆動モータ20を介して、プランジャ10とシャワースクリーン9との間の相対移動が行われることにより、これらの間の間隔を変更することができる。これにより、様々なモータトルクを介して、定義されたプレス力を調節することができる。同時に、コーヒー粉のための投入位置を実現するために、密閉された抽出室を形成するために、そして最後に抽出済みのコーヒーケークを排出することができるように、抽出スライダ2の移動も行わなければならない。
【0064】
ダブルスピンドルアッセンブリは、外側スピンドル3と内側スピンドル7とを含む。
【0065】
外側スピンドル3は抽出スライダ2を調節し、内側スピンドル7はシャワースクリーン9を調節し、この場合、プランジャ10は、第2のベースプレート6に定置に取り付けられている。
【0066】
抽出スライダ2は、第1の終端位置から中間位置へ、次いで第2の終端位置へと調節されて、そして再び第1の終端位置へと戻される。この際に、シャワースクリーン9は、抽出スライダ2とプランジャ10とに関して様々な位置へと調節される。
【0067】
シャワースクリーン9は、常に抽出スライダ2内に配置されており、抽出スライダ2に対して様々な相対位置をとることができる。これらの相対位置は、内側スピンドル7によるシャワースクリーン9の移動と、外側スピンドル3によって調節可能な抽出スライダ2の移動とによって、互いに独立的に得られる。
【0068】
プランジャ10は、この場合、抽出スライダ2の外側または内側に位置することができる。プランジャ10はこのとき定置に配置されているので、プランジャ10に対する抽出スライダ2およびシャワースクリーン9の相対位置/相対移動が、内側スピンドル7(シャワースクリーン9)と外側スピンドル3(抽出スライダ2)とによって可能になっている。
【0069】
シャワースクリーン9(またはプランジャ10)と抽出スライダ2とは、常に同じ走行方向を有しているが異なる速度(速度差)を有しており、これにより、これら両構成部分の間に必要な相対位置が得られる。これらの走行方向の図示を簡略化するために、各図面には、2つの逆向きの移動方向BR1およびBR2を含む移動方向BRが、1つの両方向矢印によって示されている。
【0070】
外側スピンドル軸線3aを有する外側スピンドル3と、ガイド軸線4aを有するガイドロッド4と、内側スピンドル軸線7aを有する内側スピンドル7とは、互いに平行に配置されている。移動方向BR1およびBR2は、これらの軸線3a,4a,7aに対して平行に延在している。
【0071】
抽出ユニット1の両ベースプレート5,6は、この場合、長方形のプレートであって、互いに平行かつ軸線3a,4a,7aに対して垂直に配置されている。
【0072】
図1の右側に配置された第1のベースプレート5には、外側スピンドル軸線3aから垂直に外側に向かって突出する保持プレート5aが取り付けられており、この保持プレートは、駆動モータ20のためのホルダを形成している。
【0073】
第1のベースプレート5は、外側スピンドル3のための軸受5bと、内側スピンドル7のための軸受5cとを有している。
【0074】
第2のベースプレート6は、外側スピンドル3のための、軸受5bの反対側の軸受6aを有している。さらに、プランジャ10は、ロッド状のプランジャホルダ11によって、第2のベースプレート6に取り付けられている。このためにプランジャホルダ11は、第1のプランジャ端部11aでベースプレート6に、第2のプランジャ端部11bでプランジャ10に接続されている。プランジャ10、プランジャホルダ11、シャワースクリーン9、抽出スライダ2、および内側スピンドル7は、抽出スライダ軸線2aに対して同心的に配置されている。
【0075】
外側スピンドル3と、タイロッドとも呼ばれるガイドロッド4とは、両ベースプレート5,6を互いに接続している。
【0076】
外側スピンドル3は駆動端部3bを有しており、外側スピンドル3はこの駆動端部で、第1のベースプレート5の軸受5bに回転可能に支持されている。外側スピンドル3の、駆動端部3bの反対側の軸受端部3cは、第2のベースプレート6の別の軸受6aにおいて回転可能に支持されている。このようにして、外側スピンドル3は、ベースプレート5と6とを一方の側で接続している。
【0077】
外側スピンドル3の駆動端部3bは、軸受5bを貫通して延在しており、したがって第1のベースプレート5を貫通して、このベースプレートから外へ突出している。駆動端部3bは、一方では第1の伝動装置21を介して駆動モータ20に連結され、他方では第2の伝動装置22を介して内側スピンドル7に連結されている。これについてはさらに詳しく後述する。
【0078】
ガイドロッド4は、一方のロッド端部4bで第1のベースプレート5に、他方のロッド端部4cで第2のベースプレート6に堅固に接続されており、例えばねじ固定されており、これによりガイドロッド4はベースプレート5,6を接続している。
【0079】
ベースプレート5,6は同じ部品から、好適にはプラスチックから形成されている。ここに取り付けられる軸受5b,5c,6aを、例えば、ボールベアリングを補強し、軸方向で固定するために、ベースプレート5,6は、金属薄板(図示せず)にねじ固定されている。
【0080】
抽出スライダ2は、円形の横断面および抽出スライダ軸線2aを有する、実質的に中空円筒状のケーシング2bを有している。ケーシング2b内には、同様に円形の横断面を有する、内室12aを備えた抽出シリンダ12が、抽出スライダ軸線2aに対して同心的に配置されている。抽出シリンダ12には、その周壁に開口が設けられており、この開口は、抽出スライダ2のケーシング2bの充填開口2eと連通している。
【0081】
抽出スライダ2の抽出シリンダ12の内室12aは、シャワースクリーン9とプランジャ10とを抽出ユニット1の所定の位置で収容しており、これについてはさらに詳しく後述する。シャワースクリーン9とプランジャ10とは、内室12a内で抽出シリンダ12に対して、移動方向BR1およびBR2で摺動可能にガイドされている。シャワースクリーン9とプランジャ10との両方が、抽出ユニット1の所定の位置で内室12a内に位置する場合、これらシャワースクリーンとプランジャとは様々な間隔で互いに向かい合って位置しており、これらの間には、以下で抽出室12bと呼ばれるスペースが規定される(図5図6図7図12図14図16参照)。
【0082】
抽出スライダ2は、第1のベースプレート5に面した第1の端面13を有している。
【0083】
抽出スライダ2の第2の端面14は、第2のベースプレート6に面している。抽出スライダ2は、抽出スライダ2の抽出シリンダ12が、第2の端面14に設けられた開口でプランジャ10の上方を移動するように、プランジャ10と協働する。
【0084】
抽出スライダ2は、一方では外側スピンドル3を介して、他方ではガイドロッド4を介して、これらのベースプレート5および6の間で、両移動方向BR1およびBR2に摺動可能にガイドされる。
【0085】
外側スピンドル3およびガイドロッド4による抽出スライダ2のガイドは、ケーシング2bの両長手方向側で行われる。このために、抽出スライダ2のケーシング2bは、ガイドロッド4によってガイドされる一方の長手方向側の両端部にそれぞれ1つのガイド軸受2cを有しており、これらのガイド軸受を貫通してガイドロッド4が延在している。これらのガイド軸受2cは、例えば、滑り軸受として形成されているが、もちろん、別の軸受エレメントを有していてもよい。
【0086】
ケーシング2bの他方の長手方向側には、管状の駆動区分2dが一体成形されており、この駆動区分は真ん中に外側スピンドルナット15を有している。駆動区分2dは、第1のベースプレート5に対向する第1の端面16を有している。駆動区分2dの第2の端面17は、第2のベースプレート6に面している。
【0087】
外側スピンドル3は、駆動区分2dと外側スピンドルナット15とを貫通して延在している。外側スピンドル3の移動ねじ山3eは、外側スピンドルナット15に係合しているが、移動ねじ山3eは、抽出スライダ2の終端位置で、外側スピンドルナット15との係合から外れる。これについては、図6および図7と関連してさらに詳しく後述する。
【0088】
シャワースクリーン9は内側スピンドル7に堅固に結合されており、内側スピンドルによって、抽出シリンダ12の内室12a内でおよび内室12a内へ、移動方向BR1およびBR2で摺動可能である。抽出シリンダ12の、第1の端面13に設けられた開口を通して、シャワースクリーン9が抽出シリンダ12内に導入される。
【0089】
内側スピンドル7は、内側スピンドル軸線7a、移動ねじ山7b、第1のスピンドル端部7c、第2のスピンドル端部7d、およびねじ山を有さないスピンドル区分7eを有している。さらに、内側スピンドル7は、内側スピンドル7の回動防止のために固定ロッド7fに接続されており、この固定ロッドは、ロッド軸線7g、2つのロッド端部7h,7i、および固定舌片8を有している。
【0090】
第1のベースプレート5の外側で、図5で右側に向かって第1のベースプレート5から突出している第1のスピンドル端部7cを起点として、抽出スライダ2に向かう移動方向BR1で、移動ねじ山7bが続いており、この移動ねじ山は、ねじ山終端部7b-1を介して平滑なスピンドル区分7eに移行している。スピンドル区分7eの外径は、移動ねじ山7bの外径よりも大きい。スピンドル区分7eは、その自由端部に、内側スピンドル7の第2のスピンドル端部7dを有している。第2のスピンドル端部7dは、シャワースクリーン9に堅固に結合されている。
【0091】
内側スピンドル7は、その移動ねじ山7bで、内側スピンドルナット27aを通って第1のベースプレート5を貫通して延在している。内側スピンドルナット27aは、ここでは、第2の伝動装置22の被駆動歯車27の構成部分であり、ベースプレート5内の軸受5cで回転可能に支持され、軸方向で固定されている。
【0092】
タイロッドとも呼ばれる固定ロッド7fは、内側スピンドル7に対して平行に間隔を空けて配置されており、第1のロッド端部7hは固定舌片8に堅固に結合されている。固定舌片8の側では、内側スピンドル7の第1のスピンドル端部7cに回動不能に結合されており、これにより、内側スピンドル7は、内側スピンドル軸線7aを中心とする回動を阻止されている。
【0093】
固定ロッド7fは、図示されていない貫通開口を通って第1のベースプレート5を貫通して、内側スピンドル7に対して平行に、シャワースクリーン9まで延在しており、シャワースクリーンに堅固に結合されている。固定ロッド7fは、ベースプレート5に摺動可能にガイドされており、上述した形式で、内側スピンドル7と共に同じ摺動運動を行う。
【0094】
抽出ユニット1の移動機構は、2つのねじ山付きスピンドル駆動装置、すなわち外側スピンドル3および内側スピンドル7に基づいている。外側スピンドル3の移動ねじ山3eと内側スピンドル7の移動ねじ山7bとは、異なるねじ山ピッチを有している。
【0095】
外側スピンドル3は、駆動モータ20に第1の伝動装置21を介して連結されており、外側スピンドル3と内側スピンドル7とは第2の伝動装置22を介して互いに同期されている。
【0096】
伝動装置21および22は、ここでは、歯付きベルトを備えた牽引手段伝動装置として形成されている。これらの伝動装置21,22は歯車を備えて、または歯付きベルトと組み合わせて形成されていてもよい。一方または両方の伝動装置21,22が多段式であってもよい。
【0097】
第1の伝動装置21は、モータ被駆動部20bの軸に相対回動不能に結合されている駆動歯車23と、外側スピンドルの駆動端部3bに相対回動不能に結合された被駆動歯車24と、牽引手段25としての歯付きベルトとを含む。第1の伝動装置21は、ここでは、駆動モータ20に適合させるための減速伝動装置である。
【0098】
第2の伝動装置22は、外側スピンドル3の被駆動区分3dで外側スピンドルに相対回動不能に結合されている駆動歯車26と、内側スピンドルナット27aを備えた被駆動歯車27と、牽引手段28としての歯付きベルトとを含む。第2の伝動装置22は、内側スピンドル7の調節のための同期伝動装置として機能する。
【0099】
外側スピンドル3は、抽出ユニット1の駆動軸であって、抽出スライダ2にその駆動区分2dで回動しないように組み付けられた外側スピンドルナット15を介して、抽出スライダの直線移動を行わせる。
【0100】
歯付きベルト28を介して行われる第2の伝動装置22による被駆動歯車27との連結により、同時に、被駆動歯車27に接続されている内側スピンドルナット27aの回転運動が行われる。ここでは、内側スピンドルナット27aは、被駆動歯車27内に成形されており、この被駆動歯車と共に1つの構成部分を形成する(図4も参照)。もちろん、互いに連結される2つの別個の構成部分を使用することもできる。したがって、この内側スピンドルナット27aは同時に、被駆動歯車27としての、内側の歯付きベルトプーリの機能も行う。これにより、内側スピンドル7の第2のスピンドル端部7dに取り付けられたシャワースクリーン9の直線運動が行われる。既に上述した固定ロッド7fを含む回動防止装置は、シャワースクリーン9と内側スピンドル7とが、固有の軸線(内側スピンドル軸線7a)を中心として共に回動することなく、軸方向の移動方向BR1,BR2のみで移動するように機能する。
【0101】
内側スピンドル7の移動ねじ山7bは、外側スピンドル3の移動ねじ山3eよりも小さいピッチを有している。このような理由から、抽出スライダ2の移動速度は、内側スピンドル7を備えたシャワースクリーン9よりも数倍速い。好適には、内側スピンドル7のピッチは、抽出プロセス中、内側スピンドルがセルフロックするように選択される。これについては、図9図18と関連してさらに後述する。
【0102】
外側スピンドル3と内側スピンドル7との同期伝動装置としての第2の伝動装置22の変速を介して、この効果は任意に適合させることができる。この原理によって、シャワースクリーン9と抽出スライダ2との間の相対位置を生じさせることができる。
【0103】
図6には、図2のVI-VI線に沿った概略的な断面図が示されており、この図はシャワースクリーン9およびプランジャ10のさらなる説明のために用いられる。抽出ユニット1は、いわゆる2つの終端位置のうちの一方に位置しており、これについては図7および図8と関連してさらに詳しく後述する。
【0104】
図示した実施例では、シャワースクリーン9とプランジャ10とが同じ部品から構成されているように形成されている。これらの同じ部品は、それぞれ1つの第1のシェルエレメント31、第2のシェルエレメント32、スクリーンエレメント33、およびシール34である。第1のシェルエレメント31はそれぞれ、第2のシェルエレメント32と中央で緊締されている。
【0105】
第1のシェルエレメント31はそれぞれ、各第2のシェルエレメント32および各シール34のベース兼支持体として機能する。第2のシェルエレメント32は、それぞれ1つのまたは複数のスクリーンエレメント33のためのホルダとして形成されている。第1のシェルエレメント31と第2のシェルエレメント32との間には、それぞれ1つの環状のシール34が配置されている。第1のシェルエレメント31、第2のシェルエレメント32、およびシール34の外径は、ここでは同じ大きさであり、抽出シリンダ12の内室12aの内径と対応している。第1のシェルエレメント31には、フレキシブルなホース29,29a,30,30aを接続するために液圧的な接続部35,35a,35bが設けられている。このようにして、液圧的な入口および出口がシャワースクリーン9およびプランジャ10に組み込まれている。
【0106】
シャワースクリーン9とプランジャ10とは、その端面がスクリーンエレメント33に対向するように、抽出ユニット1内に配置されている。これらの側は、以下では圧力側と呼ばれ、シャワースクリーン9およびプランジャ10の他方の側は、背面側と記載される。図9図18と関連してさらに詳しく説明する様々な位置で、シャワースクリーン9およびプランジャ10の両方が、抽出シリンダ12の内側に位置している場合に、シャワースクリーン9およびプランジャ10のこれらの圧力側によって規定されるスペースは、抽出室12bと記載される。
【0107】
シャワースクリーン9の接続部35は、高温の水を、スクリーンエレメント33を通して抽出室12b内に導入する働きをする。すなわち、高温の水は、この場合、抽出室12b内に位置するコーヒーケークのすべての部分が水で湿されるように、できるだけ均一に噴霧される。高温の水は、第2のベースプレート6に設けられた、それ以上詳しくは記載されていない接続部29bからホース29を通って供給される。高温の水を生成するためのこれに関連する機能群は、ここには図示されていない。
【0108】
シャワースクリーン9のさらなる接続部35aは、シール34のシール接続部34aを、加圧水のための別のホース29aに接続し、このホース29aは、第2のベースプレート6の別の接続部29bから、(シールが水の供給と共に使用される場合に)シール34のために、加圧水を導入する。同様に、プランジャ10のシール34にも、接続部35aとホース30aとを介して水圧を負荷することができる。このようにして、シール34は水圧によって強化され、抽出工程中の抽出室12bのシールを保証している。
【0109】
抽出室12b内のコーヒーケークから抽出されたコーヒーは、プランジャ10のスクリーンエレメント33を通って接続部35b(抽出出口)からホース30内へと放出される。プランジャ10に接続されたホース30,30aは、図示されていない開口を通って、第2のベースプレート6内にガイドされている。ここでは、ホース29,29a;30,30aは、いわゆるスピンドルガイドされたFEP管として形成されている。もちろん、別の構成も使用することもできる。
【0110】
図示した例では、プランジャ10の接続部35bと第2のシェルエレメント32との間に弁36が配置されている。この弁36はクレマ弁と呼ばれ、ここでは、コーヒーが通過する、ボールと圧縮ばねとから成る、ばね負荷された振動する構成部分である。弁36は、コーヒーの上に典型的なクレマを生成するために、小さな開口ギャップのみを可能にする。
【0111】
シャワースクリーン9とプランジャ10とは好適には同じ構成部分から成っているので、振動エレメント(例えば、ボール)とばねエレメント(例えば、圧縮ばね)とから成るクレマノズルを付加的に組み付けることにより、シャワースクリーン9はプランジャ10になる。
【0112】
図示されていない第3の液圧的な接続部は、クレマ弁を含まない、オプションとしての別のコーヒー経路のための別の抽出出口としてプランジャ側で用いられる。
【0113】
プランジャのスクリーンエレメント33は、多くの場合、極めて微細な粒子が、新たに抽出されたコーヒーと共に排出されないように、微細なスクリーンとして形成されている。
【0114】
コーヒー粉が液圧的な入口および出口に侵入するのを阻止するために、好適には、プランジャ10およびシャワースクリーン9は、同じ微細なスクリーンをスクリーンエレメント33として備えて形成される。
【0115】
図7および図8には、図5の概略的な断面図が、本発明による抽出ユニット1の異なる終端位置で示されている。
【0116】
図7の第1の終端位置では、抽出スライダ2は「開放位置」(図9図10参照)または「出し殻廃棄位置」(図17図18参照)に位置している。
【0117】
図8に示された第2の終端位置では、抽出ユニット1の抽出スライダ2は、「浸漬位置」(図13図14参照)および「閉鎖位置」(図15図16参照)に位置している。
【0118】
終端位置におけるプランジャ10に対するシャワースクリーン9の位置については、さらに詳しく後述する。
【0119】
抽出スライダ2の終端位置では、外側スピンドル3の移動ねじ山3eが、抽出スライダ2の外側スピンドルナット15との係合から外れる。これは、「スピンドル係合解除」と記載される。
【0120】
この終端位置から抽出スライダ2が再び移動することができるようにするためには、抽出スライダ2の外側スピンドルナット15を再び、外側スピンドル3の移動ねじ山3eに係合させなければならない。この工程は、「スピンドル再係合」と記載される。
【0121】
「スピンドル再係合」の工程では、外側スピンドルナット15を備えた抽出スライダ2は、外側スピンドル3と共に回転する移動ねじ山3eの方向へ、外側スピンドルナット15が移動ねじ山3eに再び係合するまで動かされる。
【0122】
抽出ユニット1は、このために、少なくとも1つのスピンドル再係合装置を有している。スピンドル再係合装置を区別するために、第1のスピンドル再係合装置は、抽出ユニット1の第1の終端位置(図7参照)に設けられ、第2のスピンドル再係合装置は、抽出ユニット1の第2の終端位置(図8参照)に配属されている。
【0123】
抽出スライダ2を再び、そのそれぞれの終端位置から移動させるべき場合には、抽出スライダ2が移動ねじ山3eの方向へ移動し、外側スピンドルナット15が移動ねじ山3eに係合するように、各スピンドル再係合装置が、力または一種の移動パルスを、抽出スライダ2に加える。
【0124】
このようなスピンドル再係合装置は、様々に形成することができる。
【0125】
したがって、スピンドル再係合装置は、図1図18に示した実施例では、それぞれ蓄力エレメントを備えた第1のストッパユニット18と第2のストッパユニット19とを含んでいる。これについてはさらに詳しく後述する。
【0126】
スピンドル再係合装置は、例えば、シャワースクリーン9またはプランジャ10に設けられるような摩擦エレメントを有していてもよい。これについてはさらに後述する。
【0127】
さらに、シャワースクリーン9/プランジャ10における液圧的なシールエレメントも、好適には、スピンドル再係合装置として利用することができ、これについてもさらに詳しく後述する。
【0128】
スピンドル再係合装置を実現する別の可能性は、図19図30との関連でさらに詳しく説明する連行体37によって行うことができる。
【0129】
スピンドル再係合装置は、後述する電磁石を有していてもよい。
【0130】
スピンドル再係合装置は、図1図18に示した実施例では、第1のストッパユニット18と第2のストッパユニット19とを含む。
【0131】
外側スピンドル3には、ベースプレート5,6の近傍に位置する区分に、それぞれ1つのストッパユニット18,19が配置されている。ストッパユニット18は、外側スピンドル3の被駆動区分3dに位置しており、第1のベースプレート5に配属されている。ストッパユニット19は、第2のベースプレート6に配属されている、外側スピンドル3の軸受端部3cに位置している。
【0132】
各ストッパユニット18,19は、それぞれ1つのストッパエレメント18a,19aと、圧縮ばね18b,19bと、ディスク18c,19cと、を含んでいる。圧縮ばね18b,19bはそれぞれ、ディスク18c,19cと、ここでは同じくディスクとして形成されているストッパエレメント18a,19aとの間に配置されていて、それぞれ蓄力エレメントを形成している。ディスク18cは、外側スピンドル3の被駆動区分3dに軸方向で固定されて接触している。他方のディスク19cは、第2のベースプレート6に軸方向で固定されて接触している。圧縮ばね18b,19bとストッパエレメント18a,19aとは、それぞれ外側スピンドル3に沿って軸方向で摺動可能である。
【0133】
抽出スライダ2が、移動方向BR2で、図7では第1のベースプレート5における第1のストッパユニット18に向かって移動して所属の終端位置へと走行し、第1のストッパユニット18に到達するとすぐに、まずは、抽出スライダ2の駆動区分2dのストッパ区分16が、ストッパユニット18のストッパエレメント18aに接触する。次いで、さらに移動すると、圧縮ばね18bは定置のディスク18cに向かって予荷重をかけられ、外側スピンドルナット15は、外側スピンドル3の移動ねじ山3eからスピンドル係合解除される。
【0134】
「スピンドル係合解除」の際には、移動ねじ山3eと外側スピンドルナット15とは係合解除され、移動ねじ山3eのねじ山終端部3e-2は外側スピンドルナット15から外へと移動する。
【0135】
この瞬間、抽出スライダ2は休止位置に位置しており、すなわち、外側スピンドル3が引き続き回転していたとしても(「出し殻廃棄位置」)、抽出スライダ2の速度はゼロである。この瞬間は、図7に示されている。しかしながらこのとき、内側スピンドル7は、内側スピンドル7の移動ねじ山7bのねじ山終端部7b-1におけるスピンドル区分7eの開始部が、定置の被駆動歯車27に当接するまで、引き続き移動する(「開放位置」)。これについては、図9図10図17図18と関連してさらに説明する。
【0136】
今、外側スピンドル3の移動方向が逆になると、圧縮ばね18bのばね力によって、抽出スライダ2は直ちにスピンドル再係合され、すなわち、外側スピンドル3の移動ねじ山3eのねじ山終端部3e-2は再び、外側スピンドルナット15に係合する。
【0137】
図8に示された第2の終端位置では、外側スピンドル3の移動ねじ山3eと外側スピンドルナット15とのスピンドル係合解除およびスピンドル再係合が同様に行われる。
【0138】
抽出スライダ2が、移動方向BR1で、図8では第2のベースプレート6における第2の終端位置に向かって走行するとすぐに、まずは、抽出スライダ2の駆動区分2dのストッパ区分17が、ストッパユニット19のストッパエレメント19aに接触する。次いで、さらに移動すると、圧縮ばね19bが定置のディスク19cに向かって予荷重をかけられ、外側スピンドルナット15は、外側スピンドル3の移動ねじ山3eからスピンドル係合解除される。移動ねじ山3eは、外側スピンドルナット15との係合が解除され、移動ねじ山3eのねじ山終端部3e-1は外側スピンドルナット15から外へと移動する。
【0139】
この場合も、抽出スライダ2は休止位置に位置しており、すなわち、外側スピンドル3が引き続き回転していたとしても(「浸漬位置」)、抽出スライダ2の速度はゼロである。このとき、内側スピンドル7も、内側スピンドル7の第1のスピンドル端部7cの舌片が、定置の第1のベースプレート5と当接するまでさらに回転する(「閉鎖位置」)。これについては、図13図16と関連してさらに説明する。
【0140】
外側スピンドル3の移動方向が再び逆になると、圧縮ばね19bのばね力により、抽出スライダ2は直ちにスピンドル再係合され、すなわち、外側スピンドル3の移動ねじ山3eのねじ山終端部3e-1は再び、外側スピンドルナット15に係合する。
【0141】
抽出スライダ2の各終端位置における「スピンドル係合解除」中に、過剰係止した際に、外側スピンドルナットの摩擦ノイズおよび摩耗挙動を減らすために、シャワースクリーン9と抽出シリンダ12の内室12aの内壁との間で作用する付加的な摩擦エレメント(例えば、Oリング)を使用することができる。シャワースクリーン9は、抽出シリンダ12の内室12aを決して離れず、両構成部分は常に同じ移動方向BRで同期して駆動されるので、この付加的な摩擦エレメントは減衰エレメントとして、各圧縮ばね18b,19bにより外側スピンドル3の移動ねじ山3eに加えられる外側スピンドルナット15の押圧力を減らす。回転方向が逆になって初めて、各圧縮ばね18b,19bは、スピンドル再係合のための完全な作用を発揮する。この付加的な摩擦エレメントの欠点は、様々な位置/ポジションでの移動開始の際の付加的な摩擦損失、ならびに、抽出シリンダ12が乾燥し残っているコーヒー粉末で湿らされている場合のスティックスリップ効果である。
【0142】
スピンドル再係合のためには、可動の内側スピンドル7における摩擦エレメントも、抽出スライダ2と、すなわち、その抽出室12bと、特にシャワースクリーン9において(または、シャワースクリーン9の代わりにプランジャ10が可動であり、シャワースクリーン9が定置である場合にはプランジャ10において)有利には協働することができる。摩擦エレメントによって生じ、シャワースクリーン9と、抽出室12bまたは抽出スライダ2との間の摩擦力によって、内側スピンドル7において移動方向の反転が行われるとすぐに、抽出スライダ2の外側スピンドルナット15が押されて、スピンドル再係合のために、外側スピンドル3の所属の雄ねじ山(移動ねじ山3e)に再び係合する。このような状態では、第1のスピンドル再係合装置は、少なくとも1つのこのような摩擦エレメントを、例えばOリングの形態の摩擦エレメントを含んでいる。
【0143】
このような摩擦エレメントを、液圧的なシールエレメントとして形成することもできる。このために、既に設けられているシール34が用いられる。プランジャ10/シャワースクリーン9におけるこのシール34は、このような機能のために好適に利用することができる。内側スピンドル7の方向反転後に、シール34の遅延した負荷軽減により、抽出スライダ2には高い摩擦力が伝達され、この摩擦力は一時的に、(例えば、図23の移動方向BR2の)内側スピンドル7の軸方向の移動に同期する。これにより、スピンドル再係合として抽出スライダ2への移動パルスが生じる。この場合、好適には、シール負荷軽減後の残りの移動経過時に、高い摩擦はもはや存在しないという効果がある。これにより可動の構成部分の付加的な摩耗が回避される。
【0144】
適切な水圧によるシール34の負荷は、制御される弁、例えば、電磁弁を介して、共通してまたは別個に行うことができる。抽出ユニット1の図示されていない制御装置は、電磁弁の、したがってシール34の適合された制御を行うことができる。
【0145】
外側スピンドルナット15の上述した過剰係止を回避するための別の可能性は、抽出スライダ2を保持するためにオンにされる各電磁石により、抽出スライダ2を各終端位置に保持することである。この場合、好適には、内側スピンドル7は回転方向反転の際も、外側スピンドルとは独立して移動することができる。各電磁石がオフにされると、抽出スライダ2を、内側スピンドル7の定義された位置点で再び解除することができる。このような電磁石は図示されていないが、図7および図8に関する以下の説明で容易に想像可能である。
【0146】
このような電磁石を、図7に示した終端位置のために、第1のベースプレート5の内面と、抽出スライダ2の端面13との間に配置することができ、第1のベースプレート5に取り付けることができる。同様に、このことは、図8に示した終端位置のための電磁石についても当てはまる。この場合、電磁石は、第2のベースプレート6の内面と、抽出スライダ2の他方の端面14との間に配置されていて、第2のベースプレート6に取り付けられている。
【0147】
終端位置につき2つ以上の電磁石が設けられていることも考えられる。抽出スライダ2の各端面13,14の直径に相当する直径を有するリング状の電磁石も使用することができる。
【0148】
さらに、各電磁石の操作により、各終端位置で、例えば各ベースプレート5,6に、抽出スライダ2を機械的にロックさせることも考えられる。抽出スライダ2のこのような機械的なロックは、解除される際に、ロック工程を発動させた電磁石によって、例えば、レバーまたは可動のカムによる機械的なロックが、抽出スライダ2にスピンドル再係合のための移動パルスを加えるように、抽出スライダが移動するように構成されていてよい。これは例えば、ロックの際に緊張したばねおよび/または別の電磁石によって行われてよい。この場合、スピンドル再係合装置は、電磁石とロック装置とを有している。
【0149】
スピンドル再係合装置の別の構成は、抽出スライダ2の終端位置につき少なくとも2つの電磁石を有している。この場合、両電磁石のうちの一方は、定置に、例えば、ベースプレート5,6に取り付けられている。両電磁石のうちの他方は、それぞれ、定置の電磁石に対向して、抽出スライダ2に取り付けられている。電磁石への給電のために、両電磁石のうちの一方に給電するために、例えば、リレー切替え接点または半導体スイッチを介して極性変更可能な直流電圧が設けられている。このために、抽出スライダ2が終端位置にある場合に、互いに対向する両電磁石は、この電磁石に給電することにより、互いに対向して異なる極性の極が引きつけられるように、切り替えられる。スピンドル再係合のためには、両電磁石の同じ極が互いに対向して反発し合うように、両電磁石のうちの一方の極性が逆にされて、これにより、スピンドル再係合のために移動パルスが抽出スライダ2に加えられる。終端位置の外側での、抽出スライダ2の調整操作中は、エネルギを節約するために、電磁石への給電を遮断することができる。
【0150】
可動の、例えば、長手方向摺動可能および/または回転可能/旋回可能なコアを備えた電磁石をベースプレート5,6に取り付けることも考えられる。終端位置をとる場合には、電磁石がオンにされて、コアは、ばね力に抗して引きつけられ、抽出スライダ2は、電磁石のオンにされた力によって終端位置に保持される。スピンドル再係合工程のためには、電磁石がオフにされ、緊張したばねの力が可動のコアを押し、可動のコア自体は、抽出スライダ2にスピンドル再係合のために移動パルスを加える。この場合、スピンドル再係合装置は、可動のコアを備えた電磁石を有している。
【0151】
第2の伝動装置22(図4図5参照)の両歯付きベルトプーリ(駆動歯車26、被駆動歯車27)によって、外側スピンドル3と内側スピンドル7との間の第2の伝動装置22の変速をさらに適合させることができる。被駆動歯車27の直径が、駆動歯車26の直径よりも小さい場合、抽出室12b内でシャワースクリーン9とプランジャ10との間でコーヒー粉をプレスする際には(これについてはさらに後述する)、内側スピンドル7で、より強力に伝達され、これにより、伝動装置を有していない駆動モータ20によって、シャワースクリーン9とプランジャ10との間に必要なプレス力を変換することができる。外側スピンドル3を移動させるための比較的低いトルクは、抽出スライダ2の位置決めのためにも十分である。この個所では、より速い速度が必要である。
【0152】
駆動モータ20と外側スピンドル3との間に、減速伝動装置として第1の伝動装置21が配置されていると、場合によっては好適である。この第1の伝動装置21は、図示した実施例(例えば、図5)では1つの伝動段を有している。もちろん、2つ以上の伝動段も可能である。このようにして、外側スピンドル3の移動ねじ山3eのスピンドルピッチと、内側スピンドル7の移動ねじ山7bのスピンドルピッチとを、ならびに伝動装置21,22の伝達比を適切に選択することにより、極めて多様な伝達比が構造的に可能である。これにより、抽出ユニット1のための駆動モータ20の選択は極めて柔軟である。出力が比較的減じられた駆動モータ20によって、高い移動速度、ならびにシャワースクリーン9とプランジャ10との間の広い範囲で調節可能な押圧力が実現可能である。
【0153】
欧州特許出願公開第2907427号明細書に記載の構成には、高いプレス力と、同時に短い移動サイクルとの間の妥協点が達成される非直線の伝動装置区分が記載されている。様々なポジションに到るために、機能エレメントは大きなピッチで移動させられる。コーヒー粉の圧縮の際には、同じガイドで大きな力を伝達するために、駆動モータは、著しく小さいピッチによって減速される。ここに示された本発明による抽出ユニット1との決定的な相違点は、駆動モータ20と、抽出ユニット1の機能グループとの間の伝達比が非直線的に変化する点にある。外側スピンドル3と内側スピンドル7とを備えた本発明によるダブルスピンドルの原理における全体的な伝達比は一定であり、すなわちスピンドル3,7の移動ねじ山3e,7bは、一定のピッチを有しており、伝動装置21,22の(場合によっては、歯車も)伝達装置伝達比は一定である。抽出スライダ2の上述したスピンドル係合解除により、抽出スライダ2の、したがって抽出シリンダ12の停止が実現されるので、この場合には伝達工程は生じない。
【0154】
図9図18は、本発明による抽出ユニット1を様々な位置で概略的に示している。ここでは、図9図11図13図15図17では、抽出ユニット1のそれぞれ平面図が示されており、これらの図では抽出スライダ2の位置が明確に示されている。これらの図の下方に、図10図12図14図16図18がそれぞれ配置されており、それぞれその水平断面図を示している。これらの断面図では、抽出スライダ2、シャワースクリーン9、およびプランジャ10の相互の位置がわかる。
【0155】
図9および図10は、「開放位置」を示している。図11および図12には、「充填位置」が示されている。図13および図14は、「浸漬位置」を示している。図15および図16は、「閉鎖位置」を示していて、図17および図18は、「出し殻廃棄位置」を示す。
【0156】
抽出ユニット1のこれら様々な位置は、抽出ユニット1の全体的な機能を特徴付けている。「開放位置」(図9図10)は、抽出ユニット1の制御が、抽出機能エレメントをここでは明確に相互に参照することができるので、特に重要である。ここでは、内側スピンドル7の端部ストッパが、所属の内側スピンドルナット27aにおけるスピンドル区分7eのねじ山終端部7b-1に到達する。このとき、抽出スライダ2はピストン駆動側でスピンドル係合解除されており、すなわち、外側スピンドル3の移動ねじ山3eのねじ山終端部3e-2は、外側スピンドルナット15との係合から外れており、抽出スライダ2の駆動区分2dは、そのストッパ区分16で、第1のストッパユニット18のストッパエレメント18aに接触している。これについては、図7との関連で、上記で既に詳しく説明されている。ピストン駆動側とは、ここでは、伝動装置21,22を有する抽出ユニット1の側を意味している。
【0157】
シャワースクリーン9は、「開放位置」で、抽出スライダ2の充填開口2eを閉鎖する。プランジャ10は、プランジャホルダ11によって固定された場所に、自由に位置している。
【0158】
この出発位置から、外側スピンドル3の所定の回転角度を経て、常に正確な位置の再現性をもって「充填位置」(図11図12)に到ることができる。このとき、抽出スライダ2は、両ベースプレート5,6の間のほぼ真ん中に位置している。抽出スライダ2は、抽出シリンダ12の開口で、プランジャ10の押圧側の縁部を越えて移動し、したがって押圧側は抽出室12bの閉鎖開始部を形成する。シャワースクリーン9は同時に、移動方向BR1でプランジャ10に向かってさらに移動する。今や、抽出室12bには、充填開口2eから、充填すべきコーヒー粉を充填することができる。
【0159】
これに続く「浸漬位置」(図13図14)では、抽出スライダ2は、図8との関連で既に詳しく上述したように、駆動装置の反対側で既にスピンドル係合解除されている。シャワースクリーン9はこのとき、シャワースクリーンのシール34とプランジャ10のシール34との両方が抽出シリンダ12の内側に位置し、閉じられた抽出室12bをシールするまで、抽出シリンダ12内に進入する。シール34が単なるOリングではない場合には、シール機能を作動させるために水圧を加えることができる。プランジャ10とシャワースクリーン9との間の距離は、相応に形成された抽出室12bを含むこの位置で、大きく圧縮されることなくやや寄せ集められた乾燥した粉の最大限可能なコーヒー粉重量を画定する。例えば、15gを超えるより大きな重量の投入のためには、コーヒー粉末部分量を伴って「浸漬位置」に向かい、その後、「充填位置」で、コーヒー抽出開始前に、第2回目の粉砕を行うことができる。
【0160】
コーヒー粉末の抽出中は、かすの密度が増加し、このかすは、抽出工程終了後に、シャワースクリーン9の最大限のピストン力によって押し出すことができる。駆動装置または外側スピンドル3の方向反転の際には、抽出スライダ2がシャワースクリーン9を追い越すので、最大の押出し位置(「出し殻廃棄位置」、図17図18)に常に到達し、定義された出し殻廃棄が行われる。これにより抽出ユニット1の過剰充填は回避される。抽出スライダ2とプランジャ10/シャワースクリーン9との間の速度差により、ならびにコーヒーケークに作用する剪断力に基づき、「出し殻廃棄位置」における定義された廃棄位置が生じる。
【0161】
「出し殻廃棄位置」では、抽出スライダ2は第1のベースプレート5における終端位置にあり、シャワースクリーン9はまだ抽出シリンダ12内に位置しているが、スクリーンエレメント33と第2のシェルエレメント32の一部とは抽出シリンダ12から幾分突出している。このとき、コーヒーケーク(かす)は、シャワースクリーン9のスクリーンエレメント33から簡単に落下し、図示されていないコーヒーメーカの図示されていない容器内にこれを受け止めることができる。このようなかす容器は、例えば、プランジャ10と、抽出スライダ2の端面14との間の中間室の下方の領域に配置されている。これについては、図17図18に関連して容易に理解可能である。この「出し殻廃棄位置」は、同時に、かす容器へと直接向かうコーヒー粉の「粉砕通過位置」も形成する。
【0162】
最後に、「閉鎖位置」(図15図16)があり、このとき、プランジャ10とシャワースクリーン9とは、コーヒー粉が粉砕されない限りは、最大限共に動かされる。
【0163】
好適には、内側スピンドル7のピッチは、抽出プロセス中、内側スピンドルがセルフロックするように選択される。これにより、シャワースクリーン9(または、構造に応じて、プランジャ10)の抽出圧による後退が回避され、このプロセス中、駆動モータ20の特別な給電(対抗保持)は必要ない。したがって、駆動モータ20のエネルギ損失は僅かである。
【0164】
抽出スライダ2、(配置に応じて)シャワースクリーン9またはプランジャ10の位置の参照は、駆動モータがステップモータである場合、そのステップ数または回転角度によって所属の制御装置によって行うことができる。様々な位置は、電気機械式リミットスイッチ、近接スイッチ、光バリヤ、またはホールセンサによって(付加的にも)定義されてもよい。別の可能性は、例えば、外側スピンドル3および/または内側スピンドル7に相対回動不能に結合された様々な構成の回転角度センサによって得られる。
【0165】
図19図20には、第1のスピンドル再係合装置の構成部分としての連行装置を備えた、図1の実施例の変化態様の概略的な斜視図が示されている。
【0166】
抽出ユニット1の変化態様は、図19図20では、第2の終端位置で示されている。
【0167】
図1の実施例とは異なり、駆動モータ20は、第2のベースプレート6に、第1の伝動装置21と共に配置されており、第2の伝動装置22は第1のベースプレート5に残されている。駆動モータ20は、外側スピンドル3およびガイドロッド4の上方真ん中に位置している。
【0168】
第1のスピンドル再係合装置には、ここでは、連行装置が設けられている。連行装置は、図21に、図19図20の概略的な断面図で示されている。
【0169】
連行装置は、第1の保持エレメントを備えた連行体37と、この第1の保持エレメントに対応する第2の保持エレメントとを含む。
【0170】
連行体37は、可動の内側スピンドル7の側では、摩擦エレメントとして、共にガイドされる固定ロッド7f(回動防止装置)上に、およびガイドロッド4上に摺動可能に配置されている。連行体37によって、抽出スライダ2に、外側スピンドルナット15と、外側スピンドル3の移動ねじ山3eとのスピンドル再係合のために必要な移動パルスが加えられる。これについてはさらに後述する。連行体37は、抽出スライダ2をブロックすることなく、抽出スライダ2の別の位置へと摺動可能である。
【0171】
連行体37は、リング状の保持区分37aと、断面図でほぼ半円形のガイド区分37bとを含み、このガイド区分は、ここでは、それぞれ接続部37cを介して保持区分37aに接続されている2つの四分円状のエレメントを有している。
【0172】
図示した例では、連行体37における接続部37cの内側のポケット37e内に、例えば、棒磁石の形態の永久磁石が、第1の保持エレメントとして取り付けられている。ここでは、棒磁石は、軸線37dによって記号的に示されている。
【0173】
例えば、同じく棒磁石として形成されている逆の極性の永久磁石が、第2の保持エレメントとして、固定ロッド7fにおける収容部38内に配置されている。この磁石は、軸線38aによって記号的に示されている。
【0174】
連行体37は、そのリング状の保持区分37aで、ガイドロッド4上に被せ嵌められており、このガイドロッド上に、その長手方向(ガイド軸線4a)で、所定の摩擦抵抗で摺動可能にガイドされるように配置されている。この場合、ガイド区分37bは、固定ロッド7fに接触している。ガイド区分37bの2つの四分円状のエレメントは、この場合、ガイドロッド4に面した固定ロッド7fの側で、同じく所定の摩擦抵抗で摺動可能にガイドされている。
【0175】
図21に断面図で示した連行体37の休止位置では、連行体37内の棒磁石の軸線37dと、固定ロッド7fの収容部38内の磁石の軸線38aとは整合している。この休止位置では、連行体37と固定ロッド7fとの間の摩擦抵抗または保持力は、磁石の吸引力によって増大しており、すなわち、休止位置の外側よりも大きい。この場合、連行体37は、相互に引きつけ合う両磁石の磁力により、この休止位置に保持される。ここでは、休止位置という概念は、連行体37が、固定ロッド7fに関して相対移動を行わず、固定ロッド7fに対してその位置を変更しないことを意味している。
【0176】
固定ロッド7fが調節の際に軸方向で移動するとき、互いに引きつけ合う両磁石により、連行体37はそのまま休止位置に保持され、固定ロッド7fと共に移動する。このとき、ガイド区分37bは、ガイドロッド4に沿って滑動し、ガイドロッド上にこのように摺動可能にガイドされている。
【0177】
図22図27には、図19図20の変化態様の概略図が様々な位置で示されている。図28図30は、これに関する連行体装置の概略的な拡大断面図(円形マーキング)を、図22図27の様々な位置で示している。
【0178】
図22図24図26は、抽出ユニット1のそれぞれ1つの側面図を様々な位置で示しており、図23図25図27は、これに関して、抽出ユニット1のそれぞれ1つの縦断面図を、外側スピンドル3、ガイドロッド4、内側スピンドル7、および固定ロッド7fの1つの共通の平面内で示している。
【0179】
それぞれ、連行体装置を備えた第1のスピンドル再係合装置のみが示されている。ここでは、第2のスピンドル再係合装置は、例えば、(既に上述したように)シャワースクリーン9のシール34によって行われてよい。もちろん、上述したように、別の構成を組み合わせて形成することもできる。
【0180】
図22および図23の抽出ユニット1の態様の位置は、図8に示された抽出ユニット1の第2の終端位置に相当する。外側スピンドルナット15と移動ねじ山3eとはスピンドル係合解除されている。第1のスピンドル再係合装置の連行体装置の連行体37は、軸線37dと38aとが整合する休止位置に位置している。これは、図28に拡大図で示されている。スピンドル再係合は、図示されていない第2のスピンドル再係合装置によって行うことができる。
【0181】
図24および図25には、抽出ユニット1の態様の第1の終端位置(図7参照)が示されている。外側スピンドルナット15と移動ねじ山3eとはスピンドル係合解除されている。第1のスピンドル再係合装置の連行体装置の連行体37は最初、軸線37dと38aとが整合する休止位置に位置している(図29の拡大図参照)。連行体37は、第1のベースプレート5に密に位置しているが、接触はしていない。
【0182】
シャワースクリーン9が、逆の第2のベースプレート6の方向へ移動方向BR2で移動するとすぐに、内側スピンドル7と、この内側スピンドルに連結された固定ロッド7fとは、移動方向BR2で動かされる。外側スピンドルナット15と移動ねじ山3eとはまだスピンドル係合解除されているので、抽出スライダ2は第1の終端位置に留まっている。固定ロッド7f上に位置する連行体37は、この場合、磁気的付着に基づき固定ロッド7fによって連行され、抽出スライダ2のストッパ区分17に対して押し付けられる。そこまでは、連行体37は、磁気的付着に基づき休止位置に留まっている。固定ロッド7fがさらに移動すると、まだ不動の抽出スライダ2に今や当接する連行体37の磁気的付着力が克服される。固定ロッド7fは、次いで、今や、保持された連行体37の保持区分37a内で滑動する。この瞬間、連行体37は、抽出スライダ2に移動パルスを加え、これにより、外側スピンドルナット15と移動ねじ山3eとのスピンドル再係合を行うことができる。このことは図26および図27に示されている。
【0183】
図30は、これに関して、連行体装置の状態を示している。軸線37dと38aとはもはや整合していない。連行体37は、ガイド区分37bおよび保持区分37aの端面を介して、抽出スライダ2のストッパ区分17に接触している。
【0184】
固定ロッド7f上での連行体37の休止位置における磁気的付着力ではなく、例えばばね力によって負荷された球状押圧エレメントによる別の摩擦付着も実現することができる。この場合、球状押圧エレメントは、連行体37の休止位置で、固定ロッド7fにおける収容部38の代わりに、対応する凹部または溝に接触している。この接続部の付着力は、外側スピンドルナット15と移動ねじ山3eとをスピンドル再係合させるための移動パルスとしては十分大きいが、抽出ユニット1の引っかかりが生じないように、十分小さい。
【0185】
スピンドル再係合装置は、片側または両側に配置されていてよい。この場合、スピンドル再係合装置は、上述した機能ユニットを、様々な組み合わせで有していてもよい。
【0186】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲で変更可能である。
【0187】
抽出ユニット1においてシャワースクリーン9とプランジャ10との移動機能性が互いに取り替えられていてもよく、すなわち、配置側に関して逆にされていてもよい。
【0188】
この点については、出願人が「ドイツのピストン」と呼んでいる構造が参照される。ドイツ国において典型的なフィルタコーヒーによれば、クレマは意図的に省かれ、これによりピストンコーヒーはフィルタコーヒーのような特性を有する。プランジャ10の両抽出出口が、2ポート2位置弁に接続されるならば、製品固有のクレマを形成することができる。クレマ入りでまたはクレマなしで供給される製品を定義することができる。
【0189】
両ベースプレート5,6の代わりに、1つのフレームを使用することもできる。
【0190】
コーヒー出し殻の廃棄のために、ブラシおよび水スプレーを備えた一種のスライド式クリーナを使用してよいことが考えられる。
【0191】
連行体37が、内側スピンドル7に、または固定ロッド7fとして内側スピンドル7に接続された別の構成部分に摺動可能に取り付けられていることも考えられる。
【符号の説明】
【0192】
1 抽出ユニット
2 抽出スライダ
2a 抽出スライダ軸線
2b ケーシング
2c ガイド軸受
2d 駆動区分
2e 充填開口
3 外側スピンドル
3a 外側スピンドル軸線
3b 駆動端部
3c 軸受端部
3d 被駆動区分
3e 移動ねじ山
3e-1,3e-2 ねじ山終端部
4 ガイドロッド
4a ガイド軸線
4b,4c ロッド端部
5,6 ベースプレート
5a 保持プレート
5b,5c,6a 軸受
7 内側スピンドル
7a 内側スピンドル軸線
7b 移動ねじ山
7b-1 ねじ山終端部
7c,7d スピンドル端部
7e スピンドル区分
7f 固定ロッド
7g ロッド軸線
7h,7i ロッド端部
8 固定舌片
9 シャワースクリーン
10 プランジャ
11 プランジャホルダ
11a,11b プランジャ端部
12 抽出シリンダ
12a 内室
12b 抽出室
13,14 端面
15 外側スピンドルナット
16,17 ストッパ区分
18,19 ストッパユニット
18a,19a ストッパエレメント
18b,19b 圧縮ばね
18c,19c ディスク
20 駆動モータ
20a モータ軸線
20b モータ被駆動部
21,22 伝動装置
23,26 駆動歯車
24,27 被駆動歯車
27a 内側スピンドルナット
25,28 牽引手段
29,29a,30,30a ホース
29b 接続部
31,32 シェルエレメント
33 スクリーンエレメント
34 シール
34a シール接続部
35,35a,35b 接続部
36 弁
37 連行体
37a 保持区分
37b ガイド区分
37c 接続部
37d ポケット軸線
37e ポケット
38 収容部
38a 収容部軸線
BR,BR1,BR2 移動方向
図1
図2
図3
図4
図5
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図9-10】
図11-12】
図13-14】
図15-16】
図17-18】
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図22-23】
図24-25】
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図28
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