(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】飛行玩具を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/46 20240101AFI20240621BHJP
【FI】
G05D1/46
(21)【出願番号】P 2022517757
(86)(22)【出願日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 IB2021052057
(87)【国際公開番号】W WO2021181340
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519080528
【氏名又は名称】スピン マスター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ハッダディ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ギャンブル,リー ローレンス
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-231052(JP,A)
【文献】特開2014-064914(JP,A)
【文献】特開2017-228917(JP,A)
【文献】特開2010-032267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227932(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0086509(US,A1)
【文献】米国特許第8204515(US,B2)
【文献】中国実用新案第209662620(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-0989097(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行玩具と表面との間の距離に基づいて前記飛行玩具を制御する方法であって、
前記飛行玩具における送信器からデジタル信号を送信するステップと、
前記デジタル信号が前記表面で反射した後に前記飛行玩具の受信器で前記デジタル信号を受信するステップと、
前記受信デジタル信号を前記送信デジタル信号と比較するステップと、
前記送信デジタル信号と前記受信デジタル信号との間のビット誤り率を決定するステップと、
前記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップと
を含み、
前記制御信号は、前記ビット誤り率に少なくとも部分的に基づいて
おり、
前記ビット誤り率は、前記飛行玩具と前記表面との間の前記距離を示しており、
前記制御信号は、
前記ビット誤り率が閾値を上回るときに第1の速度で前記モータを制御するための第1の信号と、
前記ビット誤り率が前記閾値を下回るときに第2の速度で前記モータを制御するための第2の信号と
を含む、
方法。
【請求項2】
前記送信デジタル信号の周波数は38キロヘルツ又は53キロヘルツである、請求項1の方法。
【請求項3】
さらに、前記飛行玩具と前記表面との間の前記距離を制御するために前記モータに接続されたプロペラにより推進力を与えるステップを含み、前記距離は、前記飛行玩具の高度である、請求項1の方法。
【請求項4】
前記制御信号は、比例積分微分コントローラにより決定される、請求項1の方法。
【請求項5】
前記制御信号はパルス幅変調であり、前記モータは電気モータである、請求項1の方法。
【請求項6】
さらに、信号ノイズの影響を低減するために前記受信デジタル信号の複数のサンプルの移動平均を行うステップを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
飛行玩具と表面との間の距離を制御するための飛行玩具制御システムであって、
前記飛行玩具からデジタル信号を送信する送信器と、
前記デジタル信号が前記表面で反射した後に前記飛行玩具で前記デジタル信号を受信する受信器と、
少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、前記表面からの距離で前記飛行玩具を制御する方法であって、
前記受信デジタル信号を前記送信デジタル信号と比較するステップと、
前記送信デジタル信号と前記受信デジタル信号との間のビット誤り率を決定するステップと、
前記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップと
を含み、
前記制御信号は、前記ビット誤り率に少なくとも部分的に基づいている、
方法を実施するコンピュータ実行可能な命令を格納した1以上の非一過性コンピュータ読取可能媒体と
を備え
、
前記ビット誤り率は、前記飛行玩具と前記表面との間の前記距離を示しており、
前記制御信号は、
前記ビット誤り率が閾値を上回るときに第1の速度で前記モータを制御するための第1の信号と、
前記ビット誤り率が前記閾値を下回るときに第2の速度で前記モータを制御するための第2の信号と
を含む、飛行玩具制御システム。
【請求項8】
前記距離は、前記表面上方の高度であり、
前記ビット誤り率は、信号の正確性の割合として表され、
前記制御信号は、前記信号の正確性の割合に基づいている、
請求項
7の制御システム。
【請求項9】
前記制御信号はパルス幅変調であり、前記モータは電気モータである、請求項
7の制御システム。
【請求項10】
前記コンピュータ実行可能な命令は、ノイズの影響を低減するために前記受信デジタル信号の複数のサンプルの移動平均を計算するステップを行うようにさらに実行される、請求項
9の制御システム。
【請求項11】
前記飛行玩具と前記表面との間の前記距離を制御するために前記制御信号に基づいて推進力を与えるプロペラをさらに備え、
前記距離は、前記飛行玩具の高度であり、
前記制御信号はパルス幅変調であり、前記モータは電気モータである、
請求項
10の制御システム。
【請求項12】
前記制御信号は、比例積分微分コントローラにより決定される、請求項
11の制御システム。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、表面からの距離に基づいて飛行玩具を制御する方法であって、
前記飛行玩具における送信器からデジタル信号を送信するステップと、
前記デジタル信号が前記表面で反射した後に前記飛行玩具の受信器で前記デジタル信号を受信するステップと、
前記送信デジタル信号と前記受信デジタル信号との間のビット誤り率
であって、前記飛行玩具と前記表面との間の前記距離を示すビット誤り率を決定するステップと、
前記飛行玩具の飛行を制御する第1の制御信号
であって、前記ビット誤り率が閾値を上回るときに第1の速度でモータを制御するための第1の制御信号を
前記モータに送信するステップと、
前記飛行玩具の飛行を制御する第2の制御信号であって、前記ビット誤り率が前記閾値を下回るときに
第2の速度で前記モータを制御するための第2の制御信号を前記モータに送信するステップと
を含む方法を実施するコンピュータ実行可能な命令を格納した1以上の非一過性コンピュータ読取可能媒体。
【請求項14】
前記コンピュータ実行可能な命令は、前記受信デジタル信号の複数のサンプルの移動平均を決定するステップを行うようにさらに実行可能である、請求項
13の媒体。
【請求項15】
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号のうち少なくとも一方は、比例積分微分コントローラにより決定され、前記移動平均の結果は、前記比例積分微分コントローラに入力される、請求項
14の媒体。
【請求項16】
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号のうち少なくとも一方はPWMであり、前記モータは電動であり、
前記モータは、前記飛行玩具と前記表面との間の前記距離を制御するために前記PWMに基づいて推進力を与えるためのプロペラを回転させ、
前記距離は、前記飛行玩具の高度である、
請求項
13の媒体。
【請求項17】
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号のうち少なくとも一方は、比例積分微分コントローラにより決定される、請求項
13の媒体。
【請求項18】
前記ビット誤り率は、信号の正確性の割合として表され、
前記第1の制御信号及び前記第2の制御信号のうち少なくとも一方は、前記信号の正確性の割合に基づいている、
請求項
13の媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本特許出願は、2020年3月11日に提出された「飛行玩具を制御するためのシステム及び方法」という表題の先願の米国仮特許出願第62/988,063号の優先権の利益をすべての共通する主題に関して主張するものである。当該特定された先願の仮特許出願は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【背景】
【0002】
1.分野
本発明の実施形態は、飛行玩具を制御することに関するものである。より具体的には、本発明の実施形態は、検出された飛行玩具の高度に基づいて飛行玩具を制御することに関するものである。
【0003】
2.関連技術
飛行玩具を制御するための典型的なシステム及び方法は、電気モータにより駆動されるプロペラを利用している。一部の従来のシステムにおいては、玩具上の送信器から信号が送信され、これが表面(例えば、飛行玩具の下方の地面又は基礎)で反射した後、玩具上の受信器に戻る。この信号が検出されるか検出されないかのいずれかに基づいてモータが制御される。信号が受信されたとき、又はある期間中に受信されているときにモータの第1の速度が設定され、信号が受信されないとき、又はある期間中に受信されていないときにモータの第2の速度が設定される。第1の速度によって玩具は表面までの距離を増加させ(すなわち、表面に対する高度を上げ)、第2の速度によって表面までの距離を減少させる(すなわち、表面に対する高度を下げる)。第1の速度は、玩具がホバリングする速度のちょうど上に設定される。第2の速度は、玩具がホバリングする速度のちょうど下に設定される。起動時は、モータの初期速度は第1の速度であり、玩具は、高度を上げて表面上方の高度を達成する。一部の玩具においては、高度は、表面上方の所定の距離又は距離範囲である。信号が受信され、また受信されないときに、コントローラは、第1の速度と第2の速度との間を反復させて玩具が表面上方の所定の距離(又は距離範囲)を維持することを実現する。これは、信号を受信するか信号を受信しないかに依存する限定二状態システムである。
【0004】
また、一部の従来のシステムは、ホバー設定を持っている。ある期間中に信号が受信され、あるいは受信されないときに、玩具はある時間の間ホバーモードに入り、信号状態が変化したときにこれを変更する。
【0005】
上述したようなシステムには多くの欠点がある。従来のシステムは、信号を受信するか信号を受信しないかの二状態制御に限定されている。このシステムは、例えば、比例積分微分(PID)コントローラを使った高度でよりロバストな制御を行うことができない。このシステムではエラー検出がされないため、制御が極めて制限される。さらに、従来のシステムは赤外(IR)信号を用いている。これは、環境条件の影響を受けるので制限を加えるものでもある。反射した信号は、信号が反射する表面に依存する。例えば、テーブルの天面のような滑らかで光沢のある表面は、濃い色のカーペットのような粗くて暗い表面よりも効率的に反射し得る。反射したIR信号への依存と二状態制御により、従来のシステムは極端に制限されている。
【0006】
したがって、単に信号を受信しているか信号を受信していないかのどちらかに基づく二状態システムではなく、受信した信号から得られる情報に基づいて飛行玩具を制御するシステムが必要とされている。飛行玩具と表面との間の決まった距離に基づいて飛行制御を行うことにより、よりロバストなシステムとより効率的に制御された飛行玩具が提供される。
【概要】
【0007】
本発明の実施形態は、飛行玩具を改良するための様々なシステム及び方法を提供することにより上述した必要性を解決しようとするものである。ある実施形態においては、上記玩具は、上記玩具から送信された反射アナログ信号を利用する。表面上方の上記玩具の距離は、上記送信信号の上記継続時間又は上記送信信号の伝搬時間と比較された戻り信号の継続時間から決定され得る。他の実施形態においては、上記玩具は、上記飛行玩具から送信された反射デジタル信号を利用する。ビット誤り率は、上記送信信号と上記受信信号とを比較することにより決定され得る。上記飛行玩具の飛行は、上記ビット誤り率に基づいて制御され得る。これらのシステムは、上述した制限的な二状態受信/未受信システムに比べてより効率的でよりロバストなものである。また、アナログ信号の場合には、上記信号が失われると、電源が失われるか、信号が再び得られるまで上記制御信号の状態が維持される。
【0008】
特に、本発明の第1の実施形態は、飛行玩具と表面との間の距離に基づいて上記飛行玩具を制御する方法であって、上記飛行玩具における送信器から信号を送信するステップと、上記信号が上記表面で反射した後に上記飛行玩具の受信器で上記信号を受信するステップと、上記受信信号を上記送信信号と比較するステップと、上記送信信号と上記受信信号との間のビット誤り率を決定するステップと、上記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップとを含み、上記制御信号は、上記ビット誤り率に少なくとも部分的に基づいている、方法に向けられている。
【0009】
本発明の第2の実施形態は、飛行玩具と表面との間の距離を制御するための飛行玩具制御システムであって、上記飛行玩具から信号を送信する送信器と、上記信号が上記表面で反射した後に上記飛行玩具で上記信号を受信する受信器と、少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、上記表面からの距離で上記飛行玩具を制御する方法であって、上記受信信号を上記送信信号と比較するステップと、上記送信信号と上記受信信号との間のビット誤り率を決定するステップと、上記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップとを含み、上記制御信号は、上記ビット誤り率に少なくとも部分的に基づいている、方法を実施するコンピュータ実行可能な命令を格納した1以上の非一過性コンピュータ読取可能媒体とを備える、飛行玩具制御システムに向けられている。
【0010】
本発明の第3の実施形態は、少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、表面からの距離に基づいて上記飛行玩具を制御する方法であって、上記飛行玩具における送信器から信号を送信するステップと、上記信号が上記表面で反射した後に上記飛行玩具の受信器で上記信号を受信するステップと、上記送信信号と上記受信信号との間のビット誤り率を決定するステップと、上記ビット誤り率が閾値を上回るときに上記飛行玩具の飛行を制御する第1の信号をモータに送信するステップと、上記ビット誤り率が上記閾値を下回るときに第2の信号を上記モータに送信するステップとを含む方法を実施するコンピュータ実行可能な命令を格納した1以上の非一過性コンピュータ読取可能媒体に向けられている。
【0011】
本発明の第4の実施形態は、飛行玩具と表面との間の距離に基づいて上記飛行玩具を制御する方法であって、上記飛行玩具における送信器から信号を送信するステップと、上記信号が上記表面で反射した後に上記飛行玩具の受信器で上記信号を受信するステップと、上記受信信号を上記送信信号と比較するステップと、上記送信信号と上記受信信号との間のビット誤り率を決定するステップと、上記ビット誤り率を閾値と比較するステップと、上記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップとを含み、上記制御信号は、上記ビット誤り率と上記ビット誤り率の上記閾値との上記比較とに少なくとも部分的に基づいている、方法に向けられている。
【0012】
本発明の第5の実施形態は、表面上方の飛行玩具の高度に基づいて上記飛行玩具を制御する1以上の方法であって、上記飛行玩具における送信器から信号を送信するステップと、上記信号が上記表面で反射した後に上記飛行玩具の受信器で上記信号を受信するステップと、上記受信信号を上記送信信号と比較するステップと、上記受信信号の複数のサンプルの移動平均を行うことにより上記受信信号を調整するステップと、上記送信信号と上記調整信号との間のビット誤り率を決定するステップと、上記ビット誤り率を閾値と比較するステップと、上記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップとを含み、上記制御信号は、上記ビット誤り率、上記ビット誤り率の上記閾値との上記比較、及び上記調整信号に少なくとも部分的に基づいている、方法に向けられている。
【0013】
本発明の第6の実施形態は、少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、表面上方の飛行玩具の高度に基づいて上記飛行玩具を制御する方法であって、上記飛行玩具における送信器から信号を送信するステップと、上記信号が上記表面で反射した後に上記飛行玩具の受信器で上記信号を受信するステップと、上記受信信号を上記送信信号と比較するステップと、上記受信信号の複数のサンプルの移動平均を行うことにより上記受信信号を調整するステップと、上記送信信号と上記調整信号との間のビット誤り率を決定するステップと、上記ビット誤り率を閾値と比較するステップと、上記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップとを含み、上記制御信号は、上記ビット誤り率、上記ビット誤り率の上記閾値との上記比較、及び上記調整信号に少なくとも部分的に基づいている、方法を実施するコンピュータ実行可能な命令を格納した1以上の非一過性コンピュータ読取可能媒体に向けられている。
【0014】
本発明の第7の実施形態は、飛行玩具と表面との間の距離を制御するための飛行玩具制御システムであって、上記飛行玩具から信号を送信する送信器と、上記信号が上記表面で反射した後に上記飛行玩具で上記信号を受信する受信器と、少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、上記表面上方の上記飛行玩具の高度に基づいて上記飛行玩具を制御する方法であって、上記受信信号を上記送信信号と比較するステップと、上記受信信号の複数のサンプルの移動平均を行うことにより上記受信信号を調整するステップと、上記送信信号と上記調整信号との間のビット誤り率を決定するステップと、上記ビット誤り率を閾値と比較するステップと、上記飛行玩具の飛行を制御する制御信号をモータに送信するステップとを含み、上記制御信号は、上記ビット誤り率、上記ビット誤り率の上記閾値との上記比較、及び上記調整信号に少なくとも部分的に基づいている、方法を実施するコンピュータ実行可能な命令を格納した1以上の非一過性コンピュータ読取可能媒体とを備える飛行玩具制御システムに向けられている。
【0015】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに述べられる概念のうち選択した一部を簡略化した形で紹介するために提供されるものである。本概要は、請求項に記載されている主題の重要な特徴又は必要不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、請求項に記載されている主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものではない。本発明の他の側面及び利点は、以下の実施形態の詳細な説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して以下に詳細に述べられる。
【0017】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態に関する代表的な飛行玩具及びハードウェアを示している。
【0018】
【
図2】
図2は、本発明のある実施形態に関する代表的な配線図を示している。
【0019】
【
図3】
図3は、アナログ信号の送信及び受信に基づいて飛行玩具を制御するプロセスを表す代表的なフローチャートを示している。
【0020】
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による代表的な感度範囲を示している。
【0021】
【
図5A-D】
図5A~
図5Dは、本発明のある実施形態に関するビット誤り率の分析を示している。
【0022】
【
図6】
図6は、本発明のある実施形態に関するビット誤り率と距離との間の関係を示している。
【0023】
【
図7A-C】
図7A~
図7Cは、デジタル信号の送信及び受信に基づいて飛行玩具を制御するプロセスを表す代表的なフローチャートを示している。
【0024】
図面の図は、本発明を本明細書で開示され述べられる特定の実施形態に限定するものではない。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を明確に図示する際に強調されている。
【詳細な説明】
【0025】
本発明の実施形態は、飛行玩具と地面のような表面との間の距離に基づいて飛行玩具を制御するための方法及びシステムを提供することにより、上述した問題を解決するものであり、当該分野において際だった利点を提供するものである。ある実施形態においては、飛行玩具は、表面で反射する信号を送信し得る。その後、信号は飛行玩具における受信器により受信され、受信信号を示す情報に基づいて玩具が制御される。ある実施形態においては、飛行玩具と表面との間の距離は、飛行玩具の高度であり得る。しかしながら、飛行玩具と表面との間の距離は、飛行玩具に対して任意の方向におけるものであり得ることに留意すべきである。
【0026】
ある実施形態においては、送信信号は、平行光ビームを出射する距離計からのようなアナログであり得る。送信信号は、送信信号の継続時間として参照され得る設定時間中に送信され得る。送信信号の継続時間は、送信信号の伝搬の距離に基づいて減少し得る。戻り信号の継続時間は送信信号の継続時間と比較され、飛行玩具の高度が決定され得る。送信信号と戻り信号との間の継続時間の差は、信号が伝搬した距離を示し得る。したがって、飛行玩具の高度を決定することができる。あるいは、信号の伝搬時間を測定し得る。伝搬時間から伝搬した距離を決定することができ、したがって、高度を決定することができる。制御信号は、決定された高度に基づいてモータの出力を制御するモータに送信され得る。
【0027】
さらに、アナログ送信信号を利用する実施形態においては、戻り信号が受信されない場合には、飛行玩具は状態を変化させない。戻り信号を受信しなくなる前の飛行玩具の状態が維持される。ある実施形態においては、信号を喪失する前の決定された高度に基づいて制御が継続する。送信信号の範囲外にあるときの飛行玩具の制御は、以下でより詳細に述べられる。
【0028】
あるいは、デジタル送信信号を利用する実施形態においては、受信信号を送信信号と比較することにより、信号のビット誤り率(BER)を決定することができる。デジタル情報信号(すなわち、搬送波上で変調された複数ビットを含む信号)が送信されるとき(すなわち、距離を置いて送信されるとき)、信号がより遠くに伝搬するほど、高い割合で誤りが生じる。BERは信号が伝搬する距離に比例するので、飛行玩具の高度を示すものとしてBERを用いることができる。BERと距離との間の関係は、
図5A~
図5Dに示されており、以下で詳細に述べられる。ある実施形態においては、BERは、信号の正確性の割合のような割合として表され得る。BERが本明細書の実施形態で述べられる場合には、BERは、信号の正確性の割合として表され得る。決められた高度(アナログの実施形態)及び信号の正確性の割合として表され得るBER(デジタルの実施形態)のうち少なくとも一方に基づいてモータの出力を制御する制御信号がモータに送信され得る。これらのプロセスは、上述した従来のシステムにおける欠点を克服するシステム及び方法を提供する。
【0029】
本発明の実施形態の以下の説明は、本発明を実施することができる特定の実施形態を図示している添付図面を参照している。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に本発明の側面を説明することを意図したものである。他の実施形態を利用することができ、本発明の範囲を逸脱することなく変更が可能である。したがって、以下で詳細に述べられる説明は、限定する意味で捉えるべきではない。
【0030】
この説明において、「一実施形態」、「ある実施形態」、「複数の実施形態」、「様々な実施形態」、「ある実施形態」、「一部の実施形態」、又は「他の実施形態」は、参照される1以上の特徴が当該技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。本説明において「一実施形態」、「ある実施形態」、「複数の実施形態」、「様々な実施形態」、「ある実施形態」、「一部の実施形態」、又は「他の実施形態」に対する別々の言及は、必ずしも同じ実施形態に言及しているとは限らず、特に述べられている場合を除いて、さらに/あるいは、当業者にとって当該説明から簡単に分かるものである場合を除いて、互いに排他的なものでもない。例えば、ある実施形態において述べられた特徴、構造、動作などは、他の実施形態においても含められてもよいが、必ずしも含められるものではない。このように、本技術は、本明細書で述べられる実施形態の様々な組み合わせ及び/又は統合を含み得る。
【0031】
図1を見ると、本発明のある実施形態の1つの要素を形成し得る代表的なハードウェアプラットフォーム100が図示されている。飛行玩具102は、送受信器108により表される少なくとも1つの送信器104と少なくとも1つの受信器106とを備え得る。送信器104は、送信信号を送信し得る。受信器106は、本明細書の実施形態において述べられるような戻り信号を受信し得る。ある実施形態においては、この戻り信号は、送信信号が表面110で反射して受信器106に戻ってきたものであり得る。ある実施形態においては、表面110は、地面(例えば床)であり得るか、あるいは、テーブル、手、カーペット、木材、又は他の物体のような任意の物体であり得る。
【0032】
ある実施形態においては、送信器104から送信される信号は、送信信号と呼ばれる。以下に述べる別の実施形態においては、送信信号はアナログ信号又はデジタル信号であり得る。送信信号が表面110で反射すると、その後、その送信信号は戻り信号と呼ばれ、信号が受信器106に受信されると受信信号と呼ばれる。送信信号及び戻り信号は、表面からの玩具の距離を示す情報と関連付けられるので、便宜上、送信される信号及び受信される信号は、以下に述べる実施形態においては概して「信号」と呼ばれることがある。
【0033】
ある実施形態においては、受信信号は、少なくとも1つのプロセッサ112に送信され得る。少なくとも1つのプロセッサ112は、コントローラとして認識されるか、あるいはコントローラを含み得る。さらに、システムからの他の情報とともに受信信号は、非一過性コンピュータ読取可能媒体を含む少なくとも1つのプロセッサ112の少なくとも1つのメモリ114に格納され得る。少なくとも1つのプロセッサ112は、非一過性コンピュータ読取可能媒体上に格納されたコンピュータ実行可能な命令を実行して本明細書で述べられるプロセスを行うことができる。
【0034】
そして、少なくとも1つのプロセッサ112は、コントローラからの出力に基づいてモータ116を制御する制御信号をモータ116に送信し得る。ある実施形態においては、制御信号は、モータ116を制御するためのパルス幅変調(PWM)信号である。モータ116は、飛行玩具102の推進力を制御するための任意のアクチュエータであり得る。モータ116は、電気モータ、エンジンのような燃料駆動モータ、又は他の種類モータであり得る。ある実施形態においては、推進力は、モータ116に接続される少なくとも1つのプロペラによって提供され得る。さらに、モータ116への入力の前に中間速度コントローラによって信号を調整してもよい。
【0035】
ある実施形態においては、飛行玩具102は、図示されているようなヘリコプタであり得る。飛行玩具102は、小像、アクションフィギュア、動物のぬいぐるみ、及び本明細書の実施形態に述べられるような制御システムを備え得る他の玩具であってもよい。さらに、飛行玩具102は、プロペラが玩具のデザインと一体になっている玩具デザインを含み得る。
【0036】
ある実施形態においては、少なくとも1つのプロセッサ112は、ネットワーク及び周辺プロセッサと通信し得る。例えば、コンピュータがネットワークにより飛行玩具102と接続されていてもよい。飛行玩具102は、有線通信又は無線通信によりコンピュータと接続され得る。ある実施形態においては、入力周辺機器(ある実施形態においては、ジョイスティック、パッド、ボタン、キーボード、及びマウスであり得る)が、無線により又は有線通信により接続され、飛行玩具102をさらに制御できるか、飛行玩具102からの情報を受信できるようなっていてもよい。ある実施形態においては、ユーザは、入力周辺機器を操作して飛行玩具102を制御し得る。さらに、ある実施形態においては、ユーザは、入力周辺機器を操作して例えば飛行玩具102の規定ホバリング高度のような設定を変更し得る。
【0037】
コンピュータ読取可能媒体は、揮発及び不揮発媒体、着脱可能及び着脱不可能媒体を含み、少なくとも1つのメモリ114により読取可能な媒体を意図し得る。例えば、コンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ホログラフィック媒体又は他の光学ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、及び他の磁気ストレージデバイスを含んでいる(がこれらに限定されるものではない)。これらの技術は、データを一時的に又は永続的に保存することができる。しかしながら、明確に特定されている場合を除いて、「コンピュータ読取可能媒体」という用語は、ラジオ放送、電線中の電気信号、又は光ファイバケーブル中の光パルスのような物理的ではあるが一過性の信号伝送の形態を含むものと解釈すべきではない。格納される情報の例としては、コンピュータにより利用可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、及び他のデータ表現が挙げられる。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に関する代表的な配線
図200を示すものである。代表的な配線
図200は、本明細書で述べられる実施形態で使用され得る統合電気的要素を示している。代表的な配線
図200は、本明細書で述べられるプロセスを実施可能なシステムを提供するためにどのように電気的構成要素が相互接続され得るかを示している。
【0039】
アナログの実施形態の説明
図3は、概して数字300により参照されるアナログの実施形態における飛行玩具102を制御する代表的プロセスを示している。ステップ302では、飛行玩具の送信器104から信号が送信される。この代表的実施形態においては、送信器104はアナログ信号を送信する。アナログ信号は、平行光ビームを出射する距離計から送信され得る。この信号は、1秒ごと、数秒ごと、又は1秒未満ごとに送信され、所定の期間の間出射され得る。アナログ信号は、表面110で反射して、処理のために飛行玩具102に戻り得る。
【0040】
ステップ304では、信号が、表面110で反射した後に受信器106により受信される。受信信号の継続時間は、伝搬した距離に基づいて短くなり得る。ある実施形態においては、以下に述べる分析のために信号の伝搬時間が記録される。
【0041】
ステップ306では、継続時間は、送信信号と受信信号の比較から決定される。ある実施形態においては、継続時間は、飛行玩具102と表面110との間の距離を示し得る。例えば、送信信号は、連続的であり、サンプル時間の間送信され得る。信号が送信器104から表面110に伝搬し、表面110から送信器104に戻るときに、伝搬した距離に比例して信号の一部が失われ得る。この信号の失われた部分によって、サンプル時間にわたる戻り信号の継続時間が送信信号よりも短くなる。送信信号の継続時間と戻り信号の継続時間との差は伝搬距離を示しているので、飛行玩具102の高度を決定することができる。
【0042】
あるいは、ステップ306では、距離の決定のために伝搬時間が使用される。ある実施形態においては、飛行玩具102の高度を決定するために信号の伝搬時間が使用され得る。信号の伝搬時間は、送信信号が送信される時点から反射信号が受信される時点までの記録時間であり得る。信号の速度は既知であるため、信号の伝搬時間に基づいて飛行玩具102と表面110との間の距離が決定され得る。
【0043】
ステップ308では、飛行玩具102と表面110との間の距離が決定される。高度は、送信信号と受信信号との間の時間に基づいて決定され得るか、高度は、上述した信号の伝搬時間から決定され得る。
【0044】
ステップ310では、飛行玩具102の高度を制御するための制御信号がモータに送信される。モータ116に送信されるPWM出力を決定するためにPWM値のテーブル又は高度に対するPWMの連続関数が使用され得る。ある実施形態においては、PWMを決定するために、推定される高度と基準高度との間の差が使用される。ある実施形態においては、コントローラは、推定される高度と基準高度との間の差に基づいて制御信号を出力する。基準高度は、ユーザ又は飛行玩具の製造者により定義された高度、あるいは飛行玩具102の制御のために入力される基準高度であり得る。
【0045】
さらに、ステップ310では、推定される高度が基準高度よりも低い場合には、飛行玩具102の高度を上げるために第1のPWM信号がモータ116に送信され得る。推定される高度が基準高度よりも高い場合には、飛行玩具102の高度を下げるために第2のPWM信号がモータ116に送信され得る。ある実施形態においては、モータ116は、飛行玩具102の高度を制御するためのプロペラに接続される。
【0046】
ある実施形態においては、戻り信号が受信されない場合には、コントローラは、信号を喪失する前の制御信号を保持する。飛行玩具102が検出可能範囲(
図4参照)の外側に移動した場合には、飛行玩具102が動力を失うか、戻り信号が再び検出されるまで制御信号はどのような方法でも調整されない。
【0047】
図4は、概して数字400により参照される、キロヘルツを単位とする代表的な赤外(IR)受信器の周波数応答曲線を示している。縦軸は、送信信号と反射後の戻り信号についての代表的な感度又は範囲402を示している。横軸は、キロヘルツ(Khz)を単位とする信号周波数404を表している。この例では、38Khzで最大の応答となり、53Khzではそれよりも低い応答となる。しかしながら、飛行玩具102が範囲402の外側に移動する場合には、信号が再び取得されるまで制御信号は、モータ116の状態を変化させない。
【0048】
ある実施形態においては、送信信号の受信の範囲402を妥当なものとするためにデジタルPWMを固定してもよい。例えば、範囲402の終端近傍では(すなわち、飛行玩具の高度が基準高度よりも高い場合)、飛行玩具102と表面110との間の距離を縮めるように制御信号をモータ116に送信してもよい。
【0049】
デジタルの実施形態の説明
上記実施形態において述べられているように、送信信号は、送信器104により送信され、デジタル信号(例えば、搬送波上で変調された複数ビットを含む信号)である。実施形態においては、送信信号は、上述したように38KhZ又は53Khzのいずれかであり得る。送信信号は、表面110で反射し、飛行玩具102に向かって戻り、受信器106.で受信される。
【0050】
ある実施形態においては、送信信号を受信信号と比較してBERを決定することにより飛行玩具102が制御され得る。送信信号は、伝搬中に一連のロー(0又は偽値)及びハイ(1又は真値)を含み得る。戻り信号が受信されたときに、戻り信号からの0と1の数が計算され、送信信号からの0と1の数と比較される。実施形態においては、送信信号は、1に対する0の百分率として例えば、39%~100%の間の値を有し得る。この百分率は、信号の正確性の割合として参照されることがあり、送信信号及び戻り信号が伝搬した距離を示すものである。ある実施形態においては、本明細書で述べられるコントローラを使って、割合の比較から決定された高度を用いて基準高度と比較してもよい。ある実施形態においては、高度は決定されずに、PIDコントローラを使ってBERを用いてPWM制御信号を算出してもよい。
【0051】
図5A~
図5Dは、概して数字500により参照される、複数の信号の伝搬距離におけるBERの様々な測定値を示している。送信信号502は、上述した一連のハイ(1)とロー(0)である。送信信号502は、固定間隔の送信サンプル504にてサンプリングされ得る。大きな丸506はハイのサンプルを表し、小さな丸508はローのサンプルを表している。
図5Aにおいて、受信信号510は、代表的な距離0において表面110で反射する。戻りサンプル512が、送信信号の送信サンプル504のレートと同じ間隔でサンプリングされる。この場合、飛行玩具102と表面110との間に距離がないため、BERが測定されない。その結果、戻り信号からのハイとローが送信信号からサンプリングされたハイとローと一致する。したがって、算出されたスコア514は100%である。ここで、BERは、信号の正確性の割合として表される。
【0052】
図5Bは、代表的な距離1だけ飛行玩具102と表面110とが離間している代表的な実施形態を示している。この場合の距離1の戻りサンプル516は、送信時にハイであった2つの誤り518がローとして受信されたことを示している。合計で2つの誤り518があるので、BERはゼロから増え、距離1において算出されたスコア520の信号の正確性の割合は87%である。
【0053】
同様に、
図5Cは、距離2だけ飛行玩具102と表面110とが離間している代表的な実施形態を示している。距離2の戻り信号が送信信号と同じ間隔で再びサンプリングされる。この場合において、距離2における戻りサンプル522は5つの誤り524を含んでいる。距離2において得られた算出スコア526は66%である。
【0054】
図5Dは、距離3だけ飛行玩具102と表面110とが離間している代表的な実施形態を示している。距離3の戻りサンプル528はハイを含んでいない。したがって、一定の間隔でサンプリングされた距離3の戻りサンプル528のすべてがローである。得られた算出スコア530は33%である。送信されたローもローとして戻るため、この場合にはより低いスコアは存在し得ない。したがって、距離3は、図示されたサンプリングレートに関する最悪のシナリオである。
【0055】
図5A~
図5Dに示されるように、BERは、飛行玩具102と表面110との間の距離を示している。したがって、測定されるBERに基づいて飛行玩具102の高度を制御することができる。
【0056】
ある実施形態においては、BERと距離との間の関係は漸近的である。BERと距離との間の代表的な漸近関係が
図6に示されており、概して数字600により参照される。BERは縦軸602上に表されており、距離は横軸604上に表されている。BERは、送信信号が表面110まで伝搬し、飛行玩具102まで戻ってきた距離を示している。決定されたBERから、この漸近的な関係を用いて距離を決定することができる。さらに、BERに基づいて飛行玩具102を制御することができる。この関係は漸近的なので、信号は決して失われることがないが、上述したようにハイの数がローに対して減少するにつれ、戻りビットと送信ビットとの間の誤りの割合に収束し得る。受信器106は、あるレベルの信号を常に受信し得る。このため、誤りが高くなっても高度の測定値を常に決定し得る。
【0057】
図7A~
図7Cは、送信デジタル信号に基づいて飛行玩具102を制御するための代表的なプロセスを表している。
図7Aは、概して数字700により参照される、受信信号を受信し調整するためのプロセスを表している。送信信号は、
図5A~
図5DにおけるBERサンプルに示されるような指定期間中に送信及び受信され得る。例えば、信号は60ミリ秒の期間中に送信され得る。送信信号は、指定されたタイムフレーム中に受信される一連のハイとローを含み得る。ステップ702では、信号は、指定されたタイムフレーム中に受信される。指定されたタイムフレームが完了し、信号が受信されないと、プロセスは、ステップ704で割込モードに移行する。割込モードは
図7Cに示されており、後で詳しく説明する。
【0058】
ステップ706では、受信信号が分析され、1サイクルのデータが受信されるか否かを判断する。1つの完全なサイクルが受信されない場合には、プロセスは、ステップ704で割込モードに移行する。1つの完全なサイクルが受信される場合には、受信信号はステップ708に移る。
【0059】
ステップ708では、ノイズの影響を制限又は低減するために受信信号に移動平均フィルタが適用され得る。データが分析されて4つのデータサンプル及び8つのデータサンプルに対して移動平均が算出され得る。戻り信号は高度を示し得るが、受信信号にはノイズが含まれ得る。大きなノイズ変動の影響が低減され得るように、また、1つのノイズ変動により全体のサンプルが損なわれてしまうことがないように、より一貫した信号を得るために移動平均フィルタが適用され得る。
【0060】
ある実施形態においては、4つのサンプルが平均され、8つのサンプルが平均される。ステップ710では、品質に関して4つの平均サンプルが8つの平均サンプルと比較される。平均されるサンプルの数が多くなればなるほど、結果がより正確になる。しかしながら、サンプルの数が多くなればなるほど、より多くのノイズが導入され得る。4つの平均サンプルの値が8つの平均サンプル以上であれば、プロセスはステップ712に移行する。ステップ712では、4つの平均サンプルからのデータが選択される。8つの平均サンプルが4つの平均サンプル未満であれば、プロセスは、8つの平均サンプルからのデータが選択されるステップ714に移行する。
【0061】
受信信号が調整される場合、プロセスは受信信号が処理されるステップ716に移行する。この信号処理は、
図7Bに示されており、後で詳しく説明する。
【0062】
図7Bは、概して数字718により参照される、受信信号を処理してモータ116に送る制御信号を決定するためのプロセスを示している。ステップ720では、受信信号が分析され、上述したように受信信号が調整さているか否かを判断する。受信信号が調整されていない場合には、プロセスは、
図7Cに示されており、後で詳しく説明する割込モードに移行する。受信信号が調整されている場合には、プロセスはステップ722に移行する。
【0063】
ステップ722では、受信信号を送信信号と比較することによりBERが決定される。送信ビット数と受信ビット数の間の差は、上述した伝搬距離を示している。したがって、BERを使って飛行玩具102の高度を制御することができる。
【0064】
ある実施形態においては、飛行玩具102を制御するためにBERが閾値と比較される。この閾値は、飛行玩具102が関連する所望高度で飛行するために予め決められたBER値であり得る。基準BERは、
図5A~
図5D及び
図6に示され、上記で述べられたBERと伝搬距離との既知の関係を用いた所望の高度に基づいて選択され得る。同様に、飛行玩具102が所望の高度で飛行しているときに、送信信号と比較された受信信号のBERは閾値であり得る。しかしながら、表面110の反射率によりBERが上昇する結果、予想よりも低い高度となり得る。
【0065】
ステップ724では、BERが閾値よりも低い。この結果、閾値よりも低いBERは、所望の高度よりも低い高度を示している。このため、ステップ726において、より高いPWM基準値がコントローラに入力され得る。ある実施形態においては、BERが閾値よりも低いときに、PWM基準値は2秒ごとに1だけ増加し得る。
【0066】
ステップ726では、BERが閾値よりも高い。閾値よりも高いBERは、飛行玩具102が所望の高度よりも高いことを示している。この結果、PWM基準値は減少され得る。このため、ステップ728において、より低いPWM基準値がコントローラに入力され得る。ある実施形態においては、BERが閾値よりも高いときに、PWM基準値は3秒ごとに1だけ減少し得る。
【0067】
ステップ728では、ステップ724又はステップ726で生成されたPWM基準値がコントローラに入力される。ある実施形態においては、コントローラは、示されているような比例積分微分(PID)コントローラであり、PIDの結果は、XがBER、Xrefが閾値、Kp、Ki、及びKdがPID利得であるとすると、Kp(X?Xref)+KiSum(X-Xref)+Kd*diff(X-Xref)と等価である。別の実施形態では、コントローラは、例えば、比例(P)又は比例微分(PD)のような任意の線形コントローラであり得る。本明細書では線形コントローラが説明されているが、任意の非線形適応コントローラが使用されてもよい。また、任意の統計機械学習アルゴリズムを追加してもよい。このように、飛行玩具102と表面110との間の距離は線形的に又は非線形的に制御され得る。
【0068】
コントローラ出力の結果として。BERが閾値よりも低い場合には、第1の制御信号を送信して、モータ116の速度又はRPMを増加させて、より大きな推進力を生成し、飛行玩具102の高度を上げてもよい。同様に、BERが閾値よりも高い場合には、飛行玩具102の高度を下げる制御信号によりモータ116の速度を減少させてもよい。ある実施形態においては、モータ116は電気モータであり、制御信号はPWMである。
【0069】
ステップ730では、制御信号が生成される。ある実施形態においては、制御信号は、上記で決定されたPWM基準とPWMコントローラ出力との合計に等しい。
【0070】
ステップ732では、電池が少なくなっているか否かを決定するために前回のBERデータが現在のBERデータと比較され得る。モータ116に与えられるPWMの増加とともにBERが増加してない場合には、ステップ734での電池補償がステップ736でPWM制御信号に適用され得る。
【0071】
図5Cは、概して数字738で参照される割込モードを示している。割込モードは、
図5Aのステップ704と
図5Bのステップ736の後に適用される。割込モードは、利用可能な信号が受信されず、受信モードがタイムアウトした際、制御信号がモータ116に送信された際、及び割込モードが50マイクロ秒ごとに開始されるステップ740で適用される。
【0072】
ステップ742では、送受信器108(すなわち、送信器104及び受信器106)が駆動された場合には、プロセスは、ステップ744に進む。ステップ744では、送信器104は送信信号を発する。上述したように、送信信号は、搬送波上で変調された複数ビットを含むデジタル信号である。
【0073】
ステップ746では、受信器106は反射信号を受信する。ステップ748では、送受信器108が信号を受信したか否かを決定するために受信信号が分析される。信号が受信されていない場合には、プロセスはステップ752に移行する。信号が受信されている場合には、プロセスはステップ750に移行する。ステップ750では、受信信号データが保存され、
図5Aに示され、上記で述べたような処理のために調整される。ステップ752では、システムは、次回のステップに移行する。ステップ754では、受信され調整された信号が
図5Bに示され、上記で述べたように処理される。
【0074】
ここで、上記
図7A~
図7Cに示される、飛行玩具を制御する代表的なプロセスについて説明する。送信器104は、表面110で反射し、受信器106に戻るデジタル信号を送信し得る。BERを決定するために受信信号が送信信号と比較され得る。PIDコントローラに入力されるPWM基準を決定するためにBERが閾値と比較され得る。その後、PID出力とPWM基準との合計から制御信号が決定され得る。飛行玩具102の高度を変更するためにモータ116の速度を変える制御信号が、少なくとも1つのプロセッサ112(すなわちコントローラ)からモータ116に送信され得る。BERが閾値を下回った場合には、モータ116の速度が上げられて飛行玩具102の高度が上昇し得る。BERが閾値を超える場合には、モータ116の速度が下げられて飛行玩具102の高度が下降し得る。
【0075】
ある実施形態においては、制御信号は3つの部分を含んでいてもよく、3つの状態に基づいて変化してもよい。制御信号は、初期始動制御信号に対して変化し得る。初期始動制御信号は、モータ116を回転し始めて指定されたBER測定値まで飛行玩具102を推進する指定PWMであり得る。2つ目に、電力変化に基づいて制御信号の調整を行ってもよい。電池電力が減ると、信号が減少し得るし、補償要素が制御信号に提供され得る。3つ目に、制御信号は、上述したコントローラの出力に基づいていてもよい。
【0076】
ある実施形態においては、PID出力は、ある期間中BERで飛行玩具102を補償する。例えば、飛行玩具102が正しく動作しているとき、所定の期間中BERが閾値を超えている場合には、補償するために制御信号PWMがゆっくりと減らされてもよい。同様に、ある期間中BERが閾値より低い場合には、飛行玩具102を上昇させるために制御信号PWMがゆっくりと増やされてもよい。
【0077】
ある実施形態においては、コントローラは、開ループ又は閉ループであってもよい。開ループシステムは、モータ116又はプロペラの状態からのフィードバックを受けることなく、制御信号をモータ116に送信し得る。この制御は、純粋に受信信号から決定されたBERに基づいていてもよい。閉ループシステムの場合、制御信号を受信するモータ116及び推進システムがモニタリングされ、システムを制御するフィードバック中に含められ得る。モータ116の回転及び速度とプロペラ又は複数のプロペラの回転及び速度、又は飛行玩具102の状態を測定するためのセンサがフィードバック用に使用され得る。
【0078】
ある実施形態においては、上述したように、モータ116は、揚力を生み出し、飛行玩具102をホバリングさせるためのプロペラに接続され得る。ある実施形態においては、プロペラは、飛行玩具102の側部、上部、及び底部に接続される複数のプロペラであってもよい。さらに、送信器104及び受信器106は、上記距離を並進距離、垂直、水平、及び他の任意の方向にするように、飛行玩具102の任意の部分に配置されていてもよい。
【0079】
添付した図面に示される実施形態を参照して本発明を述べてきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、均等物を用いることができ、本明細書においてなされた置換を行うことができることに留意されたい。
【0080】
このように、本発明の様々な実施形態を述べてきたが、新しいものとして主張され、特許権により保護が求められるものは、以下の特許請求の範囲を含むものである。