(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240621BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240621BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240621BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240621BHJP
H01M 10/655 20140101ALI20240621BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240621BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20240621BHJP
H01M 10/647 20140101ALN20240621BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/655
H01M10/6556
H01M10/6567
H01M10/647
(21)【出願番号】P 2022519035
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 KR2021001481
(87)【国際公開番号】W WO2021210769
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0044876
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョンピル・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンファ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ミュンキ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0320996(US,A1)
【文献】特開2019-197648(JP,A)
【文献】特開2014-216298(JP,A)
【文献】特開2019-009022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 10/613
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、
前記電池セル積層体の前後面をカバーするエンドプレートと、
前記モジュールフレームの底部に形成されたヒートシンクと、
前記ヒートシンクに冷媒を供給するクーリングポートと、を含み、
前記モジュールフレームは、前記モジュールフレームの底部が前記エンドプレートを超えて延在するように形成されたモジュールフレーム突出部を含み、
前記クーリングポートは、前記モジュールフレーム突出部の上面部から上に突出した形状に配置され、
前記クーリングポートが締結部材によって前記モジュールフレーム突出部と結合され、
前記クーリングポートと前記モジュールフレーム突出部との間にはガスケットが位置し、
前記クーリングポートの中心には、冷媒が移動する冷媒管が形成され、前記ガスケットは前記冷媒管と
前記ヒートシンクとの間に形成される冷媒の移動通路を取り囲んで冷媒の漏出を防止する、電池モジュール。
【請求項2】
前記クーリングポートと前記モジュールフレーム突出部の上面部との間に位置するブラケットをさらに含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記ガスケットは、前記クーリングポートと前記ブラケットとの間に位置する、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記クーリングポートの下端の両側には第1結合ホールが形成され、前記ブラケットの両側には第2結合ホールが形成され、前記モジュールフレーム突出部の両側には第3結合ホールが形成され、
前記締結部材は、前記第1結合ホール、前記第2結合ホールおよび前記第3結合ホールを貫通するように挿入されて、前記クーリングポートと前記ブラケットとを結合する、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記冷媒管は、前記モジュールフレーム突出部に形成されたヒートシンク連結具と連結される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記クーリングポートと前記モジュールフレーム突出部の上面部との間に位置するブラケットをさらに含み、
前記ブラケットの中心部にはブラケット連結具が形成され、前記ブラケット連結具は、前記冷媒管と前記ヒートシンク連結具との間に形成されて、前記冷媒管と前記ヒートシンク連結具とを連結する、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記ガスケットは、環状に形成され、前記冷媒管と前記ブラケット連結具との間に位置して、前記冷媒管と前記ブラケット連結具との間を密封する、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
上からの平面視で前記モジュールフレーム突出部
と少なくとも部分的に重なるように形成されたヒートシンク突出部をさらに含む、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項9】
電池セル積層体が収容されたモジュールフレームの前後端にエンドプレートを結合する段階と、
前記モジュールフレームの前後端に前記エンドプレートを結合した後に、前記モジュールフレームの底部が前記エンドプレートを超えて延在するように形成されたモジュールフレーム突出部上に、クーリングポートが結合される段階と、を含み、
前記エンドプレートを前記モジュールフレームに結合する段階は、第1方向に沿って前記エンドプレートを移動させた後、前記エンドプレートを前記モジュールフレームと結合し、
前記エンドプレートを前記モジュールフレームに結合した後に、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記クーリングポートを移動させた後、前記モジュールフレーム突出部に連結する電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記クーリングポートおよび前記クーリングポートの下端に位置するブラケットを締結部材によって前記モジュールフレーム突出部と結合する段階をさらに含む、請求項9に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記クーリングポートと前記ブラケットとを締結部材によって前記モジュールフレーム突出部と結合する段階は、
前記クーリングポートの下端の両側に形成された第1結合ホール、前記ブラケットの両側に形成された第2結合ホールおよび前記モジュールフレーム突出部の両側に形成された第3結合ホールを一致させる段階と、
前記第1結合ホール、前記第2結合ホールおよび前記第3結合ホールを貫通するようにボルトを挿入する段階と、を含む、請求項10に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記ブラケットと前記クーリングポートとを前記締結部材によって前記モジュールフレーム突出部と結合する段階は、前記クーリングポートと前記ブラケットとの間にガスケットを挿入する段階をさらに含む、請求項10に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記エンドプレートを前記モジュールフレームに結合する段階において、前記第1方向は、前記エンドプレートと結合する前記モジュールフレームの角が形成する面に垂直に向かう方向である、請求項9に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記第2方向は、前記モジュールフレーム突出部の上面と垂直な方向である、請求項9に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の電池モジュールを含む電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2020年4月13日付の韓国特許出願第10-2020-0044876号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびその製造方法に関し、より詳しくは、冷却構造を有する電池モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、モバイル機器および電気自動車などの多様な製品群においてエネルギー源として大いなる関心を受けている。このような二次電池は、化石燃料を使用する既存の製品の使用を代替できる有力なエネルギー資源として、エネルギーの使用による副産物が発生せず、環境にやさしいエネルギー源として注目されている。
【0004】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量の二次電池構造に対する必要性が高まるにつれ、多数の二次電池が直列/並列に連結された電池モジュールを集合させたマルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0005】
一方、複数の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、電池セルからなる電池モジュールを構成し、このような少なくとも1つの電池モジュールを用いてその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。
【0006】
このような電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、複数の電池セルを冷却させるヒートシンクとを含む。
【0007】
図1は、従来のヒートシンクと結合された電池モジュールを示す図である。
【0008】
図1を参照すれば、従来の電池モジュールは、複数の電池セル10が積層形成された電池セル積層体と、電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、前記モジュールフレームの底部20と前記電池セル積層体との間に位置する熱伝導性樹脂層15とを含む。このような電池モジュールは、モジュールフレームの底部20の下に形成されて、複数の電池セル10に冷却機能を提供するヒートシンク30と結合して電池パックを形成することができる。この時、ヒートシンク30は、冷媒が流入するインレット、冷媒が流出するアウトレット、インレットとアウトレットとを連結する冷却流路が形成された下部プレート31と、下部プレート31を覆う上部プレート29とを含む。ここで、電池モジュールの底部20とヒートシンク30との間に熱伝導層18がさらに形成される。
【0009】
従来は、電池モジュールおよび/または電池パックの冷却性能を向上させるために、電池パック単位で別途の冷却構造、例えば、ヒートシンク30を必要とする。したがって、冷却構造が複雑になる傾向があり、冷媒と電池セル10の積層体との間が上部プレート29、モジュールフレームの底部20などからなる多層構造に形成されることによって、電池セルを間接的に冷却するしかないという限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、冷却性能を向上させるための冷却構造の組立性を改善した電池モジュールおよびその製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体を収容するモジュールフレームと、前記電池セル積層体の前後面をカバーするエンドプレートと、前記モジュールフレームの底部に形成されたヒートシンクと、前記ヒートシンクに冷媒を供給するクーリングポートとを含み、前記モジュールフレームは、前記モジュールフレームの底部が前記エンドプレートを超えて延在するように形成されたモジュールフレーム突出部を含み、前記クーリングポートは、前記モジュールフレーム突出部の上面部から上に突出した形状に配置される。
【0013】
前記クーリングポートが締結部材によって前記モジュールフレーム突出部と結合される。
【0014】
前記電池モジュールは、前記クーリングポートと前記モジュールフレーム突出部の上面部との間に位置するブラケットをさらに含み、前記クーリングポートは、前記ブラケットおよび前記モジュールフレーム突出部と締結部材によって連結される。
【0015】
前記電池モジュールは、前記クーリングポートと前記ブラケットとの間に形成されるガスケットをさらに含むことができる。
【0016】
前記クーリングポートの下端の両側には第1結合ホールが形成され、前記ブラケットの両側には第2結合ホールが形成され、前記モジュールフレーム突出部の両側には第3結合ホールが形成され、前記締結部材は、前記第1結合ホール、前記第2結合ホールおよび前記第3結合ホールを貫通するように挿入されて、前記クーリングポートと前記ブラケットとを結合することができる。
【0017】
前記クーリングポートの中心部には冷媒管が形成され、前記冷媒管は、前記モジュールフレーム突出部に形成されたヒートシンク連結具と連結される。
【0018】
前記ブラケットの中心部にはブラケット連結具が形成され、前記ブラケット連結具は、前記冷媒管と前記ヒートシンク連結具との間に形成されて、前記冷媒管と前記ヒートシンク連結具とを連結することができる。
【0019】
前記ガスケットは、環状に形成され、前記冷媒管と前記ブラケット連結具との間に位置して、前記冷媒管と前記ブラケット連結具との間を密封することができる。
【0020】
前記モジュールフレーム突出部に対応するように形成された前記ヒートシンク突出部をさらに含むことができる。
【0021】
本発明の他の実施例による電池パックは、前記電池モジュールを含む。
【0022】
本発明のさらに他の実施例による電池モジュールの製造方法は、電池セル積層体が収容されたモジュールフレームの前後端にエンドプレートを結合する段階と、前記モジュールフレームの底部が前記エンドプレートを超えて延在するように形成されたモジュールフレーム突出部上に、クーリングポートが結合される段階とを含み、前記エンドプレートを前記モジュールフレームに結合する段階は、第1方向に沿って前記エンドプレートを移動させた後、前記エンドプレートを前記モジュールフレームと結合し、前記エンドプレートを前記モジュールフレームに結合した後に、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記クーリングポートを移動させた後、前記モジュールフレーム突出部に連結する。
【0023】
前記電池モジュールの製造方法は、前記クーリングポートおよび前記クーリングポートの下端に位置するブラケットを締結部材によって前記モジュールフレーム突出部と結合する段階をさらに含むことができる。
【0024】
前記クーリングポートと前記ブラケットとを締結部材によって前記モジュールフレーム突出部と結合する段階は、前記クーリングポートの下端の両側に形成された第1結合ホール、前記ブラケットの両側に形成された第2結合ホールおよび前記モジュールフレーム突出部の両側に形成された第3結合ホールを一致させる段階と、前記第1結合ホール、前記第2結合ホールおよび前記第3結合ホールを貫通するようにボルトを挿入する段階とを含むことができる。
【0025】
前記ブラケットと前記クーリングポートとを前記締結部材によって結合する段階は、前記クーリングポートと前記ブラケットとの間にガスケットを挿入する段階をさらに含むことができる。
【0026】
前記エンドプレートを前記モジュールフレームに結合する段階において、前記第1方向は、前記エンドプレートと結合する前記モジュールフレームの角が形成する面に垂直に向かう方向であってもよい。
【0027】
前記エンドプレートを前記モジュールフレームに結合する段階において、前記第2方向は、前記モジュールフレーム突出部の上面を垂直に向ける方向であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施例によれば、クーリングポートとエンドプレートとの間の組立干渉がなくて、エンドプレートの組立工程が単純化され、組立難易度が改善される。
【0029】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来のヒートシンクと結合された電池モジュールを示す図である。
【
図2】比較例として示された電池モジュールを示す図である。
【
図3】
図2に形成されたエンドプレートの組立時におけるクーリングポートによる干渉を示す図である。
【
図4】
図3のエンドプレートがクーリングポートを回避して組立てられる様子を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例による電池モジュールの分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例による電池モジュールと結合されたクーリングポートの分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例によるクーリングポートが電池モジュールに結合された様子を示す側面図である。
【
図8】本発明の一実施例によるエンドプレートが組立てられる様子を示す図である。
【
図9】本発明の一実施例によるクーリングポートが組立てられる様子を示す図である。
【
図10】
図9のクーリングポートが組立てられる様子を側面から眺めた図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に説明される実施例は発明の理解のために例として示したものであり、本発明は、ここで説明される実施例と異なって多様に変形して実施できることが理解されなければならない。ただし、本発明を説明するにあたり、かかる公知の機能あるいは構成要素に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにしうると判断された場合、その詳細な説明および具体的な図示を省略する。また、添付した図面は発明の理解のために実際に縮尺通りに示されたものではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されて示される。
【0032】
本出願で使用される第1、第2という用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0033】
また、本出願で使用される用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、権利範囲を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」、「行われる」または「構成される」などの用語は、明細書上記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0034】
以下、
図5~
図7を参照して、本発明の一実施例によるクーリングポートが結合された電池モジュールについて説明する。
【0035】
図5は、本発明の一実施例による電池モジュールの分解斜視図である。
図6は、本発明の一実施例による電池モジュールと結合されたクーリングポートの分解斜視図である。
図7は、本発明の一実施例によるクーリングポートが電池モジュールに結合された様子を示す側面図である。
【0036】
図5~
図7を参照すれば、本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体100と、電池セル積層体100を収容するモジュールフレーム200と、電池セル積層体100の前後面をカバーするエンドプレート400と、モジュールフレーム200の底部に形成されたヒートシンク300と、ヒートシンク300に冷媒を供給するクーリングポート500とを含む。
【0037】
図6を参照すれば、本実施例による電池モジュールにおいて、ヒートシンク300とモジュールフレーム200の底部とが一体に形成され、ヒートシンク300の一端にクーリングポート500が連結される。モジュールフレーム200は、モジュールフレーム200の底部上でエンドプレート400を超えて延在するように形成されたモジュールフレーム突出部211を含み、クーリングポート500は、モジュールフレーム突出部の上面部と連結されて、モジュールフレーム突出部211を通してヒートシンク300に冷媒を供給する。
【0038】
この時、クーリングポート500とモジュールフレーム突出部211との間に、ブラケット520が位置することができる。クーリングポート500は、締結部材によってブラケット520と連結可能である。この時、クーリングポート500とブラケット520との間にガスケット530が位置することができる。変形例として、ブラケット520は省略可能であり、クーリングポート500が直に、後述する突出部211に直接締結部材によって連結されてもよい。
【0039】
本実施例による電池セルは二次電池であって、パウチ型二次電池で構成される。このような電池セルは複数構成され、複数の電池セルは、相互電気的に連結できるように相互積層されて電池セル積層体100を形成することができる。複数の電池セルはそれぞれ、電極組立体と、セルケースと、電極組立体から突出した電極リードとを含むことができる。
【0040】
モジュールフレーム200は、電池セル積層体100を収容する。本発明の一実施例によれば、モジュールフレーム200は、電池セル積層体100の下面および両側面をカバーする下部フレーム210と、電池セル積層体100の上面をカバーする上部プレート220とを含むことができる。モジュールフレーム200の底部上でエンドプレートを超えて延在するように形成されたモジュールフレーム突出部211を含む。モジュールフレーム突出部211の上側には前述したクーリングポート500が載置される。
【0041】
ただし、モジュールフレーム200の構造はこれに制限されず、電池セル積層体100の前後面を除く4面で囲むモノフレーム状であってもよい。
【0042】
本実施例による電池モジュールは、電池セル積層体100の前後面をカバーするエンドプレート400をさらに含むことができる。前述したモジュールフレーム200を介して内部に収容された電池セル積層体100を物理的に保護することができる。
【0043】
図5を参照すれば、ヒートシンク300は、モジュールフレーム200の下部に形成される。ヒートシンク300は、ヒートシンク300の骨格を形成し、モジュールフレーム200の底部と接触する下部プレート310と、ヒートシンク300の一側に形成されて、外部からヒートシンク300の内部に冷媒を供給するインレット320と、ヒートシンクの一側に形成されて、ヒートシンクの内部で流動した冷媒がヒートシンクの外部に流出するようにするアウトレット330と、インレット320とアウトレット330とを連結し、冷媒が流動する流路部340とを含むことができる。
【0044】
具体的には、流路部340は、モジュールフレーム200の底部に相当する下部フレーム210の下面と接触する下部プレート310が下側に陥没形成された構造を指すことができる。流路部340の上側は開放されることによって、流路部340とモジュールフレーム200の底部との間に流路が形成され、前記流路を通して冷媒が流動することができる。言い換えれば、本実施例による電池モジュールは、モジュールフレーム200の底部がヒートシンク300の上部プレートに対応する役割を果たす冷却一体型構造を有することができる。
【0045】
従来は、モジュールフレームの下側に冷媒が流れる構造が別途に形成されていて、モジュールフレームを間接的に冷却するしかないため、冷却効率が低下し、別途の冷媒流動構造が形成されていて、電池モジュールおよび電池モジュールが装着された電池パック上の空間活用率が低くなる問題があった。しかし、本発明の一実施例によれば、モジュールフレーム200の下部にヒートシンク300を一体化させた構造を採用して、流路部340とモジュールフレーム200の底部との間に冷媒が直接流動可能になることによって、直接冷却による冷却効率が上昇し、ヒートシンク300がモジュールフレーム200の底部と一体化された構造により、電池モジュールおよび電池モジュールが装着された電池パック上の空間活用率をより向上させることができる。
【0046】
下部プレート310は、モジュールフレーム200の底部と対応するように形成される。モジュールフレーム200の底部は、下部フレーム210の底部に相当し、下部プレート310と下部フレーム210の底部とは溶接で結合可能であり、下部プレート310を介して電池モジュール全体の剛性を補強することができる。下部プレート310と下部フレーム210の底部とは溶接結合により密封されることによって、下部プレート310の内側に形成された流路部340で冷媒が漏洩なく流動することができる。
【0047】
インレット320とアウトレット330は、すべてヒートシンク300の一辺に形成される。より詳しくは、インレット320とアウトレット330は、すべてエンドプレート400が位置した部分に形成されたヒートシンク300の一辺に形成される。インレット320とアウトレット330は、ヒートシンク300の一辺の両端にそれぞれ位置することができる。インレット320とアウトレット330は、モジュールフレーム突出部211の下面部と連結されるように、モジュールフレーム突出部211と対応する位置に形成される。このために、インレット320とアウトレット330は、ヒートシンク300の一辺からモジュールフレーム突出部211が位置した部分に突出したヒートシンク突出部300Pに形成される。
【0048】
流路部340は、ベンディングされながらモジュールフレーム200の底部をカバーするように形成される。流路部340は、モジュールフレーム200の底部のうち下部プレート310がモジュールフレーム200の底部と接触した部分を除いた大部分の領域に形成されることによって、モジュールフレーム200の底部上側でモジュールフレーム200の底部の大部分の面積を占めるように配置された電池セル積層体100のすべての部分が均等に冷却できるようにする。
【0049】
流路部340がベンディングされる部分は、曲面に形成される。これによって、隔壁350がベンディングされる部分も、曲面に形成される。流路部340に角ばった角部分が形成される場合、角ばった角部分で冷媒の流動が停滞して温度偏差および圧力降下が大きくなる恐れがある。これに関連し、本発明の一実施例のようにベンディングされる部分は曲面に処理すれば、冷媒の流動が自然に行われる。
【0050】
クーリングポート500は、モジュールフレーム突出部211の上面部と連結されて、モジュールフレーム突出部211を通してヒートシンク300に冷媒を供給する。より詳しくは、
図6に示すように、モジュールフレーム突出部211にはヒートシンク連結具211aが形成され、ヒートシンク連結具211aは、モジュールフレーム突出部211の下面部上に形成されて、ヒートシンク300と連結されたインレット320およびアウトレット330と連結されて、クーリングポート500を通して供給された冷媒がヒートシンク連結具211aを通過してインレット320を通してヒートシンクの内部に流入し、アウトレット330を通してヒートシンク300の内部から流出した冷媒がヒートシンク連結具211aを通過してアウトレット330を通してクーリングポート500に排出される。
【0051】
図6を再び参照すれば、クーリングポート500の中心部には冷媒管511が形成される。冷媒管511を介してヒートシンク連結具211a、インレット320およびアウトレット330を通した冷媒の流出入が行われる。クーリングポート500の両端下側には第1結合ホール512が形成される。第1結合ホール512を介してクーリングポート500とブラケット520とが互いに結合することができる。
【0052】
クーリングポート500は、下側に位置したブラケット520と結合することができる。ブラケット520は、クーリングポート500とモジュールフレーム突出部211との間に位置して、クーリングポート500がモジュールフレーム突出部211上に結束できるように連結部材として機能するが、ブラケット520がない場合、クーリングポート500は、モジュールフレーム突出部211と直接結合することができる。ブラケット520は、中心部に形成されたブラケット連結具521と、ブラケット連結具521の両側に形成された第2結合ホール522とを含むことができる。
【0053】
ブラケット連結具521は、冷媒管511とヒートシンク連結具211aとの間に位置して、冷媒管511とヒートシンク連結具211aとを連結することができる。したがって、冷媒管511を通過した冷媒は、ブラケット連結具521およびヒートシンク連結具211aを順次に通ってインレット320に流入し、アウトレット330を通して流出した冷媒は、ヒートシンク連結具211a、ブラケット連結具521および冷媒管511を順次に通って外部に排出される。
【0054】
第2結合ホール522は、ブラケット連結具521の両側に形成される。第3結合ホール211bは、モジュールフレーム突出部211の上面両側に形成される。第2結合ホール522および第3結合ホール211bは、クーリングポート500の下端の両側に形成された第1結合ホール512と対応する位置に形成され、ボルト540が第1結合ホール512、第2結合ホール522および第3結合ホール211bを貫通するように挿入されて、クーリングポート500、ブラケット520およびモジュールフレーム突出部211を強固に結合することができる。
【0055】
ガスケット530は、環状に形成され、クーリングポート500とブラケット520との間に位置することができる。より詳しくは、ガスケット530は、冷媒管511とブラケット連結具521との間に位置して、冷媒管511とブラケット連結具521との間を密封して、冷媒がクーリングポート本体部510とブラケット520との間への漏洩を防止することができる。また、ガスケット530はゴム材質で形成されて、ガスケット530と連結されたクーリングポート本体部510の柔軟性を得ることができる。
【0056】
以下、
図5~
図7、
図8~
図10を参照して、本発明の一実施例によるクーリングポートが結合された電池モジュールの組立方法について、
図2~
図4に示された比較例と対比して説明する。
【0057】
図2は、比較例として示された電池モジュールを示す図である。
図3は、
図2に形成されたエンドプレートの組立時におけるクーリングポートによる干渉を示す図である。
図4は、
図3のエンドプレートがクーリングポートを回避して組立てられる様子を示す図である。
図8は、本発明の一実施例によるエンドプレートが組立てられる様子を示す図である。
図9は、本発明の一実施例によるクーリングポートが組立てられる様子を示す図である。
図10は、
図9のクーリングポートが組立てられる様子を側面から眺めた図である。
【0058】
図2~
図4を参照すれば、本発明の比較例による電池モジュールは、電池セル積層体を収容するモジュールフレーム40と、電池セル積層体の前後面をカバーするエンドプレート50と、モジュールフレーム40の底部から突出形成されたモジュールフレーム突出部60と、モジュールフレーム突出部60の上面部に形成されたクーリングポート70とを含むことができる。
【0059】
従来のクーリングポート70は、モジュールフレーム40の製作時、モジュールフレーム突出部60と結合されて、モジュールフレームアセンブリを形成した状態でエンドプレート50を組立てる。この時、
図3に示されているように、エンドプレート50をエンドプレートの付着面と垂直な方向に組立てる時、モジュールフレーム突出部60から上側に突出したクーリングポート70によって、組立時に干渉が発生しうる。したがって、エンドプレート50を組立てるために、
図4に示されているように、クーリングポート70とモジュールフレーム40との間の空間に向かってエンドプレート50を垂直に立てた状態でモジュールフレーム突出部60が位置した下側方向に移動させ、その後、再びエンドプレート50をエンドプレートの付着面と垂直な方向に移動させて組立てることができる。
【0060】
図4に示されているように、エンドプレート50を2段階にわたって組立てなければならないので、組立工程が複雑になり、エンドプレート50をモジュールフレーム40の角部分と結合するために高い移送精度が要求される問題があった。
【0061】
そこで、本発明の一実施例による電池モジュールの製造方法は、電池セル積層体が収容されたモジュールフレーム200の前後端にエンドプレート400を結合する段階(
図8)と、モジュールフレーム突出部211上にクーリングポートを結合する段階(
図9、
図10)とを順次に行う。つまり、エンドプレート400をモジュールフレーム200に先に結合し、その後、クーリングポート500をモジュールフレーム突出部211に結合することによって、エンドプレート400の組立工程を単純化し、組立難易度を改善することができる。
【0062】
モジュールフレーム200の前後端にエンドプレート400を結合する段階において、エンドプレート400を
図8に示した組立方向である第1方向に沿って移動させた後、エンドプレート400をモジュールフレーム200と結合し、エンドプレート400をモジュールフレーム200に結合した後に、第1方向と交差する
図10に示した組立方向である第2方向に沿ってクーリングポートを移動させた後、モジュールフレーム突出部211に連結する。
【0063】
この時、第1方向は、エンドプレート400と結合するモジュールフレーム200の角が形成する面に垂直に向かう方向であってもよい。エンドプレート400は、モジュールフレーム200の角と溶接結合することができる。第2方向は、モジュールフレーム突出部211の上面を垂直に向ける方向であってもよい。
【0064】
クーリングポート500とブラケット520とを締結部材によってモジュールフレーム突出部211と結合する段階は、クーリングポート500の下端の両側に形成された第1結合ホール512、ブラケット520の両側に形成された第2結合ホール522およびモジュールフレーム突出部211の両側に形成された第3結合ホール211bを一致させる段階と、第1結合ホール512、前記第2結合ホール522および前記第3結合ホール211bを貫通するようにボルト540を挿入する段階とを含むことができる。
【0065】
第1結合ホール512とブラケット520の両側に形成された第2結合ホール522とを一致させる段階において、冷媒管511をブラケット連結具521と一致させる段階をさらに含むことができる。
【0066】
クーリングポート500をブラケット520に結合する段階において、ガスケット530をクーリングポート500とブラケット520との間に挿入する段階をさらに含むことができる。本段階に開示された組立過程によりクーリングポート500とブラケット520とを連結することができる。
【0067】
クーリングポート500をモジュールフレーム突出部211に連結する段階において、クーリングポート500は、下側方向に移動してモジュールフレーム突出部211の上面に連結される。この時、クーリングポート500に形成されたブラケット連結具521をモジュールフレーム突出部211の上面に形成されたヒートシンク連結具211aと一致するように、クーリングポート500とモジュールフレーム突出部211とを結合することができる。
【0068】
上記で説明した電池モジュールは、電池パックに含まれる。電池パックは、本実施例による電池モジュールを1つ以上まとめて電池の温度や電圧などを管理する電池管理システム(Battery Management System;BMS)と冷却装置などを追加してパッキングした構造であってもよい。
【0069】
前記電池パックは、多様なデバイスに適用可能である。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールを使用できる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施例について図示および説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることはもちろんであり、このような変形実施は本発明の技術的な思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0071】
10:電池セル
20:底部
30:ヒートシンク
40:モジュールフレーム
50:エンドプレート
60:モジュールフレーム突出部
70:クーリングポート
100:電池セル積層体
200:モジュールフレーム
210:下部フレーム
211:モジュールフレーム突出部
211a:ヒートシンク連結具
211b:第3結合ホール
220:上部プレート
300:ヒートシンク
300P:ヒートシンク突出部
400:エンドプレート
500:クーリングポート
510:クーリングポート本体部
511:冷媒管
512:第1結合ホール
520:ブラケット
521:ブラケット連結具
522:第2結合ホール
530:ガスケット
540:ボルト