(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】モジュールバスバーを含むバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/583 20210101AFI20240621BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240621BHJP
H01M 50/526 20210101ALI20240621BHJP
【FI】
H01M50/583
H01M50/213
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/516
H01M50/522
H01M50/526
(21)【出願番号】P 2022525897
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 KR2021004295
(87)【国際公開番号】W WO2021206426
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043499
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビョン-ジュン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ミョン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ス・ソン
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0255750(US,A1)
【文献】国際公開第2016/072054(WO,A1)
【文献】特開2014-154337(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187312(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0053106(KR,A)
【文献】国際公開第2017/169524(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/179794(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315304(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0077487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/583
H01M 50/213
H01M 50/503
H01M 50/505
H01M 50/516
H01M 50/522
H01M 50/526
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子が形成された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収容するように構成された内部空間を備えたモジュールハウジングと、
前記複数の電池セルを電気的に接続するように構成されたモジュールバスバーと、
を含み、
前記モジュールバスバーは、
前記モジュールハウジングの外面と対面するように位置した第1本体部、及び前記電極端子と接触するように構成された第1接続部が備えられた第1金属プレートと、
前記第1金属プレートの第1本体部の外側に積層された第2本体部、前記電極端子と接触するように構成された第2接続部、及び前記第2接続部と前記第2本体部との間を電気的に接続し、所定電流以上で断線するように構成されたヒューズ部を備え、前記第1金属プレートよりも薄い厚さを有する第2金属プレートと、
を備
え、
前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートのそれぞれには上下に打ち抜かれた固定孔が形成され、
前記モジュールハウジングは、前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートのそれぞれを固定するように前記固定孔に挿入される固定突起、及び前記固定孔と前記固定突起との間に介在されるクッション部材を備える、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記第2金属プレートは、
前記第2接続部と前記ヒューズ部との間に形成され、前記ヒューズ部の幅よりも広く形成された補強部を備える、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記モジュールハウジングは、
内部空間に収容された前記電池セルの電極端子が外部に露出するように打ち抜かれた接続開口を備え、
前記補強部は、
一部分が前記接続開口を通して前記モジュールハウジングの内側に折り曲げられた、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
電極端子が形成された複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを収容するように構成された内部空間を備えたモジュールハウジングと、
前記複数の電池セルを電気的に接続するように構成されたモジュールバスバーと、
を含み、
前記モジュールバスバーは、
前記モジュールハウジングの外面と対面するように位置した第1本体部、及び前記電極端子と接触するように構成された第1接続部が備えられた第1金属プレートと、
前記第1金属プレートの第1本体部の外側に積層された第2本体部、前記電極端子と接触するように構成された第2接続部、及び前記第2接続部と前記第2本体部との間を電気的に接続し、所定電流以上で断線するように構成されたヒューズ部を備え、前記第1金属プレートよりも薄い厚さを有する第2金属プレートと、
を備える、バッテリーモジュールであって、
前記第2金属プレートは、
前記第2接続部と前記ヒューズ部との間に形成され、前記ヒューズ部の幅よりも広く形成された補強部を備え、
前記モジュールハウジングは、内部空間に収容された前記電池セルの電極端子が外部に露出するように打ち抜かれた接続開口を備え、
前記補強部は、一部分が前記接続開口を通して前記モジュールハウジングの内側に折り曲げられ、
前記補強部は、
前記接続開口の周縁部及び前記接続開口の周辺部のうち少なくとも一つに接着された
、バッテリーモジュール。
【請求項5】
前記第2金属プレートは、
前記ヒューズ部と前記第2本体部との連結部分を囲むように構成された補強部材を備える、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記第2金属プレートは、
前記第1金属プレートの金属素材よりも比抵抗が大きい金属素材を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記ヒューズ部は、
前記第2本体部から延びた方向を基準にして少なくとも1回折り曲げられ、
前記第2接続部には、水平方向からみて、前記ヒューズ部の折り曲げられた方向と垂直に配列され、前記電極端子と溶接された少なくとも二つの溶接部位が形成された、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを少なくとも一つ含む、バッテリーパック。
【請求項9】
請求項8に記載のバッテリーパックを含む、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールバスバーを含むバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び電子デバイスに関し、より詳しくは、高電流が流れる場合、迅速に断線でき、耐久性に優れたモジュールバスバーを備えたバッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2020年4月9日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0043499号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化されるにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などの二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池はニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主に、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。また、このようなリチウム二次電池は、正極活物質が塗布された正極板と負極活物質が塗布された負極板とがセパレータを介在して配置された電極組立体、及び該電極組立体を電解液とともに封止収納する外装材、すなわち電池ケースを備える。
【0006】
そして、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に収納されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに収納されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0007】
そのうち、缶型二次電池は、電極組立体が収納される金属缶を円筒形に製作する場合がある。このような缶型二次電池は、複数の二次電池を収容するハウジング及び複数の二次電池を電気的に接続するように構成されたバスバーを備えたバッテリーモジュールの構成に使用され得る。
【0008】
近年、このようなバッテリーモジュールに備えられるバスバーは、電極端子との抵抗溶接の溶接性を高めるため、電気抵抗が高い素材を使用する場合がある。
【0009】
しかし、バッテリーモジュールに収納された複数の二次電池のうち、一部の二次電池の間で短絡が発生し、これら二次電池から高電流がバスバーを通じて流れると、該バッテリーモジュールを使用する製品の故障につながり得る。このような場合は、バッテリー管理システム(Battery Management System:BMS)を使って電流を遮断できるが、BMSが作動しないか又は誤作動するときの高電流に対応するため、高電流が流れると断線するヒューズをバスバーの一部分として適用することがあった。
【0010】
このようなバスバーのヒューズは、電気抵抗を大きく設定するため、バスバーの他の部分よりも断面積が狭くなるように、厚さを薄くするか又は幅を狭くして形成する。しかし、このように厚さが薄いか又は幅が狭いバスバーのヒューズは、相対的に機械的剛性が弱いため、バッテリーモジュールに外部衝撃や頻繁な振動が加えられると、損傷または切断などによって断線することがあり、バッテリーモジュールの耐久性を低下させる要因になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するために創案されたものであって、高電流が流れると迅速に断線でき、耐久性に優れたモジュールバスバーを備えたバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、
電極端子が形成された複数の電池セルと、
複数の電池セルを収容するように構成された内部空間を備えたモジュールハウジングと、
複数の電池セルを電気的に接続するように構成されたモジュールバスバーと、を含み、
モジュールバスバーは、
モジュールハウジングの外面と対面するように位置した第1本体部、及び電極端子と接触するように構成された第1接続部が備えられた第1金属プレートと、
第1金属プレートの第1本体部の外側に積層された第2本体部、電極端子と接触するように構成された第2接続部、及び第2接続部と第2本体部との間を電気的に接続し、所定電流以上で断線するように構成されたヒューズ部を備え、第1金属プレートよりも薄い厚さを有する第2金属プレートと、を備える。
【0014】
また、第2金属プレートは、
第2接続部とヒューズ部との間に形成され、ヒューズ部の幅よりも広く形成された補強部を備え得る。
【0015】
さらに、モジュールハウジングは、
内部空間に収容された電池セルの電極端子が外部に露出するように打ち抜かれた接続開口を備え、
補強部は、
一部分が接続開口を通してモジュールハウジングの内側に折り曲げられ得る。
【0016】
そして、補強部は、
接続開口の周縁部及び接続開口の周辺部のうち少なくとも一つに接合され得る。
【0017】
また、第2金属プレートは、
ヒューズ部と第2本体部との連結部分を囲むように構成された補強部材を備え得る。
【0018】
さらに、第1金属プレート及び第2金属プレートのそれぞれには上下に打ち抜かれた固定孔が形成され、
モジュールハウジングは、
第1金属プレート及び第2金属プレートのそれぞれを固定するように固定孔に挿入される固定突起、及び固定孔と固定突起との間に介在されるクッション部材を備え得る。
【0019】
そして、第2金属プレートは、
第1金属プレートの金属素材よりも比抵抗が大きい金属素材を含み得る。
【0020】
また、ヒューズ部は、
第2本体部から延びた方向を基準にして少なくとも1回折り曲げられ、
第2接続部には、水平方向からみて、ヒューズ部の折り曲げられた方向と垂直に配列され、電極端子と溶接された少なくとも二つの溶接部位が形成され得る。
【0021】
そして、上記の目的を達成するため、本発明の他の一態様によるバッテリーパックは、上述したバッテリーモジュールを少なくとも一つ含む。
【0022】
また、上記の目的を達成するため、本発明のさらに他の一態様による電子デバイスは、上述したバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によるモジュールバスバーは、第1金属プレート、及び第1金属プレートの外側に位置して第1金属プレートよりも薄く形成された第2金属プレートを備えることで、モジュールバスバーの耐久性を向上させることができる。すなわち、相対的に厚い第1金属プレートは、第2金属プレートよりも振動や衝撃に対する剛性が相対的に優れるため、第1金属プレートの第1本体部をモジュールハウジングの外面と対面するように配置し、厚さの薄い第2金属プレートの第2本体部は第1本体部の外側に配置させることで、モジュールバスバーに伝達されるモジュールハウジングの衝撃と持続的な振動による損傷を効果的に減らすことができる。
【0024】
また、本発明の一態様によれば、第2金属プレートは、第2接続部とヒューズ部との連結部位に振動または衝撃が伝達される場合、ヒューズ部の狭い幅のため切断される危険性が他の部位よりも相対的に高いため、第2接続部とヒューズ部との間にヒューズ部の幅よりも広く形成された補強部を備えることで、第2接続部とヒューズ部との連結部位の機械的剛性を補強することができ、モジュールバスバーの振動や衝撃に対する耐久性をさらに高めることができる。
【0025】
さらに、本発明の一態様によれば、ヒューズ部が第2本体部から延びた方向を基準にして少なくとも1回折り曲げられ、第2接続部には、水平方向からみて、ヒューズ部の折り曲げられた方向と垂直に配列され、電極端子と溶接された少なくとも二つの溶接部位が形成されることで、ヒューズ部が外力によって引っ張られても、垂直方向に配列された少なくとも二つの溶接部位の強い接合力によって接合された状態を効果的に維持することができる。これにより、バッテリーモジュールの耐久性を効果的に高めることができる。
【0026】
そして、本発明の一態様によれば、第1金属プレート及び第2金属プレートのそれぞれを固定するように固定孔に挿入される固定突起、及び固定孔と固定突起との間に介在されるクッション部材を備えることで、モジュールハウジングからモジュールバスバーに伝達される振動や衝撃をクッション部材が吸収することで、モジュールバスバーの頻繁な振動と衝動による損傷を効果的に減らすことができる。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの一部構成であるモジュールバスバーを概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの一部構成であるバスバー及び複数の電池セルを概略的に示した斜視図である。
【
図4】
図1のA領域を拡大して示した部分正面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールの一部構成であるモジュールバスバーを概略的に示した部分正面図である。
【
図6】
図5のC-C’線に沿って切断したバッテリーモジュールを概略的に示した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
図1は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを概略的に示した斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの一部構成であるモジュールバスバーを概略的に示した斜視図であり、
図3は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの一部構成であるバスバー及び複数の電池セルを概略的に示した斜視図であり、
図4は
図1のA領域を拡大して示した部分正面図である。参考までに、
図1の+X軸が右方であり、-X軸が左方であり、+Z軸が上方であり、-Z軸が下方であり、+Y軸が後方であり、-Y軸が前方である。
【0032】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール200は、複数の電池セル100、モジュールハウジング210、及び複数のモジュールバスバー220を含み得る。
【0033】
ここで、電池セル100は、円筒形の電池セルであり得る。円筒形電池セル100は、円筒形の電池缶116、及び電池缶116の内部に収容された電極組立体(図示せず)を含み得る。
【0034】
また、電池缶116は、電気伝導性の高い材質を含み、例えば、電池缶116はアルミニウムまたは銅素材を含み得る。
【0035】
さらに、電池缶116は、前後方向に横たわった形態で構成され得る。そして、電池缶116は、上下方向に延びた円筒形であり得る。さらに、横たわった電池缶116の前端部及び後端部には電極端子111、112が形成され得る。
【0036】
具体的には、電極端子は、正極端子111及び負極端子112を備え得る。電池缶116の前端部の扁平な面には正極端子111が形成され、電池缶116の後端部の扁平な円形の面には負極端子112が形成され得る。一方、円筒形電池セル100の配置は、必ずしもこのような形態のみに限定されることはなく、負極端子112が前端部に位置し、正極端子111が後端部に位置するように配置されてもよい。
【0037】
また、このような形態に限定されることはなく、図示されていないが、円筒形の電池セルの他の形態として電池缶の前端部に正極端子及び負極端子がともに備えられてもよい。このような形態では、負極端子が電池缶の前端部の縁部に位置し、正極端子が前端部の中央に位置し得る。そして、前端部に形成された正極端子と負極端子とは電気絶縁体であるガスケットによって絶縁され得る。
【0038】
さらに、円筒形電池セル100は、左右方向と上下方向とに複数個が配列され得る。このような円筒形電池セル100の構成は、本発明の出願時点で当業者に周知であるため、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0039】
一方、モジュールハウジング210には、複数の円筒形電池セル100を内部に挿入して収容可能な内部空間(図示せず)が備えられ得る。具体的には、内部空間には、円筒形電池セル100の外側面を囲むように形成された複数の中空構造が形成され得る。このとき、モジュールハウジング210は、電気絶縁性素材を含み得る。例えば、電気絶縁性素材は高分子プラスチックであり得る。より具体的には、電気絶縁性素材はポリ塩化ビニルであり得る。
【0040】
また、モジュールバスバー220は、複数の円筒形電池セル100を電気的に接続するように構成され得る。複数のモジュールバスバー220は、モジュールハウジング210の前面または後面に取り付けられ得る。
【0041】
具体的には、モジュールバスバー220は、第1金属プレート221及び第2金属プレート223を備え得る。具体的には、第1金属プレート221は、第1本体部221a及び第1接続部221bを含み得る。第1本体部221aは、モジュールハウジング210の外面と対面するように位置し得る。すなわち、第1本体部221aは、モジュールハウジング210の前面と対面するように位置し得る。第1本体部221aは、少なくとも一部分が左右方向に長く延びた形態を有し得る。
【0042】
例えば、
図4に示されたように、第1本体部221aは、モジュールハウジング210の外面に沿って左右方向に延びた部分であり得る。また、第1接続部221bは、正極端子111と接触するように構成され得る。すなわち、第1接続部221bの少なくとも一部分は、正極端子111と電気的に接続するため、正極端子111と接触または溶接され得る。また、第2金属プレート223は、第1金属プレート221の第1本体部221a上に積層され得る。例えば、
図4に示されたように、第2金属プレート223は、第1金属プレート221の第1本体部221aの前面に接合されて位置し得る。図示していないが、モジュールハウジング210の後面に対面して位置したモジュールバスバー220の場合は、第2金属プレート223が第1金属プレート221の第1本体部221aの後面に接合されて位置し得る。
【0043】
そして、第1金属プレート221は、第1本体部221aと第1接続部221bとの間を連結する連結部221cを備え得る。連結部221cは、モジュールハウジング210の接続開口P1を通して内側に折り曲げられた構造を有し得る。
図3及び
図4のように、連結部221cは、モジュールハウジング210の接続開口P1を通して後方に折り曲げられた構造を有し得る。
【0044】
さらに、第2金属プレート223は、第2本体部223a、第2接続部223b及びヒューズ部223cを備え得る。第2本体部223aは、第1金属プレート221の第1本体部221aの外側に積層され得る。ここで、「外側」とは、モジュールハウジング210を基準にして外側であると言える。逆に、「内側」とは、モジュールハウジング210の内部空間に向かう方向であると言える。第2本体部223aは、モジュールハウジング210の外面に沿って扁平に延びた形態を有し得る。例えば、第2本体部223aは、少なくとも一部分が左右に長く延びた形態を有し得る。第2本体部223aは、第1本体部221aと接合され得る。接合する方法は、例えば、高温圧着または溶接などの方法を用い得る。
【0045】
そして、第2接続部223bは、電極端子と接触するように構成され得る。このとき、第2接続部223bが接触する電極端子は、第1接続部221bが接触する電極端子と反対極性であり得る。例えば、第2接続部223bは負極端子112と接触し、第1接続部221bは正極端子111と接触し得る。
【0046】
そして、ヒューズ部223cは、第2接続部223bと第2本体部223aとの間を電気的に接続する形態を有し得る。すなわち、ヒューズ部223cの一端部は、電気的に第2接続部223bと連結され得る。ヒューズ部223cの他端部は、第2本体部223aと連結され得る。ヒューズ部223cは、所定電流以上で断線するように断面積が設定され得る。例えば、ヒューズ部223cは40A~60Aの電流が流れる場合、抵抗熱によって少なくとも一部分が溶融して断線するように構成され得る。ヒューズ部223cは、許容電流範囲及び金属素材の比抵抗を考慮して、断面積を設定できる。
【0047】
図4をさらに参照すると、第2金属プレート223は補強部223dを備え得る。補強部223dは、第2接続部223bとヒューズ部223cとの間の連結部位の機械的剛性を補強するように備えられ得る。補強部223dは、第2接続部223bとヒューズ部223cとの間に形成され得る。補強部223dは、ヒューズ部223cの幅よりも上下方向に広い幅を有し得る。
【0048】
したがって、本発明のこのような構成によれば、第2金属プレート223は、第2接続部223bとヒューズ部223cとの連結部位に振動または衝撃が伝達される場合、ヒューズ部223cの狭い幅のため切断される危険性が他の部位よりも相対的に高いため、第2接続部223bとヒューズ部223cとの間にヒューズ部223cの幅よりも広く形成された補強部223dを備えることで、第2接続部223bとヒューズ部223cとの連結部位の機械的剛性を補強することができ、モジュールバスバー220の振動や衝撃に対する耐久性をさらに高めることができる。
【0049】
図1及び
図4をさらに参照すると、モジュールハウジング210は、内部空間に収容された円筒形電池セル100の電極端子が外部に露出するように打ち抜かれた接続開口P1を備え得る。例えば、
図1のように、モジュールハウジング210の前面及び後面のそれぞれには複数の接続開口P1が備えられ得る。複数の接続開口P1から複数の円筒形電池セル100の電極端子が外部に露出し得る。
【0050】
また、補強部223dは、一部分が接続開口P1を通してモジュールハウジング210の内側に折り曲げられた構造を有し得る。例えば、
図4に示されたように、補強部223dは、接続開口P1を貫通して後方に折り曲げられた構造を有し得る。第2接続部223bは、モジュールハウジング210の内側に折り曲げられた補強部223dの端部から延びた形態を有し得る。ここで、「内側」とは、モジュールハウジング210の内部空間が位置した方向を意味する。
【0051】
図5は、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュールのバスバーを概略的に示した部分正面図である。
【0052】
図5を参照すると、補強部223dは、接続開口P1の周縁部P1a及び接続開口P1の周辺部P1bのうち少なくとも一つに接合され得る。ここで、接続開口P1の周縁部P1aとは、モジュールハウジング210の打ち抜かれた接続開口P1の内側面を意味する。また、接続開口P1の周辺部P1bとは、接続開口P1の周縁部P1aと接するモジュールハウジング210の外側面を意味する。
【0053】
例えば、
図5に示されたように、補強部223dは、接続開口P1の周縁部P1a及び接続開口P1の周辺部P1bに位置し得る。このとき、補強部223dと接続開口P1の周縁部P1a及び周辺部P1bとの間には接着剤230が塗布され得る。補強部223dは、接続開口P1の周縁部P1a及び周辺部P1bに接合され得る。
【0054】
したがって、本発明のこのような構成によれば、補強部223dが接続開口P1の周縁部P1a及び接続開口P1の周辺部P1bのうち少なくとも一つに接合されることで、モジュールハウジング210の接続開口P1の周縁部P1a及び周辺部P1bが補強部223dと衝突し続けることによるモジュールバスバー220の損傷を防止することができる。さらに、ヒューズ部223cと連結された補強部223dをモジュールハウジング210に固定することで、モジュールハウジング210の持続的な振動などによってヒューズ部223cに疲労が累積してクラックが発生するか、または、機械的剛性が低下することを防止することができる。
【0055】
図5をさらに参照すると、第2金属プレート223は、機械的剛性を補完するための補強部材240を備え得る。補強部材240は、ヒューズ部223cと第2本体部223aとの連結部分を囲むように構成され得る。補強部材240は、塗布後に硬化する高分子樹脂を用いて形成され得る。補強部材240は電気絶縁性素材を含み得る。
【0056】
例えば、電気絶縁性素材はテフロン(Teflon(登録商標))であり得る。補強部材240は、ヒューズ部223cと第2本体部223aとの連結部位に溶融した状態(樹脂状態)で塗布された後、硬化した状態であり得る。ここで、硬化の方法としては、低温硬化、紫外線硬化などを適用し得る。
【0057】
したがって、本発明のこのような構成によれば、第2金属プレート223がヒューズ部223cと第2本体部223aとの連結部分を囲むように構成された補強部材240を備えることで、バッテリーモジュール200の振動や外部衝撃によるヒューズ部223cと第2本体部223aとの連結部分の損傷を効果的に防止することができる。すなわち、相対的に幅が狭いヒューズ部223cは、第2本体部223aから延びた形態であるため、持続的に振動が発生する場合、ヒューズ部223cの振動が一層強くなるため、ヒューズ部223cと第2本体部223aとの連結部分が切断される危険性が大きい。そこで、本発明は、ヒューズ部223cと第2本体部223aとの連結部分を囲むように補強部材240を構成することで、モジュールバスバー220の耐久性を一層高めることができる。
【0058】
図6は、
図5のC-C’線に沿って切断したバッテリーモジュールを概略的に示した部分断面図である。
【0059】
図4とともに
図6を参照すると、第2金属プレート223は、第1金属プレート221よりも薄い厚さを有し得る。例えば、第2金属プレート223の厚さは、第1金属プレート221を基準にして0.3~0.7の比率を有し得る。望ましくは、第2金属プレート223は、第1金属プレート221を基準にして0.5の比率を有し得る。例えば、第1金属プレート221の厚さは0.3mmであり、第2金属プレート223の厚さは0.15mmであり得る。
【0060】
したがって、本発明のこのような構成によれば、モジュールバスバー220が、第1金属プレート221、及び第1金属プレート221の外側に位置し、第1金属プレート221よりも薄く形成された第2金属プレート223を備えることで、モジュールバスバー220の耐久性を向上させることができる。すなわち、相対的に厚い第1金属プレート221は、第2金属プレート223よりも振動や衝撃に対する剛性が相対的に優れるため、第1金属プレート221の第1本体部221aをモジュールハウジング210の外面と対面するように配置し、薄い第2金属プレート223の第2本体部223aを第1本体部221aの外側に配置することで、モジュールバスバー220に伝達されるモジュールハウジング210の衝撃と持続的な振動による損傷を効果的に低減させることができる。
【0061】
さらに、第2金属プレート223は、相対的に薄いため、ヒューズ部223cを適用し易い。すなわち、ヒューズ部223cは、薄い金属プレートを使用することで断面積が狭くなるため、所定の電流範囲で信頼性高く断線できる。
【0062】
一方、
図5とともに
図6を参照すると、第1金属プレート221及び第2金属プレート223のそれぞれには上下に打ち抜かれた固定孔P2が形成され得る。第1金属プレート221に形成された固定孔P2は、第2金属プレート223に形成された固定孔P2と連通され得る。
【0063】
また、モジュールハウジング210は、第1金属プレート221及び第2金属プレート223のそれぞれを固定するように構成された固定突起210pを備え得る。固定突起210pは、固定孔P2に挿入されるように構成され得る。例えば、
図6に示されたように、モジュールハウジング210の外側に突出した固定突起210pは、第1金属プレート221に形成された固定孔P2及び第2金属プレート223に形成された固定孔P2に挿入され得る。
【0064】
さらに、モジュールハウジング210は、固定孔P2と固定突起210pとの間に介在されるクッション部材250を備え得る。クッション部材250は、所定の弾性を有する素材を含み得る。例えば、クッション部材250は、ウレタン材質またはゴム材質などを含み得る。クッション部材250は、モジュールハウジング210に発生した振動がモジュールバスバー220の第1金属プレート221及び第2金属プレート223に伝達される程度を減少させるように構成され得る。クッション部材250は、モジュールバスバー220に伝達される衝撃を緩和することができる。
【0065】
したがって、本発明のこのような構成によれば、第1金属プレート221及び第2金属プレート223のそれぞれを固定するように固定孔P2に挿入される固定突起210p、及び固定孔P2と固定突起210pとの間に介在されるクッション部材250を備えることで、モジュールハウジング210からモジュールバスバー220に伝達される振動や衝撃をクッション部材250が吸収できるため、モジュールバスバー220の頻繁な振動と衝撃による損傷を効果的に減らすことができる。
【0066】
図4をさらに参照すると、第2金属プレート223は、第1金属プレート221の金属素材よりも比抵抗が大きい金属素材を含み得る。第2金属プレート223は、例えば、ニッケル、ニッケル合金を含み得る。そして、第1金属プレート221は銅または銅合金を含み得る。
【0067】
したがって、本発明のこのような構成によれば、第2金属プレート223が第1金属プレート221の金属素材よりも比抵抗が大きい金属素材を含むことで、第2金属プレート223に備えられたヒューズ部223cが信頼性高く断線することができる。すなわち、第2金属プレート223は、第1金属プレート221よりも比抵抗が大きいため、同じ大きさの電流が流れる場合、相対的に速く温度が上昇し、第2金属プレート223に備えられたヒューズ部223cが溶融して切断される速度を速めることができる。このような迅速な断線は、バッテリーモジュール200の火災や爆発を効果的に防止することができる。
【0068】
図4をさらに参照すると、ヒューズ部223cは、第2本体部223aから延びた方向を基準にして左側または右側に少なくとも1回折り曲げられた折曲構造B1を有し得る。ヒューズ部223cは、左側または右側に折曲構造B1を有し得る。このような折曲構造B1は、狭い空間でもヒューズ部223cの電流経路を長くし易い構造である。
【0069】
また、第2接続部223bには、電極端子と溶接された少なくとも二つの溶接部位W1、W2が形成され得る。このとき、少なくとも二つの溶接部位W1、W2の間にはスリットS1が形成され得る。スリットS1は、少なくとも二つの溶接部位W1、W2間の電流経路をより長く設定でき、第2接続部223bと電極端子との間を効率的に抵抗溶接することができる。
【0070】
さらに、第2接続部223bの少なくとも二つの溶接部位W1、W2は、水平方向からみて、ヒューズ部223cの折り曲げられた方向と垂直に配列され得る。例えば、
図4に示されたように、ヒューズ部223cは、第2本体部223aから下方に突出し、突出した端部は再度右側に折り曲げられて延び得る。そして、第2接続部223bには、電極端子112と溶接され、上下方向に配列された2個の溶接部位W1、W2が形成され得る。
【0071】
したがって、本発明のこのような構成によれば、ヒューズ部223cが第2本体部223aから延びた方向を基準にして少なくとも1回折り曲げられ、第2接続部223bには、水平方向からみて、ヒューズ部223cの折り曲げられた方向と垂直に配列され、電極端子と溶接された少なくとも二つの溶接部位W1、W2が形成されることで、ヒューズ部223cが外力によって引っ張られても、垂直方向に配列された少なくとも二つの溶接部位W1、W2の強い接合力(引張力)によって接合された状態を効果的に維持することができる。これにより、バッテリーモジュール200の耐久性を効果的に高めることができる。
【0072】
一方、本発明の一実施形態によるバッテリーパック(図示せず)は、上述したバッテリーモジュール200を少なくとも一つ含み得る。そして、バッテリーパックは、バッテリーモジュール200の充放電を制御するための各種の装置(図示せず)、例えばBMS(Battery Management System:バッテリー管理システム)、電流センサ、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0073】
一方、本発明の一実施形態による電子デバイス(図示せず)は、上述したバッテリーモジュール200を少なくとも一つ含む。電子デバイスは、バッテリーモジュール200を収納するための収納空間が備えられたデバイスハウジング(図示せず)、及びユーザがバッテリーモジュール200の充電状態を確認可能な表示部をさらに含み得る。
【0074】
また、本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車にも含まれ得る。すなわち、本発明の一実施形態による自動車は、車体内に上述した本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール200を少なくとも一つ含むバッテリーパックが搭載され得る。
【0075】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0076】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
200:バッテリーモジュール
220:モジュールバスバー
221:第1金属プレート
221a、221b:第1本体部、第1接続部
223:第2金属プレート
223a、223b、223c、223d:第2本体部、第2接続部、ヒューズ部、補強部
100:電池セル
111、112:正極端子、負極端子
B1:折曲構造
210:モジュールハウジング
P1:接続開口
P1a、P1b:周縁部、周辺部
230:接着剤
240:補強部材
P2:固定孔
210p:固定突起
250:クッション部材
W1、W2:溶接部位