(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】真空掃除機のための掃除機ヘッド
(51)【国際特許分類】
A47L 9/30 20060101AFI20240621BHJP
A47L 9/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A47L9/30
A47L9/02 Z
(21)【出願番号】P 2022535249
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 GB2021050141
(87)【国際公開番号】W WO2021152293
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ロバート ディムビロー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー デイビッド ワーリントン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー トーマス ジェームズ バーナード
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-279652(JP,A)
【文献】特開2013-226176(JP,A)
【文献】特開2016-052515(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1937413(KR,B1)
【文献】特開2018-192064(JP,A)
【文献】米国特許第04791700(US,A)
【文献】特開2013-101003(JP,A)
【文献】実開昭55-070059(JP,U)
【文献】特開2013-220206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/30
A47L 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空掃除機のための掃除機ヘッドであって、
該掃除機ヘッドは、
前縁と、後縁と、該前縁及び該後縁の間に延在し、互いに対向する2つの側壁と、前記2つの側壁の1つに隣接して該掃除機ヘッド
内の片側
のみに配置された光学系
とを含み、
該掃除機ヘッド内の別の片側には光学系乃至光源を含まず、
前記光学系は、
光源と、
該光源から放射された光を受光し、前記光を前記掃除機ヘッドが置かれる作業面に向けて、平坦作業面の領域の上の塵埃を照射する、ビーム成形手段と、
を備え、
作業面上で塵埃が照明される領域は、2つの半径と前記2つの半径の端を結ぶ円弧とで囲まれる扇形の形状であり、
前記2つの半径の1つと前記掃除機ヘッドの
前記前縁とのなす角は、20°未満であり、
前記扇形の中心角を二等分する軸と前記掃除機ヘッドの前記前縁とのなす角は、35°~65°の範囲内である、掃除機ヘッド。
【請求項2】
前記掃除機ヘッドは吸引チャンバを備え、前記光学系が前記
2つの側壁の1つと前記吸引チャンバとの間に配置されている、請求項
1に記載の掃除機ヘッド。
【請求項3】
前記掃除機ヘッドは攪拌機を備え、前記光学系が前記攪拌機の片側に配置されている、請求項
1または請求項
2に記載の掃除機ヘッド。
【請求項4】
前記光学系は、前記光学系によって放射される光ビームの中心軸と前記掃除機ヘッドが置かれる水平作業面とのなす角が0~10°の範囲内の鋭角になるように配置されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項5】
前記鋭角が0~5°の範囲内である、請求項
4に記載の掃除機ヘッド。
【請求項6】
前記光学系は、前記掃除機ヘッドから光ビームが前記掃除機ヘッドが置かれる作業面から10mm未満の高さで放出されるように配置されている、請求項1~
5のいずれか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項7】
前記2つの半径の他の1つと前記掃除機ヘッドの前記前縁とのなす角は、90°以上である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項8】
前記2つの半径のそれぞれは、前記掃除機ヘッドの最大幅よりも長い、請求項1~
7のいずれか1項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の掃除機ヘッドと、前記掃除機ヘッドを介して真空掃除機に空気流を引き込むための吸引源と、を備える、真空掃除機。
【請求項10】
ハンドヘルド掃除機の形態である、請求項
9に記載の真空掃除機。
【請求項11】
電池式掃除機の形態である、請求項
9または請求項1
0に記載の真空掃除機。
【請求項12】
前記光学系を制御するためのコントローラを含む、請求項
9~1
1のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項13】
前記真空掃除機の前記吸引源がオンにされたときに、前記コントローラが前記光学系を作動させるように構成されている、請求項1
2に記載の真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機のための掃除機ヘッドおよびこのような掃除機ヘッドを含む真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
真空掃除機は、通常、塵埃分離装置を含む本体と、開口部を有し、本体に接続される掃除機ヘッドと、塵埃を含む空気を開口部および掃除機ヘッドを通して本体に引き込むためのモータ駆動ファンユニットとを含む。開口部は、掃除する床面に面するように下向きになっている。塵埃を含む空気は分離装置に運ばれ、空気が大気に排出される前に塵埃を空気から分離することができる。分離装置は、1つまたは複数のフィルター、フィルターバッグ、およびサイクロン装置を含み得る。
【0003】
一般にブラシバーの形態の駆動攪拌機が、掃除機ヘッドの吸引キャビティ内に回転可能に装着され得る。ブラシバーは、通常、径方向外方に延びる剛毛を担持する細長い円筒状のコアを含む。開口部は掃除機ヘッドの基部に位置する底板によって画成された開口部であり、通常は細長い長方形の開口部であり得る。ブラシバーは、剛毛が開口部からわずかに突き出るように、吸引キャビティ内に装着され得る。
【0004】
ブラシバーは、主に掃除機を使用してカーペットの表面を掃除するときに駆動される。ブラシバーの回転は、掃除機の本体から得られる電源によって駆動される電気モータによって、または掃除機のヘッドを通過するまたは掃除機ヘッドに入る空気流によって駆動されるタービンによって、駆動され得る。ブラシバーは、駆動ベルトを介してモータによって駆動され得、または、モータによって直接駆動され得、それにより、吸引チャンバ内で回転する。ブラシバーの回転により、剛毛がカーペットの表面を掃いて、カーペットの繊維と、カーペットの表面に位置するもしくはカーペットの繊維の間にある任意の塵埃やその他のデトリタス(生物の死骸や糞)の双方を撹拌する結果、塵埃に十分な量のエネルギーが与えられる。剛毛が開口部の前縁から後縁に向けて移動する方向にブラシバーが回転すると、回転している剛毛が塵埃を開口部を通して後方へ、吸引チャンバ内へ掃き出す。空気の吸引により、空気が底板の下からブラシバーの周りを流れ、カーペットの表面から塵埃を持ち上げて開口部から掃除機ヘッドを通って分離装置に向けて運ぶのを助ける。
【0005】
床面の掃除を容易にするために、床面の領域を照らすために掃除機ヘッドにライトを設けることが知られている。これにより、床面上の塵埃や髪の毛やその他の対象物の視覚化を向上させることができる。例えば、特許文献1には、床面を照明するための複数の超高輝度発光ダイオード(LED)を含む照明システムを有する真空掃除機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、真空掃除機のための掃除機ヘッドを提供し、該掃除機ヘッドは、掃除機ヘッドの前に位置する作業面の領域の上にある塵埃を照明するための光学系を備え、該光学系は、緑色光を発光するレーザーダイオードを含む。
【0008】
作業面の領域に堆積した塵埃を照明するためにレーザーダイオードを使用すると、レーザーダイオードの電力-光変換効率は一般に発光ダイオード(LED)の効率よりも大幅に高いため、所定の光出力に対して、レーザーダイオードに供給する必要のある電力が少なくなるので、消費電力を低減することができる。レーザーダイオードに供給する必要のある電力が少ないため、使用中のレーザーダイオードはLEDよりも発熱が少なく、よってレーザーダイオードからの熱を周囲の空中に伝達するためにファンやヒートシンクなどの放熱装置を設ける必要もない。
【0009】
「緑色光」という用語は、495~570nmの範囲内の波長を有する光を意味する。人間の目は赤または青の光受容体細胞よりも多くの緑の光受容体錐体細胞を含んでいるため、同じ明るさの他の色の光と比較して、緑色の光は人間の目に明るく見える。たとえば、所定の光度に対して、緑色のレーザー光は赤色のレーザー光の約8倍の明るさで見える。したがって、掃除機ヘッドの前に位置する作業面の領域の照明の所望の知覚強度に関して、緑色光を放射するレーザーダイオードの使用は、白色光を放射するLEDと比較して、電力消費をさらに低減することを可能にし得る。
【0010】
用語「塵埃」は、床面またはカウンタートップ、テーブル、ベンチ、棚などの隆起した面などの作業面に堆積され得る埃や毛髪やデトリタスやその他の不所望物質を含む。
【0011】
掃除機ヘッドは、好ましくは、前縁、後縁、および前縁と後縁の間に延在する2つのほぼ平行な外部側壁を含む。掃除機ヘッドの前縁は、通常、側壁に対して直角である。前縁は、掃除機の使用中に空気流を掃除機ヘッドに吸い込む吸込み口を含むまたは画成する床係合ソールプレートまたは他の構成要素の前縁によって画成することができる。あるいは、掃除機ヘッドの前縁は、円筒形または円錐形のブラシバーなどの攪拌機によって、または掃除機ヘッドの本体またはケーシングによって画成することもできる。
【0012】
光学系は、好ましくは、掃除機ヘッドの側壁の1つに隣接して、好ましくは、側壁と掃除機ヘッドの吸引室または攪拌機との間にあるハウジング内に配置される。光学系を掃除機ヘッドの片側に配置すると、光学系を掃除機ヘッドの高さを過度に高くすることなく掃除機ヘッド内に収容することができ、また光学系を作業面の比較的近くに配置することができる。光学系は、好ましくは、光学系によって放射される光ビームの中心軸が、掃除機ヘッドが置かれる平面作業面に、0~10°の範囲内、より好ましくは0~5°の範囲内の鋭角で接するように配置される。光学系は、掃除機ヘッドが置かれる作業面から10mm未満、より好ましくは5mm未満の高さで掃除機ヘッドから光ビームが放射されるように配置するのが好ましい。このような浅い角度の照明は、作業面上の塵埃のユーザの視覚的検出を向上させることができる。このような塵埃によって散乱された光は、作業面から反射される光よりも明るく見え、塵埃の後ろに比較的長い影が投影され、比較的明るく照らされた塵埃との顕著なコントラストを提供する。このように塵埃の照明を高めることができると、作業面にある塵埃をユーザが特定するのに大いに役立ち、作業面上の掃除機ヘッドの最初の前後掃引によって塵埃が掃除機ヘッドに捕捉される可能性が高くなり、作業面の掃除にかかる時間を短縮し、消費電力を低減することができる。
【0013】
好ましくは、作業面上の掃除機ヘッドの前進経路に沿った塵埃照明を提供するために、塵埃が光学系によって照明される作業面の領域の大部分(すなわち、少なくとも50%)が、掃除機ヘッドのそれぞれの側壁を含む2つの平面によって境界が区画される。必須ではないが、作業面のこの領域の1つまたは複数の部分が、この境界が区画された領域の外側にあるのが好ましく、そうすると、掃除機ヘッドの前進経路のすぐ外側にある塵埃がユーザに見えるようになる。これは、前進の終わりに掃除機ヘッドをどのように再配置するかを決定するときにユーザの助けになる。これらの2つの平面に直角の方向に測定される、塵埃照明がこれらの2つの平面のいずれかを超えて広がる程度は、好ましくは掃除機ヘッドの最大幅より小さく、より好ましくは掃除機ヘッドの最大幅の半分より小さい。
【0014】
光学系は、好ましくは、レーザーダイオードから放射された光を受け取り、その光を作業面に向けるためのビーム成形手段を含むため、掃除機ヘッドが平坦作業面に置かれると、光学系が、作業面の扇形の形状の領域上の塵埃を照明する。ビーム成形手段は、好ましくはレンズを含む。この扇形は、光学系から離れる2つの半径とそれらの端を結ぶ円弧とで囲まれる扇形とすることができる。あるいは、2つの半径の端を結ぶこれらの線は、非円形の曲率または形状を有するものとすることができ、光学系が三角形の形状の作業面の領域の塵埃を照らすように直線とすることもできる。
【0015】
扇形は、好ましくは、70~110°の範囲の中心角を有する。扇形の境界を区画する2つの半径の中間の角度に位置する中心軸は、掃除機ヘッドの前縁に対して、好ましくは35~65°の範囲内の角度で、より好ましくは40°~50°の範囲内の角度で整列する。扇形の境界を区画する半径の1つは、掃除機ヘッドの前縁に対して、好ましくは、20°未満、より好ましくは10°未満の鋭角で整列させて掃除機ヘッドの直前に位置する作業面の領域上の塵埃照明を最大にする。扇形の境界を区画する半径の他の1つは、好ましくは、光学系に隣接する側壁を含む平面を越えて外向きに延在させ、それにより掃除機ヘッドの前縁に対して鈍角で整列させて塵埃を照明するのが好ましい。これらの半径のそれぞれは、好ましくは、掃除機ヘッドの前進経路の両側にある作業面の領域の塵埃を照明するように、掃除機ヘッドの最大幅よりも長い。
【0016】
第2の態様では、本発明は、真空掃除機のための掃除機ヘッドを提供し、該掃除機ヘッドは、掃除機ヘッドの片側に向けて配置された光学系を含み、前記光学系は、平坦作業面の領域の上の塵埃を照射するために、光源と該光源から放射された光を受光し、その光を掃除機ヘッドが置かれる平坦作業面に向けるビーム成形手段とを備え、前記領域は、掃除機ヘッドの前縁に対して35~65°の範囲内の角度で整列する中心軸を有する扇形の形状であり、扇形の境界を区画する半径の1つは、掃除機ヘッドの前縁に対して20°未満の鋭角で整列する。光源は好ましくはレーザーダイオードである。
【0017】
第3の態様では、本発明は、前述のような掃除機ヘッドを含む真空掃除機を提供する。この真空掃除機は、好ましくは、ハンドヘルドまたはスティック型真空掃除機の形態である。この真空掃除機は、好ましくは、電池式の掃除機である。
【0018】
光学系は、好ましくは、真空掃除機のコントローラによって作動される。コントローラは、好ましくは、真空掃除機の吸引源(通常はモータ駆動のファンユニット)がスイッチオンされて掃除機ヘッドを通じて真空掃除機に空気流が引き込まれるときに光学系を作動させるように構成される。コントローラは、吸引源がスイッチオンされている間、光学系から放射される光の強度が変化しないように、光学系に一定の電力を供給することができる。あるいは、コントローラは、光学系に供給される電力を時間とともに変化させて、光学系の出力光パワーを時間とともに変化させることもできる。
【0019】
光学系に供給される電力は、段階的に変化させることも、徐々に変化させることもできる。好ましい実施形態では、光学系に供給される電力は、吸引源がオンにされたときから最大供給電力に達するまで徐々に増加させる。好ましい実施形態では、吸引源がオンにされてから1秒以内、より好ましくは0.5秒以内にレーザーダイオードの最大光出力パワー(この実施形態では10mWである)に到達する。光学系に供給される電力の増加率は一定であっても、時間とともに変化させてもよい。例えば、吸引源がオンにされととき、電力の増加率は比較的低く、時間とともに徐々にまたは段階的に増加させることができる。さらなる代替案として、コントローラは、吸引源がオンにされた後、一定期間、光学系への電力の供給を遅らせることができる。光学系への電力供給が比較的低いまたはまったくないこの期間は、ユーザが吸引源のスイッチオン後に掃除機ヘッドを作業面に配置する期間に相当し、よって光学系が掃除する作業面に向けて光を投射していない期間に相当する。
【0020】
第4の態様では、本発明は、吸引源と、前記吸引源によって吸い込まれる空気流を真空掃除機に通す掃除機ヘッドと、前記吸引源を制御するためのコントローラとを備える真空掃除機を提供し、前記掃除機ヘッドは、掃除機ヘッドの前にある作業面の領域を照明する光学系含み、前記吸引源がオンにされると、前記コントローラが前記光学系に供給される電力を時間とともに変化するように構成される。
【0021】
吸引源がオフにされると、コントローラが、好ましくは、光学系への電力の供給を直ちに停止するように構成される。コントローラは、吸引源がオンになっている間の掃除機ヘッドまたは真空掃除機のいずれかの状態の変化に応じて、光学系への電力の供給を調整するように構成することができる。例えば、コントローラは、掃除機ヘッドまたは真空掃除機のいずれかの向きに応じて、光学系への電力の供給を一時停止、低減、または調整することができる。掃除機ヘッドまたは真空掃除機の1つは、その向きに応じて変化する信号をコントローラに出力するセンサを含むことができ、コントローラは、センサからの出力に応じて光学系への電力の供給を調整するように構成することができる。別の例として、掃除機ヘッドが作業面から持ち上げられた場合、コントローラは光学系への電力供給を調整することができる。掃除機ヘッドは、掃除機ヘッドが作業面から持ち上げられたかどうかを検出するジョッキーホイールなどのセンサ、または吸引チャンバ内の空気の圧力を検出するセンサを含むことができ、コントローラは、そのセンサから受信した信号に応じて、光学系への電力供給を調整することができる。これにより、例えば、家の別の場所への真空掃除機の移動など、掃除プロセスの中断を示す真空掃除機の動作に変化があった場合に、光学系の消費電力を削減でき、バッテリーのエネルギーを節約することができる。
【0022】
本発明の第1の態様に関連して上記で説明した特徴は、本発明の第2~第4の態様のそれぞれに等しく適用可能であり、逆もまた同様である。
【0023】
次に、本発明の好ましい特徴は、添付の図面を参照して、例としてのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】真空掃除機の掃除機ヘッドの斜視図であり、掃除機ヘッドの光学系によって塵埃が照明される作業面の領域を示している。
【
図3】光学系の構成要素を説明するために側壁の一部が切り取られた、掃除機ヘッドの側面図である。
【
図4】光学系の制御システムを概略的に示している。
【
図5】吸引源のスイッチオン時からの光学系の出力光パワーの時間の経過に伴う増加を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
真空掃除機の一実施形態が
図1に示されている。真空掃除機10は本体12を備え、本体12はワンドアセンブリ14によって掃除機ヘッド16に取り付けられ、掃除機ヘッド16を介して塵埃を含む空気流が吸引源18により掃除機10に吸い込まれ、その吸引源18は一般にモータ駆動のファンユニットである。掃除機10は、空気流から塵埃やその他の塵埃を分離するための分離システム20と、吸引源18を含む、掃除機10の様々な構成要素を駆動するための電源22、この実施形態では、電池と、空気出口24とを含む。
【0026】
掃除機ヘッド16は、
図2および
図3により詳細に示されている。掃除機ヘッド16は、掃除機ヘッドのほぼ平行な対向側壁28、30を画成するケーシング26と、塵埃を含む空気流が掃除機ヘッドに吸込まれる吸引チャンバとを備える。ケーシング26は、幾つかの異なるセクションを合体して形成され得る。吸引チャンバは、作業面からの塵、埃や、その他の塵埃を攪拌して気流内に混入させるための攪拌機32を収容する。攪拌機32は、攪拌機32の長手方向軸とコリニアの軸を中心にケーシング26に対して回転可能であり、本実施形態では、この軸は掃除機ヘッド16の側壁28,30にほぼ直角である。本実施形態では、攪拌機32は円筒形を有し、作業面と係合する剛毛34の列を含む。攪拌機32の前部は、ケーシング26により露出されている。掃除機ヘッド16の前縁36は、ケーシング26によって画成され、前縁36は側壁26、28の間に延在し、側壁26、28にほぼ直角である。あるいは、前縁36は、攪拌機32によって画成してもよい。攪拌機32の回転は、ケーシング26の内部または攪拌機32の内部のいずれかに収容されたモータによって駆動される。モータは、剛毛34が汚れや塵埃を後方へ吸引チャンバ内に掃く向きに撹拌機を回転させるように構成される。吸引チャンバは、空気流の空気を掃除機ヘッド16のネック38内に運び、そのネック内で空気は掃除機ヘッド16の出口40へ運ばれる。ネック38は、掃除機ヘッド16をワンドアセンブリに接続するためのコネクタ42と、掃除機ヘッド16のモータおよび光学系46を掃除機10の電源22に接続するための電気コネクタ44を含む。
【0027】
図2および
図3では、掃除機ヘッド16は、水平な床面などの平面の作業面W上に置かれているものとして示されている。掃除機ヘッド16の光学系46は、掃除機ヘッド16の側壁28、30の1つと攪拌機32との間に位置するハウジング48内に、攪拌機32の片側に配置される。光学系46は、掃除機ヘッド16の前に位置する作業面の領域50の上にある塵埃を照明するために、ハウジング48の窓49を通して光を放射するように配置される。光学系46は、光を放射するための光源52と、放射された光を受け取り、光ビームを作業面に向けるためのレンズ54とを備える。光源52およびレンズ54は、ハウジング48に接続されたモジュールに取り付けられ得る。本実施形態では、光源52は、レーザーダイオードである。適切なレーザーダイオードは、Osram PLT5 510の緑色レーザーダイオードであり、これは25°Cで10mWの最大光出力を有し、波長515nmの緑色光を放射する。
図4も参照すると、光源52は、掃除機ヘッド16内、好ましくはハウジング48内に取り付けられたコントローラ56に接続される。コントローラ56は、1つまたは複数のワイヤによって、ネック38に配置された1つまたは複数の電気コネクタ44に接続される。ネック38がワンドアセンブリ14に接続されると、ワンドアセンブリ14内のワイヤが電気コネクタ44を掃除機10の本体12に配置されたコントローラ58に接続する。
【0028】
図3を参照すると、光学系46は、光ビームB、本実施形態では緑色光のビームを作業面に向けて放射する。ビームBは、好ましくは比較的浅く、5°未満の垂直ビーム広がりa1を有する。光学系46は、光ビームBの中心軸Aが、0~10°の範囲、より好ましくは0~5°の範囲内の鋭角a2で作業面Wと接触するように、ハウジング48内に配置され、本実施形態では、2°の角度で接触するように配置される。光学系46は、作業面に近接配置され、好ましくは光線Bが作業面から10mm未満、より好ましくは5mm未満の高さで掃除機ヘッド16から放出されるように配置される。
【0029】
図2を参照すると、光学系46はハウジング48内に配置され、レンズ54は、作業面上で塵埃が照明される領域50が扇形の形状となるように、光ビームを作業面Wに向けるように形成されている。扇形は、扇形の境界を区画し、扇形の中心角Z1を規定する2つの半径R1、R2を有する。中心角Z1は、好ましくは、70~110°の範囲である。
【0030】
2つの半径R1、R2の中間の角度位置にある中心軸Aは、好ましくは、作業面W上の掃除機ヘッド16の前方移動の方向Dに対して角度Z2で整列し、この方向Dは、一般に側壁26、28に平行であり、掃除機ヘッド16の前縁36に直角である。角度Z2は、好ましくは25°~45°の範囲であり、本実施形態では35°である。したがって、中心軸は、掃除機ヘッド16の前縁36に対して、好ましくは35から65°の範囲の角度で整列し、本実施形態では45°の角度で整列する。
【0031】
半径R1、R2のそれぞれは、掃除機ヘッドの前方移動の経路の両側にある作業面の領域上の塵埃を照明するように、掃除機ヘッド16の最大幅よりも長くし、本例では、その領域は掃除機ヘッド16の側壁26、28を含む2つの平面の間に位置する。掃除機ヘッド16の直前にある作業面Wの領域上の塵埃を照射するために、半径R1は比較的小さな角度、好ましくは20°未満、より好ましくは10°未満の角度で、掃除機ヘッド16の前縁36に整列される。他方の半径R2は、好ましくは、掃除機ヘッド16の前方移動の経路の外側にある作業面の領域上の破片照明するように、掃除機ヘッド16の前縁36に鈍角で整列される。
【0032】
光学系46は、真空掃除機10の吸引源18がユーザによってスイッチオンされると、作動される。掃除機10のコントローラ58が、掃除機ヘッド16のコントローラ56に電力を供給し、コントローラ56が光学系の光源52への電力の供給を制御して光源52の出力光パワーを制御する。コントローラ56は、光源に供給される電力を、吸引源18がスイッチオンされた直後に出力光パワーが最大(本実施形態では10mW)になるように制御することができる。本実施形態では、コントローラ56は、光源に供給される電力を、吸引源18がオンにされた時から一定期間にわたって、出力光パワーが最大値まで徐々に増加するように制御する。これは、掃除プロセスの開始時の電力消費を低減するとともに、ユーザがまだ掃除機ヘッド16を掃除プロセスの開始のために位置決めしている間に光源52のフル出力光パワーに暴露される危険を低減することができる。
図5を参照すると、この期間は好ましくは数秒以下であり、本実施形態では0.25秒である。
【0033】
コントローラ58は、ユーザにより吸引源18がオフにされたとき、または電池が使い果たされたとき、コントローラ56への電力の供給を停止するように構成され、光源52をオフにする。
【0034】
コントローラ56はまた、掃除プロセス中に、光源52の出力光パワーを最大値から変化させることができる。
図4に示されるように、掃除機ヘッド16は、掃除機ヘッド16の状態を監視し、監視された状態に応じて信号をコントローラ56に出力するセンサ60を備え、その信号に応答して、コントローラ56は光源52の出力光パワーを変化させることができる。例えば、センサ60は、掃除機ヘッド16の吸引キャビティまたはネック内の圧力を検出するように配置することができ、コントローラ56は、検出された圧力を示すセンサ60から受信された信号に応じて、光学系46への電力の供給を低減または中断するように構成することができる。例えば、掃除機ヘッド16内の圧力は、例えば、掃除機ヘッド16を作業面上に再配置するために掃除機ヘッド16が作業面から持ち上げられたとき、または掃除機10の部屋の別の部分または他の環境への移動中に、変化し得るが、掃除機ヘッド16が作業面から離間している間、光源52の出力光パワーを低減させることができる。センサ60から受信される信号が掃除機ヘッド16が作業面に戻ったことを示すと、コントローラ56は、光学系46に供給される電力を増加させて光源52の出力光パワーを最大値に戻す。別の例として、センサ60は、掃除機ヘッド16の向きを検出するように構成することもでき、これは掃除機ヘッド16が作業面から持ち上げられたことの指示も提供し得る。