(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】スラブ上の連続鋳造関連の欠陥の検出および除去
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20240621BHJP
G01N 29/24 20060101ALI20240621BHJP
B22D 11/16 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G01N29/04
G01N29/24
B22D11/16 104N
(21)【出願番号】P 2022551234
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 US2021019810
(87)【国際公開番号】W WO2021173927
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-09-08
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503404132
【氏名又は名称】クリーブランド-クリフス スティール プロパティーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラッドジロウスキー、ロナルド エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】キング、ウィリアム エル.
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-238259(JP,A)
【文献】特開2007-222884(JP,A)
【文献】特開2016-191573(JP,A)
【文献】特開2001-208730(JP,A)
【文献】特開平04-274892(JP,A)
【文献】国際公開第2008/079100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
B22D 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造金属に用いられる欠陥検出および補修システムであって、
(a)前記鋳造金属内の表面付近における欠陥を検出するように構成された1若しくはそれ以上の検出ユニットを有する検出デバイス
であって、各検出ユニットは、
(i)1若しくはそれ以上の信号発生器であって、前記鋳造金属の表面に向かって方向づけられたパルスを発生させ、それにより前記鋳造金属内に1若しくはそれ以上の超音波を発生させるように構成されているものであり、前記1若しくはそれ以上の信号発生器は前記鋳造金属の表面から離間し前記鋳造金属と物理的に結合しないものである、前記1若しくはそれ以上の信号発生器と、
(ii)1若しくはそれ以上の受信機であって、前記1若しくはそれ以上の信号発生器から所定距離離間し、且つ前記鋳造金属の前記表面から離間し前記鋳造金属と物理的に結合しないものであり、前記1若しくはそれ以上の受信機は前記鋳造金属内で前記1若しくはそれ以上の超音波によって引き起こされる信号を受信するように構成されている、前記1若しくはそれ以上の受信機と
を有するものである、前記検出ユニットと、
(b)前記検出された欠陥を含む前記鋳
造金属の標的領域におい
て前記検出デバイスによって検出された前記欠陥を補修するように構成された1若しくはそれ以上の補修ユニットを有する補修デバイス
であって、各補修ユニットは、前記標的領域における前記鋳造金属の前記表面に向けてビームを発生させるように構成された1若しくはそれ以上のレーザーを有し、アブレーションによって前記検出された欠陥を補修するように構成されているものである、前記補修デバイスと
を有する、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、このシステムは、後続の仕上げ前の連続鋳造段階中に前記検出された欠陥を補修するように構成されている、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記鋳造金属が約1,000℃までの温度を有するときに、前記検出された欠陥を補修するように構成されている、システム。
【請求項4】
請求項
1に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記受信機によって受信された前記信号の1若しくはそれ以上の特性に基づいて前記欠陥の存在を検出するように構成されている、システム。
【請求項5】
請求項
4に記載のシステムにおいて、前記信号の1若しくはそれ以上の特性は前記受信された信号の振幅および周波数の選択された一方または両方を含むものである、システム。
【請求項6】
請求項
1に記載のシステムにおいて、前記信号発生器はレーザーを有するものである、システム。
【請求項7】
請求項
1に記載のシステムにおいて、前記信号発生器は電磁音響トランスデューサを有するものである、システム。
【請求項8】
請求項
1に記載のシステムにおいて、前記受信機は電磁音響トランスデューサを有するものである、システム。
【請求項9】
請求項
1に記載のシステムにおいて、前記受信機は、約50キロヘルツ~約1050キロヘルツの範囲の周波数を受信するように構成されている、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記欠陥のサイズおよび位置の選択された一方または両方を検出するように構成されている、システム。
【請求項11】
請求項
10に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記欠陥の
前記サイズおよび
前記位置の一方または両方に基づいて前記欠陥を補修するかどうかを判定するように構成されている、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、各補修ユニットは、
さらに、溶融、研削、および削り取りのうちの選択された1若しくはそれ以上によって、前記標的領域における前記検出された欠陥を補修するように構成されている、システム。
【請求項13】
欠陥検出および補修システムを動作させて鋳造金属の表面下の欠陥を補修する方法であって、前記欠陥検出および補修システムは、1若しくはそれ以上の検出ユニットを有する検出デバイスと、1若しくはそれ以上の補修ユニットを有する補修デバイスとを有するものであり、この方法は、
(a)前記欠陥検出および
補修システムに対して鋳造金属を平行移動させる工程と、
(b)前記検出デバイスの前記1若しくはそれ以上の検出ユニットにより、前記鋳
造金属の表面付近に欠陥が存在するかどうかを検出する工程
であって、前記検出デバイスは、前記鋳造金属の表面から離間し前記鋳造金属と物理的に結合しない1若しくはそれ以上の信号発生器を有するものであり、前記信号発生器は前記鋳造金属の前記表面へ方向づけられたパルスを発生させ、それにより前記鋳造金属内に1若しくはそれ以上の超音波を発生させるものであり、前記検出デバイスは、前記1若しくはそれ以上の信号発生器から所定距離離間し、且つ前記鋳造金属の前記表面から離間し前記鋳造金属と物理的に結合しない1若しくはそれ以上の受信機を有するものであり、前記1若しくはそれ以上の受信機は前記鋳造金属内で前記1若しくはそれ以上の超音波によって引き起こされる信号を受信するように構成されている、前記検出する工程と、
(c)前記検出デバイスによって欠陥が検出された場合に前記欠陥が補修
されるように構成されているかどうかを判定する工程と、
(d)補修領域を形成するように前記欠陥を補修すると判定された場合に、前記検出された欠陥を含む標的領域において前記検出された欠陥を前記補修デバイスの前記1若しくはそれ以上の補修ユニットにより補修する工程
であって、各補修ユニットは、前記標的領域における前記鋳造金属の前記表面に向けてビームを発生させるように構成された1若しくはそれ以上のレーザーを有し、アブレーションによって前記検出された欠陥を補修するように構成されている、前記補修する工程と
を有する、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法において、前記
鋳造金属が約1,000℃までの温度を有するときに、連続鋳造プロセス中に前記鋳造金属が前記欠陥検出および補修システムに対して平行移動されるものである、方法。
【請求項15】
請求項
13に記載の方法において、さらに、前記欠陥が前記検出デバイスによって検出されたときに、前記欠陥のサイズおよび位置の一方または両方を判定する工程を有するものである、方法。
【請求項16】
請求項
13に記載の方法において、前記検出された欠陥を補修する工程は、
さらに、前記標的領域
の溶融、研削、および削り取りのうちの1若しくはそれ以上を行う工程を有するものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月27日に出願された「Detection and Removal of Continuous Caster-Related Defects on Slabs(スラブ上の連続鋳造関連の欠陥の検出および除去)」と題する米国仮特許出願第62/982,200号に基づく優先権を主張するものであり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
典型的な連続鋳造プロセスの間、鋼などの液体金属は凝固して鋳造金属となる。この鋳造金属はその後の仕上げ(例えば、圧延、コイリング、コーティングなど)のために半製品のスラブに切断することができる。いくつかの場合において、連続鋳造プロセス中、鋳造関連の欠陥(例えば、ラミネーション、割れ、ピンホールなど)が鋳造金属の表面および/または表面付近に形成される可能性がある。これら表面下付近の欠陥は、典型的には連続鋳造プロセスの後に下流に現れ、そのような欠陥を検出および/または修正することを困難にする。この結果、鋳造金属の全てまたは一部が表面削り取りの対象および/または不合格となり、追加のコストが発生する可能性がある。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 韓国登録特許第10-1767935号公報
(特許文献2) 特開昭54-109031号公報
(特許文献3) 米国特許第4131490号明細書
(特許文献4) 特開昭53-40636号公報
(特許文献5) 米国特許第4318439号明細書
(特許文献6) 特開平08-90226号公報
【発明の概要】
【0003】
したがって、その後の仕上げに先立ち連続鋳造段階で、例えば鋳造金属が連続鋳造プロセスからの熱エネルギーを保持しているときなどに、鋳造金属内の表面下付近の鋳造関連の欠陥を検出および/または補修することが望ましい場合がある。これにより、完成品について表面下付近の鋳造関連の欠陥の数を減らすことができ、したがって連続鋳造プロセスのコストを削減し、および/または効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、連続鋳造金属に用いられる例示的な欠陥検出および補修システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の欠陥検出および補修システムの検出ユニットの側面図である。
【
図3】
図3は、
図2の検出ユニットと共に用いられる第1の例示的な信号発生器の側面図である。
【
図4】
図4は、
図2の検出ユニットと共に用いられる第2の例示的な信号発生器の側面図である。
【
図5】
図5は、
図2の検出ユニットと共に用いられる例示的な受信機の側面図である。
【
図6】
図6は、
図2の検出ユニットの側面図であり、欠陥を含む連続鋳造金属が検出ユニットに対して平行移動していることを示す。
【
図8】
図8は、
図6の検出ユニットの側面図であり、欠陥が検出ユニット内に位置していることを示す。
【
図9】
図9は、
図6の検出ユニットによって検出された信号を示すグラフである。
【
図10】
図10は、
図1の欠陥検出および補修システムの補修ユニットの側面図である。
【
図11】
図11は、
図1の欠陥検出および補修システムを用いて鋳造金属の欠陥を検出および補修する例示的な方法のフローチャートである。
【
図12】
図12は、シミュレートされた表面下の欠陥を有する鋳造金属の試験ブロックについての検出ユニットによって受信された信号のグラフである。
【
図13】
図13は、シミュレートされた表面下の欠陥を有する鋳造金属の試験ブロックについての他の検出ユニットによって受信された生データの信号のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
欠陥検出および補修システムを用いて、その後の仕上げに先立ち連続鋳造段階で、鋳造金属内で検出された表面下付近の鋳造関連の欠陥を補修することができる。このシステムは、鋳造金属内に欠陥が存在するかどうかを検出する検出デバイスと、前記欠陥を含む標的領域内において前記検出デバイスによって検出された欠陥を補修する補修デバイスとを有する。前記検出デバイスは、前記鋳造金属の表面へ方向づけられたパルスを発生させ、それによって前記鋳造金属内に1若しくはそれ以上の超音波を発生させるように構成された1若しくはそれ以上の信号発生器と、前記1若しくはそれ以上の信号発生器から離間して配置された1若しくはそれ以上の受信機であって、前記鋳造金属内で前記1若しくはそれ以上の超音波によって引き起こされた信号を受信するように構成されている、前記受信機とを有する。次いで、前記システムは、前記受信機によって受信された信号の1若しくはそれ以上の特性(例えば、振幅、周波数、波長など)に基づいて前記欠陥の存在を検出することができる。
【0006】
次いで、前記システムは、前記検出された欠陥のサイズおよび/または位置などに基づいて、前記検出された欠陥を補修できるかどうかを判定することができる。前記補修デバイスは、前記欠陥を含む標的領域内の前記鋳造金属の表面へ方向づけられたビームを発生させるように構成されたレーザーを有する1若しくはそれ以上の補修ユニットを有する。これにより、前記修正ユニットは、前記標的領域におけるアブレーション、溶融、研削、および削り取りのうちの1若しくはそれ以上によって、前記検出された欠陥を平滑化することができる。前記鋳造金属の前記検出された表面下の欠陥のこのスポット修正は、表面削り取りの対象および/または不合格となる鋳造金属の量を減らし、それによって連続鋳造プロセスのコストおよび/または効率を改善することができる。前記システムは、鋳造金属と物理的に結合されていないため、高温および/または汚染された環境で動作可能である。
【0007】
I.例示的な欠陥検出および補修システム
図1を参照すると、鋼などの連続鋳造金属2に用いて、鋳造金属2内の表面下付近の欠陥4の数および/または程度を低減するための例示的な欠陥検出および補修システム10が示されている。システム10は、1若しくはそれ以上の検出ユニット22を有する検出デバイス20と、1若しくはそれ以上の補修ユニット32を有する補修デバイス30とを有する。検出デバイス20の検出ユニット22は、鋳造金属2の表面8および/または表面8下付近で、鋳造関連の欠陥(例えば、ラミネーション、割れ、ピンホールなど)などの欠陥4を検出するように構成されている。例えば、検出デバイス20は、約5ミリメートル以下など、約10ミリメートル以下の深さを有する1若しくはそれ以上の欠陥4を検出することができる。図に示す形態では2つの検出ユニット22を有する検出デバイス20を示しているが、検出デバイス20が鋳造金属2の表面下付近の欠陥4の存在を十分に検出できる任意のその他の好適な数の検出ユニット22を用いてもよい。補修デバイス30の補修ユニット32は、領域が欠陥を含むときよりも連続的な補修領域6を形成することにより、検出された欠陥4を除去し、および/またはその数および/または程度を改善することよって検出デバイス20によって検出された欠陥4を補修するように構成されている。図に示す形態では、2つの補修ユニット32を有する補修デバイス30を示しているが、補修デバイス30が鋳造金属2の所望の領域で当該鋳造金属2の表面8および/またはその付近の欠陥4を十分に改善および/または補修できる任意のその他の好適な数の補修ユニット32を用いてもよい。
【0008】
したがって、システム10は、その後の仕上げ(例えば、圧延、コイリング、コーティングなど)に先立ち連続鋳造段階中に、例えば鋳造金属2が連続鋳造プロセスからの熱エネルギーを保持しているときなどに、鋳造金属2において検出された欠陥4を補修するように構成されている。システム10は、約700℃までなど、約1,000℃までの高温で動作可能である。さらに、または代替的に、システム10は、鋳造金属2が冷却された後、その後の仕上げの前に、鋳造金属2の欠陥4を補修することができる。システム10はさらに、
図1に矢印40で示すように、鋳造金属2がシステム10に対して平行移動されている間に動作するように構成されている。例えば、システム10は、鋳造金属2がスラブに切断される場合、鋳造金属2がスラブに切断される前および/または後にシステム10が欠陥を補修できるように鋳造ランアウトテーブルに設置することができる。いくつかの形態において、システム10は、鋳造金属2がシステム10に対して約0.5メートル/秒~約5メートル/秒の間の速度で移動している間に動作可能であるが、システム10が鋳造金属2の欠陥4十分に検出および/または修正できるその他の好適な速度を用いてもよい。
【0009】
図1に示すように、検出デバイス20の1若しくはそれ以上の検出ユニット22は、検出デバイス20内で静止していてもよく、および/または1若しくはそれ以上の検出ユニット22は、矢印42で示すように鋳造金属2の平行移動の方向に対して横断方向に鋳造金属2を横切って横方向に平行移動させることができる。したがって、1若しくはそれ以上の検出ユニット22は、離間させて配列することができ、および/または検出デバイス20に沿って移動可能で、検出ユニット22が鋳造金属2の選択された領域において、例えば鋳造金属2の表面8の一部または全体に沿って、欠陥4を検出できるようになっている。同様に、補修デバイス30の1若しくはそれ以上の補修ユニット32は静止していてもよく、および/または1若しくはそれ以上の補修ユニット32は矢印44で示すように鋳造金属2の平行移動の方向に対して横断方向に鋳造金属2を横切って横方向に平行移動させることができる。したがって、1若しくはそれ以上の補修ユニット32は、離間して配列することができ、および/または補修デバイス30に沿って移動可能で、補修ユニット32が鋳造金属2の選択された領域において、例えば鋳造金属2の表面8の一部または全体に沿って、欠陥4を補修できるようになっている。
【0010】
いくつかの形態において、検出デバイス20と補修デバイス30との間の距離は調整自在とすることができる。図に示す形態において、補修デバイス30は、矢印46で示すように鋳造金属2の平行移動の方向に沿って長手方向に検出デバイス20に対して移動可能であり、補修デバイス30が検出デバイス20の近くへ、および/または遠くへと移動可能なようになっている。これにより、補修デバイス30は、欠陥4を補修する際、鋳造金属2と平行移動することが可能になる。さらに、または代替的に、検出デバイス20は長手方向に移動可能であってもよい。システム10の更なるその他の好適な構成が本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。例えば、いくつかの形態において、検出デバイス20および/または補修デバイス30は水冷することができる。
【0011】
A.例示的な検出デバイス
図2を参照すると、検出デバイス20の検出ユニット22は、1若しくはそれ以上の信号発生器24と、1若しくはそれ以上の受信機26とを有する。信号発生器24は、鋳造金属2の表面8へ方向づけられた超音波パルス21を発生させるように構成されている。信号発生器24は制御部28と結合されてもよく、当該制御部28は信号発生器24のパルス21(例えば、パルス速度、パルスエネルギー、波長、周波数など)を制御するように構成することができる。信号発生器24によって発生したパルス21は鋳造金属2によって少なくとも部分的に吸収され、パルス21が、鋳造金属2を進行する1若しくはそれ以上の超音波23を形成するようになっている。受信機26は、信号発生器24から選択された距離x離れて配置され、波23によって引き起こされる信号25を検出するように構成されている。受信機26は制御部28と結合されてもよく、制御部28は受信機26によって検出された信号25を受け取るように構成することができる。制御部28は、信号25の特性(例えば、パルスレート、パルスエネルギー、振幅、波長、周波数など)を分析して、信号25に基づいて鋳造金属2内の表面8付近に欠陥が存在するかどうかを判定するように構成することができる。
【0012】
例えば、制御部28は、鋳造金属2内に欠陥が存在することを判定するため、信号25の特性がパルス21に対して変わっているかどうか、および/または前記特性が所定のレベルを満たしていないかどうかを判定することができる。したがって、検出デバイス20は、鋳造金属2の所望の表面8の下に欠陥が存在するかどうかを検出するように構成されている。いくつかの形態において、検出デバイス20は、さらに、受信信号25に基づいて、検出された欠陥の位置および/またはサイズを判定するように構成することができる。信号発生器24および受信機26は、鋳造金属2と物理的に結合されず、鋳造金属2の表面8から離間しているので、検出ユニット22は、高温で、および/または、表面8が前記連続鋳造プロセスからの残留物を含む場合などの汚染された環境で、動作可能である。
【0013】
信号発生器24は、レーザー、電磁音響トランスデューサ(EMAT:electromagnetic acoustic transducer )、および/またはパルス21を発生させるように構成されたその他の好適な信号発生器を有することができる。
図3を参照すると、第1の例示的な信号発生器124は、パルスレーザーなどの、ビームを提供してパルス21を発生させるレーザー120を有する。それにより、パルス21が鋳造金属2に接触すると、パルス21は表面波23aおよび/またはバルク波23bを含むレイリー波などの1若しくはそれ以上の超音波23を形成する。例えば、表面波25aは鋳造金属2の表面8に沿って進行し、バルク波25bは鋳造金属2の厚さt内を進行する。いくつかの形態において、レーザー120によって発生したビームは、ビームガイド122によって、例えばビームを鋳造金属2の方へ方向転換させるように構成されたプリズムまたその他の好適なビームガイド122などによって鋳造金属2の表面8に向けて方向転換される。
【0014】
図4を参照すると、第2の例示的な信号発生器224はEMAT220を有する。EMAT220は電気コイル222と磁石223とを有する。磁石223は永久磁石および/または電磁石とすることができる。したがって、EMAT220は電磁誘導とローレンツ力の組み合わせによって動作するように構成されている。例えば、短時間の高強度電流がコイル222を介してパルス化され、コイル222内の電流パルスからの過渡磁場が、鋳造金属2内に逆電流228を誘導する。この電流は、過渡磁場と、磁石223の存在によって生成される固定磁場226との両方の存在により、ローレンツ力230を受ける。それにより、ローレンツ力230は、レイリー波などの1若しくはそれ以上の超音波23を鋳造金属2内に生成する。コイル222および/または磁石223の形状を選択することによって、EMAT220によって発生する力230および/または波23の方向を制御することができる。信号発生器224として用いることができるEMAT220の例としては、ロードアイランド州ワーウィックのRITEC Inc.によって製造されたRPR4000トーンバースト発生器がある。EMAT220は、約750キロヘルツなど、20キロヘルツを超える超音波周波数で動作することができる。
図4に示すように、EMAT220のコイル222は鋳造金属2の表面8から距離d離間して配置されている。いくつかの形態において、コイル222は表面8から約5ミリメートル離間して配置されているが、EMAT220が鋳造金属2内で1若しくはそれ以上の波23を十分に発生するように構成されるその他の好適な寸法を用いてもよい。
【0015】
図5は、波23によって引き起こされる信号25を検出および/または受信するための、EMAT220を有する検出ユニット22用の例示的な受信機126を示す。前述のように、EMAT220は、電気コイル222と磁石223とを有する。磁石223は永久磁石および/または電磁石とすることができる。磁石223からの固定磁場226存在下での波23の相互作用は、受信コイル222に電流228を誘導して信号25を形成する。EMAT220は、EMAT220が様々な種類の波を検出できるように、約50キロヘルツ~約1050キロヘルツなどの広範囲の周波数を検出するように構成することができる。次いで、制御部28は、受け取った信号25の特性(例えば、振幅、波長、周波数など)を分析して、欠陥4が存在するかどうかを判定することができる。
【0016】
したがって、検出ユニット22は、鋳造金属2の選択された表面8の一部および/または全体に沿って表面下付近の欠陥4を検出するように構成することができる。
図6~
図9を参照すると、鋳造金属2は
図6に矢印40で示すように検出ユニット22に対して平行移動させることができる。鋳造金属2が移動すると、検出ユニット22の信号発生器24は表面8に沿って、および/または鋳造金属2内で、レイリー波などの1若しくはそれ以上の超音波23を生成するパルス21を発生させ、当該1若しくはそれ以上の超音波23が受信機26まで少なくとも距離x進行する。次いで、受信機26は、波23によって発生した信号25を受信機26で検出することができる。例えば、レイリー波は、表面8でより強く、また、レイリー波の波長に比例する深さまで鋳造金属2に浸透するエネルギー容量を有してもよい。受信機26によって受信された信号25は、そのようなレイリー波が欠陥4のために遮断および/または反射されたかどうかを示すことができる。いくつかの場合において、レイリー波の欠陥4によって遮断および/または反射される部分の波長は、そのような欠陥4のサイズおよび/または深さに比例する。
【0017】
図6~
図7において、鋳造金属2内の欠陥4は信号発生器24および受信機26の外側にある。したがって、受信機26は、信号発生器24によって発生した比較的大きな振幅を有する波23を直接検出し得る。次いで、波23の第1の部分27が欠陥4によって遮断および/または反射されて受信機26に戻り得、また、波23の第2の部分29が欠陥4を通り過ぎて進行し続け得る。波23の反射部分27は欠陥4が検出ユニット22に向かって移動するにつれて次第に早く到達することができる。
図9を参照すると、図に示す形態の受信機26によって受信された信号25の例が破線で示されている。例えば、直接受信された波23は領域rに示され、また、波23の反射され受信された部分27は領域r1に示されているが、当該反射され受信された部分27は直接受信された波23に比べて振幅が小さくなっている。
【0018】
図8において、鋳造金属2の欠陥4は、検出ユニット22内の信号発生器24と受信機26との間に平行移動されている。したがって、信号発生器24によって発生した直接波23は、欠陥4が波23を少なくとも部分的に遮断および/または反射するため、完全には受信機26までの距離xを進行することができない。欠陥4によって遮断および/または反射された波23の第1の部分27は受信機26から遠ざかり、波23の第2の部分29は欠陥4を通過して受信機26に移動し続け得る。いくつかの形態において、より高い周波数は欠陥4によってブロックされ、より低い周波数は欠陥4を通過し得る。これにより、受信機26によって受信された波23の第2の部分29が減衰され、検出されなくなり、および/または波23に比べて振幅が小さなり得る。
【0019】
図9を参照すると、図に示す形態の受信機26によって受信される信号25の例が実線で示されている。例えば、受信された波23の部分29は、領域rに示されており、欠陥4が信号発生器24および受信機26の外側に配置された前の様態における直接受信された波23に比べて小さい振幅を有する。波23の反射部分27もまた、欠陥4が信号発生器24および受信機26内に配置されているため、受信機26によって検出できなかった。いくつかの形態において、波23が欠陥4によって減衰される量は欠陥4のサイズおよび/または位置を示し得る。例えば、受信機26によって受信され、波23よりも大幅に小さい振幅および/またはより低い周波数を有する信号25は、波23よりもわずかに小さい振幅および/またはより低い周波数を有する信号25よりも大きな欠陥4を示し得る。鋳造金属2内の表面下付近の欠陥4を検出するその他の好適な構成および方法が本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0020】
B.例示的な補修デバイス
欠陥4が検出デバイス20によって検出されると、システム10は、検出された欠陥4を補修デバイス30によって補修できるかどうかを判定することができる。例えば、検出デバイス20によって検出された欠陥4のサイズまたは程度に応じて、システム10は、欠陥4を補修するか、または補修せずに鋳造金属2の一部を除くことのどちらが、より費用対効果が高く、および/または効率的であるかを判定することができる。
図10を参照すると、補修デバイス30は、鋳造金属2に向けてビーム31を発生させるように構成された1若しくはそれ以上のレーザー34を有する。レーザー34は、パルスレーザー、強力な連続波レーザー、および/または以下でより詳細に説明するような欠陥を補修するための任意のその他の適切なレーザーを含むことができる。図に示す形態において、レーザー34は制御部28と結合され、制御部28がレーザー34の出力(例えば、ビーム31のパルス速度、パルスエネルギー、波長、周波数など)を制御するように構成できるようになっている。制御部28は、検出ユニット20によって検出された欠陥4を含む鋳造金属2の標的領域にレーザー34のビーム31が向けられるように、レーザー34の位置を制御するように構成することもできる。例えば、補修ユニット32は標的領域を補修するために、鋳造金属2と共に移動しながら、標的領域に向けることができる。
【0021】
いくつかの形態において、レーザー34によって発生したビーム31は変更器36へ向かう。変更器36はビーム31の方向および/または強度を変更して、変更されたビーム33を形成するように構成されている。変更器36で変更されたビーム33を形成する方法には、固定ミラーまたは検流走査ミラーによるビームステアリング、伸縮光学系または収束光学系によるビーム集束、および/またはホモジナイザ、振幅マスク、屈折要素、および/または回折光学要素によるビーム整形が含まれてもよい。さらに、または代替的に、空間光変調器、変形可能ミラー、および/または調整可能な音響勾配屈折率レンズにより、変更されたビーム33の強度のリアルタイム変調が可能になる。したがって、補修ユニット32は、レーザー34によって発生した大量のエネルギーを、鋳造金属2の標的領域に正確に送達するように構成されている。
【0022】
1若しくはそれ以上のビーム31、33が鋳造金属2の表面に接触すると、ビーム31、33のエネルギーの少なくとも一部が鋳造金属2の表面8および/またはその付近で吸収され、その吸収されたエネルギーにより、鋳造金属2の材料の大部分を変更することなく、鋳造金属2の表面8および/またはその付近の欠陥4を含む鋳造金属2の材料の標的領域を修正できるようになっている。例えば、補修ユニット30は、そのような欠陥4の修正後に標的領域がより滑らかまたは連続的になるように、鋳造金属2の表面8および/またはその付近の標的領域からそのような欠陥4を平滑化および/または除去することによって、表面下付近の欠陥4を補修するように構成することができる。
【0023】
レーザー34は、アブレーション、研削、溶融、削り取り、および/または欠陥を平滑化するその他の好適な方法によって欠陥を補修するように構成することができる。例えば、アブレーションは、レーザーエネルギーの直接吸収により材料を除去する。アブレーションの開始は、吸収メカニズム、材料特性、および/またはレーザーパラメーター(例えば、波長、パルス持続時間、パルス振幅など)に依存し得る閾値フルエンスを超えると発生する。金属の典型的な閾値フルエンスは1平方センチメートルあたり約1~約10ジュールである。その他のいくつか形態において、吸収されたレーザーエネルギーは溶融の閾値を超えたときに溶融が発生し、それによって鋳造金属2の選択された領域が溶融し得る。したがって、溶融金属がより滑らかな構成で再凝固するように、選択された領域に溶融金属のプールを形成することができる。さらに、または代替的に、レーザー34および/またはその他の好適なデバイスが、欠陥を有する鋳造金属2の目標領域において研削を提供するように構成されてもよい。したがって、補修ユニット32のその他の好適な構成が本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0024】
II.欠陥を検出および補修する例示的な方法
図1~
図2および
図10~
図11を参照すると、鋳造金属2の欠陥4を検出および/または補修する方法50は、欠陥検出および修正システム10に対して鋳造金属2を平行移動させる工程52を有する。このような平行移動は、鋳造金属2がスラブに切断される前および/または後、鋳造金属2が高温および/または冷却された温度で起こり得る。方法50は、さらに、鋳造金属2の表面8および/またはその付近に欠陥4が存在するかどうかを検出する工程54を有する。例えば、検出ユニット22の受信機26は、鋳造金属2を通って距離xを移動した信号発生器24のパルス21によって生成された1若しくはそれ以上の超音波23により引き起こされた信号25を受信することができる。受信された信号25の特性(例えば、振幅、波長、周波数など)に基づいて、システム10は鋳造金属2内に欠陥4が存在するかどうかを判定することができる。例えば、信号25の特性は、信号発生器24によって発生した1若しくはそれ以上の波23の特性および/または所定のレベルと比較することができる。信号25の特性が波23の特性と異なる、および/または信号25の特性が所定のレベルを満たさない場合、システム10は欠陥4が存在すると判定することができる。システム10は、さらに、信号25の特性に基づいて検出された欠陥4の位置および/またはサイズを判定することができる。
【0025】
方法50は、さらに、検出された欠陥4を補修できるかどうかを判定する工程56を有する。例えば、受信機26によって受信された信号25の分析された特性に基づいて、システム10は、検出された欠陥4を補修するか、または欠陥4を補修せずに鋳造金属2の一部を不合格とすることのどちらが、より費用対効果が高く、かつ/または効率的であるかを判定することができる。システム10が欠陥4を補修できると判定した場合、方法50は、さらに、検出された欠陥4を補修して補修領域6を形成する工程58を有する。例えば、補修ユニット32のレーザー34は標的領域で鋳造金属2によって少なくとも部分的に吸収され得るビーム31を発生させて、例えばアブレーション、研削、溶融、削り取りなどにより欠陥4を補修し、鋳造金属2の表面8および/またはその付近に、補修前よりも滑らかなおよび/またはより連続的な仕上げを有する補修領域6を形成することができる。
【0026】
これにより、鋳造金属2の表面8および/またはその付近の欠陥4の数および/または程度を低減することができる。したがって、システム10は、その後の仕上げに先立ち、そのような欠陥4がより深刻になる前に、および/またはより完成した製品で発見される前に、鋳造金属2内の欠陥4の対象を絞った補修を提供することができる。これにより、表面削り取りおよび/または不合格のために方向転換される鋳造金属2の量を減らすことができ、それによってコスト量を削減し、および/または連続鋳造プロセスの効率を高めることができる。鋳造金属2内の欠陥4を検出および/または修正する更なるその他の好適な方法が本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0027】
III.実施例
【実施例1】
【0028】
初期試験において、それぞれ約14センチメートル×約18センチメートル×約12センチメートルの寸法を有する3つのブロックが鋳造金属から切り出された。各ブロックには、鋳造された材料の滑らかな面が1つと、粗くカットされた材料の残りの5つの面が含まれていた。次いで、鋳放し面と反対側の切断面を含む大きな面の下の小さな面に6つの穴を開けた。上述のように鋳造金属2の表面下付近の欠陥4をシミュレ―トするため、穴は、長さが約40ミリメートルで、各種直径が約1ミリメートル、約2ミリメートル、および約3ミリメートル、各種深さが約1ミリメートル、約2ミリメートル、および約3ミリメートルのものを含んでいた。次いで、表面下付近の欠陥に見られる典型的な材料である溶融モールドパウダーで穴を埋めた。
【0029】
上述の検出デバイス20と同様の構造を有する検出デバイスを用いて、シミュレートされた表面下付近の欠陥を検出した。検出デバイスは、レーザーを含む第1の信号発生器とEMATを含む第2の信号発生器を用いて試験された。検出デバイスは、さらに、EMATを含む受信機を含んでいた。検出デバイスは各ブロックの大きな面に沿って移動された。受信機によって受信された信号の結果は、周波数と振幅の両方で分析され、受信された信号の周波数スペクトルが約50~約1050キロヘツルにおいてそれぞれ帯域幅約100キロヘルツの帯域に分割され、受信された異なる周波数の相対振幅が観察された。
【0030】
ブロックの滑らかな鋳放し面内に約1ミリメートル埋められた直径約3ミリメートルの穴を有する試験ブロックの1つについて、分析された信号が
図12に示されている。
図12に示すように、レーザー―EMATおよびEMAT―EMAT検出デバイス構成の両方についてブロックのエッジまでの距離に対する信号の振幅が示されている。穴は、x軸に沿って約0センチメートル~約3センチメートルに配置された。図示されるように、検出デバイスのレーザー―EMAT構成およびEMAT―EMAT構成の両方について受信された信号の振幅は、穴を含む領域では、穴のない領域において受信された信号の振幅に対してより小さい。したがって、レーザー―EMAT構成およびEMAT-EMAT構成の両方が鋳造金属内の表面下付近の欠陥を検出可能であることが特定された。
【実施例2】
【0031】
上記実施例1で説明した試験の後、他の検出デバイスを用いて実施例1で説明したのと同じブロックに穴が存在するかどうかを検出した。検出デバイスには、信号発生器として広帯域高出力パルサーEMAT(Sonemat HPP2000)が含まれ、また、受信された超音波信号を十分に増幅するために受信機としてアンプに接続された他のEMAT(Sonemat SAA1000)が含まれていた。次いで、ブロックの滑らかな鋳放し面上のブロック表面に沿う様々な領域に検出デバイスを配置した。例えば、検出デバイスは、表面下に穴のない領域、ならびに、約1ミリメートル、約2ミリメートル、および約3ミリメートルといった各種直径の穴を表面下に有する他の領域の上に配置した。検出デバイスが表面下の穴を含む領域上に配置された場合、EMATは、穴が両方のEMATから等距離にある状態で、各EMATのそれぞれのコイルの中心が約140mm離れるように配置された。
【0032】
受信用EMATによって受信された信号の生データが記録され、
図13に示されている。次いで、
図14に示すように、多項式トレンドが適合され生データから除去された。次いで、
図15に示すように、高速フーリエ変換(FTT)が適用され周波数領域で信号が分析された。
図15に示すように、穴を含む領域において受信された信号は、穴のない領域において受信された信号に比べて周波数が低かった。したがって、検出デバイスは鋳造金属内の表面下付近の欠陥を検出することができることが特定された。
【実施例3】
【0033】
鋳造金属に用いられる欠陥検出および補修システムであって、前記鋳造金属内のその表面付近における欠陥を検出するように構成された1若しくはそれ以上の検出ユニットを有する検出デバイスと、前記検出された欠陥を含む前記鋳物金属の標的領域において、前記検出デバイスによって検出された前記欠陥を補修するように構成された1若しくはそれ以上の補修ユニットを有する補修デバイスとを有する、システム。
【実施例4】
【0034】
実施例3に記載のシステムにおいて、このシステムは、後続の仕上げ前の連続鋳造段階中に、前記検出された欠陥を補修するように構成されている、システム。
【実施例5】
【0035】
実施例3~4のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記鋳造金属が約1,000℃までの温度を有するときに前記検出された欠陥を補修するように構成されている、システム。
【実施例6】
【0036】
実施例3~5のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、各検出ユニットは、前記鋳造金属の表面へ方向づけられたパルスを発生させ、それによって前記鋳造金属内に1若しくはそれ以上の超音波を発生させるように構成された1若しくはそれ以上の信号発生器と、前記1若しくはそれ以上の信号発生器から離間して配置された1若しくはそれ以上の受信機であって、前記鋳造金属内で前記1若しくはそれ以上の超音波によって引き起こされる信号を受信するように構成されている、前記1若しくはそれ以上の受信機とを有するものである、システム。
【実施例7】
【0037】
実施例6に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記受信機によって受信された前記信号の1若しくはそれ以上の特性に基づいて前記欠陥の存在を検出するように構成されている、システム。
【実施例8】
【0038】
実施例7に記載のシステムにおいて、前記信号の1若しくはそれ以上の特性は前記受信された信号の振幅および周波数の選択された一方または両方を含むものである、システム。
【実施例9】
【0039】
実施例6~8のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、前記信号発生器はレーザー有するものである、システム。
【実施例10】
【0040】
実施例6~9のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、前記信号発生器は電磁音響トランスデューサを有するものである、システム。
【実施例11】
【0041】
実施例6~10のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、前記受信機は電磁音響トランスデューサを有するものである、システム。
【実施例12】
【0042】
実施例6~11のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、前記受信機は、約50キロヘルツ~約1050キロヘルツの範囲の周波数を受信するように構成されている、システム。
【実施例13】
【0043】
実施例3~12のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記欠陥のサイズおよび位置の選択された一方または両方を検出するように構成されている、システム。
【実施例14】
【0044】
実施例13に記載のシステムにおいて、このシステムは、前記欠陥のサイズおよび位置の一方または両方に基づいて前記欠陥を補修するかどうかを判定するように構成されている、システム。
【実施例15】
【0045】
実施例3~14のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、各補修ユニットは、前記標的領域における前記鋳造金属の表面に向けてビームを発生させるように構成された1若しくはそれ以上のレーザーを有するものである、システム。
【実施例16】
【0046】
実施例3~15のいずれか1つまたはそれ以上に記載のシステムにおいて、各補修ユニットは、アブレーション、溶融、研削、および削り取りのうちの選択された1若しくはそれ以上によって、前記標的領域における前記検出された欠陥を補修するように構成されている、システム。
【実施例17】
【0047】
鋳造金属に用いられる欠陥検出および補修システムであって、1若しくはそれ以上の検出ユニットを有する検出デバイスであって、前記鋳造金属内の表面下の欠陥を検出するように構成されているものであり、各検出ユニットは、前記鋳造金属の表面へ方向づけられたパルスを発生させ、それによって前記鋳造金属内に1若しくはそれ以上の超音波を発生させるように構成された信号発生器と、前記信号発生器から離間して配置された受信機であって、前記1若しくはそれ以上の超音波によって引き起こされた信号を受信するように構成されている、前記受信機とを有するものであり、前記検出デバイスは前記受信された信号に基づいて前記表面下の欠陥を検出するように構成されている、前記検出デバイスと、1若しくはそれ以上の補修ユニットを有する補修デバイスであって、各補修ユニットはレーザーを有するものであり、前記レーザーは前記検出された欠陥を含む標的領域内の前記鋳造金属の表面へ方向づけられたビームを生成するように構成されているものであり、前記ビームは、前記標的領域の前記検出された欠陥を補修するように構成されている、前記補修デバイスとを有するシステム。
【実施例18】
【0048】
欠陥検出および補修システムを動作させて鋳造金属の表面下の欠陥を補修する方法であって、前記欠陥検出および補修システムは、1若しくはそれ以上の検出ユニットを有する検出デバイスと、1若しくはそれ以上の補修ユニットを有する補修デバイスとを有するものであり、この方法は、前記欠陥検出および修正システムに対して鋳造金属を平行移動させる工程と、前記検出デバイスの前記1若しくはそれ以上の検出ユニットにより、前記鋳物金属の表面付近に欠陥が存在するかどうかを検出する工程と、前記検出デバイスによって欠陥が検出された場合に前記欠陥を補修できるかどうかを判定する工程と、補修領域を形成するように前記欠陥を補修すると判定された場合に、前記検出された欠陥を含む標的領域内において前記検出された欠陥を前記補修デバイスの前記1若しくはそれ以上の補修ユニットにより補修する工程とを有する、方法。
【実施例19】
【0049】
実施例18に記載の方法において、前記鋼が約1,000℃までの温度を有するときに、連続鋳造プロセス中に前記鋳造金属が前記欠陥検出および補修システムに対して平行移動されるものである、方法。
【実施例20】
【0050】
実施例18~19のいずれか1つまたはそれ以上に記載の方法において、前記鋳造金属の表面付近に欠陥が存在するかどうかを検出する工程は、前記鋳造金属内に超音波を発生させる工程と、前記鋳造金属内に前記超音波によって引き起こされる信号を受信する工程とを有するものである、方法。
【実施例21】
【0051】
実施例18~20のいずれか1つまたはそれ以上に記載の方法において、さらに、前記欠陥が前記検出デバイスによって検出されたときに、前記欠陥のサイズおよび位置の一方または両方を判定する工程を有するものである、方法。
【実施例22】
【0052】
実施例18~21のいずれか1つまたはそれ以上に記載の方法において、前記検出された欠陥を補修する工程は、前記標的領域のアブレーション、溶融、研削、および削り取りのうちの1若しくはそれ以上を行う工程を有するものである、方法。