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特許7507888複数の片から形成されたプラズマ耐性セラミック体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】複数の片から形成されたプラズマ耐性セラミック体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240621BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240621BHJP
   C04B 37/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/68 R
H01L21/68 N
H01L21/302 101L
C04B37/00 A
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022572414
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021033964
(87)【国際公開番号】W WO2021242714
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/029,868
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521442051
【氏名又は名称】ヘレーウス コナミック ノース アメリカ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Conamic North America LLC
【住所又は居所原語表記】301 N. Roosevelt Avenue, Chandler, AZ 85226, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ドネロン、マシュー、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】コイララ、スディップ、プラサド
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-095644(JP,A)
【文献】特開2010-018448(JP,A)
【文献】特表2012-508683(JP,A)
【文献】特開平11-154719(JP,A)
【文献】特開2011-057488(JP,A)
【文献】特開2006-188428(JP,A)
【文献】特開2010-150048(JP,A)
【文献】特開2000-290066(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181130(WO,A1)
【文献】特開2016-069197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
C04B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合セラミック体であって、
a.第1のセラミックを含む第1のセラミック部分と、
b.第2のセラミックを含む第2のセラミック部分と、
c.前記第1のセラミック部分と前記第2のセラミック部分との間に形成された接合層と、を含み、
前記接合層が、0.5~20μmの結合厚さを有し、前記接合層は、二酸化ケイ素で構成されるか、又は二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びY 、La 、CeO 、Nd 、Pm 、Sm 、Eu 、Gd 、Tb 、Dy 、Ho 、Er 、Tm 、Yb 、Lu からなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の組み合わせで構成され、かつ、前記接合層が、100%の純度に対して99.999%以上の総純度を有する、接合セラミック体。
【請求項2】
前記接合層が、前記接合層の質量に対して10ppm以下の総不純物含有量を有するアモルファスガラス質相を含む、請求項1に記載の接合セラミック体。
【請求項3】
前記接合層が、アモルファスガラス質相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、ガラスセラミックを含む、請求項1又は2に記載の接合セラミック体。
【請求項4】
前記接合層が、前記接合層の5体積%~99体積%の量の結晶化度を有する少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項5】
前記少なくとも1つの結晶性セラミック相が、ムライト、アルミナ、Y Si 、Y SiO 及びY Al 12 (イットリウムアルミニウムガーネット)からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3または4に記載の接合セラミック体。
【請求項6】
前記Y Al 12 (イットリウムアルミニウムガーネット)が多結晶性である、請求項に記載の接合セラミック体。
【請求項7】
前記接合層が、前記接合層の質量に対して5ppm以下の総不純物含有量を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項8】
前記接合層が、前記接合層の質量に対して5ppm以下の総アルカリ元素又はアルカリ土類元素含有量を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項9】
前記接合層が1~15μmの結合厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項10】
前記接合層が、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項11】
前記第1及び第2のセラミック部分が、同じセラミックを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項12】
前記第1及び第2のセラミックが、異なるセラミックを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項13】
前記第1及び第2のセラミック部分の各々が、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウム、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG;YAl12)、炭化ケイ素、石英、ムライト、SiAlON材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項14】
前記第1及び第2のセラミック部分が、酸化アルミニウムである、請求項11に記載の接合セラミック体。
【請求項15】
前記接合層の熱膨張係数(CTE)と、前記第1及び第2のセラミック部分の各々の熱膨張係数(CTE)との差分の、前記第1及び第2のセラミック部分の各々の熱膨張係数(CTE)に対する比が、0~10%である、請求項1~14のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項16】
前記第1及び第2のセラミック部分が、100%の純度に対して99.99%以上の純度を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項17】
前記接合セラミック体が、100%純度に対して99.99%以上の純度を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【請求項18】
接合セラミック体を作製する方法であって、
a.第1のセラミック部分の表面と第2のセラミック部分の表面との間に二酸化ケイ素の粉末を配置して、セラミック体アセンブリを形成する工程と、
b.前記セラミック体アセンブリの温度を、第1及び第2のセラミック部分を接合して前記接合セラミック体を形成するのに十分な焼結温度まで上昇させる工程と、
c.前記接合セラミック体の温度を下げる工程と、を含み、
前記二酸化ケイ素が、ASTM C1274に従って測定した25m/g~50m/gの比表面積、及び純度100%に対して99.999%以上の純度を有し、前記工程a~cが、請求項1~17のいずれか一項に開示された特徴を有する接合セラミック体を調製する条件下で行われることを特徴とする、方法。
【請求項19】
工程aが、酸化アルミニウムの粉末を更に含み、前記酸化アルミニウムが、99.99%以上の純度を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程aが、99.99%以上の純度を有する、Y 、La 、CeO 、Nd 、Pm 、Sm 、Eu 、Gd 、Tb 、Dy 、Ho 、Er 、Tm 、Yb 、Lu 、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の粉末を更に含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
工程bの前記焼結温度が、1100~1500℃である、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
工程aが、純度100%に対して99.995%の純度を有する酸化イットリウムの粉末を更に含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
d.前記接合セラミック体を機械加工して、半導体処理チャンバで使用するための接合セラミック体構成要素を作製する工程を更に含む、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記接合セラミック体構成要素が、誘電体窓若しくはRF窓、リング、ノズル若しくはガスインジェクタ、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバライナ、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウエハチャック、チャック、パック、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、及び/又はエッチングチャンバ内の保護リングからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項18~24のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された半導体チャンバ構成要素を製造するための接合セラミック体。
【請求項26】
各々前記セラミック体の最長延長部に関して、100mm~622mmのサイズを有する、請求項25に記載の接合セラミック体。
【請求項27】
接合セラミック体であって、
a.酸化アルミニウムの第1及び第2のセラミック部分と、
b.0.5~20μmの結合厚さを有する前記第1及び第2のセラミック部分の間に形成された接合層と、を含み、
前記第1及び第2のセラミック部分が、99.99%以上の純度を有し、前記接合層が、アモルファスガラス質相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、ガラスセラミックを含み、前記接合層は、二酸化ケイ素で構成されるか、又は二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びY 、La 、CeO 、Nd 、Pm 、Sm 、Eu 、Gd 、Tb 、Dy 、Ho 、Er 、Tm 、Yb 、Lu からなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の組み合わせで構成され、かつ、前記接合層が、100%の純度に対して99.999%以上の総純度を有する、接合セラミック体。
【請求項28】
接合セラミック体であって、
a.酸化イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、YAl12)の第1及び第2のセラミック部分と、
b.前記第1及び第2のセラミック部分の間に形成された接合層と、を含み、
前記第1及び第2のセラミック部分が、99.99%以上の純度を有し、前記接合層が、アモルファスガラス質相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、ガラスセラミックを含み、前記接合層が、0.5~20μmの結合厚さを有前記接合層は、二酸化ケイ素で構成されるか、又は二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びY 、La 、CeO 、Nd 、Pm 、Sm 、Eu 、Gd 、Tb 、Dy 、Ho 、Er 、Tm 、Yb 、Lu からなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の組み合わせで構成され、かつ、前記接合層が、100%の純度に対して99.999%以上の総純度を有する、接合セラミック体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、プラズマエッチング又は堆積チャンバ内の構成要素として使用するための複数の片又は部分から形成されたプラズマ耐性セラミック体に関する。セラミック部分は、プラズマ耐性ガラス又はガラスセラミック接合材料を使用して、接合セラミック体を形成するように接合又は結合される。更に、本開示の実施形態は、接合セラミック体及びプラズマ耐性セラミック構成要素をその接合セラミック体から作製するためのプロセスを更に提供する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、開示された実施形態に関連する主題を開示する。このセクションで説明した背景技術が法律的に先行技術を構成することが、表現されることも暗示されることも意図されない。
【0003】
ガラスは、アモルファス固体であり、そのため、結晶構造を有していない。ガラスセラミックは、最初にガラスを形成し、その後、熱処理及び冷却速度を慎重に制御することによってガラスを少なくとも部分的に結晶化することによって作製される。これにより、ガラス質アモルファスマトリックスによって囲まれた結晶領域を有する微細構造を有するガラスセラミック材料が得られる。ガラス質マトリックスは、他の場合ではセラミック材料中に存在し得る空隙及び多孔性を充填している。ガラスセラミック材料の特性は、ガラス又はセラミック材料の特性とは異なる固有の特性を達成するための組成物及び処理に従って調整され得る。
【0004】
半導体基板の処理中、プラズマは、典型的には、チャンバ壁及び基板上の材料を除去するために使用される。プラズマ条件は、高度に腐食性及び浸食性の環境を作り出し、チャンバの壁及び構成要素をかなりのイオン衝撃及び化学腐食に曝露する。このイオン衝撃は、プラズマ化学物質及び/又はエッチング副生成物と組み合わされ、処理チャンバのプラズマ曝露表面の著しい表面粗面化、侵食、腐食、及び腐食侵食が生じ得る。結果として、表面材料は、物理的及び/又は化学的アタックによって除去される。このアタックは、ツールのダウンタイムの延長、消耗品コストの増加、微粒子混入、ウエハ上の遷移金属混入及びプロセスドリフトをもたらす短い部品寿命をはじめとする問題を引き起こす。
【0005】
このような反応器内のプラズマ環境のこの腐食性及び浸食性の性質を理由として、粒子及び/又は金属混入を最小限に抑える必要がある。したがって、消耗品及び他の部品を含むそのような機器の製造のために設計された構成要素及び結合材料は、適切に高い耐侵食性及び耐腐食性を有することが望ましい。これに関連して、非常に高い純度を有するそれらのプラズマチャンバ構成要素及び結合若しくは接合材料は、使用中の腐食及び侵食を防ぐことができる不純物中の均一な耐食性表面を提供することができる。そのようなプラズマチャンバ構成要素は、プラズマ環境における腐食及び侵食に対する耐性を提供する、限定されないが、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化イットリウムアルミニウムの1つ又は複数の形態、及び窒化アルミニウムとして、例示的なエッチング耐性材料から形成されている。これらの例示的なエッチング耐性体は、「controlled porosity yttrium oxide for etch applications」と題された米国仮特許出願第62/829,720号及び「ceramic sintered body for corrosion resistant components」と題された米国仮特許出願第62/936821号に開示されており、それらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0006】
様々なエレクトロニクス用途で使用される典型的なガラスは、ハロゲンベースのプラズマ用途において、並びに/又は高純度が必要とされる用途で使用できないようにする高レベルのアルカリ及びアルカリ土類元素並びにホウケイ酸化合物において、性能が低い。更に、多くのガラス組成物中のホウ素の存在は、半導体デバイスの製造プロセスと適合しない場合がある。
【0007】
プラズマ処理チャンバは、ディスク、シャワーヘッド又はウィンドウ、ノズル、チャンバライナ、焦点リング及び保護リング等の様々なリング、及び処理されているウエハ上でプラズマを閉じ込めるシリンダ等の部品を含むように設計されている。
【0008】
より微細な特徴及びノードサイズへの継続的な推進を満たすために、半導体基板の処理に使用されるチャンバ構成要素は、より大きな機能性を有する必要があり、より複雑な構造を必要とする。これらの構造は、単一の本体又は構成要素に組み合わされた異なる材料の複数の層、埋込み要素、部分的又はパターン化された層を有し得る。これらのより複雑な構造を製造するために、他の構成要素の中でも、ウエハ支持アセンブリ、例えばチャック又は静電チャック(ESC)、RF又は誘電体窓、異なるプロセスガス用の複数の開口部を有するインジェクタ又はノズル、埋め込まれたワイヤ、メッシュ又は電気的機能を提供する他の要素を有するプロセス又は他のリング等の構成要素を形成するために、複数の耐エッチング部材の結合又は接合が必要とされ得る。様々な構成で結合された多数の材料の使用は、異なる材料特性による問題をもたらす。例えば、熱膨張係数(CTE)等の接合材料の機械的特性は、半導体製造における使用中に生じる熱変動からの亀裂及び/又は剥離を回避するために使用するのに選択されたセラミック部材の機械的特性と適合する必要がある。更に、結合プロセスは、片の間の十分な結合を確実にするために、0.15MPa程度以上、例えば最大1.4MPaの圧力を必要とすることが多い。更に、セラミック部材間に適用される接合又は結合材料は、セラミック部材と同様にプラズマによって連続的にアタックを受け、その結果、浸食するか、腐食するか、又は混入物質を蓄積させ、ポリマーが蓄積し、したがってセラミック部材自体と同じ耐エッチング性要件の対象となる。したがって、ハロゲンプラズマ用途における腐食及び侵食に対するチャンバ構成要素耐性、並びにこれらの構成要素の耐用寿命は、使用のために選択された結合材料によって制限され得る。最新技術の半導体処理チャンバによって必要とされるように、より厳密な設計要件に対応するために、特に複数の片で作製された構成要素における、半導体プロセスのエッチング及び堆積のためのチャンバ構成要素のプラズマ耐性性能を改善するための継続的な取り組みがある。本明細書に開示される材料及び方法の使用は、既知の技術に対する性能改善を提供する。
【0009】
したがって、耐腐食性及び耐侵食性ガラス又はガラスセラミック材料によって接合された複数片の耐腐食性及び耐侵食性セラミック体が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
前述の関連技術から出発して、これら及び他の必要性は、本明細書に開示される様々な実施形態、態様及び構成によって対処される。
【0011】
/1/接合セラミック体であって、第1のセラミックを含む第1のセラミック部分と、第2のセラミックを含む第2のセラミック部分と、第1のセラミック部分と第2のセラミック部分との間に形成された接合層と、を含み、接合層が、0.5~20umの結合厚さを有し、接合層の質量に対して20ppm以下の総不純物含有量を有する二酸化ケイ素を含む、接合セラミック体。
【0012】
/2/接合層が、接合層の質量に対して10ppm以下の総不純物含有量を有するアモルファスガラス質相を含む、請求項1に記載の接合セラミック体。
【0013】
/3/接合層が、アモルファスガラス質相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、ガラスセラミックを含む、請求項1又は2に記載の接合セラミック体。
【0014】
/4/接合層が、接合層の5体積%~99体積%の量の結晶化度を有する少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0015】
/5/接合層が、接合層の5体積%~90体積%の量の結晶化度を有する少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0016】
/6/接合層が、接合層の5体積%~70体積%の量の結晶化度を有する少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0017】
/7/接合層が、接合層の10体積%~60体積%の量の結晶化度を有する少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0018】
/8/接合層が、接合層の10体積%~50体積%の量の結晶化度を有する少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0019】
/9/少なくとも1つの結晶性セラミック相が、ムライト、アルミナ、Y2Si2O7、Y2SiO5及びY3Al5O12(イットリウムアルミニウムガーネット)からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0020】
/10/ Y3Al5O12(イットリウムアルミニウムガーネット)が多結晶性である、請求項1~9のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0021】
/11/接合層が、接合層の質量に対して10ppm以下の総不純物含有量を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0022】
/12/接合層が、接合層の質量に対して5ppm以下の総不純物含有量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0023】
/13/接合層が、100%の純度に対して99.99%以上の総純度を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0024】
/14/接合層が、100%の純度に対して99.995%以上の総純度を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0025】
/15/接合層が、100%の純度に対して99.999%以上の総純度を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0026】
/16/接合層が、接合層の質量に対して5ppm以下の総アルカリ元素又はアルカリ土類元素含有量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0027】
/17/接合層が1~15umの結合厚さを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0028】
/18/接合層が3~10umの結合厚さを有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0029】
/19/接合層が4~8umの結合厚さを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0030】
/20/接合層が、接合層の純度100%に対して99.99%以上の純度を有する、Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3及びそれらの組み合わせからなる群から選択される希土類酸化物を更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0031】
/21/接合層が、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0032】
/22/第1及び第2のセラミック部分が、同じセラミックを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0033】
/23/第1及び第2のセラミックが、異なるセラミックを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0034】
/24/第1及び第2のセラミック部分の各々が、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウム、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、YAl12)、炭化ケイ素、石英、ムライト、SiAlON材料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0035】
/25/第1及び第2のセラミック部分が、酸化アルミニウムである、請求項1~24のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0036】
/26/接合層が、第1及び第2のセラミック部分の各々の0~10%の熱膨張係数(CTE)を有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0037】
/27/接合層が、第1及び第2のセラミック部分の各々の0~5%の熱膨張係数(CTE)を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0038】
/28/第1及び第2のセラミック部分が、100%の純度に対して99.99%以上の純度を有する、請求項1~27のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0039】
/29/第1及び第2のセラミック部分が、100%の純度に対して99.995%以上の純度を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0040】
/30/ 100%純度に対して99.99%以上の純度を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0041】
/31/接合セラミック体を作製する方法であって、第1のセラミック部分の表面と第2のセラミック部分の表面との間に二酸化ケイ素の粉末を配置して、セラミック体アセンブリを形成する工程と、第1及び第2のセラミック部分を接合して接合セラミック体を形成するのに十分な焼結温度まで、セラミック体アセンブリの温度を上昇させる工程と、接合セラミック体の温度を低下させる工程と、を含み、二酸化ケイ素が、ASTM C1274に従って測定した25m/g~50m/gの比表面積を有し、純度100%に対して純度99.999%以上であり、プロセスが、請求項1~30のいずれか一項に開示されるような特性を有する接合されたセラミック体を調製する条件下で行なわれることを特徴とする、方法。
【0042】
/32/工程aが、酸化アルミニウムの粉末を更に含み、酸化アルミニウムが、99.99%以上の純度を有する、請求項31に記載の方法。
【0043】
/33/工程aが、99.99%以上の純度を有する、Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の粉末を更に含む、請求項31又は32に記載の方法。
【0044】
/34/工程bの焼結温度が、1100~1500℃である、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
/35/工程aが、純度100%に対して99.995%以上の純度を有する酸化イットリウムの粉末を更に含む、請求項31~34のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
/36/接合セラミック体を機械加工して、半導体処理チャンバで使用するための接合セラミック体構成要素を作製する工程を更に含む、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
/37/接合セラミック体構成要素が、誘電体窓若しくはRF窓、リング、ノズル若しくはガスインジェクタ、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバライナ、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウエハチャック、チャック、パック、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、及び/又はエッチングチャンバ内の保護リングからなる群から選択される、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
/38/請求項31~37のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された半導体チャンバ構成要素を製造するための接合セラミック体。
【0049】
/39/各々セラミック体の最長延長部に関して、100mm~622mm、好ましくは200~622mm、好ましくは300~622mm、好ましくは400~622mm、より好ましくは450~622mm、より好ましくは500~622mm、より好ましくは550~622mmのサイズを有する、請求項31~38のいずれか一項に記載の接合セラミック体。
【0050】
/40/ プラズマ耐性組成物であって、30~200nmの粒径を有する二酸化ケイ素と、BET法によって測定される25m2/g~50m2/gの比表面積と、酸化アルミニウムと、Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物と、懸濁媒体と、を含み、ペーストを含む、プラズマ耐性組成物。
【0051】
/41/二酸化ケイ素が、100%の純度に対して少なくとも99.999%以上の総純度を有する、請求項40に記載のプラズマ耐性組成物。
【0052】
/42/少なくとも1つの希土類酸化物が、100%の純度に対して99.99%以上の純度を有する酸化イットリウムを含む、請求項40又は41に記載のプラズマ耐性組成物。
【0053】
/43/ 100%純度に対して少なくとも99.995%以上の総純度を有する、請求項40~42のいずれか一項に記載のプラズマ耐性組成物。
【0054】
/44/懸濁媒体が、水、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される液体を含む、請求項40~43のいずれか一項に記載のプラズマ耐性組成物。
【0055】
/45/ 4~6μmの最大粒径(d100)を有する、請求項40~44のいずれか一項に記載のプラズマ耐性組成物。
【0056】
/46/酸化アルミニウムが、100%の純度に対して99.99%以上の純度を有する、請求項40~45のいずれか一項に記載のプラズマ耐性組成物。
【0057】
/47/ Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物が、99.99%以上の純度を有する、請求項40~46のいずれか一項に記載のプラズマ耐性組成物。
【0058】
/48/二酸化ケイ素が、25~60重量%の量で存在し、残りが、25~50重量%の量の酸化アルミニウムと、50~75重量%の量の少なくとも1つの希土類酸化物との混合物を含む、請求項40~47のいずれか一項に記載のプラズマ耐性組成物。
【0059】
/49/希土類酸化物が酸化イットリウムを含む、請求項48に記載のプラズマ耐性組成物。
【0060】
/50/請求項31~39のいずれか一項に記載の方法に従って使用される、請求項49に記載のプラズマ耐性組成物。
【0061】
/51/酸化アルミニウムの第1及び第2のセラミック部分を含む接合セラミック体であって、接合層が、0.5~20umの結合厚さを有する第1及び第2のセラミック部分の間に形成され、第1及び第2のセラミック部分が、99.99%以上の純度を有し、接合層が、アモルファスガラス質相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、ガラスセラミックを含み、接合層が、接合層の質量に対して20ppm以下の総不純物含有量を有する、酸化アルミニウムの第1及び第2のセラミック部分を含む接合セラミック体。
【0062】
/52/酸化イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、Y3Al5O12)の第1及び第2のセラミック部分と、第1及び第2のセラミック部分の間に形成された接合層と、を含む、接合セラミック体であって、第1及び第2のセラミック部分が、99.99%以上の純度を有し、接合層が、アモルファスガラス質相と、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、Y3Al5O12)、イットリウムアルミニウム単斜晶(YAM、Y4Al2O9)、及びイットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP、YAIO3)からなる群から選択される少なくとも1つの結晶性セラミック相と、を含むガラスセラミックを含み、接合層が、接合層の質量に対して20ppm以下の総不純物含有量及び0.5~20umの結合厚さを有する、接合セラミック体。
【0063】
/53/酸化アルミニウムの第1及び第2のセラミック部分と、第1及び第2のセラミック部分の間に形成された接合層と、を含む接合セラミック体であって、第1及び第2のセラミック部分が、99.99%以上の純度を有し、接合層が、アモルファスガラス質相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、ガラスセラミックを含み、少なくとも1つの結晶性セラミック相が、ムライト、アルミナ、Y2Si2O7、Y2SiO5、及びY3Al5O12(イットリウムアルミニウムガーネット)からなる群から選択され、接合層が、20ppm以下の総不純物含有量及び0.5~20umの結合厚さを有する、接合セラミック体。
【0064】
/54/酸化イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、Y3Al5O12)の第1及び第2のセラミック部分と、第1及び第2のセラミック部分の間に形成された接合層と、を含む、接合セラミック体であって、第1及び第2のセラミック部分が、99.99%以上の純度を有し、接合層が、アモルファスガラス質相と、ムライト、アルミナ、Y2Si2O7、Y2SiO5、及びY3Al5O12(イットリウムアルミニウムガーネット)からなる群から選択される少なくとも1つの結晶性セラミック相とを含むガラスセラミックを含み、接合層が、接合層の質量に対して20ppm以下の総不純物含有量を有し、接合層が、0.5~20umの結合厚さを有する、接合セラミック体。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本開示による接合セラミック体の一実施形態を示す図である。
【0066】
図2】本開示によるものではない接合セラミック体の一実施形態を示す図である。
【0067】
図3】本明細書に開示されるガラスセラミック接合材料の示差走査熱量測定(DSC)結果を示す図である。
【0068】
図4】本技術の実施形態による半導体処理システムを示す図である。
【0069】
図5】チャック又は電子ウエハチャック又は静電チャック(ESC)及びカバーリングのチャンバ構成要素を有するウエハ支持アセンブリを示す図である。
【0070】
図6A】本明細書に開示されるような半導体処理システムで使用される様々なリングの平面図及び詳細断面図を示す図である。
図6B】本明細書に開示されるような半導体処理システムで使用される様々なリングの平面図及び詳細断面図を示す図である。
【0071】
図7図4図5及び図6に示す実施形態並びに本明細書に開示される他の複数片セラミック体又は構成要素に適用され得る代表的な断面図である。
【0072】
図8】形成された結晶性相を示す三元イットリアシリカ-アルミナ相図、並びにそれらを形成するために必要な割合及び温度を示す。
【発明の実施の形態】
【0073】
ここで特定の実施形態について詳細に言及する。特定の実施形態の例を添付の図に示す。本開示をこれらの特定の実装形態と併せて説明するが、本開示はそのような特定の実施形態に限定されるものではないことが理解される。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれ得る代替、修正、及び等価物を包含することを意図している。以下の説明では、開示する実施形態を完全に理解できるように、多くの具体的な詳細を記載する。本開示はこれらの具体的な詳細のうちの一部又は全てを使用せずに実施してもよい。
【0074】
本明細書で「約」という語が使用される場合、開示される名目値は、±10%の関連する変動を有する。
【0075】
本明細書では、半導体及び/又はマイクロ電気機械(MEM)処理システム用のチャンバ部品の製造に有用な材料及び方法が開示される。具体的には、材料及び方法は、別個の構造体を一緒に結合させて、ハロゲンベースのプロセスガスに対して、より具体的には、エッチング及び/又は堆積半導体プロセスで使用されるような、フッ素を含有するプロセスガスに対して強化された耐性を提供するセラミック体構成要素を製造することに有用な接合材料に関する。
【0076】
接合構造で作製されたこれらの構成要素は、限定ではなく、例としてチャンバライナ、RF又はマイクロ波窓、シャワーヘッド、及び/又はガス分配アセンブリ、焦点、シールド若しくはクランプリング(及び当業者に知られているような他のリング設計)、ガスインジェクタ若しくはノズル、ウエハチャック及び/又は電子ウエハチャックであり得る。開示されているような接合材料、接合材料を作製する方法、及びプラズマ耐性セラミック体構成要素を作製することにおける使用は、次世代技術の設計要件を満たすためのチャンバ構成要素の製造に有用な、より大きな構造的複雑性及びより微細な特徴サイズを有する様々な構成要素の製造を可能にする。例として、本明細書に開示される耐腐食性及び耐侵食性接合材料の使用は、半導体及びMEMS処理用途での使用に必要な低粒子生成、ウエハスケールでの混入の低減、及び構成要素アセンブリ寿命の延長を維持しながら、構造部材を互いに結合させる能力を提供する。本明細書に開示される材料及び方法は、チャンバ内に放出され得る粒子が半導体処理に有害であり得ないように、非常に高純度の腐食及び侵食に耐性のある接合セラミック体及び/又は構成要素を提供する。
【0077】
一実施形態では、本明細書に開示されるものは、第1のセラミックを含む第1のセラミック部分と、第2のセラミックを含む第2のセラミック部分と、第1のセラミック部分と第2のセラミック部分との間に形成された接合層と、を含む、接合セラミック体である。接合層は、0.1~20umの厚さを有し得、20ppm以下の総不純物含有量を有する二酸化ケイ素を含む。
【0078】
第1及び第2のセラミック部分は、用途特有の要件に応じて、同じセラミック又は異なるものから選択され得る。実施形態では、第1及び第2のセラミック部分は、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウム、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、YAl12)、炭化ケイ素、ムライト、石英、SiAlON材料、及びそれらの組み合わせから選択される。第1及び第2のセラミック部分のために選択される材料は、適切に高い耐腐食性及び耐侵食性、熱膨張係数等の材料特性、及び開示されるような接合セラミック体として使用するのに許容される純度を有し得る。接合層と第1及び第2のセラミック部分との特定の組み合わせは、接合セラミック体の製造に関して本明細書に開示されているが、開示されたもの以外の接合セラミック体の実施形態も可能である。
【0079】
接合層は、二酸化ケイ素、又は二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びY2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3からなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の組み合わせで構成され得る。好ましい実施形態では、希土類酸化物は、酸化イットリウムを含む。二酸化ケイ素で作製された接合層は、それぞれ10ppm、5ppm、及び1ppmの不純物レベルに相当する、100%純粋な二酸化ケイ素に対して、例えば、99.999%を超える、好ましくは99.9995%を超える、好ましくは99.9999%の総純度を有する、非常に高い純度を有し得る。開示される高純度二酸化ケイ素の使用は、ハロゲンベースのプラズマに対する耐性を高め、表面粗面化及び粒子発生を低減する非常に低い(合計で<5ppm)アルカリ及び/又はアルカリ土類の接合層を提供する。本明細書に開示されるアルカリ及び/又はアルカリ土類元素は、接合層の5重量ppm以下の組み合わせた合計量のLi、Na、K、Mg、Ca、及びSrを含む。MgOの形態のMgは、接合材料の総質量に対して2ppm以下の量で接合材料中に存在する。本明細書に開示される他の実施形態では、接合層は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及びY2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物から形成され得、それにより、接合層は99.995%以上、好ましくは99.998%以上、好ましくは99.999%以上の純度を有する。開示される接合層は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、接合層は、アモルファスの高純度(>99.999%)ガラスを含んでもよく、代替の実施形態では、アモルファスのガラス質相又はマトリックスと、マトリックス中に分散した結晶性相とを含む高純度(>99.99%)ガラスセラミックを含んでもよく、結晶性セラミック相は、接合層の各々5体積%~99体積%、好ましくは接合層の5体積%~90体積%、好ましくは5体積%~70体積%、好ましくは10体積%~60体積%、好ましくは10体積%~50体積%の量で形成される。接合層のガラス質相及びガラスセラミック相(ガラス相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む)のいずれか又は両方が、実施形態では、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される元素のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0081】
実施形態では、強化された機械的強度及び改善されたプラズマ耐性を提供し得る接合層の厚さを最小化することが有益であり得る。0.1~20um、好ましくは0.1~15um、好ましくは0.1~10um、好ましくは0.1~5um、好ましくは0.1~3um、好ましくは1~8um、好ましくは3~5umの厚さの接合層を有する接合セラミック体が開示される。
【0082】
開示される実施形態では、加熱、冷却、及び使用中にセラミック部分及び/又はガラスセラミック接合層間の応力を最小限に抑えるために、第1及び/又は第2のセラミック部分のものと同じか又は非常に近い熱膨張係数(CTE)を有するガラスセラミック接合層を選択することが有益であり得る。これは、セラミック体及び/又はガラスセラミック接合層の剥離又は亀裂を防止することができる。ガラスセラミック接合層の熱膨張係数は、本明細書に開示される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び少なくとも1つの希土類酸化物、例えば酸化イットリウム等の相対量を変化させることによって、セラミック部分の熱膨張係数との適合性を調整することができる。開示されるガラスセラミック接合層は、約200℃~1400℃の温度範囲にわたって、セラミック部分のCTEと同じCTE、すなわち、差なし、及びセラミック部分の0~5%又は0~10%のCTEの差を有し得る。
【0083】
ガラスセラミック接合材料の組成は、(イットリア、アルミナ、及びシリカの)組成を調整することによって、例えば、基板の10%以下に一致するCTEに選択することができる。シリカは、約0.5~1×10-6/℃のCTEを有し、YAGは、7~8×10-6/℃のCTEを有し、アルミナは、4~5×10-6/℃のCTEを有し、それらの相対量を変化させることによって、ガラスセラミック接合材料のCTEを変更することができる。
【0084】
接合セラミック体を作製する方法が開示される。本明細書に開示される方法は、
a.第1のセラミック部分の表面と第2のセラミック部分の表面との間に二酸化ケイ素の粉末を配置して、セラミック体アセンブリを形成する工程と、
b.セラミック体アセンブリの温度を、第1及び第2のセラミック部分を接合して接合セラミック体を形成するのに十分な二酸化ケイ素の粉末の焼結温度まで上昇させる工程と、
c.接合セラミック体の温度を下げる工程と、を含み、
二酸化ケイ素は、BET法によって測定される少なくとも25m2/gの比表面積を有し、99.999%以上の純度を有し、プロセスは、先行請求項のいずれか一項に記載の特徴を有する接合セラミック体を調製するための条件下で行なわれることを特徴とする。「表面積」及び「比表面積」という用語は、本明細書では互換的に使用され、m2/gで表される表面積を指す。
本明細書に開示される方法は、工程a第1のセラミック部分の表面及び第2のセラミック部分の表面の間に二酸化ケイ素の粉末を配置して、セラミック体アセンブリを形成する工程を含む。二酸化ケイ素の粉末は、当該技術分野で既知のBET法によって測定される、25m2/g以上、好ましくは30m2/g以上、好ましくは25~50m2/g、好ましくは25~40m2/gの比表面積を有し得る。約60m2/g以上の二酸化ケイ素の表面積は、反応速度に悪影響を及ぼし得る。大部分の試料について10%以下の精度で0.01~2000m/gの比表面積にわたって測定することができるHoriba BET Surface Area AnalyzerモデルSA-9601を使用して、出発粉末の比表面積(SSA)を測定した。
【0085】
必須ではないが、二酸化ケイ素は、20~200nm、20~150nm、20~100nm、40~200、70~200nm、100~200nmのレーザ粒径測定法によって測定される平均粒径、好ましくは30~90nmの平均粒径を有するナノ粉末であることが好ましい。出発粉末の粒径は、10nm~5mmの粒径を測定することができるHoribaモデルLA-960レーザ散乱粒径分布分析器を使用して測定した。二酸化ケイ素ナノ粉末に関連する微細粒径は、本明細書で定義されるように、混合又はミル粉砕プロセス中に加えられる剪断力又は粉砕力の適用により分解され得る、緩く結合した粒子のクラスターである凝集物をもたらし得る。二酸化ケイ素粉末は、0.75~3um、0.75~2.5um、0.75~2um、好ましくは1~2umの平均凝集体サイズを有し得る。二酸化ケイ素粉末は、4~6um、好ましくは4~5.5um、好ましくは4.5~5.5umのd90凝集体サイズを有し得る。
【0086】
接合層を形成する二酸化ケイ素粉末は、非常に高い純度のものであり、99.999%超、好ましくは99.9995%超、好ましくは99.9999%以上の総純度を有する。これらの純度レベルは、それぞれ10、5、及び1ppmの総不純物レベルに相当する。総純度はまた、アルカリ及びアルカリ土類元素、並びに低融点の揮発性金属を含み、これは半導体処理チャンバ内の構成要素として適用するのに有害である。
【0087】
開示されるような低下した焼結温度を達成するために、二酸化ケイ素は、実施形態では、ナノ粉末であり得る。本明細書で使用される場合、ナノ粉末は、直径20~200umの粒径及び25m2/g以上の比表面積を有する粉末を意味することを意図している。二酸化ケイ素の高純度はまた、非常に低い(<5ppm)アルカリ及び/若しくはアルカリ土類ガラス又はガラスセラミック組成物の接合層を提供し、ハロゲンベースのプラズマに対して高耐性を提供する高い接合強度を有する。本明細書に開示される二酸化ケイ素粉末は、更に、非常に低い(合計<5ppm)遷移金属含有量(Fe、Co及びNiを含む)を提供し、Li、Na、K、Sr、Mg及びCaのアルカリ及び/又はアルカリ土類元素を各々2ppm未満、好ましくは各々1ppm未満の量で含む。
【0088】
二酸化ケイ素の高純度、高表面積、及び微粒径の組み合わせは、反応性の向上をもたらし、適用される圧力の必要なしに接合温度及び時間を短縮するが、必要に応じて使用することができる。好ましくは非常に小さな粒子サイズ及び高い表面積を有するナノ粉末である高純度二酸化ケイ素の使用は、焼結に必要な活性化エネルギーを低減し、それによって、接合材料の焼結温度の低下に寄与し、これはVipin Kant Singh(1977)「Studies on the Sintering of Silicon Dioxide」,Transactions of the Indian Ceramic Society,36:1,1-6に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の活性化エネルギーは、アレニウスの等式に従って計算することができ、
K=A exp(-Q/RT)
【0089】
式中、Kは、速度定数であり、Qは、活性化エネルギーであり、Tは、絶対温度であり、Rは、一般ユニバーサルガス定数であり、Aは別の定数である。本明細書に開示される実施形態による焼結温度は、1100~1500℃、好ましくは1100~1400℃、好ましくは1100~1300℃、好ましくは1100~1200℃、好ましくは1200~1500℃、好ましくは1300~1500℃、好ましくは1400~1500℃、好ましくは1200~1400℃であり得る。
【0090】
実施形態では、工程aの二酸化ケイ素粉末は、酸化アルミニウムの粉末と、希土類酸化物、例えば酸化イットリウムの粉末とを更に含み、酸化アルミニウム及び酸化イットリウム及び/又は希土類酸化物は各々99.99%以上の純度を有する。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、これらの高シリカ含有量(60重量%を超えるシリカ~100%のシリカ)接合材料(本明細書に開示されるアルミナ及びイットリアも含む)の支配的な焼結機構は、セラミック部分の湿潤を促進するための高シリカ含有量組成物の粘性流と組み合わせた、高反応性シリカによる粘性相焼結であり得る。開示されるシリカナノ粉末の高表面積は、粉末の反応性を増大させ、それによって焼結温度を低下させ、開示される方法の温度範囲内での高いシリカ組成物の焼結を可能にする。より低い表面積及びより大きな粒径を有するシリカの使用は、1600℃を超えるより高い焼結温度を必要とし得る。高いシリカ量を含む接合材料の組成範囲は、図8の相図において太線として示されている。図8はまた、イットリア、シリカ、及びアルミナの組成物が組み合わさり液相を形成することができる液相線温度を示す。したがって、接合材料のいくつかの実施形態は、60~100重量%の量のシリカを含み得、残りは、25~50重量%の量のアルミナと、50~75重量%の量のイットリアとの混合物を含む。いくつかの実施形態では、この組成範囲にわたって、Y2Si2O7及びムライト(3Al2O3-2SiO2)の結晶性セラミック相は、ガラス質のシリカ富化相又はマトリックス中に分散して形成され得る。代替の実施形態では、この組成範囲にわたって、イットリア及びアルミナの出発結晶性材料は、ガラス質のシリカ富化相又はマトリックス中に分散され得る。H.Mao,M.Selleby and M.Fabrichnaya(2008)によるイットリア、シリカ、アルミナ相図は、本明細書に開示されるように、粉末混合物及びプラズマ耐性組成物の組成範囲の共晶点よりも低く冷却する時に形成される結晶性相に関する手引きを提供する。当業者に知られている共晶点は、許容相の最大数が平衡状態にある相図上の点として定義される。
【0091】
当該技術分野で知られているように、d50粒径は、粒径中央値として定義され、集団の半分がこの点を超えて存在し、半分はこの点を下回って存在する値を表す。同様に、分布の90%がd90の粒径より下であり、集団の10%がd10より下にある。
【0092】
本発明の一実施形態による出発物質として使用される酸化イットリウム粉末のd10粒径は、好ましくは1~7μm、好ましくは1~6μm、好ましくは1~5μm、好ましくは2~7μm、好ましくは3~7μm、好ましくは4~7μm、好ましくは5~7μmである。
【0093】
本発明の一実施形態による出発物質として使用される酸化イットリウム粉末のd50粒径は、好ましくは3~11μm、好ましくは3~9.5μm、好ましくは3~8.5μm、好ましくは3~7.5μm、好ましくは4~11μm、好ましくは5~11μm、好ましくは6~11μm、好ましくは7~11μmである。
【0094】
本発明の一実施形態による出発物質として使用される酸化イットリウム粉末のd90粒径は、好ましくは6~20μm、好ましくは6~18μm、好ましくは6~16μm、好ましくは8~20μm、好ましくは10~20μm、好ましくは15~20μm、好ましくは8~18μm、好ましくは10~18μmである。
【0095】
酸化イットリウム粉末は、通常、1~12m/g、好ましくは1~9m/g、好ましくは1~6m/g、好ましくは1~4m/g、好ましくは2~9m/g、好ましくは2~6m/g、好ましくは2~4m/gの比表面積(SSA)を有する。
【0096】
酸化イットリウム出発物質の純度は、好ましくは99.99%超、好ましくは99.995%超、より好ましくは99.999%超、より好ましくは99.9995%超、より好ましくは99.9999%超である。これは、各々酸化イットリウム出発物質の総質量に対して、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは約1ppm、好ましくは1~100ppm、好ましくは1~50ppm、好ましくは1~25ppm、好ましくは1~10ppm、好ましくは1~5ppmの不純物レベルに相当する。本発明の一実施形態による出発物質として用いられる酸化アルミニウム粉末のd10粒径は、好ましくは0.05~4μm、好ましくは0.05~3μm、好ましくは0.05~2μm、好ましくは0.05~1μm、好ましくは0.05~0.75μm、好ましくは0.05~0.5μm、好ましくは0.2~4μm、好ましくは0.2~3μm、好ましくは0.2~2μm、好ましくは0.2~1μm、好ましくは0.4~4μm、好ましくは0.4~3μm、好ましくは0.4~2μm、好ましくは0.4~1μm、好ましくは0.75~2μm、好ましくは0.75~3μm、好ましくは1~3μm、好ましくは2~3μmである。
【0097】
一実施形態による出発物質として用いられる酸化アルミニウム粉末のd50粒径は、通常0.15~8μm、好ましくは0.15~5μm、好ましくは0.15~3μm、好ましくは0.15~1μm、好ましくは0.15~0.5μm、好ましくは1~8μm、好ましくは1~6μm、好ましくは1~4μm、好ましくは2~6μm、好ましくは3~8μm、好ましくは4~8μm、好ましくは5~8μm、好ましくは3.5~6.5μmである。
【0098】
本発明の一実施形態による出発物質として使用される酸化アルミニウム粉末のd90粒径は、0.35~60um、好ましくは0.35~10um、好ましくは0.35~5μm、好ましくは0.35~3μm、好ましくは0.35~1μm、好ましくは0.35~0.75μm、好ましくは3~80um、好ましくは3~60μm、好ましくは3~40μm、好ましくは3~20μm、好ましくは10~60μm、好ましくは10~40μm、好ましくは10~30μm、好ましくは10~20μm、好ましくは30~60μm、好ましくは15~60μm、好ましくは40~60μm、好ましくは6~15μmである。
【0099】
酸化アルミニウム粉末は、通常は、3~18m/g、好ましくは3~16m/g、好ましくは3~14m/g、好ましくは3~12m/g、好ましくは3~10m/g、好ましくは3~6m/g、好ましくは6~18m/g、好ましくは6~14m/g、好ましくは8~18m/g、好ましくは10~18m/g、好ましくは8~10m/g、好ましくは4~9m/g、好ましくは5~10m/g、好ましくは6~8m/gの比表面積を有する。
【0100】
酸化アルミニウム出発物質の純度は、典型的には、ICPMS法を使用して測定されるように、99.99%超、好ましくは99.995%超、好ましくは99.999%超、好ましくは99.9995%超である。それに対応して、アルミナ粉末の総不純物含有量は、各々酸化アルミニウム出発物質の総質量に対して、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは25ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下であり得る。
【0101】
2つ以上の粉末の複合酸化物粉末混合物は、以降、接合材料と称され、本明細書に開示される二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及びY2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の組み合わせを含む。好ましい実施形態では、希土類酸化物は、本明細書に開示される粉末特性を有する酸化イットリウムを含む。
【0102】
総純度はまた、アルカリ及びアルカリ土類元素、並びに低融点の揮発性金属を含み、これは半導体処理チャンバ内に適用するのに有害である。
【0103】
実施形態では、接合セラミック体を形成する方法の工程aは、Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの希土類酸化物の粉末を提供することを更に含み得、希土類酸化物は各々99.99%以上の純度を有する。
【0104】
Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される希土類酸化物は、当業者に既知のBET法によって測定される、少なくとも2m2/g、好ましくは少なくとも4m2/g、好ましくは少なくとも6m2/g、2~10m2/gm、好ましくは4m2/g~8m2/gであり得る表面積を有し得る。
【0105】
本明細書に開示される希土類酸化物の群は、2~15μm、好ましくは3~10μm、好ましくは4~8umの当該技術分野で既知のレーザ粒径測定法を使用して測定される平均粒径分布を有し得る。
【0106】
本明細書に開示される希土類酸化物の群は、複合酸化物純度の100%に対して99.99%超、好ましくは99.995%超、好ましくは99.999%超の総純度を有し得る。これらの純度レベルは、それぞれ100、50、及び10ppmの総不純物レベルに相当する。総純度はまた、アルカリ及びアルカリ土類元素、並びに低融点の揮発性金属を含み、これは半導体処理チャンバ内に適用するのに有害である。
【0107】
二酸化ケイ素及び金属酸化物粉末並びにそれらの相対量の選択は、製品固有の用途要件、及び本明細書に開示される焼結プロセス中に接合材料から形成される接合層の所望の特性に応じて行われる。接合材料の選択は、プラズマ耐性の所望の特性及び熱膨張係数等の特定の材料特性に応じる。本明細書に開示される実施例は、二酸化ケイ素(SiO2)、並びに二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、及び希土類酸化物、例えば酸化イットリウム(Y2O3)の組み合わせの接合材料を使用する。二酸化ケイ素粉末は、好ましくはナノ粉末である。しかしながら、任意の数の他の希土類酸化物を様々な量で使用することができる。希土類酸化物は、限定ではなく例として、Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。出発粉末から形成された接合層は、ガラス又はガラスセラミックであり得る。ドーパント又は添加剤は、それに提供されるそれらの特定の所望の特性のために接合層に組み込まれ得る。全ての出発粉末(及び該当する場合、希土類酸化物又はドーパント)は、少なくとも99.99%以上の純度であり、フッ化物及びオキシフッ化物を含まない。表1は、本明細書に開示される接合層を形成するための接合材料として有用な複合酸化物粉末の特性を列挙する。
【0108】
【表1】
【0109】
本方法の工程aは、工程bのための接合材料を調製するために、必要に応じて接合材料を混合、ブレンド、ミル粉砕又は懸濁媒体中に懸濁することを更に含む。実施形態では、接合材料は、二酸化ケイ素(好ましくはナノ粉末である)、酸化アルミニウム、酸化イットリウム及び/又は前述の複合酸化物の粉末混合物の形態であってもよい。代替の実施形態では、粉末混合物は、接合材料の上述の粉末と、例えば水、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、及びそれらの組み合わせの溶媒等の懸濁媒体と、を含有するペーストの形態であり、プラズマ耐性組成物を形成することができる。追加の任意選択的なドーパントを、前述の形態の接合材料及び/又はプラズマ耐性組成物のいずれに添加してもよい。プラズマ耐性組成物は、10~50体積%の粉末混合物、20~50体積%の粉末混合物、好ましくは30~50体積%の粉末混合物を含む、ペーストを含む。1つ又は複数の混合方法及び懸濁媒体(使用される場合)並びにその量の選択は、接合材料又はプラズマ耐性組成物をセラミック部分の表面に適用するために選択された方法に応じて行なわれる。混合、ブレンド、又はミル粉砕のための方法は、以下に開示されるとおりであり、粉末を粉末混合物に組み合わせるために使用され得る。粉末を組み合わせて接合材料及び/又はプラズマ耐性組成物を形成するために、開示された粉末は、当技術分野で知られているように、限定するものではないが、垂直(エンドオーバーエンド)タンブル混合、高エネルギーボールミル粉砕、又はジェットミル粉砕のプロセスに従って混合され得る。ボールミル粉砕及びタンブル混合は、乾式又は湿式で行ってもよく、この場合、ミル粉砕は、前述のように溶媒若しくは水性系の系等の液体媒体中で、又は、ミル粉砕媒体を用い、又は用いず粉末混合物を単に使用して行うことができる。前述のミル粉砕プロセスのいずれも、純度99.99%及び/又は99.995%の酸化アルミニウム等の高純度媒体を使用して、出発酸化物粉末の純度を、粉末重量の20重量%~80重量%のミル粉砕媒体担持量で保持することができる。開示される混合プロセスは、混合後に接合材料及び/又はプラズマ耐性組成物の純度を維持するのに役立つものであり、所望の結果のために必要に応じて繰り返してもよい。4~6um、好ましくは4~5umの最大粒径(d100)、より好ましくは4um以下の最大粒径を有する、プラズマ耐性組成物又は接合材料が好ましい。本明細書で使用される場合、プラズマ耐性組成物は、接合材料と同じ又は同様の粉末から構成されて、本明細書に開示される懸濁媒体を添加して、ペーストの形態でプラズマ耐性組成物を形成し得る。本明細書に開示されるようなプラズマ耐性組成物は、接合材料の一実施形態である。
【0110】
方法の工程aは、第1のセラミック部分と第2のセラミック部分との間に二酸化ケイ素(又は場合によってはプラズマ耐性組成物又は接合材料)を配置して、セラミック体アセンブリを形成する工程を更に含む。選択された接合材料(又はプラズマ耐性組成物)は、本明細書に開示されるような結合温度に耐えることができる様々なセラミック基板の表面間に適用されて、セラミック部分間にガラス又はガラスセラミック接合層を形成し得る。ガラス又はガラスセラミック接合層の特性は、当業者に知られている他の技術の中でも、選択された接合材料の組成及びそれらの特性、接合層の形成前の混合方法、焼結中の熱処理及び冷却によって決定され得る。
【0111】
本明細書に開示される実施形態について、二酸化ケイ素粉末(又は、場合によっては接合材料若しくはプラズマ耐性組成物)は、第1のセラミック部分の表面に適用され得る。粉末形態の接合材料の適用は、接合材料を含む粉末混合物を第1のセラミック部分の表面上に散布又は振り落とすことによって行うことができる。懸濁媒体中の接合材料又はプラズマ耐性組成物の適用(懸濁媒体及び粉末からペースト又はスラリーを形成するのに必要な量で)は、当業者に知られているように、とりわけ、塗装、噴霧、浸漬、スピンコーティング、及びスクリーン印刷によって行うことができる。その後、第2のセラミック部分の表面を接合材料の層又はプラズマ耐性組成物と接触させて、セラミック体アセンブリを形成する。接合材料又はプラズマ耐性組成物は、限定としてではなく例として上に開示されるように、基板の表面上に適用される。適用方法は、接合材料又はプラズマ耐性組成物の特性と適合する必要がある。好ましい実施形態は、ペースト又はスラリーを利用して、セラミック部分の表面の間に酸化物粉末を配置する。
【0112】
セラミック部分は、Al2O3、AlN、SiAlON、SiC、Y2O3、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG、YAl12)、ムライト及びそれらの組み合わせ等の様々な材料から選択することができる。基板材料の選択は、ハロゲンベースのプラズマに対する耐性、機械的強度、熱伝導率、絶縁体破壊強度、接合層とのCTE一致(0~10%以内)、及び他のものに基づいて行われ得る。非限定的な例として、接合材料は、第1の電気抵抗率のセラミック部分、及び第2の電気抵抗率のセラミック部分等の電気的特性を変化させた2つの同様の材料の間に配置されて、酸化アルミニウムセラミック部分によって提供される耐腐食性を維持しながら2つの領域間に高強度のプラズマ耐性結合を提供することができる。本明細書に開示されるセラミック部分は、少なくとも99.99%以上、好ましくは99.995%以上、好ましくは99.999%以上の純度を有し得る。「controlled porosity yttrium oxide for etch applications」と題する米国仮特許出願第62/829,720号及び「ceramic sintered body for corrosion resistant components」と題する米国仮特許出願第62/936821号は、純度100%に対して99.99%超~99.999%の酸化イットリウム及びイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)の純度を開示しており、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。一例として、以下の表Aは、本発明の接合材料に従って、イットリア及びアルミナ(焼結時にYAG相、Y3Al5O12を形成する量でバッチ処理されている)を含む例示的な粉末混合物の純度を提供する。本開示に従って使用するための例示的な粉末混合物の実施形態は、本明細書に開示される高純度シリカ粉末の25重量%~99重量%と混合されてもよい。
【0113】
【表2】
【0114】
セラミック体アセンブリは、本明細書に開示されるような様々な熱プロファイルに従って接合するための炉内に配置され得る。当業者によく知られているように、基板間の接触を維持するために必要な固定具及び支持体を、熱処理中に使用した。
【0115】
本明細書に開示される接合セラミック体を製造する方法は、工程bセラミック体アセンブリの温度を、第1及び第2のセラミック部分を接合して接合セラミック体を形成するのに十分な二酸化ケイ素の粉末の焼結温度まで上昇させる工程を含む。
【0116】
実施形態では、接合セラミック体の接合層を形成するための本明細書に開示される、二酸化ケイ素粉末及び/又は接合材料の焼結は、接合材料の二酸化ケイ素粉末又は粉末混合物の直接的なインサイチュでの焼結によって達成され得る。出発酸化物粉末から接合層を形成するこのインサイチュでの焼結は、出発物質の純度を保持し、それによってその純度を接合層に移す。当技術分野では、ガラス又はガラスセラミックを最初に形成又は破砕し、その後粉末形態に粉砕し、不純物及び混入物質をガラス又はガラスセラミックに導入し、それによって接合層を導入するプロセスが知られている。工程bのセラミック体アセンブリは、工程a)の二酸化ケイ素及び/又は接合材料を含む粉末を接合層に焼結して接合セラミック体を形成するのに十分な温度及び時間で、炉内で加熱することができる。
【0117】
接合セラミック体を形成するためのセラミック体アセンブリの接合又は焼結は、1100~1500℃、好ましくは1100~1400℃、好ましくは1100~1300℃、好ましくは1100~1200℃、好ましくは1200~1500℃、好ましくは1300~1500℃、好ましくは1400~1500℃、好ましくは1200~1400℃の焼結温度で行われてもよい。セラミック体アセンブリの接合は、1~8時間、好ましくは1~6時間、好ましくは1~4時間、好ましくは6~8時間、好ましくは4~8時間、好ましくは3~5時間の焼結時間で行うことができる。加熱速度は、1℃/分~20℃/分、1℃/分~10℃/分であり得、冷却速度は、0.5℃/分~20℃/分、好ましくは0.75℃/分~15℃/分、好ましくは1℃/分~10℃/分であり得る。焼結プロセスは、開示されるように、接合材料を接合層に変換する。セラミック体アセンブリは、周囲圧力及び大気条件下で焼結された。
【0118】
図1は、第1及び第2のセラミック部分9及び11がそれぞれ、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、並びに実施形態ではまた、Y2O3、La2O3、CeO2、Nd2O3、Pm2O3、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Tb4O7、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3及びそれらの組み合わせからなる群から選択される希土類酸化物等の希土類酸化物の組み合わせを含むガラス又はガラスセラミックベースの接合層10を使用して結合され得る、開示されているような実施形態による接合セラミック体を示す。焼結時に接合層を形成する二酸化ケイ素及び/又は接合材料を懸濁媒体中に分散させて、約5体積%~50体積%のペースト、好ましくは10体積%~50体積%、20体積%~50体積%のペースト、好ましくは30体積%~50体積%の範囲のペーストを形成することができる。実施形態では、接合材料は、6um以下の最大粒径を有し得る。0.5~20um、好ましくは0.5~15um、好ましくは0.5~10um、好ましくは0.5~6um、好ましくは1~15um、好ましくは3~10um、より好ましくは4~8umの結合厚さ12が達成され得るが、接合材料及びセラミック部分の組成、粒径分布及び最大粒子又は凝集体サイズ等の出発接合材料の特性に応じて、他の結合厚さを企図することができる。図1a及び図1bに示すように、セラミック部分9及び11と接合層10との反応は観察されていない。セラミック部分9と11との界面間の接合層10は、移行区域を有しておらず、接合層の厚さ全体にわたって相分布において均一である。接合層10は、フッ化物又はオキシフッ化物を含まない、セラミック部分間の厚さにわたって均一に分布したガラス又はガラスセラミック相を有し得る。本明細書で定義される移行区域又は領域は、少なくとも1つのセラミック部分の近位及び接合層内に形成された区域又は領域を表し、これは、(少なくとも1つのセラミック部分と接合層との間の)化学反応によって生じて、組成、結晶性相、又は他の特性が異なる領域を形成し得る。本明細書に開示される接合セラミック体、接合層、接合材料、及びプラズマ耐性組成物の各々は、フッ化物及び/又はオキシフッ化物を含まない。開示される接合セラミック体、接合層、接合材料、及びプラズマ耐性組成物の各々は、本明細書で定義されるような移行区域を含まない。
【0119】
図2は、酸化アルミニウムで構成されたセラミック部分が、50体積%の水性ペースト中に分散された高純度(>99.999%)二酸化ケイ素顆粒(Heraeus zandosil G220(登録商標)等)を含むガラス形成接合材料を使用して1400℃で4時間結合された、開示されている実施形態によらない接合セラミック体を示す。顆粒は、200~250umのd50粒径を有することを報告する。約35umの結合厚さ12が測定され、接合層10に亀裂が観察された。二酸化ケイ素の大きな顆粒径、及びセラミック部分9、11と接合層10との間の熱膨張係数のかなりの差(10%を超える)は、接合層の亀裂をもたらし得た。表2及び表3は、開示されているような接合セラミック体を作製するために組み合わされたセラミック部分及び様々な接合材料を列挙している。いくつかの実施形態では、表3に従って接合層を形成するために使用されるガラスセラミック接合材料は、約50重量%のSiO2、約29重量%のY2O3、及び約21重量%のAl2O3を含む本明細書に開示される粉末の混合物であり得る。接合材料の他の組成及び比は、セラミック部分の選択に応じて使用され得る。他の実施形態では、ガラスセラミック接合材料は、約40重量%のSiO2、約34重量%のY2O3、及び約26重量%のAl2O3の粉末混合物で構成され得る。他の実施形態では、接合材料は、25重量%のシリカ~99重量%のシリカの量でシリカを含み、残りは、43重量%のアルミナと57重量%のイットリアとの比のイットリアとアルミナとの混合物を含む。表3は、イットリア、アルミナ、及びシリカを含む接合材料の例示的な組成、並びに本明細書に開示される接合セラミック体の形成のための条件を列挙する。
【0120】
シリカを含むガラス接合層の特性を表2に列挙する。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
手引きとして、図8を示して、イットリア、アルミナ、及び二酸化ケイ素を含む異なる組成の接合材料を作製するために必要な比を示す。イットリア及びアルミナは、25重量%~99%のシリカと組み合わせてYAG相を形成する比率でバッチ処理され、他の実施形態では、本明細書に開示される接合材料は100%のシリカ(図8の黒線に沿って描かれているように)を含み得る。本明細書に開示される典型的な接合材料組成物は、焼結時にYAGを形成する比(約43重量%のアルミナ及び約57重量%のイットリア)のアルミナ及びイットリアを有し、25重量%~99重量%のシリカの量でシリカと組み合わされ、残りは、接合材料の総重量の1~75%の量のイットリアとアルミナとの混合物(バッチ処理されてYAGを形成する)である。本明細書に開示される他の実施形態では、接合材料は、100%の二酸化ケイ素を含み得る。
【0124】
本明細書に開示される実施形態及び実施例は周囲圧力下で実施され、外部からの圧力の使用を必要としないが、必要に応じて、0.01~1.4MPa、好ましくは0.01~0.7MPa、好ましくは0.01~0.35M、好ましくは0.01~0.14MPa、好ましくは0.01~0.07MPaの外部から加えた圧力を使用してもよい。
【0125】
実施形態では、焼結プロファイルは、粉末接合混合物からセラミック基板の表面間で、インサイチュで形成されたガラスセラミック接合層の形成を可能にするのに十分な温度及び時間に調整され得る。ガラスセラミック接合層の得られた特性及び組成は、接合プロセス中に使用される粉末混合物組成、基板材料、及び熱プロファイル、特に、冷却時に接合材料を結晶化することを可能にする冷却速度によって決定される。熱応力を最小限に抑えるための例示的な冷却速度は、サーマルマス/部品サイズに応じて、0.5C/分~5C/分である。
【0126】
図3は、本明細書に開示される実施形態によるガラスセラミック接合層を形成するためのイットリア、シリカ及びアルミナの粉末を含む接合材料について当該技術分野で行われる示差走査熱量測定(DSC)結果を示す図である。Linseis Model DSC PT 1600を全ての測定に使用した。図3は、接合材料からの少なくとも1つの結晶性セラミック相(図8の相図に示される組成による)のインサイチュでの結晶化に対応する発熱結晶化ピーク13aを示す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの結晶性セラミック相は、ムライト、アルミナ、Y2Si2O7、Y2SiO5、及びY3Al5O12(イットリウムアルミニウムガーネット、YAG)からなる群から選択され得る。YAG相は、好ましくは多結晶性である。結晶性セラミック相は、シリカ、イットリア、及びアルミナの出発粉末からのインサイチュでの反応性焼結プロセスを通して形成され、ガラス質のシリカ富化相又はマトリックス中に分散してガラスセラミック接合材料を形成する。図3において13bとして示される吸熱「dips」は、少なくとも1つのガラス質のシリカ富化液相を形成するための溶融を示す。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、セラミック部分間の結合は、方法の温度に適合する温度で溶融し、シリカ富化液相を形成し、それによりシリカ富化液相が焼結中にセラミック部分の表面を湿潤及び接合する、一連の接合材料組成物の選択によって達成され得る。液相焼結(1100℃~1500℃の開示された方法に適合する温度)によって形成される接合材料の組成範囲は、図8による破線領域内に示されており、25~60重量%のシリカを含み、残りは25~50重量%のアルミナと50~75重量%のイットリアとの混合物を含む。この組成範囲にわたって、ムライト(3Al2O3-2SiO2)、Y2Si2O7、アルミナ(Al2O3)、Y3Al5O12(YAG)、及びY2SiO5並びにそれらの組み合わせの結晶性セラミック相が形成され得る。実施形態では、これらの相のうちの少なくとも1つは、ガラス質のアモルファスシリカ相との組み合わせで存在して、ガラスセラミックを形成し得る。H.Mao,M.Selleby and M.Fabrichnaya(2008)によるイットリア、シリカ、アルミナ相図は、本明細書に開示されるように、粉末混合物及びプラズマ耐性組成物の組成範囲から形成される結晶性相に関する手引きを提供する。したがって、接合材料の実施形態は、25~60重量%の量のシリカを含み、残りは、25~50重量%の量のアルミナと、50~75重量%の量のイットリアとの混合物を含み得る。この組成範囲にわたって、ムライト(3Al2O3-2SiO2)、Y2Si2O7、アルミナ(Al2O3)、Y3Al5O12(YAG)、及びY2SiO5の結晶性セラミック相並びにそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つは、ガラス質のシリカ富化相又はマトリックス中に分散して形成され得る。
【0127】
本明細書に開示される接合材料の組成物は、典型的には、25~99重量%のシリカを含み、残りは、25~50重量%のアルミナ及び50~75重量%のイットリアの混合物を含む。他の実施形態では、接合材料は、Heraeus zandosil 30及び30P(登録商標)等の高純度シリカナノ粉末から形成された高純度シリカ組成物を含み得る。これらの組成範囲にわたって、セラミック部分間の結合は、接合材料の液体又は粘性相焼結、及びそれらの組み合わせを介して達成される。したがって、接合材料とセラミック部分との間に生じる反応は観察されていない。
【0128】
液相焼結中の接合材料からの少なくとも1つのセラミック相のインサイチュでの結晶化は、非常に高純度のシリカ富化ガラス質相と組み合わせて、半導体処理中に使用されるハロゲンベースのプラズマの腐食性及び浸食性作用に耐性がある、セラミック部材間の高純度の耐腐食性接合層(又はボンドライン)を提供する。
【0129】
本明細書に開示されるガラスセラミックを形成するための接合材料の結晶化は、1000℃超及び1400℃の温度で観察することができ(発熱ピーク13aによって示されるように)、したがって1100℃~1500℃の焼結温度は、開示される方法と適合する。2つの測定を行い、それらの間の一貫した結果を図3に示す。
【0130】
接合層は、接合材料の組成、熱処理、特に冷却速度、及び添加剤又はドーパントの存在に応じて、シリカ富化ガラス質相(ガラス質相は当業者に知られているようにアモルファスである)及び結晶質セラミック相の相対量が変化し得る。接合層のセラミック相は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される希土類酸化物の元素を含有し得る。半導体処理チャンバにおける接合材料としての適用のために、非常に高純度の材料が必要である。有利なことに、開示されるような接合材料の使用は、ハロゲンベースのプラズマに耐性がある、高い接合強度を有する高純度の、アルカリ及び/又はアルカリ土類を含まないガラス又はガラスセラミック組成物をもたらす。実施形態では、ドーパントを使用して、焼結中のガラスセラミックの粘度、電気抵抗率、熱膨張係数、ガラスセラミック中の結晶化度等の特定の特性を高めることができる。本明細書に開示される高純度結合材料組成物は、半導体処理チャンバ構成要素として使用されている市販の構造のものと同様の、又はそれを超える改善されたエッチング性能をもたらし得る。
【0131】
本明細書に開示される方法は、工程c接合セラミック体の温度を下げる工程を含む。ガラスセラミック接合層中に存在するアモルファス及び結晶性相の相対量は、接合セラミック体の温度を下げる際の冷却速度によって影響を受ける場合がある。結晶化は、時間依存プロセスであり、それによって、冷却速度が速くなると、結晶化が起こる時間量は減少し、ひいては、ガラスセラミック接合層中の結晶性相の量が少なくなり、それに対応してアモルファス相の量が多くなり得る。したがって、冷却速度が低くなると、結晶化が起こる時間量を増加させる場合があり、ひいては、結晶性相が多量になり得、それに応じて、ガラスセラミック接合層中のアモルファス相の量が少なくなり得る。本明細書に開示される熱処理は、ガラスセラミック接合層中に存在する結晶性相の量に影響を与えるように変更され得る。アモルファス相及び結晶性相の量はまた、とりわけ、接合材料組成及び粒径分布、ドーパントの存在、出発物質中の純度レベル等の他の変動要因によって影響され得る。0.5℃/分~20℃/分、好ましくは0.75℃/分~15℃/分、好ましくは1℃/分~10℃/分の冷却速度を使用することができる。冷却は、周囲条件下又は強制対流下の実施形態で行うことができる。
【0132】
本明細書に開示される方法は、任意選択的に、工程d)接合セラミック体を機械加工して、半導体処理チャンバで使用するための接合セラミック体構成要素を作製する工程を更に含む。当業者に知られているように機械加工を行ない、接合セラミック体構成要素を本明細書に開示される接合セラミック体から形成することができる。これらの例は、誘電体窓若しくはRF窓、リング、ノズル若しくはガスインジェクタ、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバライナ、プラズマ源アダプタ、ガス入口アダプタ、ディフューザ、電子ウエハチャック、チャック、パック、イオンサプレッサ要素、フェースプレート、及び/又はエッチングチャンバ内の保護リングからなる群から選択され得る。本明細書に開示されるセラミック部分、複合酸化物粉末、接合材料及び方法の使用は、例えば、最新技術の半導体処理チャンバで使用するために必要な100~622mmの直径の大きな接合セラミック体の調製に特に適している場合がある。例えば、一実施形態では、接合セラミック体は、直径100mm~622mmの直径を有し、5mm~60mmの厚さの範囲にわたってディスク形状に形成されてもよい。別の実施形態では、接合セラミック体は、直径100mm~622mmの直径を有するディスク形状に形成されていてもよい。別の実施形態では、接合セラミック体は、直径100mm~406mmの直径を有するディスク形状で形成されていてもよい。他の実施形態では、接合セラミック体は、各々接合体の最長寸法に関して、200mm~622mm、好ましくは300~622mm、好ましくは350~622mm、好ましくは400~622mm、より好ましくは450~622mm、より好ましくは500~622mm、より好ましくは550~622mmのサイズを有することができる。接合セラミック体がディスク形状に形成される実施形態では、最長延長部は直径を含む。
【0133】
図4に示すように、本明細書に開示する技術の別の実施形態は、処理システムとも呼ばれる半導体処理システム9600を含むことができる。処理システム9600は、真空チャンバ9650と、真空源と、半導体基板としても示されるウエハ50が支持されるチャック9608と、を含む。シャワーヘッド9700は、上壁を形成するか、又は真空チャンバ9650の上壁の下に取り付けられている。セラミックシャワーヘッド9700は、真空チャンバ9650の内部にプロセスガスを供給するための複数のシャワーヘッドガス出口と流体連通するガスプレナムを含む。シャワーヘッド9700は、ガス送達システム9606と流体連通している。更に、シャワーヘッド9700は、中央ガスインジェクタ(ノズルとも呼ばれる)9714を受容するように構成された中央開口部を含み得る。RFエネルギー源は、プロセスガスをプラズマ状態に励起して半導体基板を処理する。中央ガスインジェクタ9714によって供給されるプロセスガスの流量及びセラミックシャワーヘッドによって供給されるプロセスガスの流量は、独立して制御することができる。シャワーヘッド9700、ガス送達システム9606、及び中央ガスインジェクタ9714は、本明細書に開示されるように、接合セラミック体から作製され得る。
【0134】
システム9600は、ウエハ50を担持するように設計された静電チャック9608を更に含み得る。チャック9608は、ウエハ50を支持するためのパック9609を含み得る。パック9609は、本明細書に開示されるように接合セラミック体から形成されてもよく、パック9609上に配置された時にウエハ50を静電的に保持するためにパック9609の支持面に近接してパック内に配置されたチャッキング電極を有してもよい。チャック9608は、パック9609を支持するように延びるリング状のベース9611と、ベースとパックとの間に配置されて、パック9609とベース9610との間にギャップが形成されるようにベースの上方でパックを支持するシャフト9610と、を含み得、シャフト9610はパック9609の周縁部に近接してパックを支持する。チャック9608及びパック9609は、本明細書に開示されるように、接合セラミック体から作製され得る。
【0135】
シャワーヘッド9700の表面の部分は、シールドリング9712で覆われ得る。シャワーヘッド9700の表面の部分、特にシャワーヘッド9700の表面の半径方向側面は、上部シールドリング9710で覆われ得る。シールドリング9712及び上部シールドリング9710は、本明細書に開示されるように、接合セラミック体から作製され得る。
【0136】
パック9609の支持表面の部分は、カバーリング9614で覆われ得る。パック9609の表面の更なる部分は、上部シールドリング9612及び/又はシールドリング9613で覆われ得る。シールドリング9613、カバーリング9614、及び上部シールドリング9612は、本明細書に開示されるように、接合セラミック体から作製され得る。
【0137】
図5には、電子ウエハチャック又は静電チャック(ESC)の少なくとも一部であり得るパック9609と、カバーリング9614とを含むウエハ支持アセンブリが示されており、各々は、図6A図6B及び図7に示すように、断面7においてワイヤ、トレース、メッシュ、コイル形状、シート、スクリーン等の埋め込まれた特徴を有することができる。
【0138】
図6Aは、ワイヤ、トレース、メッシュ、スクリーン、コイル形状、スクリーン等であり得る埋込み要素8と共に開示されるような接合セラミック体から形成されたカバーリング9614の平面図を示す。埋込み要素8の他の構成及び実施形態は、本開示の範囲内である。図6Bは、カバーリング9614、上部シールドリング9612、及びシールドリング9613の断面図を示し、これらは、開示されているような接合セラミック体から形成され、図7に示すような埋め込まれた又は積層された要素を有することができる。
【0139】
図7は、誘電体層であってもよい最上層2;例えば、タングステン、白金、モリブデン若しくはニオブ、又は他の耐火性貴金属で作製された金属又は抵抗性特徴部が埋め込まれていてもよい電極3;抵抗率と、セラミック部分5及び6との適合性のために選択された誘電損失等の他の特性とを有する材料から作られてもよい、例えば、セラミック部分5及び6が酸化アルミニウムである場合、ニオブ、タングステン、モリブデン又は白金等の耐熱性又は貴金属であってもよい、抵抗要素4を有する、例示的な接合セラミック体の断面図を示し、素子3及び4は、用途特有の要件に従って構成され得、セラミック領域5及びセラミック領域6は、本明細書に開示されるような任意の数のセラミック部分及びそれらの組み合わせを含み得る。好ましい実施形態では、セラミック領域5及び/又は6のいずれかは、酸化アルミニウム及び/又はYAGを含む。例えば、抵抗要素4は、セラミック部分5又は6の体積にわたる加熱の制御を提供し得るように、2D又は3D構成で配置され得る。電極3及び/又は抵抗要素4は、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ジェット堆積、及び当業者に知られている他の方法によって、セラミック部分の上に形成され得る。本明細書で開示される材料及び方法によって形成された接合層10は、セラミック部分5と6との間、またセラミック部分と電極3及び抵抗要素4との間、及びそれらの組み合わせに配置されて、プラズマ耐性結合を提供して、限定はしないが、少なくとも2つのセラミック部分から接合セラミック構成要素を形成することができる。好ましい実施形態では、接合層10は、セラミック部分5及び6と隣接している。
【0140】
とりわけ、耐腐食性及び耐侵食性、熱膨張係数、熱伝導率、及び絶縁体破壊強度等の接合セラミック体構成要素の特性は、接合層を形成する使用のために選択された材料によって少なくとも部分的に決定され得る。本明細書に開示される高純度二酸化ケイ素及び接合材料の使用は、ハロゲンベースのプラズマに対する耐性を維持しながらセラミック部分間に高強度結合を提供するガラス又はガラスセラミック接合層を形成する。接合セラミック体及び/又は構成要素の前述の特性はまた、接合層の厚さによって影響され得る。この層の厚さを最小化することにより、使用中のプラズマ侵食及び腐食に対する耐性の増大、並びに層内の応力の低下をもたらすことができる。したがって、例えば、0.5~20umの厚さ、0.5~15umの厚さ、0.5~10umの厚さ、0.5~6umの厚さ、好ましくは1~15umの厚さ、好ましくは3~10umの厚さ、より好ましくは4~8umの厚さである結合厚さを有することが望ましい。接合層は、より大きな設計の複雑さを支持することができる広範囲の材料からのセラミック体及び構成要素の製造を可能にする。例として、図5は、チャック又は電子ウエハチャック又は静電チャック(ESC)の一部であり得るパック9609と、カバーリング9614とを有するウエハ支持アセンブリを示す。パック及び/又はカバーリングは、図7の断面7に示されるように、複数の層及び埋め込まれた材料を有し得る。
【実施例
【0141】
全ての実施例について、Heraeus zandosil(登録商標)30及びzandosil 30P(登録商標)等の高純度二酸化ケイ素ナノ粉末を使用した。全ての実施例は、周囲圧力で行なった。
【0142】
実施例1~4では、評価のために選択された接合材料は、50重量%の二酸化ケイ素、21.5重量%酸化アルミニウム、及び28.5重量%の酸化イットリウムの複合酸化物を含有していた。実施例1~5、7、及び9では、本明細書に開示されるような高純度二酸化ケイ素を使用して、セラミック部分を結合させた。実施例1~4は、開示されるような複合酸化物粉末及びシリカ粉末を使用したセラミック部分の結合の例示である。全ての出発粉末は、少なくとも99.99%以上の純度であり、フッ化物及びオキシフッ化物を含まない。出発酸化物の特性を表1に列挙する。実施例の実施形態によれば、純粋なシリカ(シリカナノ粉末から形成された)を含む接合層は、当業者に知られているように、アモルファスのガラス質相を形成する。
【0143】
開示された接合材料は、水性懸濁媒体中に40%~50%固形分担持量で分散した。以下に開示されるように、試料を様々な温度及び時間で焼結した。本明細書に開示される全ての実施形態にわたって、移行区域は観察されなかった。本明細書で定義される移行区域又は領域は、少なくとも1つのセラミック部分の近位及び接合層内のセラミック部分の界面の間で2つの間の化学反応によって形成されて、組成、結晶性相、又は他の特性が異なる領域を形成する、区域又は領域を表す。
【0144】
実施例1:接合セラミック体は、本明細書に開示される純度、粒径分布及び表面積を各々有する酸化アルミニウム、酸化イットリウム及び二酸化ケイ素を含む接合材料(表1参照)から形成され、40体積%の水性ペースト中で調製され、高純度(>99.99%)アルミナ媒体を使用してボールミル粉砕され、少なくとも99.99%以上の純度を有する酸化アルミニウムで作製されたセラミック部分の間に配置されて、セラミック体アセンブリを形成した。接合材料の組成は、表3に開示されているとおりである。セラミック体アセンブリを、空気中の周囲圧力下で、1400℃の焼結温度で4時間焼結して、接合セラミック体を形成した。接合材料は、図3のDSC結果(ASTM D3418に従って測定)に従って示すように、インサイチュでの反応性焼結時にガラスセラミックを形成した。ガラスセラミックは、ムライト、アルミナ、Y2Si2O7、Y2SiO5、Y3Al5O12(イットリウムアルミニウムガーネット、すなわちYAG)からなる群から選択される少なくとも1つの結晶性セラミック相を含み(H.Mao,M.Selleby及びM.Fabrichnaya(2008)の相図による)、結晶性セラミック相は、シリカを含むガラス質アモルファスマトリックス中に分散される。接合層は、2~5umの結合厚さを有し、セラミック部分間の許容可能な結合が得られた(すなわち、焼結後に一体型本体が達成された)。接合層は、セラミック部分間の厚さにわたって均一であり、亀裂又は割れ目を伴わないことが観察された。これは、図1にa)500倍の倍率及びb)5000倍の倍率で示されている。図1a及びbにより証明されるように、セラミック部分と接合材料との間の反応は観察されなかった。酸化アルミニウム部分の界面間に形成された接合層は、移行区域を有しておらず、全体を通して相分布において均一である。接合層は、フッ化物及び/又はオキシフッ化物を含まないガラスセラミックを含んでいた。したがって、本明細書に開示されるものは、フッ化物及び/又はオキシフッ化物を含まないか、又は実質的に含まない接合セラミック体である。代替の実施形態で、実施例5に開示されている表面積、純度及び粒径特性を有する二酸化ケイ素粉末のナノ粉末をセラミック部分の間に配置し、この実施例に従って焼結した場合にも、セラミック部分間の許容可能な結合が得られた。
【0145】
実施例2:実施例1のように酸化アルミニウムで作製されたセラミック部分の表面間に配置された、実施例1に開示されたガラスセラミック接合材料から接合セラミック体を形成して、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1200℃で4時間焼結して、接合セラミック体を形成した。実施例1に従って開示される相を含むガラスセラミック接合層を形成した。セラミック部分間の許容可能な結合は、本明細書に開示される接合材料を使用して得られた。代替の実施形態では、本明細書に開示されている表面積、純度及び粒径特性を有する二酸化ケイ素のナノ粉末をセラミック部分の間に配置し、この実施例に従って焼結した場合にもまた、セラミック部分間の許容可能な結合が得られた。
【0146】
実施例3:実施例1に開示された酸化アルミニウムで作製されたセラミック部分間に配置された、実施例1に開示されたガラスセラミック接合材料から接合セラミック体を形成して、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1000℃で8時間焼結して、接合セラミック体を形成した。セラミック部分と接合材料との間の不十分な結合により、セラミック焼結体の剥離が観察された。セラミック部分と接合材料との間の不十分な結合により、本明細書に開示されるような表面積、純度及び粒径特性を有する二酸化ケイ素粉末がセラミック部分間に配置された場合にもまた、セラミック焼結体の剥離が観察された。1000℃の温度は適切な接合には低すぎ、セラミック焼結体の剥離が観察された。
【0147】
実施例4:実施例1に開示されているような接合材料から、各々少なくとも純度99.99%以上を有する酸化アルミニウム及び酸化イットリウムで作製されたセラミック部分の間に配置された接合セラミック体を形成して、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1400℃で4時間焼結して、接合セラミック体を形成した。イットリアセラミック部分と接合材料との間の不十分な結合により、イットリア/接合材料界面でセラミック焼結体の剥離が観察された。
【0148】
実施例5:本明細書に開示されるように、少なくとも99.999%以上の純度、25~40m2/gの表面積、及び20~200nmの平均粒径を有する二酸化ケイ素ナノ粉末から接合セラミック体を形成した。粉末を水性懸濁媒体中に約50体積%の担持量で分散させ、各々少なくとも99.99%以上の純度を有する酸化アルミニウム及び酸化イットリウムで作製されたセラミック部分の間に配置して、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1400℃で4時間焼結して、接合セラミック体を形成した。セラミック部分間の許容可能な結合が、本明細書に開示される二酸化ケイ素粉末を使用して得られた。
【0149】
実施例6:開示された材料及び方法によらない接合セラミック体が、少なくとも99.99%以上の純度を有する酸化アルミニウムセラミック部分で作製されて、セラミック体アセンブリを形成した。この実施例では、200~250umの平均(d50)凝集体サイズを有する高純度(>99.999%)顆粒SiO粉末(Heraeus zandosil G220(登録商標)等)を使用して、接合層を形成した。シリカ顆粒を50体積%の水性ペーストに分散させた。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1400℃で4時間焼結して、接合セラミック体を形成した。図2a)に倍率500倍、2b)に倍率5000倍で示すように、35umの結合厚さが得られた。セラミック部分と二酸化ケイ素層との間に結合が発生したが、接合層内でかなりの亀裂が観察された。より大きい応力が、セラミック部分の熱膨張特性に応じて、このより厚い、主に又は完全にガラス結合層に加えられ、観察される亀裂を悪化させ得る。シリカ粉末(ナノ粉末の典型的なもの等)のより微細な粒径、並びに結合厚さの減少(35um未満)は、接合層の強度を増大させ、したがって観察される亀裂を軽減することができる。
【0150】
実施例7:本明細書に開示されるように、少なくとも99.999%以上の純度、25~40m2/gの表面積、及び20~200nmの平均粒径を有する二酸化ケイ素粉末から形成された接合セラミック体を、少なくとも99.99%以上の純度を有する酸化イットリウムで作製されたセラミック部分の間に配置して、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1400℃で4時間焼結して、接合セラミック体を形成した。イットリアセラミック部分間の許容可能な結合が、本明細書に開示される二酸化ケイ素粉末を使用して得られた。
【0151】
実施例8:本明細書に開示されているように、少なくとも99.999%以上の純度、25~50m2/gの表面積(BETによって測定)、及び20~200nmの平均粒径を有する二酸化ケイ素ナノ粉末から形成された接合セラミック体を、少なくとも99.99%以上の純度を有する酸化イットリウムアルミニウムガーネット構造(YAG、YAl12)で作製されたセラミック部分の間に配置して、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1400℃で4時間焼結して、接合セラミック体を形成した。セラミック部分間の許容可能な結合が、本明細書に開示される二酸化ケイ素粉末を使用して得られた。
【0152】
表2及び表3は、本明細書に開示される実施形態による接合セラミック体を要約する。
【0153】
【表5】
【0154】
実施例9:50重量%のシリカ、21.5重量%のアルミナ及び28.5重量%のイットリアを含む接合材料から接合セラミック体を形成した。シリカ、アルミナ、及びイットリアは、表1によって開示されるような粉末特性を有していた。接合材料は、少なくとも99.99%以上の純度を有し、約40重量%の固形分の量で水中に分散してペーストを形成し、少なくとも99.99%以上の純度を有する酸化アルミニウムで作製されたセラミック部分間に配置されて、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1400℃で1時間焼結して、接合セラミック体を形成した。焼結時に、約10umの厚さを有するガラスセラミック接合層を、インサイチュでの焼結反応によって形成して、実施例1に開示される相に従ってガラス質のアモルファスシリカ富化相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を含む、ガラスセラミックを形成した。アルミナセラミック部分間の許容可能な結合が得られた。
【0155】
実施例10:50重量%のシリカ、21.5重量%のアルミナ及び28.5重量%のイットリアを含む接合材料から接合セラミック体を形成した。シリカ、アルミナ、及びイットリアは、表1によって開示されるような特性を有していた。接合材料は、少なくとも99.99%以上の純度を有し、約50重量%の固形分の量で水中に分散し、少なくとも99.99%以上の純度を有する酸化アルミニウムで作製されたセラミック部分間に配置されて、セラミック体アセンブリを形成した。このセラミック体アセンブリを空気中、周囲圧力下、1500℃で1時間焼結して、接合セラミック体を形成した。焼結時に、5~10umの厚さを有するガラスセラミック接合層を、インサイチュでの反応によって形成して、実施例1に従ってガラス質のアモルファスシリカ富化相及び少なくとも1つの結晶性セラミック相を形成した。アルミナセラミック部分間の許容可能な結合が得られた。
【0156】
本発明の多数の実施形態が開示された。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8