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特許75078923,4-ジヒドロイソキノリン系化合物及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】3,4-ジヒドロイソキノリン系化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20240621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240621BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C07D401/12
A61P43/00 111
A61P35/00
C07D401/14 CSP
A61K31/506
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022573204
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2021097746
(87)【国際公開番号】W WO2021244542
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】202010487966.8
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506417359
【氏名又は名称】石薬集団中奇制薬技術(石家庄)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CSPC ZHONGQI PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY(SHIJIAZHUANG)CO.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.896,Zhongshan East Road,High-Tech Zone,Shijiazhuang,Hebei,050035,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ,チュアンウー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,イェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジンルー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,リ
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,シュエジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,シュシァン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,チェン
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505596(JP,A)
【文献】国際公開第2015/200680(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
(式中、
Yは、
【化2】
であり、
Xは、
【化3】
から選択され、ここで、R12に結合しているN原子は、ピリミジン環に結合しており、
Xが
【化4】
である場合、環Aは、以下の、置換されてよい、3員~10員ヘテロシクロアルキル、モノスピロヘテロシクリル基、及び縮合ヘテロシクリルからなる群より選択され、ここで、前記モノスピロヘテロシクリル基は、3員/5員環、4員/4員環、4員/5員環、4員/6員環、5員/5員環、及び5員/6員環からなる群より選択され、ここで、各環の環原子の数はスピロ原子の数を含む;かつ、ここで、縮合ヘテロシクリルが、5員/5員環、5員/6員環、及び6員/6員環からなる群より選択され、ここで、各環の環原子の数は、共有原子の数を含む;又は
Xが
【化5】
である場合、環Aは、置換されてよい、C3-7シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、モノスピロシクリル基、ヘテロモノスピロシクリル基、縮合シクリル基及びヘテロ縮合シクリル基から選択され、ここで、前記モノスピロシクリル基及び前記ヘテロモノスピロシクリル基は、3員/5員環、4員/4員環、4員/5員環、4員/6員環、5員/5員環及び5員/6員環から選択され、ここで、各環の環構成原子数はスピロ原子数を含み、かつ、前記縮合シクリル基及び前記ヘテロ縮合シクリル基は、5員/5員環、5員/6員環及び6員/6員環から選択され、ここで、各環の環構成原子数は共有原子数を含み、
、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、水素又はC1-3アルキル基であり、
、R、R、R、及びRは、存在する場合に、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、C1-3アルキル基からなる群より選択され、
nは、0、1,又は2であり、
は、以下の、置換されてよい、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、4~7員ヘテロシクロアルキル基、C6-10アリール基及び5~6員ヘテロアリール基から選択され、
Qは、-ORであり、ここで、Rは、水素、並びに、以下の置換されてよい、C1-6アルキル基、C3-7シクロアルキル基、4~7員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~7員ヘテロアリール基から選択され、
置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルスルホニル基、5~6員ヘテロシクロアルキル基、Cアリール基及び5~6員ヘテロアリール基から選択され、ここで、
前記ヘテロシクロアルキル基、前記ヘテロモノスピロシクリル基、前記ヘテロ縮合シクリル基及び/又は前記ヘテロアリール基が存在する場合、基における環構成ヘテロ原子の数は、それぞれ独立して1~4個であり、前記環構成ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N又はOである)
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項2】
以下の式(II):
【化6】
で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項3】
以下の式(III):
【化7】
で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項4】
Xが
【化8】
である場合、環Aは、置換されてよい、4~7員ヘテロシクロアルキル基又はヘテロモノスピロシクリル基であり、ここで、前記ヘテロモノスピロシクリル基は、3員/5員環、4員/4員環、4員/5員環、4員/6員環、5員/5員環及び5員/6員環から選択され、かつ、ここで、各環の環構成原子数はスピロ原子数を含む、又は
Xが
【化9】
である場合、環Aは、置換されてよい、C5~7シクロアルキル基、4~7員ヘテロシクロアルキル基、モノスピロシクリル基及びモノスピロヘテロシクリル基からなる群より選択され、ここで、前記モノスピロシクリル基及び前記モノスピロヘテロシクリル基は、3員/5員環、4員/4員環、4員/5員環、4員/6員環、5員/5員環及び5員/6員環から選択され、かつ、ここで、各環の環構成原子数はスピロ原子数を含み、置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基及びC1-4アルキル基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項5】
Xが
【化10】
である場合、環Aは、以下の、置換されてよい、4~6員ヘテロシクロアルキル基、4員/4員ヘテロモノスピロシクリル基及び4員/6員ヘテロモノスピロシクリル基から選択され、ここで、各環の環原子の数はスピロ原子の数を含む;又は
又は
Xが
【化11】
である場合、環Aは、以下の、置換されてよい、C5~6シクロアルキル基、4~6員ヘテロシクロアルキル基、4員/4員モノスピロシクリル基、4員/6員モノスピロシクリル基、4員/4員モノスピロヘテロシクリル基及び員/6員モノスピロヘテロシクリル基から選択され、かつ、ここで、各環の環構成原子数はスピロ原子数を含み、置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基及びメチル基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項6】
Xが
【化12】
である場合、環Aは、以下の、置換されてよい、4~6員ヘテロシクロアルキル基、4員/4員ヘテロモノスピロシクリル基、4員/6員ヘテロモノスピロシクリル基からなる群より選択され、かつ環Aにおいて、
【化13】
に結合している原子は窒素原子であり、又は
Xが
【化14】
である場合、環Aは、置換されてよい4員/4員モノスピロシクリル基であり、置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項7】
Xは、以下の、置換されてよい、フラグメント
【化15】
(式中、「*」側のN原子がピリミジン環に結合しており、
置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、F又はClで置換されてよい。)
から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項8】
は、以下の、置換されてよい、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基及びC6-10アリール基から選択され、置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルスルホニル基、及び5~6員ヘテロシクロアルキル基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項9】
は、以下の:
【化16】
から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項10】
、R、R、R、R、R、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、水素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項11】
Qは-ORであり、ここで、Rは、水素及び、置換されてよい、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、及び5~6員ヘテロシクロアルキル基からなる群より選択され、置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基及び5~6員ヘテロアリール基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項12】
Qは、-ORであり、Rは、水素及び、置換されてよい、C1-6アルキル基、C5-7シクロアルキル基からなる群より選択され、置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素原子は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、C3-6シクロアルキル基及び5~6員ヘテロアリール基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項13】
Qは、ヒドロキシ基、メトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基及びピリジン-2-イルメトキシ基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項14】
以下の化合物:
【化17】
【化18】
【化19】
のいずれか1の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を含む医薬組成物。
【請求項16】
PRMT5阻害剤である医薬又はPRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは請求項15に記載の医薬組成物の、使用。
【請求項17】
細胞増殖性疾患を予防及び/又は治療するための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは請求項15に記載の医薬組成物の、使用。
【請求項18】
腫瘍又はがんを予防及び/又は治療するための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは請求項15に記載の医薬組成物の、使用。
【請求項19】
腫瘍又はがんは、肺がん、悪性骨腫瘍、胃がん、膵がん、腺様嚢胞がん、皮膚がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、精巣がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頚がん、膣がん、悪性脳腫瘍、下垂体腺腫、黒色腫、類表皮癌、急性白血病、慢性白血病、及び急性骨髄性白血病からなる群より選択される、請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明は、2020年6月2日に提出された「3,4-ジヒドロイソキノリン系化合物及びその使用」を発明の名称とする202010487966.8号中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は医薬の技術分野に属し、3,4-ジヒドロイソキノリン系化合物、この化合物を含む医薬組成物、及び両者の医薬分野における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ(protein arginine methyltransferases、PRMTs)は、タンパク質アルギニンメチル化反応を触媒できるS-アデノシルメチオニン(SAM又はAdoMet)依存性メチルトランスフェラーゼであり、具体的には、AdoMetに由来するメチル基をヒストン又はその他のタンパク質のアルギニン残基の末端のグアニジノ窒素原子に転移するとの役目を担う。PRMTsは、例えば選択的スプラシイング、転写後調節、RNAプロセシング、細胞増殖、細胞分化、アポトーシス及び腫瘍形成に関与する等、タンパク質のメチル化において重要な役割を果たす。アルギニンのメチル化を触媒する様々な方法により、PRMTファミリーのメンバーは3種類に分類されることができ、PRMT1-4、PRMT6、PRMT8はI型に属し、モノメチル化及び非対称性ジメチル化を触媒するが、PRMT5及びPRMT9はII型に属し、対称性ジメチル化を触媒し、PRMT7はIII型に属し、モノメチル化を触媒する。
【0004】
PRMT5は、Pollackらによる酵母ツーハイブリッド研究でJak2(Janus tyrosine kinase 2)に結合するタンパク質複合体から最初に分離されたため、JBP1(jak-binding protein 1)とも呼ばれる。PRMT5は、遺伝子転写及びタンパク質修飾のプロセスを調節できるのみならず、腫瘍細胞の成長において、細胞増殖、分化、アポトーシスを調節する作用も果たすものであり、極めてポテンシャルのある腫瘍治療の標的である。こでまでのところ、PRMT5阻害剤の研究開発はすべて初期段階にあり、最も進んでいるものはGSK社より発表されたGSK3326595であり、第I/II相臨床試験に入った。Janssenより初めて発表されたJNJ-64619178、Pfizerより発表されたPF-06939999、及びPrelude Therapeuticsより発表されたPRT-543はすべて第I相臨床試験の段階である。現在、PF-06939999及びPRT-543は、構造式がまだ公開されていない。GSK3326595及びJNJ-64619178の構造式は以下のとおりである。
【0005】
【化1】
【0006】
現在、PRMT5阻害剤の販売が未だ承認されていないため、良好な治療効果と良好な投与性を両立させた新規PRMT5阻害剤の設計及び合成は重要な臨床応用価値を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、優れたPRMT5阻害活性、腫瘍細胞阻害活性及び新規構造を有する3,4-ジヒドロイソキノリン系化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、優れたPRMT5阻害活性及び腫瘍細胞阻害活性、より優れたインビボ抗腫瘍活性及び新規構造を有する3,4-ジヒドロイソキノリン系化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、優れたPRMT5阻害活性及び腫瘍細胞阻害活性、より優れたインビボ抗腫瘍活性を有し、より優れた経口投与性を有し、かつ新規構造を有する3,4-ジヒドロイソキノリン系化合物、又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の態様では、本発明は、以下の式(I):
【0011】
【化2】
(式中、
Yは、
【0012】
【化3】
であり、
Xは、
【0013】
【化4】
から選択され、ここで、R12に結合しているN原子は、ピリミジン環に結合しており、
環Aは、置換されてよいC3-10シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、4~12員架橋シクリル基、4~12員ヘテロ架橋シクリル基、モノスピロシクリル基、ヘテロモノスピロシクリル基、縮合シクリル基及びヘテロ縮合シクリル基から選択され、ここで、モノスピロシクリル基及びヘテロモノスピロシクリル基は、3員/5員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員及び5員/6員環から選択され、ここで、各環の環構成原子数はスピロ原子数を含み、縮合シクリル基及びヘテロ縮合シクリル基は、5員/5員、5員/6員及び6員/6員環から選択され、ここで、各環の環構成原子数は共有原子数を含み、
、R、R、R、R、R、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、置換されてよい水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、アジド基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルエステル基、C1-6アルキルアミノ基、C1-6アルキルアミド基、C3-10シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C3-10シクロアルキルアミノ基、3~10員ヘテロシクロアルキルアミノ基、C3-10シクロアルキルアミド基、3~10員ヘテロシクロアルキルアミド基、C6~10アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、ここで、オキソ基は同じ置換部位における2つのHが同じOに置換されて二重結合を形成することを意味し、R及びRの一方がオキソ基である場合、他方が存在せず、R及びRの一方がオキソ基である場合、他方が存在せず、nは、0、1,2、3、4、5又は6であり、
は、置換されてよい水素、ハロゲン、シアノ基、-OR13、-N(R13)R14、-NH-C(O)R13、-NH-OR13、-OC(O)R13、-C1-6アルキレン-N(R13)R14、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、
Qは、置換されてよい水素、ハロゲン、シアノ基、-OR、-N(R)R10、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R)R10、-OC(O)R、-OC(O)N(R)R10、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基、5~10員ヘテロアリール基、4~12員架橋シクリル基、4~12員ヘテロ架橋シクリル基、モノスピロシクリル基、ヘテロモノスピロシクリル基、縮合シクリル基又はヘテロ縮合シクリル基から選択され、ここで、R及びR10は、それぞれ独立して、置換されてよい水素、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、
置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アジド基、オキソ基、カルボキシル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルキルスルホニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、ここで、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルキルスルホニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基又は5~10員ヘテロアリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、オキソ基は同じ置換部位における2つのHが同じOに置換されて二重結合を形成することを意味し、
ヘテロシクロアルキル基、ヘテロ架橋シクリル基、ヘテロモノスピロシクリル基、ヘテロ縮合シクリル基及び/又はヘテロアリール基が存在する場合、基における環構成ヘテロ原子数は、それぞれ独立して1~4個であり、好ましくは1~3個であり、上記環構成ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O及びSから選択される。)
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供する。
【0014】
具体的には、本発明は、以下の化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供する。
【0015】
(S)-6-((1-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-1)、
(S)-6-((1-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-2)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(ヒドロキシイミノ)プロピオニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-3)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-4)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(メトキシイミノ)-4-メチルペンタノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-5)、
(S)-6-((6-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセトアミド)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-6)、
(S)-6-((6-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセトアミド)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-7)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((6-(2-(ヒドロキシイミノ)プロピオニルアミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-8)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((6-(2-(メトキシイミノ)プロピオニルアミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-9)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((2-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-10)、
(S)-6-((2-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-11)、
(S)-6-((2-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-12)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((7-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-13)、
(S)-6-((1-(2-((シクロペンチルオキシ)イミノ)-2-シクロプロピルアセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-14)、
(S)-6-((6-(2-(シクロペンチルオキシ)イミノ)プロピオニルアミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-15)、
(S)-6-((6-(2-((シクロペンチルオキシ)イミノ)-2-シクロプロピルアセトアミド)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-16)、
(S)-6-((1-(2-シクロプロピル-2-((シクロプロピルメトキシ)イミノ)アセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-17)、
(S)-6-((2-(2-シクロプロピル-2-((シクロプロピルメトキシ)イミノ)アセチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-18)、
(S)-6-((1-(2-シクロプロピル-2-((ピリジン-2-イルメトキシ)イミノ)アセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-19)、
(S)-6-((6-(2-シクロプロピル-2-((ピリジン-2-イルメトキシ)イミノ)アセトアミド)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-20)、
6-((1-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)-3,3-ジフルオロピペリジン-4-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-21)、
6-((1-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)-3,3-ジフルオロピペリジン-4-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-22)、
6-((1-(2-((シクロペンチルオキシ)イミノ)-2-シクロプロピルアセチル)-3,3-ジフルオロピペリジン-4-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-23)、
6-((1-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)-3-フルオロピペリジン-4-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-24)、
N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((3-フルオロ-1-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-25)、
6-((1-(2-((シクロプロピルメトキシ)イミノ)プロピオニル)-3-フルオロピペリジン-4-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-26)、
6-((1-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)ピペリジン-3-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-27)、
6-((1-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)ピペリジン-3-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-28)、
N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)ピペリジン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-29)、
6-((1-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)ピロリジン-3-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-30)、
6-((1-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)ピロリジン-3-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-31)、
N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(ヒドロキシイミノ)プロピオニル)ピロリジン-3-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-32)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(ヒドロキシイミノ)-4-メチルペンタノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-33)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((6-(2-(ヒドロキシイミノ)-4-メチルペンタノイルアミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-34)、
6-((1-(2-(4-(シクロプロピルスルホニル)フェニル)-2-(メトキシイミノ)アセチル)-3-フルオロピペリジン-4-イル)アミノ)-N-((S)-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-35)、
(S)-6-((1-(2-(4-(シクロプロピルスルホニル)フェニル)-2-(メトキシイミノ)アセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-36)、
(S)-6-((7-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-37)、
(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((7-(2-(ヒドロキシイミノ)プロピオニル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-38)、
(S)-6-((1-(2-(シクロペンチルオキシ)イミノ)プロピオニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-39)、及び
(S)-6-((7-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-40)。
【0016】
第2の態様では、本発明は、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明のある実施形態では、上記医薬組成物は、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、及び薬学的に許容されるアジュバントを含む。
【0018】
第3の態様では、本発明は、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、医薬の製造における使用を提供する。
【0019】
第4の態様では、本発明は、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、PRMT5阻害剤である医薬の製造における使用を提供する。
【0020】
第5の態様では、本発明は、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患を予防及び/又は治療するための医薬の製造における使用を提供する。
【0021】
本発明のある実施形態では、上記PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患は細胞増殖性疾患であり、好ましくは、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、より好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0022】
第6の態様では、本発明は、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、細胞増殖性疾患を予防及び/又は治療するための医薬の製造における使用を提供する。
【0023】
本発明のある実施形態では、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0024】
第7の態様では、本発明は、PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患の予防及び/又は治療に用いられる、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明のある実施形態では、上記PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患は細胞増殖性疾患であり、好ましくは、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、より好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0026】
第8の態様では、本発明は、細胞増殖性疾患の予防及び/又は治療に用いられる、上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明のある実施形態では、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0028】
第9の態様では、本発明は、予防及び/又は治療に有効量で上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患を予防及び/又は治療するための方法を提供する。
【0029】
本発明のある実施形態では、上記PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患は細胞増殖性疾患であり、好ましくは、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、より好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0030】
第10の態様では、本発明は、予防及び/又は治療に有効量で上記化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、細胞増殖性疾患を予防及び/又は治療するための方法を提供する。
【0031】
本発明のある実施形態では、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0032】
本発明のある実施形態では、上記腫瘍又はがんは、肺がん、悪性骨腫瘍、胃がん、膵がん、腺様嚢胞がん、皮膚がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、精巣がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頚がん、膣がん、悪性脳腫瘍、下垂体腺腫、黒色腫、類表皮癌、慢性及び急性白血病から選択され、好ましくは、上記急性白血病は急性骨髄性白血病(AML)である。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、新規構造を有する化合物を提供する。インビトロ酵素学的実験及び細胞実験結果は、陽性対照薬であるGSK3326595と比較して、本発明の化合物はPRMT5及びMV4-11細胞に対してより優れた阻害活性を有することを示しており、インビボ有効性試験結果は、本発明の化合物は有意な抗腫瘍活性を有し、腫瘍重量及び腫瘍体積に対する抑制効果が陽性対照薬であるGSK3326595よりも有意に優れていることを示している。
【0034】
インビボ薬物動態試験結果は、本発明の化合物は、より優れた経口投与性を有し、吸収が速く、かつよく吸収されることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[用語の定義]
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルキル基」は、1~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の1価飽和脂肪族炭化水素基を指し、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等を含むが、これらに限定されない。例えば、「C1-6アルキル基」とは、炭素鎖に1~6個の炭素原子を有するアルキル基をいう。
【0036】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルキレン基」は、1~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の2価飽和脂肪族炭化水素基を指し、メチレン基、1,2-エチレン基、1,1-エチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、1,1-プロピレン基等を含むが、これらに限定されない。例えば、「C1-6アルキレン基」とは、炭素鎖に1~6個の炭素原子を有するアルキレン基をいう。
【0037】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルコキシ基」は、-O-アルキルを指し、そのアルキル基は上記定義されているとおりであり、好ましくは1~10個の炭素原子を有し、より好ましくは1~6個の炭素原子を有し、メトキシ基、エトキシ基、、プロポキシ基、tert-ブトキシ基、ペントキシ基、1-メチルブトキシ基、2-メチルブトキシ基、3-メチルブトキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、1-エチルプロポキシ基等を含むが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルキルエステル基」は、-OC(O)-アルキル又はアルキル-OC(O)-を指し、「アルカノイルオキシ基」は、-OC(O)-アルキルを指し、そのアルキル基は上記定義されているとおりであり、好ましくは1~10個の炭素原子を有し、より好ましくは1~6個の炭素原子を有し、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基等を含むが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルキルアミノ基」は、-NH-アルキル又は-N(アルキル)を指し、そのアルキル基は上記定義されているとおりであり、好ましくは1~10個の炭素原子を有し、より好ましくは1~6個の炭素原子を有し、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等を含むが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルキルアミド基」は、アルキル-C(O)NH-又はアルキル-NH-C(O)-を指し、「シクロアルキルアミド基」及び「ヘテロシクロアルキルアミド基」はそれぞれ、シクロアルキル-C(O)NH-又はシクロアルキル-NH-C(O)-、及びヘテロシクロアルキル-C(O)NH-又はヘテロシクロアルキル-NH-C(O)-を指し、そのアルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は上記定義されているとおりであり、好ましくは1~10個の炭素原子を有し、より好ましくは1~6個の炭素原子を有し、アセトアミド基、ピバルアミド基等を含むが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルケニル基」又は「鎖状のアルケニル基」は、2~20個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐の1価脂肪族炭化水素基を指し、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等を含むが、これらに限定されない。例えば、「C2-6アルケニル基」とは、炭素鎖に2~6個の炭素原子を有するアルケニル基をいう。
【0042】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アルキニル基」は、2~20個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐の1価脂肪族炭化水素基を指し、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等を含むが、これらに限定されない。例えば、「C2-6アルキニル基」とは、炭素鎖に2~6個の炭素原子を有するアルキニル基をいう。
【0043】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「カルボシクリル基」又は「炭素環」は、3~14個の環状炭素原子を有する飽和又は部分不飽和、単環式又は多環式(例えば、縮合、架橋又はスピロ)脂肪族炭化水素基であって、かつ環構成原子にヘテロ原子を含まないものをいう。例えば、「C3-10カルボシクリル基」とは、炭素環に3~10個の炭素原子を有するカルボシクリル基をいう。例示的なC3-10カルボシクリル基は、シクロプロピル基(C)、シクロプロペニル基(C)、シクロブチル基(C)、シクロブテニル基(C)、シクロペンチル基(C)、シクロペンテニル基(C)、シクロヘキシル基(C)、シクロヘキセニル基(C)、シクロヘキサジエニル基(C)、シクロヘプチル基(C)、シクロヘプテニル基(C)、シクロヘプタジエニル基(C)、シクロヘプタトリエニル基(C)、シクロオクチル基(C)、シクロオクテニル基(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基(C)、ビシクロ[2.2.2]オクチル基(C)、シクロノニル基(C)、シクロノネニル基(C)、シクロデシル基(C10)、シクロデセン基(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C)、デカヒドロナフチル基(C10)、スピロ[4.5]デシル基(C10)等を含むが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「シクロアルキル基」は、特定数の環状炭素原子を有する単環式の飽和脂肪族炭化水素基を指し、好ましくはC3-12シクロアルキル基であり、より好ましくはC3-10シクロアルキル基であり、さらに好ましくはC3-7シクロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C5-7シクロアルキル基又はC4-6シクロアルキル基であり、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、メチルシクロプロピル基、2-エチルシクロペンチル基、ジメチルシクロブチル基等を含むが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「架橋シクリル基」は、特定数の環状炭素原子を有する架橋の飽和脂肪族炭化水素基を指し、好ましくはC4-12架橋シクリル基であり、より好ましくはC4-10架橋シクリル基であり、さらに好ましくはC4-8架橋シクリル基、C4-7架橋シクリル基、C5-8架橋シクリル基又はC5-7架橋シクリル基であり、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基等を含むが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「モノスピロシクリル基」は、特定数の環状炭素原子及び1つのスピロ炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素基を指し、好ましくはC5-10モノスピロシクリル基であり、より好ましくはC5-9モノスピロシクリル基であり、さらに好ましくはC5-8モノスピロシクリル基、C5-7モノスピロシクリル基、C6-8モノスピロシクリル基又はC6-7モノスピロシクリル基であり、スピロ[2.2]ペンチル基、スピロ[2.3]ヘキシル基、スピロ[2.4]ヘプチル基、スピロ[3.3]ヘプチル基、スピロ[3.4]オクチル基、スピロ[3.5]ノニル基、スピロ[4.4]ノニル基、スピロ[4.5]デシル基等を含むが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「縮合シクリル基」は、2つ以上の不飽和又は部分不飽和環を共有辺を介して縮合してなる炭化水素基を指し、例えば5員/5員縮合シクリル基であるペンタレニル(pentalenyl)、5員/6員縮合シクリル基であるインデニル基、6員/6員縮合シクリル基であるナフチル基、6員/6員/6員縮合シクリル基であるアントラセニル基等である。
【0048】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ヘテロシクリル基」又は「複素環」は、3~20個の環構成原子を有する飽和又は部分不飽和の単環式又は多環式(例えば、縮合、架橋又はスピロ)の脂肪族基であって、かつ環構成原子にそれぞれ独立して、N、O及びSから選択される1~4個の環構成ヘテロ原子を含むものをいう。例えば、「3~10員ヘテロシクリル基」とは、環構成原子が3~10であるヘテロシクリル基であり、その環構成ヘテロ原子数が好ましくは1、2又は3個である。例示的なヘテロ原子を1個含む3員ヘテロシクリル基は、アジラニル基(aziranyl)、オキシラニル基(oxiranyl)及びチラニル基(thiranyl)を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を1個含む4員ヘテロシクリル基は、アゼタニル基(azetanyl)、オキセタニル基(oxetanyl)及びチエタニル基(thietanyl)を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を1個含む5員ヘテロシクリル基は、テトラヒドロフラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、ジヒドロチエニル基、ピロリジニル基、ジヒドロピロリル基及び2,5-ジオキソピロリジニル基を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を2個含む5員ヘテロシクリル基は、イミダゾリジニル基、ジオキソラニル基、オキサチオラニル基、ジチオラニル基及び2-オキソオキサゾリジニル基を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を3個含む5員ヘテロシクリル基は、トリアゾリニル基、オキサジアゾリニル基及びチアジアゾリニル基を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を1個含む6員ヘテロシクリル基は、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロピリジル基及びチアニル基(thianyl)を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を2個含む6員ヘテロシクリル基は、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基及びジオキサニル基を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を3個含む6員ヘテロシクリル基は、トリアジナニル基(triazinanyl)、オキサジアジナニル基(oxadiazinanyl)、チアジアジナニル基(thiadiazinanyl)、オキサチアジナニル基(oxathiazinanyl)及びジオキサジナニル基(dioxazinanyl)を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を1個含む7員ヘテロシクリル基は、アゼパニル基、オキセパニル基及びチエパニル基を含むが、これらに限定されない。例示的なヘテロ原子を1個含む8員ヘテロシクリル基は、アザシクロオクチル基、オキサシクロオクチル基及びチアシクロオクチル基を含むが、これらに限定されない。例示的なベンゼン環と5員ヘテロ環とが縮合してなる5,6-二環式ヘテロシクリル基は、インドリニル基、イソインドリニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾチオフェン基、ベンゾオキサゾリノン基等を含むが、これらに限定されない。例示的なベンゼン環と6員ヘテロ環とが縮合してなる6,6-二環式ヘテロシクリル基は、テトラヒドロキノリニル基、テトラヒドロイソキノリニル基等を含むが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書において、特に断りのない限り、「ヘテロシクロアルキル基」は、特定数の環構成原子を有する単環式の飽和脂肪族基を指し、好ましくは環構成原子を3~20個有し、かつ環構成原子にそれぞれ独立して、N、O及びSから選択される環構成ヘテロ原子を1、2、3又は4個(好ましくは1、2又は3個)含むもの、つまり、3~20員ヘテロシクロアルキル基であり、好ましくは3~12員ヘテロシクロアルキル基であり、より好ましくは3~10員ヘテロシクロアルキル基、さらに好ましくは3~8員ヘテロシクロアルキル基、4~7員ヘテロシクロアルキル基、5~10員ヘテロシクロアルキル基又は5~6員ヘテロシクロアルキル基である。上記「ヘテロシクリル基」又は「複素環」には、一部の例示的な「ヘテロシクロアルキル基」が記載されている。
【0050】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ヘテロ架橋シクリル基」は、特定数の環構成原子を有する架橋の飽和脂肪族基を指し、好ましくは環構成原子を4~20個有し、かつ環構成原子にそれぞれ独立して、N、O及びSから選択される環構成ヘテロ原子を1、2、3又は4個(好ましくは1、2又は3個)含むものであり、好ましくは4~12員ヘテロ架橋シクリル基であり、より好ましくは4~10員ヘテロ架橋シクリル基であり、さらに好ましくは4~8員ヘテロ架橋シクリル基、4~7員ヘテロ架橋シクリル基、5~8員ヘテロ架橋シクリル基又は5~7員ヘテロ架橋シクリル基であり、アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル基、オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、オキサビシクロ[2.2.2]オクチル基等を含むが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ヘテロモノスピロシクリル基」は、特定数の環状炭素原子及び1つのスピロ炭素原子を有する飽和脂肪族基を指し、好ましくは環構成原子を5~20個有し、かつ環構成原子にそれぞれ独立して、N、O及びSから選択される環構成ヘテロ原子を1、2、3又は4個(好ましくは1、2又は3個)含むものであり、好ましくは5~10員ヘテロモノスピロシクリル基であり、より好ましくは5~9員ヘテロモノスピロシクリル基であり、さらに好ましくは5~8員ヘテロモノスピロシクリル基、5~7員ヘテロモノスピロシクリル基、6~8員ヘテロモノスピロシクリル基又は6~7員ヘテロモノスピロシクリル基であり、オキサスピロ[2.4]ヘプチル基、アザスピロ[3.3]ヘプチル基、オキサスピロ[3.4]オクチル基、アザスピロ[3.5]ノニル基、ジオキサスピロ[4.4]ノニル基、2,4-ジオキソ-1,3-ジアザスピロ[4.5]デシル基等を含むが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ヘテロ縮合シクリル基」は、2つ以上の不飽和又は部分不飽和環を共有辺を介して縮合してなる基であって、かつ上記環のうちの少なくとも1つが複素環であり、上記複素環がN、O及びSから選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ有する基を指し、例えば5員/5員ヘテロ縮合シクリル基であるジヒドロピロロピロリル基、5員/6員ヘテロ縮合シクリル基であるインドリル基、ピロロピリジル基、6員/6員ヘテロ縮合シクリル基であるキノリニル基、ナフチリジニル基等である。
【0053】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アリール基」又は「芳香環基」は、環構成原子を6~16個、好ましくは6~14個、より好ましくは6~12個、さらに好ましくは6~10個有する単環式又は多環式の芳香族炭化水素基をいう。例えば、「C6-10アリール基」とは、環に6~10個の炭素原子を有するアリール基をいう。例示的なアリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基等を含むが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ヘテロアリール基」又は「ヘテロ芳香環基」は、5~14員構造、好ましくは5~10員構造、より好ましくは5~8員構造、さらに好ましくは5~6員構造を有する単環式又は多環式の芳香族基であって、かつ環状構造にそれぞれ独立して、N、O及びSから選択される環構成ヘテロ原子を1、2、3又は4個(好ましくは1、2又は3個)含むものをいう。例えば、「5~10員ヘテロアリール基」とは、環構成原子を5~10個有するヘテロアリール基をいう。例示的なヘテロアリール基は、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、フタラジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プテリジル基、プリニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾピリジル基、ベンゾピリミジニル基、ベンゾピラジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフタラジニル基、ピロロ[2,3-b]ピリジル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル基、イミダゾ[1,2-b]ピリダジニル基、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジニル基、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジニル基、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジル基等を含むが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIをいう。
【0056】
用語「ハロアルキル基」は、本明細書において定義されているアルキル基が1つ又は複数のハロゲンで置換されたものをいう。例示的なハロアルキル基は、トリクロロメチル(-CCl)、トリフルオロメチル(-CF)、ジクロロメチル(-CHCl)、2,2,2-トリフルオロエチル(-CHCF)、ペンタフルオロエチル(-CFCF)等を含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ヒドロキシ基」は、-OH基をいう。
【0058】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アミノ基」は、-NH基をいう。
【0059】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「カルボキシ基」は、-C(O)OH基をいう。
【0060】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「ニトロ基」は、-NO基をいう。
【0061】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「シアノ基」は、-CN基をいう。
【0062】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「アジド基」は、-N基をいう。
【0063】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「オキソ(=O)」は、同じ置換部位における2つの水素原子が同じ酸素原子に置換されて二重結合を形成することを意味する。
【0064】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「置換されてよい」は、基の置換可能な部位の水素が置換されなくてもよく、1つ又は複数の置換基で置換されてよいことを意味し、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アジド基、オキソ基、カルボキシル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルキルスルホニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、ここで、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルキルスルホニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基又は5~10員ヘテロアリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、オキソ基は同じ置換部位における2つのHが同じ酸素原子に置換されて二重結合を形成することを意味する。
【0065】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「薬学的に許容される塩」とは、信頼できる医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー性反応等がなく、哺乳動物(特にヒト)の組織と接触して使用することに適し、合理的な利益/リスク比に見合った塩をいう。本明細書において、特に断りのない限り、用語「塩」は、無機酸に由来する酸付加塩と有機酸に由来する酸付加塩との両方を含む。化合物が遊離酸であれば、その薬学的に許容される塩は、無機塩基及び有機塩基の両方に由来する塩基付加塩を含む。
【0066】
幾何異性体とは、構造上の立体障碍により自由に回転できない異性体をいう。本化合物において、几何異性体現象が発生する可能性がある。本発明の化合物はE又はZ配置の炭素-炭素二重結合又は炭素-窒素二重結合を含むことができ、ここで、用語「E」は、炭素-炭素又は炭素-窒素二重結合の反対側の優先順位の高い方の置換基を指し、用語「Z」は、炭素-炭素又は炭素-窒素二重結合の同じ側の優先順位の高い方の置換基をいう(カーン・インゴルド・プレローグ順位則に従って決められる。)。本発明の化合物は、「E」異性体と「Z」異性体の混合物の形態で存在することも可能である。シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基の周りの置換基の配置はシス又はトランスとして表わされる。
【0067】
光学異性体とは、分子構造が全く同じ、物理化学的性質が近いが、旋光度が異なる物質をいう。本発明の化合物はR又はS配置において非対称的に置換された炭素原子を含むことができ、用語「R」及び「S」はIUPAC 1974 Recommendations for Section E、Fundamental Stereochemistry、Pure Appl.Chem.(1976)45、13-10において定義されているとおりである。非対称的に置換された炭素原子を有する化合物(同じ数のR及びS配置を有する)は、これらの炭素原子ではラセミ体である。1つの配置の原子が(他方の配置に対して)過剰であると、この配置の数がより多くなり、好ましくは約85%~90%過剰であり、より好ましくは約95%~99%過剰であり、さらに好ましくは約99%超過剰である。したがって、本発明は、ラセミ体混合物、相対光学異性体及び絶対光学異性体、並びに相対光学異性体と絶対光学異性体の混合物を含む。
【0068】
用語「溶媒和物」とは、1つ又は複数の溶媒分子と本発明の化合物から形成される会合体をいう。
【0069】
用語「互変異性体」とは、異なるエネルギーを有する、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能な構造異性体をいう。互変異性が(例えば、溶液で)可能であれば、互変異性体の化学平衡を達成することができる。例えば、プロトン互変異性体(プロトン転移互変異性体とも呼ばれる。)は、例えばケト-エノール異性化及びイミン-エナミン異性化等のプロトン移動による相互変換を含む。原子価互変異性体は、一部の結合電子の再結合による相互変換を含む。特に断りのない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体の形態は本発明の範囲内である。
【0070】
用語「同位体標識誘導体」とは、本発明の化合物は、原子の原子量又は質量数が自然界で発見された最多の原子の原子量又は質量数と異なる1つ又は複数の原子を含み、同位体追跡又はリッチの形態で存在することができることを意味する。同位体は放射性又は非放射性同位体であり得る。例えば水素、炭素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素等の原子の同位体は、H、H、13C、14C、15N、18O、32P、35S、18F、36Cl及び125Iを含むが、これらに限定されない。これら及び/又はその他の原子のその他の同位体を含む化合物は本発明の範囲内である。
【0071】
別の実施形態では、同位体標識化合物は、重水素(H)、トリチウム(H)又は14C同位体を含む。本発明の同位体標識化合物は、当業者に熟知されている一般の方法により製造されることができる。この点について、例えばLizondo、J et al、Drugs Fut、21(11)、1116(1996);Brickner、S J et al、J Med Chem、39(3)、673(1996)、Mallesham、B et al、Org Lett、5(7)、963(2003)等の文献が挙げられる。
【0072】
同位体を含む化合物は、非同位体追跡親化合物の作用機序及び代謝経路を評価することにより、化合物のインビボ代謝結果(Blake et al、J.Pharm.Sci.64、3、367-391(1975))を研究するための医薬研究に利用されている。安全で有効な治療薬の設計において、このような代謝研究は重要である。理由は、患者に投与されたインビボ活性化合物又は親化合物から生成される代謝産物は毒性又は発がん性であることが証明されているからである(Kushner et al、Can.J.Physiol.Pharmacol.、77、79-88(1999);Foster et al、Advances in Drug Research Vol.14、pp.2-36、Academic press、London、1985;Kato et al、J.Labelled Comp. Radiopharmaceut.、36(10):927-932(1995))。
【0073】
また、例えば「重医薬品」と呼ばれる重水素化医薬品等の非放射性活性同位体を含む医薬品は、関連疾患や病症の治療に用いられることができる。上記の化合物に存在する同位体の量が自然存在量以上に増えたことはリッチと呼ばれる。リッチの例には、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、16、21、25、29、33、37、42、46、50、54、58、63、67、71、75、79、84、88、92、96~約100mol%が含まれる。
【0074】
分子構造における任意の可能な部位をすべて同位体で置換し、同位体標識誘導体を得ることができる。例えば、分子における任意の可能な部位を重水素(2H)で置換し、重水素化形態の誘導体を得ることができる。
【0075】
安定同位体で追跡された医薬品は、例えばpKa及び脂溶性等医薬品の物理的化学的性質を変えることができる。同位体による置換は、リガンド-受容体相互作用の領域に影響を与えると、これら効果及び変更は医薬品分子の薬力学的応答に影響を与える可能性がある。安定同位体追跡分子の一部の物理的性質は追跡されていない分子の物理的性質とは異なるが、化学的及び生物学的性質は同じであり、また、重要な違いの1つは、重い同位体の質量が増えると、重い同位体と別の原子との間のいかなる結合は、軽い同位体と当該原子との間の同じ結合よりも強いことにある。したがって、代謝又は酵素触媒変換の部位に同位体を結合することにより、上記反応を潜在的に遅らせることができ、非同位体化合物に比べ、薬物動態特性又は効果を変更することができる。
【0076】
用語「薬学的に許容されるアジュバント」は、ヒト又は家畜での使用が許容されるものとして、米国食品医薬品局、中国国家薬品監督管理局等によって承認された任意の補助剤、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防食剤、染料、着色剤、香味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用される用語「予防」とは、疾患又は病症(例えば、がん)で投与された場合、化合物又は医薬(例えば、本願に係る組合せ製品)が投与されていない被験者と比較して、上記化合物又は医薬は被験者のインビボ医学的病症の頻度を減らすか、発症を遅らせることができることを意味する。
【0078】
本明細書で使用される用語「治療」とは、疾患又は症状の緩和又は改善、潜在的な代謝による症状の改善、疾患又は症状の抑制、例えば、疾患又は症状の進行への抑制、疾患又は症状の軽減、疾患又は症状の消失、疾患又は病症による症状の緩和、又は疾患又は症状の抑制をいう。
【0079】
本明細書で使用される用語「細胞増殖性疾患」とは、その細胞集団の増殖速度が所与の生理学状態及び条件下の予期速度よりも低いか高い病症をいう。
【0080】
用語「腫瘍」は、良性腫瘍、悪性腫瘍及び境界悪性腫瘍を含み、悪性腫瘍はがんと総称される。
【0081】
医化学知識では、本発明の化合物の同位体標識誘導体、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、溶媒和物等はインビトロ、インビボでも本発明の化合物と同じような効果を発揮する。
【0082】
配置又は配座が明示されていない限り、化学構造式は本発明の絶対的な配置又は配座を表すものではない。
【0083】
本明細書において、特に断りのない限り、用語「例示的」は、例、実施例又は説明のためのものを指し、その他の例、実施例又は説明のためのものより優れたものと理解されるべきではない。
【0084】
3,4-ジヒドロイソキノリン系化合物
具体的には、本発明は、以下の式(I):
【0085】
【化5】
(式中、
Yは、
【0086】
【化6】
であり、
Xは、
【0087】
【化7】
から選択され、ここで、R12に結合しているN原子は、ピリミジン環に結合しており、
環Aは、置換されてよいC3-10シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、4~12員架橋シクリル基、4~12員ヘテロ架橋シクリル基、モノスピロシクリル基、ヘテロモノスピロシクリル基、縮合シクリル基及びヘテロ縮合シクリル基から選択され、ここで、モノスピロシクリル基及びヘテロモノスピロシクリル基は、3員/5員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員及び5員/6員環から選択され、ここで、各環の環構成原子数はスピロ原子数を含み、縮合シクリル基及びヘテロ縮合シクリル基は、5員/5員、5員/6員及び6員/6員環から選択され、ここで、各環の環構成原子数は共有原子数を含み、
、R、R、R、R、R、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、置換されてよい水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、アジド基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルエステル基、C1-6アルキルアミノ基、C1-6アルキルアミド基、C3-10シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C3-10シクロアルキルアミノ基、3~10員ヘテロシクロアルキルアミノ基、C3-10シクロアルキルアミド基、3~10員ヘテロシクロアルキルアミド基、C6~10アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、ここで、オキソ基は同じ置換部位における2つのHが同じOに置換されて二重結合を形成することを意味し、R及びRの一方がオキソ基である場合、他方が存在せず、R及びRの一方がオキソ基である場合、他方が存在せず、nは、0、1,2、3、4、5又は6であり、
は、置換されてよい水素、ハロゲン、シアノ基、-OR13、-N(R13)R14、-NH-C(O)R13、-NH-OR13、-OC(O)R13、-C1-6アルキレン-N(R13)R14、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、
Qは、置換されてよい水素、ハロゲン、シアノ基、-OR、-N(R)R10、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R)R10、-OC(O)R、-OC(O)N(R)R10、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基、5~10員ヘテロアリール基、4~12員架橋シクリル基、4~12員ヘテロ架橋シクリル基、モノスピロシクリル基、ヘテロモノスピロシクリル基、縮合シクリル基又はヘテロ縮合シクリル基から選択され、ここで、R及びR10は、それぞれ独立して、置換されてよい水素、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、
置換される場合、前記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、前記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アジド基、オキソ基、カルボキシル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルキルスルホニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、ここで、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルキルスルホニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基又は5~10員ヘテロアリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、オキソ基は同じ置換部位における2つのHが同じOに置換されて二重結合を形成することを意味し、
ヘテロシクロアルキル基、ヘテロ架橋シクリル基、ヘテロモノスピロシクリル基、ヘテロ縮合シクリル基及び/又はヘテロアリール基が存在する場合、基における環構成ヘテロ原子数は、それぞれ独立して1~4個であり、好ましくは1~3個であり、上記環構成ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O及びSから選択される。)
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供する。
【0088】
式(I)で表される化合物は、化合物Sと化合物Tの縮合反応を含む以下の製造方法:
【0089】
【化8】
(式中、Q、X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R及びnは式(I)で定義されているとおりである。)
により製造されることができる。
【0090】
1つの実施形態では、以下の式(II):
【0091】
【化9】
(式中、Y、R、R、R、R、R、R、R及びnは式(I)で定義されているとおりである。)
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供する。
【0092】
1つの実施形態では、式(I)又は式(II)で表される化合物におけるY基において、Qに結合している炭素-窒素二重結合の配置がZ型である。別の実施形態では、当該炭素-窒素二重結合の配置がE型である。別の実施形態では、式(I)又は式(II)で表される化合物は任意の割合でのE型とZ型の混合物である。
【0093】
1つの実施形態では、以下の式(III):
【0094】
【化10】
(式中、X、Q、R、R、R、R、R、R、R、R及びnは式(I)で定義されているとおりである。)
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供する。
【0095】
1つの実施形態では、式(III)で表される化合物では、Qに結合している炭素-窒素二重結合の配置がZ型である。別の実施形態では、当該炭素-窒素二重結合の配置がE型である。別の実施形態では、式(III)で表される化合物は任意の割合でのE型とZ型の混合物である。
【0096】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、環Aは、置換されてよいC5~7シクロアルキル基、4~7員ヘテロシクロアルキル基、4~10員架橋シクリル基、4~10員ヘテロ架橋シクリル基、モノスピロシクリル基及びヘテロモノスピロシクリル基から選択され、ここで、モノスピロシクリル基及びヘテロモノスピロシクリル基は、3員/5員、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員及び5員/6員環から選択され、ここで、各環の環構成原子数はスピロ原子数を含み、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アジド基、オキソ基、カルボキシル基、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ基から選択され、ここで、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、オキソ基は同じ置換部位における2つのHが同じOに置換されて二重結合を形成することを意味する。
【0097】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、環Aは、置換されてよいC5-6シクロアルキル基、4~6員ヘテロシクロアルキル基、4員/4員モノスピロシクリル基、4員/6員モノスピロシクリル基、4員/4員ヘテロモノスピロシクリル基及び4員/6員ヘテロモノスピロシクリル基から選択され、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されてよい。
【0098】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Xは、
【0099】
【化11】
であり、式中、環Aは、置換されてよい4~6員ヘテロシクロアルキル基、4員/4員ヘテロモノスピロシクリル基及び4員/6員ヘテロモノスピロシクリル基から選択され、かつ環Aにおいて、
【0100】
【化12】
に結合している原子はヘテロ原子であり、好ましくは窒素原子であり、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されてよい。
【0101】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Xは、
【0102】
【化13】
であり、式中、環Aは、置換されてよい4~6員ヘテロシクロアルキル基、4員/4員ヘテロモノスピロシクリル基及び4員/6員ヘテロモノスピロシクリル基から選択され、かつ環Aにおいて、
【0103】
【化14】
に結合している原子はヘテロ原子であり、好ましくは窒素原子であり、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン及びヒドロキシ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、好ましくは、上記置換基は、それぞれ独立して、F、Cl、-CH、-OH、-OCHから選択される。
【0104】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Xは、
【0105】
【化15】
であり、環Aは、置換されてよいC5-6シクロアルキル基、4員/4員モノスピロシクリル基又は4員/6員モノスピロシクリル基から選択され、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、好ましくは、上記置換基は、それぞれ独立して、F、Cl、-CH、-OH、-OCHから選択される。
【0106】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Xは、
【0107】
【化16】
であり、環Aは、置換されてよい4員/4員モノスピロシクリル基から選択され、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されてよい。
【0108】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Xは、
【0109】
【化17】
であり、環Aは、置換されてよい4員/4員モノスピロシクリル基から選択され、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン及びヒドロキシ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、好ましくは、上記置換基は、それぞれ独立して、F、Cl、-CH、-OH、-OCHから選択される。
【0110】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Xは、置換されてよい以下のフラグメント:
【0111】
【化18】
(式中、「*」側のN原子がピリミジン環に結合しており、
置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、好ましくは、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択され、ここで、C1-4アルキル基又はC1-4アルコキシ基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、好ましくは、置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1個、2個又は3個の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、-F、-Cl、-CH及び-OHから選択される。)
から選択される。
【0112】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Xは、以下のフラグメント:
【0113】
【化19】
から選択される。
好ましくは、Xは、以下のフラグメント:
【0114】
【化20】
から選択される。
【0115】
さらに好ましくは、Xは、以下のフラグメント:
【0116】
【化21】
(式中、「*」側のN原子がピリミジン環に結合している。)
から選択される。
【0117】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、R、R、R、R、R、R、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、オキソ基、C1-6アルキル基及びC1-6アルコキシ基から選択され、好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びC1-6アルキル基から選択され、より好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基及びC1~3アルキル基から選択され、より好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R11及びR12は、存在する場合に、それぞれ独立して、水素から選択される。
【0118】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Rは、置換されてよい水素、-N(R13)R14、-C1-6アルキレン-N(R13)R14、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基及びC6-14アリール基から選択され、ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素及びC1-6アルキル基から選択され、好ましくは、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Rは、置換されてよい水素、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基及びC6-14アリール基から選択され、より好ましくは、Rは、置換されてよいC1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基及びC6-14アリール基から選択され、より好ましくは、Rは、置換されてよいC1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基及びC6~10アリール基から選択され、より好ましくは、Rは、置換されてよいC1~3アルキル基、C3-6シクロアルキル基及びC6-9アリール基から選択され、
置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルキルスルホニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、好ましくは、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、C3-10シクロアルキル基及びC3-10シクロアルキルスルホニル基から選択され、より好ましくは、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン及びC3-10シクロアルキルスルホニル基から選択される。
【0119】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Rは、-H、
【0120】
【化22】
から選択され、好ましくは、Rは、
【0121】
【化23】
から選択される。
【0122】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Qは、置換されてよい水素、-OR、-N(R)R10、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)R、C1-6アルキル基、C3-7シクロアルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、5~7員ヘテロシクロアルキル基、C6~10アリール基及び5~7員ヘテロアリール基から選択され、ここで、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロアリール基におけるヘテロ原子は、O原子又はN原子であり、ヘテロ原子数が1個であり、ここで、R及びR10は、それぞれ独立して、置換されてよい水素、C1-6アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、
置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基及び5~7員ヘテロアリール基から選択され、ここで、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基又は5~7員ヘテロアリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されてよい。
【0123】
1つの実施形態では、上記式(I)、(II)又は(III)で表される構造では、Qは、置換されてよい-OR、C1-6アルキル基及びC3-7シクロアルキル基から選択され、ここで、Rは、置換されてよい水素、C1-6アルキル基、C5-7シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、好ましくは、Rは、置換されてよい水素、C1-6アルキル基及びC5-7シクロアルキル基から選択され、
置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基及び5~7員ヘテロアリール基から選択され、ここで、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基又は5~7員ヘテロアリール基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基から選択される1つ又は複数の置換基で置換されてよい。
【0124】
1つの実施形態では、式(I)、(II)又は(III)におけるQは、-ORであり、Rは、置換されてよい水素、C1-6アルキル基、C5-7シクロアルキル基、3~10員ヘテロシクロアルキル基、C6-14アリール基及び5~10員ヘテロアリール基から選択され、好ましくは、Rは、置換されてよい水素、C1-6アルキル基及びC5-7シクロアルキル基から選択され、
置換される場合、上記基の置換可能な部位の水素は、1つ又は複数の置換基で置換され、上記置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C3-7シクロアルキル基及び5~7員ヘテロアリール基から選択され、好ましくは、上記置換基は、それぞれ独立して、C3-7シクロアルキル基及び5~7員ヘテロアリール基から選択される。
【0125】
1つの実施形態では、式(I)、(II)又は(III)におけるQは、ヒドロキシ基、メトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロプロピルメトキシ基及びピリジン-2-イルメトキシ基から選択される。
【0126】
1つの実施形態では、本発明は、下記の構造:
【0127】
【化24】
【0128】
【化25】
【0129】
【化26】
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を提供する。
【0130】
化合物を含む医薬組成物
1つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体を含む。
【0131】
1つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、及び1種又は複数種の薬学的に許容されるアジュバントを含む。
【0132】
化合物の医薬用途
1つの実施形態では、本発明は、上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、医薬の製造における使用を提供する。
【0133】
1つの実施形態では、本発明は、上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、PRMT5阻害剤である医薬の製造における使用を提供する。
【0134】
1つの実施形態では、本発明は、上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患を予防及び/又は治療するための医薬の製造における使用を提供する。
【0135】
本発明のある実施形態では、上記PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患は細胞増殖性疾患であり、好ましくは、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、より好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0136】
1つの実施形態では、本発明は、上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物の、細胞増殖性疾患を予防及び/又は治療するための医薬の製造における使用を提供する。
【0137】
本発明のある実施形態では、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0138】
1つの実施形態では、本発明は、PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患の予防及び/又は治療に用いられる、上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を提供する。
【0139】
本発明のある実施形態では、上記PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患は細胞増殖性疾患であり、好ましくは、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、より好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0140】
1つの実施形態では、本発明は、細胞増殖性疾患の予防及び/又は治療に用いられる、上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を提供する。
【0141】
本発明のある実施形態では、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0142】
1つの実施形態では、本発明は、予防及び/又は治療に有効量で上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患を予防及び/又は治療するための方法を提供する。
【0143】
本発明のある実施形態では、上記PRMT5が少なくとも部分的に介在する疾患は細胞増殖性疾患であり、好ましくは、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、より好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0144】
1つの実施形態では、本発明は、予防及び/又は治療に有効量で上記化合物(例えば、上記に記載されている式(I)、(II)又は(III)で表される化合物又はその具体的な化合物)又はその薬学的に許容される塩、互変異性体、幾何異性体、光学異性体、溶媒和物若しくは同位体標識誘導体、あるいは上記医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、細胞増殖性疾患を予防及び/又は治療するための方法を提供する。
【0145】
本発明のある実施形態では、上記細胞増殖性疾患は腫瘍又はがんであり、好ましくは、上記腫瘍又はがんは血液腫瘍又は固形腫瘍であり、さらに好ましくは血液悪性腫瘍又は進行性固形腫瘍である。
【0146】
1つの実施形態では、上記腫瘍又はがんは、肺がん、悪性骨腫瘍、胃がん、膵がん、腺様嚢胞がん、皮膚がん、頭頸部がん、子宮がん、卵巣がん、精巣がん、卵管がん、子宮内膜がん、子宮頚がん、膣がん、悪性脳腫瘍、下垂体腺腫、黒色腫、類表皮癌、慢性及び急性白血病から選択され、好ましくは、上記急性白血病は急性骨髄性白血病(AML)である。
【0147】
化合物の製造
式(I)で表される化合物は、化合物Sと化合物Tの縮合反応を含む以下の製造方法:
【0148】
【化27】
(式中、Q、X、Y、R、R、R、R、R、R、R、R及びnは式(I)で定義されているとおりである。)
により製造されることができる。
【0149】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに説明する。これら実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲はこれらに限定されないことを理解されるべきである。下記の実施例では、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、一般的な条件又はメーカーに推奨される条件を採用する。本明細書において、別途定義されていない限り、これら実施例で用いられるすべての専門用語及び技術用語は当業者に知られているものと同じ意味である。さらに、本明細書と類似する又は均等な方法及び材料はすべて本発明に用いられることができる。本明細書に記載されているより好ましい実施方法及び材料は例示的なものに過ぎない。
【0150】
以下の実施の形態に用いられる原料、反応試薬、触媒又は溶媒はすべて市販品から購入し、又は従来一般の方法により製造して得られるものである。
【0151】
製造実施例、実施例及び本明細書のその他の部分に記載されている略語は下表に示すとおりである。
【0152】
【表1】
【0153】
製造例
以下の製造例で本発明の具体的な化合物の重要な中間体の製造方法を記載する。
【0154】
製造例1:(S)-6-((6-アミノスピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(T-1)の製造
【0155】
【化28】
【0156】
工程1:(S)-6-クロロ-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【0157】
【化29】
100mLの反応フラスコで、6-クロロ-ピリミジン-4-カルボニルクロリド(0.63g、3.56mmol)をDCM(10mL)に溶解させ、0℃でTEA(0.72g、7.12mmol)を加えた。次に、(S)-1-アミノ-3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)プロパン-2-オール(0.66g、3.20mmol)を加えた。反応液を25℃で2h撹拌した。TLCにて反応が終了したと示され、反応液をHO(5mL)で希釈し、DCM(15mL×2)で抽出した。飽和食塩水(10mL)で合併された有機層を洗浄し、NaSOで乾燥、ろ過、減圧濃縮し、残留物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=10:1、v/v、以下同様)によって精製し、目的化合物(0.68g、61.28%)を黄色の油状物として得た。
【0158】
工程2:(S)-(6-((6-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)カルバモイル)ピリミジン-4-イル)アミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル
【0159】
【化30】
(S)-6-クロロ-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(0.34g、0.97mmol)をイソプロパノール(20mL)に溶解させ、TEA(0.25g、2.47mmol)及び(6-アミノスピロ[3.3]ヘプト-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(0.27g、1.2mmol)をこの順に加え、反応液を85℃まで昇温させ、8h反応させた。TLCにて反応が終了したと示された後、反応液を減圧下で濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1)によって分離し、目的化合物(0.43g、82.60%)を得た。
【0160】
工程3:(S)-6-((6-アミノスピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(T-1)の製造
【0161】
【化31】
(S)-(6-((6-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)カルバモイル)ピリミジン-4-イル)アミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)カルバミン酸tert-ブチル(0.38g、0.71mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温で1h反応させた。減圧下で濃縮乾固し、目的化合物(0.20g、64.52%)を得た。
【0162】
MS:m/z 437.41 [M+H]
【0163】
製造例2:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(T-2)の製造
【0164】
【化32】
合成方法は、(6-アミノスピロ[3.3]ヘプト-2-イル)カルバミン酸tert-ブチルの代わりに、4-アミノピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.24g、1.2mmol)を用いた以外は製造例1と同じであり、目的化合物(0.25g、85.77%)を得た。
【0165】
MS:m/z 411.54 [M+H]
【0166】
製造例3:(S)-6-((7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(T-3)の製造
【0167】
【化33】
合成方法は、4-アミノピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの代わりに、2-アミノ-7-tert-ブトキシカルボニル-7-アザスピロ[3.5]ノナン(0.29g、1.2mmol)を用いた以外は製造例1と同じであり、目的化合物(0.30g、93.77%)を得た。
【0168】
MS:m/z 451.46 [M+H]
【0169】
製造例4:(S)-6-((2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(T-4)の製造
【0170】
【化34】
合成方法は、4-アミノピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(0.25g、1.2mmol)の代わりに、6-アミノ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボン酸tert-ブチルを用いた以外は製造例1と同じであり、目的化合物(0.26g、86.67%)を得た。
【0171】
MS:m/z 423.38 [M+H]
【0172】
製造例5~8
製造例1のプロセス工程を参考にし、以下の出発原料を(S)-6-クロロ-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミドと反応させ、中間体T-5~T-8を製造した。
【0173】
【表2】
【0174】
製造例9:2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)酢酸(S-1)の製造
【0175】
【化35】
2-シクロプロピル-2-オキソ酢酸(1.14g、10.00mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(20mL)と水(100mL)の混合溶媒に溶解させ、KOH(0.62g、11.00mmol、1.1eq)を加え、透明になるまで撹拌し、次に氷浴条件下で、塩酸ヒドロキシルアミン(1.39g、20.00mmol、2.0eq)を数回で加え、2h反応させ、ろ過し、目的化合物(1.00g、77.45%)を得た。
【0176】
HNMR(600 MHz,DO):δ 0.842-0.962(m,4H)、1.970-2.066(m,1H)。
【0177】
製造例10:2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)酢酸(S-2)の製造
【0178】
【化36】
合成方法は、塩酸ヒドロキシルアミンの代わりに、メトキシアミン塩酸塩(1.67g、20.00mmol)を用いた以外は製造例9と同じであり、目的化合物(1.00g、70.00%)を得た。
【0179】
HNMR(600 MHz,DO):δ 0.842-0.9617(m,4H)、1.970-2.066(m,1H)、3.951(s,3H)。
【0180】
製造例11:2-(ヒドロキシイミノ)プロピオン酸(S-3)の製造
【0181】
【化37】
合成方法は、2-シクロプロピル-2-オキソ酢酸の代わりに、2-オキソプロピオン酸(0.88g、10.00mmol)を用いた以外は製造例9と同じであり、目的化合物(0.75g、72.81%)を得た。
【0182】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 1.887(s,3H)、12.073(s,1H)、12.630(s,1H)。
【0183】
製造例12:2-(メトキシイミノ)プロピオン酸(S-4)の製造
【0184】
【化38】
合成方法は、2-シクロプロピル-2-オキソ酢酸及び塩酸ヒドロキシルアミンの代わりに、それぞれ2-オキソプロピオン酸(0.88g、10.00mmol)及びメトキシアミン塩酸塩(1.67g、20.00mmol)を用いた以外は製造例9と同じであり、目的化合物(0.91g、77.78%)を得た。
【0185】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 1.920(s,3H)、3.953(s,3H)、12.985(s,1H)。
【0186】
製造例13:2-(メトキシイミノ)-4-メチル吉草酸(S-5)の製造
【0187】
【化39】
合成方法は、2-シクロプロピル-2-オキソ酢酸及び塩酸ヒドロキシルアミンの代わりに、それぞれ4-メチル-2-オキソ吉草酸(1.30g、10.00mmol)及びメトキシアミン塩酸塩(1.67g、20.00mmol)を用いた以外は製造例9と同じであり、目的化合物(1.20g、75.39%)を得た。
【0188】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.846-0.857(m,6H)、1.883-1.929(m,1H)、2.364-2.376(m,2H)、3.926(s,3H)、12.899(s,1H)。
【0189】
製造例14~20
製造例9のプロセス工程を参考にし、以下の出発原料及び製造方法を用いて中間体S-6~S-12を製造した。
【0190】
【表3】
【0191】
実施例
以下の実施例では、出発物質又は上記の製造例で製造された重要な中間体を用いる本発明の具体的な化合物の製造方法を記載する。
【0192】
実施例1:(S)-6-((1-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-1)の製造
【0193】
【化40】
中間体T-2(0.25g、0.610mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、TEA(3mL、pH>10であればよい。)、中間体S-1(0.094g、0.730mmol)及びHATU(0.30g、0.789mmol)をこの順に加え、室温2h反応させた。TLCにて反応が終了したと示された後、水及び酢酸エチルを加え、分液を行った。有機相をそれぞれ水、飽和食塩水で1回洗浄した後に、濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=30:1)によって分離し、目的化合物(0.1g、31.47%)を得た。
【0194】
MS:m/z 522.57 [M+H]
【0195】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.653-0.658(d,2H)、0.865-0.882(d,2H)、1.233-1.352(m,2H)、1.910-1.926(m,2H)、2.236-2.273(m,1H)、2.522(m,2H)、2.712-2.835(m,4H)、2.901-2.940(m,1H)、3.175-3.195(m,1H)、3.330(m,1H)、3.410-3.431(m,1H)、3.638-3.724(m,3H)、3.899(m,1H)、4.157-4.178(m,2H)、4.992(s,1H)、7.011~7.114(m,5H)、7.776-7.787(d,1H)、8.298(s,1H)、8.754(s,1H)、11.074(s,1H)。
【0196】
実施例2:(S)-6-((1-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-2)の製造
【0197】
【化41】
合成方法は、中間体S-1の代わりに、中間体S-2(0.104g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.30g、91.96%)を得た。
【0198】
MS:m/z 536.61 [M+H]
【0199】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.684-0.701(d,2H)、0.917-0.931(d,2H)、1.231-1.354(m,2H)、1.928(s,2H)、2.185-2.213(m,1H)、2.522(m,2H)、2.688-2.745(m,2H)、2.829(s,2H)、2.929(m,1H)、3.218-3.236(m,1H)、3.298(m,1H)、3.409-3.418(m,1H)、3.608-3.723(m,3H)、3.824(s,3H)、3.887-3.894(m,1H)、4.148-4.165(m,2H)、4.969(s,1H)、7.008-7.1114(m,5H)、7.779-7.790(d,1H)、8.754(s,1H)、8.763(s,1H)。
【0200】
実施例3:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(ヒドロキシイミノ)プロピオニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-3)の製造
【0201】
【化42】
合成方法は、中間体S-1の代わりに、中間体S-3(0.075g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.20g、66.29%)を得た。
【0202】
MS:m/z 496.34 [M+H]
【0203】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 1.435(m,2H)、1.942-1.966(m,6H)、2.686-2.695(m,1H)、2.735-2.754(m,1H)、2.816-2.835(m,2H)、2.941-2.981(m,1H)、3.196-3.235(m,1H)、3.302(m,2H)、3.408-3.429(m,1H)、3.572-3.643(m,2H)、3.880-3.898(m,2H)、4.146(m,1H)、4.215-4.235(m,1H)、4.976(s,1H)、7.005-7.109(m,5H)、7.779-7.791(d,1H)、8.289(s,1H)、8.748-8.767(t,1H)、11.326(s,1H)。
【0204】
実施例4:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-4)の製造
【0205】
【化43】
合成方法は、中間体S-1の代わりに、中間体S-4(0.085g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.22g、70.75%)を得た。
【0206】
MS:m/z 510.34 [M+H]
【0207】
HNMR(600 MHz、CDOD):δ 1.459-1.533(m,2H)、1.996(s,3H)、2.036-2.063(m,2H)、2.645-2.655(m,2H)、2.814-2.848(m,2H)、2.907-2.926(m,2H)、3.014(m,1H)、3.261~3.303(m,1H)、3.466-3.550(m,2H)、3.710(s,2H)、3.909(s,3H)、4.018-4.074(m,2H)、4.210(s,1H)、4.399-4.420(d,1H)、6.987-7.108(m,5H)、8.238(s,1H)。
【0208】
実施例5:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((1-(2-(メトキシイミノ)-4-メチルペンタノイル)ピペリジン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-5)の製造
【0209】
【化44】
合成方法は、中間体S-1の代わりに、中間体S-5(0.116g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.17g、50.59%)を得た。
【0210】
MS:m/z 552.67 [M+H]
【0211】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.912(m,6H)、1.324-1.465(m,2H)、1.829-1.863(m,1H)、1.957(m,2H)、2.389-2.401(d,2H)、2.683-2.768(m,3H)、2.826-2.835(m,2H)、2.962-3.000(t,1H)、3.3250-3.298(m,2H)、3.423-3.444(m,2H)、3.589-3.657(m,2H)、3.836(s,3H)、3.902-3.969(m,2H)、4.198(s,1H)、4.252-4.271(m,1H)、4.984(s,1H)、7.013-7.117(m,5H)、7.797-7.805(d,1H)、8.302(s,1H)、8.759-8.768(t,1H)。
【0212】
実施例6:(S)-6-((6-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセトアミド)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-6)の製造
【0213】
【化45】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-1(0.27g、0.610mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.21g、62.86%)を得た。
【0214】
MS:m/z 548.48 [M+H]
【0215】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.763-0.782(m,2H)、1.012-1.020(m,2H)、1.860-1.987(m,2H)、2.006-2.053(m,3H)、2.116-2.155(m,2H)、2.272-2.332(m,2H)、2.445(m,1H)、2.685-2.824(m,4H)、3.283-3.292(m,1H)、3.409(br. s,1H)、3.599-3.617(m,2H)、3.879-3.887(m,1H)、4.022-4.082(m,2H)、4.310(m,1H)、4.961(s,1H)、6.991~7.108(m,5H)、7.960-7.971(d,1H)、8.177-8.190(d,1H)、8.266(s,1H)、8.732(s,1H)、11.206(s,1H)。
【0216】
実施例7:(S)-6-((6-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセトアミド)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-7)の製造
【0217】
【化46】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-1(0.27g、0.610mmol)を用い、中間体S-1の代わりに、中間体S-2(0.104g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.23g、67.12%)を得た。
【0218】
MS:m/z 562.68 [M+H]
【0219】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.817-0.843(m,2H)、0.969-0.994(m,2H)、1.979-1.997(m,2H)、2.012-2.086(m,3H)、2.116-2.160(m,2H)、2.271-2.351(m,2H)、2.464(m,1H)、2.681-2.833(m,4H)、3.283-3.292(m,1H)、3.410(br. s,1H)、3.603-3.621(m,2H)、3.860-3.889(m,4H)、4.021-4.069(m,2H)、4.311(m,1H)、4.966(s,1H)、6.994~7.108(m,5H)、7.962-7.973(d,1H)、8.268(s,1H)、8.367-8.379(d,1H)、8.735(s,1H)。
【0220】
実施例8:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((6-(2-(ヒドロキシイミノ)プロピオニルアミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-8)の製造
【0221】
【化47】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-1(0.27g、0.610mmol)を用い、中間体S-1の代わりに、中間体S-3(0.075g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.15g、47.14%)を得た。
【0222】
MS:m/z 522.43 [M+H]
【0223】
HNMR(600 MHz、CDOD):δ 1.940-2.115(m,7H)、2.305-2.312(m,1H)、2.396(m,1H)、2.500(m,1H)、2.578(m,1H)、2.661-2.671(d,2H)、2.849-2.924(m,4H)、3.484-3.525(m,2H)、3.732(s,2H)、4.050-4.079(m,1H)、4.245-4.272(m,1H)、4.357(s,1H)、6.994~7.107(m,5H)、8.208(s,1H)。
【0224】
実施例9:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((6-(2-(メトキシイミノ)プロピオニルアミノ)スピロ[3.3]ヘプト-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-9)の製造
【0225】
【化48】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-1(0.27g、0.610mmol)を用い、中間体S-1の代わりに、中間体S-4(0.085g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.20g、61.26%)を得た。
【0226】
MS:m/z 536.17 [M+H]
【0227】
HNMR(600 MHz、CDOD):δ 1.935-2.167(m,7H)、2.289-2.328(m,1H)、2.412(m,1H)、2.506(m,1H)、2.591(m,1H)、2.728-2.743(d,2H)、2.947-2.958(m,4H)、3.468-3.550(m,2H)、3.841(s,2H)、3.990-4.098(s,3H)、4.107-4.117(m,1H)、4.255-4.282(m,1H)、4.367(s,1H)、7.020-7.133(m,5H)、8.234(s,1H)。
【0228】
実施例10:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((2-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-10)の製造
【0229】
【化49】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-4(0.26g、0.610mmol)を用い、中間体S-1の代わりに、中間体S-4(0.085g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.13g、40.86%)を得た。
【0230】
MS:m/z 522.74 [M+H]
【0231】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 1.879(s,3H)、2.104(m,2H)、2.513-2.690(m,3H)、2.740-2.749(m,1H)、2.820-2.838(m,2H)、3.283-3.292(m,1H)、3.425-3.434(m,1H)、3.604-3.648(m,2H)、3.907-3.933(m,6H)、4.021-4.059(m,2H)、4.281-4.308(m,2H)、4.408(m,1H)、4.989(s,1H)、7.001~7.113(m,5H)、8.013-8.037(t,1H)、8.280-8.282(d,1H)、8.763-8.781(t,1H)。
【0232】
実施例11:(S)-6-((2-(2-シクロプロピル-2-(ヒドロキシイミノ)アセチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-11)の製造
【0233】
【化50】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-4(0.26g、0.610mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.09g、28.52%)を得た。
【0234】
MS:m/z 534.64 [M+H]
【0235】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.779-0.804(d,2H)、0.979-0.992(d,2H)、2.088-2.167(m,3H)、2.513-2.690(m,3H)、2.740-2.753(m,1H)、2.822-2.841(m,2H)、3.283-3.292(m,2H)、3.425-3.434(m,1H)、3.607-3.627(m,2H)、3.853-3.969(m,4H)、4.111(m,1H)、4.226(m,1H)、4.308(m,1H)、4.987(s,1H)、7.012-7.117(m,5H)、8.007-8.018(t,1H)、8.282(d,1H)、8.762(s,1H)、11.326(s,1H)。
【0236】
実施例12:(S)-6-((2-(2-シクロプロピル-2-(メトキシイミノ)アセチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプト-6-イル)アミノ)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-12)の製造
【0237】
【化51】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-4(0.26g、0.610mmol)を用い、中間体S-1の代わりに、中間体S-2(0.104g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.14g、41.90%)を得た。
【0238】
MS:m/z 548.24 [M+H]
【0239】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 0.838-0.852(d,2H)、0.999(d,2H)、1.241(m,1H)、2.089-2.099(m,3H)、2.513-2.589(m,3H)、2.715-2.769(m,2H)、2.841(m,2H)、3.283-3.292(m,1H)、3.418-3.438(m,1H)、3.643(m,2H)、3.855-3.902(m,5H)、3.989(m,1H)、4.151(s,1H)、4.274-4.301(m,2H)、4.997(s,1H)、7.020-7.111(m,5H)、8.010-8.019(t,1H)、8.291(d,1H)、8.764(s,1H)。
【0240】
実施例13:(S)-N-(3-(3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-2-ヒドロキシプロピル)-6-((7-(2-(メトキシイミノ)プロピオニル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-カルボキサミド(PR-13)の製造
【0241】
【化52】
合成方法は、中間体T-2の代わりに、中間体T-3(0.27g、0.610mmol)を用い、中間体S-1の代わりに、中間体S-4(0.085g、0.730mmol)を用いた以外は実施例1と同じであり、目的化合物(0.21g、62.68%)を得た。
【0242】
MS:m/z 550.24 [M+H]
【0243】
HNMR(600 MHz,DMSO-d):δ 1.547(m,2H)、1.614(m,2H)、1.723(m,2H)、1.918-1.929(d,3H)、2.313-2.326(m,2H)、2.511-2.549(m,1H)、2.684-2.769(m,2H)、2.826-2.844(m,2H)、3.283-3.292(m,2H)、3.418-3.503(m,4H)、3.616-3.634(m,2H)、3.833-3.849(m,3H)、3.897-3.905(m,1H)、4.427(m,1H)、4.986(s,1H)、5.761(s,1H)、7.012-7.117(m,5H)、8.036-8.057(t,1H)、8.286(s,1H)、8.759(s,1H)。
【0244】
実施例14~40
実施例1の方法に従って、対応する反応物質を選択し、それぞれ化合物PR-14~PR-40を合成し、その構造式及び特徴データはそれぞれ以下のとおりである。
【0245】
【表4】
【0246】
試験例1:インビトロ有効性試験
【0247】
1.細胞実験方法
実験用ヒト急性単球性白血病細胞MV4-11(上海細胞バンク)培養に必要な完全培地はIMDM(Cat NO. 12440-053、gibco)に10%血清FBS(Cat NO. SA311.02、cellmax)を添加したものである。細胞を37℃で、5% COインキュベーターで培養した。実験用試薬には、ジメチルスルホキシド(天津市科密欧化学試薬有限公司)、MTT(THIAZOLYL BLUE TETRAZOLIUM BROMIDE、CAS. NO. 298-93-1、VWR)が含まれる。試験用対照物GSK3326595は自ら製造するか市販品から購入する。被験物質を密封し、4℃で保存した。
【0248】
ジメチルスルホキシドを溶媒として、被験物質を十分に溶解させ、濃度が5×10-2mol/Lであるストック液とし、ストック液を-20℃で保存した。完全培地を希釈液として、被験物質を異なる濃度に段階希釈した。96ウェル培養プレートに、ヒト急性単球性白血病細胞MV4-11の完全培地懸濁液を100μL/ウェル(2×10細胞数/ウェル)加え、その後、対応する異なる濃度の被験物質(100μL/ウェル)をそれぞれ加え、各被験物質を8段階の濃度とし、各濃度に3つのダブルウェル試験を設置し、37℃で、5% COインキュベーターで培養した。6日目に、MTT(20μL/ウェル)を加え、37℃で、5% COインキュベーターで4h培養し、上澄み液を捨て、ジメチルスルホキシド(150μL/ウェル)を加え、均一になるまで振動し、マイクロプレートリーダーを用いて波長550nmでOD値を検出した。被験物質を含まず、細胞懸濁液のみ加えたウェルをコントロールウェルとし、完全培地のみ加えたウェルをブランクウェルとした。下記の式により、細胞増殖阻害率を計算した。
【0249】
阻害率=(OD値コントロールウェル-OD値投与ウェル)/(OD値コントロールウェル-OD値ブランクウェル)×100%
各濃度の阻害率から、SPSSソフトウェアにより半数阻害濃度IC50を計算し、結果を表2に示す。
【0250】
2.酵素学的実験方法
放射性同位体FlashPlate技術を利用し、PRMT5で被験物質のIC50を検出した。
【0251】
被験化合物をそれぞれジメチルスルホキシドで溶解させた後、Echo384ウェルに加えて所望の濃度までに希釈し、Echo550装置を用いて、希釈したEcho384ウェルから被験物質を384ウェル反応プレートに移し、コントロールウェル及びブランクウェルを共にジメチルスルホキシドに移した。PRMT5を1倍反応緩衝液(1倍反応緩衝液には、10mM Tris-HCl;pH8.0;0.01% Tween-20;1mM DTTが含まれる。)に加え、1.67倍酵素溶液(酵素濃度:5nm)を形成した。ポリペプチド基質及び[H]-SAMを1倍反応緩衝液に加え、2.5倍基質溶液(基質の最終濃度がそれぞれ100nm及び250nm)を形成した。384ウェル反応プレートに15μL/ウェルの1.67倍酵素溶液を加えた。ブランクウェルは、酵素溶液の代わりに、15μLの1倍反応緩衝液を用いた。1000rpmで1min遠心分離し、室温で15minインキュベートした。384ウェル反応プレートに1ウェルあたり10μLの2.5倍基質溶液を加えた。1000rpmで1min遠心分離した。25℃で60min反応させた。384ウェル反応プレートに1ウェルあたり5μLの反応停止液を加えて反応を停止させた(反応停止液:125μMのcold SAM溶液)。試験ウェルから1ウェルあたり25μLを取ってFlashplateに移し、室温で1h放置した。次に、0.1%のTween-20溶液でFlashplateを3回洗浄した。MicroBeta 2でカウントした。データを阻害率データに変換した。
【0252】
阻害率=(変換率コントロールウェル-変換率化合物孔)/(変換率コントロールウェル-変換率ブランクウェル)×100%。
【0253】
XLFit 5.4.0.8でフィッティングしてIC50を得た。
【0254】
フィッティング式:Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+(IC50/X)^HillSlope)
【0255】
【表5】
【0256】
【表6】
【0257】
酵素学的及び細胞スクリーニングの結果、陽性対照薬であるGSK3326595(WO2014100719における208番目の化合物)と比較して、本発明の化合物は酵素レベル及び細胞レベルのいずれにおいてもより優れた阻害活性を示した。
【0258】
試験例2:インビボ有効性試験
SPF、4~5週齡、試験用雌NOD-SCIDマウスは、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.から購入した。細胞接種の前日に、マウスにシクロホスファミドを100mg/kgの用量で腹腔内投与した。マウスの前肢腋窩にヒト急性単球性白血病細胞MV4-11(1×10/0.1ml/匹)を皮下注射し、皮下移植腫瘍モデルを構築した。腫瘍体積が約110mM(接種後10日目)になった時、腫瘍体積に基づいてマウスを5匹ずつ均等に群分けし、それぞれ溶媒対照群(2%DMSO+98%(0.2g/mL)ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン)と被験薬投与群とした。被験薬投与群の投与量が100mg/kgであり、投与容量が10mL/kgであり、投与頻度がBIDであり、腫瘍直径を週2回測定し、データを記録した。11日間の連続投与後に試験が終了し、腫瘍を摘出して腫瘍重量を測定した。
【0259】
数式により体重増加率、腫瘍体積及び腫瘍重量抑制率を計算した。
【0260】
体重増加率=X(Wi-W0)/XW0×100%
式中、Wは、各実験群のマウスのn日目の体重を表し、Wは、各実験群のマウスの投与開始時の体重を表す。
【0261】
腫瘍体積(V)=1/2×a×b
式中、a及びbはそれぞれ、腫瘍の長径及び短径を表し、d0はケージに分けて投与される前であり、d9は投与9日目である。
【0262】
相対腫瘍体積(RTV)=d9腫瘍体積/d0腫瘍体積
腫瘍重量抑制率=(腫瘍重量溶媒対照群-腫瘍重量被験薬投与群)/腫瘍重量溶媒対照群×100%
結果を表3に示す。
【0263】
【表7】
注:溶媒対照群と比較して、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。対照薬であるGSK3326595と比較して、##p<0.01、###p<0.001。PR-10群では、1匹の動物が胃内投与ミスにより死亡し、その他の動物は有意な体重減少現象が見られず、薬物毒性による死亡ではなかった。
【0264】
MV4-11インビボ有効性試験結果は、本発明の化合物は有意な抗腫瘍活性を有し、腫瘍体積及び腫瘍重量に対する抑制効果が対照薬であるGSK3326595よりも有意に優れていることを示している。
【0265】
試験例3:薬物動態試験
SDラット(雄、180~200g、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co., Ltd.)に被験化合物(溶媒:2%DMSO+98%(0.2g/mL)ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、投与容量:5mL/kg)を胃内投与し、投与後の異なる時点(0.25、0.5、1、2、4、8、24h)にラットの眼窩から採血し、採取した全血をヘパリンナトリウムで血液凝固を防止し、3000gで遠心分離した後、ラットの血漿サンプルを得た。メタノールによりタンパク質を沈殿させ、HPLC-MS/MS法により投与後のラット血漿における薬物濃度を測定し、薬物-時間曲線を描き、薬物動態パラメータを計算し、ノンコンパートメントモデルの統計モーメントのパラメータにより化合物投与後のラットのインビボ薬物動態挙動を表し、結果を表4に示す。
【0266】
【表8】
【0267】
薬物動態試験結果によれば、陽性対照薬であるGSK3326595と比較して、本発明の化合物はすべてラットの生体内でよく吸収され、ピーク到達時間が短く、ピーク濃度が高く、インビボ暴露量が有意に増加した。
【0268】
以上は本発明の実施の形態に関する説明であるが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。本発明に公開された技術的範囲内で当業者が容易に思いつく変更又は代替はすべて本発明の技術的範囲に包含されるものと理解されるべきである。