(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法
(51)【国際特許分類】
C21C 1/02 20060101AFI20240621BHJP
C21C 5/28 20060101ALI20240621BHJP
C21C 5/35 20060101ALI20240621BHJP
C21C 7/10 20060101ALI20240621BHJP
B22D 11/108 20060101ALI20240621BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240621BHJP
C22C 38/14 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C21C1/02 110
C21C5/28 H
C21C5/35
C21C7/10 A
B22D11/108 F
C22C38/00 301Z
C22C38/14
(21)【出願番号】P 2022574397
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2021098736
(87)【国際公開番号】W WO2022236900
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202110553104.5
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522469095
【氏名又は名称】莱▲蕪▼▲鋼▼▲鉄▼集▲団▼▲銀▼山型▲鋼▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】LAIWU STEEL YINSHAN SECTION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Shuangquan Road, Gangcheng District Ji‘nan City, Shandong 271104 P.R.China
(73)【特許権者】
【識別番号】323007250
【氏名又は名称】山東鋼鉄股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG IRON AND STEEL COMPANY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】麻 衡
(72)【発明者】
【氏名】何 康
(72)【発明者】
【氏名】王 中学
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲騰▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 佩
(72)【発明者】
【氏名】王 月香
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 正旭
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲慶▼普
(72)【発明者】
【氏名】霍 孝新
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲艶▼
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112048665(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106884067(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109280731(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111363889(CN,A)
【文献】特開2013-234379(JP,A)
【文献】特開昭59-013008(JP,A)
【文献】特開2011-144415(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109593907(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108624735(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 1/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン含有量が0.15wt%以上の超高リン溶銑を利用してリン含有量が0.007wt%未満の低リン鋼を製錬するための極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法であって、
前記溶銑を含む原料に対して製錬、脱酸及び出鋼合金化を行う転炉製錬ステップと、
前記転炉製錬ステップで得られた溶鋼に対してスラグ調整、精錬を行い、精製鋼液を得るLF精錬ステップと、
前記精製鋼液を真空脱気するRH脱気ステップと、
前記RH脱気ステップの後で得られた鋼液に対して連続鋳造を行い、鋳片を得る連続鋳造ステップと、
を順に含み、
前記転炉製錬ステップにおいて、前記溶銑におけるシリコン含有量に基づいてダブルスラグプロセスを採用するか否かを判定し、
原料とする前記溶銑におけるシリコンの質量含有量が0.30%以上である場合、ダブルスラグプロセスを採用して前記製錬を行い、前記ダブルスラグプロセスが、ステップ1)及びステップ2)を含み、前記ステップ1)が、前記原料に一部のスラグを添加してから、酸素ランスを用いて前記原料に酸素を吹き、初期のスラグが完全に熔融した後、酸素ランスを転炉から引き上げ、スラグを注入することであり、前記ステップ2)が、酸素ランスを用いてステップ1)で得られた溶鋼に酸素を吹いてから、残りの前記スラグをバッチに分けて添加し、製錬を継続することであり、
前記スラグが、スラグ形成剤及び冷却剤を含み、前記スラグ形成剤が石灰及びドロマイトであり、前記冷却剤が焼結鉱であり、
前記ステップ1)において、前記石灰の添加量が20~22.5kg/トン-鋼であり、前記ドロマイトの添加量は3.5~5.5kg/トン-鋼であり、前記焼結鉱の添加量は28.5~32kg/トン-鋼であり、前記酸素の流量が25000m
3/hであり、前記酸素を吹く時間が5~6minであり、
前記ステップ2)において、前記石灰の添加量が21~25kg/トン-鋼であり、前
記ドロマイトの添加量が3.5~5.0kg/トン-鋼であり、前記焼結鉱の添加量が14~20kg/トン-鋼であり、前記酸素の流量が24500m
3/hであり、前記ステップ2)の総反応時間が240~300sであ
り、
前記転炉製錬ステップにおいて、原料とする前記溶銑におけるシリコンの質量含有量が0.30%未満である場合、シングルスラグプロセスを採用して製錬を行い、前記シングルスラグプロセスの工程は、ステップa)及びステップb)を含み、前記ステップa)は、前記原料に石灰、焼結鉱及びドロマイトを添加することであり、前記ステップb)は、全工程でスラグが完全に熔融し、TSCを測定してから、測定したTSC結果に基づいて石灰又は焼結鉱を選択して添加することであり、
前記ステップa)において、前記石灰を2~3バッチに分けて添加し、トン-鋼の添加量が42.9~46.2kg/tであり、前記焼結鉱を3~4バッチに分けて添加し、トン-鋼の添加量が39.2~42.8kg/tであり、前記ドロマイトを2~3バッチに分けて添加し、トン-鋼の添加量が8.57~10.7kg/tであり、
前記ステップb)において、トン当たりの前記溶銑において、前記石灰又は焼結鉱の添加量が2.15~3.57kgであり、TSC≦1540℃である場合、前記石灰を添加して酸素をランシングし続けて製錬し、TSC≧1590℃である場合、焼結鉱を添加し、
前記ステップb)において、TSOの測定結果に基づき、C含有量≧0.10%であると、スポット吹きを行うことにより、溶鋼のC、P含有量を制御する、
ことを特徴とする極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項2】
前記転炉製錬ステップにおいて、原料とする前記溶銑におけるP元素の含有量が0.15wt%以上である場合、Si元素の含有量が0.15~0.6wt%であり、S元素の含有量が0.006wt%以下であり、As元素の含有量が0.006wt%以下であり、前記溶銑の温度が1230℃以上であり、
前記転炉製錬ステップにおいて、前記原料はスクラップをさらに含み、前記スクラップの質量/(溶銑+スクラップの質量)が8%以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項3】
前記転炉製錬ステップにおいて、前記ステップ2)は、製錬工程において溶鋼のTSC温度及びC含有量を測定し、測定結果に基づいて石灰又は焼結鉱を選択し添加することにより、後期塩基度を保証してスラグの完全熔融を促進することであり、
前記ステップ2)において、残りの前記スラグを添加してから溶鋼のTSC温度およびC含有量を測定するまでの間の時間は70~90sであり、
前記ステップ1)において、初期のスラグが完全に熔融した後、15~30s内に酸素ランスを転炉から引き上げ、
前記ステップ2)において、前記TSC温度を1540℃~1590℃に制御し、炭素含有量を0.25wt%~0.40wt%に制御し、
前記ステップ2)において、測定されたTSC温度結果に基づいて前記石灰又は焼結鉱を添加して吹錬し続けることにより、転炉のTSO温度を1600℃~1650℃に制御することを保証し、炭素含有量を0.07wt%~0.09wt%に制御し、前記転炉のTSO温度が1600℃未満であると、スポット吹き昇温を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項4】
前記転炉製錬ステップにおいて、製錬全工程には、転炉を用いて窒素ガス及びアルゴンガスを下吹し、
前記転炉製錬ステップにおいて、製錬の前7~8分間で、窒素ガスを下吹し、ここで1~3minの窒素ガス流量は450~580Nm
3/hであり、後期の窒素ガス流量は800~900Nm
3/hに増加し、製錬窒素ガスを下吹製錬した7~8分後にアルゴンガスに切り替え、アルゴンガスの流量は1000~1100Nm
3/hに増加し、
前記転炉製錬ステップにおいて、転炉炭素酸素積≦0.0021であり、転炉測定終点
炭素≦0.045%である場合、直接的に出鋼し、転炉炭素酸素積>0.0032である場合、転炉のTSO成分をC:0.06~0.09wt%、P≦0.006wt%、S≦0.020wt%と測定してから、ようやく出鋼し、転炉炭素酸素積が0.0021~0.0032の間にある場合、転炉測定終点炭素は≦0.045%である必要があり、転炉炭素酸素積が0.0021~0.0032の間にいない場合、スポット吹きを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項5】
前記転炉製錬ステップにおいて、前記製錬の後に、かつ前記脱酸の前に、高-低-低のランス位置を用いて窒素ガスを利用してスラグスプラッシュ護炉を行い、スラグスプラッシュ工程で酸素ランスを引き上げ押し入れることを繰り返し、スラグスプラッシュが乾燥した後に窒素をオフにして酸素ランスを引き上げ、スラグスプラッシュ時間が140~200sであり、
アルミニウムマンガン鉄を用いて前記脱酸を行い、前記アルミニウムマンガン鉄の添加量が1.7~2.5kg/t鋼であり;
前記合金化に用いられる合金は、金属マンランス、フェロシリコン、ニオブ鉄、バナジウム鉄及びニッケル板である、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項6】
前記LF精錬ステップにおいて、前記スラグを調整するために用いられる物質はアルミニウムスラグ及び炭化カルシウムであり、前記スラグを調整するために用いられる物質は石灰をさらに含み、スラグを最終的なスラグ塩基度≧2.2に調整し、出場前のトップスラグは必ず黄白スラグ又は白スラグであり、黄白スラグ又は白スラグの保持時間は10分間以上であり、
前記スラグを調整した後、アルミニウムワイヤを投入してアルミニウムを増加させ、チタンワイヤを投入してチタンを増加させ、
前記精錬の時間は30~45minであり、
スラグを調整するために用いられるスラグの質量比は、石灰:蛍石:炭化カルシウム:アルミニウムスラグ=(3-5):(3-5):1:(1-2)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項7】
前記RH脱気ステップにおいて、前記真空脱気の場合、真空度が133Pa以下であり、還流時間が15分以上であり、脱気時間が5分を超え、
前記RH脱気ステップにおいて、前記真空脱気の後、カルシウムアルミニウムワイヤを80~100メートル/炉で投入し、ソフトパージが10分以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項8】
前記連続鋳造ステップにおいて、前記溶鋼の過熱度が25℃以内に制御され、
前記連続鋳造ステップにおいて、175断面に対して、前記連続鋳造の時の引抜き速度は1.25~1.35m/minであり、200断面に対して、前記連続鋳造時の引抜き速度は1.2~1.4m/minであり、250断面に対して、前記連続鋳造時の引抜き速度は1.1~1.3m/minであり、300mm断面に対して、前記連続鋳造時の引抜き速度は0.85~0.95m/minであり、
前記連続鋳造ステップにおいて、晶析装置は包晶鋼でスラグを保護し、タンディッシュは炭化籾殻を組み合わせた被覆剤を用いて被覆し、タンディッシュの液面の被覆が良好であることを保証し、取鍋シュラウドはアルゴンシールを採用し、流量は90~120L/minである、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【請求項9】
質量%で、前記製錬方法で得られた鋼成分におけるP含有量は0.007%未満であり、前記製錬方法で得られた鋼成分は、質量%で、C:0.06~0.10%、Si:0.20
~0.35%、Mn:1.5~1.65%、Nb:0.010~0.030%、V:0.010~0.035%、Ti:0.010~0.035%、Al:0.015~0.040%を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼冶金の分野に属し、極地用鋼の超高リン溶銑により低リン鋼を製錬する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中エネルギー不足の日増しに伴い、各国は極地オイル・ガスエネルギーの開発を相次いで増加させて数多くの海洋プラットフォームを建造し、極地用耐極低温鋼の需要量が大幅に増加させた。極地温度が極めて低いため、鋼中のリン含有量が鋼の靭性に非常に重要であるが、現在中国国内の溶銑リン含有量の差異が大きく、一部の製鋼所が鉱石原料の影響を受け、生産された超高リン溶銑は低リン鋼を製造することに適せず、これは生産リズムを深刻に引き下げる。ユーザーの低リン高品質鋼材に対する需要量の連続的な増大に伴い、どのように最低のコストで転炉を利用してこのような超高リン溶銑により極地用低リン鋼の製錬を実現することは、現在の研究の重点である。現在、国内外の一部の企業は転炉二連法で低リン鋼を製造し、例えばJFEのLD-NRP法、神戸製鋼所のH炉、宝鋼のBRP法等であり、このようなプロセスは設備への要求が高く、かつ転炉溶銑の運送工程において熱量損失が大きく、生産効率が低く、同一転炉で溶銑脱リン及び脱炭の操作を連続的に行うダブルスラグ法もあり、該プロセス操作が簡単であり、設備を追加する必要がなく、国内外で広く採用されている。
【0003】
現在、高リン溶銑製錬低リン鋼を利用する特許は多いが、このような製錬プロセスにプロセスフローが長く、コストが高いなどの欠点が存在する。以下は、いくつかの類似する特許を簡単に説明する。
【0004】
特許文献CN1093907Aには、「低リン鋼製錬方法」が開示しており、該特許は転炉吹錬ランス位置、酸素投入強度、下吹錬流量、出鋼下滓制御等のステップを制御することにより完成品P≦0.005%の合格スラブを製造するが、該方法はリン含有量が0.10%以下の溶銑のみに適用される。
【0005】
特許文献CN109897933Aには、「転炉で低リン清浄鋼を製造する高効率製錬プロセス」が開示され、該特許は転炉ダブルスラグ法で低リン鋼を製錬するが、製錬方法は溶銑のリン含有量がいずれも0.13%未満であり、かつスラグ残留処理がリン戻し現象を生成しやすく、超高リン溶銑製錬に適用しない。
【0006】
特許文献CN109402323Aには、「超高リン溶銑製錬超低リン鋼の方法」を開示し、該特許はLF精錬プロセスにおいて白灰とスラグ改質剤の配合比率を最適化し、鋼スラグ成分を調整して鋼スラグのリン容量を増大させ、それによりリンの鋼スラグと溶鋼中の分配比を増大させ、脱リンに有利条件を提供する。しかし該製錬方法は、転炉製錬工程を詳細に説明しておらず、かつLF炉が所定の溶鋼中のP含有量が低いレベルにあり、かつLF精錬プロセスが長すぎ、高効率低コストの量産化工業生産に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の不足に対して、本願の目的は、極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法を提供することであり、リン含有量が0.150%より高い溶銑を利用してリン含有量が0.007%より小さい鋼を製錬する要求を実現することができ、鋼材の靭性脆性転移温度を顕著に低下させ、極地の極寒作業条件での要求を満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。
溶銑を含む原料に対して製錬、脱酸及び出鋼合金化を行う転炉製錬ステップと、
前記転炉製錬ステップで得られた溶鋼に対してスラグ調整、精錬を行い、精製鋼液を得るLF精錬ステップと、
前記精製鋼液を真空脱気するRH脱気ステップと、
前記RH脱気ステップの後で得られた鋼液に対して連続鋳造を行い、鋳片を得る連続鋳造ステップと、
を順に含む、極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法。
【0009】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、原料とする前記溶銑におけるP元素の含有量が0.15wt%以上である場合、Si元素の含有量が0.15~0.6wt%であり、S元素の含有量が0.006wt%以下であり、As元素の含有量が0.006wt%以下であり、好ましくは、前記溶銑の温度が1230℃以上であり、溶銑の温度が低すぎると溶鋼の後吹きが酷くなり、パフロスが大きく、鉄鋼材料の消耗が高く、コストが高く、溶鋼品質が保障されず、炉齢が低下するなどの問題を引き起こす可能性がある。
【0010】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、原料とする前記溶銑におけるケイ素の質量含有量が0.30%以上である場合、前記原料はスクラップ(くず鉄)をさらに含み、好ましくは、前記スクラップの質量/(溶銑+スクラップの質量)が8%以下である。
【0011】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、原料とする前記溶銑におけるシリコンの質量含有量が0.30%以上である場合、ダブルスラグプロセスを採用して前記製錬を行い、好ましくは、前記ダブルスラグプロセスは、具体的には、ステップ1)及びステップ2)を含み、前記ステップ1)は、前記原料に一部のスラグを添加してから、酸素ランスを用いて前記原料に酸素を吹き、初期のスラグが完全に熔融した後、酸素ランスを転炉から引き上げ、スラグを注入することであり、ステップ2)は、酸素ランスを用いてステップ1)で得られた溶鋼に酸素を吹いてから、残りの前記スラグをバッチに分けて添加し、製錬を継続し、製錬工程において溶鋼のTSC温度及びC含有量を測定し、測定結果に基づいて石灰又は焼結鉱を選択し添加することにより、後期塩基度を保証してスラグの完全熔融を促進することである。
【0012】
好ましくは、前記ステップ2)において、残りの前記スラグを添加してから溶鋼のTSC温度およびC含有量を測定するまでの間の時間は70~90s。
【0013】
好ましくは、前記ステップ2)の総反応時間(すなわちステップ2)の総反応時間)は240~300sである。
【0014】
好ましくは、前記スラグは、スラグ形成剤及び冷却剤を含み、好ましくは、前記スラグ形成剤は石灰及びドロマイトであり、前記冷却剤は焼結鉱であり、好ましくは、前記ステップ1)において、前記石灰の添加量は20~22.5kg/トン-鋼であり、前記ドロマイトの添加量は3.5~5.5kg/トン-鋼であり、前記焼結鉱の添加量は28.5~32kg/トン-鋼であり、
好ましくは、ステップ1)において、前記酸素を吹く時間は5~6minであり、
好ましくは、ステップ1)において、初期のスラグが完全に熔融した後、15~30s内に酸素ランスを転炉から引き上げ、
好ましくは、前記ステップ2)の前記スラグ材料において、前記石灰の添加量は21~25kg/トン-鋼であり、前記ドロマイトの添加量は3.5~5.0kg/トン-鋼であり、前記焼結鉱の添加量は14~20kg/トン-鋼であり、
好ましくは、前記ステップ2)において、前記TSC温度を1540℃~1590℃に制御し、炭素含有量を0.25wt%~0.40wt%に制御する。好ましくは、測定されたTSCが1540℃以下である場合、前記石灰を添加して酸素を継続的に吹錬して製錬し、測定されたTSCが1590℃以上である場合、焼結鉱を添加する。
【0015】
好ましくは、前記ステップ2)において、測定されたTSC温度結果に基づいて前記石灰又は焼結鉱を添加して吹錬し続けることにより、転炉のTSO温度を1600℃~1650℃に制御することを保証し、炭素含有量を0.07wt%~0.09wt%に制御し、好ましくは、前記転炉のTSO温度が1600℃未満であると、スポット吹き昇温を行う。
【0016】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、原料とする前記溶銑におけるシリコンの質量含有量が0.30%未満である場合、前記原料は溶銑及びスクラップであり、好ましくは、スクラップは前記原料の質量比の8%以下を占める。
【0017】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、原料とする前記溶銑におけるシリコンの質量含有量が0.30%未満である場合、シングルスラグプロセスを採用して製錬し、好ましくは、前記シングルスラグプロセスの具体的な工程は、ステップa)及びステップb)であり、前記ステップa)は、前記原料に石灰、焼結鉱及びドロマイトを添加することであり、ステップb)は、全工程でスラグが完全に熔融し、TSCを測定してから、測定したTSC結果に基づいて石灰又は焼結鉱を選択して添加することであり、
好ましくは、前記ステップa)において、前記石灰を2~3バッチに分けて添加し、トン-鋼の添加量が42.9~46.2kg/tであり(即ち、1トンあたりの溶鋼に42.9~46.2kgを添加する)、好ましくは、前記焼結鉱を3~4バッチに分けて添加し、トン-鋼の添加量が39.2~42.8kg/tであり、好ましくは、前記ドロマイトを2~3バッチに分けて添加し、トン-鋼の添加量が8.57~10.7kg/tであり、好ましくは、前記ステップb)において、トン当たりの前記溶銑中に、前記石灰又は焼結鉱の添加量が2.15~3.57kgであり、好ましくは、測定されたTSC≦1540℃である場合、前記石灰を添加して酸素をランシングし続けて製錬し、測定されたTSC≧1590℃である場合、焼結鉱を添加し、冷却剤として、反応リズムを制御する。
【0018】
好ましくは、前記ステップb)において、TSOの測定結果に基づき、C含有量≧0.10%であると、スポット吹きを行うことにより、溶鋼のC、P含有量を制御する。
【0019】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、製錬全工程には、転炉を用いて窒素ガス及びアルゴンガスを下吹する。
【0020】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、製錬の前の7~8分間で、窒素ガスを下吹し、ここで1~3minの窒素ガス流量は450~580Nm3/hであり、後期の窒素ガス流量は800~900Nm3/hに増加し(窒素ガスの体積は、圧力が一つの大気圧であり、温度が0℃のガス体積である)、製錬窒素ガスを下吹製錬した7~8分後にアルゴンガスに切り替え、アルゴンガスの流量は1000~1100Nm3/hに増加する。吹錬前期において、溶融池の撹拌を強化し、石灰の融解を促進し、スラグ形成速度を向上させ、吹錬の末期に、溶融池の撹拌強度を向上させ、スラグ鋼の反応平衡を促進し、脱リン効果を強化させる。
【0021】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、転炉炭素酸素積≦0.0021であり、転炉測定終点炭素≦0.045%である場合、直接的に出鋼し、転炉炭素酸素積>0.0032である場合、転炉のTSO成分をC:0.06~0.09wt%、P≦0.006wt%、S≦0.020wt%と測定してから、ようやく出鋼し、転炉炭素酸素積が0.0021~0.0032の間にある場合、転炉測定終点炭素は≦0.045%である必要があり、転炉炭素酸素積が0.0021~0.0032の間にいない場合、スポット吹きを行う。
【0022】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記製錬の後に、かつ前記脱酸の前に、高-低-低のランス位置(2000mm-1500mm-500mm)を用いて窒素ガスを利用してスラグスプラッシュ護炉を行い、スラグスプラッシュ工程で酸素ランスを引き上げ押し入れることを繰り返し、スラグスプラッシュが乾燥した後に窒素をオフにして酸素ランスを引き上げ、スラグスプラッシュ時間が140~200sであり、本発明では、三段階のランス位置を採用して全炉のスラグスプラッシュを実現することができ、かつスラグスプラッシュの厚さの均一性が高く、酸素に対して強い酸化還元反応が発生し、スラグスプラッシュ護炉に適用できず、アルゴンガスの価格が高く、経済性が低く、本発明は窒素ガススラグスプラッシュ護炉を採用して転炉の高アルカリ度のスラグ及び酸素製造工場の窒素ガス副製品を十分に利用することができ、コストが低く、かつ本発明は直接酸素ランスを用いて窒素を吹いてスラグスプラッシュする方法を用いて操作しやすく、効率が高い。
【0023】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、アルミニウムマンガン鉄を用いて前記脱酸を行い、前記アルミニウムマンガン鉄の添加量が1.7~2.5kg/t鋼である。
【0024】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記転炉製錬ステップにおいて、前記合金化に用いられる合金は、金属マンランス、フェロシリコン、ニオブ鉄、バナジウム鉄及びニッケル板である。
【0025】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記LF精錬ステップにおいて、前記スラグを調整するために用いられる物質はアルミニウムスラグ及び炭化カルシウムであり、好ましくは、前記スラグを調整するために用いられる物質は石灰をさらに含み、好ましくは、スラグを最終的なスラグ塩基度≧2.2に調整し、出場前のトップスラグは必ず黄白スラグ又は白スラグであり、黄白スラグ又は白スラグの保持時間は10分間以上である。
【0026】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記スラグを調整した後、アルミニウムワイヤを投入してアルミニウムを増加させ、チタンワイヤを投入してチタンを増加させる。
【0027】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記LF精錬ステップにおいて、前記精錬の時間は30~45minである。上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記LF精錬ステップにおいて、スラグを調整するために用いられるスラグの質量比は、石灰:蛍石:炭化カルシウム:アルミニウムスラグ=(3-5):(3-5):1:(1-2)であり、好ましくは、石灰:蛍石:炭化カルシウム:アルミニウムスラグ=(4-5):(4-5):1:(1-2)。
【0028】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記真空脱気の場合、真空度が133Pa以下であり、還流時間が15分以上であり、脱気時間が5分を超える。
【0029】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記RH脱気ステップにおいて、前記真空脱気の後、カルシウムアルミニウムワイヤを80~100メートル/炉で投入し、ソフトパージが10分以上である。
【0030】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記連続鋳造ステップにおいて、前記溶鋼の過熱度が25℃以内に制御される。
【0031】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記連続鋳造ステップにおいて、175断面に対して、前記連続鋳造の時の引抜き速度は1.25~1.35m/minであり、200断面に対して、前記連続鋳造時の引抜き速度は1.2~1.4m/minであり、250断面に対して、前記連続鋳造時の引抜き速度は1.1~1.3m/minであり、300mm断面に対して、前記連続鋳造時の引抜き速度は0.85~0.95m/minであり、
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、前記連続鋳造ステップにおいて、晶析装置は包晶鋼でスラグを保護し、タンディッシュは炭化籾殻を組み合わせた被覆剤を用いて被覆し、タンディッシュの液面の被覆が良好であることを保証し、取鍋シュラウドはアルゴンシールを採用し、流量は90~120L/minであり、流量<90L/minである場合、空気を遮断する効果を果たすことが困難であり、流量>120L/minである場合、アルゴンガスが浪費であることになる。
【0032】
上記極地用鋼の超高リン溶銑低コスト製錬方法において、好ましい実施形態として、質量%で、前記製錬方法で得られた鋼成分におけるP含有量は0.007%未満であり、より好ましくは、前記製錬方法で得られた鋼成分は、質量%で、C:0.06~0.10%、Si:0.20~0.35%、Mn:1.5~1.65%、Nb:0.010~0.030%、V:0.010~0.035%、Ti:0.01~0.035%、Al:0.015~0.040を含む。
【0033】
従来の技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0034】
1.本願の前記極地用鋼の超高リン溶銑により低リン鋼を製錬する方法は溶銑シリコン含有量に基づいてダブルスラグプロセスを採用するか否かを判定し、溶銑シリコン≧0.30%である場合、転炉製錬はダブルスラグプロセスを採用し;溶銑シリコン<0.30%の場合:転炉はシングルスラグプロセスを採用し、さらに精錬深脱リンプロセスを採用してさらにリンを除去し、該方法は超高リン溶銑を原料として連続的に安定してリン含有量が0.007%未満の鋼を安定して製錬することを実現することができ、かつ必要な補助材料の消費が低く、製造ピッチが速く、広い普及の将来性を有する。
【0035】
2.溶銑Si含有量に応じてシングル・ダブルスラグゾーン製錬を行い、製錬原料の消費を大幅に節約し、製錬周期を短縮し、製造フローを加速する。
【0036】
3.超高P溶銑に最適化されたスラグ形成材料の配合比率及び合理的な酸素吹き込み流量、酸素吹き時間を採用し、転炉製錬により超低リン溶銑を取得する。
【0037】
4.LF精錬段階において、合理的なスラグ材料配合比率及び製錬方式を採用し、溶鋼のP量を減少させる。
【0038】
5.本願の前記極地用鋼の超高リン溶銑により低リン鋼を製錬する方法はコストが比較的低く、プロセスが簡単で操作しやすく、本製錬方法で製造されたスラブ圧延の鋼板は極寒状況、総合性能の要求が高い工程に適用する。
【0039】
6.本方法で製錬、連続鋳造後のスラブは、圧延された後、鋼板降伏強度≧420MPa、引張強度520~680MPa、-52℃衝撃仕事≧100J、断面収縮率≧19%である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点を強調して表現するために、以下に実施例を参照して本発明をさらに説明し、例示的に本発明の解釈形態により本発明を限定するものではない。本発明の技術的解決手段は以下に列挙される具体的な実施形態に限定されるものではなく、さらに各具体的な実施形態の間の任意の組み合わせを含む。
【0041】
本明細書に開示された任意の特徴は、特に記載がない限り、いずれも他の等価又は類似する目的を有する代替特徴により置換されてもよい。特に記載しない限り、各特徴は一連の等価又は類似する特徴の一例である。
【0042】
実施例1
極地用鋼の超高リン溶銑により低リン鋼を製錬する方法であって、
(1)転炉製錬
140Tの上下複合吹錬転炉を採用し、原料の組成は、高リン脱硫溶銑141t(C:5.65%、Mn:0.213%、P:0.151%、S:0.002%、Si:0.54%、As:0.0020%、溶銑温度1310℃)であり、スクラップの使用量は10tである。ダブルスラグプロセスを採用し製錬を行い、製錬時に、酸素ガスの1次ランス開き段階では、ランス位置が1500mm程度に制御される。酸素ランスを点火した後、酸素ランスの流量を25000m3/h程度に調整し、ランス位置が1800mmであり、石灰3050kg、焼結鉱3600kg、ドロマイト400kgを添加し、第一バッチが150sオンになる前に添加を完了する。初期のスラグが完全に熔融した後に30秒かけてランスを引き上げスラグを注入し、引き上げのタイミングは原則的に5分程度である。
【0043】
二次の下部ランス窒素ガスがスラグを除去した後に酸素ガスを切り替え、酸素ランスが点火した後、酸素ランスの流量を24500m3/h程度に調整し、ランス位置が1700mm程度であり、その後にバッチに分けて石灰3200kg、焼結鉱2700kg、ドロマイト550kgを添加し、同時に吹錬戻りを回避する。TSC温度は1540℃~1590℃であり、炭素含有量を0.25%~0.40%に制御し、TSCを測定した後、150kgの石灰を添加し、TSO温度を1600℃~1650℃に調整する。最後に高-低-低ランス位置(2000mm-1500mm-500mm)を採用してスラグスプラッシュ護炉を行い、スラグスプラッシュ工程でランスを引き上げ押し入れることを繰り返し、スラグスプラッシュが乾燥した後に窒素をオフにしてランスを引き上げ、スラグスプラッシュ時間が186sである。転炉炭素酸素積≦0.0021であり、転炉測定終点炭素≦0.045wt%である場合に鋼を出て、転炉出鋼温度が1620℃であり、出鋼時にアルミニウムマンガン鉄260kg、金属マンガン2100kg、ニッケル板120kg、バナジウム鉄60kg、ニオブ鉄50kg、シリコン鉄440kgを添加し、鋼流に従って600kgの合成スラグ、200kgの予備スラグを添加する。
【0044】
製錬全工程に窒素ガスを下吹錬及びアルゴンガスであり、製錬前の8分間に、窒素ガスを下吹錬であり、ここで前の3minで窒素ガスの流量は500m3/hであり、後の5minで窒素ガスの流量は850m3/hまで増加し、製錬の窒素ガスを下吹錬のは8分後にアルゴンガスに切り替えられ、アルゴンガスの流量は1050m3/hまで増加する。
【0045】
(2)LF製錬
LF精錬では石灰200kg、蛍石200kg、炭化カルシウム50kg、アルミニウムスラグ80kgを添加してスラグを調整し、150mのアルミニウムを投入してアルミニウムを増加させ、チタンワイヤ130mのチタンを添加してチタンを増加させる。最終的なスラグ塩基度は2.2以上に制御される。
【0046】
製錬プロセスは全工程に下吹錬アルゴン撹拌であり、前期にアルゴンガスの圧力を適切に調整することができ、出場前に小圧力のソフトパージを採用し、介在物の浮上を保証し、精錬にアルゴンガスのソフトパージ時間は5分であり、全体的な精錬時間は45分である。
【0047】
(3)RH製錬
RH処理時、浸漬管の挿入深さは400mmであり、処理時の真空度は30Paであり、還流時間は22分であり、純脱気時間は10分である。RH処理が終了した後、カルシウムアルミニウムワイヤを90メートル/炉に投入し、10分ソフトパージし、RH製錬周期は23分である。
【0048】
(4)連続鋳造
晶析装置は包晶鋼でスラグを保護し、タンディッシュは炭化籾殻を組み合わせた被覆剤を用いて被覆し、タンディッシュの液面の被覆が良好であることを保証する。取鍋シュラウドはアルゴンシールを採用し、流量は90L/minであり、結晶器は非正弦振動モードを採用する。鍛造ビレットの断面寸法は250mm*2400mmであり、引抜き速度は1.1m/minである。
【0049】
該炉の終点状況は、C:0.07%、Si:0.28%、Mn:1.52%、P:0.006%、S:0.001%、Nb:0.025%、Ti:0.015%、V:0.025%、Ni:0.11%、ALs:0.020%であり、該炉の消費状況は、石灰46.53トン-鋼であり、スラグの総消費は54.41トン-鋼であり、酸素消費量は47.05Nm3/トン-鋼である。
【0050】
本実施例の方法を採用して5炉次の鋼を製造し、鋼中のP含有量がいずれも0.007wt%未満であり、得られたビレットを圧延した後に、鋼板の降伏強度が425~510MPaであり、引張強度が520~5MPaであり、-60℃の衝撃エネルギーが150~210Jであり、断面収縮率が22~32%である。
【0051】
実施例2:
極地用鋼の超高リン溶銑により低リン鋼を製錬する方法であって、
(1)転炉製錬
140tの上下複合吹錬転炉を採用し、原料の組成は、高リン脱硫溶銑92%(C:4.437%、Mn:0.213%、P:0.148%、S:0.003%、Si:0.294%、As:0.0018%、溶銑温度1316℃)、残量はスクラップである。製錬の際にシングルスラグプロセスを採用し、酸素ガスのランス開き段階では、ランス位置が1500mm程度に制御され、酸素ランスを点火した後、酸素ランスの流量を26000m3/h程度に調整し、酸素ランス位置が1800mmであり、酸素供給圧力が0.8MPaであり、製錬前の8分間に、窒素ガスを下吹錬であり、窒素ガスの下吹錬流量が560m3/hであり、次に880m3/hに増加し、下吹錬を8分間行った後にアルゴンガスに切り替え、流量を1200m3/hに増加させ、焼結鉱660kg、石灰6040kg、ドロマイト800kgを添加し、後期塩基度を保証しかつスラグ化を促進し;ランスの終点位置を1200mm程度に制御する。最後に高-低-低ランス位置(2000mm-1500mm-500mm)を採用してスラグスプラッシュ護炉を行い、スラグを除去するプロセスを繰り返して持ち上げ、スラグスプラッシュが乾燥した後に窒素引き抜きランスをオフにし、スラグスプラッシュ時間が163sである。転炉出鋼温度が1646℃であり、出鋼時にアルミニウムマンガン鉄240kg、金属マンガン2040kg、ニッケル板120kg、バナジウム鉄60kg、ニオブ鉄50kg、シリコン鉄440kgを添加し、鋼流に従って600kgの合成スラグ、200kgの予備スラグを添加する。
【0052】
(2)LF製錬
LF精錬では石灰352kg、蛍石157kg、アルミニウムスラグ180kg、炭化カルシウム20kgを添加してスラグを調整し、アルミニウムワイヤを120m投入してアルミニウムを増加させ、チタンワイヤ150mを添加してチタンを増加させる。最終的なスラグ塩基度は2.2以上に制御される。
【0053】
製錬プロセスは全工程に下吹錬アルゴン撹拌であり、前期にアルゴンガスの圧力を適切に調整することができ、出場前に小圧力のソフトパージを採用し、介在物の浮上を保証し、アルゴンガスのソフトパージの時間は5分であり、総製錬時間は42分である。
【0054】
(3)RH製錬
RH処理時、浸漬管の挿入深さは400mmであり、処理時の真空度は30Paであり、還流時間は22分であり、純脱気時間は10分である。RH処理が終了した後、80メートルのカルシウムアルミニウムワイヤを投入し、10分ソフトパージし、RH製錬周期は22分である。
【0055】
(4)連続鋳造
晶析装置は包晶鋼でスラグを保護し、タンディッシュは炭化籾殻を組み合わせた被覆剤を用いて被覆し、タンディッシュの液面の被覆が良好であることを保証する。取鍋シュラウドはアルゴンシールを採用し、流量は90L/minであり、結晶器は非正弦振動モードを採用する。鍛造ビレットの断面寸法は300mmであり、引抜き速度は0.85m/minである。
【0056】
該炉の終点状況は、C:0.07%、Si:0.27%、Mn:1.51%、P:0.0065%、S:0.001%、Nb:0.026%、Ti:0.015%、V:0.026%、Ni:0.12%、ALs:0.020%であり、該炉の消費状況は、石灰47トン-鋼であり、スラグの総消費は51.5トン-鋼であり、酸素消費量は47.79Nm3/トンの鋼であり、鉄鋼材料は1.10t/トンの鋼を消費する。
【0057】
本実施例の方法を採用して5炉次の鋼を製造し、鋼中のP含有量がいずれも0.007wt%未満であり、得られたビレットを圧延した後に、鋼板の降伏強度が440~500MPaであり、引張強度が525~605MPaであり、-60℃での衝撃エネルギーが130~190Jであり、断面収縮率が23~29%である。