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特許7507900押出塗布洗浄チャンバシリーズ及び洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】押出塗布洗浄チャンバシリーズ及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240621BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20240621BHJP
【FI】
B05C11/10
H01M4/139
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022578639
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2020133454
(87)【国際公開番号】W WO2021253738
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】202010559513.1
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521551445
【氏名又は名称】江蘇嘉拓新能源知能装備股▲フン▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Yuqingxiao Building 1, No.588, Chengbei Road, Kunlun Street Liyang, Jiangsu 213300 China
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樊 振華
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-167607(JP,A)
【文献】特開平10-308338(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110237971(CN,A)
【文献】特開2004-322091(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0105668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の洗浄チャンバ(1)を備え、複数の洗浄チャンバ(1)が洗浄チャンバシリーズを構成し、各洗浄チャンバ(1)はいずれも内部チャンバ体(10)を有し、洗浄チャンバ(1)の側部が前記内部チャンバ体(10)に連通される洗浄チャンバ口部(11)を有し、複数の洗浄チャンバ(1)の内部チャンバ体(10)の断面輪郭は弦が共通な一連の曲線であり、
前記複数の洗浄チャンバ(1)の内部チャンバ体(10)は、大きさのグレードが異なる
ことを特徴とする押出塗布洗浄チャンバシリーズ。
【請求項2】
前記洗浄チャンバシリーズの複数の洗浄チャンバ(1)の内部チャンバ体(10)の断面輪郭は弦が共通な一連の円弧である、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出塗布洗浄チャンバシリーズ。
【請求項3】
前記洗浄チャンバシリーズは5つの洗浄チャンバ(1)を備え、5つの洗浄チャンバ(1)に対応する5つの内部チャンバ体(10)は、第1内部チャンバ体(101)、第2内部チャンバ体(102)、第3内部チャンバ体(103)、第4内部チャンバ体(104)及び第5内部チャンバ体(105)であり、第1内部チャンバ体(101)、第2内部チャンバ体(102)、第3内部チャンバ体(103)、第4内部チャンバ体(104)及び第5内部チャンバ体(105)の断面直径はそれぞれ3.2mm、3.5mm、4mm、5mm及び6mmである、
ことを特徴とする請求項2に記載の押出塗布洗浄チャンバシリーズ。
【請求項4】
前記洗浄チャンバ(1)の洗浄チャンバ口部(11)は、前記洗浄チャンバ口部(11)の上下内側壁にシールストリップ取付溝(12)が開設され、前記シールストリップ取付溝(12)にシールストリップ(2)が取り付けられており、洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバ(1)の洗浄チャンバ口部(11)、シールストリップ取付溝(12)のサイズはいずれも同じであり、且つシールストリップ(2)が洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバ(1)に適用され、洗浄チャンバ(1)の両端に洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバ(1)に適合可能な汎用端面密封板(3)が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出塗布洗浄チャンバシリーズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウム電池の生産分野に関し、特に、押出塗布洗浄チャンバシリーズ及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー技術の発展及び成熟に伴い、リチウム電池の応用もますます広くなり、市場の見通しもますますよくなっている。
【0003】
リチウム電池の生産過程において、リチウム電池の塗布は非常に重要な工程の1つである。リチウム電池の塗布は、一般的に塗布ヘッドにより実現される必要があり、塗布ヘッドは、塗布が完了した後に、塗布ヘッドから溢れ出たスラリーが適時整理される必要があり、そうしないと、スラリーが長時間後に凝固し、次回の塗布、設備を汚染するだけでなく、塗布ヘッドの内部で詰まり、塗布の正常な運行に影響を与える。そのため、企業は、人為的に洗浄する方法を採用して塗布ヘッドを洗浄する必要があり、労働量が大きいだけでなく、労働強度が高く、作業環境が悪く、さらに大量の時間をかけて洗浄する必要もあり、塗布効率及び塗布品質に大きな影響を与え、生産企業の生産効果を低下させている。
【0004】
現在、当社は、特許出願番号がCN201910470439.3である、リチウム電池のスリット押出式塗布ダイヘッドのオンライン全自動清掃装置及び方法という新たな技術案を提供している。この技術案は、洗浄チャンバと塗布ヘッドとの密封を実現し、一定の粘度のスラリーに対して、洗浄剤で塗布ヘッドのリップ部を清掃し、塗布に戻った後に良好な効果を有し、塗布ヘッドのリップ部に乾燥したスラリーがなく、塗層に塗り漏れがない。この技術案に係る技術手段は、人為的に塗布ヘッドを洗浄するという技術的問題を効果的に解決でき、高効率、環境保護、人件費節約などの利点をもたらしている。
【0005】
しかしながら、上記技術案では、洗浄チャンバは複数種類のスラリーに対応する時に、スラリーの粘度が大きく異なっているため、洗浄チャンバは異なるスラリーの粘度、複数種類のスラリーの混合粘度などの塗布作業にマッチすることができず、チャンバ体がスラリーによって「一時に充満」されるか、又は長時間運転停止して「溢流して充満して硬化する」などの状況が発生しやすく、洗浄機能を起用すると、洗浄チャンバは、スラリーが充満し、さらに硬化するため、貫通不可になり、洗浄が失敗する可能性がある。
【0006】
この点に鑑み、本発明は、既存の技術的欠陥を解決するための新たな技術案を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
塗布ヘッドの洗浄チャンバの応用範囲を広げ、異なる粘度のスラリー、さらに複数種類のスラリーの混合に対応するために、洗浄チャンバのチャンバ体に対してシリーズ化の最適化を行う必要があり、スラリーの粘度、溢出量を評価して関連関係を構築するのは、異なるスラリー供給の作動状態の場合にタイプを交換する参考根拠となっている。
【0008】
塗布の一時停止、塗布の長時間停止に対応するため、スラリーの、洗浄チャンバへの一時過充填、又は長時間溢流による洗浄チャンバへの過充填に対して、作動状態の細分化を行い、且つ自動動的洗浄、周期的洗浄方式を使用し、スラリーの洗浄チャンバへの過充填を予防する。
【0009】
従来技術の不足を克服するために、本発明は、従来技術に存在する洗浄チャンバがマッチしないことによる洗浄の貫通不可、洗浄機能の失陥などの技術的欠陥を解決するための押出塗布洗浄チャンバシリーズ及び洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明がその技術的問題を解決するために採用する技術案は、
複数の洗浄チャンバを備え、複数の洗浄チャンバが洗浄チャンバシリーズを構成し、各洗浄チャンバはいずれも内部チャンバ体を有し、洗浄チャンバの側部が前記内部チャンバ体に連通される洗浄チャンバ口部を有し、複数の洗浄チャンバの内部チャンバ体の断面輪郭は弦が共通な一連の曲線である、押出塗布洗浄チャンバシリーズである。
【0011】
上記技術案の改善として、前記洗浄チャンバシリーズの複数の洗浄チャンバの内部チャンバ体の断面輪郭は、弦が共通な一連の円弧である。
【0012】
上記技術案のさらなる改善として、前記洗浄チャンバシリーズは5つの洗浄チャンバを備え、5つの洗浄チャンバに対応する5つの内部チャンバ体は第1内部チャンバ体、第2内部チャンバ体、第3内部チャンバ体、第4内部チャンバ体及び第5内部チャンバ体であり、第1内部チャンバ体、第2内部チャンバ体、第3内部チャンバ体、第4内部チャンバ体及び第5内部チャンバ体の断面直径はそれぞれ3.2mm、3.5mm、4mm、5mm及び6mmである。
【0013】
上記技術案のさらなる改善として、前記洗浄チャンバの洗浄チャンバ口部はその上下内側壁にシールストリップ取付溝が開設され、前記シールストリップ取付溝にシールストリップが取り付けられており、洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバの洗浄チャンバ口部、シールストリップ取付溝のサイズはいずれも同じであり、且つシールストリップが洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバに適用され、洗浄チャンバの両端に洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバに適合可能な汎用端面密封板が設けられている。
【0014】
以下のステップを含む押出塗布洗浄方法である。
ステップS1において、塗布ヘッドのリップ部から溢れ出たスラリーの包絡線を評価し、洗浄チャンバシリーズからそのうちの1つの洗浄チャンバを選択し、前記包絡線に包絡された面積が選択された洗浄チャンバの内部チャンバ体の断面積の30%~70%を占めるように確保し、包絡線の内部チャンバ体における「包絡外空間」は洗浄チャンバの洗浄作業時の洗浄剤急速貫通通路であり、
前記「包絡外空間」は洗浄チャンバにおける包絡線の包絡範囲以外の空間である。
ステップS2において、洗浄チャンバシリーズから選択された洗浄チャンバを利用し、静的洗浄方法又は動的洗浄方法を選択して塗布ヘッドに対して洗浄作業を行う。
【0015】
上記技術案の改善として、塗布ヘッドのリップ部から溢れ出たスラリーの包絡線はスラリーの溢出量と正相関し、スラリーの溢出量はスラリーの粘度、塗布機のポンプ速度、塗布ヘッドのバルブの閉じ速度、塗布ヘッドガスケットの厚さ及び重力による溢流のうちの複数の因子に影響され、関連機関のサイズ、パラメータが相対的に決定されている場合、主にスラリーの粘度の単因子に関係する。
【0016】
上記技術案のさらなる改善として、スラリーの粘度により洗浄チャンバを選択する方法は、洗浄チャンバシリーズにおける洗浄チャンバの数により、スラリーの粘度を対応するいくつかのグレードに分け、各グレードのスラリーの粘度は洗浄チャンバシリーズにおける1つの洗浄チャンバにマッチし、粘度が低いスラリーは内部チャンバ体が小さい洗浄チャンバを選択し、粘度のグレードの増加に伴い、洗浄チャンバシリーズから内部チャンバ体が徐々に増大する洗浄チャンバを選択するものである。
【0017】
上記技術案のさらなる改善として、前記スラリーの粘度は、2000cp、4000cp、8000cp、12000cp、20000cpという計5つのグレードに分けられ、前記洗浄チャンバシリーズは5つの洗浄チャンバを備え、5つの洗浄チャンバに対応する5つの内部チャンバ体は第1内部チャンバ体、第2内部チャンバ体、第3内部チャンバ体、第4内部チャンバ体及び第5内部チャンバ体であり、第1内部チャンバ体、第2内部チャンバ体、第3内部チャンバ体、第4内部チャンバ体及び第5内部チャンバ体の断面は弦が共通な5つの円弧であり、弦が共通な5つの円弧の直径はそれぞれ3.2mm、3.5mm、4mm、5mm及び6mmである。
【0018】
上記技術案のさらなる改善として、前記静的洗浄方法は一時的洗浄方法であり、静的洗浄方法は、塗布設備の塗布が塗布進行中、塗布の合間、又は塗布設備の短時間運転停止時に採用される洗浄方法であり、静的洗浄方法においては、前記包絡線を利用して内部チャンバ体の中の包絡範囲外の残りの流通通路に洗浄剤を注入させ、流れる洗浄剤が洗浄チャンバの内部チャンバ体を急速に貫通して、残留している溢出スラリーを運ぶことにより、残留している溢出スラリーを洗浄チャンバの内部チャンバ体の一端から流出させる。
【0019】
上記技術案のさらなる改善として、前記動的洗浄方法は周期性洗浄方法であり、動的洗浄方法は、塗布設備が長時間運転停止した場合、又は運転停止時間が長いため洗浄チャンバの内部チャンバ体に充填されたスラリーが占める内部チャンバ体の体積が70%より大きくなってしまう場合に使用され、動的洗浄方法は洗浄剤洗浄、保湿、エアーによる洗浄剤の残留のパージという完全な動作サイクルを含む。動的洗浄方法の長時間運転停止時における参照洗浄周期は30~60min毎である。本発明を具体的に実施する場合、動的洗浄の回数は制限されず、運転停止時間は制限されず、数日に及ぶ場合がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明は押出塗布洗浄チャンバシリーズ及び洗浄方法を提供し、このような押出塗布洗浄チャンバシリーズ及び洗浄方法は、洗浄チャンバシリーズを提供し、洗浄チャンバシリーズから適切な洗浄チャンバを選択して洗浄作業を行うことで、塗布ヘッドが洗浄時に非常に高い洗浄成功率を持ち、洗浄効率及び塗布効率を大幅に向上させ、自動化程度がより高く、労働強度及び人件費を低下させ、企業の生産効果の向上に有利である。
【0021】
以上より、このような押出塗布洗浄チャンバシリーズ及び洗浄方法は、従来技術に存在する洗浄チャンバがマッチしないことによる洗浄の貫通不可、洗浄機能の失陥などの技術的欠陥を解決している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0023】
図1】本発明に係る押出塗布洗浄チャンバシリーズの実施例1の構造原理図である。
図2】本発明に係る押出塗布洗浄チャンバシリーズの実施例1の密封原理模式図である。
図3】本発明に係る押出塗布洗浄方法のフローチャートの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の目的、特徴、効果を十分に理解するために、本発明の構想、具体的な構造、及び生じた技術効果について、実施例及び図面を参照しながら明確且つ完全に説明する。説明された実施例はすべての実施例ではなく、本発明の一部の実施例にすぎず、本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提で得られる他の実施例はいずれも、本発明の保護の範囲に属していることは明らかである。また、特許において係るすべての連結・接続関係とは、部材が直接つながることのみを意味しているわけではなく、具体的な実施状況に応じて、連結補助具を加えるまたは減らすことで、より優れた連結構造を構成することができることを意味している。本発明創造における各技術特徴は、互いに矛盾せず衝突しない前提で相互に組み合わせることができ、図1~3を参照するようになる。
【0025】
複数の洗浄チャンバ1を備える押出塗布洗浄チャンバシリーズであり、複数の洗浄チャンバ1が洗浄チャンバシリーズを構成し、各洗浄チャンバ1はいずれも内部チャンバ体10を有し、洗浄チャンバ1の側部が前記内部チャンバ体10に連通される洗浄チャンバ口部11を有し、複数の洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10の断面輪郭は弦が共通な一連の曲線である。
【0026】
好ましくは、前記洗浄チャンバシリーズの複数の洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10の断面輪郭は弦が共通な一連の円弧である。
【0027】
本実施例において、前記洗浄チャンバシリーズは5つの洗浄チャンバ1を備え、5つの洗浄チャンバ1は内部チャンバ体10の大きさに応じて5つのグレードに分けられ、5つの洗浄チャンバ1に対応する5つの内部チャンバ体10は第1内部チャンバ体101、第2内部チャンバ体102、第3内部チャンバ体103、第4内部チャンバ体104及び第5内部チャンバ体105であり、第1内部チャンバ体101、第2内部チャンバ体102、第3内部チャンバ体103、第4内部チャンバ体104及び第5内部チャンバ体105の断面直径はそれぞれ3.2mm、3.5mm、4mm、5mm及び6mmであり、第1内部チャンバ体101、第2内部チャンバ体102、第3内部チャンバ体103、第4内部チャンバ体104及び第5内部チャンバ体105と洗浄チャンバ口部11との接続箇所のサイズは同じである。
【0028】
他の実施例において、2個、3個、4個、6個、7個、8個、9個又は10個を洗浄チャンバシリーズに含まれる洗浄チャンバ1の個数として選択し、実施者は具体的な実施環境に応じて適切な数を選択して、数が適切なグレードを形成することができる。
【0029】
また、実施者は、楕円などの他の弦が共通な曲線を洗浄チャンバシリーズの内部チャンバ体10の断面輪郭として選択してもよい。
【0030】
シリーズ化構想に基づくすべての発明創造はいずれも本発明の保護範囲に属している。
【0031】
洗浄チャンバ1の洗浄機能を使用する前に、洗浄チャンバ1と塗布ヘッド4との密封性を先に確保すべきであり、そうしないと、密封が不良で、スラリーが溢れ出て、塗布ヘッド4の作業環境をより一層悪化させる。
【0032】
そのため、本技術案において、前記洗浄チャンバ1の洗浄チャンバ口部11はその上下内側壁にシールストリップ取付溝12が開設され、前記シールストリップ取付溝12にシールストリップ2が取り付けられており、洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバ1の洗浄チャンバ口部11、シールストリップ取付溝12のサイズはいずれも同じであり、且つシールストリップ2が洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバ1に適用され、洗浄チャンバ1の両端に洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバ1に適合可能な汎用端面密封板3が設けられている。
【0033】
具体的に応用する時に、シールストリップ2がシールストリップ取付溝12に固定された後に、シールストリップ2の外延部と塗布ヘッド4のリップ部の上下両側壁とが線密封を形成し、端面密封板3と洗浄チャンバ1の端面とが面密封を形成し、洗浄チャンバシリーズにおける各洗浄チャンバ1は、内部チャンバ体10のサイズが異なる以外、その他のサイズは同じであり、その他の部材は共通であり、このようにすることで、異なる粘度のスラリーで洗浄チャンバを交換する時に、端面密封機構を交換する必要がなく、タイプ交換物料及びタイプ交換時間を減少させ、時間コストを節約し、効率を向上させる。
【0034】
材料を選択する時に、シールストリップ2の硬度及び圧縮程度は、操作ミスをした場合に、工場の最高圧力になっても、依然として洗浄剤又はスラリーを漏らすことなく、良好な密封を達することができるように密封効果を確保する必要がある。
【0035】
上記の押出塗布洗浄チャンバシリーズに基づいて、本発明は、
塗布ヘッド4のリップ部から溢れ出たスラリーの包絡線5を評価し、洗浄チャンバシリーズからそのうちの1つの洗浄チャンバ1を選択し、前記包絡線5に包絡された面積が選択された洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10の断面積の30%~70%を占めるように確保し、包絡線5の内部チャンバ体10における「包絡外空間」は洗浄チャンバ1の洗浄作業時の洗浄剤急速貫通通路であるステップS1と、
洗浄チャンバシリーズから選択された洗浄チャンバ1を利用し、計画運転停止時間により静的洗浄方法又は動的洗浄方法を選択し、塗布ヘッド4に対して洗浄作業を行うステップS2と、を含む、押出塗布洗浄方法をさらに提供する。
【0036】
上記の30%~70%は、発明者が実際の試験過程において得た高い洗浄成功率及び洗浄効果を有する範囲値であり、実際の応用時に、好ましくは、包絡線5に包絡された面積が内部チャンバ体10の断面積の半分を占めるとよい。
【0037】
好ましくは、塗布ヘッド4のリップ部から溢れ出たスラリーの包絡線5はスラリーの溢出量と正相関し、スラリーの溢出量はスラリーの粘度、塗布機のポンプ速度、塗布ヘッドのバルブの閉じ速度、塗布ヘッドガスケットの厚さ及び重力による溢流のうちの複数の因子に影響され、関連機関のサイズ、パラメータが相対的に決定されている場合、主にスラリーの粘度の単因子に関係する。
【0038】
ここで、上記因子のうち、塗布機のポンプ速度、塗布ヘッドのバルブの閉じ速度、塗布ヘッドガスケットの厚さ及び重力による溢流といった因子は相対的に制御可能であり、又は変化が少なく、一旦設備のコミッショニングが完了すると、勝手に変更されないため、スラリーの溢出量に影響を与える主な因子は、主にスラリーの粘度の因子に集中し、これは、スラリーの粘度は塗布される製品の塗布に応じて随時変化しているものであり、且つ常に変化する必要があるからである。
【0039】
これから分かるように、設備のコミッショニングが完了した後に、塗布ヘッド4のリップ部にあるスラリーが溢れ出てなる包絡線5に影響を与える主な因子はスラリーの粘度である。従って、スラリーの粘度と洗浄チャンバシリーズにおけるある1つの洗浄チャンバとの関係を構築することが、必要である。
【0040】
好ましくは、スラリーの粘度により洗浄チャンバ1を選択する方法は、洗浄チャンバシリーズにおける洗浄チャンバ1の数により、スラリーの粘度を対応するいくつかのグレードに分け、各グレードのスラリーの粘度は洗浄チャンバシリーズにおける1つの洗浄チャンバ1にマッチし、粘度が低いスラリーは内部チャンバ体10が小さい洗浄チャンバ1を選択し、粘度のグレードの増加に伴い、洗浄チャンバシリーズから内部チャンバ体10が徐々に増大する洗浄チャンバ1を選択するものである。
【0041】
本実施例において、好ましくは、前記スラリーの粘度は、2000cp、4000cp、8000cp、12000cp、20000cpという計5つのグレードに分けられ、前記洗浄チャンバシリーズは5つの洗浄チャンバ1を備え、5つの洗浄チャンバ1に対応する5つの内部チャンバ体10は第1内部チャンバ体101、第2内部チャンバ体102、第3内部チャンバ体103、第4内部チャンバ体104及び第5内部チャンバ体105であり、第1内部チャンバ体101、第2内部チャンバ体102、第3内部チャンバ体103、第4内部チャンバ体104及び第5内部チャンバ体105の断面は弦が共通な5つの円弧であり、弦が共通な5つの円弧の直径はそれぞれ3.2mm、3.5mm、4mm、5mm及び6mmである。
【0042】
上記実施例において、スラリーの粘度は5つのグレードに分けられ、洗浄チャンバシリーズは5つのグレードのスラリーの粘度に1対1に対応するために、5つの洗浄チャンバ1を備える。
【0043】
上記実施例において、実際に洗浄チャンバ1を選択する時に、粘度が4000cpであるスラリーに対応するために、第1内部101を有する洗浄チャンバ1を選択使用すれば、スラリー溢出量がおそらくチャンバ体の断面の70%を超えてしまうと評価し、即ち、洗浄剤の貫通率が低下し(スラリーが詰まってしまう)、さらに洗浄機能の失陥を起こしてしまい、
上記実施例において、粘度が4000cpであるスラリーに対応するために、第1内部103を有する洗浄チャンバ1を選択使用すれば、塗布ヘッド4内のスラリーは大量に希釈され、これにより、塗布に戻った後に、箔材に長い不均一塗布層が生じ、発生したスクラップが長くなり、経済効果の向上に不利である。
【0044】
本発明に係る技術案において、グレード分けの洗浄チャンバシリーズを採用することで、単一のスラリーの複数種類の粘度に応用できるだけでなく、複数種類のスラリーが混合して使用される場合にも応用でき、汎用性に強いという利点があり、応用が便利で柔軟である。
【0045】
好ましくは、前記静的洗浄方法は一時的洗浄方法であり、静的洗浄方法は、塗布設備の塗布が塗布進行中、塗布の合間、又は塗布設備の短時間運転停止時に採用される洗浄方法であり、静的洗浄方法において、前記包絡線5を利用して内部チャンバ体10の中の包絡範囲外の残りの流通通路に洗浄剤を注入させ、流れる洗浄剤が洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10を急速に貫通して、残留している溢出スラリーを運ぶことにより、残留している溢出スラリーを洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10の一端から流出させる。
【0046】
静的洗浄方法においては、空間分離原理が使用されている。塗布ヘッド4のリップ部から溢れ出たスラリーの包絡線5を評価し、この包絡線5は、弦が共通な一連の曲線から選んだ、ある1つの面積の30%~70%を占めるべきであり、予備残容積は洗浄剤の急速貫通に使用される。
【0047】
好ましくは、前記動的洗浄方法は周期性洗浄方法であり、動的洗浄方法は、塗布設備が長時間運転停止した場合、又は運転停止時間が長いため洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10に充填されたスラリーが占める内部チャンバ体10の体積が70%より大きくなってしまう場合に使用され、動的洗浄方法は洗浄剤洗浄、パージエアー洗浄のうちの少なくとも1種類を含み、適時、定時な周期性洗浄を行う。これにより、洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10全体にスラリーが充満して乾燥して、洗浄チャンバ1を貫通不可にすることを回避し、さらに洗浄機能の失陥が発生する状況を回避し、洗浄チャンバ1が正常に使用できることを保証し、塗布設備が常時正常に塗布できる状態にあることも保証する。動的洗浄方法の運転停止時における洗浄周期は30~60minであり、運転停止時の毎日の洗浄の回数は2~24回であり、以上は本発明創造の好ましい動的洗浄方法にすぎず、他の実施例において、洗浄の回数及び運転停止時間は制限されず、運転停止時間は数日にも及び、実施者は具体的な実施条件及び環境に応じて異なる洗浄の回数及び間隔周期を設定することができる。
【0048】
動的洗浄方法においては、時間分離原理が使用されている。溢出スラリーは、容積の半分を超えて洗浄チャンバ1の内部チャンバ体10全体に充満する可能性がある。あるいは、長時間運転停止した場合に、スラリーが内部チャンバ体10全体に充満して乾燥して、内部チャンバ体10を貫通不可にすることを回避するために、洗浄チャンバ1に対して適時、定時な周期性洗浄を行う。動的洗浄方法を採用することで洗浄機能の失陥を回避することができる。
【0049】
本技術案を採用する前に、塗布スラリーは10秒程度乾燥する状況が発生し、さらに塗り漏れを引き起こしてしまう。
【0050】
本発明に係る技術案を採用すると、塗布ヘッド1のリップ部のスラリーを24時間、さらにそれ以上の時間乾燥しないように保持可能であり、企業の正常な運行にとって非常に重要な意義がある。
【0051】
以上、本発明の好適な実施例を具体的に説明したが、本発明創造は前記実施例に限定されるものではなく、当業者は、本発明の精神から逸脱しない前提で、種々の均等な変形又は置き換えを行うことができ、これらの均等な変形又は置き換えは、本発明の特許請求の範囲が限定した範囲内に含まれる。
図1
図2
図3