(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】画像をエンコーディング及びデコーディングする方法、エンコーディング及びデコーディング装置、並びに、対応するコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 19/103 20140101AFI20240621BHJP
H04N 19/167 20140101ALI20240621BHJP
H04N 19/172 20140101ALI20240621BHJP
H04N 19/174 20140101ALI20240621BHJP
H04N 19/70 20140101ALI20240621BHJP
【FI】
H04N19/103
H04N19/167
H04N19/172
H04N19/174
H04N19/70
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023034726
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2019572062の分割
【原出願日】2018-06-28
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591034154
【氏名又は名称】オランジュ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・アンリ
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】バッパディトヤ・レイ
【審査官】田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-168867(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0215223(US,A1)
【文献】国際公開第2012/057164(WO,A1)
【文献】特表2019-513320(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0082184(US,A1)
【文献】Xiaozhong Xu, Shan Liu, Jing Ye, Kai Zhang, Shawmin Lei,Non-SCCE1: PU intra block copy with flipping mode[online], JCTVC-R JCTVC-R0204,インターネット<URL:http://phenix.it-sudparis.eu/jct/doc_end_user/documents/18_Sapporo/wg11/JCTVC-R0204-v3.zip><JCTVC-R0204_r1.doc>,2014年06月28日,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/12
H04N 19/00 - 19/98
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックに分割された画像(ICj)をコーディングする方法であって、
前記画像は、少なくとも2つの別個のゾーン(Z1、Z2)を含み、前記ブロックのうちの少なくとも1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちの1つのゾーン(Z1)に属し、前記ブロックのうちの少なくとも別の1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちのもう1つのゾーン(Z2)に属す、方法において、
前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンのブロックが、前記もう1つのゾーンのブロックの左に位置し、
前記画像の前記ゾーンのうちの前記1つのゾーン(Z1)の前記ブロック(B
u
)をコーディングするステップを実装することを特徴とし、
前記コーディングするステップは、
・予めコーディングされ、次いで、デコーディングされた、前記もう1つのゾーンの前記ブロックの支援によって、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックを予測するステップ(C6a)~(C8a)と、
・イントラブロックコピー予測モードが前記画像の前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックを予測するのに使用されたかどうかを通知する情報のアイテム(ibc_flag)をコーディングするステップ(C100a)と、
・前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記コーディング済みのブロックをデコーディングするステップと、
・前記コーディングされた情報のアイテムの関数として、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記デコーディング済みのブロックのデータを保存するステップ(C101b)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記予めコーディングされ、次いで、デコーディングされたブロックに関する場所情報の少なくとも1つのアイテムのコーディングを有する、請求項1に記載のコーディング方法。
【請求項3】
前記画像の前記2つのゾーンのそれぞれのものに関する識別情報のアイテム(fp_type)のコーディング(C3)を実装する、請求項1又は2に記載のコーディング方法。
【請求項4】
ブロックに分割された画像(IC
j
)をコーディングする装置(CO)であって、
前記画像は、少なくとも2つの別個のゾーン(Z1、Z2)を含み、前記ブロックのうちの少なくとも1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちの1つのゾーン(Z1)に属し、前記ブロックのうちの少なくとも別の1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちのもう1つのゾーン(Z2)に属す、装置(CO)において、
前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンのブロックが、前記もう1つのゾーンのブロックの左に位置し、
前記画像の前記ゾーンのうちの前記1つのゾーン(Z1)の前記ブロック(B
u
)をコーディングすることであって、
・予めコーディングされ、次いで、デコーディングされた、前記もう1つのゾーンの前記ブロックの支援によって、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックを予測することと、
・イントラブロックコピー予測モードが前記画像の前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックを予測するのに使用されたかどうかを通知する情報のアイテムをコーディングすることと、
・前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記コーディング済みのブロックをデコーディングすることと、
・前記コーディングされた情報のアイテムの関数として、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記デコーディング済みのブロックのデータを保存することと、
を含む、コーディングすることを行うように設計された処理回路(CT_C)を有する装置(CO)。
【請求項5】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上において実行された際に、請求項1~3のいずれか1項に記載のコーディング方法のステップの実行のためのプログラムコード命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項6】
コンピュータプログラムが記録された、コンピュータによって読取り可能である記録媒体であって、前記コンピュータプログラムは、前記プログラムがコンピュータによって実行された際に、請求項1~3のいずれか1項に記載のコーディング方法のステップの実行のためのプログラムコード命令を有する、媒体。
【請求項7】
コーディング済みのブロックに分割された画像(IC
j
)を表すデータ信号(F)をデコーディングする方法であって、
前記画像は、少なくとも2つの別個のゾーンを含み、前記ブロックのうちの少なくとも1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちの1つのゾーン(Z1)に属し、前記ブロックのうちの少なくとも別の1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちのもう1つのゾーン(Z2)に属す、方法において、
前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンのブロックが、前記もう1つのゾーンのブロックの左に位置し、
前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックをデコーディングするステップを実装することを特徴とし、
前記デコーディングするステップは、
・イントラブロックコピー予測モードが前記画像の前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックを予測するのに使用されるかどうかを通知する情報のアイテムを前記データ信号内において読み取るステップ(D7a)であって、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックは、予めデコーディングされた前記もう1つのゾーンの前記ブロックを使用することにより、予測されるべく意図されている、ステップと、
・前記読み取られた情報のアイテムによって示される予測を使用することにより、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックをデコーディングするステップ(D8a)-(D10a)と
・前記読み取られた情報のアイテムの関数として、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記デコーディング済みのブロックのデータを保存するステップ(D100b)と
を含む、方法。
【請求項8】
前記予めコーディングされ、次いで、デコーディングされたブロックに関する場所情報の少なくとも1つのアイテムの、前記データ信号内における、読取りを有する、請求項7に記載のデコーディング方法。
【請求項9】
前記画像の前記ゾーンのそれぞれは、前記データ信号内において読み取られた対応する識別情報のアイテム(fp_type)を読み取ることによって識別される、請求項7又は8に記載のデコーディング方法。
【請求項10】
コーディング済みのブロックに分割された画像(IC
j
)を表すデータ信号(F)をデコーディングする装置であって、
前記画像は、少なくとも2つの別個のゾーン(Z1、Z2)を含み、前記ブロックのうちの少なくとも1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちの1つのゾーン(Z1)に属し、前記ブロックのうちの少なくとも別の1つのブロックは、前記画像の前記ゾーンのうちのもう1つのゾーン(Z2)に属す、前記装置において、
前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンのブロックが、前記もう1つのゾーンのブロックの左に位置し、
前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックをデコーディングすることであって、
・イントラブロックコピー予測モードが前記画像の前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックを予測するのに使用されるかどうかを通知する情報のアイテムを前記データ信号内において読み取ることであって、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックは、予めデコーディングされた前記もう1つのゾーンの前記ブロックを使用することにより、予測されるべく意図されている、読み取ることと、
・前記読み取られた情報のアイテムによって示される予測を使用することにより、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記ブロックをデコーディングすることと、
・前記読み取られた情報のアイテムの関数として、前記ゾーンのうちの前記1つのゾーンの前記デコーディング済みのブロックのデータを保存すること(D100b)と、
を含む、デコーディングすることを行うように設計された処理回路(CT_D)を有する装置。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上において実行された際に、請求項7~9のいずれか1項に記載のデコーディング方法のステップの実行のためのプログラムコード命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータプログラムが記録された、コンピュータによって読取り可能である記録媒体であって、前記コンピュータプログラムは、前記プログラムがコンピュータによって実行された際に、請求項7~9のいずれか1項に記載のデコーディング方法のステップの実行のためのプログラムコード命令を有する、媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、画像処理の分野に関し、且つ、更に詳しくは、デジタル画像が固定されているのか、又はデジタル画像のシーケンスの一部分を形成しているのかを問わず、これらデジタル画像のパラメータのコーディング及びデコーディングに関する。
【0002】
このような画像パラメータのコーディング/デコーディングは、具体的には、
-1つの且つ同一のカメラから生じた、且つ、互いに時間的に後続している、画像(2Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-異なる視野に従って方向付けされた様々なカメラから生じた画像(3Dタイプのコーディング及びデコーディング)、
-対応するテクスチャコンポーネント及び深さコンポーネント(3Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-360°ビデオの投影によって得られた画像、
-など、
を有する少なくとも1つのビデオシーケンスから生じた画像に適用される。
【0003】
本発明は、類似の方式により、2D又は3Dタイプの画像パラメータのコーディング/デコーディングに適用される。
【0004】
本発明は、具体的には、但し、限定を伴うことなしに、現時点のAVC(「Advanced Video Coding」の英語略号)及びHEVC(「High Efficiency Video Coding」の英語略号)ビデオコーダ及びその拡張(MVC、3D-AVC、MV-HEVC、3D-HEVCなど)において実装されるビデオコーディングに、且つ、対応するデコーディングに、適用することができる。
【背景技術】
【0005】
現時点のビデオコーダ(MPEG、H.265、HEVCなど)は、ビデオシーケンスのブロック的な表現を使用している。画像は、ブロックに分割されており、これらのブロックは、例えば、HEVC規格におけるように、再帰的な方式により、再度分割しうるであろう。
【0006】
コーディング対象の現時点のブロックにおいて、このブロックと関連する画像パラメータは、例えば、その目的が、損失を伴うことなしにこれらのパラメータをコーディングすることであるエントロピーコーダなどの、コーダによって実装される適合されたコーディング方式の支援により、ビットの形態において、コーディングされている。
【0007】
このようなパラメータは、例えば、
-現時点のブロックのピクセルの残差予測係数、
-現時点のブロックの予測のモード(イントラ予測、インター予測、情報がデコーダに送信されない予測を実行する既定の予測(英語においては、「skip」))、
-現時点のブロックの予測のタイプを規定した情報(向きや基本画像など)、
-現時点のブロックの分割のタイプ、
-必要に応じて、現時点のブロックのモーション情報、
-など、
である。
【0008】
エントロピーコーディングの後に得られたビットは、デコーダへの送信が意図されたデータ信号に書き込まれる。
【0009】
コーディング済みのデータ信号がデコーダによって受け取られたら、デコーディングが、画像ごとに、且つ、それぞれの画像ごとに、ブロックごとに、実行される。それぞれのブロックごとに、ブロックと関連する画像パラメータを表すビットが、読み取られ、且つ、次いで、デコーダによって実装されるデコーディング方式の支援により、デコーディングされる。
【0010】
検討対象のそれぞれの画像タイプ又はフォーマットごとに、特定のコーディングが実装されている。従って、例えば、AVC及びHEVCコーダ/デコーダは、1つの且つ同一のカメラに由来する、且つ、相互に時間的に後続する、2D画像をコーディング及びデコーディングするように適合されている。
【0011】
上述のタイプのコーディングは、一般に、検討対象の現時点の画像について、現時点のブロックの予測を使用している。
【0012】
例えば、
-現時点のブロックのものに隣接するピクセルに関して現時点のブロックのピクセルを予測するステップを有するイントラ予測モードであって、これらの隣接するピクセルは、既に、コーディングされ、次いで、デコーディングされており、且つ、恐らくは、例えば、HEVC規格における35などの、様々な既定の方向において位置している、イントラ予測モード、
-例えば、
・基準ピクセルのブロックと関連する時間モーションベクトルに関する現時点のブロックの時間モーションベクトル、
・時間モーションベクトルによって指し示され、且つ、現時点ブロックが属する現時点の画像とは別の画像内に位置している、基準ピクセルのブロックのピクセルに関する現時点のブロックのピクセル、
などの、現時点のブロックと関連する特定のコーディング情報を予測するステップを有するインター予測モード、
-その予めコーディング及びデコーディングされた部分内において、同一の画像に属するブロックを通じて現時点のブロックを予測することを可能にする、「SIP(2015), vol.4, page 1 to 12, 2015, Industrial technology advances, “Overview of HEVC extensions on screen content coding” by Shan Liu, Xiaozhong Xu, Shawmin Lei and Kevin Jou」という文献において記述されているものなどの「イントラブロックコピー」(IBC:Intra Block Copy)予測モード、
などの、様々な予測モードが存在している。
【0013】
これらの予測モードは、競争状態に設定され、且つ、現時点の画像のそれぞれのブロックの予測のために、例えば、ビットレート-歪基準などの、コーディング性能基準を最適化する予測モードが選択されている。
【0014】
上述の予測コーディングの欠点は、エンコーダ及びデコーダの両方におけるIBC予測の利用可能性が計算リソースを増大させる、という点にある。更には、エンコーダにおいて、IBC予測モードに固有のシンタックス要素をコーディングし、且つ、これをデコーダに送信される信号に書き込むことを必要としており、この結果、シグナリング費用が増大する。最後に、IBC予測モードは、現時点のブロックのコーディング及びデコーディングに使用されるように提供するべく、エンコーダ及びデコーダにおけるすべての画像データの保存を必要としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明は、
-現時点の画像のコーディング/デコーディングの性能、
-現時点の画像のコーディング/デコーディングの複雑さ、
-エンコーダ及びデコーダにおけるメモリリソースの低減、
を最適化することを可能にしつつ、所与のタイプ又はフォーマットのビデオコンテンツに由来する現時点の画像に対して2つの異なる予測モードを現時点において適用するべく提案するコーダ/デコーダを目的としている。
【0016】
本発明の目的の1つは、上述の従来技術の欠点を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これを目的として、本発明の主題は、ブロックに分割された画像をコーディングする方法に関し、この場合に、前記画像は、2つの別個のゾーンを含む。
【0018】
このようなコーディング方法は、
-現時点のブロックが画像のゾーンの1つに属しているケースにおいてのみ、
・予測の支援によって現時点のブロックをコーディングするステップであって、現時点のブロックは、画像のもう1つのゾーン内に位置している、予めコーディングされ、次いで、デコーディングされた、ブロックを使用することにより、予測され、もう1つのゾーンのブロックは、予めコーディングされ、次いで、デコーディングされている、ステップと、
・使用されている予測の適用を通知する情報のアイテムをコーディングするステップと、
-画像のもう1つのゾーンに属する任意のデコーディング済みのブロックについて、デコーディング済みのブロックのデータを保存するステップと、
を実装する、という点において注目に値する。
【0019】
このような方式は、コーディングの複雑さを低減することを可能にし、その理由は、特定の予測モードが画像のもう1つのゾーンのために使用されておらず、且つ、従って、もう1つのゾーン内に位置しているブロックのコーディングの際に、もう1つの予測モードに関して、競争状態に設定されないからである。
【0020】
このような方式は、コーディングデータの保存の費用を低減することを更に可能にし、その理由は、画像の、コーディングされ、次いで、デコーディングされた、ブロックのデータが、画像の2つのゾーンのうちの1つについてのみ、保存されるからである。
【0021】
特定の一実施形態によれば、コーディング方法は、予めコーディングされ、次いで、デコーディングされた、ブロックに関する場所情報の少なくとも1つのアイテムのコーディングを有する。このような場所情報のアイテムは、モーションベクトル又は座標の組であってよい。
【0022】
このようにコーディングされた場所情報の前記アイテムは、デコーダに送信され、これにより、現時点の画像のゾーンのうちの1つに属する現時点のブロックのデコーディングの際に、デコーダが、現時点の画像のもう1つのゾーン内に位置するデコーディング済みのブロックを見出すことを許容している。
【0023】
特定の一実施形態によれば、画像の2つのゾーンのそれぞれのものに関する識別情報のアイテムのコーディングが実装されている。
【0024】
このような方式は、相互の関係におけるゾーンのそれぞれのものの位置をデコーダに送信することを可能にしている。
【0025】
相関した方式により、本発明は、ブロックに分割された画像をコーディングする装置に関し、前記画像は、2つの別個のゾーンを含み、装置は、
-現時点のブロックが画像のゾーンのうちの1つに属するケースにおいてのみ、
・予測の支援によって現時点のブロックをコーディングすることであって、現時点のブロックは、画像のもう1つのゾーン内に位置している、予めコーディングされ、次いで、デコーディングされた、ブロックを使用することにより、予測され、もう1つのゾーンのブロックは、予めコーディングされ、次いで、デコーディングされている、ことと、
・使用されている予測の適用を通知する情報のアイテムをコーディングすることと、
-画像のもう1つのゾーンに属する任意のデコーディング済みのブロックについて、デコーディング済みのブロックのデータを保存することと、
を行うように設計された処理回路を有する。
【0026】
また、対応する方式により、本発明は、コーディング済みのブロックに分割された画像を表すデータ信号をデコーディングする方法にも関し、この場合に、前記少なくとも1つの画像は、2つの別個のゾーンを含む。
【0027】
このようなデコーディング方法は、
-現時点のブロックが画像のゾーンの1つに属するケースにおいてのみ、
・予測の支援によって現時点のブロックのデコーディングを通知する情報のアイテムをデータ信号内において読み取るステップであって、現時点のブロックは、画像のもう1つのゾーン内に位置している、予めデコーディングされたブロックを使用することにより、予測されるように意図されており、前記その他のゾーンのブロックは、予めデコーディングされている、ステップと、
・前記予測を使用することにより、現時点のブロックをデコーディングするステップと、
-画像の前記ゾーンのもう1つのものに属する任意のデコーディング済みのブロックについて、デコーディング済みのブロックのデータを保存するステップと、
を実装する、という点において注目に値する。
【0028】
特定の一実施形態によれば、デコーディング方法は、予めコーディングされ、次いで、デコーディングされた、ブロックに関して場所情報の少なくとも1つのアイテムの、データ信号内における、読取りステップを有する。
【0029】
特定の一実施形態によれば、画像のゾーンのそれぞれは、データ信号内において読み取られた識別情報の対応するアイテムを読み取ることにより、識別されている。
【0030】
相関した方式により、本発明は、コーディング済みのブロックに分割された画像を表すデータ信号をデコーディングする装置に関し、前記画像は、2つの別個のゾーンを含み、装置は、
-現時点のブロックが画像のゾーンのうちの1つに属するケースにおいてのみ、
・予測の支援によって現時点のブロックのデコーディングを通知する情報のアイテムをデータ信号内において読み取ることであって、現時点のブロックは、画像のもう1つのゾーン内に位置している、予めデコーディングされたブロックを使用することにより、予測されるように意図されており、前記もう1つのゾーンのブロックは、予めデコーディングされている、ことと、
・前記予測を使用することにより、現時点のブロックをデコーディングすることと、
-画像の前記ゾーンのもう1つのものに属する任意のデコーディング済みのブロックについて、デコーディング済みのブロックのデータを保存することと、
を行うように設計された処理回路を有する。
【0031】
本発明は、コンピュータ上において実行された際に、本発明に従ってコーディング及びデコーディング方法のうちの1つを実装する命令を有するコンピュータプログラムに更に関する。
【0032】
このようなプログラムは、任意のプログラミング言語を使用することができると共に、ソースコード、オブジェクトコード、又は部分的にコンパイルされた形態などのソースコードとオブジェクトコードの間の中間のコードの形態、或いは、任意のその他の望ましい形態を有することができる。
【0033】
また、本発明の更に別の主題は、コンピュータによって読取り可能であると共に上述のようなコンピュータプログラム命令を有する記録媒体と考える。
【0034】
記録媒体は、プログラムを保存する能力を有する任意のエンティティ又は装置であってよい。例えば、媒体は、例えば、CD-ROM又はマイクロ電子回路ROMなどの、ROMなどのストレージ手段、或いは、さもなければ、例えば、USBキー又はハードディスクなどの、磁気記録手段、デジタル記録手段を有することができる。
【0035】
更には、このような記録媒体は、電気又は光ケーブルを介して、無線で、或いは、その他の手段により、搬送されうる、電気又は光信号などの、送信可能媒体であってもよい。本発明によるプログラムは、具体的には、インターネットタイプのネットワーク上においてダウンロードすることができる。
【0036】
或いは、この代わりに、このような記録媒体は、プログラムが内蔵された集積回路であってもよく、回路は、対象の方法を実行するように、或いは、その方法の実行の際に使用されるように、適合されている。
【0037】
その他の特性及び利点については、以下の図面を参照して記述される好適な実施形態を参照することにより、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1実施形態によるコーディング方法の進捗を表す。
【
図2】本発明の一実施形態によるコーディング装置を表す。
【
図4】本発明の一実施形態によるデコーディング方法の進捗を表す。
【
図5】本発明の一実施形態によるデコーディング装置を表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
コーディング部分の詳細な説明
以下、本発明の一実施形態について説明することとするが、この場合には、本発明によるコーディング方法は、現時点の又は将来出現するビデオコーディング規格の任意のものに従ってコーダ内において実装されるコーディングによって得られるものに近いバイナリストリームに従って、画像又は画像のシーケンスをコーディングするべく、使用されている。
【0040】
この実施形態においては、本発明によるコーディング方法は、例えば、このようなコーダの変更により、ソフトウェア又はハードウェア方式によって実装されている。本発明の第1実施形態によるコーディング方法は、
図1において表されているものなどの動作C1~C100a)、又はC1~C101b)を有するアルゴリズムの形態において表されている。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、本発明によるコーディング方法は、
図2において表されているコーディング装置又はコーダCO内において実装されている。
【0042】
図2に示されているように、コーダCOは、バッファメモリMT_Cを有するメモリMEM_Cと、本発明によるコーディング方法を実装するコンピュータプログラムPG_Cによって駆動されるプロセッサPROC_Cと、を有する。初期化の際に、コンピュータプログラムPG_Cのコード命令は、例えば、プロセッサPROC_Cによる実行の前に、MR_Cと表記されたRAMメモリ内に読み込まれる。
【0043】
図1において表されているコーディング方法は、コーディング対象である、固定された、或いは、さもなければ、L個の画像のシーケンスIC1、...、ICj、...、ICL(1≦j≦L)の一部分を形成する、任意の現時点の画像ICjに対して適用される。
【0044】
現時点の画像ICjは、非網羅的な例として、
-1つの且つ同一のカメラに由来する、且つ、時間的に相互に後続する、画像(2Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-異なる視野に従って方向付けされた様々なカメラに由来する画像(3Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-結果的に1つの且つ同一のシーンを表す、対応するテクスチャコンポーネント及び深さコンポーネント(3Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-360°ビデオの投射によって得られた画像、
-立体ビデオの投射によって得られ、且つ、それぞれ、ユーザーの左目及び右目によって観察されるように意図された、1つの且つ同一のシーンを表す2つの視野をそれぞれが有する、画像、
-例えば、スクリーンビデオキャプチャによって得られた画像などの、「スクリーンコンテンツ」タイプの非自然画像、
-など、
を有する少なくとも1つのビデオシーケンスに由来している。
【0045】
図1を参照すれば、C1において、複数のブロックB1、B2、...、Bu、...、BS(1≦u≦S)への現時点の画像ICjの分割が、それ自体が既知の方式により、実行されている。パーティション化は、
図2に表されているパーティション化装置MP_Cによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0046】
本発明の意味における「ブロック」という用語は、コーディング単位を意味していることに留意されたい。この用語法は、具体的には、「ISO/IEC/23008-2 Recommendation ITU-T H.265 High Efficiency Video Coding(HEVC)」というHEVC規格において使用されている。
【0047】
具体的には、このようなコーディング単位は、ブロック、マクロブロックとも呼称される、矩形又は正方形形状のピクセルの組、或いは、さもなければ、その他の幾何学的形状を有するピクセルの組、を1つにグループ化している。
【0048】
前記ブロックB1、B2、...、Bu、...、BSは、既定の移動の順序に従ってコーディングされるべく、意図されており、既定の移動の順序は、例えば、辞書的タイプのものである。これは、ブロックが、順番に、左から右へコーディングされることを意味している。
【0049】
当然のことながら、その他の移動のタイプも可能である。従って、画像ICjをスライスと呼称されるいくつかのサブ画像に分割することが可能であり、且つ、このタイプの分割をそれぞれのサブ画像に対して独立的に適用することができる。また、上述したように、行の連続ではなく、列の連続をコーディングすることもできる。また、量方向において行又は列を移動することもできる。
【0050】
一例によれば、ブロックB1、B2、...、Bu、...、BSは、正方形形状を有し、且つ、そのすべてがK個のピクセルを収容しており、この場合に、k≧1である。非網羅的な例として、ブロックは、64×64ピクセル、並びに/或いは、32×32及び/又は16×16及び/又は8×8ピクセル、のサイズを有する。
【0051】
ブロックのサイズの必ずしも倍数ではない、画像のサイズの関数として、左側の最後のブロック及び下部の最後のブロックは、正方形でない場合があろう。一代替実施形態においては、ブロックは、例えば、矩形のサイズを有していてもよく、且つ/又は、互いにアライメントされていなくてもよい。
【0052】
C2において、現時点の画像ICjの特性と関連する第1シンタックス要素activate_ibcのコーディングが実行されている。
【0053】
シンタックス要素activate_ibcは、現時点の画像ICjを有するビデオシーケンスのハイレベルなシンタックス要素である。これを目的として、コーディングコンテキストの関数として、この要素は、
-ビデオシーケンスのそれぞれの画像のコーディングの開始時点において、
-又は、画像のシーケンスのコーディングの開始時点おいて、1回のみ、
-又は、ビデオシーケンスのコーディングの開始時点において、1回のみ、
コーディングすることができる。
【0054】
シンタックス要素activate_ibcは、コーディング対象の現時点のブロックについて、現時点の画像の第1ゾーン内に位置する現時点のブロックが、それに従って、現時点の画像の第2ゾーン内に位置する予めコーディングされ、次いで、デコーディングされたブロックに関して予測される、本明細書において上述された「イントラブロックコピー」タイプの予測モードが、その他の既定の予測モードとの競争状態に設定されているかどうかを通知するように意図されており、この場合に、第2ゾーンのブロックは、予めコーディングされ、次いで、デコーディングされている。本発明によれば、第1及び第2ゾーンは、これらがオーバーラップしていない、という意味において、別個である。
【0055】
コーディングC2は、例えば、CABAC(「Content Adaptive Binary Arithmetic Coder)」タイプのエントロピーコーディングであるか、或いは、さもなければ、算術的又はハフマンタイプのエントロピーコーディングである。このコーディングは、
図2に表されているコーディング装置MC_Cによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0056】
好適な一実施形態によれば、シンタックス要素activate_ibcは、「イントラブロックコピー」タイプの予測モードが競争状態に設定されていない場合には、値0をとり、且つ、「イントラブロックコピー」タイプの予測モードが競争状態に設定されている場合には、値1をとる。
【0057】
図3Aに表されている第1実施形態によれば、現時点の画像ICjは、画像の下半分にわたって延在する第1ゾーンZ1と、画像の上半分にわたって延在する第2ゾーンZ2と、を有する。
【0058】
図3Bに表されている第2実施形態によれば、現時点の画像ICjは、画像の右半分にわたって延在する第1ゾーンZ1と、画像の左半分にわたって延在する第2ゾーンと、を有する。
【0059】
図3Cに表されている第3実施形態によれば、現時点の画像ICjは、画像の下部左4分の1にわたって延在する第1ゾーンZ1と、画像の上部左4分の1にわたって延在する第2ゾーンZ2と、を有する。
【0060】
当然のことながら、その他の構成も可能である。例えば、ゾーンZ1及びZ2は、スワップされてもよい。更には、ゾーンZ1及びZ2は、同一の形状を有していてもよく、或いは、そうでなくてもよい。
【0061】
任意選択により、
図1において破線状態において表されているように、C3において、現時点の画像ICjの別の特性と関連する第2シンタックス要素fp_typeのコーディングが実行されている。
【0062】
また、シンタックス要素fp_typeは、現時点の画像ICjを構成するビデオシーケンスのハイレベルなシンタックス要素でもある。これを目的として、コーディングコンテキストの関数として、この要素は、
-ビデオシーケンスのそれぞれの画像のコーディングの開始時点において、或いは、
-画像のシーケンスのコーディングの開始時点において、1回だけ、或いは、
-ビデオシーケンスのコーディングの開始時点において、1回だけ、
コーディングすることができる。
【0063】
シンタックス要素fp_typeは、現時点の画像が、単一の視野(ピクセルの矩形)を形成するように、同一の時点においてキャプチャされ、且つ、現時点の画像内において配列された、いくつかの視野から構成されているかどうかを通知するように意図されている。このような画像を構成する方法は、例えば、「フレームパッキング」(FP:Frame Packing)と呼称される技法を使用する。
【0064】
コーディングC3は、例えば、CABACタイプのエントロピーコーディングであるか、或いは、さもなければ、算術的又はハフマンタイプのエントロピーコーディングである。このコーディングは、
図2のコーディング装置MC_Cによって実装されている。
【0065】
好適な一実施形態によれば、シンタックス要素fp_typeは、例えば、
-ゾーンZ1及びZ2が、
図3Aに表されているように構成されていることを通知するための値01、
-ゾーンZ1及びZ2が、
図3Bに表されているように構成されていることを通知するための値10、
-ゾーンZ1及びZ2が、
図3Cに表されているように構成されていることを通知するための値11、
をとる。
【0066】
図1を参照すれば、
図2のコーダCOは、C4において、画像ICjのコーディング対象の現時点のブロックBuを選択している。
【0067】
C5において、例えば、画像ICjの上部左において位置する第1ピクセルに関する、且つ、座標(0,0)を有する、その座標を判定することにより、画像ICjの現時点のブロックBuの位置検出が実行されている。
【0068】
位置検出C5は、
図2に表されているものなどの計算装置CAL1_Cによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0069】
現時点のブロックBuが画像ICjの第1ゾーンZ1に属し、且つ、第1シンタックス要素activate_ibcが値1を有する場合には、C6a)において、「イントラブロックコピー」タイプの予測技法により、のみならず、従来の、例えば、イントラ及び/又はインター予測技法により、現時点のブロックBuの予測が実行される。これを目的として、ブロックBuは、直前において言及されている予測技法のうちの1つに属する予測のモードに従って、少なくとも1つのプレディクタブロックに関して予測されている。予測C6a)の最中に、プレディクタブロックに関する場所情報の少なくとも1つのアイテムが判定されている。このような情報のアイテムは、例えば、プレディクタブロックを指し示すモーションベクトル、プレディクタブロックの上部左における第1ピクセルの座標、などである。
【0070】
それ自体が既知である方式により、現時点のブロックBuは、複数の候補プレディクタブロックに関して予測されている。候補プレディクタブロックのそれぞれは、既にコーディングされ、次いで、デコーディングされた、ピクセルのブロックである。
【0071】
従って、イントラ予測技法のケースにおいては、現時点のブロックBuは、現時点のブロックの直接左又は上部に位置する、候補プレディクタブロックのデコーディング済みのピクセルの値に基づいて、補間により、予測されている。
【0072】
インター予測技法のケースにおいては、現時点のブロックBuは、1つ又は複数の予め処理及び保存済みの画像内に位置する候補プレディクタブロックのデコーディング済みのピクセルの値に基づいて、補間により、予測されている。
【0073】
本発明によれば、「イントラブロックコピー」予測技法のケースにおいては、現時点のブロックBuは、現時点の画像ICjの第2ゾーンZ2内に位置する候補プレディクタブロックのデコーディング済みのピクセルの値に基づいて、補間により、予測されている。
【0074】
予測ステップC6a)の完了の際に、例えば、当業者には周知の歪ビットレート基準を極小化することにより、既定のコーディング性能基準に従って、前記既定の予測技法の競争状態への設定の後に、最適なプレディクタブロックBPoptが得られる。ブロックBPoptは、現時点のブロックBuの近似であるものと見なされる。この予測に関係する情報は、デコーダに送信されるデータ信号又はストリーム内に、シンタックス要素の形態において、書き込まれることが意図されている。
【0075】
本発明によれば
-ブロックBPoptが「イントラブロックコピー」予測によって得られたケースにおいては、C100a)において、
図2のコーディング装置MC_Cによってシンタックス要素ibc_flagのコーディングが実行されている。シンタックス要素ibc_flagは、例えば、値1にコーディングされる。その他のシンタックス要素は、現時点の画像ICjの第2ゾーンZ2内において保存されているプレディクタブロックBPoptの場所を通知しており、これは、例えば、プレディクタブロックBPoptを指し示すモーションベクトル、プレディクタブロックBPoptの上部左における第1ピクセルの座標、などを伴っており、
-更には、ブロックBPoptが「イントラブロックコピー」予測によって得られなかったケースにおいては、シンタックス要素ibc_flagは、値0にコーディングされる。
【0076】
その後に、C7a)において、プレディクタブロックBPoptのデータとの間における、現時点のブロックBuに関係するデータの比較が、実行されている。このような比較は、得られたプレディクタブロックBPoptと現時点のブロックBuの間の差を算出するステップを有する。
【0077】
この結果、残留ブロックBruと呼称されるデータセットが得られる。
【0078】
動作C6a)及びC7a)は、
図2に表されている予測コーディング装置PRED_Cによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0079】
図1を再度参照すれば、現時点の残留ブロックBruのデータは、C8a)において、コーディングされている。
【0080】
非限定的な例示用の実施形態によれば、このようなコーディングC8a)は、現時点の残留ブロックBruのピクセルへの変換の適用C81a)を実装している。
【0081】
それ自体が既知である方式により、コンテキストの、又は使用されるコーディング規格の、関数として、このような変換は、例えば、DCT(「Discrete Cosine Transform」の英語略号)、DST(「Discrete Sine Transform」の英語略号)タイプ、DWT(「Discrete Wavelet Transform」の英語略号)、或いは、さもなければ、LT(「Lapped Transform」の英語略号)タイプの変換である。これらの変換は、
図2のコーダCOのバッファメモリMT_C内のリストLST内において、予め保存されている。
【0082】
この変換の適用の完了の際に、現時点の変換済みのデータブロックBtuが得られる。
【0083】
このような動作は、
図2に表されているものなどの変換計算装置MTR_Cによって実行され、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0084】
コーディングC8a)は、例えば、スカラー又はベクトル量子化などの、従来の量子化動作に従って、変換済みのブロックBtuのデータの量子化C82a)を更に実装している。この結果、量子化済みの係数のブロックBquが得られる。
【0085】
量子化C82a)は、
図2において表されているものなどの量子化装置MQ_Cによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0086】
変換計算装置MTR_C及び量子化装置MQ_Cは、
図2において表されているコーディングブロック用の装置MCB_C内に含まれており、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0087】
コーディングC8a)は、量子化された係数のブロックBquのデータのコーディングC83a)を更に実装している。コーディングC83a)は、
図2のコーディング装置MC_Cによって実装されている。コーディングC83a)の完了の際に、現時点のブロックBuのコーディング済みのデータの組DCuが得られる。
【0088】
図1を参照すれば、C9a)において、データ信号Fの一部分の構築が実行されており、前記部分は、本発明によれば、具体的には、
-C8a)において得られたコーディング済みのデータDCu、
-シンタックス要素ibc_flagの値0/1、
-任意選択により、それが画像レベルにおいてコーディングされている場合には、第1シンタックス要素activate_ibcの値0/1、
-任意選択により、それが画像レベルにおいてコーディングされている場合には、第2シンタックス要素fp_typeの値0/1、
を含む。
【0089】
信号部分Fの構築は、
図2に表されているものなどのデータ信号構築装置MCFによって実装されている。
【0090】
位置検出C5の完了の際に、現時点のブロックBuが画像ICjの第2ゾーンZ2に属しており、且つ、第1シンタックス要素activate_ibcが値1を有する場合には、C6b)において、例えば、イントラ及び/又はインター予測技法などの、従来のものにより、現時点のブロックBuの予測が実行される。これを目的として、ブロックBuは、直前において言及されている従来の予測技法のうちの1つに属する予測モードに従って、少なくとも1つのプレディクタブロックに関して予測される。
【0091】
予測ステップC6b)の完了の際に、最適なプレディクタブロックBPoptが、既定のコーディング性能基準に従って、前記既定の従来の予測技法の競争状態への設定の後に、例えば、歪ビットレート基準の極小化などにより、得られている。ブロックBPoptは、現時点のブロックBuの近似であるものと見なされる。この予測に関係する情報は、シンタックス要素の形態において、デコーダに送信されるデータ信号又はストリーム内に書き込まれるべく意図されている。
【0092】
C7b)において、得られたプレディクタブロックBPoptと現時点のブロックBuの間の差の計算が従来方式によって実装されている。
【0093】
この結果、残留ブロックBruと呼称されるデータセットが得られる。
【0094】
残留ブロックBruのコーディングC8b)が実装されており、これは、上述の動作C81a)、C82a)、及びC83a)とそれぞれ同一である、且つ、この理由から、ここでの再度の説明が省略されている、動作C81b)、C82b)、及びC83b)を有する。
【0095】
コーディングC83b)の完了の際に、現時点のブロックBuのコーディング済みのデータの組DCuが得られる。
【0096】
図1を参照すれば、C9b)において、データ信号Fの一部分の構築が実行されており、前記部分は、C8b)において得られたコーディング済みのデータDCuと、使用されている現時点のブロックの予測に関係する情報と、を含む。信号Fの一部分は、シンタックス要素ibc_flagの値0又は1を含んではおらず、この場合に、「イントラブロックコピー」予測は、第2ゾーンZ2の現時点のブロックのコーディングの際に競争状態に設定されてはいないことに留意されたい。ストリームFは、
-任意選択により、それが画像レベルにおいてコーディングされている場合には、第1シンタックス要素activate_ibcの値0/1、
-任意選択により、それが画像レベルにおいてコーディングされている場合には、第2シンタックス要素fp_typeの値0/1、
を含んでいる。
【0097】
本発明によれば、第1シンタックス要素activate_ibcが値1を有する場合には、C100b)において、コーディングC8b)の完了の際に得られたコーディング済みのデータセットDCuに基づいて、現時点のブロックBuのデコーディング済みのバージョンBDuの計算が実行される。このようなデコーディング済みのバージョンは、方法の完了の際に得られるデコーディング済みのブロックに対応しており、これについては、画像ICjをデコーディングするための説明において、更に説明することとする。
【0098】
計算C100b)は、
図2に表されているものなどの計算装置CAL2_Cによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Cによって駆動されている。
【0099】
現時点のブロックBuのデコーディング済みのバージョンBDuは、C101b)において、現時点の画像ICj又は別の画像の後続のブロックを予測するべくコーダCOによって使用されるように、
図2のコーダCOのバッファメモリMT_Cの空間ES内において保存されている。
【0100】
計算C100b)及び保存C101b)は、信号部分Fの構築C9b)の前に又は後に、実装される。
【0101】
それ自体が既知である方式により、実装される信号部分Fの構築C9a)又はC9b)とは無関係に、信号部分Fは、例えば、
-現時点のブロックBuがインター及び/又はイントラ予測されている場合には、インター及び/又はイントラ予測タイプ、並びに、適宜、選択された予測モード、得られたプレディクタブロックのインデックス、
-それがパーティション化されている場合には、現時点のブロックBuのパーティション化のタイプ、
-現時点のブロックBuのデータに適用された変換のタイプ、
-など、
のようなコーダCOによってエンコーディングされた特定の情報を更に有することができる。
【0102】
その後に、データ信号Fは、通信ネットワーク(表されてはいない)により、リモート端末に送信される。リモート端末は、
図7において表されているデコーダDOを有する。
【0103】
その後に、本明細書において直前において記述されているコーディング動作C1~C100a)、或いは、さもなければ、C1~C101b)が、現時点のブロックが現時点の画像ICjの第1ゾーンZ1又は第2ゾーンZ2のいずれに位置しているのかに応じて、差別化された方式により、検討対象の現時点の画像ICjのコーディング対象のブロックB1、B2、...、Bu、...、BSのそれぞれについて実装されている。
【0104】
デコーディング部分の詳細な説明
以下、本発明の一実施形態について説明することとするが、この場合には、本発明によるデコーディング方法は、現時点の又は将来登場するビデオデコーディング規格のいずれかのものに従ってデコーダによってデコーディングされうる、画像又は画像のシーケンスを表しているデータ信号又はストリームをデコーディングするべく、使用されている。
【0105】
この実施形態においては、本発明によるデコーディング方法は、例えば、このようなデコーダの変更により、ソフトウェア又はハードウェア方式において実装されている。
【0106】
本発明によるデコーディング方法は、
図4において表されているものなどの動作D1~D11a)又はD1~D100b)を有するアルゴリズムの形態において表されている。
【0107】
この実施形態によれば、本発明によるデコーディング方法は、
図5において表されているデコーディング装置又はデコーダDO内において実装されている。
【0108】
図5において示されているように、本発明のこの実施形態によれば、デコーダDOは、バッファメモリMT_Dをそれ自体が有するメモリMEM_Dと、本発明によるデコーディング方法を実装するコンピュータプログラムPG_Dによって駆動されるプロセッサPROC_Dと、を有する。初期化の際に、コンピュータプログラムPG_Dのコード命令は、例えば、プロセッサPROC_Dによる実行の前に、RAM_Dと表記されたRAMメモリ内に読み込まれる。
【0109】
図4において表されているデコーディング方法は、デコーディング対象の、固定された、或いは、さもなければ、L個の画像のシーケンスIC1、...、ICj、...、ICL(1≦j≦L)の一部分を形成している、任意のコーディング済みの現時点の画像ICjに対して適用される。
【0110】
デコーディング対象の現時点の画像ICjは、非網羅的な例として、
-1つの且つ同一のカメラに由来する、且つ、相互に時間的に後続する、画像(2Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-異なる視野に従って方向付けされた様々なカメラに由来する画像(3Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-結果的に、1つの且つ同一のシーンを表す、対応するテクスチャコンポーネント及び深さコンポーネント(3Dタイプのコーディング/デコーディング)、
-360°ビデオの投射によって得られた画像、
-立体ビデオの投射によって得られると共にユーザーの左目及び右目を通じてそれぞれ観察されることが意図された、1つの且つ同一のシーンを表す2つの視野をそれぞれが有する、画像、
-例えば、スクリーンビデオキャプチャによって得られた画像などの、「スクリーンコンテンツ」タイプの非自然画像、
-など、
を有する少なくとも1つのビデオシーケンスに由来している。
【0111】
D1において、このシンタックス要素が現時点の画像ICjのレベルにおいてコーディングされているケースにおいては、デコーディング対象の現時点の画像ICjの特性と関連する第1シンタックス要素activate_ibcのコーディング済みの値0又は1の、データ信号F内における、読取りが実行されている。識別D1は、任意選択であることから、これは、
図4において破線状態において表されている。
【0112】
D2において、このシンタックス要素が現時点の画像ICjのレベルにおいてコーディングされているケースにおいては、デコーディング対象の現時点の画像ICjの特性と関連する第2シンタックス要素fp_typeのコーディング済みの値0又は1の、データ信号F内における、読取りが実行されている。識別D2は、任意選択であることから、これは、
図4において破線状態において表されている。
【0113】
好適な一実施形態によれば、読み取られるシンタックス要素fp_typeは、例えば、
-ゾーンZ1及びZ2が、
図3Aにおいて表されているように構成されていることを通知するための値01、
-ゾーンZ1及びZ2が、
図3Bにおいて表されているように構成されていることを通知するための値10、
-ゾーンZ1及びZ2が、
図3Cにおいて表されているように構成されていることを通知するための値11、
をとる。
【0114】
識別D1及びD2は、
図5において表されているものなどのストリーム分析装置PARS_Dによって実装され、前記装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0115】
識別のケースにおいては、D3において、第1シンタックス要素activate_ibcがとっているコーディング済みの値0又は1及び/又は第2シンタックス要素fp_typeがとっている値01、10、11、がデコーディングされている。
【0116】
このようなデコーディングD3は、
図5において表されているデコーディング装置MD_Dによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0117】
例えば、デコーディングは、CABACタイプのエントロピーデコーディングであり、或いは、さもなければ、算術的な又はハフマンタイプのエントロピーデコーディングである。
【0118】
図4を参照すれば、D4において、
図1のコーディング動作C8a)又はC8b)の完了の際に得られた、上述の辞書的順序に従って予めコーディングされた、B1、B2、...、Bu、...、BSとそれぞれ関連しているDC1、DC2、...、DCu、...、DCS(1≦u≦S)の、信号F内における、識別が実行されている。これは、ブロックが、上述のコーディングの順序に対応する方式により、左から右へ、順番にデコーディングされることを意味している。
【0119】
このような識別D4は、
図4のストリーム分析装置PARS_Dによって実装されている。
【0120】
当然のことながら、以上において記述されているもの以外のその他のタイプの移動も、可能であり、且つ、コーディングの際に選択された移動の順序に依存している。
【0121】
一例によれば、ブロックB1、B2、...、Bu、...、BSは、正方形の形状を有し、且つ、すべてがK個のピクセルを含み、ここで、K≧1である。非網羅的な例として、ブロックは、64×64ピクセル、並びに/或いは、32×32及び/又は16×16及び/又は8×8ピクセル、を有する。
【0122】
ブロックのサイズの必ずしも倍数ではない、画像のサイズの関数として、左側の最後のブロック及び下部の最後のブロックが正方形ではない場合があろう。一代替実施形態においては、ブロックは、例えば、矩形のサイズを有していてもよく、且つ/又は、相互にアライメントされていなくてもよい。
【0123】
図4を参照すれば、D5において、
図5のデコーダDOは、画像ICjのコーディング済みのデータDCuの現時点の組をデコーディング対象の現時点のブロックとして選択しており、この組は、デコーディング対象のブロックBuと関連付けられている。
【0124】
D6において、例えば、画像ICjの第1の再構築されたピクセルに関してその座標を判定することにより、画像ICjのデコーディング対象の現時点のブロックBuの位置検出が実行されており、このピクセルは、画像の上部左において位置し、且つ、座標(0,0)を有する。
【0125】
位置検出D6は、
図5に表されているものなどの計算装置CAL_Dによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0126】
現時点のブロックBuが画像ICjの第1ゾーンZ1に属しており、且つ、D1においてデコーディングされた第1シンタックス要素activate_ibcが値1である場合には、D7a)において、
図5のストリーム分析装置PARS_Dにより、且つ、デコーディング装置MD_Dによるそのデコーディングにより、シンタックス要素ibc_flagの、データ信号F内における、読取りが実行されている。
【0127】
本発明によれば、D1において、或いは、さもなければ、予め、デコーディングされた第1シンタックス要素activate_ibcが、値1を有する場合には、D6a)において、
図5のストリーム分析装置PARS_Dにより、且つ、デコーディング装置MD_Dによるそのデコーディングにより、シンタックス要素ibc_flagの、データ信号F内における、読取りが実行されている。
【0128】
本発明によれば、
-シンタックス要素ibc_flagが値1を有する場合には、D8a)において、デコーディング対象のブロックBu用の「イントラブロックコピー」タイプの予測においてサービスするプレディクタブロックBPoptの判定が実装され、この場合に、画像ICjの第2ゾーン内において保存されているプレディクタブロックBPoptの場所が、データ信号F内のデコーディングされたシンタックス要素によって識別されており、このようなシンタックス要素は、例えば、プレディクタブロックBPoptを指し示すモーションベクトル、プレディクタブロックBPoptの上部左における第1ピクセルの座標、などであり、
-シンタックス要素ibc_flagが値0を有する場合には、D8a)において、「イントラブロックコピー」タイプの予測とは異なる、現時点のブロックBuの予測においてサービスするプレディクタブロックBPoptの判定が実装されている。これは、例えば、その完了の際に、データ信号F内において予め読み取られたインジケータと関連するプレディクタブロックBPoptが得られる、従来のイントラ又はインター予測を伴いうる。
【0129】
図4を参照すれば、現時点のブロックBuのコーディング済みのデータDCuは、D9a)においてデコーディングされている。このようなデコーディングは、
図5において表されているブロックをデコーディングする装置MDB_Dによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0130】
デコーディングD9a)は、D91a)において、デコーディング対象の現時点のブロックBuと関連する、且つ、
図1のC8a)においてコーディングされた、データDCuのデコーディングを実装している。このようなデコーディングの完了の際に、数値的情報の組が得られ、この場合に、これは、
図1のC82a)において得られた量子化された係数のブロックBquと関連付けられている。
【0131】
デコーディングD91a)は、
図5において表されているデコーディング装置MD_Dによって実装されている。
【0132】
デコーディングD9a)は、
図1の量子化C82a)の逆の動作である従来の逆量子化動作に従って、量子化済みの係数Bquのブロックの逆量子化D92a)を更に実装している。この結果、逆量子化された係数BDquの現時点の組が取得される。このような逆量子化は、例えば、スカラー又はベクトルタイプのものであり、且つ、
図1において表されているものなどの逆量子化装置MQ-1_Dを利用して実装され、この装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0133】
デコーディングD9a)は、D92a)において取得された逆量子化済みの係数BDquの現時点の組に対する変換の適用D93a)を更に実装している。それ自体が既知の方式により、このような変換は、例えば、DCT、DST、DWT、LT、又はその他の変換などの、
図1のC81a)においてコーディングに対して適用されたものの逆の変換である。
図2のコーダCOに対応する方式により、これらの変換は、
図5のデコーダDOのバッファメモリMT_D内において予め保存された変換のリストLTS-1の一部分を形成している。適用される変換のタイプは、データ信号F内において、コーディングに適用された変換のインデックスを読み取ることにより、従来方式により、デコーダにおいて判定することができる。
【0134】
変換適用D93a)は、
図5において表されているものなどの変換計算装置MTR-1_Dによって実行され、この装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0135】
逆量子化装置MQ-1_D及び変換計算装置MTR-1_Dは、
図5において表されているブロックデコーディング装置MDB_D内において含まれ、この装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0136】
現時点のブロックのデータのデコーディングD9a)の完了の際に、現時点のデコーディング済みの残留ブロックBDruが得られる。
【0137】
図4を参照すれば、D10a)において、現時点のデコーディング済みの残留ブロックBDruが、D6a)において見出されたプレディクタブロックBPoptに追加されている。
【0138】
動作D10a)は、
図5に表されている予測デコーディング装置PRED_Dによって実装され、この装置は、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0139】
図4を参照すれば、D11a)において、デコーディング済みの画像IDjへの現時点のデコーディング済みのブロックBDuの書き込みが実行されている。
【0140】
書込みD11a)は、
図5において表されているものなどの画像再構築装置URIによって実装され、装置URIは、プロセッサPROC_Dによって駆動されている。
【0141】
図4の位置検出D6の完了の際に、デコーディング対象の現時点のブロックBuが画像ICjの第2ゾーンZ2に属している場合には、D7b)において、
-コーディングの際に実装された従来の予測C6b)に関係する情報の、
図5のストリーム分析装置PARS_Dによる、データ信号F内の読取り、並びに、
-デコーディング装置MD_Dによる、この情報のデコーディング、
が実行されている。
【0142】
図4を参照すれば、D8b)において、「イントラブロックコピー」タイプの予測とは異なる、現時点のブロックBuの予測においてサービスするプレディクタブロックBPoptの判定が実装されている。これは、例えば、その完了の際に、データ信号F内の、C6b)において読み取られた情報と関連するプレディクタブロックBPoptが、得られ、次いで、デコーディングされる、従来のイントラ又はインター予測を伴いうる。
【0143】
図4を参照すれば、D9b)において、現時点のブロックBuのコーディング済みのデータDCuが、
図5のデコーディングブロック用の装置MDB_Dによってデコーディングされている。
【0144】
デコーディングD9b)は、上述の動作D91a)、D92a)、及びD93a)とそれぞれ同一である、且つ、この理由から、ここでの再度の説明が省略されている、動作D91b)、D92b)、及びD93b)を有する。
【0145】
現時点のブロックのデータのデコーディングD9b)の完了の際に、現時点のデコーディング済みの残留ブロックBDruが得られる。
【0146】
図4を参照すれば、D10b)において、
図5の予測デコーディング装置PRED_Dは、現時点のデコーディング済みの残留ブロックBDruをD6において見出されたプレディクタブロックBPoptに追加している。
【0147】
図4を参照すれば、D11b)において、デコーディング済みの画像IDj内における現時点のデコーディング済みのブロックBDuの書込みが実行されている。
【0148】
本発明によれば、第1シンタックス要素activate_ibcが値1を有する場合には、
図4を参照すれば、D100b)において、デコーディング対象の現時点の画像ICj又はその他の画像の後続のブロックを予測するべくデコーダDOによって使用されるように、
図5のデコーダDOのバッファメモリMT_Dの空間ES内における現時点のデコーディング済みのブロックBDuの保存が実行されている。
【0149】
保存D100b)は、デコーディング済みの画像IDj内における現時点のデコーディング済みのブロックの書込みの動作D11b)の前又は後において実装される。
【0150】
本明細書において直前において記述されているデコーディング方法は、ブロックDC1、DC2、...、DCu、...、DCSのすべてのコーディング済みのデータについて実装されており、この場合に、前記データは、コーディング済みのデータがデコーディング対象の現時点の画像ICjの第1ゾーン又は第2ゾーンのどちらに位置するブロックと関連しているのかに応じて、差別化された方式により、検討対象の現時点の画像ICjのデコーディング対象のブロックB1、B2、...、Bu、...、BSとそれぞれ関連付けられている。
【0151】
以上において記述した実施形態は、完全に非限定的な通知として純粋に付与されたものであり、且つ、本発明の範囲を逸脱することなしに、当業者により、多数の変更が容易に実施されうることは、言うまでもないことである。
【符号の説明】
【0152】
ICj 画像
Z1、Z2 ゾーン
Bu 現時点の画像
CO コーディング装置
CT_C 処理回路
CT_D 処理回路
PARS_D ストリーム分析装置
MD_D デコーディング装置
MT_C バッファメモリ
MEM_C メモリ
PROC_C プロセッサ
MC_C コーディング装置
CAL1_C 計算装置
CAL2_C 計算装置
MTR_C 変換計算装置
MQ_C 量子化装置
MCF データ信号構築装置
PROC_D プロセッサ