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特許7507915二重揺動レバー機構及びそれを用いた果実収穫機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】二重揺動レバー機構及びそれを用いた果実収穫機
(51)【国際特許分類】
   F16H 21/24 20060101AFI20240621BHJP
   A01D 46/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F16H21/24
A01D46/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023039826
(22)【出願日】2023-03-14
(65)【公開番号】P2023138915
(43)【公開日】2023-10-03
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】202210281390.9
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519195028
【氏名又は名称】東莞市嘉航実業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】馬 先鵬
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108353638(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第02384614(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 21/24
A01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実収穫機に剛性接続された支持本体と、支持本体に接続された回転軸部材と、回転軸部材を中心として軸方向に回転する2つのベベル歯と、2つのベベル歯にそれぞれ可動に接続された、揺動効果を生成する2本の揺動レバーと、支持本体に可動に接続された駆動歯車とを含み、ベベル歯上に回転軸部材を中心として回転する偏心輪が設けられ、揺動レバーが偏心輪を中心として回転し、2つのベベル歯が対向して設けられ、駆動歯車が2つのベベル歯の間に噛み合
回転軸部材の中央部に、駆動歯車に対応する仕切り構造が設けられ、2つのベベル歯が仕切り構造により仕切られる、
ことを特徴とする二重揺動レバー機構。
【請求項2】
支持本体は、背板と、背板の前に設けられた支持板とを含み、背板と2つの支持板との間に歯車を収容する空間が形成され、回転軸部材は、2つの支持板の間に固定的に接続され、ベベル歯は、回転軸部材により、2つの支持板の間に制限され、駆動歯車は、背板に可動に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の二重揺動レバー機構。
【請求項3】
ベベル歯は、傘歯であり、かつベベル歯と駆動歯車との噛み合いは、ウォーム歯の構造を用いる、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構。
【請求項4】
偏心輪は、ベベル歯上に成形され、ベベル歯の軸線に偏心輪を貫通する回転軸孔が形成され、回転軸孔内に第1軸受が設けられ、ベベル歯と偏心輪は、いずれも第1軸受により、回転軸部材を中心として回転する、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構。
【請求項5】
偏心輪に、回転軸部材を囲む接続スリーブが更に設けられ、接続スリーブの外周にワッシャー及び第2軸受が嵌着され、ワッシャーは、第1軸受と第2軸受との間に位置し、接続スリーブは、第2軸受により、支持板に可動に接続される、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構。
【請求項6】
偏心輪の外周に第3軸受が設けられ、揺動レバーの一端に第3軸受の外部に嵌着された環状部が設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構。
【請求項7】
請求項1に記載の二重揺動レバー機構を含む、二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機であって、支持ロッドと、動力駆動本体と、2つの叩打器とを含み、動力駆動本体は、ハウジング及び駆動モータを含み、二重揺動レバー機構は、ハウジングの内部に取り付けられ、駆動モータは、支持本体の背部に取り付けられ、駆動モータは、駆動歯車に動力接続され、2つの叩打器にいずれも回転軸スリーブ孔及び動力スリーブ孔が設けられ、2つの叩打器は、いずれも回転軸スリーブ孔を介してハウジングの前端に回転可能に接続され、2つの叩打器は、いずれも動力スリーブ孔を介して2本の揺動レバーにヒンジ嵌合し、ハウジングの後部は、支持ロッドに固定される、
ことを特徴とする二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機。
【請求項8】
ハウジングは、上下対称の上部ハウジングと下部ハウジングとを含み、上部ハウジングと下部ハウジングとは、ボルトにより固定的に結合され、上部ハウジングの前端と下部ハウジングの前端に取付口が形成され、取付口の両端にそれぞれ上部ハウジングと下部ハウジングとを接続する回転軸構造が設けられ、回転軸構造は、回転軸スリーブ孔に回転可能に接続される、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機。
【請求項9】
回転軸構造は、ボルトロッドと、第4軸受と、第5軸受とを含み、上部ハウジングの前端と下部ハウジングの前端とは、ボルトロッドにより締め付けられ、第4軸受と第5軸受とは、ボルトロッドに嵌設され、第4軸受と第5軸受との間のボルトロッドに第1テーパスリーブが更に設けられ、第4軸受と上部ハウジングとの間のボルトロッドの位置及び第5軸受と下部ハウジングとの間のボルトロッドの位置にそれぞれ第2テーパスリーブが設けられ、回転軸スリーブ孔は、第4軸受及び第5軸受に回転可能に接続され、かつ回転軸スリーブ孔の内側に第4軸受と第5軸受との間に制限された位置決めリングが設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機。
【請求項10】
上部ハウジングの前端と下部ハウジングの前端に、それぞれ取付口の中央部に位置する遮蔽構造が更に成形され、2つの遮蔽構造は、ボルトにより固定的に突き合わせられ、動力スリーブ孔と揺動レバーとのヒンジ嵌合位置は、遮蔽構造により遮蔽される、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機。
【請求項11】
上部ハウジングと下部ハウジングにそれぞれ回転軸部材に接続された固定ボルトが設けられ、回転軸部材の両端は、それぞれ2つの固定ボルトにネジ接続される、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機。
【請求項12】
上部ハウジングの後部と下部ハウジングの後部にそれぞれ支持ロッドを包む円弧面が設けられ、かつ上部ハウジングの円弧面と下部ハウジングの円弧面との間に弾性的に圧着可能な隙間があり、上部ハウジングの円弧面と下部ハウジングの円弧面との間にそれぞれ当該隙間を圧着するボルト孔が設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機。
【請求項13】
叩打器は、複数本の細長い棒状又は帯状の叩打部材を含み、叩打器は、叩打部材を支持して、叩打動作を完了するように叩打部材を駆動する揺動アーム部材を更に含み、回転軸スリーブ孔と動力スリーブ孔とは、いずれも揺動アーム部材に設けられ、かつ2つの揺動アーム部材は、同一平面にある、
ことを特徴とする請求項に記載の二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリーブ収穫機の技術分野に関し、特に、二重揺動レバー機構及びそれを用いた果実収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブ及びその類似物に対する収穫作業の効率を向上させるために、収穫で発生する高さ問題及び収穫物の寸法特徴に基づいて、動力叩打構造を有する収穫ツール、すなわち、果樹の枝を叩打することにより、枝を揺らして、果実を離脱させた後に落下させるためのオリーブ収穫機が発明された。従来技術におけるオリーブ収穫機は、主に、てこ構造を用いた叩打器と、揺動動作を行うように前記叩打器を駆動する動力本体と、動力本体及び叩打器を一定の高さまで支持する支持ロッドとを含み、具体的には、従来の既知の叩打器は、複数本の細長い棒状又は帯状の叩打部材を含み、叩打部材を支持して、叩打動作を完了するように叩打部材を駆動する揺動アーム部材を更に含み、一般的に、揺動アーム部材は、互いに逆方向の作用力の動作を完了し、力のバランスを維持できるために少なくとも2つ以上設定され、主な理由は、1つの揺動アーム部材で動作すると、果実を叩打する力の制御が不十分であり、果実を叩打して落下させることができなかったり、果実を直接つぶしたりして、操作者に大きな反力を発生させ、操作をより難しくすることである。揺動アーム部材の動作は、動力本体により実現され、当該動力本体は、支持ロッドに剛性支持された駆動モータと、駆動モータに動力接続された二重揺動レバー機構とを含み、駆動モータは、一定の軌跡で動作するように二重揺動レバー機構を駆動して、揺動アーム部材を動作させることにより、叩打部材が叩打動作を完了する。
【0003】
現在、中国国内外の二重揺動レバー機構に対する構造の設計は、主にクランクレバー機構を用いて、揺動動作を完了するように揺動アーム部材を駆動し、クランクレバー機構が2つの揺動アーム部材を同時に駆動するため、クランクレバー機構と各揺動アーム部材との間に二次送り構造をヒンジ接続して、4バーヒンジの方式を達成する必要がある。CN201280029788に記載のオリーブ及びその類似物の収穫装置、CN201821289188に記載のオリーブ及びその類似物を収穫する収穫機の作動部材、及びEP2384614A1に記載のオリーブ及びその類似物の収穫装置のように、構造の設計上に、2つの二次送り構造が衝突しないことを保証するために設計上に一定の空間を占める必要があり、二次送り構造は、力の伝動を分解させ、揺動アーム部材の揺動幅を低下させる。また、クランクレバー機構の揺動レバーとモータに対応する軸線は、互いに平行なレイアウトを使用し、主に2つの歯車が45°噛み合うことにより、オリーブ収穫機の長さを十分に利用できることを実現するが、上記構造の設計は、オリーブ収穫機の全長を長くすることに役立つが、二重揺動レバー機構の長さを長くした後、構造の設計上のコンパクト性を大幅に低下させ、かつ2つの歯車が45°噛み合うと、動作中にハウジングに対してより大きな反力を発生させるため、より多くの機械部品又は補強構造により支持を補助する必要があり、更に動作中に機械的摩耗度の向上をもたらす。従来技術では、更に、EP2862434A1に記載のオリーブの収穫装置が提供されるが、クランクレバー機構と各揺動アーム部材との間の接続は、ユニバーサルホイール構造を用いるが、ユニバーサル構造の設計上に、構造が複雑であり、精度に対する要求が高く、全体の製造コストの上昇をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の欠点を解消するために、上記問題を解決できる技術的解決手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
二重揺動レバー機構は、果実収穫機に剛性接続された支持本体と、支持本体に接続された回転軸部材と、回転軸部材を中心として軸方向に回転する2つのベベル歯と、2つのベベル歯にそれぞれ可動に接続された、揺動効果を生成する2本の揺動レバーと、支持本体に可動に接続された駆動歯車とを含み、ベベル歯上に回転軸部材を中心として回転する偏心輪が設けられ、揺動レバーが偏心輪を中心として回転し、2つのベベル歯が対向して設けられ、駆動歯車が2つのベベル歯の間に噛み合う。
【0006】
好ましくは、支持本体は、背板と、背板の前に設けられた支持板とを含み、背板と2つの支持板との間に歯車を収容する空間が形成され、回転軸部材は、2つの支持板の間に固定的に接続され、ベベル歯は、回転軸部材により、2つの支持板の間に制限され、駆動歯車は、背板に可動に接続される。
【0007】
好ましくは、回転軸部材の中央部に、駆動歯車に対応する仕切り構造が設けられ、2つのベベル歯が仕切り構造により仕切られる。
【0008】
好ましくは、ベベル歯は、傘歯であり、かつベベル歯と駆動歯車との噛み合いは、ウォーム歯の構造を用いる。
【0009】
好ましくは、偏心輪は、ベベル歯上に成形され、ベベル歯の軸線に偏心輪を貫通する回転軸孔が形成され、回転軸孔内に第1軸受が設けられ、ベベル歯と偏心輪は、いずれも第1軸受により、回転軸部材を中心として回転する。
【0010】
好ましくは、偏心輪に、回転軸部材を囲む接続スリーブが更に設けられ、接続スリーブの外周にワッシャー及び第2軸受が嵌着され、ワッシャーは、第1軸受と第2軸受との間に位置し、接続スリーブは、第2軸受により、支持板に可動に接続される。
【0011】
好ましくは、偏心輪の外周に第3軸受が設けられ、揺動レバーの一端に第3軸受の外部に嵌着された環状部が設けられる。
【0012】
二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機は、上述した二重揺動レバー機構を含み、支持ロッドと、動力駆動本体と、2つの叩打器とを更に含み、動力駆動本体は、ハウジング及び駆動モータを含み、二重揺動レバー機構は、ハウジングの内部に取り付けられ、駆動モータは、支持本体の背部に取り付けられ、駆動モータは、駆動歯車に動力接続され、2つの叩打器にいずれも回転軸スリーブ孔及び動力スリーブ孔が設けられ、2つの叩打器は、いずれも回転軸スリーブ孔を介してハウジングの前端に回転可能に接続され、2つの叩打器は、いずれも動力スリーブ孔を介して2本の揺動レバーにヒンジ嵌合し、ハウジングの後部は、支持ロッドに固定される。
【0013】
好ましくは、ハウジングは、上下対称の上部ハウジングと下部ハウジングとを含み、上部ハウジングと下部ハウジングとは、ボルトにより固定的に結合され、上部ハウジングの前端と下部ハウジングの前端に取付口が形成され、取付口の両端にそれぞれ上部ハウジングと下部ハウジングとを接続する回転軸構造が設けられ、回転軸構造は、回転軸スリーブ孔に回転可能に接続される。
【0014】
好ましくは、回転軸構造は、ボルトロッドと、第4軸受と、第5軸受とを含み、上部ハウジングの前端と下部ハウジングの前端とは、ボルトロッドにより締め付けられ、第4軸受と第5軸受とは、ボルトロッドに嵌設され、第4軸受と第5軸受との間のボルトロッドに更に第1テーパスリーブが設けられ、第4軸受と上部ハウジングとの間のボルトロッドの位置及び第5軸受と下部ハウジングとの間のボルトロッドの位置にそれぞれ第2テーパスリーブが設けられ、回転軸スリーブ孔は、第4軸受及び第5軸受に回転可能に接続され、かつ回転軸スリーブ孔の内側に第4軸受と第5軸受との間に制限された位置決めリングが設けられる。
【0015】
好ましくは、上部ハウジングの前端と下部ハウジングの前端に、それぞれ取付口の中央部に位置する遮蔽構造が更に成形され、2つの遮蔽構造は、ボルトにより固定的に突き合わせられ、動力スリーブ孔と揺動レバーとのヒンジ嵌合位置は、遮蔽構造により遮蔽される。
【0016】
好ましくは、上部ハウジングと下部ハウジングにそれぞれ回転軸部材に接続された固定ボルトが設けられ、回転軸部材の両端は、それぞれ2つの固定ボルトにネジ接続される。
【0017】
好ましくは、上部ハウジングの後部と下部ハウジングの後部にそれぞれ支持ロッドを包む円弧面が設けられ、かつ上部ハウジングの円弧面と下部ハウジングの円弧面との間に弾性的に圧着可能な隙間があり、上部ハウジングの円弧面と下部ハウジングの円弧面にそれぞれ当該隙間を圧着するボルト孔が設けられる。
【0018】
好ましくは、叩打器は、複数本の細長い棒状又は帯状の叩打部材を含み、叩打器は、叩打部材を支持して、叩打動作を完了するように叩打部材を駆動する揺動アーム部材を更に含み、回転軸スリーブ孔と動力スリーブ孔とは、いずれも揺動アーム部材に設けられ、かつ2つの揺動アーム部材は、同一平面にある。
【0019】
好ましくは、揺動アーム部材は、縦型の板状構造と、板状構造の縁部を囲む環状構造とを含み、揺動アーム部材は、板状構造及び環状構造により横断面が「工」字状の構造を形成し、揺動アーム部材に複数本の叩打部材を接続する複数のネジ接続筒体が成形され、ネジ接続筒体の開口は、上向きであり、ネジ接続筒体は、板状構造と縦方向に結合され、ネジ接続筒体は、環状構造と横方向に結合され、ネジ接続筒体に接続部材がネジ接続され、接続部材は、射出成形の方式で叩打部材に結合され、回転軸スリーブ孔及び動力スリーブ孔は、いずれも揺動アーム部材に設けられる。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0021】
歯車嵌合の面では、駆動歯車の上、下は、それぞれベベル歯と噛み合うことにより、駆動歯車の噛み合い面を大幅に向上させ、1つのベベル歯のみと噛み合う従来の駆動歯車の構造に比べて、歯車の間の噛み合い程度を向上させ、動作中の機械的摩耗度を低下させることにより、歯車の間の動作をより安定させることができる。
【0022】
力のバランスの面では、2つのベベル歯の正回転と逆回転を利用することにより、歯車の間の噛み合いがハウジングに対して発生した逆方向の作用力を低下させ、偏心輪の構造の設計を組み合わせることにより、2本の揺動レバーが動作中に互いに逆の軌跡で動作することができ、従来の二次送り構造と同様に、力のバランスを維持する役割を達成することができる。
【0023】
力の伝動の面では、従来の二次送り構造を歯車伝動に置き換え、力の伝動方式を変更し、3バーヒンジの方式で2本の揺動レバーを同時に駆動することを実現し、嵌合中に部品による力の分解を低減し、叩打器の揺動幅を向上させる。
【0024】
空間設計の面では、駆動歯車とベベル歯の噛み合いは、3次元空間設計を十分に利用することにより、厚さを利用して全長を短くして構造全体のコンパクト性を向上させ、各部品の嵌合をよりコンパクトにすることができる。
【0025】
本発明の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本発明の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の実施例の図面を得ることができる。
【0027】
図1】本発明に係る二重揺動レバー機構の概略構造図である。
図2】本発明に係る二重揺動レバー機構の断面図である。
図3】本発明に係る二重揺動レバー機構の分解図である。
図4】本発明に係る果実収穫機の概略構造図である。
図5】本発明に係る、支持ロッドを取り除いた果実収穫機の概略構造図である。
図6】本発明に係る図5におけるハウジングを取り外した後の概略構造図である。
図7】本発明に係る回転軸構造に沿って断面した後の円A部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全的に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全てではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を行わない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0029】
図1~7に示すように、本発明の実施例に係る二重揺動レバー機構は、果実収穫機に剛性接続された支持本体10と、支持本体10に接続された回転軸部材20と、回転軸部材20を中心として軸方向に回転する2つのベベル歯30と、2つのベベル歯30にそれぞれ可動に接続された、揺動効果を生成する2本の揺動レバー40と、支持本体10に可動に接続された駆動歯車50とを含み、ベベル歯30に回転軸部材20を中心として回転する偏心輪31が設けられ、揺動レバー40が偏心輪31を中心として回転し、2つのベベル歯が対向して設けられ、駆動歯車50が2つのベベル歯30の間に噛み合う。二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機が設けられ、二重揺動レバー機構を用いた果実収穫機は、上述した二重揺動レバー機構を含み、支持ロッド60と、動力駆動本体80と、2つの叩打器70とを更に含み、動力駆動本体80は、ハウジング81及び駆動モータ82を含み、二重揺動レバー機構は、ハウジング81の内部に取り付けられ、駆動モータ82は、支持本体10の背部に取り付けられ、駆動モータ82は、駆動歯車50に動力接続され、2つの叩打器70にいずれも回転軸スリーブ孔71及び動力スリーブ孔72が設けられ、2つの叩打器70は、いずれも回転軸スリーブ孔71を介してハウジング81の前端に回転可能に接続され、2つの叩打器70は、いずれも動力スリーブ孔72を介して2本の揺動レバー40にヒンジ嵌合し、ハウジング81の後部は、支持ロッド60に固定される。
【0030】
上記技術的解決手段では、同軸の正回転と逆回転の歯車の方式を巧みに利用し、偏心輪31を組み合わせて、揺動するように2本の揺動レバー40を駆動し、2本の揺動レバー40を動力駆動本体80のハウジング81内に取り付け、駆動歯車50により駆動モータ82に動力接続され、次に、てこ構造を利用して、果実収穫機の叩打器70を動力駆動本体80のハウジング81に取り付け、更に、二重揺動レバー機構と叩打器70とをヒンジ嵌合し、全体的な動力接続を完了する。このような技術手段により、歯車嵌合の面では、駆動歯車50の上、下は、それぞれベベル歯30と噛み合うことにより、駆動歯車50の噛み合い面を大幅に向上させ、1つのベベル歯30のみと噛み合う従来の駆動歯車50の構造に比べて、歯車の間の噛み合い程度を向上させ、動作中の機械的摩耗度を低下させることにより、歯車の間の動作をより安定させることができる。
【0031】
力のバランスの面では、2つのベベル歯30の正回転と逆回転を利用することにより、歯車の間の噛み合いがハウジング81に対して発生した逆方向の作用力を低下させ、偏心輪31の構造の設計を組み合わせることにより、2本の揺動レバー40が動作中に互いに逆の軌跡で動作することができ、従来の二次送り構造と同様に、力のバランスを維持する役割を達成することができる。
【0032】
力の伝動の面では、従来の二次送り構造を歯車伝動に置き換え、力の伝動方式を変更し、3バーヒンジの方式で2本の揺動レバー40を同時に駆動することを実現し、嵌合中に部品による力の分解を低減し、叩打器70の揺動幅を向上させる。
【0033】
空間設計の面では、駆動歯車50とベベル歯30の噛み合いは、3次元空間設計を十分に利用することにより、厚さを利用して全長を短くして構造全体のコンパクト性を向上させ、各部品の嵌合をよりコンパクトにすることができる。
【0034】
上記技術的解決手段がその技術的課題を解決するために用いる技術手段をより明確かつ完全に説明するために、以下に、二重揺動レバー機構及び果実収穫機についてそれぞれ具体的な技術的特徴を実施する。
【0035】
二重揺動レバー機構の技術的特徴は、以下のとおりである。
【0036】
更に、図1~3に示すように、支持本体10は、背板11と、背板11の前に設けられた支持板12とを含み、背板11と2つの支持板12との間に歯車を収容する空間が形成され、回転軸部材20は、2つの支持板12の間に固定的に接続され、ベベル歯30は、回転軸部材20により、2つの支持板12の間に制限され、駆動歯車50は、背板11に可動に接続される。支持本体10の後部に駆動モータ82が設けられ、前部に叩打器70が接続され、2つのベベル歯30と駆動歯車50と回転軸部材20との嵌合上に、好ましくは、回転軸部材20の中央部に、駆動歯車50に対応する仕切り構造21が設けられ、2つのベベル歯30が仕切り構造21により仕切られ、また、ベベル歯30が傘歯であり、かつベベル歯30と駆動歯車50との噛み合いがウォーム歯の構造を用いる。偏心輪31とベベル歯30とは、一体構造であり、すなわち、偏心輪31は、ベベル歯30に成形され、ベベル歯30の軸線に偏心輪31を貫通する回転軸孔が形成され、回転軸孔内に第1軸受32が設けられ、ベベル歯30と偏心輪31は、いずれも第1軸受32により、回転軸部材20を中心として回転する。偏心輪31、ベベル歯30と回転軸部材20との間の確実な接続を実現する。この構造の設計上に、偏心輪31に、回転軸部材20を囲む接続スリーブ33が更に設けられ、接続スリーブ33の外周にワッシャー34及び第2軸受35が嵌着され、ワッシャー34は、第1軸受32と第2軸受35との間に位置し、接続スリーブ33は、第2軸受35により、支持板12に可動に接続され、ベベル歯30と支持本体10との間の嵌合をより確実にする。偏心輪31と揺動レバー40との嵌合上に、偏心輪31の外周に第3軸受36が設けられ、揺動レバー40の一端に第3軸受36の外部に嵌着された環状部41が設けられる。
【0037】
果実収穫機の技術的特徴は、以下のとおりである。
【0038】
更に図4~7に示すように、叩打器70の構造は、主に複数本の細長い棒状又は帯状の叩打部材73と、叩打部材73を支持して、叩打動作を完了するように叩打部材73を駆動する揺動アーム部材74とを含み、回転軸スリーブ孔71及び動力スリーブ孔72は、いずれも揺動アーム部材74に設けられ、使用時に、支持ロッドを手で握り、動力駆動本体80を駆動し、揺動アーム部材74が揺動することにより、果実又は枝を叩打するように叩打部材73を駆動して、果実を揺り落とす。構造の設計上に、叩打器70の強度を向上させ、かつ叩打器70上の叩打部材73を容易に取り外して交換するために、揺動アーム部材74は、縦型の板状構造75と、板状構造75の縁部を囲む環状構造76とを含み、揺動アーム部材74は、板状構造75及び環状構造76により横断面が「工」字状の構造を形成し、揺動アーム部材74に複数本の叩打部材73を接続する複数のネジ接続筒体77が成形され、ネジ接続筒体77の開口は、上向きであり、ネジ接続筒体77は、板状構造75と縦方向に結合され、ネジ接続筒体77は、環状構造76と横方向に結合され、ネジ接続筒体77に接続部材78がネジ接続され、接続部材78は、射出成形の方式で叩打部材73に結合され、回転軸スリーブ孔71及び動力スリーブ孔72は、いずれも揺動アーム部材74に設けられる。揺動アーム部材74を横断面が「工」字形を呈する構造に設定して、当該構造にネジ接続筒体77を成形することにより、三角状の支持構造を十分に利用し、当該構造を折り曲げ又は折れにくい設計とし、かつ揺動アーム部材74を製造する材料を節約することができる。叩打部材73と揺動アーム部材74とを、更に接続部材78を設けることにより接続し、叩打部材73を接続部材78により揺動アーム部材74にネジ接続することにより、叩打部材73を容易に取り外して交換することができる。また、2つの揺動アーム部材74は、同一平面にあり、2つの揺動アーム部材74が同一平面にあるように設計されるのは、2つの揺動アーム部材74が互いに揺動するときに平面上及び空間上にいずれも力のバランスを維持でき、2つの揺動アーム部材74が同一平面にない場合に、揺動中にある程度の回転力が発生することになるためである。
【0039】
ハウジング81の構造の設計上に、ハウジング81は、上下対称の上部ハウジング83と下部ハウジング84とを含み、上部ハウジング83と下部ハウジング84とは、ボルトにより固定的に結合され、上部ハウジング83の前端と下部ハウジング84の前端に、2つの叩打器70を接続する取付口87が形成され、取付口87の両端にそれぞれ上部ハウジング83と下部ハウジング84とを接続する回転軸構造90が設けられ、回転軸構造90は、回転軸スリーブ孔71に回転可能に接続され、具体的には、回転軸構造90は、ボルトロッド91と、第4軸受92と、第5軸受93とを含み、上部ハウジング83の前端と下部ハウジング84の前端は、ボルトロッド91により締め付けられ、第4軸受92と第5軸受93とは、ボルトロッド91に嵌設され、第4軸受92と第5軸受93との間のボルトロッド91に第1テーパスリーブ94が更に設けられ、第4軸受92と上部ハウジング83との間のボルトロッド91の位置及び第5軸受93と下部ハウジング84との間のボルトロッド91の位置にそれぞれ第2テーパスリーブ95が設けられ、回転軸スリーブ孔71は、第4軸受92及び第5軸受93に回転可能に接続され、かつ回転軸スリーブ孔71の内側に第4軸受92と第5軸受93との間に制限された位置決めリング79が設けられ、この設計により、ハウジング81と揺動アーム部材との回転嵌合が安定して確実になる。また、上部ハウジング83の前端と下部ハウジング84の前端に、それぞれ取付口87の中央部に位置する遮蔽構造88が更に成形され、2つの遮蔽構造88は、ボルトにより固定的に突き合わせられ、動力スリーブ孔と揺動レバーとのヒンジ嵌合位置は、遮蔽構造88により遮蔽される。
【0040】
回転軸部材20とハウジング81との嵌合の強固さを向上させるために、上部ハウジング83と下部ハウジング84にそれぞれ回転軸部材20に接続された固定ボルト22が設けられ、回転軸部材20の両端は、それぞれ2つの固定ボルト22にネジ接続される。ハウジング81と支持ロッド60の接続方式について、上部ハウジング83の後部と下部ハウジング84の後部にそれぞれ支持ロッド60を包む円弧面85が設けられ、かつ上部ハウジング83の円弧面85と下部ハウジング84の円弧面85の間に弾性的に圧着可能な隙間があり、上部ハウジング83の円弧面85と下部ハウジング84の円弧面85にそれぞれ当該隙間を圧着するボルト孔86が設けられることにより、ハウジング81と支持ロッド60とを取り外し可能に接続することができる。
【0041】
当業者にとっては、本発明が上記例示的な実施例の詳細に限定されるものではなく、本発明の精神又は基本的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で本発明を実現することができることは明らかである。したがって、実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
10 支持本体
20 回転軸部材
30 ベベル歯
40 揺動レバー
50 駆動歯車
60 支持ロッド
70 叩打器
80 動力駆動本体
90 回転軸構造
11 背板
12 支持板
21 仕切り構造
22 固定ボルト
31 偏心輪
32 第1軸受
33 接続スリーブ
34 ワッシャー
35 第2軸受
36 第3軸受
41 環状部
71 回転軸スリーブ孔
72 動力スリーブ孔
73 叩打部材
74 揺動アーム部材
75 板状構造
76 環状構造
77 ネジ接続筒体
78 接続部材
79 位置決めリング
81 ハウジング
82 駆動モータ
83 上部ハウジング
84 下部ハウジング
85 円弧面
86 ボルト孔
87 取付口
88 遮蔽構造
91 ボルトロッド
92 第4軸受
93 第5軸受
94 第1テーパスリーブ
95 第2テーパスリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7