(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】焼結準備済み銀フィルム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240621BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L21/52 D
H01L21/60 311Q
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061354
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2021565874の分割
【原出願日】2020-05-05
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598085065
【氏名又は名称】アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALPHA ASSEMBLY SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ハセレフ、オスカー
(72)【発明者】
【氏名】シーベンヒュナー、マシュー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ブレグダ、モニエ
(72)【発明者】
【氏名】マルツィ、マイク
(72)【発明者】
【氏名】ビルグリエン、カール
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525839(JP,A)
【文献】特開2004-14565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを作製する方法であって、
a)設計された開口部を含むキャリアを作成する工程と、
b)前記設計された開口部内に銀フィルム層を鋳造する工程と、
c)前記キャリア及び銀フィルム層を乾燥させて、前記組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを形成する工程と、を含
み、
前記キャリアが、2つのプラスチックフィルムを恒久的に結合することによって作成される、方法
。
【請求項2】
前記キャリアが、ステンシル層及びバッキング層を含む、請求項
1に記載の方法
。
【請求項3】
前記ステンシル層が、前記設計された開口部を画定し、かつ/又は
前記バッキング層が、前記設計された開口部の底部を封止するように構成され、かつ/又は
工程b)の開始時に、前記設計された開口部の上部が、前記鋳造された銀フィルム層を受容するために開放されている、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記銀フィルム層を鋳造することが、銀ペーストを鋳造することを含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電気的又は機械的構成要素を接合する方法を対象とし、より具体的には、電子的構成要素及び関連デバイスを回路基板上に取り付ける方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ダイを取り付けるために使用され得る焼結準備済み銀フィルムは、ナノ銀粉末及び化学配合物の物理的特性を製品に組み合わせて、様々な電子デバイスの接合を可能にして熱伝導性界面及び導電性界面を生産する。
【0003】
米国特許出願公開第2012/0114927(A1)号は、その要約によると、マルチチップ及び単一構成要素のダイ取り付けのための方法が、基板上又はダイの裏側に焼結ペーストを印刷することを伴い得ることを記載している。印刷は、ステンシル印刷、スクリーン印刷、又は分配プロセスを伴い得る。ペーストは、ダイシング前のウェハ全体の裏側に、又は個々のダイの裏側に印刷され得る。焼結フィルムは、ウェハ、ダイ、又は基板にも加工及び転写され得る。焼結後工程は、スループットを増加させ得る。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、本開示は、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを作製する方法であって、
a)設計された開口部を含むキャリアを作成する工程と、
b)設計された開口部内に銀フィルム層を鋳造する工程と、
c)キャリア及び銀フィルム層を乾燥させて、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを形成する工程と、を含む、方法を提供する。
【0005】
この方法は、
d)組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア、工業用途のために準備した個々のシートに圧延又は切断する工程を更に含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、キャリアは、プラスチックキャリアを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、キャリアは、2つのプラスチックフィルムを恒久的に結合することによって作成され得る。いくつかの実施形態では、2つのプラスチックフィルムは、プラズマ結合プロセスを使用して結合され得る。いくつかの他の実施形態では、2つのプラスチックフィルムは、温度安定接着剤を使用して結合され得る。
【0008】
キャリアは、ステンシル層及びバッキング層を含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、ステンシル層は、設計された開口部を画定し得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、ステンシル層は、100~200ミクロン、任意選択的に150ミクロンの厚さを有し得る。追加的に又は代替的に、ステンシル層は、PETフィルムを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、ステンシル層は、設計された開口部を生産するためにダイカットされ得る。いくつかの実施形態では、設計された開口部は、長方形又は正方形であり得る。
【0012】
バッキング層は、設計された開口部の底部を封止するように構成され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、バッキング層は、50ミクロンの厚さを有し得る。追加的に又は代替的に、バッキング層は、PETフィルムを含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、バッキング層は、酸素プラズマで前処理され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、ステンシル層及びバッキング層は、ラミネータ-プレスを使用して、任意選択的に5MPaの圧力下及び150℃の温度で結合され得る。
【0016】
工程b)の開始時に、設計された開口部の上部は、鋳造された銀フィルム層を受容するために開放し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、銀フィルム層を鋳造することは、銀ペーストを鋳造することを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、工程b)における銀フィルム層は、溶媒を含み得る。工程c)の後、溶媒の量は減少し、溶媒は、好ましくは、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアには実質的に存在しない。しかしながら、溶媒の一部の残留物が、留まる場合がある。
【0019】
いくつかの実施形態では、キャリア及び銀フィルム層を乾燥させて、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを形成することは、任意選択的に130℃で20分間オーブン内で行われ得る。
【0020】
第2の態様では、本開示は、設計された開口部を含むキャリアと、設計された開口部内に鋳造された銀フィルム層と、を含む、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、キャリアは、プラスチックキャリアを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、キャリアは、2つの恒久的に結合されたプラスチックフィルムを含み得る。
【0023】
キャリアは、ステンシル層及びバッキング層を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ステンシル層は、設計された開口部を画定し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、ステンシル層は、100~200ミクロン、任意選択的に150ミクロンの厚さを有し得る。追加的に又は代替的に、ステンシル層は、PETフィルムを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、設計された開口部は、長方形又は正方形であり得る。
【0027】
バッキング層は、設計された開口部の底部を封止し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、バッキング層は、50ミクロンの厚さを有し得る。追加的に又は代替的に、バッキング層は、PETフィルムを含み得る。
【0029】
銀フィルム層は、鋳造用銀ペーストから形成され得る。銀フィルム層は、鋳造時に溶媒を含み得る。
【0030】
第3の態様では、本開示は、構成要素を基板に組み立てる方法であって、
a)設計された開口部を含むキャリアと、設計された開口部内に鋳造された銀フィルム層とを含むタイプの、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを、銀フィルム層が下向きになるように、基板の上に位置決めする工程と、
b)積層によって銀フィルム層を基板上に転写する工程と、
c)組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアからキャリアを除去する工程と、
d)転写された銀フィルム層と接触する基板上に構成要素を配置して、アセンブリを形成する工程と、
e)アセンブリを焼結して、構成要素と基板との間に銀接合を作成する工程と、を含む、方法を提供する。
【0031】
工程b)におけるいくつかの実施形態では、積層は、3~8MPa、任意選択的に3~6MPa、任意選択的に8Mpaの圧力下、及び130~150℃、任意選択的に130℃の温度で、積層プレスを使用し得る。
【0032】
工程e)におけるいくつかの実施形態では、焼結は、10MPaの圧力及び250℃の温度であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、基板は、直接結合銅(direct bonded copper、DBC)、リードフレーム、クリップ若しくはクリップアレイ、ウェハ、又は電子デバイスの組み立てに使用され、かつ金属化表面を有する任意の他の部品を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、構成要素は、Si若しくはSiCデバイス及び/又はダイを含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアは、上述の第2の態様で定義されたとおりであり得る。
【0036】
第4の態様では、本開示は、焼結された銀接合によって一緒に接合された構成要素及び基板のアセンブリを提供し、アセンブリは、上述の第3の態様の方法によって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
ここで、本開示の1つ以上の実施形態について、添付の図面を参照して、単に例として説明する。
【
図1a】本開示による、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアの製造プロセスの概略図である。
【
図1b】本開示による、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアの製造プロセスの概略図である。
【
図1c】本開示による、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアの製造プロセスの概略図である。
【
図3a】正方形の開口部を有するPETフィルムから形成されたキャリアの写真である。
【
図3b】銀フィルム層を開口部内に鋳造した後の
図3aのキャリアの写真である。
【
図3c】銀フィルム層の平坦度プロファイルを示す。
【
図4a】本開示によるパターン化された銀フィルムで積層された直接結合銅(DBC)基板を示す。
【
図4b】本開示によるパターン化された銀フィルムで積層された直接結合銅(DBC)基板を示す。
【
図5】
図4a及び4bの銀フィルム上に配置され、かつDBC基板に焼結されたダイを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、特許請求される主題が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。前述の発明の概要及び以下の例は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求されるいずれの主題も限定するものではないことを理解されたい。
【0039】
以下の説明は、本開示の実施形態を対象とする。実施形態の説明は、添付の特許請求の範囲において特許請求される本開示のすべての可能な実施形態を含むことを意図するものではない。以下の実施形態において明示的に列挙されていない多くの修正、改善、及び同等物は、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る。一実施形態の一部として記載される特徴は、文脈がそうではないことを明確に必要としない限り、1つ以上の他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。
【0040】
ある特定の事例では、焼結準備済み銀フィルムを使用する好ましい方法は、それらを、直接結合銅(DBC)、リードフレーム、又はクリップなどの基板上に積層することである。本開示は、基板の特定の領域上に選択的な積層を提供するために独自にパターン化された銀フィルムを形成するための既存の焼結フィルム技術の延長を説明する。このプロセスは、焼結プロセスを通して様々な電力モジュール及び別個のパッケージの大量製造に好適である。このプロセスは、焼結可能な銀フィルム及び特別なパターン化プロセスの能力を利用して、構成要素の正確な位置決め及び信頼性のある接続を確実にする。
【0041】
図1a~
図1cは、パターン化プロセスの概略図を示す。最初に、2つのプラスチックフィルム3、4を恒久的に結合することによって、キャリア2を作成する。いくつかの実施形態では、キャリア2は、一緒に結合されたポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)フィルムの2つの層から構成され得る。
【0042】
2つのプラスチックフィルムは、
図1aに示されるように、ステンシル層3及びバッキング層4を含み得る。ステンシル層3は、「層1」と呼ばれ得、バッキング層4は、「層2」と呼ばれ得る。
【0043】
上部プラスチックフィルム、すなわちステンシル層3を予め切断して、所望のパターン設計に従って開口部/穴5を形成する。開口部/穴5は、設計された開口部5とも呼ばれ得る。ステンシル層3の本体は、
図1aにおいて数字6で参照される。穴5を、ステンシル層3を通ってスタンピングし得る。開口部/穴5は、正方形、長方形、又は他の形状であってもよい。ステンシル層3は、PETから形成され得、100~200ミクロンの厚さを有し得る。非限定的な一実施形態では、キャリア2のステンシル層3は、13×13mm
2の正方形の開口部/穴5を生産するためにダイカットされた厚さ150ミクロンのPETフィルムから構成される。
【0044】
底部プラスチックフィルム、すなわち、バッキング層4は、PETから形成され得、50ミクロンの厚さを有し得る。バッキング層4は、ロール上のPETフィルムから形成され得る。
【0045】
ステンシル層3及びバッキング層4は、
図1bに示されるように、従来のプラズマ結合プロセスを使用して、又は温度安定接着剤を使用して一緒に結合されて、キャリア2を形成する。キャリア2の非限定的な例を
図3aに示す。
【0046】
いくつかの実施形態では、酸素プラズマ前処理を、バッキング層4、又はステンシル層3及びバッキング層4の両方に行い得る。非限定的な一実施形態では、酸素プラズマ前処理は、10分間の酸素プラズマを用いる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ステンシル層3及びバッキング層4は、圧力及び温度下で一緒に結合され得る。非限定的な一実施形態では、結合は、5MPaの圧力下及び150℃の温度でラミネータープレスを使用して行われる。
【0048】
キャリア2が形成されると、キャリア2の開口部/穴5内に特別な銀ペーストを鋳造する。銀ペーストは、溶媒を含み得る。非限定的な一実施形態では、銀ペーストは、MacDermid Alpha-Assembly Solutions of Somerset,NJ,USAから入手可能なArgomax(登録商標)ペーストであり得る。
【0049】
銀ペーストを有するキャリア2をオーブン内で乾燥させて、
図1cに示されるように、焼結準備済み銀フィルム7のパターンを形成する。非限定的な一実施形態では、キャリア2及び銀ペーストを130℃で20分間乾燥させた。乾燥工程は、銀ペーストから溶媒の少なくとも一部を取り除き得る。乾燥工程が完了した後、溶媒の量が減少し、溶媒は、好ましくは、焼結準備済み銀フィルム7に実質的に存在しない。しかしながら、溶媒の一部の残留物が、留まる場合がある。
【0050】
キャリア2及び焼結準備済み銀フィルム7は一緒に、本開示において、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1と呼ばれる。組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1を、工業用途のために準備した個々のシートに圧延又は切断することができる。組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1の非限定的な例を、
図3bに示す。
【0051】
非限定的な一実施形態では、
図3cの平坦度プロファイルに示されるように、焼結準備済み銀フィルム7の銀フィルム厚さは、約100ミクロンであり、パターン全体にわたって均一であった。
【0052】
組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1をある用途で使用するために、パターン化された焼結準備済み銀フィルム7を基板10に積層する。基板10は、DBC、リードフレーム、クリップ若しくはクリップアレイ、ウェハ、又は電子デバイスのアセンブリに使用され、かつ金属化表面を有する任意の他の部品であり得る。焼結準備済み銀フィルム7が基板10に積層されると、部品は、焼結プロセスを使用して組み立てられる準備が整う。
【0053】
例示的な積層プロセスを、
図2a及び2bに概略的に示す。積層は、
図2aに概略的に示される積層プレスを使用して行われ得る。積層プレスは、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1並びに基板10に圧縮圧力を印加するために使用される上部プラテン11及び底部プラテン12を含み得る。上部プラテン11及び底部プラテン12は、130℃に加熱され得る。
【0054】
黒鉛シート13は、上側プラテン11と、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1との間に介在し得る。組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1を、焼結準備済み銀フィルム7が下向きになるように、基板10(例えばDBC)の上に位置決めする。焼結準備済み銀フィルム7を、
図2bに概略的に示されるように、5MPa、代替的に8MPaの圧力下、及び130℃の温度の積層プレスで、キャリア2から基板10上に転写する。焼結準備済み銀フィルム7で積層された、得られた基板10(本例ではDBC)の非限定的な例を、
図4a及び4bに示す。
【0055】
次いで、焼結準備済み銀フィルムを焼結して銀接合を形成することによって、構成要素を基板10に接合し得る。ダイ22を、積層された焼結準備済み銀フィルム7上に装着し、10MPa及び250℃の焼結プレスで基板10に焼結する非限定的な例を、
図5に示す。
【0056】
産業上の適用可能性
パターン化された組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1は、設計された開口部5を有するプラスチックキャリア2と、開口部5内に鋳造された焼結準備済み銀フィルム層7とから構成され得る。焼結準備済み銀フィルム7のパターンのレイアウトは、有利には、組み立てられる電子デバイスの設計によって画定される。パターン化された焼結準備済み銀フィルム7は、2工程プロセスで生産に使用される。第1の工程では、焼結準備済み銀フィルム7を、3~6Mpaの典型的な圧力及び130~150℃の温度で積層することによって、キャリア2から基板10上に転写する。使用される典型的な基板は、Si又はSiCデバイスを有するセラミックDBC、リードフレーム、クリップ、及びウェハである。第2の工程では、構成要素を基板10上に配置し、アセンブリを10MPaの典型的な圧力及び250℃の温度で焼結して、信頼性の高い銀接合を作成する。有利には、このプロセスは、電力モジュール、別個の構成要素、及び様々な他のデバイスの大量製造に十分適している。
【0057】
本開示の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1は、有利には、大量製造を可能にする既存の製造設備及びプロセスに適合するように位置決めされ得る。一例では、焼結準備済み銀フィルム7を、個々のダイ又はウェハに積層し、続いてダイシングをし得る。次いで、積層されたダイを基板上に配置し、印加された熱及び圧力下で焼結することができる。ダイと基板との間の得られた接合は、以下に示す構造及び特性を有する金属銀である。
【0058】
典型的なArgomax(登録商標)接合
組成:焼結銀粒子
密度:85~95%
熱伝導率:約200WmK
導電率:約3μΩcm
ヤング率:約20GPa
【0059】
本開示の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア1は、電気設備及び自動車設備の大面積サイリスタ及び電力モジュールから、携帯電話技術及びLED照明の小型の別個の構成要素まで、多種多様なデバイス及び用途における構成要素の取り付けに使用してもよい。この技術は、従来の接合技術と比較して、電力若しくは光出力又は信頼性を5~30倍を超えて増加させることによって、既存のデバイスの性能を改善し得る。このフィルムは、既存の技術では達成不可能な電気効率をもたらす、新規の高温のSiC及びGaN半導体並びに新規のデバイス設計の使用を可能にする。
【0060】
本開示の更なる態様は、以下の項目に記載される。
【0061】
項目
項目1. 組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを作製する方法であって、
a)設計された開口部を含むキャリアを作成する工程と、
b)設計された開口部内に銀フィルム層を鋳造する工程と、
c)キャリア及び銀フィルム層を乾燥させて、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを形成する工程と、を含む、方法。
項目2.
d)組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを、工業用途のために準備した個々のシートに圧延又は切断する工程を更に含む、項目1に記載の方法。
項目3. キャリアが、プラスチックキャリアを含む、項目1又は項目2に記載の方法。
項目4. キャリアが、2つのプラスチックフィルムを恒久的に結合することによって作成される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
項目5. 2つのプラスチックフィルムが、プラズマ結合プロセスを使用して結合される、項目4に記載の方法。
項目6. 2つのプラスチックフィルムが、温度安定性接着剤を使用して結合される、項目4に記載の方法。
項目7. キャリアが、ステンシル層及びバッキング層を含む、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
項目8. ステンシル層が、設計された開口部を画定する、項目7に記載の方法。
項目9. ステンシル層が、100~200ミクロン、任意選択的に150ミクロンの厚さを有する、項目7又は項目8に記載の方法。
項目10. ステンシル層が、PETフィルムを含む、項目7~9のいずれか一項に記載の方法。
項目11. ステンシル層が、設計された開口部を生産するためにダイカットされる、項目7~10のいずれか一項に記載の方法。
項目12. 設計された開口部が、長方形又は正方形である、項目7~11のいずれか一項に記載の方法。
項目13. バッキング層が、設計された開口部の底部を封止するように構成されている、項目7~12のいずれか一項に記載の方法。
項目14. バッキング層が、50ミクロンの厚さを有する、項目7~13のいずれか一項に記載の方法。
項目15. バッキング層が、PETフィルムを含む、項目7~14のいずれか一項に記載の方法。
項目16. バッキング層が、酸素プラズマで前処理される、項目7~15のいずれか一項に記載の方法。
項目17. ステンシル層及びバッキング層が、ラミネータープレスを使用して、任意選択的に5MPaの圧力下及び150℃の温度で結合される、項目7~16のいずれか一項に記載の方法。
項目18. 工程b)の開始時に、設計された開口部の上部が、鋳造された銀フィルム層を受容するために開放されている、項目7~17のいずれか一項に記載の方法。
項目19. 銀フィルム層を鋳造することが、銀ペーストを鋳造することを含む、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
項目20. 銀フィルム層が、溶媒を含む、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
項目21. キャリア及び銀フィルム層を乾燥させて、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを形成することが、任意選択的に130℃で20分間オーブン内で行われる、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
項目22. 設計された開口部を含むキャリアと、設計された開口部内に鋳造された銀フィルム層と、を含む、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目23. キャリアが、プラスチックキャリアを含む、項目22に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目24. キャリアが、2つの恒久的に結合されたプラスチックフィルムを含む、項目22又は項目23に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目25. キャリアが、ステンシル層及びバッキング層を含む、項目22~24のいずれか一項に記載の>組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目26. ステンシル層が、設計された開口部を画定する、項目25に記載の組み合わせられた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目27. ステンシル層が、100~200ミクロン、任意選択的に150ミクロンの厚さを有する、項目25又は項目26に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目28. ステンシル層が、PETフィルムを含む、項目25~27のいずれか一項に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目29. 設計された開口部が、長方形又は正方形である、項目25~28のいずれか一項に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目30. バッキング層が、設計された開口部の底部を封止する、項目25~29のいずれか一項に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目31. バッキング層が、50ミクロンの厚さを有する、項目25~30のいずれか一項に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目32. バッキング層が、PETフィルムを含む、項目25~31のいずれか一項に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目33. 銀フィルム層が、鋳造用銀ペーストから形成される、項目22~32のいずれか一項に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目34. 銀フィルム層が、鋳造時に溶媒を含む、項目22~33のいずれか一項に記載の組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリア。
項目35. 構成要素を基板に組み立てる方法であって、
a)設計された開口部を含むキャリアと、設計された開口部内に鋳造された銀フィルム層とを含むタイプの、組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアを、銀フィルム層が下向きになるように、基板の上に位置決めする工程と、
b)積層によって銀フィルム層を基板上に転写する工程と、
c)組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアからキャリアを除去する工程と、
d)転写された銀フィルム層と接触する基板上に構成要素を配置して、アセンブリを形成する工程と、
e)アセンブリを焼結して、構成要素と基板との間に銀接合を作成する工程と、を含む、方法。
項目36. 工程b)において、積層が、3~8MPa、任意選択的に3~6MPa、任意選択的に8MPaの圧力下、及び130℃~150℃、任意選択的に130℃の温度で、積層プレスを使用する、項目35に記載の方法。
項目37. 工程e)において、焼結が、10MPaの圧力及び250℃の温度である、項目35又は項目36に記載の方法。
項目38. 基板が、直接結合銅(DBC)、リードフレーム、クリップ若しくはクリップアレイ、ウェハ、又は電子デバイスのアセンブリに使用され、かつ金属化表面を有する任意の他の部品を含む、項目35~37のいずれか一項に記載の方法。
項目39. 構成要素が、Si若しくはSiCデバイス及び/又はダイを含む、項目35~38のいずれか一項に記載の方法。
項目40. 組み合わされた焼結準備済み銀フィルム及びキャリアが、項目22~34のいずれか一項に定義されるとおりである、項目35~39のいずれか一項に記載の方法。
項目41. 焼結された銀接合によって一緒に接合された構成要素及び基板のアセンブリであって、項目35~40のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、アセンブリ。
【0062】
本開示の図面及び説明のうちの少なくとも一部が、本開示の明確な理解のために、関連する要素に焦点を当てるように簡素化されており、当業者が理解する他の要素が明確にする目的で排除されることが必要とされ得ることを理解されたい。このような要素は当業者に周知であるため、かつ本開示のより良好な理解を必ずしも容易にするものではないため、そのような要素の説明は本明細書では提供されない。