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特許7507922動画像符号化方法、動画像復号化方法、符号化装置および復号化装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】動画像符号化方法、動画像復号化方法、符号化装置および復号化装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/54 20140101AFI20240621BHJP
   H04N 19/119 20140101ALI20240621BHJP
   H04N 19/139 20140101ALI20240621BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20240621BHJP
【FI】
H04N19/54
H04N19/119
H04N19/139
H04N19/176
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062068
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2021184230の分割
【原出願日】2016-03-30
(65)【公開番号】P2023089084
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】201510249484.8
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 海涛
【審査官】岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-236510(JP,A)
【文献】特開2006-187025(JP,A)
【文献】特表2000-511366(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070730(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0355684(US,A1)
【文献】Han Huang et al.,Control-Point Representation and Differential Coding Affine-Motion Compensation,CIRCUITS AND SYSTEMS FOR VIDEO TECHNOLOGY,IEEE,2013年10月,VOL. 23, NO. 10,pp.1651-1660
【文献】Han Huang et al.,Affine SKIP and DIRECT modes for efficient video coding,2012 Visual Communications and Image Processing,IEEE,2012年11月27日,pp.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダによって実行される動画像符号化方法であって、
アフィンピクチャブロックの制御点の動きベクトルを取得するステップと、
前記制御点の前記動きベクトルに基づいて動きベクトル差分を決定するステップと、
前記動きベクトル差分、精度および前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の間の距離に基づいて変化するサイズにわたって前記アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を実行するステップであって、前記サイズは、前記アフィンピクチャブロックの水平方向長さおよび垂直方向長さを含む、ステップと、
前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の前記動きベクトルの情報を含むビットストリームを符号化するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記制御点は、第1の制御点、第2の制御点、第3の制御点、および第4の制御点を含み、前記第1の制御点および前記第2の制御点は同じ水平線上に位置し、前記第3の制御点および前記第4の制御点は同じ垂直線上に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の間の前記距離は、水平距離と垂直距離とを含み、前記第1の制御点と前記第2の制御点との間の前記水平距離は、前記アフィンピクチャブロックの幅Wであり、前記第3の制御点と前記第4の制御点との間の前記垂直距離は、前記アフィンピクチャブロックの高さHである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記動きベクトル差分は、水平成分および垂直成分を含み、前記水平方向長さおよび前記垂直方向長さは、前記水平成分、前記垂直成分、前記精度、前記水平距離、および前記垂直距離に基づいて変化する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動きベクトル差分を決定する前記ステップは、
前記第1の制御点および前記第2の制御点の動きベクトルの間の差に従って、前記動きベクトル差分の前記水平成分を決定するステップと、
前記第3の制御点および前記第4の制御点の動きベクトルの間の差に従って、前記動きベクトル差分の前記垂直成分を決定するステップと
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記動きベクトル差分の前記水平成分を決定する前記ステップは、
前記第1の制御点および前記第2の制御点の前記動きベクトルの間の第1の水平成分差分および第1の垂直成分差分を決定するステップと、
前記第1の水平成分差分および前記第1の垂直成分差分のうち大きい方を前記動きベクトル差分の前記水平成分として決定するステップと
を含み、
前記動きベクトル差分の前記垂直成分を決定する前記ステップは、
前記第3の制御点および前記第4の制御点の前記動きベクトルの間の第2の水平成分差分および第2の垂直成分差分を決定するステップと、
前記第2の水平成分差分および前記第2の垂直成分差分のうち大きい方を前記動きベクトル差分の前記垂直成分として決定するステップと
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の制御点および前記第3の制御点は同じ制御点である、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記精度はあらかじめ設定された値である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
動画像符号化デバイスであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行される命令を記憶した非一時的メモリであって、前記1つまたは複数のプロセッサは前記命令を実行して、
アフィンピクチャブロックの制御点の動きベクトルを取得し、
前記制御点の前記動きベクトルに基づいて動きベクトル差分を決定し、
前記動きベクトル差分、精度、および前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の間の距離に基づいて変化するサイズにわたって前記アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を実行し、前記サイズは、前記アフィンピクチャブロックの水平方向長さおよび垂直方向長さを含み、
前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の前記動きベクトルの情報を含むビットストリームを符号化する、非一時的メモリと
を備える、デバイス。
【請求項10】
前記制御点は、第1の制御点、第2の制御点、第3の制御点、および第4の制御点を含み、前記第1の制御点および前記第2の制御点は同じ水平線上に位置し、前記第3の制御点および前記第4の制御点は同じ垂直線上に位置する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の間の前記距離は、水平距離および垂直距離を含み、前記第1の制御点と前記第2の制御点との間の前記水平距離は、前記アフィンピクチャブロックの幅Wであり、前記第3の制御点と前記第4の制御点との間の前記垂直距離は、前記アフィンピクチャブロックの高さHである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記動きベクトル差分は、水平成分および垂直成分を含み、前記水平方向長さおよび前記垂直方向長さは、前記水平成分、前記垂直成分、前記精度、前記水平距離、および前記垂直距離に基づいて変化する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して、さらに、
前記第1の制御点および前記第2の制御点の動きベクトルの間の差に従って、前記動きベクトル差分の前記水平成分を決定し、
前記第3の制御点および前記第4の制御点の動きベクトルの間の差に従って、前記動きベクトル差分の前記垂直成分を決定する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記命令を実行して、さらに、
前記第1の制御点および前記第2の制御点の前記動きベクトルの間の第1の水平成分差分および第1の垂直成分差分を決定し、前記第1の水平成分差分および前記第1の垂直成分差分のうち大きい方が、前記動きベクトル差分の前記水平成分として決定され、
前記第3の制御点および前記第4の制御点の前記動きベクトルの間の第2の水平成分差分および第2の垂直成分差分を決定し、前記第2の水平成分差分および前記第2の垂直成分差分のうち大きい方が、前記動きベクトル差分の前記垂直成分として決定される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の制御点および前記第3の制御点は同じ制御点である、請求項10から14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記精度はあらかじめ設定された値である、請求項9から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
通信インタフェースと、プロセッサと、記憶媒体とを備える、ビットストリームを記憶するためのデバイスであって、前記通信インタフェースは前記ビットストリームを受信および/または送信するように構成され、前記記憶媒体は前記ビットストリームを記憶するように構成され、
前記ビットストリームは、アフィンピクチャブロックの制御点の動きベクトルの情報を含み、前記制御点の前記動きベクトルは、前記プロセッサが動きベクトル差分を決定することを可能にし、前記プロセッサは、前記動きベクトル差分、精度、および前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の間の距離に基づいて変化するサイズにわたって前記アフィンピクチャブロックに対する符号化処理を実行する、デバイス
【請求項18】
前記制御点は、第1の制御点、第2の制御点、第3の制御点、および第4の制御点を含み、前記第1の制御点および前記第2の制御点は同じ水平線上に位置し、前記第3の制御点および前記第4の制御点は同じ垂直線上に位置する、請求項17に記載のデバイス
【請求項19】
前記アフィンピクチャブロックの前記制御点の間の前記距離は、水平距離と垂直距離とを含み、前記第1の制御点と前記第2の制御点との間の前記水平距離は、前記アフィンピクチャブロックの幅Wであり、前記第3の制御点と前記第4の制御点との間の前記垂直距離は、前記アフィンピクチャブロックの高さHである、請求項18に記載のデバイス
【請求項20】
前記精度は予め設定された値である、請求項17から19のいずれか一項に記載のデバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年5月15日に中国特許庁に提出され発明の名称を「動画像符号化方法、動画像復号化方法、符号化装置および復号化装置」とする中国特許出願第201510249484.8号に基づく優先権を主張し、その内容は参照によりすべて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、動画像処理の分野に関し、特に、動画像符号化方法、動画像復号化方法、符号化装置および復号化装置に関する。
【背景技術】
【0003】
インターネットテクノロジが急速に発展し人々の物質的・精神的文化がより豊かになるのに伴い、インターネット上の動画像アプリケーションに対する要求事項、特に高解像度動画像アプリケーションに対する要求事項が増加している。しかしながら、高解像度動画のデータ量は莫大であり、また、帯域幅に制限のあるインターネット上で高解像度動画を送信することができるように、高解像度動画像の圧縮符号化の問題がまず解決される必要がある。現在、2つの国際組織、すなわち、国際標準化機構(International Organization for Standardization、略して「ISO」)/国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission、略して「IEC」)下のMotion Picture Experts Group、略して「MPEG」)、および、国際電気通信連合‐電気通信標準化部門(International Telecommunication Union‐Telecommunication standardization sector、略して「ITU‐T」)下のビデオコーディングエキスパートグループ(Video Coding Experts Group,略して「VCEG」)が国際的な動画像符号化規格の開発に携わっている。MPEGは1986年に設立され、マルチメディア分野で関連する規格の策定に携わってきており、これらの規格は主としてインターネット上や無線ネットワーク上などでのストレージ、放送およびテレビならびにストリーミングメディア等に適用されている。ITU‐Tは主としてビデオ電話やビデオ会議用途のような、リアルタイム映像通信分野向けの動画像符号化規格を策定している。
【0004】
過去数十年において様々な用途向けの国際的動画像符号化規格が成功裏に策定されており、主として、ビデオコンパクトディスク(Video Compact Disc、略して「VCD」)に適用されるMPEG‐1規格、デジタル多用途ディスク(Digital Video Disc、略して「DVD」)およびデジタルビデオ放送(Digital Video Broadcasting、略して「DVB」)に適用されるMPEG‐2規格、ビデオ会議に適用されるH.261規格、H.263規格およびH.264規格、任意の形式のオブジェクトの符号化を可能にするMPEG‐4規格、ならびに最新の高効率ビデオコーディング(High Efficiency Video Coding、略して「HEVC」)規格を含む。
【発明の概要】
【0005】
最新の動画像符号化規格であるHEVCと比較して、回転やスケーリングの動きを含むシーケンスについては、線形的に変化する動きベクトルフィールドに基づく動き補償予測技術は、符号化の効率を顕著に改善することができる。アフィン変換に基づく従来の動き補償予測技術においては、ピクチャブロックのアフィン変換パラメータを取得した後で、ピクチャブロック内の各画素の動きベクトルを計算する必要があり、動き補償予測が各画素の動きベクトルにしたがって行なわれ、したがって、各画素の動き補償予測信号が取得される。ピクチャブロックの各画素の動きベクトルが変化することがあるので、動きベクトルに応じて画素に対して異なる操作が行われる必要がある。画素ベースの動き補償予測の複雑度は非常に高い。符号化/復号化の複雑度を低減するために、関連する技術は、さらに、ピクチャブロックをピクチャサブブロックに分割して、各ピクチャサブブロックの動きベクトルを取得したうえで、各ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を取得することを試みている。
【0006】
しかしながら、関連する技術においては、ピクチャサブブロックの大きさが固定されている。ピクチャサブブロックが過度に小さい場合、比較的高い符号化/復号化の複雑度につながる。ピクチャサブブロックが過度に大きい場合、符号化/復号化の効率が低下する。
【0007】
本発明は、適切なサイズのピクチャサブブロックを選択することによって、符号化/復号化の複雑度を低減させるとともに符号化/復号化の効率を改善すべく、動画像符号化方法、動画像復号化方法、符号化装置および復号化装置を提供する。
【0008】
第1の態様によれば、動画像符号化方法が提供され、この動画像符号化方法は、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求めることと、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めることと、動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点であって、動きベクトル差分を求めるために用いられる画素である、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定することと、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なうことと、を含む。
【0009】
第1の態様に関連して、第1の態様の第1の可能な実装方式においては、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求めることは、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求めることと、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めることとを含み、ここで、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0010】
第1の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第2の可能な実装方式においては、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求めることは、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることと、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定することを含み、かつ、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めることは、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることと、第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定することを含む。
【0011】
第1の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第3の可能な実装方式においては、方法は、各画素が同一のアフィン変換パラメータをもつアフィンピクチャブロックについて、該アフィンピクチャブロックの1つの画素のアフィン変換パラメータを求めることをさらに含み、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることは、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって、第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることを含み、かつ、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることは、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることを含む。
【0012】
第1の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第4の可能な実装方式においては、方法は、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求めることをさらに含み、
第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることは、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との差分を、第1水平成分差分として決定することと、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を、第1垂直成分差分として決定することと、を含み、かつ、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることは、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との差分を、第2水平成分差分として決定することと、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を、第2垂直成分差分として決定することと、を含む。
【0013】
第1の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第5の可能な実装方式においては、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素であり、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めること、および第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることは、重なり合わない画素である第1画素、第2画素および第3画素について、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトルを求めることと、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求めることと、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求めることと、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離と、にしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることと、を含む。
【0014】
第1の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、第1の態様の第6の可能な実装方式においては、動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定することは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして、決定することと、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして、決定することと、を含む。
【0015】
第1の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定することは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、あらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定すること、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、第1設定値未満であるとき、この第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定することと、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、あらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定すること、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、第2設定値未満であるとき、この第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定することと、を含む。
【0016】
第1の態様の第1ないし第7の可能な実装方式のいずれかに関連して、第1の態様の第8の可能な実装方式においては、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0017】
第1の態様の第1ないし第8の可能な実装方式のいずれかに関連して、第1の態様の第9の可能な実装方式においては、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0018】
第1の態様の第7の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第10の可能な実装方式においては、第1設定値は4であり、および/または、第2設定値は4である。
【0019】
第1の態様のいずれか、または第1の態様の第1ないし第10の可能な実装方式のいずれかに関連して、第1の態様の第11の可能な実装方式においては、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めることは、あらかじめ定められた第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定すること、または、アフィンピクチャブロックに隣接するピクチャブロックであって、アフィンピクチャブロックに対して空間的および/または時間的に隣接しているピクチャブロックである隣接するピクチャブロック、の特徴にしたがって、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めることを含む。
【0020】
第1の態様のいずれか、または第1の態様の第1ないし第11の可能な実装方式のいずれかに関連して、第1の態様の第12の可能な実装方式においては、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なうことは、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求めることと、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求めることと、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求めることと、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を符号化することと、を含む。
【0021】
第1の態様の第12の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第13の可能な実装方式においては、方法は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の列内の画素である、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングすること、をさらに含む。
【0022】
第1の態様の第13の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第14の可能な実装方式においては、境界画素の信号が、動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、この再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0023】
第2の態様によれば、動画像復号化方法が提供され、この動画像復号化方法は、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求めることと、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めることと、動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点であって、動きベクトル差分を決定するために使われる画素である、制御点どうしの間の距離と、にしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定することと、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なうことと、を含む。
【0024】
第2の態様に関連して、第2の態様の第1の可能な実装方式においては、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求めることは、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求めることと、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めることとを含み、ここで、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0025】
第2の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第2の可能な実装方式においては、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求めることは、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることと、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定することを含み、かつ、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めることは、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることと、第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定することを含む。
【0026】
第2の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第3の可能な実装方式においては、方法は、各画素が同一のアフィン変換パラメータをもつアフィンピクチャブロックについて、該アフィンピクチャブロックの1つの画素のアフィン変換パラメータを求めることをさらに含み、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることは、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって、第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることを含み、かつ、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることは、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることを含む。
【0027】
第2の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第4の可能な実装方式においては、方法は、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求めることをさらに含み、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることは、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との差分を、第1水平成分差分として決定することと、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を、第1垂直成分差分として決定することと、を含み、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることは、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との差分を、第2水平成分差分として決定することと、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を、第2垂直成分差分として決定することと、を含む。
【0028】
第2の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第5の可能な実装方式においては、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素であり、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めることおよび第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることは、重なり合わない画素である第1画素、第2画素および第3画素について、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトルを求めることと、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求めることと、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求めることと、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離と、にしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めることと、を含む。
【0029】
第2の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、第2の態様の第6の可能な実装方式においては、動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定することは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして、決定することと、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして、決定することと、を含む。
【0030】
第2の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、第2の態様の第7の可能な実装方式においては、動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定することは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、あらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定すること、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、第1設定値未満であるとき、この第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定することと、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、あらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定すること、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、第2設定値未満であるとき、この第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定することと、を含む。
【0031】
第2の態様の第1ないし第7の可能な実装方式のいずれかに関連して、第2の態様の第8の可能な実装方式においては、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0032】
第2の態様の第1ないし第8の可能な実装方式のいずれかに関連して、第2の態様の第9の可能な実装方式においては、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0033】
第2の態様の第7の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第10の可能な実装方式においては、第1設定値は4である、および/または、第2設定値は4である。
【0034】
第2の態様のいずれか、または第2の態様の第1ないし第10の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第11の可能な実装方式においては、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めることは、第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定すること、または、アフィンピクチャブロックに隣接するピクチャブロックであって、アフィンピクチャブロックに対して空間的および/または時間的に隣接しているピクチャブロックである隣接するピクチャブロック、の特徴にしたがって、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めることを含む。
【0035】
第2の態様のいずれか、または、第2の態様の第1ないし第11の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第12の可能な実装方式においては、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なうことは、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求めることと、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求めることと、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求めることと、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を復号化することと、を含む。
【0036】
第2の態様の第12の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第13の可能な実装方式においては、方法は、さらに次のものを含む。各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングすること、をさらに含み、ここで、境界画素は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の列内の画素である。
【0037】
第2の態様の第13の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第14の可能な実装方式においては、境界画素の信号が、動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、この再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0038】
第3の態様によれば、符号化装置が提供され、この符号化装置は、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求めるように構成された第1の判定モジュールと、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように構成された第2の判定モジュールと、第1の判定モジュールによって求められた動きベクトル差分と、第2の判定モジュールによって求められた動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点であって、動きベクトル差分を求めるために用いられる画素である、制御点どうしの間の距離と、にしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定するように構成された、第3の判定モジュールと、第3の判定モジュールによって決定されたアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なうように構成された、符号化モジュールと、を備えている。
【0039】
第3の態様に関連して、第3の態様の第1の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求め、かつ、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めるように特に構成され、ここで、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0040】
第3の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第3の態様の第2の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求め、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定し、第3制御点および第4制御点の動きベクトルの間の第2水平成分差分と第2垂直成分差分とを求め、かつ、第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定するように特に構成されている。
【0041】
第3の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第3の態様の第3の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、各画素が同一のアフィン変換パラメータをもつアフィンピクチャブロックについて、該アフィンピクチャブロックの1つの画素のアフィン変換パラメータを求め、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めて、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0042】
第3の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第3の態様の第4の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求め、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第1水平成分差分として決定し、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第1垂直成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第2水平成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第2垂直成分差分として決定するように特に構成されている。
【0043】
第3の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第3の態様の第5の可能な実装方式においては、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素であり、第1の判定モジュールは、重なり合わない画素である第1画素、第2画素および第3画素について、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルとを求め、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求め、かつ、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離と、にしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0044】
第3の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、第3の態様の第6の可能な実装方式においては、第3の判定モジュールは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして、決定し、かつ、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして、決定するように特に構成されている。
【0045】
第3の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、第3の態様の第7の可能な実装方式においては、第3の判定モジュールは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、あらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、第1設定値未満であるとき、この第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、かつ、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、あらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、第2設定値未満であるとき、この第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0046】
第3の態様の第1ないし第7の可能な実装方式のいずれかに関連して、第3の態様の第8の可能な実装方式においては、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0047】
第3の態様の第1ないし第8のいずれかの可能な実装方式に関連して、第3の態様の第9の可能な実装方式においては、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0048】
第3の態様の第7の可能な実装方式に関連して、第3の態様の第10の可能な実装方式、第1設定値は4であり、および/または、第2設定値は4である。
【0049】
第3の態様のいずれか、または第3の態様の第1ないし第10の可能な実装方式に関連して、第3の態様の第11の可能な実装方式においては、第2の判定モジュールは、あらかじめ定められた第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定し、アフィンピクチャブロックに隣接するピクチャブロックであって、アフィンピクチャブロックに対して空間的および/または時間的に隣接しているピクチャブロックである隣接するピクチャブロック、の特徴にしたがって、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように特に構成されている。
【0050】
第3の態様のいずれか、または第3の態様の第1ないし第11の可能な実装方式のいずれかに関連して、第3の態様の第12の可能な実装方式においては、符号化モジュールは、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求め、かつ、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求めて、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を符号化するように特に構成されている。
【0051】
第3の態様の第12の可能な実装方式に関連して、第3の態様の第13の可能な実装方式においては、符号化装置は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングするように構成されたフィルタモジュールをさらに備え、ここで、境界画素は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の列内の画素である。
【0052】
第3の態様の第13の可能な実装方式に関連して、第の態様の第14の可能な実装方式においては、境界画素の信号が、動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、この再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0053】
第4の態様によれば、復号化装置が提供され、この復号化装置は、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求めるように構成された第1の判定モジュールと、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように構成された第2の判定モジュールと、第1の判定モジュールによって求められた動きベクトル差分と、第2の判定モジュールによって求められた動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点であって、動きベクトル差分を求めるために用いられる画素である、制御点どうしの間の距離と、にしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定するように構成された、第3の判定モジュールと、第3の判定モジュールによって決定されたアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なうように構成された、復号化モジュールと、を備えている。
【0054】
第4の態様に関連して、第4の態様の第1の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求め、かつ、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めるように特に構成され、ここで、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する
【0055】
第4の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第4の態様の第2の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの間の第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求め、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定し、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの間の第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求め、かつ、第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定するように特に構成されている。
【0056】
第4の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第4の態様の第3の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、各画素が同一のアフィン変換パラメータをもつアフィンピクチャブロックについて、該アフィンピクチャブロックの1つの画素のアフィン変換パラメータを求め、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって、第1水平成分差分と第1垂直成分差分とを求め、かつ、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0057】
第4の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第4の態様の第4の可能な実装方式においては、第1の判定モジュールは、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求め、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との差分を、第1水平成分差分として決定し、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を、第1垂直成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との差分を、第2水平成分差分として決定し、かつ、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を、第2垂直成分差分として決定するように特に構成されている。
【0058】
第4の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第4の態様の第5の可能な実装方式においては、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素であり、第1の判定モジュールは、重なり合わない画素である第1画素、第2画素および第3画素について、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルとを求め、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求め、かつ、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離と、にしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0059】
第4の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、第4の態様の第6の可能な実装方式においては、第3の判定モジュールは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして、決定し、かつ、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして、決定するように特に構成されている。
【0060】
第4の態様の第3ないし第5の可能な実装方式のいずれかに関連して、第4の態様の第7の可能な実装方式においては、第3の判定モジュールは、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、第1設定値以上であるとき、比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が、第1設定値未満であるとき、第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、かつ、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、第2設定値以上であるとき、比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が、第2設定値未満であるとき、第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0061】
第4の態様の第1ないし第7の可能な実装方式のいずれかに関連して、第4の態様の第8の可能な実装方式においては、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0062】
第4の態様の第1ないし第8の可能な実装方式のいずれかに関連して、第4の態様の第9の可能な実装方式においては、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0063】
第4の態様の第7の可能な実装方式に関連して、第4の態様の第10の可能な実装方式においては、第1設定値は4であり、および/または、第2設定値は4である。
【0064】
第4の態様の第1ないし第10の可能な実装方式のいずれかに関連して、第4の態様の第11の可能な実装方式においては、第2の判定モジュールは、あらかじめ定められた第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定し、または、アフィンピクチャブロックに隣接するピクチャブロックであって、アフィンピクチャブロックに対して空間的および/または時間的に隣接しているピクチャブロックである隣接するピクチャブロック、の特徴にしたがって、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を決定するように特に構成されている。
【0065】
第4の態様の第1ないし第11の可能な実装方式のいずれかに関連して、第4の態様の第12の可能な実装方式においては、復号化モジュールは、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求め、かつ、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を復号化するように特に構成されている。
【0066】
第4の態様の第12の可能な実装方式に関連して、第4の態様の第13の可能な実装方式においては、復号化装置は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングするように構成されたフィルタモジュールをさらに備え、ここで、境界画素は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の列内の画素である。
【0067】
第4の態様の第13の可能な実装方式に関連して、第4の態様の第14の可能な実装方式においては、境界画素の信号が、動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、この再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0068】
前述の技術的解決策に基づいて、本発明の実施形態における動画像符号化方法、動画像復号化方法、符号化装置および復号化装置によれば、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズが、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって決定される。このようにして、適切なサイズのピクチャサブブロックが符号化/復号化プロセスにおいて選択されるので、符号化/復号化の複雑度を低減することができ、かつ、符号化/復号化の効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本発明の実施形態における技術的解決策をより一層はっきりと記載するために、本発明の実施形態を記載するうえで必要な添付の図面について、以下のとおり簡単に説明しておく。明らかに、以下の説明における添付の図画は、単に本発明の若干の実施形態を示したものであって、当業者は依然として、創作的な取り組みを要することなく、これらの添付の図面から他の図面を導出することがある。
【0070】
図1】本発明の実施形態に係る動画像符号化方法の概略流れ図である。
図2】本発明の実施形態に係る別の動画像符号化方法の概略流れ図である。
図3】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像符号化方法の概略流れ図である。
図4】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像符号化方法の概略流れ図である。
図5】本発明の実施形態に係るアフィンピクチャブロックおよび制御点の概略図である。
図6】本発明の実施形態に係るアフィンピクチャブロックにおける3つの重なり合わない画素の概略図である。
図7】本発明の実施形態に係る別のアフィンピクチャブロックの概略図である。
図8】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像符号化方法の概略流れ図である。
図9】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像符号化方法の概略流れ図である。
図10】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像符号化方法の概略流れ図である。
図11】本発明の実施形態に係るさらに別のアフィンピクチャブロックの概略図である。
図12】本発明の実施形態に係る動画像復号化方法の概略流れ図である。
図13】本発明の実施形態に係る別の動画像復号化方法の概略流れ図である。
図14】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像復号化方法の概略流れ図である。
図15】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像復号化方法の概略流れ図である。
図16】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像復号化方法の概略流れ図である。
図17】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像復号化方法の概略流れ図である。
図18】本発明の実施形態に係るさらに別の動画像復号化方法の概略流れ図である。
図19】本発明の実施形態に係る符号化装置の概略ブロック図である。
図20】本発明の実施形態に係る別の符号化装置の概略ブロック図である。
図21】本発明の実施形態に係る復号化装置の概略ブロック図である。
図22】本発明の実施形態に係る別の復号化装置の概略ブロック図である。
図23】本発明の別の実施形態に係る符号化装置の概略ブロック図である。
図24】本発明の別の実施形態に係る復号化装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、本発明の実施形態における技術的解決策について、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施形態は本発明の実施形態のすべてというよりはその一部である。本発明の実施形態に基づいて創作的な取り組みなしに当業者によって得られる他のすべての実施形態が本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【0072】
図1は、本発明の実施形態に係る動画像符号化方法の概略流れ図を示す。図1に示される方法は符号化装置、例えば、エンコーダによって行なわれてもよい。特に、図1に示すように、方法1000は次のステップを含む。
【0073】
S1100:アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求める。
【0074】
S1200:アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求める。
【0075】
S1300:動きベクトル差分、動きベクトル精度、および、アフィンピクチャブロック内の制御点どうしの間の距離にしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定する。なお、制御点は、動きベクトル差分を決定するのに用いられる画素である。
【0076】
S1400:アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行う。
【0077】
具体的には、符号化装置は、求めた制御点にしたがって、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求めるとともに、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めたうえで、求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロック内のアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、決定したサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。
【0078】
したがって、本発明のこの実施形態に係る動画像符号化方法においては、符号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定したうえで、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。このようにして、符号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、符号化の複雑度を低減するとともに符号化の効率を改善することができる。
【0079】
本発明のこの実施形態においては、「アフィン(Affine)ピクチャブロック」とは、全ユニットの動きベクトルが同じアフィンモデル、例えば、同一のパラメータ(例えば、同一グループに属するパラメータ)によって表される同一のアフィンモデルに準拠しているところのピクチャブロックであることが理解されるべきである。ユニットとは、一群の画素であって、例えば1画素であってもよく、または、1×3または2×4のようなブロック構造であってもよい。本発明はこれに限定されるものではない。
【0080】
本発明のこの実施形態においては、「アフィン動き補償(Affine Motion Compensation、略して「アフィン‐MC」)ピクチャサブブロック」とは、アフィンピクチャブロックを分割することによって得られ、動き補償予測を行なうために用いられるところのピクチャサブブロックであり、アフィン‐MCピクチャサブブロックは、同じサイズまたは異なるサイズをもつものであってもよいことが理解されるべきである。本発明はこれに限定されるものではない。
【0081】
本発明のこの実施形態においては、任意の重なり合わない画素がアフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を決定するための制御点として選択されてもよいこともまた理解されるべきである。本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
好ましくは、図2に示すように、S1100は以下のステップを含む。
【0083】
S1101:同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって、動きベクトル差分の第1成分を求める。
【0084】
S1102:同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって、動きベクトル差分の第2成分を求める。
【0085】
第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0086】
本発明のこの実施形態においては、動きベクトル差分の第1成分は動きベクトル差分の水平成分であり、かつ、動きベクトル差分の第2成分は動きベクトル差分の垂直成分であることが理解されるべきである。
【0087】
本発明のこの実施形態においては、「第1」、「第2」、「第3」および「第4」は画素どうしを区別する趣旨にすぎず、本発明の保護範囲に対するいかなる限定とも解釈されるべきでないこともまた理解されるべきである。例えば、第1制御点はあるいは第2制御点とよばれてもよく、また、第2制御点が第1制御点になってもよい。
【0088】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第3制御点とは同一画素とされている。すなわち、選択された制御点の数は3であり、3つの制御点のうちの1つが他の2つの制御点の一方と同一水平線上に位置しており、かつ、2つの制御点の他方と同一垂直線に位置している。
【0089】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点は、アフィンピクチャブロックの頂点とされている。1つのアフィンピクチャブロックの4つの頂点が、それぞれ、左上隅の頂点、左下隅の頂点、右上隅の頂点および右下隅の頂点と表記されると仮定すると、2つの直交する方向に位置している任意の3つの頂点が、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を決定するために選択されてもよい。例えば、左上隅の頂点、左下隅の頂点および右上隅の頂点が選択されてもよく、または、左上隅の頂点、右上隅の頂点および右下隅の頂点が選択されてもよい。本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点および第2制御点の動きベクトルの2つの方向における成分のうちいずれかの方向における成分どうしの差分が、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分の第1成分として決定されてもよく、かつ、第3制御点および第4制御点の動きベクトルの2つの方向の成分のうちいずれかの方向における成分どうしの差分が、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分の第2成分として決定されてもよく、または、符号化の複雑度と符号化の効率とに関する実際の要求事項に応じて、第1制御点および第2制御点の動きベクトルの2方向の成分どうしの2つの差分の間の数値が第1成分として決定さてもよく、かつ、第3制御点および第4制御点の動きベクトルの2方向の成分どうしの2つの差分の間の数値が第2成分として決定されてもよい。本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
任意選択的に、図3に示すように、S1101は特に以下のステップを含む。
【0092】
S1103:第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求める。
【0093】
S1104:第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定する。
【0094】
これに対応して、図4に示すように、S1102は特に以下のステップを含む。
【0095】
S1105:第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求める。
【0096】
S1106:第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうちいずれか大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定する。
【0097】
すなわち、vx(x,y)とvy(x,y)が位置(x,y)における画素の動きベクトルの水平成分と垂直成分とをそれぞれ示すために用いられる場合、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分は、式(1)および式(2)にしたがって決定されてもよい。
【0098】
【数1】
【0099】
【数2】
【0100】
ここで、maxは最大値を表し、Δmvhorはアフィンピクチャブロックの動きベクトル差分の水平成分を表し、Δmvverはアフィンピクチャブロックの動きベクトル差分の垂直成分を表し、wは第1制御点と第2制御点との間の第1水平距離を表し、hは第3制御点と第4制御点との間の第1垂直距離を表す。
【0101】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、アフィンピクチャブロックの画素のアフィン変換パラメータが決定されてもよく、アフィンピクチャブロック内の画素が同一のアフィン変換パラメータをもつ。
【0102】
これに対応して、S1103は特に、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求める。
【0103】
S1105は特に、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求める。
【0104】
前述のプロセスのシーケンス番号が実行順序を意味しないことが理解されるべきである。プロセスの実行順序はプロセスの機能および内部ロジックにしたがって決定されるべきであって、本発明の実施形態の実施プロセスに対するいかなる限定とも解釈されるべきではない。
【0105】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、アフィン変換モデルは従来技術における6パラメータのアフィン変換モデルであってもよく、または、4パラメータもしくは2パラメータのアフィン変換モデルであってもよい。6パラメータのアフィン変換モデルでは(x,y)は現在の画像における画素Pの座標であり、(x’,y’)は参照画像であって画素Pに一致する画素P’の座標であり、かつ、a、b、c、d、eおよびfはアフィン変換パラメータであると仮定する。アフィン変換パラメータが既知である場合、参照画像における画素(x,y)の位置(x’,y’)を得てもよく、したがって、画素の予測信号が参照画像から取得されてもよい。
【0106】
【数3】
【0107】
【数4】
【0108】
一般に、ピクチャブロック内の幾つかの画素の動きベクトルに応じた計算によってアフィン変換パラメータを得てもよく、動きベクトルの水平成分および垂直成分はそれぞれ式(5)および式(6)によって表されてもよい。
【0109】

【0110】
【数5】
【0111】
式(3)を式(5)に代入するとともに式(4)を式(6)に代入して、それぞれ式(7)および式(8)に示すように、座標(x、y)をもつ画素の動きベクトルの水平成分および垂直成分を得る。
【0112】
【数6】
【0113】
【数7】
【0114】
式(7)を式(1)代入するとともに式(8)を式(2)に代入すると、式(1)および式(2)はそれぞれ式(9)および式(10)に変換される。
【0115】
【数8】
【0116】
【数9】
【0117】
アフィン変換パラメータa、b、cおよびdならびに制御点どうしの間の距離を求めることにより、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分の第1成分と第2成分とを求めてもよい。
【0118】
4パラメータのアフィン変換モデルまたは2パラメータのアフィン変換モデルを利用した場合の動きベクトル差分を求める方法は、6パラメータのアフィン変換モデルを利用した場合のそれと本質的に同様であることが理解されるべきである。簡潔さのために、詳細はここでは再度説明しない。
【0119】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、符号化プロセスにおいて、アフィン変換パラメータは、例えば、各パラメータを繰り返し計算することにより、例えば、パラメータaに1を加算してモデル内の動き補償予測信号が最適か否かを判定することにより、取得されてもよい。代替的には、アフィン変換パラメータは隣接するアフィンピクチャブロックのアフィン変換パラメータにしたがって導出することにより取得されてもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0120】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルが決定されてもよい。
【0121】
これに対応して、S1103は特に、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との差分を第1水平成分差分として決定するとともに、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を第1垂直成分差分として決定する。
【0122】
S1105は特に、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を第2水平成分差分として決定するとともに、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との差分を第2垂直成分差分として決定する。
【0123】
具体的には、制御点の動きベクトルは直接的に決定されてもよい。動きベクトルの成分の間の差分を計算することにより、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分の第1成分および第2成分が直接的に取得されてもよい。
【0124】
例えば、図5は、本発明の実施形態に係るアフィンピクチャブロックおよび制御点の概略図である。2つの制御点Aおよび制御点Bが距離wをもちつつ同一水平線上にある。2つの制御点Cおよび制御点Dが距離hをもちつつ同一垂直線上にある。制御点A、B、CおよびDの動きベクトルが既知である場合、アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分の第1成分および第2成分を式(11)および式(12)にしたがって求めてもよい。
【0125】
【数10】
【0126】
【数11】
【0127】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、制御点Aと制御点Cとが同一画素であってもよい。
【0128】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、制御点A、B、CおよびDは、アフィンピクチャブロックの頂点であってもよい。この場合、制御点Aと制御点Bとの間の距離はアフィンピクチャブロックの幅Wであり、制御点Cと制御点Dとの間の距離はアフィンピクチャブロックの高さHである。
【0129】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素である。
【0130】
S1103およびS1105は特に、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトルと、を求め(ここで、第1画素、第2画素および第3画素は重なり合わない画素である)、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求めるとともに、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離とにしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるものである。
【0131】
具体的には、A、BおよびCがピクチャブロック内の3つの重なり合わない画素であると仮定すると、これら3つの画素の位置は図6に示すとおりであり、3つの画素の動きベクトルは、それぞれ、(vxA,vyA)、(vxB,vyB)および(vxC,vyC)である。画素Aと画素Bとの間の水平方向の距離はw1であり、垂直方向における距離はh1である。画素Aと画素Cとの間の水平方向の距離はw2であり、垂直方向における距離はh2である。画素Bと画素Cとの間の水平方向の距離はw2-w1であり、垂直方向における距離はh1+h2である。水平方向における2つの隣接した画素の動きベクトルの水平成分の差分がそれぞれΔmvxhorおよびΔmvyhorであると仮定し、また、垂直方向における2つの隣接した画素の動きベクトルの垂直成分の差分がそれぞれΔmvxverおよびΔmvyverであると仮定する。ピクチャブロックの動きベクトルは線形的に変化するので、Δmvxhor、Δmvyhor、ΔmvxverおよびΔmvyverは、画素A、BおよびCの動きベクトルを求めることによって求めてもよい。このようにして、ピクチャブロックにおける隣接した画素の動きベクトル差分を求めてもよく、特に、式(13)ないし式(16)にしたがって求めてもよい。
【0132】
【数12】
【0133】
【数13】
【0134】
【数14】
【0135】
【数15】
【0136】
または、式(13)および式(14)ならびに式(17)および式(18)にしたがって求めてもよい。
【0137】
【数16】
【0138】
【数17】
【0139】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、符号化装置は、動き推定探索を行なうことによって、すべての制御点の動きベクトルを取得してもよいし、隣接したピクチャブロックからすべての制御点の動きベクトルを取得してもよいし、アフィン変換モデルにしたがって、すべての制御点の動きベクトルを計算してもよいし、動き推定探索を行なうことによって、一部の制御点の動きベクトルを取得したうえで隣接したピクチャブロックから他の制御点の動きベクトルを取得してもよいし、アフィン動き推定探索を行なうことによって、一部の制御点の動きベクトルを取得したうえでアフィン変換モデルにしたがって計算を行うことにより他の制御点の動きベクトルを取得してもよく、または、隣接したピクチャブロックから一部の制御点の動きベクトルを取得した上でアフィン変換モデルにしたがって他の制御点の動きベクトルを計算してもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】
任意選択的に、S1200において、あらかじめ定められた第3設定値が、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定されてもよく、または、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度は、アフィンピクチャブロックに隣接したピクチャブロックの特徴にしたがって決定されてもよい(ここで、「隣接したピクチャブロック」とは、アフィンピクチャブロックに対して空間的および/または時間的に隣接しているピクチャブロックである)。
【0141】
具体的には、アフィンピクチャブロックの動きベクトルの値は整数であってもよい。この場合、動きベクトルは整数画素精度をもつ、すなわち、画素精度は1である。代替的には、動きベクトルの値は整数でなくてもよい。この場合、動きベクトルは、1/2、1/4、または1/8のような精度を含むサブピクセル精度をもつ。図7は、4×4ピクチャブロックを示し、同図中、×は整数画素位置にある画素を示し、撮影された画像は整数画素位置にある画素のみをもつ。Oは、1/2の精度位置にあり、整数画素位置における画素を補間することによって取得される必要がある画素を示す。他の精度位置における画素の値は、さらに整数画素精度位置における画素または1/2精度位置における画素を補間することによって取得される必要がある。現在の画素の動きベクトルが整数である場合、動きベクトルは参照画像内で×の位置をさし示す。現在の画素の動きベクトルが1/2の精度をもつ場合、動きベクトルは参照画像内でOの位置をさし示す。
【0142】
アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度はすべてのアフィンピクチャブロックにおける画素の動きベクトルのうち最も高い精度である。アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度はあらかじめ設定されていてもよく、例えば、整数画素精度または1/2、1/4、1/8もしくは1/16のような精度であってもよい。代替的に、動きベクトル精度は、アフィンピクチャブロックに隣接しているピクチャブロックの特徴にしたがって求めてもよい。例えば、隣接した画像が比較的平滑である場合、現在のアフィンピクチャブロックが同じく比較的平滑であると予測されてもよい。したがって、1/8または1/16の精度のようなより一層高い動きベクトル精度が選択されてもよい。そうでなければ、整数画素精度または1/2の精度のようなより低い動きベクトル精度が選択されてもよい。取得された精度は、MvAcで表される。
【0143】
任意選択的に、図8に示すように、S1300は特に以下のステップを含む。
【0144】
S1301:動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定する。
【0145】
S1302:動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定する。
【0146】
具体的には、一般的に得られる動きベクトル差分ΔmvhorおよびΔmvverは比較的小さく、各画素の動きベクトルの精度が過剰に高い、例えば1/32または1/64であることを示している。過剰に高い動きベクトル精度は、ほとんど動画像の圧縮効率を促進する要因とならず、膨大な量の計算の原因となる。したがって、アフィンピクチャブロックは、各アフィン‐MCピクチャサブブロックの動きベクトル精度がMvAcに達することを確実にするために、すでに得られた予想動きベクトル精度MvAcにしたがって複数のアフィン‐MCピクチャサブブロックに分割される。
【0147】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第2制御点との間の水平距離がw、第3制御点と第4制御点との間の垂直距離がh、アフィン‐MCピクチャサブブロックの幅がaMcW、かつ、アフィン‐MCピクチャサブブロックの高さがaMcHであると仮定すると、aMcWおよびaMcHは式(19)にしたがって求めてもよい。
【0148】
【数18】
【0149】
および
【0150】
【数19】
【0151】
これは、
【0152】
【数20】
【0153】
および
【0154】
【数21】
【0155】
と等価である。
【0156】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点がアフィンピクチャブロックの頂点であるとき、第1制御点と第2制御点の間の水平距離はアフィンピクチャブロックの幅Wでああり、かつ、第3制御点と第4制御点との間の垂直距離はアフィンピクチャブロックの高さHである。この場合、アフィン‐MCピクチャサブブロックの幅aMcWおよび高さaMcHは、式(20)にしたがって求めてもよい。
【0157】
【数22】
【0158】
【数23】
【0159】
これは、
【0160】
【数24】
【0161】
および
【0162】
【数25】
【0163】
と等価である。
【0164】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第2制御点とが隣接した制御点であり、かつ、第3制御点と第4制御点とが隣接した制御点であるとき、第1制御点と第2制御点との間の第1水平距離は1である、すなわち、第1制御点は第2制御点から画素の整数量で分離されており、第3制御点と第4制御点の間の第1垂直距離は1である、すなわち、第3制御点は第4制御点から画素の整数量で分離されている。この場合、式(19)は式(21)に単純化されていてもよい。
【0165】
【数26】
【0166】
【数27】
【0167】
これは、
【0168】
【数28】
【0169】
および
【0170】
【数29】
【0171】
と等価である。
【0172】
したがって、本発明のこの実施形態係る動画像符号化方法においては、符号化装置はアフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズに応じてアフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。このようにして、適切なサイズのピクチャサブブロックが符号化プロセスにおいて選択されるので、符号化の複雑度を低減することができるとともに符号化効率を改善することができる一方、アフィン変換における動き補償予測の効率は維持される。
【0173】
任意選択的に、図9に示すように、S1300は以下のステップを含む。
【0174】
S1303:動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比があらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比をアフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が第1設定値未満であるとき、この第1設定値をアフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定する。
【0175】
S1304:動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比があらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比をアフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が第2設定値未満であるとき、この第2設定値をアフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定する。
【0176】
具体的には、符号化プロセスにおけるハードウェア実装に関しては、アフィン‐MCピクチャサブブロックの幅および高さに対して下限値が設定されてもよい。計算された幅または高さがあらかじめ設定された下限値未満であるとき、これらのあらかじめ設定された下限値がアフィン‐MCピクチャサブブロックの幅および高さとして決定される。好ましくは、下限値は4に設定されてもよいが、実際の要求事項に応じて別の数値に設定されてもよい。例えば、幅の下限値が2に設定されかつ高さの指定値が3に設定される。または、幅の下限値が1に設定されかつ高さの指定値が2に設定される。本発明はこれに限定されるものではない。
【0177】
任意選択的に、図10に示すように、S1400は以下のステップを含む。
【0178】
S1401:アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを決定する。
【0179】
S1402:各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求める。
【0180】
S1403:各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求める。
【0181】
S1404:各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を符号化する。
【0182】
本発明のこの実施形態においては、各アフィン‐MCピクチャサブブロックが複数の画素を含んでいてもよく、1つの画素の動きベクトルを、各アフィン‐MCピクチャサブブロックから、アフィン‐MCピクチャサブブロックの動きベクトルとして選択する必要があることが理解されるべきである。
【0183】
任意選択的に、S1401において、アフィン‐MCピクチャサブブロックの中心位置における画素の動きベクトルがアフィン‐MCピクチャサブブロックの動きベクトルとして選択されてもよい。アフィン‐MCピクチャサブブロックのすべての画素の動きベクトルの平均値がアフィン‐MCピクチャサブブロックの動きベクトルとして用いられてもよい。または、アフィン‐MCピクチャサブブロックの左上隅における画素の動きベクトルがアフィン‐MCピクチャサブブロックの動きベクトルとして選択されてもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0184】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号がフィルタリングされ、これらの境界画素は各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の列にある画素である。
【0185】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、境界画素の信号は動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、この再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0186】
具体的には、図11に示すように、太い実線のブロックがアフィンピクチャブロックを示し、細い実線のブロックがアフィン‐MCピクチャサブブロックを示し、破線のブロックが隣接したアフィン‐MCピクチャサブブロックの境界における画素を示し、十字が画素を示す。図11における破線ブロックの領域は、アフィン‐MCピクチャサブブロックの境界における2つの行または2つの列内で隣接したアフィン‐MCピクチャサブブロックの画素を含むが、または、1つの行または1つの列を含んでもよく、または、アフィン‐MCピクチャサブブロックの境界における3つの行または3つの列を含んでもよい。隣接したアフィン‐MCピクチャサブブロックの動きベクトルが異なっていてもよいのであるから、参照画像から得られた予測信号は参照画像においては互いに隣接していない。このことは隣接したアフィン‐MCピクチャサブブロックの境界において予測信号の不連続を生じさせ、したがって、残差の不連続を生じさせて残差の符号化の効率に影響を与える。それゆえ、アフィン‐MCピクチャサブブロックの境界における動き補償予測信号をフィルタリングすることが考慮される。
【0187】
再構成された信号は、一般に、動き補償予測信号に、再構成された残差信号を加えることによって取得される。一般に、ロッシー符号化が残差信号のために利用される。これは再構成された残差信号ともとの残差信号との間に歪みを生じさせる。隣接したアフィン‐MCピクチャサブブロックの境界における画素の歪み方向は一貫していないこともある。例えば、第1のアフィン‐MCピクチャサブブロックの右の画素が歪みのためにより大きくなり、かつ、右に隣接したアフィン‐MCピクチャサブブロックの左の画素が歪みのためにより小さくなる。このことは、アフィン‐MCピクチャサブブロックの再構成された画素の境界において画素値の不連続を生じさせ、主観的および客観的なエフェクトを損なう。それゆえ、再構成された信号をフィルタリングする必要がある。
【0188】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、フィルタリングは、周辺領域内の画素値がより一層円滑に変化するように、低域フィルタを利用して行われてもよい。例えば、フィルタリングはガウスフィルタを用いて行なわれる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0189】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、オーバーラップブロック動き補償(Overlapped block motion compensation、略して「OBMC」)の方法を利用してフィルタリングを行ってもよい。フィルタリング対象画素に隣接するアフィン‐MCピクチャサブブロックの動きベクトルを用いることにより動き補償予測をフィルタリング対象画素に対して行い、得られた動き補償予測信号と、フィルタリング対象画素の動きベクトルを用いることにより得られた動き補償予測信号とに対して加重平均を行うことで、最終的な動き補償予測信号が得られる。
【0190】
従来の技術と比較した本発明のこの実施形態の有益な効果をよりよく証明するため、符号化を行うにあたり本発明のこの実施形態の方法および従来技術の方法が利用された場合の符号化の複雑度および符号化の効率を検証する目的でLDPテストストラクチャが利用される。結果を表1に示す。
【表1】
【0191】
表1からわかるように、本発明のこの実施形態における動画像符号化方法を用いることで、符号化の効率を改善するとともに符号化の時間を短縮することができる。
【0192】
したがって、本発明のこの実施形態に係る動画像符号化方法においては、符号化装置が、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定したうえで、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがってアフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。このようにして、符号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、符号化の複雑度を低減することができるとともに符号化の効率を改善することができる。
【0193】
本発明のこの実施形態に係る動画像符号化方法について、以上、図1ないし図11を参照して詳細に説明した。本発明の実施形態に係る動画像復号化方法については、以下、図12ないし図18を参照して詳細に説明する。デコーダの関連した動作は本質的にエンコーダの動作と整合的であることが留意されるべきである。反復を避けるために、詳細はここでは再度説明しない。
【0194】
図12は、本発明の実施形態に係る動画像復号化方法の概略流れ図を示す。図12に示される方法は復号化装置、例えば、デコーダによって行なわれてもよい。特に、図12に示すように、方法2000は次のステップを含む。
【0195】
S2100。アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求める。
【0196】
S2200。アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求める。
【0197】
S2300:動きベクトル差分、動きベクトル精度およびアフィンピクチャブロック内の制御点どうしの間の距離にしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定する(ここで、制御点は、動きベクトル差分を求めるのに用いられる画素である)。
【0198】
S2400:アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。
【0199】
具体的には、復号化装置は求めた制御点にしたがってアフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求め、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求め、求めた動きベクトル差分、求めた動きベクトル精度および制御点どうしの間の距離にしたがって、アフィンピクチャブロックにおけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、この決定したサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。
【0200】
したがって、本発明のこの実施形態による動画像復号化方法においては、復号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、この決定したサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。このようにして、復号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、復号化の複雑度を低減することができるとともに復号化の効率を改善することができる。
【0201】
好ましくは、図13に示すように、S2100は以下のステップを含む。
【0202】
S2101:同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求める。
【0203】
S2102:同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求める。
【0204】
第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0205】
本発明のこの実施形態においては、動きベクトル差分の第1成分が動きベクトル差分の水平成分であり、かつ、動きベクトル差分の第2成分が動きベクトル差分の垂直成分であることが理解されるべきである。
【0206】
任意選択的に、図14に示すように、S2101は特に以下のステップを含む。
【0207】
S2103:第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求める。
【0208】
S2104:第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうち大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定する。
【0209】
これに対応して、図15に示すように、S2102は特に以下のステップを含む。
【0210】
S2105:第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求める。
【0211】
S2106:第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうち大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定する。
【0212】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、アフィンピクチャブロック内の画素のアフィン変換パラメータを求めてもよく、アフィンピクチャブロックの画素は同一のアフィン変換パラメータをもつ。
【0213】
これに対応して、S2103は特に、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって、第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求める。
【0214】
S2105は特に、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求める。
【0215】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求めてもよい。
【0216】
これに対応して、S2103は特に、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第1水平成分差分として決定し、かつ、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第1垂直成分差分として決定する。
【0217】
S2105は特に、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第2水平成分差分として決定し、かつ、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第2垂直成分差分として決定する。
【0218】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点および第2制御点は2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点および第4制御点は2つの隣接した画素である。
【0219】
S2103およびS2105は特に、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトル(ここで、第1画素、第2画素および第3画素は重なり合わない画素である)を求め、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求めたうえで、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトル、第3画素の動きベクトル、第2水平距離、第2垂直距離、第3水平距離および第3垂直距離にしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求める。
【0220】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、復号化装置は、ビットストリームを解析することによって、すべての制御点の動きベクトルを取得してもよく、隣接したピクチャブロックからすべての制御点の動きベクトルを取得してもよく、アフィン変換モデルにしたがって、すべての制御点の動きベクトルを計算してもよく、ビットストリームを解析することによって、いくつかの制御点の動きベクトルを取得して、隣接したピクチャブロックから他の制御点の動きベクトルを取得してもよく、ビットストリームを解析することによって、いくつかの制御点の動きベクトルを取得して、アフィン変換モデルによる計算を通じて、他の制御点の動きベクトルを獲得してもよく、または、隣接したピクチャブロックからいくつかの制御点の動きベクトルを得て、アフィン変換モデルにしたがって、他の制御点の動きベクトルを計算してもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0221】
任意選択的に、S2200において、あらかじめ定められた第3設定値を、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定してもよく、または、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度は、アフィンピクチャブロックに隣接しているピクチャブロックの特徴にしたがって求められる(ここで、隣接したピクチャブロックは、空間的におよび/または時間的にアフィンピクチャブロックに隣接しているピクチャブロックである)。
【0222】
任意選択的に、図16に示すように、S2300は特に以下のステップを含む。
【0223】
S2301:動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして、決定する。
【0224】
S2302:動きベクトル差分の第2成分に対する動きベクトル精度と第1垂直距離と積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定する。
【0225】
任意選択的に、図17に示すように、S2300は以下のステップを含む。
【0226】
S2303:動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比があらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、または、動きベクトル散文の水平成分に対する動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が第1設定値よりも小さいとき、この第1設定値をアフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定する。
【0227】
S2304:動きベクトル差分の垂直成分に対する動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比があらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の垂直成分に対する動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が第2設定値よりも小さいとき、この第2設定値をアフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定する。
【0228】
任意選択的に、図18に示すように、S2400は以下のステップを含む。
【0229】
S2401:アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求める。
【0230】
S2402:各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求める。
【0231】
S2403:各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求める。
【0232】
S2404:各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を復号化する。
【0233】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号がフィルタリングされ、これらの境界画素は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の行内の画素である。
【0234】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、境界画素の信号は、動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。したがって、本発明のこの実施形態による動画像復号化方法においては、復号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、決定したサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。このようにして、復号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、復号化の複雑度を低減することができるとともに復号化効率を改善することができる。
【0235】
任意選択的に、本発明の復号化方法はまた、
動きベクトルを得るためにビットストリームを解析して、アフィンピクチャブロックの差分とアフィンの動きベクトル精度とを取得し(ここで、アフィンピクチャブロックの画素は同一のアフィン変換パラメータをもつ)、
動きベクトル差分と、動きベクトル精度とアフィンピクチャブロックにおける制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロックにおけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックの大きさを決定し(ここで、制御点は、動きベクトル差分を決定するのに用いられる画素である)、かつ、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なうものであってもよい。
【0236】
代替的に、復号化方法は、
ビットストリームを解析してアフィンピクチャブロック情報を取得し、
アフィンピクチャブロック情報にしたがって、アフィンピクチャブロックにおけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、
アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なうものであってもよい。
【0237】
このようにして、デコーダは、再計算をせずに、エンコーダによってデコーダに送られたパラメータを直接的に用いて、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、さらに計算量を削減してもよい。
【0238】
以下、本発明の一実施形態に係る符号化装置について、図19および図20を参照して詳細に説明する。図19に示すように、符号化装置10は、
アフィン画像の動きベクトル差分を求めるように構成された第1の判定モジュール11と、
アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように構成された第2の判定モジュール12と、
第1の判定モジュール11によって求められた動きベクトル差分と、第2の判定モジュール12によって求められた動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロック内の制御点であって動きベクトル差分を決定するために用いられる画素である制御点どうしの距離とにしたがって、アフィンピクチャブロックのアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定するように構成された第3の判定モジュール13と、
第3のモジュール13によって決定されたアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズによしたがってアフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なうように構成された符号化モジュール14と、
を備えている。
【0239】
具体的には、符号化装置は、求めた制御点にしたがってアフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求め、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めて、求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロックにおけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、この決定したサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。
【0240】
したがって、本発明のこの実施形態に係る符号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離と、にしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。このようにして、符号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、符号化の複雑度を低減することができるとともに符号化の効率を改善することができる。
【0241】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール11が、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求め、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めるように特に構成されている。ここで、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0242】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール11は、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの間の第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求め、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定し、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの間の第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求め、第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定するように特に構成されている。
【0243】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール11は、アフィンピクチャブロック内の画素のアフィン変換パラメータを求め(ここで、アフィンピクチャブロック内の画素は同一のアフィン変換パラメータをもつ)、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって、第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めたうえで、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0244】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール11は、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求め、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第1水平成分差分として決定し、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第1垂直成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第2水平成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第2垂直成分差分として決定するように特に構成されている。
【0245】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素である。
【0246】
第1の判定モジュール11は、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトルを求め(ここで、第1画素、第2画素および第3画素は重なり合わない画素である)、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求め、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離、第2垂直距離、第3水平距離と、第3垂直距離とにしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を決定するように特に構成されている。
【0247】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第3の判定モジュール13は、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0248】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第3の判定モジュール13は、動きベクトル差分の第1成分に対する、ベクトル精度と第1水平距離との積の比があらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が第1設定値未満であるとき、この第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、かつ、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が第2設定値未満であるとき、第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定する。
【0249】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0250】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0251】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1設定値は4である、および/または、第2設定値は4である。
【0252】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第2の判定モジュール12は、あらかじめ定められた第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定し、または、アフィンピクチャブロックに隣接するピクチャブロックの特徴にしたがってアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように特に構成されており、ここで、隣接したピクチャブロックは、アフィンピクチャブロックに空間的および/または時間的に隣接しているピクチャブロックである。
【0253】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、符号化モジュール14は、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求めて、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を符号化するように特に構成されている。
【0254】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、図20に示すように、符号化装置10は、
各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の列内の画素である各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングするように設構成された、フィルタモジュール15をさらに備えている。
【0255】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、境界画素の信号は動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、この再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0256】
本発明のこの実施形態に係る符号化装置10は、が本発明の実施形態における動画像符号化方法1000を対応して行ってもよく、そして、符号化装置10内のモジュールの前述およびその他の動作および/または機能は、図1ないし図11における方法の対応する手順を実装することを個別に意図されている。簡潔さのために、詳細はここでは再度説明しない。
【0257】
したがって、本発明のこの実施形態に係る符号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、このサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。このようにして、符号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、符号化の複雑度を低減することができるとともに符号化の効率を改善することができる。
【0258】
以下、本発明のこの実施形態に係る復号化装置について、図21および図22を参照して詳細に説明する。図21に示すように、復号化装置20は、
アフィン画像の動きベクトル差分を求めるように構成された第1の判定モジュール21と、
アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように構成された第2の判定モジュール22と、
第1の判定モジュール21によって求めた動きベクトル差分と、第2の判定モジュール22によって求めた動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロックにおける制御点であって動きベクトル差分を求めるために用いられる画素である制御点どうしの距離と、にしたがって、アフィンピクチャブロックのアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定するように構成された、第3の判定モジュール23と、
第3のモジュール23によって求めたアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なうように構成された、復号化モジュール24と、
を備えている。
【0259】
具体的には、復号化装置は、求めた制御点にしたがってアフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求め、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求め、求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロックにおけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、決定したサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。
【0260】
したがって、本発明のこの実施形態に係る復号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離と、にしたがってアフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。このようにして、復号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、復号化の複雑度を低減することができるとともに復号化効率を改善することができる。
【0261】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール21は同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求め、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めるように特に構成されている。
ここで、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0262】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール21は、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの間の第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求め、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定し、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの間の第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求め、第2水平成分差分と第2垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定するように特に構成されている。
【0263】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール21は、アフィンピクチャブロック内の画素のアフィン変換パラメータを求め(ここで、アフィンピクチャブロック内の画素は同一のアフィン変換パラメータの画素をもつ)、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めて、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0264】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1の判定モジュール21は、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求め、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第1水平成分差分として決定し、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第1垂直成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第2水平成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第2垂直成分差分として決定するように特に構成されている。
【0265】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素である。
【0266】
第1の判定モジュール21は、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトルを求め(ここで、第1画素、第2画素および第3画素は重なり合わない画素である)、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求め、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離とにしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を決定するように特に構成されている。
【0267】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第3の判定モジュール23は、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0268】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第3の判定モジュール23は、
動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比があらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が第1設定値未満であるとき、この第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、かつ、
動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比があらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が第2設定値未満であるとき、この第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0269】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0270】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1制御点、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0271】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第1設定値は4であり、および/または、第2設定値は4である。
【0272】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、第2の判定モジュール22は、あらかじめ定められた第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定し、または、アフィンピクチャブロックに隣接するピクチャブロックの特徴にしたがってアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように特に構成されており、ここで、隣接したピクチャブロックは、アフィンピクチャブロックに空間的および/または時間的に隣接しているピクチャブロックである。
【0273】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、復号化モジュール24は、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求めて、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を復号化するように特に構成されている。
【0274】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、図22に示すように、復号化装置20は、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングするように構成されているフィルタモジュール25をさらに備えている。境界画素は各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の行内の画素である。
【0275】
本発明のこの実施形態においては、任意選択的に、境界画素の信号は動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0276】
本発明のこの実施形態に係る復号化装置20が、本発明の実施形態における動画像復号化方法2000を対応して行なってもよいことが理解されるべきであり、そして、復号化装置20におけるモジュールの前述のおよび他の動作および/機能は、図12ないし図18における方法の対応する手順を実装するように別個に意図されている。簡潔さのために、詳細はここでは再度説明しない。
【0277】
したがって、本発明のこの実施形態に係る復号化装置はアフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、このサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。このようにして、復号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、復号化の複雑度を低減することができるとともに復号化効率を改善することができる。
【0278】
図23に示すように、本発明の一実施形態は、さらに、プロセッサ31と、メモリ32と、バスシステム33とを備えた符号化装置30を提供する。プロセッサ31とメモリ32とはバスシステム33によって接続されている。メモリ32は命令を格納するように構成されている。プロセッサ31はメモリ32に格納された命令を実行するように構成されている。符号化装置30のメモリ32はプログラムコードを格納しており、プロセッサ31は、以下の動作を行うためにメモリ32に格納されたプログラムコードを呼び出してもよい。アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求める。アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求める。動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロックにおける制御点どうしの間の距離とにしたがって、フィンピクチャブロックにおけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックの大きさを決定する(ここで、制御点は、動きベクトル差分を求めるために用いられる画素である)。そして、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。
【0279】
したがって、本発明のこの実施形態に係る符号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離と、にしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。このようにして、符号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、符号化の複雑度を低減することができるとともに符号化の効率を改善することができる。
【0280】
本発明のこの実施形態においては、プロセッサ31は中央処理装置(Central Processing Unit、略して「CPU」)であってもよく、または、プロセッサ31は別の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または別のプログラマブルロジックデバイス、離散的なゲートもしくはトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネント等であってもよいことが理解されるべきである。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよく、またはプロセッサは任意の従来のプロセッサ等であってもよい。
【0281】
メモリ32は読み取り専用メモリおよびランダムアクセスメモリを含んでもよく、プロセッサ31に命令とデータを提供してもよい。メモリ32の一部はさらに、不揮発性ランダムアクセスメモリを含んでもよい。例えば、メモリ32はさらにデバイス種別に関する情報を格納してもよい。
【0282】
バスシステム33はデータバスのほかに、さらにパワーバス、制御バス、状態信号バス等を含んでもよい。しかしながら、明確な記載のために、図中では種々のバスはバスシステム33と表記する。
【0283】
実装のプロセスにおいては、前述の方法の各ステップは、プロセッサ31内のハードウェアの統合論理回路を利用して、または、ソフトウェア形態の命令を利用して完結されてもよい。本発明の実施形態を参照して開示された方法のステップは、ハードウェアプロセッサによって直接的に行なわれてもよく、または、プロセッサ内のハードウェアとソフトウェアモジュールとの組み合わせを利用して行なわれてもよい。ソフトウェアモジュールはランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能読み取り専用メモリ、電気的に消去可能なプログラマブルメモリまたはレジスタのような、分野において成熟している記憶媒体内に配置されてもよい。記憶媒体はメモリ32内に配置されている。プロセッサ31はメモリ32内の情報を読み込んで、プロセッサ31のハードウェアと協同して前述の方法におけるステップを完結させる。反復を避けるために、詳細はここでは再度説明しない。
【0284】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求め、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めるように特に構成されており、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0285】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの間の第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求め、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定し、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの間の第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求め、第2水平成分差分と第2垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定するように特に構成されている。
【0286】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、アフィンピクチャブロック内の画素のアフィン変換パラメータを求め(ここで、アフィンピクチャブロック内の画素は、同一のアフィン変換パラメータをもつ)、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めて、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0287】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求め、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第1水平成分差分として決定し、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第1垂直成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第2水平成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第2垂直成分差分として決定するように特に構成されている。
【0288】
任意選択的に、一実施形態においては、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素である。
【0289】
プロセッサ31は、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトルを求め(ここで、第1画素、第2画素および第3画素は重なり合わない画素である)、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求めたうえで、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離とにしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0290】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0291】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比があらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、水平方向におけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックの長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が第1設定値よりも小さいとき、この第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、かつ、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比があらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が第2設定値よりも小さいとき、この第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0292】
任意選択的に、一実施形態においては、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0293】
任意選択的に、一実施形態においては、第1制御点に、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0294】
任意選択的に、一実施形態においては、第1設定値は4であり、および/または、第2設定値は4である。
【0295】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、あらかじめ定められた第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定し、または、アフィンピクチャブロックに隣接しているピクチャブロックの特徴にしたがって、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように特に構成されており、ここで、隣接したピクチャブロックは、空間的におよび/または時間的にアフィンピクチャブロックに隣接しているピクチャブロックである。
【0296】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求めて、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を符号化するように特に構成されている。
【0297】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ31は、さらに、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングするように構成されており、ここで、境界画素は各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の行内の画素である。
【0298】
任意選択的に、一実施形態においては、境界画素の信号は動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、再構成された信号は動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0299】
本発明のこの実施形態に係る符号化装置30は、本発明の実施形態における符号化装置10に対応してもよく、本発明の実施形態に係る方法1000を行なう対応するエンティティーに対応してもよいことが理解されるべきであり、そして、符号化装置30におけるモジュールの前述のおよび他の動作および/または機能は図1ないし図11における方法の対応する手順を実装するように別個に意図されている。簡潔さのために、詳細はここでは再度説明しない。
【0300】
したがって、本発明のこの実施形態に係る符号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離と、にしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して符号化処理を行なう。このようにして、符号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、符号化の複雑度を低減することができるとともに符号化の効率を改善することができる。
【0301】
図24に示すように、本発明の実施形態は、さらに、プロセッサ41と、メモリ42と、バスシステム43とを備えた復号化装置40を提供する。プロセッサ41とメモリ42とはバスシステム43によって接続されている。メモリ42は命令を格納するように構成されている。プロセッサ41はメモリ42に格納された命令を実行するように構成されている。復号化装置40のメモリ42はプログラムコードを格納しており、プロセッサ41は、以下の動作を行うためにメモリ42に格納されたプログラムコードを呼び出してもよい。アフィンピクチャブロックの動きベクトル差分を求める。アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求める。動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、アフィンピクチャブロックにおける制御点であって、動きベクトル差分を求めるために用いられる画素である、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィンピクチャブロックにおけるアフィン動き補償ピクチャサブブロックの大きさを決定する。そして、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。
【0302】
したがって、本発明のこの実施形態に係る復号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、求めた動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、このサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。このようにして、復号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、復号化の複雑度を低減することができるとともに復号化効率を改善することができる。
【0303】
本発明のこの実施形態においては、プロセッサ41は中央処理装置(Central Processing Unit、略して「CPU」)であってもよく、またはプロセッサ41が別の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または別のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネント等であってもよいことが理解されるべきである。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよく、またはプロセッサは任意の従来のプロセッサ等であってもよい。
【0304】
メモリ42は読み取り専用メモリとランダムアクセスメモリを含んでもよく、プロセッサ41に命令とデータを提供してもよい。メモリ42の一部はさらに、不揮発性ランダムアクセスメモリを含んでもよい。例えば、メモリ42はさらにデバイス種別に関する情報を格納してもよい。
【0305】
バスシステム43はデータバスのほかにさらにパワーバス、制御バス、状態信号バス等を含んでもよい。しかしながら、明確な記述のために、図中における種々のバスはバスシステム43として表記する。
【0306】
実装のプロセスにおいては、前述の方法の各ステップは、プロセッサ41内のハードウェアの統合された論理回路を利用して、または、ソフトウェアの形態の命令を利用して完結されてもよい。本発明の実施形態を参照して開示された方法のステップは、ハードウェアプロセッサによって直接的に行なわれてもよく、または、プロセッサ内のハードウェアとソフトウェアモジュールとの組み合わせを利用して行われてもよい。ソフトウェアモジュールはランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能読み取り専用メモリ、電気的に消去可能なプログラマブルメモリまたはレジスタのような、分野において成熟した記憶媒体内に配置されていてもよい。記憶媒体はメモリ42内に配置されている。プロセッサ41はメモリ42内の情報を読み出して、プロセッサ41のハードウェアと協同して前述の方法におけるステップを完結させる。反復を避けるために、詳細はここでは再度説明しない。
【0307】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、同一水平線上に位置している第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第1成分を求め、そして、同一垂直線上に位置している第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの差分にしたがって動きベクトル差分の第2成分を求めるように特に構成されており、第1制御点と第2制御点との間には第1水平距離が存在し、かつ、第3制御点と第4制御点との間には第1垂直距離が存在する。
【0308】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、第1制御点および第2制御点の動きベクトルどうしの間の第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求め、第1水平成分差分および第1垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第1成分として決定し、第3制御点および第4制御点の動きベクトルどうしの間の第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求め、第2水平成分差分および第2垂直成分差分のうちより大きいほうを、動きベクトル差分の第2成分として決定するように特に構成されている。
【0309】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、アフィンピクチャブロック内の画素のアフィン変換パラメータを求め(ここで、アフィンピクチャブロック内の画素は同一のアフィン変換パラメータをもつ)、アフィン変換パラメータと第1水平距離とにしたがって、第1水平成分差分および第1垂直成分差分を求めて、アフィン変換パラメータと第1垂直距離とにしたがって、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を求めるように特に構成されている。
【0310】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、第1制御点の動きベクトル、第2制御点の動きベクトル、第3制御点の動きベクトルおよび第4制御点の動きベクトルを求め、第1制御点の動きベクトルの水平成分と第2制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第1水平成分差分として決定し、第1制御点の動きベクトルの垂直成分と第2制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第1垂直成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの水平成分と第4制御点の動きベクトルの水平成分との間の差分を、第2水平成分差分として決定し、第3制御点の動きベクトルの垂直成分と第4制御点の動きベクトルの垂直成分との間の差分を、第2垂直成分差分として決定するように特に構成されている。
【0311】
任意選択的に、一実施形態においては、第1制御点と第2制御点とは2つの隣接した画素であり、かつ、第3制御点と第4制御点とは2つの隣接した画素である。
【0312】
プロセッサ41は、第1画素の動きベクトル、第2画素の動きベクトルおよび第3画素の動きベクトルを求め(ここで、第1画素、第2画素および第3画素は重なり合わない画素である)、第1画素と第2画素との間の第2水平距離および第2垂直距離を求め、第1画素と第3画素との間の第3水平距離および第3垂直距離を求め、第1画素の動きベクトルと、第2画素の動きベクトルと、第3画素の動きベクトルと、第2水平距離と、第2垂直距離と、第3水平距離と、第3垂直距離とにしたがって、第1水平成分差分、第1垂直成分差分、第2水平成分差分および第2垂直成分差分を決定するように特に構成されている。
【0313】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0314】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比があらかじめ定められた第1設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第1成分に対する、動きベクトル精度と第1水平距離との積の比が第1設定値未満であるとき、この第1設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの水平方向長さとして決定し、かつ、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比があらかじめ定められた第2設定値以上であるとき、この比を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定し、または、動きベクトル差分の第2成分に対する、動きベクトル精度と第1垂直距離との積の比が第2設定値未満であるとき、この第2設定値を、アフィン動き補償ピクチャサブブロックの垂直方向長さとして決定するように特に構成されている。
【0315】
任意選択的に、一実施形態においては、第1制御点と第3制御点とは同一画素である。
【0316】
任意選択的に、一実施形態においては、第1制御点に、第2制御点、第3制御点および第4制御点はアフィンピクチャブロックの頂点である。
【0317】
任意選択的に、一実施形態においては、第1設定値は4であり、および/または、第2設定値は4である。
【0318】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、あらかじめ定められた第3設定値をアフィンピクチャブロックの動きベクトル精度として決定し、または、アフィンピクチャブロックに隣接しているピクチャブロックの特徴にしたがって、アフィンピクチャブロックの動きベクトル精度を求めるように特に構成されており、ここで、隣接したピクチャブロックは、空間的および/または時間的にアフィンピクチャブロックに隣接しているピクチャブロックである。
【0319】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41は、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのうち各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルを求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動きベクトルにしたがって各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号を求め、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの動き補償予測信号にしたがって、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を求めて、各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの予測残差信号を復号化するように特に構成されている。
【0320】
任意選択的に、一実施形態においては、プロセッサ41はさらに各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界画素の信号をフィルタリングするように構成されており、ここで、境界画素は各アフィン動き補償ピクチャサブブロックの境界における1つまたは複数の行内の画素である。
【0321】
任意選択的に、一実施形態においては、境界画素の信号は動き補償予測信号および/または再構成された信号を含み、再構成された信号は、動き補償予測信号と再構成された残差信号との和である。
【0322】
本発明のこの実施形態に係る復号化装置40は、本発明の実施形態における復号化装置20に対応するものであってもよく、また、本発明の実施形態に係る方法2000を行なう対応するエンティティーに対応するものであってもよいことが理解されるべきであり、そして、復号化装置40におけるモジュールにおける前述のおよび他の動作および/または機能は、図12ないし図18における方法の対応する手順を実装するように個別に意図されたものである。簡潔さのために、詳細はここでは再度説明しない。
【0323】
したがって、本発明のこの実施形態に係る復号化装置は、アフィンピクチャブロックの求めた動きベクトル差分と、動きベクトル精度と、制御点どうしの間の距離とにしたがって、アフィン動き補償ピクチャサブブロックのサイズを決定して、このサイズにしたがって、アフィンピクチャブロックに対して復号化処理を行なう。このようにして、復号化プロセスにおいて適切なサイズのピクチャサブブロックが選択されるので、復号化の複雑度を低減することができるとともに復号化の効率を改善することができる。
【0324】
本明細書全体で言及される「実施形態」または明細書全体で言及される「実施の形態」は、特定の特長、構造または実施形態に関連する特徴が、本発明の少なくとも一つの実施形態に包含されることを意味するものではないことが理解されるべきである。したがって、本明細書において出現する「実施形態において」または「実施形態においては」は、同一実施形態をさすものではない。また、これらの特定の特徴、構造または特徴は、任意の適切な方法を利用することにより1つまたは複数の実施形態において組み合わせてもよい。
【0325】
前述のプロセスのシーケンス番号が本発明の種々の実施形態において実行順序を意味しないことが理解されるべきである。プロセスの実行順序はプロセスの機能と内部ロジックにしたがって決定されるべきであって、本発明の実施形態の実施プロセスに対するいかなる限定としても解釈されるべきではない。
【0326】
また、用語「システム」および「ネットワーク」は本明細書において互換的に用いられることがある。本明細書における用語「および/または」は関連するオブジェクトを記述するための関連関係のみを記述し、3つの関係が存在しうることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の3つの場合、すなわち、Aのみが存在する場合、AおよびBの両方が存在する場合、およびBのみが存在する場合の3つの場合を表すことがある。また、特段の指示がないかぎり、本明細書における文字「/」は、一般に、関連するオブジェクト間の「または」関係を示す。
【0327】
本出願の実施形態においては、「Aに対応するB」は、BがAと関連していること、および、BがAにしたがって決定されてもよいことを示すことが理解されるべきである。しかしながら、BにしたがってAを決定するということが、BがAのみにしたがって決定されることを意味しないこともまた理解されるべきである。すなわち、Bはまた、Aおよび/または他の情報にしたがって決定されてもよい。
【0328】
当業者は、本明細書において開示された実施形態において説明された実施例とあわせて、ユニットおよびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実装されてもよいことに留意しうる。ハードウェアとソフトウェアとの間の互換性を明確に記載するために、上記記載は、機能にしたがって各実施例の構成要素およびステップを一般的に説明したものである。機能がハードウェアまたはソフトウェアによって行われるか否かは、技術的解決策の特定の用途および設計上の制約条件に依存する。当業者は、各特定の用途について記載された機能を実装するために、異なる方法を利用してもよいが、実装方式が本発明の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0329】
好適かつ簡潔な説明を目的として、前述のシステム、装置およびユニットの実施プロセスの詳細については、前述の方法の実施形態における対応するプロセスが参照されてもよいことが当業者によって明確に理解されることがあるので、詳細はここでは説明しない。
【0330】
本出願において提供されたいくつかの実施形態においては、開示されたシステム、装置および方法は、他の仕方で実装されてもよいことが理解されるべきである。例えば、記載された装置の実施形態は単なる実施例に過ぎない。例えば、ユニット区分は、単なる論理的機能による区分にすぎず、実際の実装方式においては他の区分であってもよい。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントが組み合わせられまたは別のシステムに統合されてもよく、または、無視されてもよくもしくは行われなくてもよい。また、表示されたまたは論じられた相互結合もしくは直接的結合または通信接続は、若干のインタフェースを利用して実装されてもよい。装置またはユニット間の間接的結合または通信接続は、電子的、機械的または他の形式において実装されてもよい。
【0331】
別個のパーツとして記載されているユニットは、物理的に別個のものであってもなくてもよく、ユニットとして表示されるパーツは、物理ユニットであってもなくてもよく、1つの位置に配置されていてもよく、複数のネットワークユニット上に分散されていてもよい。ユニットの一部または全部が、実施形態の解決策の目的を達成するために、実際の要求事項に応じて選択されてもよい。
【0332】
また、本発明の実施形態における機能ユニットは、1つの処理装置に統合されてもよく、または、ユニットの各々が物理的に単独で存在していてもよく、または、2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されていてもよい。
【0333】
統合されたユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実装されかつ独立的な製品として販売および利用される場合、統合されたユニットはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよい。かかる理解に基づいて、本願の技術的解決策もしくは先行技術に寄与する部分または技術的解決策の一部は、ソフトウェア製品の形態で実装されてもよい。ソフトウェア製品は記憶媒体に格納され、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、ネットワーク装置などであってもよい)に対して本発明の実施形態に記載された方法のステップの全部または一部を行うよう指示するためのいくつかの命令を含む。前述した記憶媒体には、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、略してROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、略してRAM)、磁気ディスク、光ディスクなどのプログラムコードを格納可能な任意の媒体が含まれる。
【0334】
前述の記載は本発明の単なる具体的実装方式にすぎず、しかして本発明の保護範囲を限定する趣旨ではない。本発明において開示された技術的範囲内で当業者によって容易に理解されるいかなる変更または置換もまた本発明の保護範囲に属すべきものである。したがって、本願の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うべきものである。
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