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特許7507931燃焼設備用システム、および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】燃焼設備用システム、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20240621BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240621BHJP
   G06T 7/50 20170101ALI20240621BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
F23G5/50 C
F23G5/50 H
G06T7/00 350B
G06T7/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023085533
(22)【出願日】2023-05-24
【審査請求日】2023-07-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 真之
(72)【発明者】
【氏名】草加 浩都
(72)【発明者】
【氏名】西宮 立享
(72)【発明者】
【氏名】横井 智記
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187228(JP,A)
【文献】特開2021-077359(JP,A)
【文献】特開2021-089097(JP,A)
【文献】特開2009-236388(JP,A)
【文献】特開2023-040645(JP,A)
【文献】特開2023-094081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00 - 5/50
G06T 7/00
G06T 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉における粉体層の搬送方向の下流側から前記焼却炉内を撮影する1台のカメラにより撮影された画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記1台のカメラにより撮影された画像を学習済みモデルに入力することで、前記カメラから見た深度情報を生成する深度情報生成部と、
前記深度情報生成部により生成された前記深度情報におけるごみ層の最も高い頂部よりも前記カメラから離れる方向に存在するごみ層の高さを、予め用意した前記ごみ層の高さの分布の実測値に基づいて設定した補正係数を用いて補正し、補正後の深度情報に基づき、前記焼却炉に関する燃焼制御または監視を行う処理部と、
を備えた燃焼設備用システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記深度情報に対して座標系変換を行うことで前記焼却炉内の3次元計測結果を導出する3次元計測結果導出部を含み、前記3次元計測結果に基づき、前記焼却炉に関する燃焼制御または監視を行う、
請求項1に記載の燃焼設備用システム。
【請求項3】
前記処理部は、
前記3次元計測結果に基づき、前記焼却炉の火格子上における前記粉体層の高さ分布と、前記粉体層の体積流量とのうち少なくとも一方を推定する推定部と、
前記推定部による推定結果に基づき、前記焼却炉に関する燃焼制御を行う制御部と、
を含む、
請求項に記載の燃焼設備用システム。
【請求項4】
前記推定部は、前記焼却炉内に設定された複数の区画の各々について、前記3次元計測結果に基づいて前記粉体層の高さの推定値を算出し、
前記制御部は、前記粉体層の高さの推定値に基づいて前記区画ごとに算出される評価値と、前記区画ごとに設定された、前記深度情報から前記3次元計測結果を導出する過程で入り込む誤値を補正するための補正係数とに基づき、前記区画ごとに配分される一次空気の配分量を決定する、
請求項に記載の燃焼設備用システム。
【請求項5】
前記推定部は、前記焼却炉内に設定された複数の区画の各々について、前記3次元計測結果に基づいて前記粉体層の高さの推定値を算出し、
前記制御部は、前記粉体層の高さの推定値に基づいて前記区画ごとに算出される評価値と、前記区画ごとに設定された一次空気の配分の優先度に関する重み付け係数とに基づき、前記区画ごとに配分される一次空気の配分量を決定する、
請求項に記載の燃焼設備用システム。
【請求項6】
1つ以上のコンピュータが、
焼却炉における被焼却物の搬送方向の下流側から前記焼却炉内を撮影する1台のカメラにより撮影された画像を取得し、
取得した前記1台のカメラにより撮影された画像を学習済みモデルに入力することで、前記カメラから見た深度情報を生成し、
生成した前記深度情報におけるごみ層の最も高い頂部よりも前記カメラから離れる方向に存在するごみ層の高さを、予め用意した前記ごみ層の高さの分布の実測値に基づいて設定した補正係数を用いて補正し、補正後の深度情報に基づき、前記焼却炉に関する燃焼制御または監視を行う、
ことを含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼設備用システム、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、焼却炉に対して、複数の赤外線カメラを用いて視点が異なる複数の熱画像を取得し、取得した複数の熱画像に基づき3次元熱画像を作成して燃焼状態が評価される焼却炉が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-67379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の焼却炉では、複数台のカメラを設置する必要があり、設備費用の低減が難しいという問題があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、設備費用の低減を図ることができる燃焼設備用システムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る燃焼設備用システムは、焼却炉における粉体層の搬送方向の下流側から前記焼却炉内を撮影する1台のカメラにより撮影された画像を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記1台のカメラにより撮影された画像を学習済みモデルに入力することで、前記カメラから見た深度情報を生成する深度情報生成部と、前記深度情報生成部により生成された前記深度情報におけるごみ層の最も高い頂部よりも前記カメラから離れる方向に存在するごみ層の高さを、予め用意した前記ごみ層の高さの分布の実測値に基づいて設定した補正係数を用いて補正し、補正後の深度情報に基づき、前記焼却炉に関する燃焼制御または監視を行う処理部と、を備える
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る情報処理方法は、1つ以上のコンピュータが、焼却炉における被焼却物の搬送方向の下流側から前記焼却炉内を撮影する1台のカメラにより撮影された画像を取得し、取得した前記1台のカメラにより撮影された画像を学習済みモデルに入力することで、前記カメラから見た深度情報を生成し、生成した前記深度情報におけるごみ層の最も高い頂部よりも前記カメラから離れる方向に存在するごみ層の高さを、予め用意した前記ごみ層の高さの分布の実測値に基づいて設定した補正係数を用いて補正し、補正後の深度情報に基づき、前記焼却炉に関する燃焼制御または監視を行う、ことを含む
【発明の効果】
【0008】
本開示の燃焼設備用システムおよび情報処理方法によれば、設備費用の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る燃焼設備の全体構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る燃焼設備の火格子及びその下方に設けられた風箱を上方から見た図である。
図3】本開示の実施形態に係る火炉において、上流側二次空気ライン、下流側二次空気ラインから二次空気が供給される部分を上方から見た図である。
図4】本開示の実施形態に係る燃焼設備用システムの機能構成を示すブロック図である。
図5】本開示の実施形態に係るカメラで撮影された画像の一例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る深度情報生成部で生成された深度情報としての深度マップの一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る焼却炉内の3次元計測結果の一例を示す図である。
図8】本開示の実施形態に係る3次元計測結果から抽出された、ごみ層の高さの分布の一例を示す図である。
図9A】本開示の実施形態に係る、搬送方向において、上流側から下流側に向かって3番目に配置された風箱に対応した区画における、炉幅方向の複数位置のごみ層の高さの推定値の一例を示す図である。
図9B】本開示の実施形態に係る、搬送方向において、上流側から下流側に向かって4番目に配置された風箱に対応した区画における、炉幅方向の複数位置のごみ層の高さの推定値の一例を示す図である。
図10A】本開示の実施形態に係る、区画ごとのごみ層の高さの推定値の分布を示す図である。
図10B】本開示の実施形態に係る、補正係数によって補正された、ごみ層の高さの推定値の分布を示す図である。
図11】本開示の実施形態に係る情報処理方法の流れを示すフローチャートである。
図12】一次空気、二次空気の配分制御を行わない場合における、二酸化炭素の濃度分布を示す図である。
図13】本開示の実施形態に係る制御装置により、一次空気、二次空気の配分制御を行った場合における、二酸化炭素の濃度分布を示す図である。
図14】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本開示で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。本開示で「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0011】
また本開示で「取得する」とは、送信要求を送信して能動的に取得する場合に限定されず、他の装置から送信される情報を受動的に受信することで取得する場合も含み得る。また「取得」とは、目的の情報(取得対象の情報)を外部から直接取得する場合に限定されず、外部から得られた情報に対して演算または加工などを行うことで、目的の情報を生成して取得する場合も含み得る。
【0012】
また本開示では説明の便宜上、炉本体20に対してホッパ11が位置する側を「前」、その反対側を「後」と定義する。また、炉本体20からホッパ11に向かう方向を基準に「左」および「右」を定義する。
【0013】
(実施形態)
<1.燃焼設備の全体構成>
図1は、実施形態に係る燃焼設備1の全体構成を示す図である。燃焼設備1は、例えば、都市ごみ、産業廃棄物、またはバイオマスなどを被焼却物Gとする燃焼設備である。以下では説明の便宜上、「被焼却物」を「ごみ」と称する場合がある。燃焼設備1は、例えばストーカ炉である。なお、燃焼設備1は、ストーカ炉に限定されず、別タイプの燃焼設備でもよい。本実施形態では、燃焼設備1は、例えば、焼却炉2、排熱回収ボイラ3、減温塔4、集塵装置5、煙道6、煙突7、および制御装置100を備える。
【0014】
焼却炉2は、後述するホッパ11に投入されたごみGを搬送しながら燃焼させる炉である。焼却炉2内でのごみGの燃焼に伴って焼却炉2では排ガスが発生する。発生した排ガスは、焼却炉2の上部に設けられた排熱回収ボイラ3に送られる。排熱回収ボイラ3は、焼却炉2で発生した排ガスと水との間で熱交換を行うことで水を加熱して蒸気を発生させる。排熱回収ボイラ3を通過した排ガスは、減温塔4で冷却された後、集塵装置5に送られる。排ガスは、集塵装置5でススや塵埃が除去された後、煙道6および煙突7を通じて大気中に排出される。
【0015】
<2.焼却炉>
次に、焼却炉2について詳しく説明する。焼却炉2は、例えば、供給機構10、炉本体20、ストーカ30、複数の風箱41、排出シュート42、火炉43、および送風機構50を有する。
【0016】
(供給機構)
供給機構10は、不図示のクレーンによって運ばれたごみGを一時的に貯留するとともに、一時的に貯留したごみGを後述する炉本体20の処理空間Vに向けて順次供給する機構である。供給機構10は、例えば、ホッパ11と、フィーダ12とを有する。
【0017】
ホッパ11は、炉本体20の内部へごみGを供給するために設けられた貯留部である。ホッパ11には、不図示のクレーンによって運ばれたごみGが投入される。ホッパ11は、ごみGが外部から投入される入口部11aと、供給されるごみGを、後述する炉本体20内の処理空間Vに向けて導く出口部11bとを有する。
【0018】
フィーダ12は、ホッパ11の出口部11bに設けられている。フィーダ12は、ホッパ11の出口部11bの底部に沿う板状であり、ホッパ11の出口部11bの底部に沿って配置されている。フィーダ12は、不図示の押出装置によって駆動され、ホッパ11の内部に堆積したごみGを炉本体20の処理空間Vに向けて押し出す。
【0019】
(炉本体)
炉本体20は、ホッパ11に隣接して設けられ、ごみGを搬送しながら燃焼させる設備である。以下では、燃焼設備1におけるごみGの搬送方向を「搬送方向Z」と称する。炉本体20は、搬送方向Zにおける上流側から下流側に向けて、乾燥段20a、燃焼段20b、および後燃焼段20cをこの順に有する。乾燥段20aは、ホッパ11から供給されたごみGを、ストーカ30上での燃焼に先立って乾燥させる領域である。燃焼段20bおよび後燃焼段20cは、乾燥段20aを通過して乾燥した状態のごみGをストーカ30上で燃焼させる領域である。燃焼段20bでは、ごみGから発生する熱分解ガスによる拡散燃焼が起き、輝炎Fが生じる。後燃焼段20cでは、ごみGの拡散燃焼後の固定炭素燃焼が起きるため、輝炎Fは生じない。燃焼段20bおよび後燃焼段20cは、ごみGを燃焼させる処理空間Vの一例である。炉本体20には、カメラ70が設置されている。カメラ70については、詳しく後述する。
【0020】
(ストーカ)
ストーカ30は、複数の火格子31を含む。複数の火格子31は、炉本体20の底面(例えば処理空間Vの底面)となるストーカ面30aを形成している。ストーカ面30aには、供給機構10によってごみGが層状に供給される。ストーカ面30aは、上述した乾燥段20a、燃焼段20b、および後燃焼段20cに亘り設けられている。複数の火格子31は、固定火格子と、可動火格子とを含む。固定火格子は、後述する風箱41の上面に固定されている。可動火格子は、一定の速度で搬送方向Zに沿って往復移動することで、可動火格子と固定火格子の上(ストーカ面30a上)にあるごみGを攪拌混合しながら下流側へ搬送する。本実施形態では、火格子31の上に存在するごみGを「ごみ層P」と称する場合がある。ごみ層Pは、処理空間Vに投入されて焼却前または焼却中のごみGでもよく、焼却されることで灰などに変化したごみGなどでもよい。ごみ層Pは、「粉体層」の一例である。
【0021】
(風箱)
風箱41は、ストーカ30の下方に設けられ、ストーカ30を通じて炉本体20の内部に燃焼用の一次空気を供給する。風箱41は、上下方向に延びる筒状で、下方から上方へと、一次空気を導く。一次空気は、「燃焼空気」の一例である。
【0022】
図2は、火格子31及びその下方に設けられた風箱41を上方から見た図である。
図2に示すように、風箱41の上端開口は、上方から見た場合に矩形状に形成されている。風箱41は、搬送方向Zに複数配列されている。本実施形態において、風箱41は、例えば、搬送方向Zに4個、上方から見た場合に、搬送方向Zとは交差する炉幅方向Xに3個、計12個が並べて配置されている。本実施形態では、複数の風箱41は、複数の火格子31に対して1対1で対応して配置されている。
【0023】
(排出シュート)
図1に示すように、排出シュート42は、燃焼を終えて灰となったごみ層Pを炉本体20よりも下方に位置する灰押出装置へ落下させる装置である。排出シュート42は、炉本体20の炉尻に設けられている。
【0024】
(火炉)
火炉43は、炉本体20の上部から上方に向けて延びている。処理空間V内でごみGが燃焼することで生じた排ガスは、火炉43を通じて排熱回収ボイラ3に送られる。排ガスは、「燃焼ガス」の一例である。火炉43は、「燃焼ガスが流れる流路」の一例である。火炉43については、詳しく後述する。
【0025】
(送風機構)
送風機構50は、炉本体20の内部に空気(例えば燃焼空気)を供給する。送風機構50は、例えば、送風機51、一次空気ライン52、空気予熱器53、二次空気ライン54、およびダンパ55を有する。
【0026】
送風機51は、炉本体20の内部に空気(例えば燃焼空気)を圧送する押込送風機である。送風機51は、例えば、第1送風機51Aと、第2送風機51Bとを含む。第1送風機51Aは、一次空気ライン52および風箱41を通じて炉本体20の内部(例えば処理空間V)に燃焼空気(一次空気)を圧送する。第2送風機51Bは、二次空気ライン54を通じて、火炉43の内部に燃焼空気(二次空気)を圧送する。二次空気は、「燃焼空気」の別の一例である。
【0027】
一次空気ライン52は、第1送風機51Aと風箱41とを接続している。一次空気ライン52は、第1送風機51Aから圧送される一次空気を、複数の風箱41の各々に供給する。
【0028】
一次空気ライン52の途中には、1つ以上(例えば複数)の一次空気ダンパ55Aが設けられている。一次空気ダンパ55Aは、一次空気ダンパ55Aの開度によって、当該一次空気ダンパ55Aに対応する風箱41に一次空気ライン52から供給される一次空気の供給状態を変更可能である。「一次空気ライン52を流れる一次空気の供給状態」とは、例えば、複数の風箱41に対する一次空気の配分量(すなわち、後述する炉本体20内の複数の区画Cに対する一次空気の配分量)、および/または、各風箱41から炉本体20の内部に供給される一次空気の流量(すなわち、炉本体20内の各区画Cに対する一次空気の流量)を意味する。本実施形態では、一次空気ダンパ55Aは、風箱41の各々に対応して個別に設けられている。これにより、計12個の風箱41の各々に対応した一次空気ダンパ55Aの開度を調整可能となっており、風箱41ごとに、炉本体20内に供給する一次空気の量を調整できるようになっている。
【0029】
空気予熱器53は、第1送風機51Aから圧送される一次空気を予熱する熱交換器である。例えば、空気予熱器53は、一次空気ライン52の途中に設けられている。
【0030】
二次空気ライン54は、第2送風機51Bと火炉43とを接続している。火炉43内に供給された二次空気は、ストーカ30の上方からごみGに向かう、および/または排ガスの燃焼に用いられる。本実施形態において、二次空気ライン54は、途中で分岐し、火炉43において、搬送方向Zの上流側に配置された炉壁43a(前壁)に接続された上流側二次空気ライン54Aと、搬送方向Zの下流側に配置された炉壁43b(後壁)に接続された下流側二次空気ライン54Bと、を有している。上流側二次空気ライン54Aは、炉壁43aに形成された開口(図示無し)から火炉43内に、搬送方向Zの下流側に向けて二次空気を供給する。下流側二次空気ライン54Bは、炉壁43bに形成された開口(図示無し)から火炉43内に、搬送方向Zの上流側に向けて二次空気を供給する。
【0031】
二次空気ライン54の途中には、1つ以上(例えば複数)の二次空気ダンパ55Bが設けられている。二次空気ダンパ55Bは、二次空気ダンパ55Bの開度によって二次空気ライン54を流れる二次空気の流量および/または火炉43内に対する二次空気の供給状態を変更可能である。「二次空気ライン54を流れる二次空気の供給状態」とは、例えば、炉壁43a,43bに設けられた複数の開口に対する二次空気の配分量(すなわち、後述する火炉43内の複数の領域Bに対する二次空気の配分量)、および/または、炉壁43a,43bに設けられた複数の開口から火炉43の内部に供給される二次空気の流量(すなわち、火炉43内の各領域Bに対する二次空気の流量)を意味する。なお、本実施形態では、一次空気ダンパ55Aと二次空気ダンパ55Bとを合わせて「ダンパ55」と称する。
【0032】
図3は、火炉43において、上流側二次空気ライン54A、下流側二次空気ライン54Bから二次空気が供給される部分を上方から見た図である。
図1図3に示すように、本実施形態では、二次空気ダンパ55Bは、上流側二次空気ライン54A、下流側二次空気ライン54Bの各々に設けられている。これにより、二次空気ダンパ55Bは、火炉43内において、搬送方向Zの上流側と下流側とで、二次空気の配分量が調整可能とされている。
【0033】
さらに、本実施形態では、二次空気ダンパ55Bは、上流側二次空気ライン54A、下流側二次空気ライン54Bの各々において、炉幅方向Xの一方側と他方側とに個別に設けられている。これにより、二次空気ダンパ55Bは、炉幅方向Xの一方側と他方側とで、二次空気の配分量が調整できるようになっている。
【0034】
<3.カメラ>
次に、図1に示すカメラ70について説明する。
カメラ70は、例えば、赤外カメラである。カメラ70は、焼却炉2における搬送方向Zの下流側から炉本体20内を撮影する。カメラ70は、炉本体20の炉尻から、輝炎Fを透過して炉本体20の火格子31上に堆積したごみG(例えばごみ層Pの高さ状態)を撮影する。なお、カメラ70は、上記に代えて/加えて、ホッパ11の出口部11bの状態(例えばフィーダ22上に堆積したごみGの状態)、および/または、炉本体20の壁部の状態(例えば、火炉43の壁部に形成された付着物(クリンカ等)の形成状態)等を撮影してもよい。
【0035】
本実施形態では、カメラ70は、1台のみ設けられている。カメラ70は、例えば、炉本体20における搬送方向Zの下流側の本体壁20wに形成された透明窓(図示無し)等を通して、炉本体20内を撮影する。カメラ70は、炉本体20内を、予め設定された時間間隔毎に静止画により撮影する。また、カメラ70は、炉本体20内を、動画により連続的に撮影してもよい。カメラ70は、撮影された画像Im(例えば、図5参照)を、通信ケーブルによる有線通信手段、又はブルートゥース(登録商標)、無線LAN等の無線通信手段により、制御装置100に出力する。
【0036】
<4.制御装置>
次に、制御装置(燃焼設備用システム)100について説明する。
制御装置100は、燃焼設備1を統括的に制御する。例えば、制御装置100は、炉本体20の処理空間VでのごみGの燃焼制御を行う。
【0037】
図4は、制御装置100の機能構成を示すブロック図である。図5は、カメラ70で撮影された画像Imの一例を示す図である。図6は、深度情報生成部120で生成された深度情報Idの一例である深度マップを示す図である。
【0038】
図4に示すように、制御装置100は、例えば、取得部110と、深度情報生成部120と、処理部130と、記憶部140と、を含む。取得部110は、1台のカメラ70により撮影された画像Im(例えば、図5参照)を取得する。深度情報生成部120は、画像Imに基づいて、深度情報Id(例えば、図6参照)を生成する。処理部130は、深度情報Id(例えば深度マップ)に基づき、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行うための処理を行う。本開示で「深度情報Idに基づく」とは、深度情報Idに直接に基づいて制御または監視を行う場合に限定されず、深度情報Idから得られた3次元計測結果Rsに基づいて制御または監視を行う場合なども該当し得る。
記憶部140は、学習済みモデルMを記憶している。
【0039】
本実施形態では、処理部130は、例えば、3次元計測結果導出部131と、推定部132と、制御部133と、監視部134とを含む。なお、処理部130は、制御部133と監視部134とのうちいずれか一方のみを有してもよい。以下、これら構成について詳しく説明する。
【0040】
<4.1 取得部>
取得部110は、1台のカメラ70により撮影された、例えば図5に示すような画像Imを取得する。取得部110は、カメラ70から出力された画像Imのデータを、有線通信手段または無線通信手段を介して取得する。本実施形態において、1台のカメラ70は、赤外カメラである。したがって、取得部110は、焼却炉2におけるごみ層Pを、搬送方向Zの下流側から撮影した赤外線カメラ画像を、画像Imとして取得する。この画像Imは、例えば、焼却炉2内におけるごみ層Pの高さの三次元形状(三次元分布)を特定するためのものである。なお、画像Imは、焼却炉2内の他の状態(例えば、壁部に対する付着物の状態)を特定するためのものでもよい。
【0041】
<4.2 深度情報生成部>
深度情報生成部120は、取得部110により取得された画像Imを、深層学習(ディープラーニング)により学習が行われた学習済みモデルMに入力することで、カメラ70から見た被写体の深度情報Idを生成する。
【0042】
画像Imが入力される学習済みモデルMは、記憶部140から読み出される。学習済みモデルMは、例えば、学習用データの少なくとも一部として、焼却炉2とは異なる被写体を撮影した画像と、当該画像に関する深度情報Idの正解データとを含む教師データを用いて学習が行われている。焼却炉2とは異なる被写体を撮影した画像としては、例えば、風景、人物等、幅広いジャンルの被写体を撮影した多数(例えば、数千枚以上)の画像を用いることが好ましい。学習済みモデルMは、このような、焼却炉2とは異なる被写体を撮影した画像と、当該画像の各々に関する深度情報Idの正解データとを含む教師データを、学習用データの少なくとも一部として用いて学習を行うことで生成されている。
【0043】
ここで、焼却炉2内を撮影した画像を用いて、学習済みモデルMを生成することも可能である。しかしながら、有効な学習済みモデルMを得るには、焼却炉2内を撮影した画像と、当該画像に関する深度情報Idの正解データを多数用意する必要があり、これには多大な時間と手間が掛かる。そこで、上記したように、焼却炉2とは異なる被写体を撮影した画像を用いて得られた学習済みモデルMを用いることで、時間と手間を省くことができる。
【0044】
このように、図6に示すように、画像Imを、学習済みモデルMに入力して出力される深度情報Idは、例えば、カメラ70から被写体の各部までの距離を示す深度マップである。深度マップは、搬送方向Zの下流側から焼却炉2内のごみ層Pを見たときの、ごみ層Pの表層部の各部までの距離(深度)を、複数段階に設定された色(グレースケールを含む)で示している。また、深度情報生成部120は、新に画像Imを取得し、深度情報Idを生成する度に、学習済みモデルMをさらに学習させるようにしてもよい。
【0045】
<4.3 3次元計測結果導出部>
処理部130の3次元計測結果導出部131は、深度情報生成部120で生成された深度情報Idに対して座標系変換を行うことで、焼却炉2内の3次元計測結果Rsを導出する。3次元計測結果導出部131は、深度情報Idにおける各座標(x、y、z)に対し、例えば次式(1)を用い、幾何学に基づく座標系の変換を行うことで、焼却炉2内の被写体(ごみ層P)の表層部の各部の座標(x、y、z、w)を導出する。ここで、座標系は、搬送方向Zに沿った方向をZ軸、炉幅方向Xに沿った方向をX軸、上下方向をY軸としている。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、n:近距離側焦点距離、r:視野範囲(右部)、l:視野範囲(左部)、t:視野範囲(上部)、b:視野範囲(下部)、f:遠距離側焦点距離、S~S:画像拡大縮小倍率、T~T:画像平行移動距離、R00~R22:画像回転量、w:画像上の頂点座標である。図7は、上式(1)により得られた、焼却炉内の3次元計測結果Rsの一例を示す図である。
【0048】
<4.4 推定部>
推定部132は、3次元計測結果導出部131で導出された3次元計測結果Rsに基づき、焼却炉2の火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布と、ごみ層Pの体積流量とのうち少なくとも一方を推定する。以下では、ごみ層Pの高さ分布が推定される場合について詳しく説明する。
【0049】
図8は、3次元計測結果Rsから抽出された、ごみ層の高さの分布Hdの一例を示す図である。図8に示すような焼却炉2の火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hdは、例えば、図7に示した3次元計測結果Rsから、焼却炉2内を上方から見たXZ平面において、火格子31上の範囲Kにおける、ごみ層Pの高さの分布Hdを抽出することで得られる。
【0050】
本実施形態では、推定部132は、火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hdを、複数の区画Cごとに推定する。本実施形態において、図2図7に示すように、複数の区画Cは、風箱41ごとに設定されている。すなわち、搬送方向Zに4個、炉幅方向Xに3個、計12個が並べて配置された風箱41に合わせて、12個の区画C1L、C1M、C1R、C2L、C2M、C2R、C3L、C3M、C3R、C4L、C3M、C4Rが設定されている。推定部132は、図7に示す、火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hdに基づいて、各風箱41に対応した区画Cの位置における、ごみ層Pの高さの推定値を推定する。ここで、各区画Cにおいては、例えば、炉幅方向Xの複数位置におけるごみ層Pの高さを推定してもよい。また、各区画Cにおいては、例えば、搬送方向Zの複数位置におけるごみ層Pの高さを推定してもよい。
【0051】
図9Aは、搬送方向Zにおいて、上流側から下流側に向かって3番目に配置された風箱41に対応した区画C3L、C3M、C3Rにおける、炉幅方向Xの複数位置のごみ層Pの高さの推定値の一例を示す図である。図9Bは、搬送方向Zにおいて、上流側から下流側に向かって4番目に配置された風箱41に対応した区画C4L、C4M、C4Rにおける、炉幅方向Xの複数位置のごみ層Pの高さの推定値の一例を示す図である。
【0052】
なお、推定部132は、図8に示すような、火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hdの時間変化から、ごみGの体積流量の時間変化を推定するようにしてもよい。
【0053】
<4.5 制御部>
制御部133は、推定部132による推定結果に基づき、焼却炉2に関する燃焼制御を行う。より具体的には、制御部133は、推定部132による推定結果に基づき、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行う。
【0054】
本実施形態において、制御部133は、推定部132による推定結果、例えば火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hdに基づいて、一次空気ライン52および風箱41を通じて炉本体20内に供給される一次空気(燃焼空気)の流量および/または配分量、および、二次空気ライン54を通じて火炉43内に供給される二次空気(燃焼空気)の流量および/または配分量を調整する。なお、本実施形態においては、制御部133により、一次空気、及び二次空気の配分を調整するが、例えば、一次空気の配分、及び二次空気の配分の一方のみを制御部133で調整するようにしてもよい。
【0055】
(1次空気に関する制御)
制御部133は、ごみ層Pの高さの推定値、又はごみ層Pの高さの時間変化を用いた体積流量に応じた一次燃焼空気の制御を行う。本実施形態では、制御部133は、1次空気量の複数の区画C毎の配分量を制御して、炉出口からの未燃分排出量を抑制する。
【0056】
例えば、制御部133は、ごみ層Pの高さの推定値に基づいて区画Cごとに算出される評価値と、区画Cごとに設定された補正係数とに基づき、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。ここで、補正係数は、例えば、深度情報Idから3次元計測結果Rsを導出する過程で入り込む誤値を補正するためのものである。
【0057】
より具体的には、1台のカメラ70により、搬送方向Zの下流側から焼却炉2内を撮影する場合、ごみ層Pの高さが最も高い頂部Pt(図1参照)が、例えば、燃焼段20bに位置していると、カメラ70から見て、頂部Ptよりも離れている上流側においては、ごみ層Pの高さが高くなる。このため、カメラ70で撮影した画像から得た深度情報Idおよび3次元計測結果Rsにおいては、頂部Ptよりも上流側のごみ層Pの高さに、誤値(誤差)が含まれることとなる。制御部133では、例えば試験運転時等に予め取得した、ごみ層Pの高さの分布の実測値に基づいて設定した補正係数により、上記の誤値を補正する。
【0058】
制御部133は、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定するため、まず、複数の区画Cの各々において、次式(2)により、ごみ層Pの高さの評価値Hを算出する。
【0059】
【数2】
【0060】
ここで、lは、炉長さ(区画Cの搬送方向Dの長さ)、hは、区間C内の各位置におけるごみ層Pの高さの推定値である。
【0061】
さらに、上式(2)に基づき、次式(3)により、スコアScoreを算出する。
【0062】
【数3】
【0063】
ここで、aは、上記の補正係数、Aは、各区画Cの面積である。この式(3)においては、各区間Cにおけるごみ層Pの高さの合計値(積算値)に、補正係数aを乗算した値を、各区画Cの面積で除している。つまり、スコアScoreは、各区間Cに設定された補正係数が反映された各区間Cにおけるごみ層Pの平均値であり、各区画Cにおけるごみ層Pの総量が多いほど、大きな値となる。
【0064】
制御部133は、このようにして算出された各区画CのスコアScoreから、次式(4)のような行列式Sを得る。
【0065】
【数4】
上式(4)において、wは、区画Cごとに設定された一次空気の配分の優先度に関する重み付け係数(すなわち、炉本体20の内部にどの区画Cから一次空気を優先的に供給するかを規定する重み付け係数)である。
【0066】
制御部133は、上式(4)に基づいて、一次空気の配分Air Ratioを、次式(5)により算出する。ここで、Sk=Score×wである。
【0067】
【数5】
【0068】
このように、制御部133は、ごみ層Pの高さの推定値に基づいて区画Cごとに算出される評価値と、区画Cごとに設定された一次空気の配分の優先度に関する重み付け係数とに基づき、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。
【0069】
ここで、上式(3)においては、複数の区画Cのなかで、ごみ層Pの高さの推定値の誤差が大きくなりやすい乾燥段20aに対応する区画C1R、C1M、C1Lに設定される補正係数aは、ごみ層Pの高さの推定値が大きくなる、燃焼段20bに対応する区画C2R、C2M、C2L、C3R、C3M、C3Lに設定される補正係数aと比べて、一次空気の配分量を相対的に少なくするように設定するのが好ましい。本実施形態では、複数の区画Cのなかで乾燥段20aに対応する区画Cに設定される補正係数aは、複数の区画Cのなかで燃焼段20bに対応する区画Cに設定される補正係数aと比べて、ごみ層Pの高さが小さくなるように(言い換えると、補正前と比べて、乾燥段20aに供給される一次空気の配分量を相対的に少なくするように)設定される。
【0070】
図10Aは、区画Cごとのごみ層Pの高さの推定値の分布を示す図である。図10Bは、補正係数aによって補正されたごみ層Pの高さの推定値の分布を示す図である。図10Bに示すように、補正係数aによる補正を行うことで、ごみ層Pの高さの推定値の誤差が大きくなりやすい区画C1R、C1M、C1Lの高さが補正されている。
【0071】
そして、制御部133は、次式(6)により、各区画Cについて、順位づけを行い、一次空気を優先的に配分する優先度の評価を行う。
【0072】
【数6】
【0073】
(2次空気に関する制御)
制御部133は、二次空気の配分量を制御する。本実施形態では、制御部133は、上記のようにして設定された一次空気の配分量に基づいて、二次空気の配分量を設定する。
【0074】
図3に示すように、火炉43内において、上流側二次空気ライン54A、下流側二次空気ライン54Bから二次空気が供給される部分は、上面から見た場合、例えば、搬送方向Zに3個、炉幅方向Xに3個、計9個の領域B(B1L、B1M、B1R、B2L、B2M、B2R、B3L、B3M、B3R)に区画されている。
【0075】
制御部133は、領域Bごとに配分される二次空気の配分量を決定するため、まず、複数の領域Bの各々において、上記式(2)により、評価値Hを算出する。そして、制御部133は、上記式(3)により算出された各領域BのスコアScoreから、上式(4)のような行列式Sを得る。さらに、制御部133は、二次空気の配分Air Ratioを、上式(5)により算出する。
【0076】
ここで、二次空気の配分量を決定するに際し、上式(4)の重みづけ係数wは、一次空気の配分量を決定する際に用いた重みづけ係数wとは同じでもよく、異なってもよい。
【0077】
本実施形態では、制御部133は、一次空気量の配分量と連携して二次空気の配分量の制御を行う。例えば、複数の領域Bのなかで、搬送方向Zの下流側に位置する後部領域B3L、B3M、B3Rと比べて、搬送方向Zの上流側に位置する前部領域B1L、B1M、B1Rに近い区画C1L、C1M、C1Rのうち1つ以上の区画Cから最も多い一次空気が供給される場合、制御部133で、後部領域B3L、B3M、B3Rと比べて前部領域B1L、B1M、B1Rに供給する二次空気を多くするよう、重みづけ係数を設定する。また、複数の領域Bのなかで前部領域B1L、B1M、B1Rと比べて後部領域B3L、B3M、B3Rに近い区画C3L、C3M、C3Rのうち1つ以上の区画Cから最も多い一次空気が供給される場合、制御部133で、前部領域B1L、B1M、B1Rと比べて後部領域B3L、B3M、B3Rに供給する二次空気を多くするよう、重みづけ係数を設定する。
【0078】
また、制御部133は、複数の領域Bのなかで左部領域B1L、B2L、B3Lと比べて右部領域B1R、B2R、B3Rに近い1つ以上の区画C(例えば区画C2R)におけるごみ層Pの高さの推定値と、複数の領域Bのなかで右部領域B1R、B2R、B3Rと比べて左部領域B1L、B2L、B3Lに近い1つ以上の区画C(例えば区画C2L)におけるごみ層Pの高さの推定値とに基づき、左部領域B1L、B2L、B3Lと右部領域B1R、B2R、B3Rとに対する二次空気の配分量を決定するよう、重みづけ係数を設定してもよい。
【0079】
例えば、制御部133は、複数の領域Bのなかで左部領域B1L、B2L、B3Lと比べて右部領域B1R、B2R、B3Rに近い1つ以上の区画C(例えば区画C2R)におけるごみ層Pの高さの推定値が、複数の領域Bのなかで右部領域B1R、B2R、B3Rと比べて左部領域B1L、B2L、B3Lに近い1つ以上(例えば複数、例えば全て)の区画Cにおけるごみ層Pの高さの推定値よりも大きい場合(例えば所定閾値以上大きい場合)、左部領域B1L、B2L、B3Lと比べて右部領域B1R、B2R、B3Rに供給する二次空気を多くするよう、重みづけ係数を設定する。
【0080】
一方で、制御部133は、複数の領域Bのなかで右部領域B1R、B2R、B3Rと比べて左部領域B1L、B2L、B3Lに近い1つ以上の区画C(例えば区画C2L)におけるごみ層Pの高さの推定値が、複数の領域Bのなかで左部領域B1L、B2L、B3Lと比べて右部領域B1R、B2R、B3Rに近い1つ以上(例えば複数、例えば全て)の区画Cにおけるごみ層Pの高さの推定値よりも大きい場合(例えば所定閾値以上大きい場合)、右部領域B1R、B2R、B3Rと比べて左部領域B1L、B2L、B3Lに供給する二次空気を多くするよう、重みづけ係数を設定する。
【0081】
なお、制御部133は、二次空気の流量または分配量を決定する際に、上述したような重み付け係数を用いることに代えて、一次空気の流量または分配量に関する制御値(例えば一次空気ダンパ55Aの開度に関する制御値)、および/または、各区画Cのごみ層Pの高さの推定値に基づいて、二次空気の流量または分配量を決定してもよい。
【0082】
また、制御部133は、一次空気および二次空気の制御に代えて/加えて、ごみ層Pの高さの推定値に基づき、その他の燃焼制御(フィーダ22の移動速度またはストロークの制御などによるごみGの供給量の制御、火格子31の駆動速度の制御などによるごみGの搬送速度の制御、空気予熱器53の制御などによるごみGの乾燥状態の制御など)を行ってもよい。また、制御部133は、これら制御を、ごみ層Pの高さに代えて/加えて、ごみ層Pの体積流量の推定値に基づいて行ってもよい。
【0083】
<4.6 監視部>
また、制御部133は、3次元計測結果導出部131による3次元計測結果に基づき、炉壁等へのクリンカ等の付着物の付着状態を監視する。より具体的には、制御部133は、付着物の量(例えば付着面積)の変化を監視し、予め設定された閾値以上となった場合に、保守用のアラートを出力するようにしてもよい。保守用のアラートとしては、アラートメッセージの出力、アラートランプの点灯、アラート音の出力等がある。
【0084】
<5.制御の流れ>
次に、制御装置100における制御の流れについて説明する。
図11は、情報処理方法の流れを示すフローチャートである。
燃焼設備1の稼働中、カメラ70で、予め設定された時間間隔毎に、焼却炉2内を撮影する。図11に示すように、制御装置100の取得部110は、1台のカメラ70により撮影された画像Im(例えば、図5参照)を取得する(S101)。取得部110は、焼却炉2におけるごみ層Pを、搬送方向Zの下流側から撮影した赤外線カメラ画像を、画像Imとして取得する。
【0085】
次いで、深度情報生成部120は、取得部110により取得された画像Imを、学習済みモデルMに入力することで、画像Imに対応する深度情報Id(例えば、図6参照)を出力する(S102)。出力される深度情報Idは、例えば、カメラ70から被写体までの距離を示す深度マップである。
【0086】
次に、3次元計測結果導出部131が、深度情報生成部120で生成された深度情報Idに対して座標系変換を行うことで、焼却炉2内の3次元計測結果Rs(例えば、図7参照)を導出する(S103)。
【0087】
続いて、推定部132が、3次元計測結果導出部131で導出された3次元計測結果Rsに基づき、焼却炉2の火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hd(例えば、図8参照)を推定する(S104)。推定部132は、さらに、火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hd(例えば、図9A図9B参照)を、複数の区画Cごとに推定する。
【0088】
次に、制御部133が、推定部132による推定結果に基づき、焼却炉2に関する燃焼制御を行う。制御部133は、推定部132による推定結果、つまり火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布Hdに基づいて、一次空気、及び二次空気の配分を調整する。
【0089】
本実施形態において、制御部133は、ごみ層Pの高さの推定値に応じた一次空気の制御を行う。制御部133は、1次空気量の複数の区画C毎の配分量を制御して、炉出口からの未燃分排出量を抑制する。例えば、制御部133は、ごみ層Pの高さの推定値に基づいて区画Cごとに算出される評価値と、区画Cごとに設定された補正係数とに基づき、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する(S105)。制御部133は、複数の区画Cの各々において、上式(2)、(3)により、スコアScoreを算出する。さらに、制御部133は、上式(4)、(5)を経ることで、一次空気の配分Air Ratioを算出する。このようにして、制御部133は、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。
【0090】
次に、制御部133は、上記のようにして設定された一次空気の配分量に基づいて、二次空気の配分量を設定する(S106)。制御部133は、上式(2)、(3)により、各領域BのスコアScoreを算出する。さらに、上式(4)、(5)を経ることで、領域Bごとの二次空気の配分量の制御を行う。
【0091】
そして、制御部133は、決定した一次空気、二次空気の配分量に基づいて、一次空気ダンパ55A、二次空気ダンパ55Bの開度を制御する。
【0092】
この後は、燃焼設備1の運転が終了したか否かを確認する(S107)その結果、燃焼設備1の運転が終了していなければ(S107:No)、ステップS101に戻り、上記の処理を繰り返す。また、燃焼設備1の運転が終了していれば(S107:Yes)、一連の処理を終了する。
【0093】
<6.作用効果>
比較例として、ステレオ形式で配置された2台のカメラにより取得された画像に基づき3次元データを生成し、生成した3次元データに基づいて焼却炉2の燃焼制御を行う構成について考える。この比較例の構成では、複数のカメラを用いた手法は、導入コストが掛かる。また、いずれのカメラ70が故障した場合、動作不良となる。ステレオ式による3次元計測は同一の被写体を様々な角度から撮影、計測が必要となり複数の設置箇所が必要となる。これにより、既存設備への導入時は窓枠の確保や施工といったコストが発生、デッドスペースが増える等が考えられる。また、ステレオ式の手法は幾何学の基づく算出の際、カメラやセンサの互いの位置が既知である必要がある。よって、測定するカメラ及びセンサ同士の位置を校正(や同期)する必要があり、再設置に伴う再校正や振動などの外乱の影響を強く受け、精度が低下する。また利便性が低下する。さらに、複数のカメラで撮影した複数枚の画像又は動画を取得、保管するためデータ容量が大きくなる。
【0094】
一方で、本実施形態では、1台のカメラ70を備えていれば良いので、導入コストが抑えられる。また、カメラ70として、既存の監視カメラを利用すれば、カメラ70の追設が不要でコストが掛からない。また、単一のカメラ70で機能するため、カメラ70を複数台備えれば、ステレオ形式で必要な複数台のカメラと同等コストで冗長システムを組むことができる。また、1台のカメラ70で測定するため、機器同士の位置を校正・同期する必要がなく、外乱の影響を軽減できる。また、1台のカメラ70を利用することで、複数のカメラを利用する場合と比べて、画像のデータ容量の増加は発生しない。
【0095】
上述したような制御装置100および情報処理方法によれば、1台のカメラ70により撮影された、焼却炉2内のごみ層Pを搬送方向Zの下流側から見た画像Imにおける、被写体の深度情報Id、つまりごみ層Pの深度情報Idが得られる。処理部130は、生成された深度情報Idに基づいて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行う。このように、1台のカメラ70により撮影された画像Imに基づいて、焼却炉2におけるごみ層Pの燃焼状態を把握することができるので、設備費用の低減を図ることができる。
【0096】
また、3次元計測結果導出部131が、深度情報Idに対して座標系変換を行うことによって、焼却炉2内の3次元計測結果Rsを導出する。これにより、焼却炉2内におけるごみ層Pの高さ分布等を得ることができる。このような3次元計測結果Rsに基づいて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行うことで、焼却炉2内のごみ層Pの状態に応じて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を適切に行うことができる。
【0097】
また、推定部132が、3次元計測結果Rsに基づいて、焼却炉2の火格子31上におけるごみ層Pの高さ分布、及びごみ層Pの体積流量とのうち少なくとも一方を推定する。これにより、その推定結果に基づいて、焼却炉2内のごみ層Pの高さ分布や、ごみ層Pの体積流量の状態に応じて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を適切に行うことができる。
【0098】
また、推定部132が、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について算出された、ごみ層Pの高さの推定値に基づいて、区画Cごとに評価値を算出する。制御部133は、算出された評価値と、区画Cごとに設定された補正係数とに基づいて、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。これにより、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について、ごみ層Pの高さに応じた一次空気の配分量を、より適切に決定することができる。
【0099】
また、複数の区画Cの中で乾燥段20aに対応する区画Cに設定される補正係数が、燃焼段20bに対応する区画Cに設定される補正係数に比べて、一次空気の配分量が相対的に少なくなるように設定される。これにより、より多くの空気を必要とする燃焼段20bと、燃焼段20bよりも少ない空気量で済む乾燥段20aに対し、一次空気を適切に配分することができる。
【0100】
また、推定部132が、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について算出された、ごみ層Pの高さの推定値に基づいて、区画Cごとに評価値を算出する。制御部133は、算出された評価値と、区画Cごとに設定された重み付け係数とに基づいて、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。これにより、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について、ごみ層Pの高さに応じた一次空気の配分量を、一次空気の重み付け係数に応じて、より適切に決定することができる。
【0101】
また、複数の区画Cのなかで前部領域B1L、B1M、B1Rに近い区画Cから最も多い一次空気が供給される場合、前部領域B1L、B1M、B1Rに供給する二次空気を多くする。また、複数の区画Cのなかで後部領域B3L、B3M、B3Rに近い区画Cから最も多い一次空気が供給される場合、後部領域B3L、B3M、B3Rに供給する二次空気を多くする。これにより、より多くの一次空気が供給される領域に対し、二次空気についてもより多く供給することができる。
【0102】
また、複数の区画Cのなかで左部領域B1L、B2L、B3Lと比べて右部領域B1R、B2R、B3Rに近い1つ以上の区画Cにおけるごみ層Pの高さの推定値と、複数の区画Cのなかで右部領域B1R、B2R、B3Rと比べて左部領域B1L、B2L、B3Lに近い1つ以上の区画Cにおけるごみ層Pの高さの推定値とに基づき、左部領域B1L、B2L、B3Lと右部領域B1R、B2R、B3Rとに対する二次空気の配分量を決定する。これにより、炉幅方向Xにおいて、左部領域B1L、B2L、B3L側と右部領域B1R、B2R、B3R側におけるごみ層Pの高さの分布に応じて、二次空気を適切に分配することができる。これにより、二次空気を、より均一に供給することができる。
【0103】
このようにして、制御装置100により、一次空気、二次空気の配分制御を行うことで、燃焼時に発生するNOx及びCOの低減が可能となる。図12は、上記のような一次空気、二次空気の配分制御を行わない場合における、二酸化炭素の濃度分布を示すものである。図13は、上記実施形態における制御装置100により、一次空気、二次空気の配分制御を行った場合における、二酸化炭素の濃度分布を示すものである。図12図13において、色が濃いほど、二酸化炭素の濃度が高いことを示している。図12に示すように、一次空気、二次空気の配分制御を行わない場合、符号Sで示す部分のように、二酸化炭素が二次空気をすり抜けているのに対し、図13に示すように、一次空気、二次空気の配分制御を適切に行うことで、二酸化炭素が二次空気をすり抜けることが抑制されている。これにより、環境負荷の低減、または脱硝アンモニア等の消費量低減が図れ、燃焼設備1全体のランニングコスト低減に繋がる。さらに、空気量の最適化運転ができれば、空気の過剰供給を抑制し機器の余剰運転が回避できるため、燃焼設備1全体のランニングコスト低減に繋がる。
【0104】
図14は、本実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1100は、例えば、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、およびインターフェース1140を備える。
【0105】
上述の制御装置100の各機能部は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各機能部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した各機能部が使用する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0106】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0107】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース1140又は通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0108】
<付記>
実施形態に記載の燃焼設備用システム、情報処理方法は、例えば以下のように把握される。
【0109】
(1)第1態様の燃焼設備用システム(例えば制御装置100)は、焼却炉2における粉体層(例えばごみ層P)の搬送方向Zの下流側から焼却炉2内を撮影する1台のカメラ70により撮影された画像Imを取得する取得部110と、取得部110により取得された1台のカメラ70により撮影された画像Imを学習済みモデルMに入力することで、カメラ70から見た深度情報Idを生成する深度情報生成部120と、深度情報生成部120により生成された深度情報Idに基づき、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行う処理部130と、を備える。
【0110】
このような構成によれば、取得部110が、1台のカメラ70により撮影された画像Imを取得する。取得された画像Imは、焼却炉2における粉体層の搬送方向Zの下流側から、焼却炉2内を撮影したものである。深度情報生成部120は、取得された画像Imを学習済みモデルMに入力することで、カメラ70から見た深度情報Idを生成する。これにより、1台のカメラ70により撮影された、焼却炉2内の粉体層を搬送方向Zの下流側から見た画像Imにおける、被写体の深度情報Id、つまり粉体層の深度情報Idが得られる。処理部130は、生成された深度情報Idに基づいて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行うことができる。このように、1台のカメラ70により撮影された画像Imに基づいて、焼却炉2における粉体層の燃焼状態を把握することができるので、設備費用の低減を図ることができる。
【0111】
(2)第2態様の燃焼設備用システムは、(1)の燃焼設備用システムであって、処理部130は、深度情報Idに対して座標系変換を行うことで焼却炉2内の3次元計測結果Rsを導出する3次元計測結果導出部131を含み、3次元計測結果Rsに基づき、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行う。このような構成によれば、3次元計測結果導出部131が、深度情報Idに対して座標系変換を行うことによって、焼却炉2内の3次元計測結果Rsを導出する。これにより、焼却炉2内における粉体層の高さ分布等を得ることができる。このような3次元計測結果Rsに基づいて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行うことで、焼却炉2内の粉体層の状態に応じて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を適切に行うことができる。
【0112】
(3)第3態様の燃焼設備用システムは、(2)の燃焼設備用システムであって、処理部130は、3次元計測結果Rsに基づき、焼却炉2の火格子31上における粉体層の高さ分布と、粉体層の体積流量とのうち少なくとも一方を推定する推定部132と、推定部132による推定結果に基づき、焼却炉2に関する燃焼制御を行う制御部133と、を含む。このような構成によれば、推定部132が、3次元計測結果Rsに基づいて、焼却炉2の火格子31上における粉体層の高さ分布、または粉体層の体積流量とのうち少なくとも一方を推定する。これにより、その推定結果に基づいて、焼却炉2内の粉体層の高さ分布や、粉体層の体積流量の状態に応じて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を適切に行うことができる。
【0113】
(4)第4態様の燃焼設備用システムは、(3)の燃焼設備用システムであって、推定部132は、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について、3次元計測結果Rsに基づいて粉体層の高さの推定値を算出し、制御部133は、粉体層の高さの推定値に基づいて区画Cごとに算出される評価値と、区画Cごとに設定された、深度情報Idから3次元計測結果Rsを導出する過程で入り込む誤値を補正するための補正係数とに基づき、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。このような構成によれば、推定部132が、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について算出された、粉体層の高さの推定値に基づいて、区画Cごとに評価値を算出する。制御部133は、算出された評価値と、区画Cごとに設定された補正係数とに基づいて、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。補正係数は、深度情報Idから3次元計測結果Rsを導出する過程で入り込む誤値を補正する。これにより、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について、粉体層の高さに応じた一次空気の配分量を、より適切に決定することができる。
【0114】
(5)第5態様の燃焼設備用システムは、(3)または(4)の燃焼設備用システムであって、推定部132は、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について、3次元計測結果Rsに基づいて粉体層の高さの推定値を算出し、制御部133は、粉体層の高さの推定値に基づいて区画Cごとに算出される評価値と、区画Cごとに設定された一次空気の配分の優先度に関する重み付け係数とに基づき、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。このような構成によれば、推定部132が、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について算出された、粉体層の高さの推定値に基づいて、区画Cごとに評価値を算出する。制御部133は、算出された評価値と、区画Cごとに設定された重み付け係数とに基づいて、区画Cごとに配分される一次空気の配分量を決定する。重み付け係数は、区画Cごとに設定された一次空気の配分の優先度に関するものである。これにより、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について、粉体層の高さに応じた一次空気の配分量を、一次空気の重み付け係数に応じて、より適切に決定することができる。
【0115】
(6)第6態様の燃焼設備用システムは、(3)から(5)のうちいずれか一つの燃焼設備用システムであって、焼却炉2は、火格子31の上方に配置されて燃焼後のガスが流入する火炉43を含み、火炉43は、上方から見た場合に、搬送方向Zとは交差する方向で互いに並ぶ左部領域B1L、B2L、B3Lと右部領域B1R、B2R、B3Rとを含み、推定部132は、焼却炉2内に設定された複数の区画Cの各々について、3次元計測結果Rsに基づいて粉体層の高さの推定値を算出し、制御部133は、複数の区画Cのなかで左部領域B1L、B2L、B3Lと比べて右部領域B1R、B2R、B3Rに近い1つ以上の区画Cにおける粉体層の高さの推定値と、複数の区画Cのなかで右部領域B1R、B2R、B3Rと比べて左部領域B1L、B2L、B3Lに近い1つ以上の区画Cにおける粉体層の高さの推定値とに基づき、左部領域B1L、B2L、B3Lと右部領域B1R、B2R、B3Rとに対する二次空気の配分量を決定する。このような構成によれば、搬送方向Zとは交差する方向において、左部領域B1L、B2L、B3L側と右部領域B1R、B2R、B3R側における粉体層の高さの分布に応じて、二次空気を適切に分配することができる。これにより、二次空気を、より均一に供給することができる。
【0116】
(7)第7態様の燃焼設備用システムは、(4)から(6)のいずれか一つの燃焼設備用システムであって、焼却炉2は、火格子31の上方に配置されて燃焼後のガスが流入する火炉43を含み、火炉43は、上方から見た場合に、前部領域B1L、B1M、B1Rと、前部領域B1L、B1M、B1Rと比べて搬送方向Zの下流側に配置された後部領域B3L、B3M、B3Rとを含み、制御部133は、複数の区画Cのなかで後部領域B3L、B3M、B3Rと比べて前部領域B1L、B1M、B1Rに近い1つ以上の区画Cから最も多い一次空気が供給される場合、後部領域B3L、B3M、B3Rと比べて前部領域B1L、B1M、B1Rに供給する二次空気を多くする。このような構成によれば、より多くの一次空気が供給される領域に対し、二次空気についてもより多く供給することができる。
【0117】
(8)第8態様の情報処理方法は、1つ以上のコンピュータが、焼却炉2における被焼却物の搬送方向Zの下流側から焼却炉2内を撮影する1台のカメラ70により撮影された画像Imを取得し、取得した1台のカメラ70により撮影された画像Imを学習済みモデルMに入力することで、カメラ70から見た深度情報Idを生成し、生成した深度情報Idに基づき、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行う、ことを含む。このような構成によれば、1台のカメラ70により撮影された、焼却炉2内の粉体層を搬送方向Zの下流側から見た画像Imにおける、被写体の深度情報Id、つまり粉体層の深度情報Idを取得する。このように、生成された深度情報Idに基づいて、焼却炉2に関する燃焼制御または監視を行うことができる。このように、1台のカメラ70により撮影された画像Imに基づいて、焼却炉2における粉体層の燃焼状態を把握することができるので、設備費用の低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0118】
1…燃焼設備
2…焼却炉
20a…乾燥段
20b…燃焼段
20c…後燃焼段
31…火格子
43…火炉
70…カメラ
100…制御装置(燃焼設備用システム)
110…取得部
120…深度情報生成部
130…処理部
131…3次元計測結果導出部
132…推定部
133…制御部
1100…コンピュータ
B…領域
C…区画
Id…深度情報
Im…画像
P…ごみ層(粉体層)
Rs…3次元計測結果
【要約】
【課題】設備費用の低減を図ることができる燃焼設備用システムおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】燃焼設備用システムは、焼却炉における被焼却物の搬送方向の下流側から焼却炉内を撮影する1台のカメラにより撮影された画像を取得する取得部と、取得部により取得された1台のカメラにより撮影された画像を学習済みモデルに入力することで、カメラから見た深度情報を生成する深度情報生成部と、深度情報生成部により生成された深度情報に基づき、焼却炉に関する燃焼制御または監視を行う処理部と、を備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14