(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】プログラム及び工作機械システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/10 20060101AFI20240621BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
B23Q11/10 D
G05B19/18 T
(21)【出願番号】P 2023182284
(22)【出願日】2023-10-24
【審査請求日】2023-10-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303058867
【氏名又は名称】ユアサネオテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】石田 正樹
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特許第7274673(JP,B1)
【文献】特開2013-013968(JP,A)
【文献】特許第7303958(JP,B1)
【文献】特開2012-106292(JP,A)
【文献】特開2004-338016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/10
G05B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、
前記工作機械には、クーラント装置が接続されており、
前記制御基板は、前記工作機械が行う加工プログラムに対応させて、前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する第1制御部と、前記クーラント装置に該生成した制御信号を送信する通信処理部とを有し、
前記クーラント装置は、前記制御基板から送られてくる前記制御信号を受信して該クーラント装置の動作を制御する第2制御部と、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、前記第2制御部に制御されて前記SPC用ポンプの動作を制御するインバータ制御基板とを備え、
前記工作機械は、操作部
及び表示部を有し、
前記プログラムは、前記制御基板に、
前記クーラント装置の動作制御のカスタマイズ設定として、
前記表示部に前記加工プログラム毎に且つ前記工作機械で用いられる工具を識別するツール番号毎に、前記SPC用ポンプがそのツール番号の工具に前記センタースルークーラントを供給する際の前記SPC用ポンプを動作させるための周波数情報を受け付ける画面を表示し、その画面上で、ユーザから前記操作部を介して、
前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を対応付けて受け付けさせる第1処理と、
前記カスタマイズ設定で前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を受け付けた場合、前記工作機械が前記受け付けた加工プログラムに定められている前記ツール番号の工具を用いる際に、そのツール番号に対応付けて受け付けた周波数情報で前記SPC用ポンプを動作させる命令が含まれる制御信号を生成させる第2処理と、を実行させるようになっていることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記制御基板の第1制御部は、前記クーラント装置に前記センタースルークーラントの供給を停止させる場合、該センタースルークーラントの供給停止命令が含まれる制御信号を生成するようになっており、
前記供給停止命令が含まれる制御信号には、前記SPC用ポンプを低出力で動作させるための、予め定められた供給停止用・周波数情報が含まれており、
前記プログラムは、前記制御基板に、
前記クーラント装置に前記センタースルークーラントの供給を停止させる場合の前記SPC用ポンプの制御情報として、ユーザから前記操作部を介して、前記供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報を受け付けさせる第3処理と、
前記供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報を受け付けた場合、前記センタースルークーラントの供給停止命令が含まれる制御信号として、前記受け付けた供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報が含まれる前記制御信号を生成する第4処理と、を実行させるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
クーラント装置と、該クーラント装置に接続され、且つ該クーラント装置の動作を制御する工作機械とを備えた工作機械システムであって、
前記工作機械は、自身が行う加工プログラムに対応させて、前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する第1制御部と、前記クーラント装置に前記生成した制御信号を送信する通信処理部と、前記クーラント装置の動作制御のカスタマイズ設定を受け付け、該受け付けたカスタマイズ設定に応じて前記第1制御部に前記制御信号を生成させるクーラント電力抑制部と、操作部と
、表示部とを有し、
前記クーラント装置は、前記工作機械から送られてくる前記制御信号を受信して該クーラント装置全体の動作を制御する第2制御部と、前記工作機械にセンタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、前記第2制御部に制御されて前記SPC用ポンプの動作を制御するインバータ制御基板とを備え、
前記クーラント電力抑制部は、
前記カスタマイズ設定として、
前記表示部に前記加工プログラム毎に且つ前記工作機械で用いられる工具を識別するツール番号毎に、前記SPC用ポンプがそのツール番号の工具に前記センタースルークーラントを供給する際の前記SPC用ポンプを動作させるための周波数情報を受け付ける画面を表示し、その画面上で、ユーザから前記操作部を介して、
前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を対応付けて受け付け可能に構成され、
前記カスタマイズ設定で前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を対応付けて受け付けた場合、前記第1制御部に、前記工作機械が前記受け付けた加工プログラムに定められている前記ツール番号の工具を用いる際に、そのツール番号に対応付けて受け付けた周波数情報で前記SPC用ポンプを動作させる命令が含まれる制御信号を生成させるようになっていることを特徴とする工作機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び工作機械システムであって、例えば、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラム、及び工作機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場等の製造現場では、マシニングセンタ等の工作機械(母機)に接続され、工作機械にクーラント液(クーラント)を供給するクーラント装置が用いられている。
【0003】
クーラント装置は、工作機械と電気的に接続されて各種信号を授受する制御部と、クーラントを貯留するタンクと、工作機械にクーラントを供給する供給管と、工作機械で使用された使用済みのクーラントを工作機械から回収する戻り液配管と、タンクに貯留されたクーラントを汲み上げて供給管を介して工作機械に供給するためのポンプ(複数のポンプ)と、戻り液配管を介して工作機械から回収した使用済みのクーラントに含まれた切屑や切粉等を洗浄を浄化してタンクに戻す浄化装置とを有している。
【0004】
上記のクーラント装置には、種々のタイプのものがある。例えば、クーラント装置に接続される工作機械が、
図4に示すように、主軸1と工具2の貫通穴を通して工具2の刃先にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのセンタースルークーラント用ノズル(図示せず)と、加工しているワークWにカッチングクーラント(CUTC)を噴射するためのカッチング用ノズル3と、使用済みのクーラントを貯留するベッドBを洗浄するベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給するためのベッド洗浄用ノズル4とを備えているものとする。
上記のような場合、一般的に、クーラント装置は、接続される工作機械に対して、センタースルークーラント(SPC)を供給するためのポンプ(SPC用ポンプ)と、カッチングクーラント(CUTC)を供給するためのポンプ(CUTC用ポンプ)と、ベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給するためのポンプ(BEDC用ポンプ)とを備えているものが用いられる。
【0005】
そして、クーラント装置は、工作機械から送信される制御信号に応じて、SPC用ポンプを駆動させて工作機械に対して、センタースルークーラント(SPC)を供給したり、CUT用ポンプを駆動させて工作機械に対してカッチングクーラント(CUTC)を供給したり、BEDC用ポンプを駆動させて工作機械にベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給したりする。
【0006】
また、本願発明者は、上記の工作機械システムにおける二酸化炭素(CО2)の削減の研究を進めているなかで、当該システムの稼働中の電力量を調査した結果、母機である工作機械が消費している電力量と比べて、工作機械にクーラントを供給しているクーラント装置側で消費している電力量が大きいことが判った。
そこで、本願発明者は、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラムを発明し、その発明について特許出願(特許文献1)を行った。
【0007】
上記の特許文献1には、CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムが開示されている。また、上記の工作機械には、クーラント装置が接続されており、クーラント装置は、工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、カッチングクーラントを供給するためのCUTC用ポンプと、ベッド洗浄クーラントを供給するためのBEDC用ポンプとが設けられ、工作機械の制御基板から送られてくる制御信号に応じて各ポンプの動作が制御されるようになっている。また、制御基板は、工作機械が行う加工プログラムに対応させて、予め定められているクーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する制御部と、クーラント装置に該生成した制御信号を送信する通信処理部とを有している。
また、上記のプログラムは、前記制御基板に、前記クーラント装置の各ポンプの動作制御のカスタマイズ設定を受け付けさせる処理と、前記カスタマイズ設定を受け付けた場合、前記制御部に、前記工作機械に前記センタースルークーラント及び前記カッチングクーラントのいずれかを供給させている最中には前記BEDC用ポンプの動作を停止させる内容を含む前記制御信号を生成させる処理と、を実行させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、クーラント装置に搭載されている、センタースルークーラント(SPC)を供給するためのSPC用ポンプは、一般的に、高圧用ポンプが使用されている。このSPC用ポンプは、工作機械で用いられている工具(刃物)の種類に関係なく、全ての種類の工具に対して、同じ圧力(大きいポンプ圧)でSPCを圧送し供給している。
本願出願人は、工作機械システムにおける二酸化炭素(CО2)の削減の研究を進めているなかで、工作機械の搭載されている工具(刃物)のなかには、大きいポンプ圧でセンタースルークーラントを供給しなくても、ワークを加工している際に切粉を除去することができて問題無いものが有ることに気付いた。例えば、小径の工具(刃物)は、SPCを通す孔が小径のため、大きな圧力でSPCを供給する必要がある。一方、大径の工具(刃物)は、小径の工具と比べて、SPCを通す孔が大径のため、小径の工具よりも小さい圧力でSPCを供給すれば十分であることが判った。それにも関わらず、現状の工作機械システムでは、小径の工具(刃物)に対しても、大径の工具(刃物)と同じ圧力でSPCを供給しており、無駄な電力消費をしている。
【0010】
そのため、SPCを供給するためのSPC用ポンプについては、工作機械で用いられている工具の種類に応じた圧力でSPCを圧送すれば、クーラント装置の無駄な電力消費を防ぐことができるが、現状において、そのような制御を任意で行うものは知られていない。
なお、本願出願人が出願した特許文献1に記載の発明においても、クーラント装置は、工作機械の全ての種類の工具に対して同じ圧力(大きいポンプ圧)でセンスルークーラント(SPC)を圧送するように制御されている。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラム、及び、クーラント装置と、該クーラント装置に接続された工作機械とを備えた工作機械システムであって、クーラント装置の消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた本発明は、CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、前記工作機械には、クーラント装置が接続されており、前記制御基板は、前記工作機械が行う加工プログラムに対応させて、前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する第1制御部と、前記クーラント装置に該生成した制御信号を送信する通信処理部とを有し、前記クーラント装置は、前記制御基板から送られてくる前記制御信号を受信して該クーラント装置の動作を制御する第2制御部と、前記工作機械に対して、センタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、前記第2制御部に制御されて前記SPC用ポンプの動作を制御するインバータ制御基板とを備え、前記工作機械は、操作部及び表示部を有し、前記プログラムは、前記制御基板に、前記クーラント装置の動作制御のカスタマイズ設定として、前記表示部に前記加工プログラム毎に且つ前記工作機械で用いられる工具を識別するツール番号毎に、前記SPC用ポンプがそのツール番号の工具に前記センタースルークーラントを供給する際の前記SPC用ポンプを動作させるための周波数情報を受け付ける画面を表示し、その画面上で、ユーザから前記操作部を介して、前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を対応付けて受け付けさせる第1処理と、前記カスタマイズ設定で前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を受け付けた場合、前記工作機械が前記受け付けた加工プログラムに定められている前記ツール番号の工具を用いる際に、そのツール番号に対応付けて受け付けた周波数情報で前記SPC用ポンプを動作させる命令が含まれる制御信号を生成させる第2処理と、を実行させるようになっていることを特徴とする。
【0013】
このように、本発明のプログラムは、工作機械の制御基板に、クーラント装置の動作制御のカスタマイズ設定として、工作機械で用いられる工具を識別するツール番号毎に、クーラント装置のSPC用ポンプがそのツール番号の工具にセンタースルークーラントを供給する際のSPC用ポンプを動作させるための周波数情報を対応付けて受け付けさせる第1処理を実行させている。また、本発明のプログラムは、工作機械の制御基板に、カスタマイズ設定でツール番号毎に周波数情報を対応付けて受け付けた場合、制御基板の第1制御部に、工作機械が加工プログラムに定められているツール番号の工具を用いる際に、そのツール番号に対応付けて受け付けた周波数情報でSPC用ポンプを動作させる命令が含まれる制御信号を生成させる第2処理を実行させている。
上記の構成によれば、工作機械の搭載されている工具(刃物)毎に、その工具にセンタースルークーラント(SPC)を供給する際のSPC用ポンプの動作を制御することができ、その工具に応じた流量(圧力)のSPCを供給することができる。例えば、小径の工具(刃物)に対して、高い(大きい)周波数(周波数情報)を設定することで、SPC用ポンプ(ポンプのモータ)を高速回転で駆動させ、小径の工具に大きい圧力でSPCを供給することができる。また、例えば、大径の工具(刃物)に対して、低い(小さい)周波数(周波数情報)を設定することで、SPC用ポンプ(ポンプのモータ)を低速回転で駆動させ、大径の工具に小さい圧力でSPCを供給することができる。
すなわち、本発明によれば、工具毎に、必要な圧力でSPCを供給するように、SPC用ポンプの動作を制御することができるため、クーラント装置の無駄な電力消費を防ぐことができる。
【0014】
また、前記制御基板の第1制御部は、前記クーラント装置に前記センタースルークーラントの供給を停止させる場合、該センタースルークーラントの供給停止命令が含まれる制御信号を生成するようになっており、前記供給停止命令が含まれる制御信号には、前記SPC用ポンプを低出力で動作させるための、予め定められた供給停止用・周波数情報が含まれており、前記プログラムは、前記制御基板に、前記クーラント装置に前記センタースルークーラントの供給を停止させる場合の前記SPC用ポンプの制御情報として、ユーザから前記操作部を介して、前記供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報を受け付けさせる第3処理と、前記供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報を受け付けた場合、前記センタースルークーラントの供給停止命令が含まれる制御信号として、前記受け付けた供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報が含まれる前記制御信号を生成する第4処理と、を実行させるようになっていることが望ましい。
【0015】
上記の構成を採用したのは以下の理由による。
クーラント装置のセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのSPC用ポンプは、ОN/ОFF動作を頻繁に行うと故障する虞がある。そのため、クーラント装置にインバータ制御基板を設けて、SPC用ポンプの回転数を増減させる制御を行っている。
具体的には、SPC用ポンプが接続されている配管(クーラント装置内の配管)には、開閉バルブが設けられている。そして、SPC用ポンプから工作機械にSPCを供給するときだけ、開閉バルブを開いて、インバータ制御基板が、SPC用ポンプ(ポンプのモータ)を高い回転数で動作させる。一方、SPC用ポンプから工作機械100にSPCを供給しないときには、開閉バルブを閉じて、インバータ制御基板がSPC用ポンプに回転数を遅くした動作をさせている。
また、特許文献1に記載のクーラント装置は、工作機械にSPCを供給しない場合には、インバータ制御基板が、予め定められた、所定周波数(供給停止用・周波数)でSPC用ポンプを動作させている。そして、本願発明者が工作機械にSPCを供給しない場合のSPC用ポンプに着目したところ、供給停止用・周波数よりも低い周波数でSPC用ポンプを動作させても問題が無いことに気付いた。
そのため、本発明では、センタースルークーラントの供給を停止させる場合に、予め定められた供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報を受け付けて、SPCの供給停止命令が含まれる制御信号として、受け付けた供給停止用・周波数情報よりも低い周波数情報が含まれる該制御信号を生成するようにしている。
この構成によれは、工作機械にSPCを供給しないときにおいても、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)と比べて、クーラント装置の消費エネルギーを削減できる。
【0016】
また、本発明は、クーラント装置と、該クーラント装置に接続され、且つ該クーラント装置の動作を制御する工作機械とを備えた工作機械システムであって、前記工作機械は、自身が行う加工プログラムに対応させて、前記クーラント装置のデフォルト・制御設定に応じて制御信号を生成する第1制御部と、前記クーラント装置に前記生成した制御信号を送信する通信処理部と、前記クーラント装置の動作制御のカスタマイズ設定を受け付け、該受け付けたカスタマイズ設定に応じて前記第1制御部に前記制御信号を生成させるクーラント電力抑制部と、操作部と、表示部とを有し、前記クーラント装置は、前記工作機械から送られてくる前記制御信号を受信して該クーラント装置全体の動作を制御する第2制御部と、前記工作機械にセンタースルークーラントを供給するためのSPC用ポンプと、前記第2制御部に制御されて前記SPC用ポンプの動作を制御するインバータ制御基板とを備え、前記クーラント電力抑制部は、前記カスタマイズ設定として、前記表示部に前記加工プログラム毎に且つ前記工作機械で用いられる工具を識別するツール番号毎に、前記SPC用ポンプがそのツール番号の工具に前記センタースルークーラントを供給する際の前記SPC用ポンプを動作させるための周波数情報を受け付ける画面を表示し、その画面上で、ユーザから前記操作部を介して、前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を対応付けて受け付け可能に構成され、前記カスタマイズ設定で前記加工プログラム毎に且つ前記ツール番号毎に周波数情報を対応付けて受け付けた場合、前記第1制御部に、前記工作機械が前記受け付けた加工プログラムに定められている前記ツール番号の工具を用いる際に、そのツール番号に対応付けて受け付けた周波数情報で前記SPC用ポンプを動作させる命令が含まれる制御信号を生成させるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、クーラント装置と、クーラント装置に接続された工作機械とを備えた工作機械システムであって、クーラント装置の消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態のマシニングセンタ及びクーラント装置を備えた工作機械システムの構成を示した模式図である。
【
図2】本発明の実施形態のマシニングセンタが提供するクーラント装置のカスタマイズ設定を受け付けるための画面を示した模式図である。
【
図3】本発明の実施形態のマシニングセンタの制御部に設けられたデフォルト・優先設定データベースのデータ構成を示した模式図である。
【
図4】従来技術の工作機械の主軸に接続された工具と、クーラント装置から供給されるクーラントとの関係を示した模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態のマシニングセンタ及びクーラント装置を備えた工作機械システム、及び、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の動作を制御してクーラント装置の消費電力を削減させるためのプログラムについて図面に基づいて説明する。
【0020】
《工作機械システムの概略構成》
先ず、本発明の実施形態の工作機械システムの概略構成について
図1を用いて説明する。
ここで、
図1は、本実施形態のマシニングセンタ及びクーラント装置を備えた工作機械システムの構成を示した模式図である。
【0021】
図示するように、本実施形態の工作機械システムは、マシニングセンタ(工作機械)100と、マシニングセンタ100に接続され、且つマシニングセンタ100からの制御信号に応じて動作してマシニングセンタ100にクーラント(クーラント液)を供給するクーラント装置200とを備えている。
マシニングセンタ100は、自動工具交換機能を有する工作機械であり、自動的に工具を交換し、フライス削りや中ぐり、穴あけ、ねじ立てなどの様々な加工を連続して行う。
【0022】
また、マシニングセンタ100は、CPU及びメモリを備えた制御基板や制御装置により構成された制御部101と、液晶ディスプレイ等により構成される表示部102と、操作ボタン等で構成される操作部103と、自動工具交換機能を備えた工作機械部104とを有している。
【0023】
なお、本実施形態のマシニングセンタ100の工作機械部104は、上述した
図4のものと同様、主軸1と工具2の貫通穴を通して工具2の刃先にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのセンタースルークーラント用ノズル(図示せず)と、加工しているワークWにカッチングクーラント(CUTC)を噴射するためのカッチング用ノズル3と、使用済みのクーラントを貯留するベッドBを洗浄するベッド洗浄クーラント(BEDC)を噴射するためのベッド洗浄用ノズル4とを備えている。
また、工作機械部104は、自動工具交換機能により、加工プログラムに応じて、主軸1に装着する工具2を自動交換できるようになっている。
【0024】
そして、制御部101が工作機械部104の動作を制御して、加工プログラムで定められてる工具2でワークWに加工を行う。また、制御部101は、工作機械部104にワークWを加工させる際に、クーラント装置200にクーラント・制御信号(制御信号)を送信し、クーラント装置200の動作を制御して、その加工の際に必要なクーラントの供給を受けるようになっている。
【0025】
また、本実施形態のマシニングセンタ100の制御部101は、工作機械部104の動作を制御する機械制御部110と、クーラント装置200の動作を制御する制御信号を生成するクーラント制御部(第1制御部)111と、ユーザからの各種設定を受け付けるための設定処理部112と、クーラント装置200に制御信号を送信する通信処理部113と、クーラント制御部110と協働して動作するクーラント電力抑制部115と、記憶部120とを有している。また、記憶部120には、切粉量設定データベース121、デフォルト・優先設定データベース122が記憶されている。
なお、制御部110は、例えば、CPU、メモリ(主記憶装置、補助記憶装置)、I/Оインターフェース、通信インターフェースを備えた制御基板(コンピュータの機能を備えた制御基板)により構成されている。
【0026】
また、上記の制御部101の構成のうち、「機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113」は、既存のマシニングセンタ100に標準仕様で搭載されているものである。
そして、本実施形態では、マシニングセンタ100に標準仕様で搭載されている制御部の構成(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)に、後付けて、クーラント装置200の消費電力を抑制するクーラント電力抑制部115を追加するとともに、ユーザから受け付けたクーラント装置200を制御するための制御情報(切粉量設定データベース121、デフォルト・優先設定データベース122)を追加している。図中の破線部分(符号Aで示す部分)が、標準仕様のマシニングセンタ100に追加された構成になっている。
【0027】
すなわち、本実施形態の工作機械システムは、マシニングセンタ100に標準仕様で搭載されている制御部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)に、クーラント装置200の消費電力を抑制するためのクーラント電力抑制部115の機能を実現するためのプログラム(アプリケーションプログラム)をインストールすることにより実現される。
このように、本実施形態では、既設の工作機械の制御部(制御基板や制御装置)に、後付けで、クーラント電力抑制部115の機能を実現するためのプログラム(アプリケーションプログラム)をインストールできるので、既設の工作機械システムの消費電力の削減にも貢献することができる。
【0028】
また、クーラント装置200は、マシニングセンタ100から送られてくる制御信号を受信して装置全体の動作を制御する制御基板(第2制御部)201と、クーラント液を貯留するクーラントタンク206と、マシニングセンタ100にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのSPC用ポンプ203と、マシニングセンタ100にカッチングクーラント(CUTC)を供給するためのCUTC用ポンプ204と、マシニングセンタ100にベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給するためのBEDC用ポンプ205と、SPC用ポンプ203を制御するためのインバータ制御基板220とを有している。
【0029】
上記のSPC用ポンプ203は、配管230によりマシニングセンタ100のセンタースルークーラント用ノズルに接続されている。そして、SPC用ポンプ203は、制御基板201からの命令信号を受けたインバータ制御基板220に制御されて動作して、クーラントタンク206に貯留されているクーラントを汲み上げ、配管230を介して、マシニングセンタ100にSPCを供給する。
【0030】
なお、本実施形態のクーラント装置200では、SPC用ポンプ203がОN/ОFF動作を頻繁に行うと故障する虞があるため、インバータ制御基板220を設け、ОN/ОFF制御ではなく、SPC用ポンプ203をインバータ制御で動作させている。具体的には、SPC用ポンプ203が接続されている配管(クーラント装置200内の配管)には、開閉バルブが設けられている。
SPC用ポンプ203からマシニングセンタ100にSPCを供給するときだけ、開閉バルブを開いて、インバータ制御基板220が、予め定められた所定運転周波数(例えば、60Hz)でSPC用ポンプ203を動作させる(SPC用ポンプ203(ポンプのモータ)を高い回転数で動作させる)。
一方、SPC用ポンプ203からマシニングセンタ100にSPCを供給しないときには、開閉バルブを閉じて、インバータ制御基板220がSPC用ポンプ203に回転数を遅くした動作をさせる。例えば、SPC用ポンプ203からマシニングセンタ100にSPCを供給しないときには、インバータ制御基板220が、予め定められた、供給停止用・周波数(例えば、20Hz)でSPC用ポンプ203を動作させる。このとき、SPC用ポンプ203から汲み上げられたクーラントは、開閉バルブの先に流出できずに、クーラントタンク206に戻される。
【0031】
また、上記のCUTC用ポンプ204は、配管231によりマシニングセンタ100のカッチング用ノズル3に接続されている。
そして、CUTC用ポンプ204は、制御基板201からの命令信号(動作命令)に応じて動作をして、クーラントタンク206に貯留されているクーラントを汲み上げて、配管231を介して、マシニングセンタ100にCUTCを供給する。
また、動作中のCUTC用ポンプ204は、制御基板201からの命令信号(停止命令)を受けると、動作を停止して、マシニングセンタ100へのCUTCの供給を停止する。
【0032】
また、上記のBEDC用ポンプ205は、配管232によりマシニングセンタ100のベッド洗浄用ノズル4に接続されている。
そして、BEDC用ポンプ205は、制御基板201からの命令信号(動作命令)に応じて動作して、クーラントタンク206に貯留されているクーラントを汲み上げて、配管233を介して、マシニングセンタ100にBEDCを供給する。
また、動作中のBEDC用ポンプ205は、制御基板201からの命令信号(停止命令)を受けると、動作を停止して、マシニングセンタ100へのBEDCの供給を停止する。
【0033】
また、クーラントタンク206は、マシニングセンタ100の工作機械部104に設けられた「使用済みのクーラントが貯留されるベッドB」に戻り配管235を介して接続されており、戻り配管235を介してベットBに貯留されている使用済みクーラントが流入するようになっている。
なお、図中では、省略しているが、クーラント装置200には、マシニングセンタ100から流入している「使用済みクーラント」を浄化する浄化装置(例えば、浄化用ろ過装置)が設けられている。そして、ベットBから流入してくる使用済みクーラントは、浄化装置により切屑や切粉等の不純物が除去された上で、クーラントタンク206に戻されるようになっている。
【0034】
また、制御基板201は、ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)及びインバータ制御基板220を制御するための制御部211と、マシニングセンタ100と各種情報を授受する通信処理部213とを有している。
【0035】
制御部211は、通信処理部213を介して、マシニングセンタ100から送信される制御信号を受信し、制御信号に応じて、ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)及びインバータ制御基板202を制御する。
また、通信制御部213は、有線或いは無線によりマシニングセンタ100に接続されており、マシニングセンタ100との間で各種情報の授受を行うようになっている。
【0036】
《マシニングセンタ100の特徴的な構成の説明》
次にマシニングセンタ100の特徴的な構成について、上述した
図1と、
図2、3を参照しながら説明する。
ここで、
図2は、本実施形態のマシニングセンタが提供するクーラント装置のカスタマイズ設定を受け付けるための画面を示した模式図である。
図3は、本実施形態のマシニングセンタの制御部に設けられたデフォルト・優先設定データベースのデータ構成を示した模式図である。
【0037】
なお、本実施形態のマシニングセンタ100は、制御部101の構成のうちでクーラント装置200の動作を制御する構成(クーラント電力抑制部115、クーラント電力抑制部115と協働するクーラント制御部111、ユーザから受け付けた制御情報(切粉量設定データベース121、デフォルト・優先設定データベース122))に特徴があり、それ以外の構成(制御部111のなかの設定処理部112及び通信処理部113、表示部102、操作部103、工作機械部104)は、既存の技術のものと同じである。そのため、本実施形態の説明では、制御部101の構成のなかのクーラント装置200の動作を制御する構成について詳細に説明し、それ以外の構成については簡略化して説明(或いは説明を省略)する。
【0038】
なお、制御部101は、上述したように、例えば、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оインターフェース、通信インターフェースを備えた制御基板(コンピュータの機能を備えた制御基板)や制御装置(コンピュータ)により構成されている。
また、上記の補助記憶装置には、各部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)の機能を実現するための標準仕様プログラムと、クーラント電力抑制部115の機能を実現するための消費電力抑制プログラムとが記憶されている。また、補助記憶装置の所定領域には、記憶部121が形成されている。
【0039】
そして、制御部101の各部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)の機能は、CPUが補助記憶装置に記憶された標準仕様プログラムを主記憶装置にロードして実行させることにより実現される。また、クーラント電力抑制部115の機能は、CPUが補助記憶装置に記憶された消費電力抑制プログラムを主記憶装置にロードして実行させることにより実現される。
すなわち、上記の各プログラムは、制御部(制御基板、あるいは制御装置)101に、各部(クーラント制御部110、機械制御部110、設定処理部112、通信処理部113、及びクーラント電力抑制部115)の機能を実現させるための処理を実行させるようになっている。
【0040】
具体的には、機械制御部110は、設定された加工プログラムに応じて、工作機械部104の動作を制御して、工作機械部104にワークWの加工をさせる。また、機械制御部110は、クーラント制御部111に、ユーザから設定された加工プログラムを通知して、クーラント制御部111に、クーラント装置200の動作を制御するための制御信号を生成させる。
なお、加工プログラムでは、その加工プログラムで用いられている工具2を特定するツール番号が定められている。機械制御部110は、工作機械部104に対応する工具2を主軸1に装着させて、加工プログラムに応じて、工作機械部104の動作を制御する。
【0041】
クーラント制御部111は、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルトの制御設定(デフォルト・制御設定)」に応じてクーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0042】
また、本実施形態では、後述するクーラント電力抑制部115が、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作について、ユーザからデフォルト以外のカスタマイズ設定を受け付けることができるようになっている。クーラント制御部111は、制御信号を生成する前に、クーラント電力抑制部115に「問合わせ要求」を送信し、クーラント制御装置115から「問合わせ要求」に応答して送られてくる「制御信号・作成命令」に応じて、制御信号を生成する。
【0043】
設定処理部112は、表示部102に対して、工作機械部104の設定(搭載する工具を特定するツール番号の設定や加工プログラムの設定)等の各種設定を受け付けるための画面を表示して、操作部103を介して、ユーザから各種設定を受け付ける。また、設定処理部112は、受け付けた各種の設定は、メモリ(補助記憶装置、主記憶装置)に記憶される。
【0044】
また、クーラント電力抑制部115は、事前処理として、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作のカスタマイズ設定を受け付ける機能を有している。
また、クーラント電力抑制部115は、上記の受け付けたカスタマイズ設定に応じた、各ポンプの制御信号を生成させるための「制御信号・作成命令」生成し、クーラント制御部111に「制御信号・作成命令」送信し、クーラント制御部111に、「制御信号・作成命令」に対応した制御信号を生成させる機能を有している。
【0045】
先ず、クーラント電力抑制部115の機能のうち、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作のカスタマイズ設定を受け付ける機能について説明する。
具体的には、クーラント電力抑制部115は、液晶ディスプレイ等で構成される表示部102に、
図2に示すクーラント装置200のカスタマイズ設定画面400を表示し、操作ボタン、キーボード等で構成される操作部103を介して、クーラント装置200のデフォルト以外の動作制御のカスタマイズ設定を受け付ける。
【0046】
図示するカスタマイズ設定画面400は、加工プログラムの設定を受け付ける領域401と、マシニングセンタ100が行う加工により発生する切粉量の多さを受け付ける領域402と、工具2を識別するツール番号毎に、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作について、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)を優先するか否かを示す情報を受け付ける領域403と、クーラント装置200にセンタースルークーラントの供給を停止させるときのSPC用ポンプ203の動作を制御するための周波数の値(周波数情報)を受け付ける領域404とが設けられている。
【0047】
カスタマイズ設定画面400の領域401は、加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号等の情報)の入力を受け付けるために設けられており、加工プログラム毎に、クーラント装置400の各ポンプの動作の制御設定を受け付けることができるようになっている。
なお、加工プログラム毎に、クーラント装置200を制御する必要がないときには、領域401は空欄のままにしておく。
【0048】
カスタマイズ設定画面400の領域402は、切粉量の多さ毎に、クーラント装置200の各ポンプの動作の制御設定を受け付けるために設けられている。
具体的には、領域402では、切粉量について、「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」の3種類の量のうちのいずれかの設定を選択的に受け付けることができるようになっている。
なお、後述するが、領域402で切粉量について、「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」のうちのいずれかの設定を受け付けたときには、受け付けた切粉量の多さ毎に、定められたクーラント装置200の制御が行われる。
【0049】
また、クーラント電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域402で、切粉量の多さ(「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」の3種類の量のうちのいずれか)を受け付けたときには、受け付けた切粉量の多さ(「多」、「中」、「少」のいずれか)が登録された切粉量設定データベース121を生成して、記憶部120に記憶させる。
なお、クーラント電力抑制部115は、領域401で加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号等の情報)の入力を受け付けたときには、加工プログラムを特定する情報に対応付けた切粉量の多さ(「多」、「中」、「少」のいずれか)が登録された切粉量設定データベース121を生成し、記憶部120に記憶させる。
【0050】
また、カスタマイズ設定画面400の領域403は、上記の領域402で切粉量の多さ毎に、クーラント装置200の各ポンプの動作の制御設定を受け付けた場合において、さらに、ツール(工具2)毎に設定の変更を受け付けるために設けられている。
また、カスタマイズ設定画面400の領域403のうちの領域403aは、上記の領域402で切粉量の多さ毎に、クーラント装置200の各ポンプの動作の制御設定を受け付けた場合において、ツール(工具2)毎に、クーラント装置200のSPC用ポンプ203の動作させるインバータ制御基板220の周波数の値(周波数情報)を受け付けるために設けられている。
【0051】
具体的には、カスタマイズ設定画面400の領域403は、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)を優先するか否かを示す情報が入力できるようになっている。
図示する例では、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、「ОN」及び「ОFF」のいずれかを設定できるようになっており、「ОN」が設定されると、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)を優先され、「ОFF」が設定されると、切粉量の多さ毎に定められたクーラント制御設定が行われる。
なお、カスタマイズ設定画面400の領域403は、初期設定のときには、ツール番号(工具2)毎且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に対応する情報は、全て「OFF」になっている。
【0052】
また、カスタマイズ設定画面400の領域403のうちの領域403aは、工具2を識別するツール番号毎に、そのツール番号により特定される工具2にセンタースルークーラント(SPC)を供給する際にSPC用ポンプ203を動作させるための周波数の値(周波数情報)が入力できるようになっている。
例えば、領域403aでは、高圧力でセンタースルークーラント(SPC)を供給する必要がある工具2を識別するツール番号に対しては、高い周波数の値(例えば、60Hz)が入力され、小さい圧力でセンタースルークーラント(SPC)を供給すれば十分な工具2を識別するツール番号に対しては、低い周波数の値(例えば、30Hz)が入力される。
また、領域403aでは、工具2に応じて、細かく、周波数の値(例えば、30、40、50Hz)が入力できるようになっていて、工具2毎に、オーバスペックにならない十分な圧力でセンタースルークーラント(SPC)を供給できるようにしている。
なお、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)では、クーラント装置200は、SPCを供給する際には、工具2の種類に関係なく、全ての工具2に対して、予め定められた所定運転周波数で、SPC用ポンプ203を駆動させている。
【0053】
また、カスタマイズ設定画面400の領域404では、センタースルークーラント(SPC)の供給を停止させるときのSPC用ポンプ203の動作を制御するための周波数(SPCリリーフ)を受け付けることができるようになっている。
SPC用ポンプ203は、上述したように、ОN/ОFF動作を頻繁に行うと故障する虞があるため、インバータ制御基板220を設けて、SPC用ポンプ203の回転数を増減させる制御を行っている。そして、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)では、マシニングセンタ100にSPCを供給しないときには、インバータ制御基板220が、予め定められた、SPC用ポンプ203を低出力で動作させるための供給停止用・周波数(例えば、20Hz)でSPC用ポンプ203を動作させているが、ここでは、供給停止用・周波数よりも低い周波数を設定できるようにしている。これにより、マシニングセンタ100にSPCを供給しないときにおいても、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)と比べて、消費エネルギーを削減できるようにしている。
【0054】
また、クーラント電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域403で、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ毎に、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルトプログラム)を優先するか否かを示す情報の入力を受け付け、領域403aでツール番号(工具2)毎に周波数の値の入力を受け付けるとともに、領域404でSPCリリーフ(周波数の値)の入力を受け付けると、その受け付けた情報が登録されたデフォルト・優先設定データベース122を生成して、記憶部120に記憶させる。
【0055】
デフォルト・優先設定データベース122は、例えば、
図3に示すように、ツール番号(工具2)毎に、且つ各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)毎に、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルトプログラム)を優先するか否かを示す情報(「ОN」及び「ОFF」のいずれか)が対応付けられて登録されている。
また、デフォルト・優先設定データベース122では、ツール番号(工具2)毎に、その工具2にSPCを供給する際にSPC用ポンプ203を動作させるための周波数が対応付けられて登録されている。また、デフォルト・優先設定データベース122には、SPCの供給を停止させるときのSPC用ポンプ203の動作を制御するための周波数(SPCリリーフ)も登録されている。
なお、クーラント電力抑制部115は、領域401で加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号等の情報)の入力を受け付けたときには、受け付けた加工プログラムを特定する情報毎に、
図3に示すデフォルト・優先設定データベース122を生成して、記憶部120に記憶させる。
【0056】
次に、クーラント電力抑制部115の機能のうち、受け付けたカスタマイズ設定に応じた、各ポンプの制御信号を生成させるための「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に「制御信号・作成命令」送信し、クーラント制御部111に、「制御信号・作成命令」に対応した制御信号を生成させる機能について説明する。
【0057】
クーラント電力抑制部115は、クーラント制御部111からの「問合わせ要求」を受信すると、クーラント装置200に対するカスタマイズ設定がされいるか否かを判定する。
【0058】
クーラント電力抑制部115は、例えば、記憶部120に切粉量設定データベース121が登録されていない場合、カスタマイズ設定処理を受け付けていないと判定し、クーラント制御部11に、その旨を示す応答を送信する。この場合、クーラント制御部111は、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じてクーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御するための制御信号を生成する。
【0059】
一方、クーラント電力抑制部115は、例えば、記憶部120に切粉量設定データベース121が登録されている場合、カスタマイズ設定を受け付けている判定する。
以下、カスタマイズ設定処理を受け付けている場合について、いくつかのケースに分けて説明する。
【0060】
《切粉量の多さの設定だけ受け付けている場合》
まず、クーラント電力抑制部115が、事前に、切粉量の多さの設定だけを受け付けている場合の処理について、切粉量の多さ毎に説明する。
クーラント電力抑制部115は、カスタマイズ設定処理を受け付けたと判定した場合、記憶部120を参照し、切粉量設定データベース121の切粉量を読み出す。
【0061】
《切粉量:多(多い)の場合》
ここで、切粉量設定データベース121から読み出した切粉量が「多(多い)」の場合、すなわち、切粉量について「多(多い)」の設定だけを受け付けている場合には、クーラント電力抑制部115は、デフォルト・クーラント制御設定が優先されたクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0062】
クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じて、クーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御するための制御信号を生成する。また、クーラント制御装置111は、通信処理部113を介して、クーラント装置200に制御信号を送信する。
クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御して、マシニングセンタ100の工作機械部104の動作に対応させて、クーラントを供給したり、クーラントの供給を停止したりする。
【0063】
《切粉量:中(中位)の場合》
切粉量設定データベース121から読み出した切粉量が「中(中位)」の場合、すなわち、切粉量について「中(中位)」の設定だけを受け付けている場合には、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204については、デフォルト・クーラント制御設定が優先され、且つ「BEDC用ポンプ205」については、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させるクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0064】
クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」については、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた制御信号であり、且つ「BEDC用ポンプ205」については、マシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には、動作を停止させる内容を含む制御信号を生成する。
なお、「BEDC用ポンプ205」についての制御信号は、「SPC用ポンプ203及びCUTCポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」が供給されていないときについては、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた内容になっている。
また、クーラント制御装置111は、通信処理部113を介して、クーラント装置200に制御信号を送信する。
クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」については、デフォルト・制御設定に応じて動作を制御して、マシニングセンタ100の工作機械部104にクーラントを供給させたり、クーラントの供給を停止させたりする。
また、クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「BEDC用ポンプ205」については、マシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させる。
【0065】
《切粉量:少(少ない)の場合》
切粉量設定データベース121から読み出した切粉量が「少(少ない)」の場合、すなわち、切粉量について「少(少ない)」の設定だけを受け付けている場合には、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203」についてはデフォルト・クーラント制御設定が優先され、且つ「CUTC用ポンプ204」については、SPCが供給されているときには動作を停止させ、且つ「BEDC用ポンプ205」については、「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されているときには動作を停止させるクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0066】
クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、「SPC用ポンプ203」については、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた制御信号であり、且つ「CUTC用ポンプ204」については、「SPC用ポンプ203」からマシニングセンタ100に「SPC」が供給されている最中には、動作を停止させ、且つ「BEDC用ポンプ205」については、「SPC用ポンプ203及びCUTC用ポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させる制御信号を生成する。
なお、「CUTC用ポンプ204」についての制御信号は、「SPC用ポンプ203」からマシニングセンタ100にSPCが供給されていないときについては、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた内容になっている。
また、「BEDC用ポンプ205」についての制御信号は、「SPC用ポンプ203及びCUTCポンプ204」からマシニングセンタ100に「SPC及びCUTC」が供給されていないときについては、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた内容になっている。
また、クーラント制御装置111は、通信処理部113を介して、クーラント装置200に制御信号を送信する。
クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「SPC用ポンプ203及」については、デフォルトの制御設定に応じて動作を制御して、マシニングセンタ100の工作機械部104にクーラントを供給したり、クーラントの供給を停止したりする。
また、クーラント装置200は、「CUTC用ポンプ204」については、SPCが供給(使用)されているときには動作を停止させる。
また、クーラント装置200は、受信した制御信号に応じて、「BEDC用ポンプ205」については、「SPC及びCUTC」のいずれかが供給されている最中には動作を停止させる。
【0067】
《切粉量の多さの設定と、ツール毎の設定の変更を受け付けている場合》
次に、クーラント電力抑制部115が、事前に、切粉量の多さの設定と、ツール(工具2)毎に設定の変更を受け付けている場合の処理について説明する。
この場合、クーラント電力抑制部115は、記憶部120を参照し、切粉量設定データベース121の切粉量を読み出すとともに、デフォルト・優先設定データベース122を読み出す。
【0068】
そして、クーラント電力抑制部115は、工作機械部104から対応する加工プログラムに定められている工具を特定するツール番号を取得し、読み出したデフォルト・優先設定データベース122及び取得したツール番号を用いて、そのツール番号の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)について、それぞれ、デフォルトのクーラント制御設定が優先されているか否かを判定する。
クーラント電力抑制部115は、ポンプ毎に対応付けられたプログラム優先設定情報に「ОN」が設定されているポンプについては、デフォルト・クーラント制御設定が優先された「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
また、クーラント電力抑制部115は、ポンプ毎に対応付けられたプログラム優先設定情報に「ОFF」が設定されているポンプについては、切粉量の多さ毎に設定されクーラント制御であり、且つSPC用ポンプ203については、SPCを供給する際には工具2毎に設定されたSPC用ポンプを制御する周波数の値を指定し、且つSPCを供給しない際には、SPCの供給を停止させるときの周波数(SPCリリーフ)の値を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0069】
例えば、設定された切粉量の多さが「少」であり、対応するツール番号が「T01」であり、読み出したデフォルト・優先設定データベース122が
図3に示す内容であったとする。
図3では、ツール番号の「T01」には、「SPCがOFF且つ50Hz、CUTCがОN、BEDCがОFF」に設定されている。また、SPCリリーフに「15Hz」が登録されている。
【0070】
この場合、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203」についてはON/OFF動作の切替えに関してはデフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)で且つON動作させる際の周波数を「50Hz」に指定するとともに、OFF動作(SPCを供給しない動作)をさせる際の周波数を「15Hz」に指定し、且つ「CUTC用ポンプ204」については、デフォルト・優先設定データベース122にしたがいデフォルト・クーラント制御設定が優先され、且つ「BEDC用ポンプ205」については、SPC及びCUTCが供給(使用)されているときには、動作を停止させるクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0071】
そして、クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、「SPC用ポンプ203」については、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じたON/OFF動作であり且つON動作させる際の周波数を「50Hz」に指定し、且つOFF動作(SPCを供給しない動作)をさせる際の周波数を「15Hz」に指定した制御信号を生成する。
また、クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、「CUTC用ポンプ204」については、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルト・制御設定」に応じた制御信号を生成する。
また、クーラント制御部111は、上記の「制御信号・作成命令」を受信すると、「BECD用ポンプ205」については、SPC及びCUTCが供給(使用)されているときには、動作を停止さる制御信号を生成する。
その後、クーラント制御部111は、クーラント装置200の制御基板201の通信処理部213に生成した制御信号を送信する。
【0072】
また、クーラント装置200の制御基板211の制御部211は、通信処理部213を介して制御信号を受け取り、その制御信号を用いて、「SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204及びBEDC用ポンプ205」の動作を制御する。
例えば、クーラント装置200の制御部211は、SPC用ポンプ203の動作制御についてON動作させるときには、インバータ制御基板220に周波数が「50Hz」を指定した動作命令を送信し、「50Hz」に対応するポンプ圧でSPCを圧送できるようにSPC用ポンプ203を動作させる。これにより、マシニングセンタ100の工作機械部104のセンタースルークーラント用ノズル(SPC用ノズル)には、「50Hz」に対応するポンプ圧で送り出されたSPCが供給される。
また、例えば、制御部211は、SPC用ポンプ203の動作制御についてOFF動作させるときには、SPC用ポンプ203が接続されている配管(クーラント装置200内の配管)の開閉バルブを閉じて、インバータ制御基板220に周波数が「20Hz」を指定した動作命令を送信し、「15Hz」の回転でSPC用ポンプ20を動作させる。このとき、SPC用ポンプ203から汲み上げられたクーラントは、開閉バルブの先に流出できずに、クーラントタンク206に戻される。
【0073】
なお、例えば、カスタマイズ設定画面400において設定された切粉量の多さが「中」であり、対応するツール番号が「T02」であり、読み出したデフォルト・優先設定データベース122が
図3に示す内容であったとする。
図3では、ツール番号の「T02」には、「SPCが「OFF」且つ「40Hz」、CUTCが「ОN」、BEDCが「ОFF」に設定されている。
この場合、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203」についてはON/OFF動作の切替タイミングについてはデフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)が優先され、且つON動作させる際の周波数を「40Hz」に指定し、且つOFF動作(SPCを供給しない動作)をさせる際の周波数を「15Hz」に指定し、且つ「CUTC用ポンプ204」については、デフォルト・優先設定データベース122にしたがいデフォルト・クーラント制御設定が優先され、且つ「BEDC用ポンプ205」については、SPC及びCUTCが供給(使用)されているときには、動作を停止させるクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0074】
また、例えば、カスタマイズ設定画面400において設定された切粉量の多さが「多」であり、対応するツール番号が「T03」であり、読み出したデフォルト・優先設定データベース122が
図3に示す内容であったとする。
図3では、ツール番号の「T03」には、「SPCが「ON」且つ「60Hz」、CUTCがON、BEDCが「ОN」に設定されている。
この場合、クーラント電力抑制部115は、「SPC用ポンプ203」、「CUTC用ポンプ204」及び「BEDC用ポンプ205」のいずれに対しても、デフォルト・クーラント制御設定(デフォルトプログラム)が優先したクーラント制御を指定した「制御信号・作成命令」を生成し、クーラント制御部111に送信する。
【0075】
このように、本実施形態によれば、マシニングセンタ100に搭載されている工具(刃物)2毎に、その工具2にセンタースルークーラント(SPC)を供給する際のSPC用ポンプ203の動作を制御することができ、その工具2に応じた流量(圧力)のSPCを供給することができる。例えば、小径の工具(刃物)2に対して、高い(大きい)周波数(周波数情報)を設定することで、SPC用ポンプ203を高速回転で駆動させ、小径の工具に大きい圧力でSPCを供給することができる。また、例えば、大径の工具(刃物)に対して、低い(小さい)周波数(周波数情報)を設定することで、SPC用ポンプ203を低速回転で駆動させ、大径の工具に小さい圧力でSPCを供給することができる。
すなわち、本実施形態によれば、工具2毎に、必要な圧力でSPCを供給するように、SPC用ポンプ203の動作を制御することができるため、無駄な電力消費を防ぐことができる。
【0076】
また、本実施形態では、センタースルークーラント(SPC)の供給を停止させるときのSPC用ポンプ203の動作を制御するための周波数(SPCリリーフ)を受け付けることができるようになっている。
なお、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)では、マシニングセンタ100にSPCを供給しないときには、インバータ制御基板220が、予め定められた、供給停止用・周波数(例えば、20Hz)でSPC用ポンプ203を動作させている。
本実施形態では、センタースルークーラント(SPC)の供給を停止させるときのSPC用ポンプ203の動作を制御するための周波数(SPCリリーフ)について、供給停止用・周波数よりも低い周波数を設定できるようになっているため、マシニングセンタ100にSPCを供給しないときにおいても、デフォルトのクーラント制御設定(デフォルト・制御設定)と比べて、消費エネルギーを削減できる。
【0077】
以上、説明したように、本実施形態によれば、制御基板101を有するマシニングセンタ100で実行されるプログラムであって、クーラント装置200の動作を制御してクーラント装置200の消費電力を削減させるためのプログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、クーラント装置200と該クーラント装置200に接続され工作機械100とを備えた工作機械システムであって、クーラント装置200の消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することができる。
【0078】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0079】
具体的には、上述した実施形態では、クーラント電力抑制部115が、受け付けた切粉量の多さに応じてクーラント装置200の動作を制御しているが、特にこれに限定されるものではない。
例えば、クーラント電力抑制部115は、切粉量の多さ(多、中、少)を受け付ける機能が無くても良い。
この場合、クーラント電力抑制部115は、カスタマイズ設定として、工具2を識別するツール番号毎に、SPC用ポンプ203がそのツール番号の工具2にセンタースルークーラントを供給する際のSPC用ポンプ203を動作させるための周波数情報を対応付けて受け付ける。また、クーラント電力抑制部115は、ツール番号毎に周波数情報を受け付けた場合、クーラント制御部111に、マシニングセンタ100が加工プログラムに定められているツール番号の工具を用いる際に、そのツール番号に対応付けて受け付けた周波数情報でSPC用ポンプ203を動作させる命令が含まれる制御信号を生成させる。
【符号の説明】
【0080】
1…主軸
2…工具
3…カッチング用ノズル
4…ベッド洗浄用ノズル
B…ベッド
W…ワーク
100…マシニングセンタ(工作機械)
101…制御部
110…機械制御部
111…クーラント制御部
112…設定処理部
113…通信処理部
115…クーラント電力抑制部
129…記憶部
121…切粉量設定データベース
122…デフォルト・優先設定データベース
102…表示部
103…操作部
104…工作機械部
200…クーラント装置
201…制御基板
211…制御部
213…通信処理部
203…SPC用ポンプ
204…CUTC用ポンプ
205…BEDC用ポンプ
206…クーラントタンク
220…インバータ制御基板
230、231、232…配管
235…戻り配管
【要約】
【課題】制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、クーラント装置の消費電力を削減させるプログラムを提供する。
【解決手段】制御基板101を有する工作機械100で実行されるプログラムであって、工作機械100には、制御基板101からの制御信号に応じて動作するクーラント装置200が接続され、プログラムは、制御基板101に、クーラント装置200のカスタマイズ設定として、工作機械100の工具を識別するツール番号毎に、SPC用ポンプがそのツール番号の工具にセンタースルークーラントを供給する際のSPC用ポンプを動作させるための周波数情報を受け付けさせる第1処理と、工作機械100が加工プログラムに定められているツール番号の工具を用いる際に、そのツール番号に対応して受け付けた周波数情報でSPC用ポンプを動作させる命令が含まれる制御信号を生成させる第2処理と、を実行させる。
【選択図】
図1