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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】跳ね上げ式ガイドクランプ
(51)【国際特許分類】
   B27B 9/04 20060101AFI20240621BHJP
   B23D 47/04 20060101ALI20240621BHJP
   B27B 5/29 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B27B9/04
B23D47/04 F
B27B5/29 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023185130
(22)【出願日】2023-10-29
【審査請求日】2023-10-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523409360
【氏名又は名称】菅野 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】菅野 豊
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-044937(JP,A)
【文献】実開昭48-004695(JP,U)
【文献】特開2008-149571(JP,A)
【文献】実開昭58-150418(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27B 9/04
B27B 5/29
B23D 47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台の天板の上に配置された板材に用いられる跳ね上げ式ガイドクランプであって、
長手方向に長尺な板状の形状を有し、金属材料によって形成された電動鋸用ガイド定規と、
上下方向に平行な垂直面内において、前記電動鋸用ガイド定規が、前記長手方向と前記上下方向とのなす角度が90°となる水平位置と、前記長手方向と前記上下方向とのなす角度が90°未満となる跳ね上げ位置との間で回動するように、前記電動鋸用ガイド定規の前記長手方向の一端に連結された回転部と、
前記回転部に連結されており、前記回転部を前記天板に固定する固定機構と、
前記電動鋸用ガイド定規の前記長手方向の他端に取り付けられて、前記電動鋸用ガイド定規を前記天板に対して固定するクランプと、
を備え
前記電動鋸用ガイド定規の、前記長手方向に直交する幅方向の端面は、前記電動鋸に当接して前記電動鋸をガイドするためのガイド面であり、
前記電動鋸用ガイド定規が前記水平位置にあり、且つ、前記クランプが前記電動鋸用ガイド定規を前記天板に対して固定しているとき、前記電動鋸用ガイド定規は、その下面が前記板材の上面と当接することにより、前記板材を前記天板に対して固定するように構成されている跳ね上げ式ガイドクランプ。
【請求項2】
前記固定機構は、作業台の天板に形成された上下方向に延びる貫通孔に挿通されるように構成された、前記上下方向に延在する棒状部材と、
前記棒状部材を前記天板に固定する固定部と、を備える請求項1に記載の跳ね上げ式ガイドクランプ。
【請求項3】
さらに、前記電動鋸用ガイド定規の前記長手方向の長さと同じ幅、又は、前記電動鋸用ガイド定規の前記長手方向の長さよりも短い幅を有する天板を有する専用作業台を備え、
前記固定機構は、前記専用作業台の前記天板を挟むように構成されたクランプを有する請求項1に記載の跳ね上げ式ガイドクランプ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跳ね上げ式ガイドクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
丸鋸やジグソーなどの電動鋸を用いて木製の板材を切断する際に、板材を作業台に一時的に固定するためにクランプが用いられる。また、板材を直線状に切断する際に、電動鋸を直線に沿って移動させるためのガイドとなるガイド定規が用いられる。
【0003】
特許文献1には、電動鋸の案内となる長手方向の側面を有する定規本体と、定規本体を板材へ固定するための2つの板締め具(固定板締め具、移動板締め具)とを備える切断用の定規が開示されている。被切断部材である板材に定規本体を固定することで、板材に対して定規本体が滑ったりガタついたりすることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3150561号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の切断用定規では、2つの板締め具が板材の端面を挟み込むようにして、定規本体を板材に固定している。例えば、板材の厚さが薄い場合などには、切断用定規を板材に強固に固定することができず、電動鋸の操作などにより切断用定規がガタついてしまうことがあった。また、特許文献1の切断用定規は、板材に対して固定されるものであった。そのため、板材が動かないように作業台などに固定するためのクランプが別途必要であった。板材が回転することを防ぐため、通常、板材は複数のクランプを用いて固定される。そのため、切断対象となる板材を交換する際には、複数のクランプを取り外して付けなおす必要があり、手間がかかった。
【0006】
本発明の目的は、板材を作業台に容易且つ確実に固定することができ、且つ、電動鋸の操作によって板材がガタつくことが抑制されたガイドクランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に従えば、作業台の天板の上に配置された板材に用いられる跳ね上げ式ガイドクランプであって、
長手方向に長尺な板状の形状を有する、電動鋸用ガイド定規と、
上下方向に平行な垂直面内において、前記電動鋸用ガイド定規が、前記長手方向と前記上下方向とのなす角度が90°となる水平位置と、前記長手方向と前記上下方向とのなす角度が90°未満となる跳ね上げ位置との間で回動するように、前記電動鋸用ガイド定規の前記長手方向の一端に連結された回転部と、
前記電動鋸用ガイド定規の前記長手方向の他端に取り付けられて、前記電動鋸用ガイド定規を前記天板に対して固定するクランプと、
前記回転部に連結されており、前記回転部を前記天板に固定する固定機構と、を備え
前記電動鋸用ガイド定規の、前記長手方向に直交する幅方向の端面は、前記電動鋸に当接して前記電動鋸をガイドするためのガイド面であり、
前記電動鋸用ガイド定規が前記水平位置にあり、且つ、前記クランプが前記電動鋸用ガイド定規を前記天板に対して固定しているとき、前記電動鋸用ガイド定規は、その下面が前記板材の上面と当接することにより、前記板材を前記天板に対して固定するように構成されている跳ね上げ式ガイドクランプが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、跳ね上げ式ガイドクランプは固定機構を備えているので、電動鋸用ガイド定規が連結された回転部を、容易に、且つ、確実に天板に固定することができる。また、電動鋸用ガイド定規を水平位置に倒すことができるので、電動鋸用ガイド定規の下面全体と板材の上面とを密着させることができる。この場合には、電動鋸用ガイド定規の先端(長手方向における棒状部材と反対側の端部)をクランプなどで作業台の天板に固定することにより容易に板材を作業台の天板に固定することができる。このとき、電動鋸用ガイド定規の下面全体が板材の上面と密着するので、電動鋸用ガイド定規の下面と板材の上面との接触面積を大きくすることができる。それに応じて電動鋸用ガイド定規の下面と板材の上面との間の摩擦力を大きくすることができる。そのため、電動鋸を用いて板材の切断を行う際に、電動鋸の操作によって板材が電動鋸用ガイド定規に対してガタつくことが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1はガイドクランプ10を側方から見た概略図である。
図2図2はガイドクランプ10をガイド130の長手方向の基端側から見た概略図である。
図3図3はガイドクランプ10を上方から見た概略図である。
図4図4はガイドクランプ10を作業台20に取り付けた状態を示す概略説明図である。
図5図5はアクリルガイド400の概略説明図である。
図6図6はアクリルガイド400の使用状態を説明するための概略説明図である。
図7図7は丸鋸300の概略説明図である。
図8図8はクランプ式の固定機構を有するガイドクランプ210を説明するための概略説明図である。
図9図9はネジ式の固定機構を有するガイドクランプ310を説明するための概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
丸鋸は、円盤状の超硬チップの付いたのこ刃(チップソー)を回転させて材料を切断する電動工具であり、電動鋸の一例である。切断する材料に応じてのこ刃を取り換えることで、木材、プラスチック、金属などの種々の材料を切断することができる。以下では、電動鋸として丸鋸を用いて木材を切断する場合を例に挙げて説明する。なお、本発明はそのような態様には限られず、電動鋸として、例えばジグソーを用いることができる。図7に示されるように、丸鋸300は、円板状ののこ刃(チップソー)310と、安全カバー320と、ハンドル330と、ベース340とを主に備えている。ハンドル330は、丸鋸300の持ち手である。ハンドル330には不図示のトリガーボタンが設けられている。ハンドル330を握った状態でトリガーボタンを押している間だけ、のこ刃310が回転し、材料を切断することができる。なお、作業時以外には、のこ刃310は安全用の安全カバー320で覆われており、のこ刃310が露出しないようになっているが、材料にのこ刃310が当たり進むにつれて、自然と安全カバー320が開くように構成されている。ベース340は、のこ刃310を取り囲むように設けられた四角形状の金属製の枠材である。切断する材料にベース340を押し当てた状態で丸鋸300を前進させることにより、材料を切断する。
【0011】
長い直線をまっすぐにカットする場合には、電動鋸用のガイド定規が用いられる。ベース340の端面をガイド定規に当接させた状態で丸鋸300を前進させることにより、材料をまっすぐにカットすることができる。本発明者は、電動鋸用のガイド定規として用いることができる、跳ね上げ式ガイドクランプを発明した。
【0012】
本発明の実施形態に係る跳ね上げ式ガイドクランプ10(以下、単にガイドクランプ10という)について、図1~4を参照しつつ説明する。図1に示されるように、ガイドクランプ10は、ボルト111(本発明の棒状部材の一例)と、ボルト111に取り付けられた一対のノブナット112(本発明の固定部の一例)と、ガイド130(本発明の電動鋸用ガイド定規の一例)と、ボルト111とガイド130とを回動可能に連結する回転部150を主に備える。なお、ガイドクランプ10は、使用状態において、ボルト111が上下方向に平行になるように配置される(図1参照)。なお、ボルト111と一対のノブナット112とを組み合わせたものが、本発明の固定機構の一例である。
【0013】
図2に示されるように、回転部150は、ガイド130の長手方向の一端に設けられたコの字金具151と、ボルト111の上端に設けられたコの字金具152と、コの字金具151、152を連結するシャフト153とを備える。
【0014】
コの字金具151は、下側に開いたコの字形状の金具であり、その上面には固定ピン132を介してガイド130が固定されている。コの字金具152は上側に開いたコの字形状の金具である。コの字金具152は、ボルト111に対して上下方向の位置が固定されているが、ボルト111を回動軸として水平面内において回動可能である。それに伴って、コの字金具151及びコの字金具151に固定されたガイド130は、ボルト111を回動軸として水平面内において回動可能である。
【0015】
シャフト153はコの字金具151、152の両方を貫くように配置されている。コの字金具151は、シャフト153を回動軸として、コの字金具152に対して垂直面内で回動する。これに伴って、コの字金具151の上面に固定されたガイド130は、長手方向が上下方向に平行となる垂直位置(本発明の跳ね上げ位置の一例)と、長手方向が水平方向と平行となる水平位置との間で回動する(図4参照)。なお、ガイド130は、長手方向が上下方向に平行となる垂直位置から、さらに図4の左側に傾いた位置まで回動するように構成されていてもよい。また、ガイド130は、長手方向が水平方向に平行となる水平位置から、さらに図4の下側に傾いた位置まで回動するように構成されていてもよい。
【0016】
図3に示されるように、ガイド130は上面視において、1方向に長尺な長方形の形状を有する板材である。なお、図3に示されるように、ガイド130の長手方向に直交する方向を幅方向と呼ぶ。ガイド130の幅方向の端面(側端面)は、後述のように、丸鋸300のベース340の側端面に当接して、丸鋸300をガイドするためのガイド面である。そのため、ガイド130の側端面は、直線状にまっすぐ延びた平坦面となるように加工されている。ガイド130の材質は特に限定されないが、剛性、耐久性、幅方向の端面の加工しやすさ等を考慮すると、アルミニウム、鉄、真鍮、ステンレス合金などの金属材料で形成することが好ましい。ガイド130の厚さには特に制限はないが、後述のように切断対象の板材Bを上方から押さえつける際に、ゆがんだり曲がったりすることがないように、十分な厚さを有していることが望ましい。このような観点から、ガイド130の厚さは4mm~20mmであることが好ましく、5mm~15mmであることがさらに好ましい。なお、ガイド130の厚さは20mm以上であってもよい。
【0017】
次に、ガイドクランプ10と合わせて用いられる補助ガイドの一例としてのアクリルガイド400について図5を参照しつつ説明する。上述のように、丸鋸300のベース340の端面と、ガイド130の側端面とを当接させた状態で丸鋸300を前進させて材料を切断する。ガイド130の側端面と丸鋸300ののこ刃310とは、幅方向に所定の距離だけ離れているので、あらかじめ、材料のカットライン(図6の墨線L参照)から所定の距離だけ離れた位置にガイド130を配置する必要がある。
【0018】
アクリルガイド400はガイド130の幅とほぼ同じ幅の溝411が形成された本体部410と、アクリルなどの透光性のある部材で形成されたガイド部420とを備える。本体部410の溝411の深さは、ガイド130の高さと同じである。ガイド130を上から覆うように、本体部410の溝411をガイド130に嵌合することができる。このとき、ガイド130の側端面とガイドラインGLとの間の幅方向の距離D(図6参照)が、ガイド130の側端面と丸鋸300ののこ刃310の距離と同じとなる。図6に示されるように、切断対象となる板材Bに、カットラインを示す墨線Lを予め引いておき、ガイドラインGLと墨線Lとが上下方向に重なるように調整することで、丸鋸300ののこ刃310から距離Dだけ離れた位置にガイド130を精確に配置することができる。
【0019】
次に、ガイドクランプ10の使用方法について図4を参照しつつ説明する。図4に示されるように、作業台20の天板21の上に、カット台25と、切断対象となる板材Bとを載置する。カット台25は、板材Bを切断する際に、丸鋸300の刃310(図7参照)が天板21に当たることを防止するために配置される緩衝材であり、例えば、発泡スチロール、木材を用いることができる。ボルト111は、作業台20の天板21に予め設けられた貫通孔22に挿通される。貫通孔22にボルト111を挿通した後、作業台20の天板21を1対のノブナット112で上下から挟むことによって、ガイドクランプ10が作業台20の天板21に固定される。このように、ガイドクランプ10は固定機構としての一対のノブナット112を備えているので、ガイドクランプ10を作業台20の天板21に容易に固定することができる。その際、ガイド130を水平位置に倒したときのガイド130の下面130Dが、切断対象となる板材Bの上面に当接するように、一対のノブナット112の上下方向の位置が調整される。このように、ガイドクランプ10は高さ調整機構としても機能する一対のノブナット112を備えているので、板材B(及びカット台25)の厚さ(上下方向の長さ)に応じて、ガイド130の下面130Dの上下方向の位置を調整できる。
【0020】
ガイド130を水平位置に倒したときのガイド130の下面130Dが、切断対象となる板材Bの上面に当接するように、一対のノブナット112の上下方向の位置を調整した後、ガイド130にアクリルガイド400を装着する。そして、板材Bのカットラインに沿って予めマーキングした墨線Lと、アクリルガイド400のガイド部420のガイドラインGLとが上下方向に重なるように、ガイド130と板材Bとの位置を位置決めする。
【0021】
ガイド130と板材Bとを位置決めした状態で、ガイド130の先端(長手方向におけるボルト111と反対側の端部)をクランプ200で作業台20の天板21に固定する(図6参照)。これにより、ガイド130の下面130Dと板材Bの上面とを密着させることができ、板材Bに対してガイド130が固定される。同時に、板材Bが作業台20に対して固定される。本発明に係るガイドクランプ10においては、ガイド130の下面130D全体が板材Bの上面に密着する。そのため、ガイド130の下面130Dと板材Bの上面との接触面積が大きくなるので、それに応じてガイド130の下面130Dと板材Bの上面との間の摩擦力が大きくなる。そのため、板材Bがガイド130に対してガタつくことが抑制される。また、板材Bを作業台20に対して固定する場合において、1個のクランプを使って板材Bを固定した場合には、板材Bが水平面内において回動するようにずれるおそれがある。そのため、通常は、少なくとも2個以上のクランプを用いて、板材Bを作業台20に固定する必要があった。これに対して、本発明に係るガイドクランプ10においては、ガイド130の下面130D全体が板材Bの上面に密着するため、板材Bを面で押さえることができる。これにより、板材Bが水平面内において回動するようにずれることを抑制することができる。また、本発明に係るガイドクランプ10においては、複数のクランプで板材Bを固定する必要がないため、板材Bの交換を行う場合におけるクランプの取り外しなどの手間を軽減することができる。
【0022】
なお、本実施形態のガイドクランプ10は、前述のようにボルト111を作業台20の天板21に設けられた貫通孔22に挿通することによって、作業台20に対して位置決めされている。但し、上述のように、ガイド130はボルト111を回動軸として水平面内において回動可能である。そのため、クランプ200を取り外して板材Bを交換する際に、ガイド130が水平面内において回動してしまう場合がある。同一形状の複数の板材Bを連続して切断する場合などにおいて、ガイド130が水平面内において回動してしまうと、板材Bを交換するたびに板材Bとガイド130との位置合わせを行う必要が生じて手間が多くなる。
【0023】
そのような場合には、ガイドクランプ10のガイド130と板材Bとの位置合わせを行った際に、ガイド130に当接する位置と、板材Bに当接する位置とに、それぞれ、位置合わせ用の当接部材をクランプなどによってカット台25に固定しておくことができる。クランプ200を取り外して、板材Bを交換したあと、当接部材に当接するように板材B及びガイド130を配置することにより、板材B及びガイド130の位置を前回位置合わせした位置に容易に位置合わせすることができる。これにより、板材Bを交換する際の、板材Bとガイド130との位置合わせの手間を軽減することができる。
【0024】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上記実施形態において、ガイド130は、長手方向が上下方向に平行となる垂直位置と、長手方向が水平方向と平行となる水平位置との間で回動するように構成されていた。しかしながら、ガイド130は、必ずしも垂直位置まで回動しなくてもよく、板Bを交換できる限りにおいて、ガイド130の長手方向が上下方向に対して90°未満となる位置まで回動すればよい。
【0025】
上記実施形態において、本発明の棒状部材の一例であるボルト111は雄ねじとなるねじ溝が切ってあった。また、本発明の固定部の一例である一対のノブナット112には、雌ねじとなるねじ溝が切ってあった。そのため、一対のノブナット112はいずれも棒状部材の延在方向に沿って移動可能であった。これにより、ガイド130を水平位置に倒したときのガイド130の下面130Dが、切断対象となる板材Bの上面に当接するように、一対のノブナット112の上下方向の位置を調整することが可能であった。本発明に係る棒状部材及び固定部は、このような態様には限られず、必ずしもネジ溝が切ってある必要は無い。固定部は、必ずしも高さ調整機構として機能する必要は無く、棒状部材を作業台の天板に対して固定できる限りにおいて、適宜の構成を使用することができる。
【0026】
上記実施形態において、ガイドクランプ10のボルト111は、作業台20の天板21に設けられた貫通孔22に挿通されていた。これによって、ガイドクランプ10は作業台20に対して位置決めされていた。しかしながら、本発明はそのような態様には限られない。例えば、クランプ式の固定機構を採用することができる。図8に示されるように、クランプ式の固定機構を有するガイドクランプ210は、回転部150と、回転部150の下端に固定されたクランプ211と、回転部150のコの字金具151に固定されたガイド130とを備えていてもよい。クランプ211が本発明の固定機構の一例である。図8に示されるガイドクランプ210は、上記実施形態のガイドクランプ110と比べて、ボルト111及び一対のノブナット112に代えて、固定用のクランプ211を備えている。図8に示されるように、作業台220の天板221の幅が、ガイドクランプ210のガイド130の長さと同じであるか、ガイド130の長さよりも短い場合には、ガイドクランプ210に設けられた固定用のクランプ211によって、ガイドクランプ210を作業台220に固定することができる。なお、クランプ211の上端部分の下面211aと、ガイド130の下面130Dとの距離L1をカット台25の厚さD1とを同じにすることができる。この場合には、カットしたい板材Bの端材のように、板材Bと同じ厚さ(厚さD2)の板材B’を挟んだ状態でクランプ211を作業台220に固定することにより、容易にガイド130の高さ調整を行うことができる。すなわち、作業台220の天板221の上面221Uとガイド130の下面130Dとの間の上下方向の距離(L1+D2)を、カット台25と板材Bとの厚さの和(D1+D2)と同じにすることができる。
【0027】
また、例えば、図9に示されるガイドクランプ310のように、ネジ式の固定機構を採用することもできる。図9に示されるように、ネジ式の固定機構を有するガイドクランプ310は、回転部150と、回転部150のコの字金具151に固定されたガイド130と、回転部150から下方に延びる板状の基部320と、作業台20の天板21に固定されて、天板21から下方に延びる板状の係止部340と、基部320及び係止部340に挿通されるボルト345及び固定用のナット346とを備える。基部320と係止部340とボルト345とナット346との組み合わせが、本発明の固定機構に対応する。なお、基部320の下端には貫通孔320hが形成され、係止部340には長孔340hが形成されている。貫通孔320hと長孔340hとにボルト345を挿通した状態でナット346で固定することにより、基部320を、作業台20の天板21に固定された係止部340に固定することができる。また、係止部340には長孔340hが形成されているので、ボルト345の位置を長孔340hの長軸方向(上下方向)に移動させることができる。これにより、容易にガイド130の高さ調整を行うことができる。
【0028】
本発明に係るガイドクランプ10、210、310は、汎用の作業台20に取り付けることができる。しかしながら、本発明はそのような態様には限られない。例えば、ガイドクランプ10、210、310が、専用の作業台に固定されていてもよい。例えば、専用作業台においては、天板の幅が、ガイドクランプ10、210、310のガイド130と長さと同じ長さであるか、ガイド130の長さよりも短い長さであってもよい。そして、専用作業台を汎用作業台20の上に置いて使用することもできる。
【符号の説明】
【0029】
10 ガイドクランプ
20 作業台
21 天板
111 ボルト
112 一対のノブナット
130 ガイド
150 回転部
【要約】      (修正有)
【課題】板材を作業台に固定することができ、且つ、電動鋸の操作によって板材がガタつくことが抑制されたガイドクランプを提供する。
【解決手段】ガイドクランプ10は、ボルト111と、ボルト111に取り付けられた1対のノブナット112と、ガイド130と、ボルト111とガイド130とを回動可能に連結する回転部を主に備える。作業台20の天板21に予め設けられた貫通孔22にボルト111を挿通した後、作業台20の天板21を1対のノブナット112で上下から挟むことによって、ガイドクランプ10が作業台20の天板21に固定される。その際、ガイド130を水平位置に倒したときのガイド130の下面が、切断対象となる板材Bの上面に当接するように、一対のノブナット112の上下方向の位置が調整される。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9