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特許7507971内燃機関に水素ガスを供給するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】内燃機関に水素ガスを供給するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 19/08 20060101AFI20240621BHJP
   F02M 25/12 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F02D19/08 C
F02M25/12 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023524213
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2022000622
(87)【国際公開番号】W WO2023242611
(87)【国際公開日】2023-12-21
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】17/807,143
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523140418
【氏名又は名称】ホン フエ グエン
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ホン フエ グエン
(72)【発明者】
【氏名】ハイ ゴック ファン
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/136291(WO,A1)
【文献】特開2013-160048(JP,A)
【文献】特開2017-193748(JP,A)
【文献】特開平06-257457(JP,A)
【文献】実開昭51-046824(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0017448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 19/08
F02M 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を供給するために水素ガスを生成するシステムであって、コントローラと、内燃機関と、輸送車両の電気システムと、燃料供給ユニットと、排気センサと、バッテリ管理システムと、電気分解システムとを備え、
輸送車両の電気システムは、気分解システム、内燃機関、および輸送車両の他の付属品に電流を供給し、
燃料供給部は、内燃機関に燃料を供給し、
排気センサは、輸送車両の排気管に設置され、
バッテリ管理システムは、電気分解プロセスを実行するために電気分解システムに電流を供給し、
バッテリ管理システムは、少なくとも1つのバッテリと、第2の電流調整回路と、ソレノイドモータと、発電機と、増幅回路と、整流回路とを備え、
バッテリは、第2の電流調整回路に直流電流を供給し、
第2の電流調整回路は、バッテリに接続され、振幅値を増加させ、所定の値で周波数を生成することによって、直流を交流に変換し、
第2の電流調整回路は電磁誘導を生成するためにソレノイドモータを回転させる交流電流を提供し、電磁場の効果によって、発電機が起動され、一定電圧の交流電流を生成し、
増幅器回路は、発電機に接続され、交流電流の電圧、電力およびアンペア数の振幅を増加させ
整流回路は、増幅回路に接続され、交流電流を直流電流に変換して電気分解システム、輸送車両の他の構成要素、およびバッテリに供給し、
電気分解システムは電気分解プロセスを実行するために、輸送車両の電気システムまたは/およびバッテリ管理システムから電気を供給され、輸送車両の内燃機関のためのクリーンな水素ガスを生成し、
電気分解システムは、電気分解装置と、水素フィルタ装置と、第1の電流調整回路とを備え、
第1の電流調整回路は輸送車両の電気システムまたは/およびバッテリ管理システムに接続され、振幅値を増加させることによって直流を交流に変換し、所定の値で周波数を発生させて電気分解装置に供給し、
電気分解装置は、入力、金属バー、出力、およびダイヤフラムを含み、入力は、ウォーターボックスに接続され、金属バーは、ステンレス鋼で作られて1A~20Aのアンペア数Iを供給される第1の電流調整回路に接続され、出力は、水素フィルタ装置に接続され、ダイヤフラムは、グラフェンまたは複合プラスチックで作られ、
水素フィルタ装置は、純度を高め、水素ガス流の温度を下げ頂部、本体部、および底部を備え、底部は電気分解装置の出力に接続され、本体部はいくらかの量の水を保持し、頂部は内燃機関の吸気マニホルドに接続され、
内燃機関は外気を内燃機関のシリンダ内に収集する気マニホルドを有し、吸気マニホルドはまた、シリンダに供給される水素ガスを受け取るために電気分解システムに接続され、排出物がシリンダ内から気管に流れ、環境内に排出されることを可能にする内燃機関の排気ラインを有し、
コントローラは、ウォーターボックス、内燃機関、輸送車両の電気システム、燃料供給ユニット、バッテリ管理システム、排気センサ、電気分解装置、水素フィルタ装置、第1の電流調整回路、および輸送車両の他の装置を制御する御回路を含む、
システム。
【請求項2】
ウォーターボックスには、輸送車両の空調システムから水が供給される、請求項1に記載の内燃機関を供給する水素ガス生成システム。
【請求項3】
電気分解用水は、家庭用水、純水、蒸留水、脱イオン水である、請求項1に記載の内燃機関を供給する水素ガス生成システム。
【請求項4】
請求項1に記載の内燃機関を供給する水素ガス生成システムであって、制御部に接続されるスクリーンであって、内燃機関への水素ガス及び燃料の供給量、および、排出物中に存在する残留燃料の量の少なくとも一つを含むパラメータを表示するスクリーンをさらに備える、内燃機関を供給する水素ガス生成システム。
【請求項5】
電気分解装置は、電気分解装置の内部の水位を判定するコントローラに接続された水位センサをさらに備え、
電気分解装置内部の水位が所定の閾値を下回ると、水位センサはコントローラに信号を送信し、コントローラはウォーターボックスを制御して水を電気分解装置に入れ、
電気分解装置の内部に導入された水が所定の最高閾値に達すると、水位センサはコントローラに信号を送信してウォーターボックスを制御し、電気分解装置のための水の供給を停止する、
請求項1に記載の内燃機関を供給する水素ガス生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガス発生装置に関する。より詳細には、本発明が燃料を節約し、環境への排出を低減する、内燃機関に供給するための水素ガスを生成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大気汚染の問題は、人命に深刻な影響を及ぼす深刻な問題の1つである。特に、車両の内燃機関からの排出物は、大気汚染の主な原因の1つである。車の内燃機関は、運転中にNOx、CO、CO2、SO2、Cm Hnなどの有害ガスを発生させ、環境を汚染し人体に影響を与える物質である。
【0003】
車両数の増加に伴い、車両の内燃機関に使用されるディーゼル燃料及びガソリン燃料の量も急速に増加している。車両の内燃機関のためのディーゼルおよびガソリン燃料の使用を徐々に置き換えるかまたは低減するための他の燃料を見出すために、多くの研究が行われている。特に、水素ガスは安全で効果的な解決策であり、環境への排出を低減するのに役立つように向けられている。
【0004】
世界中には水から電気分解によって車両の内燃機関に供給する水素ガス発生システムが多く存在するが、これらのシステムはまだ高い効率をもたらしていない。
【0005】
米国特許第6257175号明細書は、水素及び酸素発生装置、バッテリ、水リザーバ、エンジンを含む、内燃機関用の酸素及び水素発生装置を開示している。装置内にはアノードおよびカソードのみが示されており、アノードの周囲および上方に酸素コレクタが配置され、カソードの上方および周囲に水素コレクタが配置され、水素および酸素発生装置内の水位を制御するのを補助するためにフロートスイッチが設けられている。アノードおよびカソードは、バッテリによって電力供給される。バッテリは、点火スイッチに接続され、回路が通電されたときにのみ酸素および水素が生成されることを確実にする。エンジンは、吸気マニホルドと、燃料噴射ユニットとを備える。吸気マニホルドは、エンジンに空気を供給する。燃料供給部は、エンジンに燃料を供給する。酸素導管は、コレマニホルドマニホルドまで延在する。水素導管は、コレクタから燃料噴射ユニットまで延在する。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0216366号明細書は、マイクロコントローラと、エンジンと、PCVバルブと、酸素水素発生器とを備える、内燃機関のための水素オンデマンド燃料システムを開示している。マイクロコントローラは、自動車の動作を監視するためにセンサに接続される。センサは、エンジン温度センサ、点火プラグセンサ、バッテリセンサ、PCV弁センサ、およびエンジンRPMセンサ、加速度計センサ、ならびに排気センサを含む。エンジンは、吸気マニホルドに接続される。作動時に、吸気マニホルドは、燃焼室に入る燃料と空気との混合気を受け取る。燃焼後、残留燃マニホルド混合気は、再使用のために吸気マニホルドに戻される。酸素-水素発生器は、アノードおよびカソードとしての役割を果たす金属板からなる。金属としては、亜鉛、カドミウム、金、白金、パラジウムなどが挙げられる。アノードおよびカソードには、エンジンまたはバッテリの電源から電力が供給される。酸素-水素発生マニホルドド-水素を吸気マニホルドにマニホルド口を含む。酸素-水素発生器は、電気分解質溶液を提供するリザーバババブラーに接続することができる。
【0007】
米国特許8454808号明細書は、ポータブル水素補足システムと、内燃機関と、車両バッテリと、制御回路とを備える、内燃機関のためのオンデマンド水素生成のための水素補足システムを開示する。車両バッテリは、ポータブル水素補足システムに電源を供給する。ポータブル水素補足システムに電力が供給された後、生成された水素は、内燃機関の吸気口に送られる。酸素は、環境中または内燃機関中に放出される。ハウジングユニットを備える携帯型水素補給システムはハウジングユニットの内部に、電気分解装置と、電気分解装置に非電気分解水を供給するように配置された電気分解装置の上に配置された非電気分解水タンクとを備える。電気分解装置は、アノードと、カソードと、アノードおよびカソード上にそれぞれ配置された電極触媒と、電極触媒間に配置された膜とを備える。非電気分解質水は、水素および酸素を生成する電気分解装置に入る。水素及び酸素は、非電気分解質水タンクの水素部及び酸素部に再導入される。水素部の水素は、内燃機関の吸気口に送られる。制御回路は、真空スイッチと、オペレータ制御スイッチと、全地球測位システム(GPS)と、ANDゲートと、スイッチとを備える。運転者制御スイッチはエンジンが作動しているとき、ポータブル水素補足システムへの電気回路を完成させる。
【0008】
上記の発明はそれらの特定の目的および要件を満たすが、触媒を使用することなく、蒸留水を電気分解して内燃機関用の水素を生成することができる電気分解システムを使用しないことが分かる。一方、上記発明はシステムに交流電流を供給するため、および元のプライミングバッテリモジュールを再充電するためのフィードバックを与えるために、定常電流を生成する電気回路および方法を網羅していない。
【0009】
したがって、燃料を節約し、環境中に放出される有害排出物の数をほぼ完全に低減し、内燃機関を冷却し、内燃機関内の残留物を除去する内燃機関を供給する水素ガス発生システムを設計することが不可欠である。
【0010】
また、システムに交流電流を供給するため、および元のプライミングバッテリモジュールを再充電するためのフィードバックを与えるために、電気回路および定常電流を生成する方法を設計することも必要である。
【0011】
また、触媒を使用せずに、蒸留水を電気分解して内燃機関用のクリーンな水素ガスを生成することができる電気分解システムを設計する必要がある。
【0012】
本発明に開示されるシステムは、上述の問題を解決する。
【発明の概要】
【0013】
本発明の主な目的は、コントローラ、内燃機関、輸送車両の電気システム、燃料供給ユニット、排気センサ、バッテリ管理システム、および電気分解システムを備える、内燃機関に供給するための水素ガスを生成するためのシステムを提供することである;
【0014】
輸送車両の電気システムは、輸送車両の電気分解システム、内燃機関、および他の付属品に電流を供給する;
【0015】
燃料供給部は、内燃機関に燃料を供給する;
【0016】
排気センサは、輸送車両の排気管に設置される;
【0017】
バッテリ管理システムは、電気分解プロセスを実行するために電気分解システムに電流を供給するために使用される;
【0018】
少なくとも1つのバッテリと、第2の電流調整回路と、ソレノイドモータと、発電機と、増幅回路と、整流回路とを備えるバッテリ管理システム;
【0019】
バッテリは、第2の電流調整回路に直流電流を供給するために使用される;
【0020】
第2の電流調整回路は、バッテリに接続され、振幅値をiだけ増加させ、所定の値で周波数を生成することによって、直流を交流に変換するために使用される;
【0021】
第2の電流調整回路は電磁誘導を生成するためにソレノイドモータを回転させる交流電流を提供し、電磁場の効果によって、発電機が起動され、一定電圧の交流電流を生成する;
【0022】
増幅器回路は、発電機に接続され、交流電流の電圧、電力およびアンペア数の振幅を増加させるために使用される;
【0023】
整流回路は、増幅回路に接続され、交流電流を直流電流に変換して電気分解システム、輸送車両の他の構成要素、およびバッテリに供給するために使用される;
【0024】
電気分解システムは電気分解プロセスを実行するために、輸送車両の電気システムまたは/およびバッテリ管理システムから電気を供給され、輸送車両の内燃機関のためのクリーンな水素ガスを生成する;
【0025】
電気分解装置と、水素フィルタ装置と、第1の電流調整回路とを備える電気分解システム;
【0026】
第1の電流調整回路は輸送車両の電気システムまたは/およびバッテリ管理システムに接続され、振幅値を増加させることによって直流を交流に変換し、所定の値で周波数を発生させて電気分解装置に供給するために使用される;
【0027】
入力、金属バー、出力、およびダイヤフラムを含む電気分解装置であって、入力がウォーターボックスに接続され、金属バーが、ステンレス鋼で作られ、1A~20Aのアンペア数Iを供給される第1の電流調整回路に接続され、出力が水素フィルタ装置に接続され、ダイヤフラムがグラフェンまたは複合プラスチックで作られる、電気分解装置;
【0028】
水素フィルタ装置は純度を高め、水素ガス流の温度を下げるために使用され、頂部、本体部、および底部を備え、底部は電気分解装置の出力に接続され、本体部はいくらかの量の水を保持するために使用され、頂部は内燃機関の吸気マニホルドに接続される;
【0029】
内燃機関は外気を内燃機関のシリンダ内に収集するために使用される吸気マニホルドを有し、吸気マニホルドはまた、シリンダに供給される水素ガスを受け取るために電気分解システムに接続され、シリンダ内からの排出物を排気管に運び、環境内に排出するために使用される内燃機関の排気ラインを有する;
【0030】
コントローラは、ウォーターボックス、内燃機関、輸送車両の電気システム、燃料供給ユニット、バッテリ管理システム、排気センサ、電気分解装置、水素フィルタ装置、第1の電流調整回路、および輸送車両の他の装置を制御するために使用される制御回路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は本発明の実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0032】
図1図1は、水素ガス生成システムを示す;
【0033】
図2図2は、内燃機関を供給する水素ガス生成システムを示す;
【0034】
図3図3は、内燃機関のために提供される成分を図示する;
【0035】
図4図4は、電気分解システムの構成を示す;
【0036】
図5A図5Aは、バッテリ管理システムを示す;
【0037】
図5B図5Bは、本発明の別の実施形態によるバッテリ管理システムを示す;
【0038】
図6図6は、内燃機関に供給する水素ガスの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1を参照すると、本発明による水素ガス生成システム100を示すブロック図である。水素ガス生成システム100は適用可能なオブジェクト110と、エネルギー源120と、電気分解システム130とを備え、これらは全て相互接続されており、電気分解システム130は、電気分解プロセスを実行するためにエネルギー源120から電気エネルギーを供給され、電気分解プロセスから得られた生成物が使用のために適用可能なオブジェクト110に運ばれる。適用可能なオブジェクト110は、輸送車両、住宅、工場などを含む。エネルギー源120は、バッテリ管理システム、適用可能なオブジェクト110の電気システム、または他のオブジェクトの電気システムを備える。
【0040】
図2を参照すると、本発明の例示的な実施形態による、内燃機関200に供給する水素ガス生成システムを示すブロック図が示されている。内燃機関200に供給する水素ガス生成システムは、コントローラ210と、内燃機関220と、輸送車両の電気システム230と、燃料供給ユニット240と、排気センサ250と、電気分解システム130とを備える。
【0041】
電気分解システム130は輸送車両230の電気システムから電気を供給され、電気分解プロセスを実行し、輸送車両201の内燃機関220のためのクリーンな水素ガスを生成する。ウォーターボックス203は、電気分解システム130に接続され、電気分解システム130に電気分解に使用される水を供給する。電気分解に使用される水は家庭用水、純水、蒸留水、脱イオン水などの全ての種類の水を含むが、これらに限定されない。ウォーターボックス203に導入される水は、輸送車両201の空調システム204から生成される水、またはオペレータによって導入される水とすることができる。
【0042】
輸送車両230の電気システムは、電気分解システム130、内燃機関220、および輸送車両201の他の補機(図示せず)に電流を供給する。燃料供給ユニット240は、内燃機関220に燃料を供給する。使用される燃料は、使用される内燃機関220のタイプに応じてガソリンまたはディーゼルである。
【0043】
排気センサ250は輸送車両201の排気管202に設置され、内燃機関220から排出される排気ガス中の残存燃料量を計測し、コントローラ210に送る。これにより、コントローラ210は、燃料供給ユニット240を調整して、内燃機関220に適切な量の燃料を噴射する。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、バッテリ管理システム260をさらに備える内燃機関200に供給する水素ガス生成システムは、電気分解プロセスを実行するために電気分解システム130に電流を供給するために使用される。
【0045】
コントローラ210は、電気分解システム130、ウォーターボックス203、内燃機関220、輸送車両の電気システム230、燃料供給ユニット240、バッテリ管理システム260、排気センサ250、および輸送車両201の他の装置(図示せず)を制御するために使用される制御回路を含む。スクリーン211はコントローラ210に接続され、内燃機関220への水素ガス及び燃料の供給量、排出物中に存在する残留燃料の量などのパラメータを表示するために使用され、オペレータが車両201の全体の動作を監視することを可能にし、同時に、オペレータは、このスクリーン211を通して、内燃機関220への水素ガス及び燃料の供給量などを設定することができる。
【0046】
図3を参照すると、本発明の例示的な実施形態による内燃機関220のために提供される成分が示されている。内燃機関220は、内燃機関220のシリンダ310内に外気を収集するために使用される吸気マニホルド320を有する。吸気マニホルド320はまた、電気分解システム130に接続され、シリンダ310に供給される清浄な水素ガスを受け取る。内燃機関220の排気ライン330はシリンダ310の内部から排気管202に排出物を運び、環境中に排出される。内燃機関220が作動しているとき、燃料供給ユニット240は燃料をシリンダ310内に噴射し、次いで、空気および清浄な水素ガスが、それぞれ、吸気マニホルド320を通って内燃機関220のシリンダ310内に導入される。空気、清浄水素ガス、および燃料の混合物は排出物を生成するためにシリンダ310の内部で燃焼され、排出物は排気ライン330を通ってシリンダ310から取り出され、環境に入る。一方、クリーン水素ガスがシリンダ310内に導入されると、NOx、CO、CO2、SO2、Cn Hm等の有害ガスも排除され、シリンダ310から排出される排気流がパージされる。
【0047】
図4を参照すると、本発明の例示的な実施形態による電気分解システム130の構成が示されている。電気分解システム130は、電気分解装置410と、水素フィルタ装置420と、第1の電流調整回路430とを備え、これらは全てコントローラ210に接続される。第1の電流調整回路430は、輸送車両230の電気システムおよび/またはバッテリ管理システム260に接続され、十分に大きい振幅値を増加させ、電気分解装置410に供給するための適切な周波数を生成することによって、直流を交流に変換するために使用される。第1の電流調整回路430のおかげで、電気分解装置410は、触媒を使用することなく、蒸留水を電気分解することができる。
【0048】
電気分解装置410は、入力部411、金属バー412、出力413、およびダイヤフラム415を備える。入力部411は、ウォーターボックス203に接続されている。金属バー412は、第1の電流調整回路430に接続され、水を介して電気を伝導して、水分子の水素への電気分解プロセスを実行するために使用される。金属バー412は任意の公知の金属または合金からなることができ、最良のものはステンレス鋼である。出力413は、水素フィルタ装置420に接続される。ダイヤフラム415は、グラフェンまたは複合プラスチックからなる。ここで、電気分解処理を行うために金属バー412に供給される電流は、1A~20Aである。
【0049】
水素フィルタ装置420は上部421、本体部422、および底部423を含む水素ガス流の純度を高め、温度を下げるために使用され、底部423は電気分解装置410の出力413に接続され、本体部422はいくらかの量の水を保持するために使用され、上部421は内燃機関220の吸気マニホルド320に接続される。
【0050】
図4に示すように、水位センサ414は、電気分解装置410に設置され、電気分解装置410の内部の水位を決定するために使用されるコントローラ210に接続される。電気分解装置410内の水位が所定の閾値を下回ると、水位センサ414はコントローラ210に信号を送信し、コントローラ210はウォーターボックス203を制御して水を電気分解装置410に入れる。電気分解装置410内に導入された水が所定の最高閾値に達すると、水位センサ414はコントローラ210に信号を送信して、ウォーターボックス203を制御し、電気分解装置410への水の供給を停止する。
【0051】
金属バー412は第1の電流調整回路430から電気を供給されると、電気分解装置410の内部で水の電気分解を行い、水素ガスを生成する。この水素ガスは、出力413を通って水素フィルタ装置420の底部423に導かれ、次いで、水素ガスは本体部分422に含まれる水を通過し、ここで、水素は浄化され、適切な温度まで温度を低下させ、水素ガスは最終的に、上部部分421を上昇し、内燃機関220の吸気マニホルド320に入る。
【0052】
図5Aおよび図5Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態によるバッテリ管理システム260が示されている。バッテリ管理システム260は、バッテリ510と、第2の電流調整回路520と、ソレノイドモータ530と、発電機540と、増幅回路550と、整流回路560とを備え、全てが互いに接続されている。バッテリ510は、第2の電流調整回路520に直流電流を供給するために用いられる。本発明の実施形態によれば、バッテリ510は、12~24ボルトの直流電流を供給する。第2の電流調整回路520は振幅値を十分に大きくし、適切な周波数を生成することによって、直流を交流に変換するために使用される。第2の電流調整回路520は、電磁誘導を生成するためにソレノイドモータ530を回転させる交流を提供する。このとき、電磁場の影響によって、発電機540が作動し、(機械エネルギーから電気エネルギーへの変換のメカニズムに従って)一定電圧の交流電流を生成する。次いで、この交流電流は、増幅器回路550を通過して、交流電流の電圧、電力、およびアンペア数の振幅を適切なレベルまで増加させる。次に、増幅回路550からの出力交流電流は、整流回路560に導かれる。整流回路560は、交流電流を直流電流に変換して、電気分解システム130および輸送車両201の他の構成要素に供給する。加えて、整流回路560から出る電流の一部は、バッテリ510を充電するために使用される。したがって、動作中、バッテリ管理システム260は電気分解システム130および輸送車両201の他の付属品の両方のための電源を提供し、バッテリ510への入力を自動的に充電するフィードバック能力を有する。本発明の一実施形態によれば、バッテリ管理システム260はまた、2つ以上のバッテリ510を含むことができ、すべてが一緒に接続される。
【0053】
本発明によれば、第1の電流調整回路430及び第2の電流調整回路520は、PWM(Pulse Width Modulation method)に基づいて動作する。これは、トリガ電流のパルス幅調整の方法であり、言い換えれば、ストリング輪郭の幅の変化と時間的に調整された周波数に対する密度変化とに基づく変調方法である。PWM方式を使用する場合、電流信号は、同じ周波数で、正側または負側の異なる幅で変化する。これは、スイッチの開閉時間を調整するルールに従い、負荷のソースを周期的にオン/オフする原理に従った方法である。オン/オフエージェントは、第1の電流調整回路430および第2の電流調整回路520に含まれる半導体トランジスタによって実行される。具体的には、このスイッチが開いているとき、全電圧が負荷に印加される。スイッチが閉じられると、負荷は電圧源から遮断される。スイッチが閉じられると、負荷は電圧源を遮断する。したがって、このスイッチのオン/オフサイクルの間、負荷は時には全電圧源を受け取り、時にはその一部を受け取り、時には何も受け取らない。出力電圧の実効値は、次式で計算される:
【0054】
Ud=Umaxx(t/T)(Volt)
ここで、t/T、これは%単位のPWM補正係数である。
【0055】
輸送車両201の動作中、いくらかの水が輸送車両201の空調システム204から生成され、ウォーターボックス203に供給される。その結果、作業者がウォーターボックス203を補充することなく、電気分解装置410に水を供給して電気分解処理を行うことができる。
【0056】
図6を参照すると、本発明による内燃機関600(「方法600」)に水素ガスを供給するための水素ガスの製造方法を示すフローチャートが示されている。方法600はステップ601で始まり、電気分解システム130およびバッテリ管理システム260を供給し、次いで、それらを水素ガス生成システムの残りの部分に接続して、内燃機関200を供給する。
【0057】
ステップ602において、オペレータは、スクリーン211を介して内燃機関220に供給される水素の量を設定する。次いで、この設定に基づいて、電気分解システム130は、最適な量の水素ガスを内燃機関220に送達するように制御される。
【0058】
ステップ603において、内燃機関220を始動する。コントローラ210は輸送車両230の電気システムを制御して内燃機関220に電流を供給すると同時に、燃料供給ユニット240を制御してシリンダ310内に燃料を噴射すると同時に、吸気マニホルド320を介してシリンダ310にも空気が導入される。燃料と空気との混合気は、シリンダ310内で燃焼されて仕事を生成する。
【0059】
ステップ604において、電流を電気分解システム130に供給する。内燃機関220が作動すると、コントローラ210は輸送車両230の電気システムおよび/またはバッテリ管理システム260を制御して第1の電流調整回路430に電流を供給し、第1の電流調整回路430は、十分に大きい振幅値を増加させ、電気分解装置410の金属バー412に供給するための適切な周波数を生成することによって、直流を交流に変換する。電気分解処理を行うために金属バー412に供給される電流は、1A~20Aである。
【0060】
ステップ605において、電気分解プロセスを実行する。具体的には、金属バー412に電気が供給されると、電気分解装置410内の水の電気分解を行い、水素ガスを生成する。この水素ガスは、出力413を通って水素フィルタ装置420の底部423に導かれ、次いで、水素ガスは本体部分422に含まれる水を通過し、ここで水素が洗浄され、温度を適切な温度に低下させる。
【0061】
ステップ606において、清浄な水素ガスを電気分解システム130から内燃機関220のシリンダ310に供給する。コントローラ210は、ステップ602で設置されたクリーン水素ガスの設定量を内燃機関220のシリンダ310に供給する水素フィルタ装置420を制御する。クリーンな水素ガスは、空気および燃料と混合され、次いで、燃焼されて仕事を生成する。
【0062】
ステップ607において、排気センサ250は排気管202から出る排出物中に残っている燃料の量を測定し、次いで、その結果をコントローラ210に送る。この測定結果から、コントローラ210は適切な制御信号を分析し、与える。具体的には排出物中に残っている燃料の量が予め設定された許容閾値を超える場合、コントローラ210はオペレータが燃料供給ユニット240から内燃機関220に供給される燃料の量を調整するための警告をスクリーン211上に発行する。
【0063】
内燃機関200に供給する水素ガス生成システムの動作中、電気分解装置410内の水は失われるので、ウォーターボックス203から追加する必要がある。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、運転中、内燃機関200に供給する水素ガス生成システムは燃料を節約し、環境中に放出される有害排出物の数をほぼ完全に低減し、内燃機関220を冷却し、かつ、化石燃料燃焼の過剰量によって元々形成された内燃機関220内の残留物を排出せず、したがって内燃機関220の壁/壁の内側に留まる。一方、電気分解システム130は内燃機関220が作動しているときにのみ作動し、清浄な水素ガスを生成する。内燃機関220が作動を停止すると、電気分解システム130は清浄な水素ガスの生成を停止し、水素ガスは、システム内に貯蔵されず、したがって、安全性が保証される。
【0065】
上記で開示された内燃機関200に供給する水素ガス生成システムの実施は、以下の目的を達成する:
【0066】
内燃機関に供給する水素ガス生成システムは車両に供給されるディーゼル燃料またはガソリン燃料の量を最大40%まで低減することができ、一方で環境中に放出される有害排出物の数をほぼ完全に低減するのに役立つ。
【0067】
本発明はまた、内燃機関に供給するために大量の清浄な水素ガスを発生させることができる電気分解システムを提供する。また、このシステムは触媒を用いずに、蒸留水を電気分解して、清浄な水素ガスを生成することもできる。
【符号の説明】
【0068】
100 水素ガス生成システム
110 オブジェクト
120 エネルギー源
130 電気分解システム
200 内燃機関を供給する水素ガス生成システム
201 輸送車両
202 排気管
203 ウォーターボックス
204 空調設備
210 コントローラ
211 スクリーン
220 内燃エンジン
230 輸送車両の電気システム
240 燃料供給ユニット
250 排気センサ
260 バッテリ監視装置
310 シリンダ
320 吸気マニホルド
330 排気ライン
410 電気分解装置
411 入力
412 メタルバー
413 出力
414 水位センサ
415 ダイアフラム
420 水素フィルタ装置
421 上部
422 本体部
423 下部
430 第1電流調整回路
510 バッテリー
520 第2の電流調整回路
530 ソレノイドモータ
540 発電機
550 増幅回路
560 整流回路
【要約】
制御装置、内燃機関、輸送車両の電気システム、燃料供給ユニット、排気センサ、バッテリ管理システム、および電気分解システムを備える、内燃機関に水素ガスを供給するためのシステムを提供する。このシステムは燃料を節約し、環境中に放出される有害排出物の数をほぼ完全に低減し、内燃機関を冷却し、内燃機関内部の残留物を除去する。さらに、内燃機関に供給するための水素ガスの製造方法も提供する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6