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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240621BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240621BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20240621BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240621BHJP
   H10K 59/129 20230101ALI20240621BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20240621BHJP
   H10K 71/70 20230101ALI20240621BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20240621BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/00 309A
G09F9/302 C
G09F9/30 365
G02F1/1368
H10K59/129
H10K59/35
H10K71/70
H10K59/131
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023526720
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2021021904
(87)【国際公開番号】W WO2022259415
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳一
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-066113(JP,A)
【文献】特開2004-247373(JP,A)
【文献】特開2004-341196(JP,A)
【文献】特開2005-077479(JP,A)
【文献】特開2011-002582(JP,A)
【文献】特開2019-113786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルの複数の画素が形成される表示領域の周りに配置された額縁領域に実装された半導体チップと、
前記額縁領域に形成された周辺回路とを備え、
前記周辺回路が、前記半導体チップと前記表示領域との間に形成されるチップ外分割回路と、前記半導体チップの下に形成されるチップ下分割回路とを含み、
前記表示パネルは、前記半導体チップの複数の出力端子のそれぞれが接合される複数のパネル端子を有し、
前記周辺回路が、前記パネル端子を通じて侵入する静電気から前記画素を保護するためのビデオ保護回路である表示装置。
【請求項2】
前記半導体チップが、前記半導体チップの長手方向に沿って配列された複数の入力端子と、前記長手方向に沿って配列された複数の出力端子とを含み、
前記周辺回路が、前記表示パネル上に薄膜トランジスタで構成され、
前記チップ外分割回路は、前記額縁領域であって、前記出力端子の配列と前記表示領域との間の領域に形成され、
前記チップ下分割回路は、前記額縁領域であって、前記入力端子の配列と前記出力端子の配列との間の領域に形成される請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画素を制御するための画素回路をさらに備え、
前記チップ外分割回路と前記チップ下分割回路とは、同一材料により同一層に形成された薄膜トランジスタを含み、前記画素回路を保護又は検査する請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ビデオ保護回路が、第1電位を有する第1電位電源に接続される第1電位回路と、前記第1電位よりも高い第2電位を有する第2電位電源に接続される第2電位回路とを含み、
前記チップ外分割回路が前記第1電位回路と前記第2電位回路との何れか一方を含み、
前記チップ下分割回路が前記第1電位回路と前記第2電位回路との他方を含む請求項1~3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記パネル端子と前記チップ下分割回路とを接続する配線と、
前記パネル端子と前記チップ外分割回路及び前記画素とを接続する配線とをさらに備える請求項1~3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1電位回路が、前記複数のパネル端子に対応して複数配置され、
前記第1電位電源は、前記複数の第1電位回路に対して共通に設けられる請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
表示パネルの複数の画素が形成される表示領域の周りに配置された額縁領域に実装された半導体チップと、
前記額縁領域に形成された周辺回路とを備え、
前記周辺回路が、前記半導体チップと前記表示領域との間に形成されるチップ外分割回路と、前記半導体チップの下に形成されるチップ下分割回路とを含み、
前記周辺回路が、前記半導体チップが実装される前の前記画素の動作を検査するための信号を前記画素に供給するパネル検査回路であり、
前記画素が、第1発光色の光を発光するための第1副画素と、第2発光色の光を発光するための第2副画素とを含み、
前記パネル検査回路が、前記第1副画素の動作を検査するための第1データ信号を前記第1副画素に供給する第1発光色検査回路と、前記第2副画素の動作を検査するための第2データ信号を前記第2副画素に供給する第2発光色検査回路とを含み、
前記チップ外分割回路が前記第1発光色検査回路を含み、
前記チップ下分割回路が前記第2発光色検査回路を含む表示装置。
【請求項8】
前記画素が、第3発光色の光を発光するための第3副画素をさらに含み、
前記パネル検査回路が、前記第3副画素の動作を検査するための第3データ信号を前記第3副画素に供給する第3発光色検査回路をさらに含み、
前記チップ外分割回路が前記第3発光色検査回路をさらに含む請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1発光色の光が赤色光を含み、
前記第2発光色の光が緑色光を含み、
前記第3発光色の光が青色光を含み、
前記画素に含まれる前記第1副画素の数と前記第3副画素の数との合計が前記第2副画素の数に対応する請求項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、前記半導体チップの複数の出力端子のそれぞれが接合される複数のパネル端子を有し、
前記第1発光色検査回路が、前記複数のパネル端子に対応して複数配置され、
前記複数の第1発光色検査回路に前記第1データ信号を供給するための供給線が、前記複数の第1発光色検査回路に対して共通に設けられる請求項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示パネルは、前記半導体チップの複数の出力端子のそれぞれが接合される複数のパネル端子を有し、
前記複数のパネル端子は、互いに斜め方向に配列される千鳥配列に従って配列され、
前記周辺回路は、前記複数のパネル端子のそれぞれに対応するように前記千鳥配列に従って配列された複数の周辺回路素子を有する請求項1から10の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記画素が、自発光表示素子又は液晶表示素子を含む請求項1から11の何れか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの表示領域に配置された複数の画素にビデオ信号を供給するために、前記表示領域の周りに配置された額縁領域に実装された半導体チップを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの液晶表示部に配置された複数の液晶表示画素にビデオ信号を供給するために、液晶表示部の周りに配置された額縁領域に実装された半導体チップを備えた表示装置が知られている(特許文献1)。この半導体チップの下には垂直駆動回路が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2002-72233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示領域に配置された複数の画素のそれぞれに一つずつ配置することが必要なビデオ保護回路等の回路を、表示パネル上に搭載される半導体チップ(COP、Chip On Plastic)の下に配置しようとすると、以下の問題が発生する。
【0005】
COPの裏面側には多数のCOP端子が形成されている。このCOP端子が存在する位置にはCOP端子と接合するパネル端子が配置されるので、上記回路を配置することはできない。このため、COPの裏面のCOP端子が存在しない領域が狭い場合は、上記回路を配置する領域が狭くなってしまい、上記回路の配置が困難になるという問題が生じる。
【0006】
本発明の一態様は、表示領域に配置された複数の画素のそれぞれに一つずつ配置することが必要な回路を表示パネルに適切に配置することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の一態様に係る表示装置は、表示パネルの複数の画素が形成される表示領域の周りに配置された額縁領域に実装された半導体チップと、前記額縁領域に形成された周辺回路とを備え、前記周辺回路が、前記半導体チップと前記表示領域との間に形成されるチップ外分割回路と、前記半導体チップの下に形成されるチップ下分割回路とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、表示領域に配置された複数の画素のそれぞれに一つずつ配置することが必要な回路を表示パネルに適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る表示装置の要部平面図である。
図2】上記表示装置に設けられた画素とパネル端子部とビデオ保護回路との配置関係を示す模式図である。
図3】上記表示装置の断面図である。
図4】上記ビデオ保護回路に設けられた高電源接続部及び低電源接続部の配置関係を示す模式図である。
図5】上記ビデオ保護回路に設けられた高電源接続部及び低電源接続部の回路図である。
図6】比較例に係るビデオ保護回路の回路図である。
図7】上記比較例に係るビデオ保護回路の動作を説明するための回路図である。
図8】上記比較例に係るビデオ保護回路の他の動作を説明するための回路図である。
図9】上記ビデオ保護回路と上記比較例に係るビデオ保護回路との間の関係を説明するための図である。
図10】実施形態2に係る表示装置の要部平面図である。
図11】上記表示装置に設けられた画素とパネル端子部とパネル検査回路との配置関係を示す模式図である。
図12】上記パネル検査回路に設けられた第1発光色検査回路、第2発光色検査回路、及び第3発光色検査回路の配置関係を示す模式図である。
図13】上記表示装置の断面図である。
図14】上記表示装置に設けられた第1副画素、第2副画素、及び第3副画素の配置関係を示す模式図である。
図15】上記第1発光色検査回路、第2発光色検査回路、及び第3発光色検査回路の回路図である。
図16】比較例に係るパネル検査回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る表示装置1の要部平面図である。図2は表示装置1に設けられた画素とパネル端子部9とビデオ保護回路3との配置関係を示す模式図である。図3は表示装置1の断面図である。
【0011】
表示装置1は、表示パネル6の表示領域7に配置された複数の画素にビデオ信号を供給するために、表示領域7の周りに配置された額縁領域8に実装された半導体チップ2と、額縁領域8に半導体チップ2が実装される前の表示領域7の画素を保護するために、額縁領域8に形成されたビデオ保護回路3(周辺回路)とを備える。
【0012】
ビデオ保護回路3は、半導体チップ2と表示領域7との間に形成される低電源接続部4(ビデオ保護回路、第1電位回路、チップ外分割回路、周辺回路)と、半導体チップ2の下に形成される高電源接続部5(ビデオ保護回路、第2電位回路、チップ下分割回路、周辺回路)とを含む。低電源接続部4は、第1電位を有する低電源(第1電位電源)に接続される。高電源接続部5は、第1電位よりも高い第2電位を有する高電源(第2電位電源)に接続される。
【0013】
半導体チップ2は、表示領域7の反対側に形成された複数の入力端子24と、表示領域7側に形成された複数の出力端子25とを、表示パネル6と対向する下面に有する。複数の入力端子24は、半導体チップ2の長手方向に相当するX方向に沿って配列される。複数の出力端子25は、半導体チップ2の長手方向に相当するX方向に沿って配列される。表示パネル6は、半導体チップ2の複数の入力端子24及び出力端子25のそれぞれが接合されるパネル端子部9を有する。
【0014】
パネル端子部9は、半導体チップ2の入力端子24に入力信号を供給するための入力端子部12と、半導体チップ2の出力端子25から出力されるビデオ信号を受け取るための出力端子部13とを有する。入力端子部12と出力端子部13との間に高電源接続部5が配置される。
【0015】
出力端子部13は、赤色光を発光する画素に対応するビデオ信号を半導体チップ2から受け取るためにX方向に沿って配列された複数のパネル端子14Rと、緑色光を発光する画素に対応するビデオ信号を受け取るためにX方向に沿って配列された複数のパネル端子14Gと、青色光を発光する画素に対応するビデオ信号を受け取るためにX方向に沿って配列された複数のパネル端子14Bとを含む。複数のパネル端子14R、複数のパネル端子14G、及び複数のパネル端子14Bは、互いに斜め方向に配列される千鳥配列に従って配列される。
【0016】
ビデオ保護回路3は、パネル端子14R、パネル端子14G、又はパネル端子14Bを通じて侵入する静電気から表示領域7の及び上記画素を制御するための画素回路を保護するために設けられる。
【0017】
図4はビデオ保護回路3に設けられた高電源接続部5及び低電源接続部4の配置関係を示す模式図である。
【0018】
低電源接続部4には、低電源接続回路15R・15G・15B(ビデオ保護回路、第1電位回路、チップ外分割回路、周辺回路)がX方向に沿ってこの順番に繰り返し配列されている。これらの低電源接続回路15R・15G・15Bは、低電源に結合された共通の低電源線18に接続される。
【0019】
低電源接続回路15Rは、表示領域7の赤色光を発光する画素及び上記画素を制御するための画素回路に接続される。低電源接続回路15Gは、緑色光を発光する画素及び上記画素を制御するための画素回路に接続される。低電源接続回路15Bは、青色光を発光する画素及び上記画素を制御するための画素回路に接続される。
【0020】
高電源接続部5には、高電源接続回路16R・16G・16B(ビデオ保護回路、第2電位回路、チップ下分割回路、周辺回路)がX方向に沿ってこの順番に繰り返し配列されている。これらの高電源接続回路16R・16G・16Bは、高電源に結合された共通の高電源線17に接続される。
【0021】
パネル端子14Rは、半導体チップ2の外に配置された低電源接続回路15Rに配線Bを介して接続され、及び、半導体チップ2の下に配置された高電源接続回路16Rに配線Cを介して接続される。そして、低電源接続回路15Rが、表示領域7の赤色光を発光するための画素に配線Aを介して接続される。
【0022】
パネル端子14Gも同様に、低電源接続回路15Gに配線Bを介して接続され、及び、高電源接続回路16Gに配線Cを介して接続される。そして、低電源接続回路15Gが、表示領域7の緑色光を発光するための画素に配線Aを介して接続される。パネル端子14Bも同様に、低電源接続回路15Bに配線Bを介して接続され、及び、高電源接続回路16Gに配線Cを介して接続される。そして、低電源接続回路15Bが、表示領域7の青色光を発光するための画素に配線Aを介して接続される。
【0023】
入力端子部12と出力端子部13と高電源接続部5とは、半導体チップ2の下の領域R3に配置される。低電源接続部4と表示領域7とは、半導体チップ2の外の領域R4に配置される。
【0024】
図5はビデオ保護回路3に設けられた高電源接続部5及び低電源接続部4の回路図である。
【0025】
ビデオ保護回路3は、高電源接続部5及び低電源接続部4に分割されている。高電源接続部5は、半導体チップ2の下の入力端子部12と出力端子部13との間に配置される。低電源接続部4は、出力端子部13と表示領域7との間に配置される。
【0026】
低電源接続部4は、配線Bの長さによりその電気抵抗値が規定される保護抵抗R1と、低電源接続回路15R・15G・15Bとを含む。高電源接続部5は、配線Cの長さによりその電気抵抗値が規定される保護抵抗R2と、高電源接続回路16R・16G・16Bとを含む。
【0027】
図6は比較例に係るビデオ保護回路93の回路図である。ビデオ保護回路93は、パネル端子14R・14G・14Bに一端が接続された保護抵抗Rと、保護抵抗Rの他端と高電源とに接続された高電源接続回路16R・16G・16Bと、保護抵抗Rの他端と低電源とに接続された低電源接続回路15R・15G・15Bとを備える。そして、表示領域7の画素が保護抵抗Rの他端に接続される。
【0028】
このように、比較例に係るビデオ保護回路93は、高電源接続回路と低電源接続回路とが一体となっており、半導体チップ2と表示領域7との間に設けられる。
【0029】
図7はビデオ保護回路93の動作を説明するための回路図である。図8はビデオ保護回路93の他の動作を説明するための回路図である。
【0030】
パネル端子14R・14G・14Bを通じて+200Vの静電気が侵入すると、侵入した静電気は、図7の矢印A1に示すように、保護抵抗Rと高電源接続回路16R・16G・16Bとを通って高電源に流れる。このため、表示領域7の回路、画素が上記静電気から保護される。そして、-200Vの静電気がパネル端子14R・14G・14Bを通じて侵入すると、侵入した静電気は、図8の矢印A2に示すように、保護抵抗Rと低電源接続回路15R・15G・15Bとを通って低電源に流れる。このため、やはり、表示領域7の回路、画素が上記静電気から保護される。保護抵抗Rの抵抗値は大きい方が静電気に対する耐圧が向上する。
【0031】
図9はビデオ保護回路3と比較例に係るビデオ保護回路93との間の関係を説明するための図である。
【0032】
ビデオ保護回路93は、出力端子部13と表示領域7との間に配置されることが好ましいが、そうすると額縁領域8が広くなるという問題が存在する。そこで、半導体チップ2の下に配置しようとすると、入力端子部12と出力端子部13との間の領域の広さに余裕が無い場合、ビデオ保護回路93を一括して配置することができないという課題が発生する。
【0033】
本実施形態に係るビデオ保護回路3は、半導体チップ2の下の領域の広さに余裕が無いために比較例に係るビデオ保護回路93を一括して配置することができない場合であっても、低電源接続部4と高電源接続部5とに分割して、半導体チップ2の下には高電源接続部5を配置し、低電源接続部4は半導体チップ2の外側に配置する。
【0034】
低電源接続部4と高電源接続部5とにビデオ保護回路93を分割することにより、ビデオ端子(信号)別で分割するよりも、ビデオ保護回路3の低電源接続部4と高電源接続部5とをより小さくレイアウトすることができる。その理由の一つとしては、低電源接続部4と高電源接続部5とのそれぞれの回路で、各電源につながる電源ライン(低電源線18、高電源線17)を1種類(1本)に少なくすることができることが挙げられる。
【0035】
実際にパネル端子14R・14G・14Bから静電気が侵入した場合、低電源線18、高電源線17に流すことで、他の回路や画素へ静電気が入ることを防ぐことがビデオ保護回路3の目的である。このため、低電源線18、高電源線17の配線幅はできるだけ広くして抵抗を小さくしておくことが望まれる。このため、低電源線18、高電源線17の本数を少なくすることは、低電源線18、高電源線17の配線幅を広くすることに大きく貢献することができる。
【0036】
低電源接続部4と高電源接続部5とをより小さくレイアウトすることができると、小さい配置領域に収めることができるとともに、出力端子部13からの距離が長くなるので保護抵抗R1・R2を大きくすることができ、ビデオ保護回路3の耐圧を向上させることができる。
【0037】
パネル端子14R・14G・14Bを通じて侵入する頻度の高い静電気が高電源側の静電気か低電源側の静電気かが予め判明している製造工程であれば、頻度の高い方に対応する低電源接続部4と高電源接続部5との一方をパネル端子14R・14G・14Bからより遠い半導体チップ2の外側に配置し、頻度の低い方に対応する低電源接続部4と高電源接続部5との他方をパネル端子14R・14G・14Bからより近い半導体チップ2の下に配置してもよい。これにより、低電源接続部4及び高電源接続部5の耐圧が向上する。
【0038】
例えば、図2及び図3に示すように、高電源接続部5を半導体チップ2の下に配置し、低電源接続部4を半導体チップ2の外に配置すると、高電源接続部5側の保護抵抗R2よりも低電源接続部4側の保護抵抗R1の方を大きくすることができる。もし、製造工程の環境等から、低電源側の静電気が発生する傾向があることが予め判明している場合、低電源接続部4の方を半導体チップ2の外側に配置した方が、耐圧としては向上する。
【0039】
ビデオ保護回路3を低電源接続部4と高電源接続部5とに分割すると、半導体チップ2の下の高電源接続部5の回路幅D2は、分割しない場合よりも狭くなる。このため、パネル端子部9の出力端子部13と高電源接続部5との間の距離D1を長くすることができる。従って、出力端子部13のパネル端子14R・14G・14Bと高電源接続部5の高電源接続回路16R・16G・16Bとの間の保護抵抗R2をより大きくすることができ、高電源接続部5の耐圧を良好に向上させることができる。
【0040】
半導体チップ2が小さいため、又は、薄膜トランジスタで構成されたビデオ保護回路3等の周辺回路が大きいため、薄膜トランジスタで構成された周辺回路を半導体チップ2と重ねて配置することができない場合、薄膜トランジスタで構成された周辺回路を分割して、分割した一部を半導体チップ2と重ねて配置し、残りは半導体チップ2と重ならない位置に配置することが考えられる。その際、ビデオ保護回路3を、ビデオ端子(信号)別で分割するのではなく、高電源側につながる回路と低電源側につながる回路とで分割する。これにより、回路を小さくレイアウトすることが可能になる。
【0041】
高電源接続回路16R・16G・16B(周辺回路素子)は、出力端子部13と入力端子部12との間の距離D3に応じて、互いに斜め方向に配列される千鳥配列に従って配列されてもよい。
【0042】
表示領域7に配列される画素は、自発光表示素子であり、OLED(有機発光ダイオード、Organic Light Emitting Diode)であることが好ましいが、液晶表示素子でも同様の効果が得られる。
【0043】
なお、低電源接続部4を半導体チップ2の下に配置し、高電源接続部5を半導体チップ2と表示領域7との間に配置しても同様の効果が得られる。
【0044】
(実施形態2)
図10は実施形態2に係る表示装置1Aの要部平面図である。図11は表示装置1Aに設けられた画素とパネル端子部9とパネル検査回路19との配置関係を示す模式図である。図12はパネル検査回路19に設けられた第1発光色検査回路20、第2発光色検査回路21、及び第3発光色検査回路22の配置関係を示す模式図である。図13は表示装置1Aの断面図である。図14は表示装置1Aに設けられた第1副画素23R、第2副画素23G、及び第3副画素23Bの配置関係を示す模式図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0045】
表示装置1Aは、表示パネル6の表示領域7に配置された複数の画素にビデオ信号を供給するために、表示領域7の周りに配置された額縁領域8に実装された半導体チップ2と、額縁領域8に半導体チップ2が実装される前の表示領域7の画素を検査するために、額縁領域8に形成されたパネル検査回路19(周辺回路)とを備える。
【0046】
パネル検査回路19は、半導体チップ2が実装される前の画素の動作を検査するための信号を画素及び上記画素を制御するための画素回路に供給する。
【0047】
表示領域7に配置された各画素は、赤色(第1発光色)の光を発光するための第1副画素23Rと、緑色(第2発光色)の光を発光するための第2副画素23Gと、青色(第3発光色)の光を発光するための第3副画素23Bとを含む。第1副画素23R、第2副画素23G、及び第3副画素23Bは、図14に示すように、SPR(サブピクセルレンダリング、Subpixel rendering)でRB/Gの構成に従って配列される。第1副画素23Rの数と第3副画素23Bの数との合計は第2副画素23Gの数に対応する。
【0048】
パネル検査回路19は、第1副画素23Rの動作を検査するための第1データ信号を第1副画素23Rに供給する第1発光色検査回路20(パネル検査回路、周辺回路)と、第2副画素23Gの動作を検査するための第2データ信号を第2副画素23Gに供給する第2発光色検査回路21(パネル検査回路、周辺回路)と、第3副画素23Bの動作を検査するための第3データ信号を第3副画素23Bに供給する第3発光色検査回路22(パネル検査回路、周辺回路)とを含む。
【0049】
第1発光色検査回路20と第3発光色検査回路22とは、半導体チップ2と表示領域7との間に配置される。第2発光色検査回路21は、半導体チップ2の下の出力端子部13と入力端子部12との間に配置される。
【0050】
第1発光色検査回路20と第3発光色検査回路22とは、半導体チップ2の外にX方向に沿って交互に複数個配列される。第1発光色検査回路20に第1データ信号を供給するための供給線T_DATA(R)が、複数の第1発光色検査回路20に対して共通に設けられる。そして、第3発光色検査回路22に第3データ信号を供給するための供給線T_DATA(B)が、複数の第3発光色検査回路22に対して共通に設けられる。
【0051】
第2発光色検査回路21は、半導体チップ2の下にX方向に沿って複数個配列される。第2発光色検査回路21に第2データ信号を供給するための供給線T_DATA(G)が、複数の第2発光色検査回路21に対して共通に設けられる。
【0052】
複数のパネル端子14R、複数のパネル端子14G、及び複数のパネル端子14Bは、互いに斜め方向に配列される千鳥配列に従って配列される。
【0053】
パネル端子14Rは第1発光色検査回路20と接続される。第1発光色検査回路20は、表示領域7に配置された第1副画素23Rと接続される。パネル端子14Bは第3発光色検査回路22と接続される。第3発光色検査回路22は、表示領域7に配置された第3副画素23Bと接続される。
【0054】
パネル端子14Gは、第2発光色検査回路21と、表示領域7に配置された第2副画素23Gとに接続される。
【0055】
第2発光色検査回路21(周辺回路素子)は、出力端子部13と入力端子部12との間の距離D3に応じて、互いに斜め方向に配列される千鳥配列に従って配列されてもよい。
【0056】
図15は第1発光色検査回路20、第2発光色検査回路21、及び第3発光色検査回路22の回路図である。図16は比較例に係るパネル検査回路89の回路図である。
【0057】
パネル検査回路19は、半導体チップ2の外でX方向に沿って交互に配列された第1発光色検査回路20及び第3発光色検査回路22と、半導体チップ2の下でX方向に沿って配列された第2発光色検査回路21とを含む。比較例に係るパネル検査回路89は、X方向に沿って配列された第1発光色検査回路20と第2発光色検査回路21と第3発光色検査回路22とを含む。半導体チップ2を実装する前の状態で、配線TSMPにトランジスタがオンする信号を入力すると、各データラインT_DATA(R)・T_DATA(G)・T_DATA(B)にビデオ信号が入力されて、表示領域7に配置された第1副画素23R、第2副画素23G、及び第3副画素23Bでの表示が可能になり、第1副画素23R、第2副画素23G、及び第3副画素23Bの検査が可能になる。
【0058】
半導体チップ2の下の領域に余裕が無いために、パネル検査回路89の全体が半導体チップ2の下に一括して配置することができない場合、パネル検査回路19のように、対応する副画素の発光色別に分割して配置する。即ち、パネル検査回路19は、赤色を発光する第1副画素23Rに対応する第1発光色検査回路20と、青色を発光する第3副画素23Bに対応する第3発光色検査回路22とを半導体チップ2の外の半導体チップ2と表示領域7との間に配置する。そして、パネル検査回路19は、緑色を発光する第2副画素23Gに対応する第2発光色検査回路21を半導体チップ2の下に配置する。
【0059】
表示パネル6の表示領域7には、赤色光を発光する第1副画素23Rと緑色光を発光する第2副画素23Gと青色光を発光する第3副画素23Bとが、図14に示すように配列されている。第1副画素23R、第2副画素23G、及び第3副画素23Bは、第1副画素23Rの数と第3副画素23Bの数との合計が第2副画素23Gの数に対応するように配列されている。
【0060】
第1発光色検査回路20と第2発光色検査回路21と第3発光色検査回路22とは、第1副画素23R、第2副画素23G、及び第3副画素23Bと整合するように、第1発光色検査回路20と第3発光色検査回路22の数の合計が第2発光色検査回路21の数に対応するように配列される。このため、半導体チップ2の下の第2発光色検査回路21の数と、半導体チップ2の外の第1発光色検査回路20と第3発光色検査回路22の数の合計とをほぼ同数にすることができる。
【0061】
このように、パネル検査回路19を、RB画素側とG画素側とで分割すると、ビデオ端子(信号)別で分割するよりも、パネル検査回路19をより小さくレイアウトすることができる。その理由の一つとしては、RB画素側とG画素側とでテストビデオ信号供給配線が1種類にできることである。
【0062】
偶数番目のビデオ端子(信号)と奇数番目のビデオ端子(信号)とでパネル検査回路19を分割すると、偶数番目側と奇数番目側との双方にRGBの3種類のテストビデオ信号供給配線が必要になるので、パネル検査回路19をより小さくレイアウトすることができない。
【0063】
RB画素側とG画素側とのそれぞれのパネル検査回路で、パネル検査を行う場合、特にAC信号を入力する場合はテストビデオ信号の配線幅はできるだけ広く、抵抗を小さくしておくことが望まれる。そのため、テストビデオ信号供給配線の本数を少なくすることは、配線幅を広くすることに大きく寄与することができる。
【0064】
また、特に、図14に示す例のように、SPR(サブピクセルレンダリング、Subpixel rendering)でRB/Gの場合、検査時に第2副画素23GにはほとんどDCのような信号を入力すればよく、この場合は第2副画素23Gのテストビデオライン幅はそれほど広くしなくてもよく、第2副画素23G画素側の検査回路幅はより狭くできる。そのため、半導体チップ2の下には第2副画素23Gに対応する第2発光色検査回路21を配置する方が望ましい。
【0065】
パネル検査回路19もビデオ保護回路3のように静電気を逃がすことができる要素もあるため、ビデオ保護回路3と同じような効果が期待できる。
【0066】
半導体チップ2の下に回路幅の狭いパネル検査回路19の第2発光色検査回路21を配置する効果としては、第2発光色検査回路21の回路幅D2を比較例よりも狭くすることができるため、出力端子部13からパネル検査回路19の第2発光色検査回路21までの距離D1をより長く確保できることがある。パネル端子14Gからパネル検査回路19の第2発光色検査回路21までの距離を長く確保することで、パネル端子14Gから第2発光色検査回路21までの抵抗をより大きくすることができ、より耐圧が向上すると想定される。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 表示装置
2 半導体チップ
3 ビデオ保護回路(周辺回路)
4 低電源接続部(ビデオ保護回路、第1電位回路、チップ外分割回路、周辺回路)
5 高電源接続部(ビデオ保護回路、第2電位回路、チップ下分割回路、周辺回路)
6 表示パネル
7 表示領域
8 額縁領域
9 パネル端子部
12 入力端子部
13 出力端子部
14R パネル端子
14G パネル端子
14B パネル端子
15R 低電源接続回路(ビデオ保護回路、第1電位回路、チップ外分割回路、周辺回路)
15G 低電源接続回路(ビデオ保護回路、第1電位回路、チップ外分割回路、周辺回路)
15B 低電源接続回路(ビデオ保護回路、第1電位回路、チップ外分割回路、周辺回路)
16R 高電源接続回路(ビデオ保護回路、第2電位回路、チップ下分割回路、周辺回路、周辺回路素子)
16G 高電源接続回路(ビデオ保護回路、第2電位回路、チップ下分割回路、周辺回路、周辺回路素子)
16B 高電源接続回路(ビデオ保護回路、第2電位回路、チップ下分割回路、周辺回路、周辺回路素子)
19 パネル検査回路(周辺回路)
20 第1発光色検査回路(パネル検査回路、周辺回路)
21 第2発光色検査回路(パネル検査回路、周辺回路、周辺回路素子)
22 第3発光色検査回路(パネル検査回路、周辺回路)
23R 第1副画素
23G 第2副画素
23B 第3副画素
24 入力端子
25 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図14
図15
図16