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特許7507976シャッタを用いた対象体の温度補正装置、方法及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】シャッタを用いた対象体の温度補正装置、方法及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/0804 20220101AFI20240621BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20240621BHJP
   G01J 5/70 20220101ALI20240621BHJP
【FI】
G01J5/0804
G01J5/48 E
G01J5/70 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023534689
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2020017950
(87)【国際公開番号】W WO2022124441
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0170067
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520485066
【氏名又は名称】ユー エレクトロニクス シーオー. エルティディ.
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】リ ジュン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】オム テ ファン
(72)【発明者】
【氏名】リ ミン キュ
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/166939(WO,A1)
【文献】特開2017-126812(JP,A)
【文献】特開平9-325073(JP,A)
【文献】特表2007-502403(JP,A)
【文献】特開2008-145133(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1833365(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0089764(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0202569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00 - G01J 5/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体の温度及びシャッタの温度を測定する温度測定モジュール;
基板の温度を測定する温度センサモジュール;
測定された前記シャッタの温度、測定された前記基板の温度及びシャッタの温度補正値-前記シャッタの温度補正値は、シャッタの実際温度と測定された前記基板の温度との間の差である-を用いてノイズによる温度を演算するノイズ温度演算モジュール;及び
測定された前記対象体の温度で演算された前記ノイズによる温度を減算することで前記対象体の温度を補正する温度補正モジュール;を含む、シャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項2】
前記ノイズ温度演算モジュールは、下記数学式:
Tnoise=Tsm-(Tsg+ΔTs)
によってノイズによる温度を演算し、ここで、Tnoiseはノイズによる温度、Tsmは測定されたシャッタの温度、Tsgは測定された基板の温度、ΔTsはシャッタの温度補正値である、請求項1に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項3】
前記シャッタの温度補正値は、下記の数学式:
ΔTs=(Tsm-Tsg)-(Tbsm-Tbs)
によって求め、ここで、Tsmは測定されたシャッタの温度、Tsgは測定された基板の温度、Tbsmは測定された黒体の温度、Tbsは既知の黒体の温度である、請求項2に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項4】
前記温度測定モジュールは、
対象体またはシャッタによって輻射された赤外線による出力電圧を提供する赤外線センサモジュール;
黒体の基準設定温度で求めた基板の温度に対する出力電圧間の第1関数を用いて、提供された前記出力電圧を前記基板の基準設定温度での出力電圧で補償する基板温度補償モジュール;及び
前記基板の基準設定温度で求めた出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を用いて、補償された前記出力電圧から前記対象体またはシャッタの温度を求める温度演算モジュール;を含む、請求項1に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項5】
前記基板温度補償モジュールは、
前記第1関数を用いて、提供された前記出力電圧から測定された前記基板の温度と前記基板の基準設定温度との間の差による出力電圧の変動分を減算することで、提供された前記出力電圧を前記基板の基準設定温度での出力電圧で補償する、請求項4に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項6】
前記第1関数は、
前記黒体の温度を基準設定温度に固定させた状態で測定した基板の温度に対する出力電圧をカーブフィッティングによって求めた関数である、請求項4に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項7】
前記第2関数は、
前記基板の温度を基準設定温度に固定させた状態で測定した基板の温度に対する出力電圧をカーブフィッティングによって求めた関数である、請求項4に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項8】
前記赤外線センサモジュールは、
第1バイアス電圧を供給する第1バイアス電源;
前記第1バイアス電圧の大きさより小さい大きさを有する第2バイアス電圧を供給する第2バイアス電源;
一端が前記第1バイアス電源に直列連結されたリファレンスセル;
一端が前記リファレンスセルの他端に連結され、他端は接地されたアクティブセル;及び
(-)端子は前記リファレンスセルと前記アクティブセルの連結ノードに、(+)端子は前記第2バイアス電源に連結され、前記アクティブセルに流れる電流の増加量を積分した出力電圧を提供する積分器;を含む、請求項4に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項9】
前記第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧は、
前記基板の基準設定温度及び前記黒体の基準設定温度において、前記出力電圧が既設定された値になるようにする大きさを有する、請求項8に記載のシャッタを用いた対象体の温度補正装置。
【請求項10】
温度測定モジュールにおいて、対象体の温度及びシャッタの温度を測定する第1段階;
温度センサモジュールにおいて、基板の温度を測定する第2段階;
ノイズ温度演算モジュールにおいて、測定された前記シャッタの温度、測定された前記基板の温度及びシャッタの温度補正値-前記シャッタの温度補正値は、シャッタの実際温度と測定された前記基板の温度との間の差である-を用いてノイズによる温度を演算する第3段階;及び
温度補正モジュールにおいて、測定された前記対象体の温度で演算された前記ノイズによる温度を減算することで前記対象体の温度を補正する第4段階;を含む、シャッタを用いた対象体の温度補正方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法を実行するためのプログラムを記録した、コンピュータ読み出し可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、シャッタを用いた対象体の温度補正装置、方法及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱画像カメラは、高い空間分解能及び温度分解能、非接触方式などの利点により、物体の表面を熱的にイメージ化し、温度分布を測定する広く知られた装置である。
【0003】
このような熱画像カメラを用いて対象物の温度を測定するためには、シャッタの温度に基づいてシャッタの開放前後の出力コード差に対する温度差曲線を求める。この後、求めた出力コード差に対する温度差曲線を適切な次数のフィッティング関数で近似させた後、これを用いて対象体の温度を測定する。
【0004】
このような従来技術によると、対象物の温度を測定するためには、シャッタの温度を測定する必要があるが、シャッタに温度センサを付着することが実質的に不可能であるため、基板に付着された温度センサを介して測定された温度をシャッタの温度と仮定する。
【0005】
しかし、基板の温度とシャッタの実際温度とは差異があり、特に0.5度以下の高い精度で測定しなければならない体温の場合には精度が低下するという問題点がある。
【0006】
また、様々な原因によるノイズによって対象体の温度が精密に測定されないという問題点がある。
【0007】
関連技術として、韓国登録特許第2064582号(「熱画像カメラを用いた温度測定装置、方法及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体」、登録日:2020年01月03日)がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態によると、ノイズの影響なしに対象体の温度を精密に測定することができるシャッタを用いた対象体の温度補正装置、方法及びコンピュータで読み出し可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1実施形態によると、対象体の温度及びシャッタの温度を測定する温度測定モジュール;基板の温度を測定する温度センサモジュール;測定された上記シャッタの温度、測定された上記基板の温度及びシャッタの温度補正値-上記シャッタの温度補正値は、シャッタの実際温度と測定された上記基板の温度との間の差である-を用いてノイズによる温度を演算するノイズ温度演算モジュール;及び測定された上記対象体の温度で演算された上記ノイズによる温度を減算することで上記対象体の温度を補正する温度補正モジュール;を含む、シャッタを用いた対象体の温度補正装置が提供される。
【0010】
本発明の第2実施形態によると、温度測定モジュールにおいて、対象体の温度及びシャッタの温度を測定する第1段階;温度センサモジュールにおいて、基板の温度を測定する第2段階;ノイズ温度演算モジュールにおいて、測定された上記シャッタの温度、測定された上記基板の温度及びシャッタの温度補正値-上記シャッタの温度補正値は、シャッタの実際温度と測定された上記基板の温度との間の差である-を用いてノイズによる温度を演算する第3段階;及び温度補正モジュールにおいて、測定された上記対象体の温度で演算された上記ノイズによる温度を減算することで上記対象体の温度を補正する第4段階;を含む、シャッタを用いた対象体の温度補正方法が提供される。
【0011】
本発明の第3実施形態によると、上記温度補正方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した、コンピュータで読み出し可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によると、シャッタの温度を用いてノイズによる温度を求め、測定された対象体の温度からノイズによる温度を減算して測定された対象体の温度を補正することで、対象体の温度を精密に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る温度測定装置を含む熱画像カメラを示した図面である。
図2】本発明の一実施形態に係る温度測定モジュールの内部ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る赤外線センサモジュールの回路図である。
図4】本発明の一実施形態に係る黒体の基準設定温度で求めた基板の温度に対する出力電圧のカーブフィッティングによって求めた曲線を示した図面である。
図5】本発明の一実施形態に係る基板の基準設定温度で求めた出力電圧に対する黒体の温度のカーブフィッティングによって求めた曲線を示した図面である。
図6】本発明の一実施形態に係るシャッタを用いた対象体の温度補正方法を説明するフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る温度測定方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る温度補正装置を含む熱画像カメラ100を示した図面である。
【0016】
図1に示したように、熱画像カメラ100は、ハウジング111、ハウジング111の上部に備えられたIRウィンドウ112、鏡筒113、鏡筒113の内部に備えられた複数のレンズ114、シャッタ115、基板116、基板116上に備えられた温度補正装置200を含むことができる。
【0017】
上述した温度補正装置200は、対象体の温度及びシャッタの温度を測定する温度測定モジュール210と、基板116上に備えられて基板116の温度を測定する温度センサモジュール240と、測定されたシャッタの温度、測定された基板の温度及びシャッタの温度補正値を用いてノイズによる温度を演算するノイズ温度演算モジュール220、測定された対象体の温度で演算されたノイズによる温度を減算することで対象体の温度を補正する温度補正モジュール230を含むことができる。上記シャッタの温度補正値は、シャッタの実際温度と測定された基板の温度との間の差であることができる。
【0018】
具体的には、温度測定モジュール210は、対象体及びシャッタの温度を測定することができる。測定された対象体及びシャッタの温度は、ノイズ温度演算モジュール220及び温度補正モジュール230に伝達されることができる。温度測定モジュール210の構成及び動作については、図2図5図7を参照して後述する。
【0019】
温度センサモジュール240は基板116上に備えられ、基板116の温度を測定することができる。測定された基板116の温度は、温度測定モジュール210及びノイズ温度演算モジュール220に伝達されることができる。
【0020】
一方、ノイズ温度演算モジュール220は、測定されたシャッタの温度、測定された基板の温度、及びシャッタの温度補正値を用いて、下記数学式1によってノイズによる温度を演算することができる。
[数学式1]
Tnoise=Tsm-(Tsg+ΔTs)
【0021】
ここで、Tnoiseはノイズによる温度、Tsmは測定されたシャッタの温度、Tsgは測定された基板の温度、ΔTsはシャッタの温度補正値であり、シャッタの温度補正値はシャッタの実際温度と基板の温度との間の差である。
【0022】
従来技術で説明したように、シャッタ115には温度センサを付着することが実質的に不可能である。したがって、本発明の一実施形態によると、基板116に付着された温度センサモジュール240で測定した基板116の温度をシャッタ115の温度と類推(仮定)するため、対象体の温度を測定する際に、シャッタの実際温度と基板の温度との間の差であるシャッタの温度補正値は必ず必要である。
【0023】
一方、下記数学式2に記載されるように、測定された対象体(ここで、対象体は既知の温度の黒体(black body source)または既知の温度を有する発熱体と仮定する)の温度と測定されたシャッタの温度にはノイズによる同じサイズの温度成分(Tnoise)が含まれることができる。対象体の温度とシャッタの温度は時間的に連続して測定することで、同じ大きさのノイズによる温度成分を求めることができる。
[数学式2]
Tsm=Tsg+Tnoise+ΔTs
Tbsm=Tbs+Tnoise
【0024】
すなわち、測定されたシャッタの温度(Tsm)は、シャッタ115の温度で類推される基板116の温度(Tsg)、ノイズによる温度(Tnoise)とシャッタの温度補正値(ΔTs)が含まれたものであることができる。同様に、測定された黒体の温度(Tbsm)は、黒体の実際温度(Tbs)とノイズによる温度(Tnoise)が含まれたものであることができる。
【0025】
特に、上述した数学式2のうち一番目の数式から数学式1に記載のノイズによる温度(Tnoise)を求めることができる。
【0026】
なお、上述した数学式1のシャッタの温度補正値(ΔTs)は、下記数学式3から求めることができる。数学式3は、数学式2をΔTsを中心にまとめたものである。
[数学式3]
ΔTs=(Tsm-Tsg)-(Tbsm-Tbs)
【0027】
ここで、ΔTsはシャッタの温度補正値、Tsmは測定されたシャッタの温度、Tsgは測定された基板の温度、Tbsmは測定された黒体の温度、Tbsは既知の黒体の温度であることができる。Tbsmは、既知の温度(Tbs)を有する黒体(または発熱体)を熱画像カメラの前に位置させた後に測定した温度であることができる。
【0028】
すなわち、シャッタの温度補正値(ΔTs)は、シャッタの実際温度と基板の温度との間の差であるが、数学式3から求めることができる。このようなシャッタの温度補正値(ΔTs)は、予め求められる値であることができる。
【0029】
最後に、温度補正モジュール230は、下記数学式4によって、測定された対象体の温度で演算されたノイズによる温度を減算して対象体の温度を補正することで、対象体の実際温度を求めることができる。
[数学式4]
Tt=Ttm-Tnoise
=Ttm-(Tsm-(Tsg+ΔTs))
【0030】
ここで、Ttは対象体の実際温度(補正された対象体の温度)、Ttmは測定された対象体の温度、Tnoiseはノイズによる温度、Tsmは測定されたシャッタの温度、Tsgは測定された基板の温度、ΔTsはシャッタの温度補正値である。
【0031】
一方、図2は、本発明の一実施形態に係る温度測定モジュールの内部ブロック図であり、温度測定モジュール210は、赤外線センサモジュール211、基板温度補償モジュール212、及び温度演算モジュール213を含むことができる。
【0032】
具体的には、温度測定モジュール210のうち、赤外線センサモジュール211は、対象体またはシャッタによって輻射された赤外線による出力電圧を提供するモジュールであり、例えば赤外線センサを含むことができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。以下、図2を参照して赤外線センサモジュール211について説明する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る赤外線センサモジュール211の回路図である。
【0034】
図3に示したように、赤外線センサモジュール211は、第1バイアス電圧を供給する第1バイアス電源(VDD)と、第1バイアス電圧の大きさより小さい大きさを有する第2バイアス電圧を供給する第2バイアス電源(Vrct)と、一端が第1バイアス電源(VDD)に直列連結されたリファレンスセル(Rr)、一端がリファレンスセル(Rr)の他端に連結され、他端は接地(GND)に連結されたアクティブセル(Ra)と、(-)端子はリファレンスセル(Rr)とアクティブセル(Ra)の連結ノードに、(+)端子は第2バイアス電源(Vrct)に連結され、アクティブセル(Ra)を流れる電流の増加量を積分した出力電圧を提供するキャパシタ(C)を含む積分器211aを含んで構成されることができる。
【0035】
上述した第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の大きさは、基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)及び黒体の基準設定温度(Tb_ref)で出力電圧(Vout)が予め設定された値となるようにする大きさを有することができる。なお、上述した第2バイアス電圧の大きさは第1バイアス電源(VDD)の大きさの1/2であるか、または第2バイアス電源(Vrct)の大きさは第1バイアス電源(VDD)の大きさの1/2に基づいて一定範囲内の値であることができる。このように固定された大きさのバイアス電源を印加する理由は、センサに安定した電源を供給するためである。
【0036】
上述したリファレンスセル(Rr)は一定の抵抗値を有し、アクティブセル(Ra)は入射する赤外線(IR)によって内部の抵抗値が変化する素子であることができる。
【0037】
上述した積分器211aは、アクティブセル(Ra)の抵抗値の減少に応じてアクティブセル(Ra)に流れる電流の増加量を積分して出力信号(例えば、電圧)を生成することができる。
【0038】
具体的には、積分器211aは、リファレンスセル(Rr)とアクティブセル(Ra)との間の連結ノードに(-)端子が、(+)端子には第2バイアス電源(Vrct)が印加され、(-)端子と出力端子との間にはキャパシタ(C)が連結された構造を有することができる。
【0039】
図3を参照すると、赤外線(IR)が照射されるとアクティブセル(Ra)の抵抗値は減少するようになり、このような抵抗値の変化を電圧の形態で読み取るためにバイアス電源(VDD、Vrct)が印加されることができる。印加されるバイアス電源(VDD、Vrct)の大きさは、後述するように第1関数を求める際に保存された値が用いられることができる。
【0040】
アクティブセル(Ra)の抵抗値が減少するにつれて、アクティブセル(Ra)に流れる電流は増加し、アクティブセル(Ra)に流れる電流量は積分器211aで一定時間積分されることで、出力信号(Vout)が生成されることができる。
【0041】
発明の理解を助けるために、図3には、1つのリファレンスセル(Rr)と1つのアクティブセル(Ra)のみを例示的に示しているが、アクティブセル(Ra)は少なくとも2つ以上であることができ、各アクティブセル(Ra)はスイッチ(図示せず)を介してリファレンスセル(Rr)に連結されることができることは当業者には明らかである。
【0042】
一方、温度測定モジュール210のうち基板温度補償モジュール212は、黒体の基準設定温度(Tb_ref)で求めた基板116の温度(Tpcb)に対する出力電圧(Vout)間の第1関数(下記数学式5参照)を用いて、赤外線センサモジュール211から供給された出力電圧(Vout)を基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)での出力電圧で補償することができる。
【0043】
一方、上述した第1関数は、黒体(図示せず)の温度を基準設定温度(Tb_ref)に固定させた状態で測定した基板116の温度(Tpcb)に対する出力電圧(Vout)をカーブフィッティングによって求めた関数であることができる。
【0044】
以下、基板の温度(Tpcb)に対する出力電圧(Vout)間の第1関数を求める過程について詳細に説明する。
【0045】
まず、基板116の温度(Tpcb)を基準設定温度(Tpcb_ref、例えば25度)に維持した状態で、基準設定温度(Tb_ref、例えば40度)を有する黒体(図示せず)を熱画像カメラ100の前に位置させた後、バイアス電圧(VDD、Vrct)を可変させながら出力電圧(Vout)の所望の電圧、例えば、0.9Vとなるバイアス電圧(VDD、Vrct)を保存する。
【0046】
この後、保存されたバイアス電圧(VDD、Vrct)を印加し、基準設定温度(Tb_ref、例えば40度)を有する黒体(図示せず)を熱画像カメラ100の前に位置させた状態で、基板116の温度(Tpcb)をTpcb1、Tpcb2、Tpcb3に可変させながら、それぞれの出力電圧(Vout)、例えばVout1、Vout2、Vout3を保存する。
【0047】
この後、基板の温度と出力電圧(Tpcb1-Vout1、Tpcb2-Vout2、Tpcb3-Vout3)のカーブフィッティング(curve fitting)を介して基板の温度(Tpcb)に対する出力電圧(Vout)との間の第1関数を求めることができる。
【0048】
第1関数は、例えば、下記数学式1に示されたような2次関数であることができるが、必ずしも2次関数に限定されるものではないことに留意すべきである。このようにして求めた第1関数による曲線401は、図4のように示すことができる。
[数学式5]
Vout(Tpcb)=2.3125+0.05×Tpcb-0.0025×Tpcb
【0049】
ここで、Vout(Tpcb)は基板温度がTpcbのときの出力電圧、Tpcbは基板の温度であることができる。上述した数学式1は、黒体の温度(Tb)が基準設定温度(Tb_ref)である場合に求められることができる。
【0050】
さらに具体的には、基板温度補償モジュール212は、下記数学式6によって、赤外線センサモジュール211で提供された出力電圧(Vout)から、基板116の温度(Tpcb)と基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)との間の差による出力電圧の変動分を減算することで、提供された出力電圧(Vout)を基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)での出力電圧で補償することができる。
[数学式6]
Voutc=Vout-(Vout(Tpcb)-Vout(Tpcb_ref))
【0051】
ここで、Voutcは補償された出力電圧、Voutは対象体が位置した状態で赤外線センサモジュールから提供された出力電圧、Vout(Tpcb)及びVout(Tpcb_ref)は上述した数学式1にTpcb及びTpcb_refを代入して求めた出力電圧を意味する。上述した出力電圧の変動分は(Vout(Tpcb)-Vout(Tpcb_ref))である。
【0052】
一方、温度測定モジュール210のうち、温度演算モジュール213は、基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)で求めた出力電圧(Vout)に対する黒体の温度(Tb)間の第2関数(下記数学式7参照)を用いて、基板温度補償モジュール212で補償された出力電圧(Voutc)から対象体及びシャッタの温度を求めることができる。
【0053】
すなわち、温度演算モジュール213は、基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)で求めた出力電圧(Vout)に対する黒体の温度(Tb)間の第2関数(下記数学式7参照)の変数であるVoutに補償された出力電圧(Voutc)を代入することで、対象体の温度を求めることができる。
【0054】
上述した第2関数は、基板116の温度を基準設定温度(Tpcb_ref)に固定させた状態で提供された出力電圧(Vout)に対する黒体の温度(Tpcb)をカーブフィッティングによって求めた関数であることができる。
【0055】
以下、出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を求める過程を詳細に説明する。
【0056】
まず、上記で保存されたバイアス電圧(VDD、Vrct)を赤外線センサモジュール211に印加し、基板116の温度(Tpcb)を基準設定温度(Tpcb_ref、例えば25度)に維持させた状態で、熱画像カメラ100の前に位置された黒体の温度(Tb)をTb1、Tb2、Tb3に可変させながら、それぞれの出力電圧(Vout)、例えば、Vout1、Vout2、Vout3を保存する。
【0057】
この後、出力電圧(Vout)に対する黒体の温度(Tb)(Vout1-Tb1、Vout2-Tb2、Vout3-Tb3)をカーブフィッティングによって第2関数を求めることができる。
【0058】
第2関数は、例えば、下記数学式3に示されたような2次関数であることができるが、必ずしも2次関数に限定されるものではないことに留意すべきである。このようにして求めた第2関数による曲線501は、図5のように示されることができる。
[数学式7]
Tb(Vout)=-180+176.667×Vout-33.3333×Vout
【0059】
ここで、Tb(Vout)は黒体の温度、Voutは出力電圧であることができる。
【0060】
上述したように、本発明の一実施形態によると、シャッタの温度を用いてノイズによる温度を求め、測定された対象体の温度からノイズによる温度を減算して測定された対象体の温度を補正することで、対象体の温度を精密に測定することができる。
【0061】
一方、図6は、本発明の一実施形態に係るシャッタを用いた対象体の温度補正方法を説明するフローチャートである。以下、図1及び図6を参照して、本発明の一実施形態に係るシャッタを用いた対象体の温度補正方法を説明する。但し、発明の簡略化のために図1で説明された事項と重複した説明は省略する。
【0062】
図1及び図7に示したように、本発明の一実施形態に係るシャッタを用いた対象体の温度補正方法は、温度測定モジュール210は、対象体及びシャッタの温度を測定する段階によって開始されることができる(S601)。測定された対象体及びシャッタの温度は、ノイズ温度演算モジュール220及び温度補正モジュール230に伝達されることができる。
【0063】
次に、温度センサモジュール240は基板116上に備えられ、基板116の温度を測定することができる(S602)。
【0064】
次に、ノイズ温度演算モジュール220は、測定されたシャッタの温度、測定された基板の温度及びシャッタの温度補正値を用いて、上述した数学式1によってノイズによる温度を演算することができる。ここで、シャッタの温度補正値は、シャッタの実際温度と測定された基板の温度との間の差であることは上述したとおりである。
【0065】
最後に、温度補正モジュール230は、上述した数学式4によって、測定された対象体の温度で演算されたノイズによる温度を減算して対象体の温度を補正することで、対象体の実際温度を求めることができる(S604)。
【0066】
一方、図7は、本発明の一実施形態に係る対象体及びシャッタの温度測定方法を説明するフローチャートであり、図6の段階S601を具体化したものである。
【0067】
以下、図1図4及び図7を参照して、本発明の一実施形態に係る対象体の温度測定方法を説明する。但し、発明の簡略化のために、図1図4で説明された事項と重複した説明は省略する。
【0068】
図1図4及び図7に示したように、まず、赤外線センサモジュール211は、対象体またはシャッタによって輻射された赤外線による出力電圧を提供することができる(S701)。提供された出力電圧は基板温度補償モジュール212に伝達されることができる。
【0069】
次に、基板温度補償モジュール212は、黒体の基準設定温度(Tb_ref)で求めた基板116の温度(Tpcb)に対する出力電圧(Vout)間の第1関数を用いて、赤外線センサモジュール211で提供された出力電圧(Vout)を基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)での出力電圧で補償することができる(S702)。
【0070】
一方、上述した第1関数は、黒体(図示せず)の温度を基準設定温度(Tb_ref)に固定させた状態で測定した基板116の温度(Tpcb)に対する出力電圧(Vout)をカーブフィッティングによって求めた関数であることができ、基板の温度(Tpcb)に対する出力電圧(Vout)間の第1関数を求める過程は上述したとおりである。
【0071】
最後に、温度演算モジュール213は、基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)で求めた出力電圧(Vout)に対する黒体の温度(Tb)間の第2関数を用いて、基板温度補償モジュール212で補償された出力電圧(Voutc)から対象体の温度を求めることができる(S703)。
【0072】
すなわち、温度演算モジュール213は、基板116の基準設定温度(Tpcb_ref)で求めた出力電圧(Vout)に対する黒体の温度(Tb)間の第2関数の変数であるVoutに補償された出力電圧(Voutc)を代入することで、対象体の温度を求めることができる。
【0073】
上述した第2関数は、基板116の温度を基準設定温度(Tpcb_ref)に固定させた状態で提供された出力電圧(Vout)に対する黒体の温度(Tpcb)をカーブフィッティングによって求めた関数であることができ、出力電圧に対する黒体の温度間の第2関数を求める過程は上述したとおりである。
【0074】
上述したように、本発明の一実施形態によると、シャッタの温度を用いてノイズによる温度を求め、測定された対象体の温度からノイズによる温度を減算して測定された対象体の温度を補正することで、対象体の温度を精密に測定することができる。
【0075】
上述した本発明の一実施形態に係るシャッタを用いた対象体の温度補正方法は、コンピュータで実行するためのプログラムで製作され、コンピュータが読み出し可能な記録媒体に保存されることができる。コンピュータが読み出し可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などが含まれる。また、コンピュータが読み出し可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータが読み出し可能なコードが保存されて実行されることができる。そして、上記方法を実現するための機能的な(function)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマによって容易に推論され得る。
【0076】
さらに、本発明を説明することにおいて、「~モジュール」は、様々な方式、例えばプロセッサ、プロセッサによって実行されるプログラム命令、ソフトウェアモジュール、マイクロコード、コンピュータプログラム生成物、ロジック回路、アプリケーション専用集積回路、ファームウェアなどによって実現することができる。
【0077】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではない。添付された特許請求の範囲によって権利範囲を限定し、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者に自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7