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特許7507978乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240621BHJP
   B21B 27/08 20060101ALI20240621BHJP
   B21B 29/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01M4/139
B21B27/08
B21B29/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023538827
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 KR2022016548
(87)【国際公開番号】W WO2023101222
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0172114
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ハク・コン
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-042923(JP,A)
【文献】特開2013-086111(JP,A)
【文献】特開2011-181348(JP,A)
【文献】特開2005-288535(JP,A)
【文献】実開平06-001834(JP,U)
【文献】中国実用新案第213944327(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/139
B21B 27/08
B21B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対で配置され、電極シートを両方向から加圧して延伸する乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールであって、
前記電極シートの幅方向に延長設置される円筒形状のロール本体と、
前記ロール本体の中心部に長手方向に貫通設置されるロール駆動軸と、
前記ロール駆動軸の外側に複数個で形成されてオイルが流動する流路を形成し、前記ロール本体の長手方向に貫通形成されるオイル通路と、を含み、
前記オイル通路と前記ロール駆動軸との間隔は、前記ロール本体の長手方向の両側面で最も大きく形成され、前記ロール本体の中心部で最も小さく形成されている、乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項2】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の一側から中心部に向かって前記間隔が線状に変化するように形成されている、請求項1に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項3】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の一側から中心部に向かって曲線状に形成されている、請求項2に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項4】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向に沿って放物線状に形成されている、請求項3に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項5】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の一側から他側に向かって折曲した形態をなす、請求項1に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項6】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の位置まで前記間隔が一定の線状に形成された後、中心部に向かって前記間隔が線状に変化するように形成されている、請求項5に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項7】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の位置まで前記間隔が一定の線状に形成された後、中心部に向かって曲線状に形成されている、請求項6に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項8】
前記曲線状は放物線状である、請求項7に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項9】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の位置まで前記間隔が一定の線状に形成された後にロール駆動軸側に折曲し、その後、前記間隔が中心部に向かって一定に維持される形態をなす、請求項5に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項10】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の両側面から前記ロール駆動軸に向かって所定の位置まで反り、その後、前記間隔が中心部に向かって一定に維持される形態をなす、請求項5に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【請求項11】
前記オイル通路は、前記ロール本体の長手方向の両側面から前記ロール駆動軸に向かって所定の角度で傾斜して形成された後、中心部で曲線状の境界をなすように互いに当接する、請求項5に記載の乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月3日付の韓国特許出願第10-2021-0172114号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールに関するものである。
【0003】
より詳しくは、本発明は、カレンダリングロールの内部のオイル通路を改善して曲げ剛性を増加させることによって、ロールの変形偏差を減少させ得る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールに関するものである。
【0004】
また、本発明は、乾式電極シートの変形を最小化し得る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールに関するものである。
【背景技術】
【0005】
近年、充放電が可能な二次電池は、ワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広く使用されている。
【0006】
また、二次電池は、携帯電話、ノートパソコン、カムコーダなどの携帯用機器のみならず、化石燃料を使用する既存のガソリン車、ディーゼル車などに起因する大気汚染などを解決するための対策として提示されている電気自動車、ハイブリッド電気自動車などのエネルギー源としても注目されている。
【0007】
したがって、二次電池を使用するアプリケーションの種類は、二次電池の長所により非常に多様化しており、今後は今より多くの分野と製品に二次電池が適用されると予想される。
【0008】
このような二次電池は、電極と電解液の構成によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池などに分類され、電解液の漏液の可能性が少なく、製造が容易なリチウムイオンポリマー電池の使用量が増加している。
【0009】
一般的に、二次電池は、電池ケースの形状に応じて、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒形電池および角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池に分類される。
【0010】
そして、電池ケースに内蔵される電極組立体は、正極、負極および正極と負極との間に分離膜が介在された構造からなる充放電が可能な発電素子であって、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介在して巻取したジェリーロール型、および所定のサイズで形成される多数の正極と負極を分離膜が介在された状態で順次に積層したスタック型に分類される。
【0011】
ここで、電気自動車などは、高出力の電気エネルギーが使用されるため、多数のバッテリーモジュールが必要であり、そのようなバッテリーモジュールは、内部に多数の電池セルが直列または並列に連結される。
【0012】
一方、電極工程において、集電体上に電極活物質、バインダーおよび導電材を含むスラリーを塗布した後、乾燥工程を通してスラリーの溶剤を除去する湿式電極工程を通して電極を製造することが一般的であった。
【0013】
上述したような湿式電極工程は、集電体に塗布されたスラリーから溶剤を除去するためのエネルギーが必要であるため製造コストが高くなり、生産性向上が難しいという点があった。
【0014】
したがって、スラリーを集電体に塗布せずに、乾式電極工程を通して電極を製造する方法が提案されている。
【0015】
乾式電極工程は、電極活物質、バインダーおよび導電材などを溶媒や分散媒などの液状媒質なしで混合して製造し、粉末混合物はカレンダリング工程を通して乾式電極シートに製造され、製造された乾式電極シートを集電体にラミネーティングして電極を製造する方式である。
【0016】
このような乾式電極工程は、既存の湿式電極工程に比べてエネルギー密度を向上させて、充放電特性が向上するため、寿命が既存の湿式電極工程に比べて2倍以上増え、既存の湿式電極工程において求められる乾燥工程が必要でないため、乾燥工程のための乾燥室およびそれに伴う空間、そして乾燥エネルギーコストがかからないという長所がある。
【0017】
ここで、乾式電極工程において、乾式電極シートを製造するためのカレンダリング工程とは、カレンダリングロールプレスを介して乾式電極シートを加圧して延伸する工程をいう。
【0018】
すなわち、図1で図示するように、カレンダリングロールプレス100のカレンダリングロール101は円筒形状体に形成され、上下一対のカレンダリングロール101の間に乾式電極シート108を押し込んで通過させながら乾式電極シート108を延伸するようにカレンダリング工程が行われる。
【0019】
このとき、カレンダリングロール101は回転可能に形成され、両側面の中心部には駆動軸103a、103bがそれぞれ備えられる。
【0020】
ここで、一対のカレンダリングロールは、各駆動軸に静圧がかかるため、カレンダリングロールの中央部が反るという問題点があった。
【0021】
このように、各駆動軸にかかる静圧によってカレンダリングロールの中央部が反ることにより、乾式電極シートの中央部と比べて両側に静圧が強く作用し、乾式電極シートの均一な変形を妨げることになる。
【0022】
また、カレンダリングロールの駆動軸に繰り返してかかる静圧によりカレンダリングロールの両側に座屈現象が発生し、製造される乾式電極シートに不良が発生するという問題点も生じる。
【0023】
このように、乾式電極シートの不良を抑制するためにカレンダリングロールにかかる静圧に対抗するように逆圧を追加でかける方法が提示されたが、そのためには、静圧に対抗する逆圧を発生させる逆圧設備を追加で設置しなければならないので、別途の追加コストが発生すると共に、逆圧設備の設置時にカレンダリングロールプレスの全体構成が複雑になるという問題点があった。
【0024】
また、既存の円筒形状に形成されるカレンダリングロールを、両側よりロールの中央部分の直径を大きく形成し、ロールの長手方向に緩やかな凸の曲線状に形成されるカレンダリングクラウンロールに代替して静圧により発生する座屈現象を抑制する方法が提示されたが、これも乾式電極シートの中央部に座屈現象を発生させるという問題点があった。
【0025】
一方、図2に図示するように、両側面に駆動軸103a、103bが形成されるカレンダリングロール101は、温度調節のために内部にオイルが流動するオイル通路105が複数個で形成されている。オイル通路105は、カレンダリングロール101の長手方向の一側から他側に向かって一直線状に形成される。
【0026】
しかしながら、カレンダリングロールの内部には長手方向に複数個のオイル通路が形成されることにより、両駆動軸に静圧がかかる場合にカレンダリングロール中央部の曲げ剛性が低下するという問題が発生する。
【0027】
したがって、乾式電極シートの生産品質の向上および不良を抑制するために、乾式電極シートの幅内でカレンダリングロールの両側端にかかる静圧によるロールの変形を最小化することが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【文献】韓国登録特許第10-2028611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は上記したような問題点を解決するためのものであって、カレンダリングロールの内部にオイルが流動するオイル通路の形態を改善して曲げ剛性を増加させることによって、ロールの変形偏差を減少させ得る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを提供することを目的とする。
【0030】
そして、本発明は、乾式電極シートの変形を最小化し得る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記したような課題を実現するために、本発明は、一対で配置され、電極シートを両方向から加圧して延伸する乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールにおいて、電極シートの幅方向に延長設置される円筒形状のロール本体と、ロール本体の中心部に長手方向に貫通設置されるロール駆動軸と、ロール駆動軸の外側に複数個で形成されてオイルが流動する流路を形成し、ロール本体の長手方向に貫通形成されるオイル通路と、を含み、オイル通路とロール駆動軸との間隔は、ロール本体の長手方向の両側面で最も大きく形成され、ロール本体の中心部では最も小さく形成されることを特徴とする。
【0032】
一例として、オイル通路は、ロール本体の長手方向の一側から中心部に向かって間隔が線状に変化するように形成される。
【0033】
具体的には、オイル通路は、ロール本体の長手方向の一側から中心部に向かって曲線状に形成される。
【0034】
より具体的には、オイル通路は、ロール本体の長手方向に沿って放物線状に形成される。
【0035】
他の一例として、オイル通路は、ロール本体の長手方向の一側から他側に向かって折曲した形態をなす。
【0036】
具体的には、オイル通路は、ロール本体の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の位置まで間隔が一定の線状に形成された後、中心部に向かって間隔が線状に変化するように形成される。
【0037】
より具体的には、オイル通路は、ロール本体の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の位置まで間隔が一定の線状に形成された後、中心部に向かって曲線状に形成される。
【0038】
より具体的には、曲線状は放物線状である。
【0039】
他の一例として、オイル通路は、ロール本体の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の位置まで間隔が一定の線状に形成された後にロール駆動軸側に折曲し、その後、間隔が中心部に向かって一定に維持される形態をなす。
【0040】
他の一例として、オイル通路は、ロール本体の長手方向の両側面からロール駆動軸に向かって所定の位置まで反り、その後、間隔が中心部に向かって一定に維持される形態をなす。
【0041】
他の一例として、オイル通路は、ロール本体の長手方向の両側面において、ロール駆動軸に向かって所定の角度で傾斜して形成された後、中心部で曲線状の境界をなすように互いに当接する。
【発明の効果】
【0042】
本発明によると、カレンダリングロールの内部にオイルが流動するオイル通路の形態を改善するだけで曲げ剛性を十分に増加させ得、これによりロールの変形偏差を減少させ得る。
【0043】
そして、ロールの変形偏差を改善することにより、乾式電極シートの変形を最小化して乾式電極シートの生産品質を向上させ、不良を抑制し得る。
【0044】
また、カレンダリングロールに静圧で加圧するときに、カレンダリングロールの両側端および乾式電極シートの中央部に発生する座屈現象も防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】従来技術に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを通じたカレンダリング工程を概略的に示す図面である。
図2】従来技術に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す側断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
図4】本実施形態に係るカレンダリングロールを通じたカレンダリング工程を概略的に示す図面である。
図5】本発明の第2実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
図6】本発明の第3実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
図7】本発明の第4実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
図8】本発明の第5実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、一対で配置され、電極シートを両方向から加圧して延伸する乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールにおいて、電極シートの幅方向に延長設置される円筒形状のロール本体と、ロール本体の中心部に長手方向に貫通設置されるロール駆動軸と、ロール駆動軸の外側に複数個で形成されてオイルが流動する流路を形成し、ロール本体の長手方向に貫通形成されるオイル通路と、を含み、オイル通路とロール駆動軸との間隔は、ロール本体の長手方向の両側面で最も大きく形成され、ロール本体の中心部では最も小さく形成される乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを提供する。
【0047】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者が自身の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義し得るという原則に基づいて、本発明の技術的な思想に合致する意味と概念として解釈されるものである。
【0048】
本発明の明細書全体において使用される、「含む」や「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるものである。
【0049】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本発明の明細書において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0050】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、それは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0051】
(第1実施形態)
図3は本発明の第1実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。図4は本実施形態に係るカレンダリングロールによるカレンダリング工程を概略的に示す図面である。
【0052】
図3に図示するように、乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロール10aは、一対で配置される円筒形状のロール本体11と、上記ロール本体11の中心部に形成されるロール駆動軸13と、上記ロール本体11内にオイルが流動する流路を形成するオイル通路15aと、を含む。
【0053】
図4で図示するように、上記ロール本体11は、回転可能に一対で配置され、乾式電極シート21の幅方向に延長設置される円筒形状に形成される。
【0054】
上記したような構造により、上記一対のカレンダリングロール10aにおいてロール本体11の間に投入された乾式電極シート21は、ロール本体11を通過しながら延伸される。
【0055】
上記ロール駆動軸13はシャフト状に形成されて、上記ロール本体11の中心部に長手方向に貫通設置され、上記ロール駆動軸13は上記ロール本体11の両側面の中心部にそれぞれ突出配置される。
【0056】
上記オイル通路15aは、カレンダリングロール10aの温度調節のためのオイルが流動するためのものであって、上記ロール本体11内に形成され、上記ロール駆動軸13の外側にオイルが流動する流路を形成し、上記ロール本体11の長手方向に貫通形成される。
【0057】
このとき、上記オイル通路15aは、ロール駆動軸13の外側に放射状に複数個が形成される。
【0058】
ここで、本発明の第1実施形態によると、上記オイル通路15aとロール駆動軸13との間隔は、上記ロール本体11の長手方向の両側面で最も大きく形成され、上記ロール本体11の中心部では最も小さく形成される。
【0059】
このようなオイル通路15aの形状は、上記各ロール駆動軸13a、13bにかかる静圧に対してロール本体11の曲げ剛性を増加させるためのものであって、上記ロール本体11の両側面におけるオイル通路15aは、ロール駆動軸13と大きな間隔で形成され、ロール駆動軸13から離れて配置され、上記ロール本体11の中央部におけるオイル通路15aは、ロール駆動軸13と小さな間隔で形成され、ロール駆動軸13に近接して配置される。
【0060】
これにより、上記ロール本体11の長手方向の両側面においてオイル通路15aとロール駆動軸13との間隔が最大となり、上記ロール本体11の中心部においてオイル通路15aとロール駆動軸13との間隔は最小となる。
【0061】
このように、上記ロール本体11の長手方向の両側面においてオイル通路15aとロール駆動軸13との間隔を最大限確保することにより、各ロール駆動軸13a、13bにかかる静圧に対する曲げ剛性が増加される。
【0062】
第1実施形態においては、上記オイル通路15aは、上記ロール本体11の長手方向の一側から中心部に向かってロール駆動軸13に対する間隔が線状に変化するように形成される。すなわち、上記オイル通路15aは、ロール本体11の長手方向の一側から中心部に向かってオイル通路15aとロール駆動軸13との間の間隔が線状に変化するように形成される。
【0063】
図示された実施形態によると、上記オイル通路15aは、上記ロール本体11の長手方向の一側から中心部に向かって曲線状に形成される。
【0064】
さらに具体的には、上記オイル通路15aは、上記ロール本体11の長手方向に沿って放物線状に形成される。
【0065】
図示された本発明の第1実施形態においては、上記オイル通路15aの曲線状が放物線状に形成されているが、円弧状または楕円状に形成されることも可能であり、その他多様な曲線状にも変更実施可能である。
【0066】
上記のような構造により、上記カレンダリングロール10aの両側端に突出形成される各ロール駆動軸13a、13bに静圧がかかる場合、静圧による変形が主な問題となるカレンダリングロール10aロール本体11の中心部は、ロール本体11の両側面に生じた変形量に比例した距離で大きく増強され、ロール本体11の両側面においてオイル通路15aに対する間隔がより大きく確保されて静圧に対する曲げ剛性が増大されるため、結果として、カレンダリングロール10aの中央部が反りロール本体11の両側面で強い静圧が作用するといった従来の問題がすべて解決される。
【0067】
このように、上記オイル通路15aとロール駆動軸13との間の間隔が上記ロール本体11の中心部に向かうにつれて小さくなるように構なすることにより、カレンダリングロール10aの曲げ剛性を増加させ得る。これにより、乾式電極シート21の中央に当接するロール本体11の中心部の変形を減少させ得、かつ乾式電極シート21の中央から終端までの変形偏差を最小化し得る。
【0068】
一方、本発明においては、カレンダリング工程に適用されるカレンダリングロール10aのオイル通路15aを改善して、カレンダリングロール10aの両側に形成される各駆動軸13a、13bにかかる静圧に対する曲げ剛性を増大させる構成で説明しているが、二次電池の製造工程に適用されるプレス工程およびラミネーション工程のロールなどに上記した構造を適用して静圧によるロールの曲げ剛性を改善するようになることも可能である。
【0069】
(第2実施形態)
図5は本発明の第2実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
【0070】
図5で図示するように、本実施形態に係るカレンダリングロール10bは、ロール本体11内に形成されるオイル通路15bが上記ロール本体11の長手方向の一側から他側に向かって折曲した形態で形成される。
【0071】
ここで、上記オイル通路15bは、上記ロール本体11の長手方向の両側面から内側に向かって所定の位置まで線状に形成された後、中心部に向かってロール駆動軸13に対する間隔が線状に変化するように形成される。
【0072】
すなわち、第2実施形態においては、上記オイル通路15bが上記ロール本体11の長手方向の両側面から所定の位置までロール駆動軸13に対する間隔が一定の一直線状に形成され、一直線状に形成されるオイル通路15bの端部からは、中心部に向かって間隔が線状に変化する形態で形成される。
【0073】
そして、上記オイル通路15bは、上記ロール本体11の所定の位置まで線状に形成された後には、中心部に向かって曲線状に形成され得る。
【0074】
例えば、線状な曲線状は放物線状であり得る。
【0075】
本実施形態においても、上記オイル通路15bの曲線状が放物線状に形成されるものとして説明しているが、円弧状または楕円状に形成されることも可能であり、その他多様に変更実施可能である。
【0076】
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
【0077】
図6に図示するように、本実施形態に係るカレンダリングロールのロール本体11内に形成されるオイル通路15cは、上記ロール本体11の長手方向の両側面から相互対向する方向に向かって所定の位置まで線状に形成された後、ロール駆動軸13側に折曲し、折曲形成された後には、上記間隔が中心部に向かって一定に維持される形態をなす。
【0078】
すなわち、第3実施形態におけるカレンダリングロール10cのオイル通路15cが、上記ロール本体11の長手方向の両側面から内側に向かって所定の位置まで線状に形成される構成は、第2実施形態と同一であるが、オイル通路15cにおいて線状に形成される部分の次には、ロール駆動軸13に向かって折曲形成され、折曲形成された部分から再び中心部に向かって一直線状に形成される構成である点で違いがある。
【0079】
上記したような構造によると、本実施形態のオイル通路15cは、折曲形成された部分を除いた残りの部分がロール駆動軸13に対して同一の間隔を維持するようになる。
【0080】
ここで、上記オイル通路15cにおいてロール駆動軸13に向かって折曲する部分は斜線方向に斜めに折曲形成されることがオイルの流動上好ましいが、その他多様に変更実施可能である。
【0081】
(第4実施形態)
図7は本発明の第4実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
【0082】
図7に図示するように、本実施形態に係るカレンダリングロールのロール本体11に形成されるオイル通路15dは、上記ロール本体11の長手方向の両側面から内側方向に向かって所定の位置まで反り、その後は上記間隔が一定に維持され続ける形態をなす。
【0083】
すなわち、第4実施形態に係るカレンダリングロール10dのオイル通路15dは、上記ロール本体11の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の位置まで反り、オイル通路15dにおいて反る部分から中心部に向かって一直線状に形成される。
【0084】
上記したような構造により、本実施形態のオイル通路15dは、ロール本体11の両側において反る部分を除いた残りの部分がロール駆動軸13に対して同一の間隔を維持するようになる。
【0085】
(第5実施形態)
図8は本発明の第5実施形態に係る乾式電極製造用カレンダリングロールプレスのカレンダリングロールを概略的に示す図面である。
【0086】
図8で図示するように、本実施形態に係るカレンダリングロール10eのロール本体11に形成されるオイル通路15eは、上記ロール本体11の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の角度で傾斜して形成された後、中心部で曲線状に連結される。
【0087】
すなわち、第5実施形態に係るカレンダリングロール10eのオイル通路15eは、上記ロール本体11の長手方向の両側面から相互対面する方向に向かって所定の角度で傾斜して形成され、おおまかに「V」状に形成され、オイル通路15eの中心部は、曲線状をなすことにより、上記ロール本体11の両側面から傾斜して延長されたオイル通路15eは互いにスムーズに連結される。
【0088】
上記したような構造により、本実施形態に係るオイル通路15eは、第1実施形態で説明したように、上記オイル通路15eは、ロール本体11の両側面ではロール駆動軸13から離れて配置され、逆に、上記ロール本体11の中央部では、ロール駆動軸13に近接して配置されることにより、上記各ロール駆動軸13a、13bにかかる静圧に対して、ロール本体11の曲げ剛性を増加させ得る。
【0089】
以上、本発明について特定実施形態と関連して図示および説明するが、添付の特許請求の範囲に示された発明の思想および領域から逸脱しない限度内で、多様な改造および変化が可能であることは当業界において通常の知識を有する者であれば誰でも容易に分かるものである。
【符号の説明】
【0090】
10a、10b、10c、10d、10e:カレンダリングロール
11:ロール本体
13a、13b:ロール駆動軸
15a、15b、15c、15d、15e:オイル通路
21:乾式電極シート
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】