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特許7507981プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを作製する方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを作製する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240621BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023543480
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2021024051
(87)【国際公開番号】W WO2022153577
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】21305046.1
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】モラン、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】モロヴ、ステファン
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0112798(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0226310(US,A1)
【文献】特開2006-019595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを作製する方法であって、
パワー半導体ダイを誘電材料に挿入するステップと、
前記誘電材料に、誘電材料と、前記誘電材料の両側における薄い導電層とを積層するステップと、
前記積層された銅層及び誘電層を貫通するビアを穿孔するステップと、
第1のプリント回路基板を形成するために前記ビアをメタライズするステップと、
前記第1のプリント回路基板上において、誘電材料と、所定の形態を有する可溶性材料と、導電層とを積層するステップと、
前記導電層を貫通するブラインドビアを穿孔するステップと、
前記ブラインドビアをコーティング/メッキするステップと、
前記ブラインドビアをポリマー樹脂で充填するステップと、
前記可溶性材料を溶解してキャビティを露出させるために、前記可溶性材料に溶剤を注入するステップと、
前記露出されたキャビティに冷却液を注入するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記冷却液を注入する前に、前記露出されたキャビティをコーティング/メッキするステップを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記可溶性材料は、ポリビニルアルコール、ブテンジオールビニルアルコール共重合体又は圧縮形態の無機塩類であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、プリント回路基板における一体型冷却液キャビティと、この一体型冷却液キャビティを作製する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクスの全体的な動向は、変換器の電力密度を増加させることである。この動向は、用途に固有の要件によって牽引されている。一例として、エレクトロモビリティの用途では、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)の場合に、電力密度を増加させることによって、乗員室により多くの空間を割り当てることが可能になり、重量を節減することによって、走行距離の延長又はCO放出の削減が促進される。家電の用途では、スマートフォン又はラップトップの充電器に明確に見ることができるように、よりコンパクトな電力変換器が小型化への鍵である。
【0003】
スイッチング周波数及び電力密度が絶え間なく増加することによって、パワーエレクトロニクスパッケージングの熱的強化が緊急に必要となっている。
【0004】
パワーパッケージングにおいて新たに登場した解決策は、基板、大抵はプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)内にダイを埋め込み、このパワーダイをビアと接続することである。
【0005】
炭化ケイ素(SiC)及び窒化ガリウム(GaN)等のワイドバンドギャップ半導体の出現とともに、高周波数動作に必要とされるより小さなダイ面積、より高い動作温度及びコンパクトなパッケージングの組み合わせが、抽熱に利用可能な表面を縮小している。この状況では、熱がたどる経路のあらゆる部分を最適化する必要がある。熱界面材料層を除くと、埋め込みダイパッケージングの場合に、充填された銅ビア及び残りの誘電材料から構成される層は、この熱経路のボトルネックである。変換器のより高い電力密度を追求すると、ダイの近傍において熱流束密度の増加が起こる。銅マイクロビアの前述の限られた密度は、現在、ハイパワー埋め込みダイパワーパッケージングの熱伝達能力を妨げるものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プリント回路基板における一体型冷却液キャビティと、この一体型冷却液キャビティを作製する方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを作製する方法であって、
パワー半導体ダイを誘電材料に挿入するステップと、
誘電材料に、誘電材料と、誘電材料の両側における薄い導電層とを積層するステップと、
積層された銅層及び誘電層を貫通するビアを穿孔するステップと、
第1のプリント回路基板を形成するためにビアをメタライズするステップと、
第1のプリント回路基板上において、誘電材料と、所定の形態を有する可溶性材料と、導電層とを同じ平面上に積層するステップと、
可溶性材料を溶解してキャビティを露出させるために、可溶性材料に溶剤を注入するステップと、
露出されたキャビティに冷却液を注入するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0008】
本発明はまた、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを作製するデバイスであって、
パワー半導体ダイを誘電材料に挿入する手段と、
誘電材料に、誘電材料と、誘電材料の両側における薄い導電層とを積層する手段と、
積層された銅層及び誘電層を貫通するビアを穿孔する手段と、
第1のプリント回路基板を形成するためにビアをメタライズする手段と、
第1のプリント回路基板上において、誘電材料と、所定の形態を有する可溶性材料と、導電層とを同じ平面上に積層する手段と、
可溶性材料を溶解してキャビティを露出させるために、可溶性材料に溶剤を注入する手段と、
露出されたキャビティに冷却液を注入する手段と、
を備えることを特徴とする、デバイスに関する。
【0009】
したがって、冷却剤は、ダイと冷却剤との間の熱経路を大幅に削減する最も近い導電層と直接接触する。
【0010】
特定の特徴によれば、方法は、溶剤を注入する前に、導電層を貫通するブラインドビアを穿孔するステップを含む。
【0011】
特定の特徴によれば、方法は、ブラインドビアをコーティング/メッキするステップを更に含む。
【0012】
したがって、導電層間の電気的導通がもたらされ、露出されるキャビティの上方の導電層は、これらのビアによって支持される。
【0013】
特定の特徴によれば、方法は、冷却液を注入する前に、露出されたキャビティをコーティング/メッキするステップを含む。
【0014】
したがって、プリント回路基板の内部におけるキャビティの製造は、可溶性部分の使用によって可能である。実際、この部分は、全ての積層ステップの間、圧力を保持し、未硬化の誘電材料がその後キャビティとなる部分に流れ込むことを防止する。この部分は、プリント回路基板構造内にトラップされるので、可溶性材料のみが使用され得る。
【0015】
特定の特徴によれば、可溶性材料は、ポリビニルアルコール、ブテンジオールビニルアルコール共重合体又は圧縮形態の無機塩類である。
【0016】
本発明の特徴は、例示の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1a】誘電材料内に挿入されているパワー半導体を表す図である。
図1b】誘電材料内に挿入されているダイの拡大断面図である。
図2】誘電材料と両側における導電材料の層との積層後のプリント回路基板を表す図である。
図3】ビアのレーザー穿孔後のプリント回路基板を表す図である。
図4】プリント回路基板の導電材料のエッチングを表す図である。
図5】可溶性材料から構成される特殊形成された(specifically formed)スタンプ及び厚い導電層の積層とともに誘電材料を積層した後のプリント回路基板を表す図である。
図6】ブラインドビアの機械的穿孔後のプリント回路基板を表す図である。
図7】パワー半導体の冷却に使用される開口部の穿孔後のプリント回路基板を表す図である。
図8】一体型冷却液キャビティ実現後のプリント回路基板の断面図である。
図9】本発明による、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するデバイスのアーキテクチャを表す図である。
図10】本発明による、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するアルゴリズムの一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1aは、誘電材料内に挿入されているパワー半導体を表している。
【0019】
図1の例では、誘電材料11は、それぞれのパワー半導体ダイDi1及びDi2が挿入される第1のキャビティ及び第2のキャビティを有する。
【0020】
コアの厚さは、挿入されるダイの厚さに近い。ダイの電極12が図1に示されている。
【0021】
図1bは、誘電材料11内に挿入されているダイDi1の拡大断面図を表している。
【0022】
図2は、プリント回路基板20を得るために、誘電材料21と、誘電材料11の両側における例えば銅層のような薄い導電性材料22とを積層した後の誘電材料11を表している。
【0023】
積層中、誘電材料21は、キャビティ内に残された空間内に流入していき、したがって、ダイDi1をプリント回路基板20内に「トラップしていく(trapping)」。
【0024】
その段階において、ダイの上部電極及び下部電極は、導電性材料に接続されていない。
【0025】
図3は、プリント回路基板20上でのビアのレーザー穿孔後のプリント回路基板30を表している。
【0026】
導電性材料及び誘電層の双方を貫通するマイクロメートルスケールでのビアのレーザー穿孔後に、例えば、無電解銅メッキ及び電気銅メッキから構成されるシーケンスを使用するビアのメタライゼーションによって、電気的導通がもたらされる。
【0027】
図4は、プリント回路基板の導電材料のエッチングを表している。
【0028】
このステップによって、パワーダイ電極を外部構成要素と接続する所望の回路部が作製される。
【0029】
明瞭にするために、図4には、ダイのグリッドの接続部40のみが示されている。
【0030】
図5は、可溶性材料から構成される特殊形成されたスタンプ及び厚い導電層の積層とともに誘電材料を積層した後のプリント回路基板50を表している。
【0031】
導電層22の上部には、可溶性材料から構成される特殊形成されたスタンプ53とともに誘電材料52が積層される。誘電材料と同時に、その上部に厚い導電層51が積層される。図5の例では、可溶性材料はT字形である。この可溶性材料から構成される部分は、この部分全体を貫通するハーフパイプ状の形状部55を特徴として備え、最終的なデバイスのエッジに向けて誘導される少なくとも1つの出口を有する。この特殊な形状は、最小の液体の流れで溶解ステップを開始することができるように意図されたものである。液体の流れを可能にし、積層圧力を保持する限り、他の形状もキャビティに使用することができる。
【0032】
好ましくは、可溶性材料は、少なくとも一部は冷却中に、使用される冷却液材料に溶解できるものである。例えば、冷却液材料は水である。例えば、可溶性材料は、積層温度に耐えることができるポリビニルアルコール(PVA:Polyvinyl alcohol)である。例えば、可溶性材料はブテンジオールビニルアルコール共重合体である。例えば、可溶性材料は、例えば圧縮形態のNaClのような無機塩類である。
【0033】
図6は、ブラインドビアの機械的穿孔後のプリント回路基板を表している。ブラインドビア60は、厚い銅51の層を貫通して薄い導電層22に至るまで機械的に穿孔される。これらのビアは2つの目的を適える。第1の目的は、外部導電層と内部導電層との間の電気的導通を提供することである。第2の目的は、露出されるキャビティの支柱としての役割である。これらの支柱は、キャビティにまたがる厚い導電層を保持する。ビア60は、構造ビア(structural via)と呼ばれる。構造ビアは、例えば、銅メッキされる。ビア60をメッキする目的は、冷却剤に対するバリアを形成することであり、必要とされるメッキの厚さは数十マイクロメートルにすぎない。ビア60は、強度を追加する必要がある場合には、ポリマー樹脂で満たすことができる。
【0034】
図7は、パワー半導体の冷却に使用される開口部の穿孔後のプリント回路基板を表している。
【0035】
冷却に使用される開口部70は、標準的なミリング/穿孔システムによって機械加工される。用途に応じて、開口部は、孔(hole)とすることもできるし、より複雑な形状のキャビティとすることもできる。この開口部の深さは、厚い導電層と可溶性材料との合計よりも僅かに小さい。開口部70は、可溶性材料の上部に位置し、可溶性材料においてハーフパイプ状の形状部55を露出させる。
【0036】
図8は、一体型冷却液キャビティ実現後のプリント回路基板の断面図を表している。
【0037】
プリント回路基板の両側にあるスロットが、液体が流れることができるように切除される。ノズル85が、一部の開口部又は全ての開口部の入口に配置される。溶剤は、開口部を通って流れていき、キャビティを通って流れ続け、最終的にプリント回路基板の側部から出ていく。注入の間、材料は溶解していき、内部構造部が、厚い導電層の下方で次第に露出される。この注入ステップは、全ての可溶性材料が完全に除去されると終了する。
【0038】
この段階において、支柱表面、内部構造部80の床及び天井は、導電材料から構成され、他の壁は誘電材料(プリプレグ)から構成される。一般に、製造中のプリント回路基板上で使用される誘電材料は親水性であり、水性の液体を吸収した後に膨張する傾向がある。冷却剤が浸透しないキャビティを作製するために、無電解析出及び電解析出が行われる。構造ビア60に関して、メッキに必要とされる厚さは、誘電材料を冷却剤から保護するコーティングを有する必要性によって定まる。
【0039】
図9は、本発明による一体型冷却液キャビティを用いてプリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するデバイスのアーキテクチャを表している。
【0040】
プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するデバイス80は、例えば、バス901によって互いに接続された構成要素と、図10に開示されているようなプログラムによって制御されるプロセッサ900とに基づくアーキテクチャを有する。
【0041】
バス901は、プロセッサ900を、リードオンリーメモリROM902、ランダムアクセスメモリRAM903、及び入出力I/OインターフェースI/F905にリンクする。
【0042】
メモリ903は、変数と、図10に開示されているアルゴリズムに関係したプログラムの命令とを収容することを目的としたレジスタを含む。
【0043】
リードオンリーメモリ、又は場合によってフラッシュメモリ902は、図10に開示されているようなアルゴリズムに関係したプログラムの命令を含む。このプログラムは、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するデバイス80に電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ903にロードされる。或いは、このプログラムは、ROMメモリ902から直接実行することもできる。
【0044】
プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するデバイス80によって行われる制御は、PC(パーソナルコンピューター)、DSP(デジタル信号プロセッサ)又はマイクロコントローラー等のプログラマブルコンピューティングマシンによる命令又はプログラムのセットの実行によってソフトウェアにおいて実装することもできるし、マシン、又は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)等の専用構成要素によってハードウェアにおいて実装することもできる。
【0045】
換言すれば、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するデバイス80は、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するデバイス80に、図10に開示されるようなアルゴリズムに関連したプログラムを実行させる回路部、又は回路部を備えるデバイスを備える。
【0046】
図10は、本発明による、プリント回路基板に一体型冷却液キャビティを実現するアルゴリズムの一例を表している。
【0047】
ステップS1000において、パワー半導体が誘電材料内に挿入される。
【0048】
図1の例では、誘電材料11は、それぞれのパワー半導体ダイDi1及びDi2が挿入される第1のキャビティ及び第2のキャビティを有する。
【0049】
コアの厚さは、挿入されるダイの厚さに近い。
【0050】
ステップS1001において、誘電材料11に、誘電材料21と、誘電材料11の両側における導電性材料22の層とが積層される。
【0051】
積層中、誘電材料21は、キャビティ内に残された空間内に流入していき、したがって、ダイDi1をプリント回路基板20内に「トラップしていく」。
【0052】
ステップS1002において、導電層及び誘電層の双方を貫通するマイクロメートルスケールでのビアのレーザー穿孔が行われ、これらのビアのメタライゼーションが、例えば、無電解メッキ及び電気メッキから構成されるシーケンスを使用して行われる。
【0053】
ステップS1003において、パワーダイ電極を外部構成要素と接続する所望の回路部が作製される。
【0054】
明瞭にするために、図4には、ダイのグリッドの接続部40のみが示されている。
【0055】
ステップS1004において、可溶性材料から構成される特殊形成されたスタンプ及び厚い導電層とともに誘電材料の積層がプリント回路基板上で行われる。
【0056】
導電層22の上部には、可溶性材料から構成される特殊形成されたスタンプ53とともに誘電材料52の積層が行われる。誘電材料と同時に、その上部に厚い導電層51が積層される。
【0057】
この可溶性材料から構成される部分は、その側部に向けて誘導されるハーフパイプ状の形状部55を特徴として備える。この特殊な形状は、最小の液体の流れで溶解ステップを開始することができるように意図されたものである。液体の流れを可能にし、積層圧力を保持する限り、他の形状もキャビティに使用することができる。
【0058】
好ましくは、可溶性材料は、少なくとも一部は冷却中に、使用される冷却液材料に溶解できるものである。例えば、冷却液材料は水である。例えば、可溶性材料は、積層温度に耐えることができるポリビニルアルコール(PVA)である。例えば、可溶性材料はブテンジオールビニルアルコール共重合体である。例えば、可溶性材料は、例えば圧縮形態のNaClのような無機塩類である。
【0059】
ステップ1005において、ブラインドビア60が、厚い銅51の層を貫通して薄い導電層に至るまで機械的に穿孔される。ビア51は2つの目的を適える。第1の目的は、外部導電層を内部導電層に電気的に接続することである。第2の目的は、露出されるキャビティの支柱としての役割である。これらの支柱は、キャビティにまたがる厚い導電層を保持する。ビア60は、構造ビアと呼ばれる。構造ビアは、例えば、銅を使用してメッキされる。ビア60をメッキする目的は、冷却剤に対するバリアを形成することであり、必要される厚さは数十マイクロメートルにすぎない。ビア60は、強度を追加する必要がある場合には、ポリマー樹脂で満たすことができる。
【0060】
ステップ1006において、電気的接続を提供するために、導電層がエッチングされる。
【0061】
ステップ1007において、パワー半導体の冷却に使用される開口部が穿孔される。
【0062】
冷却に使用される開口部70は、標準的なミリング/穿孔システムによって機械加工される。用途に応じて、開口部は、孔とすることもできるし、より複雑な形状のキャビティとすることもできる。この開口部の深さは、厚い導電層と可溶性材料との合計よりも僅かに小さい。開口部70は、可溶性材料の上部に位置し、可溶性材料においてハーフパイプ状の形状部55を露出させる。
【0063】
ステップS1008において、プリント回路基板の両側にあるスロットが、液体が流れることができるように切除される。
【0064】
ステップS1010において、ノズル85が、一部の開口部又は全ての開口部の入口に配置される。溶剤は、開口部を通って流れていき、キャビティを通って流れ続け、最終的にプリント回路基板の側部から出ていく。溶剤の注入の間、材料は溶解していき、内部構造部が、厚い導電層の下方で露出され、全ての可溶性材料が完全に除去されると終了する。
【0065】
この段階において、支柱表面、内部構造部80の床及び天井は、導電材料から構成され、他の壁は誘電材料(プリプレグ)から構成される。一般に、製造中のプリント回路基板上で使用される誘電材料は親水性であり、水性の液体を吸収した後に膨張する傾向を有する。冷却剤が浸透しないキャビティを作製するために、導電材料の無電解析出及び電解析出が行われる。構造ビア60に関して、メッキに必要とされる厚さは、誘電材料を冷却剤から保護するコーティングを有する必要性によって定まる。
【0066】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10