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▶ 渡部 真理子の特許一覧

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  • 特許-縫製方法 図1
  • 特許-縫製方法 図2
  • 特許-縫製方法 図3
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  • 特許-縫製方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】縫製方法
(51)【国際特許分類】
   D05B 97/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
D05B97/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024018673
(22)【出願日】2024-02-09
【審査請求日】2024-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524055908
【氏名又は名称】渡部 真理子
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】渡部 真理子
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】2本取りで玉留めの糸が短い場合の対処法,YouTube [online] [video],2018年06月18日,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=N0MNhuZgS3k>,[2024年3月19日検索]
【文献】[玉止めのコツ]これで玉止めの失敗からオサラバ!!ちょっとした一工夫で縫い終わりのすぐ近くに玉止め出来ますっ!!,YouTube [online] [video],2020年10月14日,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=3lrf3DCA1DE>,主に、1:51~4:11を参照。,[2024年3月19日検索]
【文献】[これを見ればもう大丈夫!]玉結び・玉止めのやり方&うまくいかない原因解説,YouTube [online] [video],2021年12月28日,<URL:https://www.youtube.com/watch?v=P-gq5jLZ54w>,主に、9:31~10:42を参照。,[2024年3月19日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 1/00-97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸を2本取りで縫い始めるステップと、
縫い終わり位置近傍で2本のうち一方の前記糸を切るステップと、
縫い終わり位置近傍で前記糸が通っている針を裏側に挿通するステップと、
縫い終わり位置近傍で前記糸が通っている前記針を表側に挿通するステップと、
前記針から前記糸を外すステップと、
離れた位置から出ている両方の前記糸の両端を結ぶステップと、
この順に備える、縫製方法。
【請求項2】
前記糸を切るステップは、前記針に通っていない他方の前記糸の長さが、少なくとも2cmを超える位置で糸を切るステップである、請求項1に記載された、縫製方法。
【請求項3】
前記針を裏側に挿通する位置、及び、前記針を表側に挿通する位置は、縫い始め位置から縫い終わり位置の方向の延長線上に位置するようにされている、請求項1又は請求項2に記載された、縫製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫製方法のうち縫い終わりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、2本取りで縫い始めた場合には、縫い終わりを玉止めすることが一般的である。これに関連して、従来から、コンピュータミシンを用いて止め縫いを実行する手法が開発されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された止め縫い方法は、止め縫いを実行する直前の模様端の形状に合わせて適切な止め縫いパターンを用いて止め縫いを実行しようとするものであり、マイクロコンピユータの固定記憶部には複数の止め縫いパターン信号を記憶しておき、止め縫いが実行される時点において、マイクロコンピユータが模様番号やその止め縫い実行時点の模様の縫い目座標等から当該模様端に適切な止め縫いパターンを選択するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭59-194782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の縫製方法は、ミシンを使用する場合において、糸の長さに余裕がある際に使用される技術である。このため、糸の長さに余裕がない場合には適用できない技術である。
【0006】
そこで、本発明は、糸の長さに余裕がない場合でも、玉止めすることのできる、縫製方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の縫製方法は、糸を2本取りで縫い始めるステップと、縫い終わり位置近傍で2本のうち片方の前記糸を切るステップと、縫い終わり位置近傍で前記糸が通っている針を裏側に挿通するステップと、縫い終わり位置近傍で前記糸が通っている前記針を表側に挿通するステップと、前記針から前記糸を外すステップと、両方の前記糸を結ぶステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明の縫製方法は、糸を2本取りで縫い始めるステップと、縫い終わり位置近傍で2本のうち片方の前記糸を切るステップと、縫い終わり位置近傍で前記糸が通っている針を裏側に挿通するステップと、縫い終わり位置近傍で前記糸が通っている前記針を表側に挿通するステップと、前記針から前記糸を外すステップと、両方の前記糸を結ぶステップと、を備えている。このような縫製方法の工程であれば、縫い終わり位置において糸の長さが短く玉止めできない状態であっても、
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】縫製方法の手順を説明するフローチャートである。
図2】縫製方法の手順1、2を示す写真(a)、(b)である。
図3】縫製方法の手順3、4を示す写真(c)、(d)である。
図4】縫製方法の手順5、6を示す写真(e)、(f)である。
図5】縫製方法の手順7、8を示す写真(g)、(h)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例
【0011】
(手順)
図1のフローチャート、及び、図2図5に示す写真(a)~(h)を用いて、本発明の縫製方法の手順を説明する。本発明の縫製方法は、図1のステップS1~ステップS8をこの順に実行することで実施される。なお、以下の説明と写真(a)~(h)において、人の手によって作業するものとして説明するが、これに限定されるものではなく、機械によって実行することも可能である。
【0012】
1)2本取りで縫い始める(ステップS1):
すなわち、図1(a)に示すように、針3の針穴31に糸2を通して縫い始める。糸2の長さとしては、縫い始め位置から縫い終わり位置までの長さの2倍以上の長さが必要となる。そうすることで、縫い始め位置から縫い終わり位置まで2本の糸で縫うことができる。なお、縫い始め位置は、例えば、2本取りの糸2のループ状になっていない側の2つの端部を一緒に結ぶことで玉結びを作って止める。したがって、針3の針穴31には、ループ状(環状)に糸2が挿通されている。
【0013】
2)糸が短いため、玉止めできない(ステップS2):
すなわち、図1(b)に示すように、糸2の表側に出ている部分の長さが針3の長さよりも短いため、玉止めできなくなっている。本発明の縫製方法は、以下に説明するように、この場合でも適用可能である。
【0014】
3)片方の糸を切る(ステップS3):
すなわち、図2(c)に示すように、ループ状になって針3の針穴31に挿通されている糸2を切る。なお、この糸2を切る位置は、後の工程での結び易さを考慮すると、針3に通っていない糸2Bの長さが、少なくとも2(cm)を超える位置とすることが好ましい。
【0015】
4)縫い終わりのすぐ横から針を裏側に出す(ステップS4):
すなわち、図2(d)に示すように、縫っている方向の延長線上に、縫い終わり位置近傍において糸2Aが通っている針3を表側から裏側に挿通する。
【0016】
5)すぐ横から、また針を表側に出す(ステップS5):
すなわち、図3(e)に示すように、縫っている方向の延長線上に、縫い終わり位置近傍において糸2Aが通っている針3を再び裏側から表側に挿通する。
【0017】
6)針から糸をはずす(ステップS6):
すなわち、図3(f)に示すように、糸2Aが通っている針3の針穴31から糸2Aを抜き取る。
【0018】
7)糸の両端を結ぶ(ステップS7):
すなわち、図4(g)に示すように、例えば、機械で又は手で、2つの糸2A、2Bの両端を結ぶ。なお、糸2A、2Bは、解けないように2回結ぶことが好ましい。
【0019】
8)余分な糸を切る(ステップS8):
最後に、図4(h)に示すように、糸2A、2Bを結んだ後に、結ばれた箇所から出ている余分な糸2A、2Bを切る。
【0020】
(作用・効果)
次に、本実施例の縫製方法の奏する作用・効果について説明する。
【0021】
(1)上述してきたように、本実施例の縫製方法は、糸2を2本取りで縫い始めるステップと、縫い終わり位置近傍で2本のうち一方の糸2を切るステップと、縫い終わり位置近傍で糸2Aが通っている針3を裏側に挿通するステップと、縫い終わり位置近傍で糸2Aが通っている針3を表側に挿通するステップと、針3から糸2Aを外すステップと、両方の糸2A、2Bを結ぶステップと、を備えている。本実施例の縫製方法は、このような工程を備えることで、2本取りで縫い終わり位置において、糸2の長さに余裕がない場合でも、玉止めすることができる。
【0022】
(2)また、糸2を切るステップは、針3に通っていない他方の糸2Bの長さが、少なくとも2cmを超える位置で糸2を切るステップであることが好ましい。このようにすれば、糸2Aと糸2Bとを結び易くなる。
【0023】
(3)さらに、針3を裏側に挿通する位置、及び、針3を表側に挿通する位置は、縫い始め位置から縫い終わり位置の方向の延長線上に位置するようにされていることにより、仕上がりが美しく、違和感のない縫い終わりとなる。
【0024】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0025】
本発明においては、各ステップを備える「縫製方法」との名称を用いているが、これに限定されるものではなく、他の名称-例えば「切り返し結び」-と称することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明で説明した「縫製方法」は、個人的に利用され得るものではあるものの、営業の可能性がある。したがって、「業として利用できない発明」に該当せず、産業上の利用可能性の要件を満たす発明である。
【符号の説明】
【0027】
1 布
1A 表面
1B 裏面
2 糸
3 針
31 針穴
【要約】
【課題】糸の長さに余裕がない場合でも、玉止めすることのできる、縫製方法を提供する。
【解決手段】本実施例の縫製方法は、糸2を2本取りで縫い始めるステップと、縫い終わり位置近傍で2本のうち一方の糸2を切るステップと、縫い終わり位置近傍で糸2Aが通っている針3を裏側に挿通するステップと、縫い終わり位置近傍で糸2Aが通っている針3を表側に挿通するステップと、針3から糸2Aを外すステップと、両方の糸2A、2Bを結ぶステップと、を備えている。糸2を切るステップは、針3に通っていない他方の糸2Bの長さが、少なくとも2cmを超える位置で糸2を切るステップであることが好ましい。このようにすれば、糸2Aと糸2Bとを結び易くなる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5