(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】重複接触解析方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/258 20110101AFI20240621BHJP
【FI】
H04N21/258
(21)【出願番号】P 2024051581
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田村 玄
(72)【発明者】
【氏名】▲高山▼ 奈央人
(72)【発明者】
【氏名】古谷 陽典
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-182069(JP,A)
【文献】特開2023-161071(JP,A)
【文献】特開2021-77153(JP,A)
【文献】特開2022-74563(JP,A)
【文献】特開2002-209204(JP,A)
【文献】特開2016-58783(JP,A)
【文献】特開2002-247472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を介して放送コンテンツを送信する放送コンテンツ送信と、ネットワークを介して該放送コンテンツと対比されるWEBサービスとが提供される場合において、該放送コンテンツと該WEBサービスとの重複接触を解析する重複接触解析方法において、
前記WEBサービスの提供先を識別するデジタルIDで識別されたWEBサービスログデータに対して、該デジタルIDに属性を付与したデジタルID属性テーブル生成するデジタルID属性テーブル生成工程と、
前記デジタルID属性テーブル生成工程により生成された前記デジタルID属性テーブルと、前記放送コンテンツ送信を受信して視聴した放送視聴に関してテレビIDで識別されたテレビログデータとを、前記デジタルIDと該テレビIDとで突合させることにより得られるテレビデジタル属性対応テーブルを生成するテレビデジタル属性対応テーブル生成工程と、
前記放送コンテンツ送信を受信して視聴した放送視聴に関してテレビIDで識別されたテレビログデータに対して、該テレビIDに属性を付与したテレビID属性テーブルを生成するテレビID属性テーブル生成工程と、
前記テレビID属性テーブル生成工程で生成された前記テレビID属性テーブルと、前記テレビデジタル属性対応テーブル生成工程により生成された前記テレビデジタル属性対応テーブルとを、該テレビID属性テーブルの属性と該テレビデジタル属性対応テーブルの属性とにより統合したクロスディバイスマッチングテーブルを生成するクロスディバイスマッチングテーブル生成工程と
を実行することを特徴とする重複接触解析方法。
【請求項2】
請求項1記載の重複接触解析方法において、
テレビデジタル属性対応テーブル生成工程は、前記テレビログデータの前記テレビIDのIPアドレスと前記デジタルID属性テーブルの前記デジタルIDのIPアドレスとの共通性に加えて、該テレビログデータおよび前記WEBサービスログデータに付されたタイムスタンプが所定期間内であることを条件に、該テレビIDと該デジタルIDとを突合させることを特徴とする重複接触解析方法。
【請求項3】
請求項1記載の重複接触解析方法において、
クロスディバイスマッチングテーブル生成工程は、
前記テレビID属性テーブルの属性と、前記テレビデジタル属性対応テーブルの属性とが完全一致する場合のほか、これらの属性が所定の許容近似属性となる場合を含めて統合した前記クロスディバイスマッチングテーブルを生成することを特徴とする重複接触解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を介して放送コンテンツを送信する放送コンテンツ送信と、ネットワークを介して該放送コンテンツと対比されるWEBサービスとが提供される場合において、該放送コンテンツと該WEBサービスとの重複接触を解析する重複接触解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の解析システムとしては、下記特許文献1に示すように、機器のIPアドレス、機器ID、および利用履歴を含む機器ログを記憶する機器ログデータベースから機器ログを取得すると共に、ユーザの携帯端末のIPアドレス、端末特定情報、および利用履歴を含む端末ログを取得し、IPアドレスおよび利用履歴が互いに一致する機器とユーザの携帯端末とを関連付けることにより、個人単位での機器の利用状況を把握可能にするものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の従来の解析システムでは、ユーザの携帯端末を必須の構成とするものであり、携帯端末の端末ログがない場合には機器ログデータの関連付けができないという致命的な問題があった。
【0005】
以上の事情に鑑みて、本発明は、簡易かつ確実に放送コンテンツとWEBサービスとの重複接触を解析することができる重複接触解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の重複接触解析方法は、放送を介して放送コンテンツを送信する放送コンテンツ送信と、ネットワークを介して該放送コンテンツと対比されるWEBサービスとが提供される場合において、該放送コンテンツと該WEBサービスとの重複接触を解析する重複接触解析方法において、
前記WEBサービスの提供先を識別するデジタルIDで識別されたWEBサービスログデータに対して、該デジタルIDに属性を付与したデジタルID属性テーブル生成するデジタルID属性テーブル生成工程と、
前記デジタルID属性テーブル生成工程により生成された前記デジタルID属性テーブルと、前記放送コンテンツ送信を受信して視聴した放送視聴に関してテレビIDで識別されたテレビログデータとを、前記デジタルIDと該テレビIDとで突合させることにより得られるテレビデジタル属性対応テーブルを生成するテレビデジタル属性対応テーブル生成工程と、
前記放送コンテンツ送信を受信して視聴した放送視聴に関してテレビIDで識別されたテレビログデータに対して、該テレビIDに属性を付与したテレビID属性テーブルを生成するテレビID属性テーブル生成工程 と、
前記テレビID属性テーブル生成工程で生成された前記テレビID属性テーブルと、前記テレビデジタル属性対応テーブル生成工程により生成された前記テレビデジタル属性対応テーブルとを、該テレビID属性テーブルの属性と該テレビデジタル属性対応テーブルの属性とにより統合したクロスディバイスマッチングテーブルを生成するクロスディバイスマッチングテーブル生成工程と
を実行することを特徴とする。
【0007】
第1発明の重複接触解析方法によれば、まず、デジタルIDに属性が付与されたデジタルID属性テーブルを生成し(デジタルID属性テーブル生成工程)、次いで、生成したデジタルID属性テーブルとテレビIDで識別されたテレビログデータとを、デジタルIDとテレビIDとを突合させることによりテレビデジタル属性対応テーブルを生成する(テレビデジタル属性対応テーブル生成工程)。
【0008】
ここで、テレビデジタル属性対応テーブルは、テレビログデータとデジタルID属性テーブルを統合したものであり、付与されている属性は、デジタルIDに付与された属性となっている。
【0009】
そこで、テレビログデータに対して、テレビIDに属性を付与したテレビID属性テーブルを生成することで(テレビID属性テーブル生成工程)、テレビログデータに属性を付与しておき、これらテレビデジタル属性対応テーブルとテレビID属性テーブルとの属性をキーにマッチングを行いクロスディバイスマッチングテーブルを生成することで、簡易かつ確実に、放送コンテンツとWEBサービスとの利用状況を対比できる解析指標とすることができる。
【0010】
このように、第1発明の重複接触解析方法によれば、簡易かつ確実に放送コンテンツとWEBサービスとの重複接触を解析することができる。
【0011】
第2発明の重複接触解析方法は、第1発明において、
テレビデジタル属性対応テーブル生成工程は、前記テレビログデータの前記テレビIDのIPアドレスと前記デジタルID属性テーブルの前記デジタルIDのIPアドレスとの共通性に加えて、該テレビログデータおよび前記WEBサービスログデータに付されたタイムスタンプが所定期間内であることを条件に、該テレビIDと該デジタルIDとを突合させることを特徴とする。
【0012】
第2発明の重複接触解析方法によれば、IPアドレスは適宜変更され得るところ、タイムスタンプが所定期間内であることを条件にIPアドレスの共通性を判定することで、実際にテレビデジタル属性対応テーブルを生成することができる。
【0013】
このように、第2発明の重複接触解析方法によれば、実際に、簡易かつ確実に放送コンテンツとWEBサービスとの重複接触を解析することができる。
【0014】
第3発明の重複接触解析方法は、第1発明において、
クロスディバイスマッチングテーブル生成工程は、
前記テレビID属性テーブルの属性と、前記テレビデジタル属性対応テーブルの属性とが完全一致する場合のほか、これらの属性が所定の許容近似属性となる場合を含めて統合した前記クロスディバイスマッチングテーブルを生成することを特徴とする。
【0015】
第3発明の重複接触解析方法によれば、各々独立に付与された属性を有するテレビID属性テーブルとテレビデジタル属性対応テーブルでは、必ずしも属性が完全に一致するとは限らないところ、両属性が完全に一致しない場合に、これらの属性が所定の許容近似属性となる場合を含めて統合することで、実際値に反して、重複するデータ数が極端に低下することを補正することができる。
【0016】
このように、第3発明の重複接触解析方法によれば、より現実に即した形で、簡易かつ確実に放送コンテンツとWEBサービスとの重複接触を解析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の重複接触解析方法の処理内容を示すフローチャート。
【
図2】
図1のデジタルID属性テーブル生成工程の処理内容を示す説明図。
【
図3】
図1のテレビデジタル属性対応テーブル生成工程の処理内容を示す説明図。
【
図4】
図1のテレビID属性テーブル生成工程の処理内容を示す説明図。
【
図5】
図1のクロスディバイスマッチングテーブル生成工程の処理内容を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態の重複接触解析方法の処理内容を以下
図1を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、重複接触解析方法は、放送を介して放送コンテンツを送信する放送コンテンツ送信と、ネットワークを介して該放送コンテンツと対比されるWEBサービスとが提供される場合において、該放送コンテンツと該WEBサービスとの重複接触を解析する方法であって、デジタルID属性テーブル生成工程(STEP10)と、テレビデジタル属性対応テーブル生成工程(STEP20)と、テレビID属性生成工程(STEP30)と、クロスディバイスマッチングテーブル生成工程(STEP40)とを備える。
【0020】
なお、本実施形態の重複接触解析方法を実行するシステムは、各種処理工程(STEP10~STEP40)を実行する各処理部が、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、各種処理工程を実行するプログラムをメモリに記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、各種処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。また、各処理工程を実行する各処理部は、その一部または全部が、他のサーバ(外部サーバ)により構成され、分散処理により重複接触解析方法を実現してもよい。
【0021】
STEP10のデジタルID属性テーブル生成工程では、WEBサービスの提供先を識別するデジタルIDで識別されたWEBサービスログデータに対して、該デジタルIDに性年代を少なくとも含む属性を付与したデジタルID属性テーブル生成する。
【0022】
具体的には、
図2に示すような、WEBサービスログデータとしての、インターネット等のネットワークを介したサイトへのアクセス状況であるWEBログおよびスマートフォンなどの各種ディバイスのアプリケーションを介したアクセス状況であるアプリログに対して、そのデジタルID(デジタル識別子)に、各種アンケート結果や推計処理により、ユーザの属性として、性年代の属性を付与し、
図2下段のような、デジタルID属性テーブル生成する。
【0023】
ここで、デジタルID(デジタル識別子)は、例えば、cookie、ADID/IDFA、ユニバーサルID等である。
【0024】
また、性年代の属性は、例えば、正解確度が異なるものが複数存在することがあるところ、ここでは、正解確度の高い属性が優先的に採用される。
【0025】
次に、STEP20のテレビデジタル属性対応テーブル生成工程では、STEP10のデジタルID属性テーブル生成工程により生成されたデジタルID属性テーブルと、放送コンテンツ送信を受信して視聴した放送視聴に関してテレビIDで識別されたテレビログデータとを、デジタルIDとテレビIDとで突合させることによりテレビデジタル属性対応テーブルを生成する。
【0026】
具体的には、
図3上段に示すように、テレビログデータ(テレビ視聴ログ)は、IPアドレスが紐づいており、
図3下段に示すように、WEBサービスログデータ(Web/アプリログ)にも、IPアドレスが紐づいている。
【0027】
そのため、
図3中央に示すように、IPアドレスの共通性に着目することで、デジタルIDとテレビIDとを突合させ、
図3右側に示すような、テレビデジタル属性対応テーブルを生成する。
【0028】
ここで、IPアドレスは、適宜変更されるため、IPアドレスの共通性は、テレビログデータ(テレビ視聴ログ)のIPアドレスとWEBサービスログデータ(Web/アプリログ)のIPアドレスが共通であることに加えて、これらに付されたタイムスタンプが所定期間内であることを条件に判定する。
【0029】
そして、タイムスタンプが所定期間内でありIPアドレスが共通の場合に、テレビIDとデジタルIDとを突合させたテレビデジタル属性対応テーブルを生成する。
【0030】
テレビデジタル属性対応テーブルでは、テレビID(TVID)とデジタルID(デジタル識別子)との対応関係に加えて、STEP10でデジタルID属性テーブル生成工程でデジタルID(デジタル識別子)に付与された属性が対応付けられている。
【0031】
次に、STEP30のテレビID属性テーブル生成工程では、放送コンテンツ送信を受信して視聴した放送視聴に関してテレビIDで識別されたテレビログデータ(テレビ視聴ログ)に対して、該テレビIDに性年代を少なくとも含む属性を付与したテレビID属性テーブルを生成する。
【0032】
具体的には、
図4に示すような、テレビログデータ(テレビ視聴ログ)に対して、そのテレビID(TVID)に、各種推定処理により、ユーザの属性として、性年代の属性を付与し、
図4下段のような、テレビID属性テーブル生成する。
【0033】
ここで、テレビログデータ(テレビ視聴ログ)は、テレビ受像機単位のログであり、ユーザ単位のログではないところ、これをユーザ単位のログとして推定する各種推定処理(例えば、本出願人よる特許6503117号等)を採用することで、ユーザの属性として、性年代の属性を付与することが可能となる。
【0034】
次いで、STEP40のクロスディバイスマッチングテーブル生成工程では、STEP30のテレビID属性テーブル生成工程で生成されたテレビID属性テーブルと、STEP20のテレビデジタル属性対応テーブル生成工程により生成されたテレビデジタル属性対応テーブルとを、テレビID属性テーブルの属性と、テレビデジタル属性対応テーブルの属性とにより統合したクロスディバイスマッチングテーブルを生成する。
【0035】
具体的には、
図5に示すように、
図5左上のテレビID属性テーブルと
図5左下のテレビデジタル属性対応テーブルとを、
図5中央に示すように、これらの属性の共通性から統合することで、クロスディバイスマッチングテーブルを生成する。
【0036】
ここで、属性の共通性は、完全一致する場合のほか、これらの属性が所定の許容近似属性となる場合を含めて統合する。
【0037】
具体的には、個人視聴率の集計区分が近い場合、すなわち、M1=男性20~34歳とM2=男性35~49歳や、M2=男性35~49歳とM3=男性50歳以上の場合、F1=女性20~34歳とF2=女性35~49歳や、F2=女性35~49歳とF3=女性50歳以上の場合のほか、M3=男性50~64歳とF3=女性50~64歳の場合やM4=男性65歳以上とF4=女性65歳以上の場合に、統合を行う。なお、この場合の属性は、厳密には一致しないため、いずれかを採用する。
【0038】
一方で、集計区分が近いが複数存在する場合には、適宜、乱数を発生させるなどして一意に決定してもよい。
【0039】
さらに、属性が所定の許容近似属性とならない場合にはそのデータ部分を削除する。
【0040】
以上のような一連の処理により作成されたクロスディバイスマッチングテーブルによれば、放送コンテンツとWEBサービスとの利用状況を対比できる解析指標とすることができる。
【0041】
このように、本実施形態の重複接触解析方法によれば、簡易かつ確実に放送コンテンツとWEBサービスとの重複接触を解析することができる。
【0042】
なお、本実施形態の重複接触解析方法において、テレビIDおよびデジタルIDに属性として性年代を付与したが、属性はこれに加えて(または代えて)他の視聴者属性情報(収入を表す情報、職業を表す情報、同居家族の構成を表す情報、視聴意識を表す情報、購入意識を表す情報等の属性情報のほかアンケート情報など)を付与し、かかる属性情報をキーにマッチングを行ってもよい。
【要約】
【課題】簡易かつ確実に放送コンテンツとWEBサービスとの重複接触を解析することができる重複接触解析方法を提供する。
【解決手段】重複接触解析方法は、放送を介して放送コンテンツを送信する放送コンテンツ送信と、ネットワークを介して該放送コンテンツと対比されるWEBサービスとが提供される場合において、該放送コンテンツと該WEBサービスとの重複接触を解析する方法であって、デジタルID属性テーブル生成工程(STEP10)と、テレビデジタル属性対応テーブル生成工程(STEP20)と、テレビID属性生成工程(STEP30)と、クロスディバイスマッチングテーブル生成工程(STEP40)とを備える。
【選択図】
図1