(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】包装容器、型紙及び梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B65D85/50 200
(21)【出願番号】P 2022094687
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】P 2021097868
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520194560
【氏名又は名称】株式会社モリサキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】苑田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】武田 充広
(72)【発明者】
【氏名】森▲崎▼ 准一
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-080819(JP,U)
【文献】国際公開第2010/059236(WO,A1)
【文献】実開昭59-172187(JP,U)
【文献】特開2006-240709(JP,A)
【文献】特許第5953499(JP,B1)
【文献】特開2004-010160(JP,A)
【文献】特表2012-528764(JP,A)
【文献】特開2011-173646(JP,A)
【文献】実公平07-039832(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0119914(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁、前記側壁の上端側に設けられる上壁、及び、前記側壁の下端側に設けられる下壁に取り囲まれて形成される内部空間に切花又は造花を収容する紙製の包装容器であって、
前記切花又は造花の茎を保持する前記下端側の方が、前記切花又は造花の花を保持する前記上端側よりも細くなっており、
前記茎を保持する保持部は、前記茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成され、前記保持部は、前記側壁に内側から接触して前記側壁を支持する支持部を有し、
前記支持部は、第1罫線を介して互いに隣り合う第1保持部材と第2保持部材とを有し、
前記第1罫線は、前記側壁の第2罫線と重なり合うように折り曲げられており、当該第2罫線において前記側壁に接触しており、
前記茎は、前記側壁の内面、前記第1保持部材、及び第2保持部材、で形成される穴に挿入された状態で保持される、包装容器。
【請求項2】
側壁、前記側壁の上端側に設けられる上壁、及び、前記側壁の下端側に設けられる下壁に取り囲まれて形成される内部空間に切花又は造花を収容する紙製の包装容器であって、
前記切花又は造花の茎を保持する前記下端側の方が、前記切花又は造花の花を保持する前記上端側よりも細くなっており、
前記茎を保持する保持部は、前記茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成され、前記保持部は、前記側壁に内側から接触して前記側壁を支持する支持部を有し、
前記支持部は、第1罫線を介して互いに隣り合う第1保持部材と第2保持部材とを有し、
前記第1罫線は、前記側壁の第2罫線と重なり合うように折り曲げられており、当該第2罫線において前記側壁に接触しており、
一枚の紙材で構成される、包装容器。
【請求項3】
前記側壁は、ラベルが貼付される貼付領域を有する、請求項1に記載の包装容器。
【請求項4】
前記内部空間の横断面のうち、面積が最大となる部分の横断面が扁平形状を有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項5】
前記横断面に外接する矩形の仮想線の短辺に対する長辺の比が1.5以上である、請求項
4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記側壁の中央部に切り込み又は貫通穴と、前記切り込み又は前記貫通穴から当該側壁の上端に向かって放射状に延びるミシン目線によって区画される開封予定部と、を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項7】
一枚の紙材で構成される、請求項1
又は3に記載の包装容器。
【請求項8】
側壁、前記側壁の上端側に設けられる上壁、及び、前記側壁の下端側に設けられる下壁に取り囲まれて形成される内部空間に切花又は造花を収容する紙製の包装容器であって、
前記切花又は造花の茎を保持する前記下端側の方が、前記切花又は造花の花を保持する前記上端側よりも細くなっており、
前記茎を保持する保持部は、前記茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成され、前記保持部は、隣り合う前記側壁の内面に挟まれて当該側壁を支持する支持部を有し、
前記支持部は、隣り合う前記側壁同士を区画する区画線に先端が向かうように差し込まれる一対の楔状部材と、当該一対の楔状部材の間に前記茎が挿入される穴と、を有する、包装容器。
【請求項9】
前記支持部は、
前記側壁の側端に接続され、当該側壁とは異なる側壁の内面に当接する接続部材と、
当該接続部材が接続される前記側壁の内面に当接するフラップ部材と、を有し、
前記接続部材と前記フラップ部材は前記楔状部材を介して接続されている、請求項
8に記載の包装容器。
【請求項10】
側壁、前記側壁の上端側に設けられる上壁、及び、前記側壁の下端側に設けられる下壁に取り囲まれて形成される内部空間に切花又は造花を収容する紙製の包装容器であって、
前記切花又は造花の茎を保持する前記下端側の方が、前記切花又は造花の花を保持する前記上端側よりも細くなっており、
前記茎を保持する保持部は、前記茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成され、前記保持部は、前記側壁の一部を切り欠くようにして形成され、前記茎の長手方向に延びる前記内部空間の中心線に向かって突出する突起部を有し、
前記突起部は、一対の山折り線と前記一対の山折り線の上端同士及び下端同士を結ぶ切断線と、前記一対の山折り線の間の領域を二分するように上下方向に沿って延びる谷折り線と、によって構成され、前記突起部は、隣り合う前記側壁を区画する区画線を分断するように設けられ、
前記区画線を正面からみたときに、前記区画線と、前記谷折り線とが一直線に並んでおり、
前記一対の山折り線は、対向する山折り線側とは反対側の前記区画線と平行に延びる、包装容器。
【請求項11】
前記上壁は、基端において前記側壁の上端に接続され、先端に凹凸形状を有する上壁材を有しており、
当該先端の凸部が当該側壁に対向する別の側壁の上端に当接する、請求項
8~
10のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項12】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の包装容器と、前記包装容器に収容された前記切花又は造花と、を備える、梱包体。
【請求項13】
請求項
8~
10のいずれか一項に記載の包装容器と、前記包装容器に収容された前記切花又は造花と、を備える、梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装容器、型紙及び梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
植木鉢に植えられた植物を収納する段ボール製のケースが知られている。例えば、特許文献1では、植木鉢を嵌合保持する嵌合孔を備えた台座をケース本体内に嵌め込む構造を有する鉢植草花用段ボールケースが開示されている。特許文献2では、鉢植えの花や観葉植物を運搬する際に用いる収納ケースとして、断面三角形状の中空状の箱体が開示されている。一方、切花については、切花を支えるトレイが知られている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-177224号公報
【文献】実用新案登録第2546883号公報
【文献】実用新案登録第3092485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切花又は造花を梱包して配送する需要が高まりつつある。切花及び造花は、植木鉢に植えられた植物よりも小さいため、コンパクトに包装することが可能である。本開示は、配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることが可能な包装容器及び梱包体を提供する。また、本開示は、このような包装容器を簡便に製作することが可能な型紙を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、複数の側壁、側壁の上端側に設けられる上壁、及び、側壁の下端側に設けられる下壁に取り囲まれて形成される内部空間に切花又は造花を収容する紙製の包装容器であって、切花又は造花の茎を保持する下端側の方が、切花又は造花の花を保持する上端側よりも細くなっており、茎を保持する保持部は、茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成される、包装容器を提供する。
【0006】
上記包装容器は、紙製であるうえに、下端側の方が上端側よりにも細くなっていることから軽量にすることができる。また、茎を保持する保持部が茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成される。通常、花の部分の方が茎よりも傷みやすいため、配送時に振動等で花が側壁の内面に衝突することを低減することが好ましい。上記包装容器は、上記保持部が茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成されることから、配送中に茎が包装容器内で大きく動くことを抑制できる。そして、上端側が下端側よりも太くなっていることから、花が側壁の内面に衝突することを低減できる。したがって、配送の際に切花又は造花が傷むことを抑制し、切花又は造花を十分に保護することができる。
【0007】
上記保持部は、隣り合う側壁の内面に挟まれて当該側壁を支持する支持部、及び、側壁の一部を切り欠くようにして形成され、茎の長手方向に延びる内部空間の中心線に向かって突出する突起部、の少なくとも一方を有することが好ましい。これによって、細くなっている下端側が外力によって潰れることを抑制できる。
【0008】
上記支持部は、隣り合う側壁の区画線に先端が向かうように差し込まれる一対の楔状部材と、当該一対の楔状部材の間に茎が挿入される挿入穴とを有することが好ましい。上記支持部は、一対の楔状部材を有することから、包装容器に外力が加わっても、包装容器が潰れることを抑制することができる。そして、一対の楔状部材の間に茎が挿入される挿入穴を設けられていることから、茎の移動を十分に抑制するとともに、保持部が潰れて切花又は造花が傷んでしまうことを十分に抑制できる。
【0009】
支持部は、側壁の側端に接続され、当該側壁とは異なる側壁の内面に当接する接続部材と、当該接続部材が接続される側壁の内面に当接するフラップ部材と、を有し、接続部材とフラップ部材は楔状部材を介して接続されていることが好ましい。これによって、内部空間の所定の位置に支持部を円滑に配置することができる。また、接続部材とフラップ部材によって、包装容器の強度を一層高くしつつ、支持部を内部空間の所定の位置にしっかりと固定することができる。
【0010】
上記突起部は、一対の山折り線と一対の山折り線の上端同士及び下端同士を結ぶ切断線と、一対の山折り線の間の領域を二分するように上下方向に沿って延びる谷折り線と、によって構成されることが好ましい。このような突起部は、シンプルな構成で簡便に設けることができる。また、包装容器が外力によって変形する際には、突起部を構成する一対の山折り線と谷折り線の全ての折り角度が変化することとなるため、包装容器は変形し難くなりその形状を十分に維持することができる。
【0011】
上記突起部は、隣り合う側壁を区画する区画線を分断するように設けられ、当該区画線を正面からみたときに、当該区画線と、谷折り線とが一直線に並んでいることが好ましい。これによって、山折り線と谷折り線が一直線に並ぶこととなり、変形に対する抵抗力を十分に大きくすることができる。
【0012】
上記一対の山折り線は、対向する山折り線とは反対側の区画線と平行に延びることが好ましい。これによって、突起部の強度を十分に大きくすることができる。このため、包装容器が変形し難くなる。また、山折り線を起点に包装容器が破損することを十分に抑制することができる。
【0013】
上記内部空間の横断面のうち、面積が最大となる部分の横断面が扁平形状を有することが好ましい。これによって、複数本の切花又は造花を収容可能としつつ、包装容器の厚みを薄くすることができる。したがって、例えば郵便ポストが利用しやすくなり、配送の利便性を一層向上することができる。
【0014】
上記上壁は、基端において一つの側壁の上端に接続されるとともに、先端に凹凸形状を有する上壁材を有しており、当該先端の凸部が当該側壁に対向する別の側壁の上端に当接することが好ましい。これによって、側壁の上端部付近で包装容器が変形することを抑制することができる。また凹部に指を差し込んで上壁の開放作業を円滑に行うことができる。
【0015】
側壁の中央部に切り込み又は貫通穴と、切り込み又は貫通穴から当該側壁の上端に向かって放射状に延びるミシン目線によって区画される開封予定部と、を含むことが好ましい。これによって、切花又は造花を収容した梱包体としたときに、開封を円滑に行うことができる。
【0016】
上記包装容器は一枚の紙材で構成されることが好ましい。これによって、円滑に組み立てることできる。
【0017】
本開示は、上述のいずれかの包装容器を形成するための型紙を提供する。この型紙を用いれば、包装容器を簡便に製作することができる。このようにして得られる包装容器は、配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることができる。
【0018】
本開示は、上述のいずれかの包装容器と、当該包装容器に収容された切花又は造花と、を備える、梱包体を提供する。この梱包体は上述の包装容器を備えることから、配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
配送時において切花又は造花を十分に保護しつつ、軽量にすることが可能な包装容器及び梱包体を提供することができる。また、このような包装容器を簡便に製作することが可能な型紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態に係る包装容器の正面側を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る包装容器の背面側を示す斜視図である。
【
図3】(A)は、
図1の包装容器の上から見たときの図である。(B)は、
図1の包装容器のIII(B)-III(B)線で切断したときの内部空間の輪郭を示す図である。
【
図4】包装容器の上壁の構造の一例を示す図である。
【
図6】包装容器の内部構造を説明するための図である。
【
図7】別の実施形態に係る包装容器の正面側を斜め上方からみたときの図である。
【
図8】
図7の包装容器の背面側を斜め下方からみたときの図である。
【
図10】
図5に示す型紙の第1変形例を示す図である。
【
図11】
図5に示す型紙の第2変形例を示す図である。
【
図12】
図5に示す型紙の第3変形例を示す図である。
【
図13】
図5に示す型紙の第4変形例を示す図である。
【
図14】
図5に示す型紙の第5変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0022】
図1は、一実施形態に係る包装容器100の正面側を示す斜視図である。
図2は、包装容器100の背面側を示す斜視図である。包装容器100は、互いに表裏の関係にある2つの側壁10,20と、側壁10,20の上端側に設けられる上壁50と、側壁10,20の下端側に設けられる下壁60と、を備える。側壁10,20、上壁50及び下壁60に取り囲まれて形成される内部空間には、切花(生花)又は造花(以下、纏めて「切花等」という場合もある。)が収容される。切花及び造花は、茎と花、又は、茎と花と葉から構成されるものが挙げられる。
【0023】
包装容器100の上壁50は下壁60よりも大きく、包装容器100は、上壁50から下壁60に向かって細くなっている。すなわち、包装容器100は、側壁10,20の上端から下端に向かって細くなる先細り形状となっている。下壁60寄りに切花等の茎が、上壁50寄りに切花等の花がそれぞれ配置されるように、切花等は包装容器100の内部に収容される。
【0024】
包装容器100の下端側における切花等の茎を保持する保持部40の方が、上端側における切花等の花を保持する保持部41よりも細くなっている。これによって、包装容器100の内部空間の容積を小さくして軽量化を図るとともに、包装容器を持ち運びやすくすることができる。そして、茎を保持する保持部41は、茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成される。これらの要因によって、配送の際に内部空間内で茎が大きく動くことを抑制するとともに、茎が動いても花が側壁10,20の内面に衝突することを低減し、花が傷むことを抑制できる。上壁50の面積に対する下壁60の面積の比は、好ましくは0.01~0.3であり、より好ましくは0.05~0.2である。本実施形態では、上壁50及び下壁60の形状は互いに異なっているが、互いに相似であってもよい。
【0025】
包装容器100は、一枚の紙材で構成されていてよい。紙材としては、バスク紙、段ボール及びコートボール紙等が挙げられる。バスク紙を用いることによって、包装容器100の重量を低減することができる。段ボールを用いることによって、軽量で剛性に優れる包装容器100とすることができる。コートボール紙を用いることによって、包装容器100の強度を高くすることができるとともに、山折り及び谷折り等の加工が容易となり、種々の形状に加工することができる。
【0026】
側壁10には、貫通穴11と、貫通穴11から側壁10の上端の角部13に向かって2本の開封ミシン目線12が放射状に延びている。2本の開封ミシン目線12は、開封予定部14を区画している。内部空間に切花等を収容した後、貫通穴11に指を挿入し、開封予定部14を下端側から上端側に摘み上げることによって、開封予定部14が2本の開封ミシン目線12に沿って切り開かれて、包装容器100(切花等が収容された梱包体350)を開封することができる。なお、変形例では、貫通穴11の代わりに、指で押し込むことによって貫通穴が形成されるような切り込みが設けられていてもよい。
【0027】
側壁10には、貫通穴11から山折り線16が側壁10の下端の中央に向かって延びている。山折り線16を設けることによって、包装容器100の下端側においても、側壁10と側壁20の内面間の隙間を確保することができる。このため、切花等の茎を収容するためのスペースを十分に確保することができる。山折り線16は、ミシン目線であってよく、罫線であってもよい。
【0028】
図2に示すように側壁20には、側壁20の中央部21から側壁20の上端に向かって放射状に延びる4本の山折り線22が形成されている。これによって、花を保持する保持部41において花を収容するスペースを十分に大きくすることができる。山折り線22は、中央部21を起点として延びていてもよいし、中央部21から離れていてもよい。側壁20には、中央部21から側壁20の下端の中央に向かって延びる山折り線26が形成されている。山折り線26を設けることによって、包装容器100の下端側においても、側壁10と側壁20の内面間の隙間を確保することができる。このため、切花等の茎を収容するためのスペースを十分に確保することができる。山折り線22,26は、罫線であってよく、ミシン目線であってもよい。
【0029】
包装容器100の側壁10,20において、中央部21から上端に向かって延びる山折り線22の本数の方が、中央部21から下端に向かって延びる山折り線26の本数よりも多いことが好ましい。これによって、花が収容される側壁10,20の上端部付近のスペースを十分に確保しつつ、包装容器100をコンパクト且つ軽量にすることができる。
【0030】
側壁20は、側壁材20Aと、側壁材20Bで構成されている。側壁材20Bは、側壁材20Aの右側一部を覆っており、側壁材20Bの側端に形成された2つの舌状部(不図示)が、それぞれ、側壁材20Aに形成された切り込み27,28に挿入されて係止されている。一方、側壁10は、一枚の側壁材によって構成されている。本実施形態では側壁材20A,20Bが舌状部を切り込み27,28に挿入することによって互いに固定されているが、このような態様に限定されない。例えば、舌状部と切り込みはそれぞれ1つであってもよいし、それぞれ3つ以上であってもよい。また例えば、側壁材20Aと側壁材20Bは、接着剤によって接着されていてもよい。包装容器100は、接着剤を用いずに型紙から作製できるものであってもよい。このような包装容器100は利便性に優れる。
【0031】
図3(A)は、包装容器100の上から見たときの図である。包装容器100の上壁50は、内部空間の上面とほぼ同じ形状を有している。すなわち、上壁50は、扁平した形状を有している。このように上壁50が扁平形状を有することによって、複数本の切花等を収容可能としつつ包装容器100の厚みを薄くすることができる。これによって、郵便ポストに投函し易くなり、配送の利便性が向上する。
【0032】
図3(B)は、
図1の包装容器100をIII(B)-III(B)線に沿って切断したときの内部空間85の輪郭(側壁10,20の内面)を示す図である。このように茎の長手方向に直交する方向に沿って切断したときの断面を「横断面」という。
図3(B)に示されるように、内部空間85も扁平形状を有している。内部空間85の横断面は、包装容器100の上端から下端に至るまで扁平形状を有していてもよいが、これに限定されない。例えば、内部空間85の横断面のうち、面積が最大となる部分の横断面が扁平形状を有することが好ましい。包装容器100において、面積が最大となる部分の内部空間85の横断面は、内部空間85の上端における横断面となる。
【0033】
本開示における扁平形状とは、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、上壁50の平面形状、及び内部空間85の横断面形状に外接する矩形の仮想線80,81を描いたとき、当該矩形が長方形であるものをいう。
【0034】
図3(A)における短辺L2に対する長辺L1の比(L1/L2)は、好ましくは1.3以上であり、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは2.0以上である。
図3(B)における短辺L4に対する長辺L3の比(L3/L4)も、好ましくは1.3以上であり、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは2.0以上である。なお、過剰に扁平すると、切花等の花の形状が変形する場合がある。このため、花の形状を維持する観点から、比(L1/L2)は、10以下であってよく、8以下であってもよい。同様の観点から、比(L3/L4)は、10以下であってよく、8以下であってもよい。
【0035】
包装容器100の上壁50は、複数の部材で構成されていてよい。
図4は、上壁50の構造の一例を示す図である。上壁50は、上壁50の内面となる内側部材52(第1上壁材)と、内側部材52の表面を覆い、外部に露出する外側部材51(第2上壁材)と、を有する。内側部材52は、基端52Aにおいて側壁20の上端に接続される。側壁10の内面に対向する内側部材52の先端52Bは、当該内面に対して凹凸形状を有する。先端52Bにおける2つの凸部54は、側壁10の内面に当接し、側壁10と側壁20の間隔を支持する。凸部54の先端はR形状に加工されており、これによって、先端が折れ曲がることを抑制しつつ、包装容器100の上端における強度を十分に高くしている。
【0036】
2つの凸部54の間の凹部55と側壁10の内面と間には隙間が設けられている。この隙間に指を挿入すれば、内側部材52の開閉作業を容易に行うことができる。外側部材51は、基端51Aにおいて側壁10の上端に接続されている。外側部材51を折り畳むと、先端51Bは、内側部材52は、基端52A付近を覆う。これによって、凹部55が覆われ、密閉性を向上することができる。なお、上壁50は、複数の部材で構成されていなくてもよい。例えば、変形例では、内側部材52のみで上壁を構成してもよい。別の変形例では、凸部54が3つ以上形成されていてもよい。これによって、包装容器の上端における強度を一層高くすることができる。
【0037】
図5は、包装容器100を形成するための型紙101を示している。一枚の紙材で構成される型紙101を組み立てることによって、包装容器100を得ることができる。
図5は、包装容器100を展開したときの包装容器100の表面側を示している。側壁10と側壁20(側壁材20A)は区画線82で区画され、側壁10と側壁材20Bは区画線83で区画される。側壁20の下端には下壁60が接続され、下壁60の側壁20側とは反対側にフラップ部材62が接続されている。側壁20と下壁60は区画線66で区画され、下壁60とフラップ部材62は区画線67で区画されている。
【0038】
側壁20(側壁材20A)の側壁10側とは反対側の側端には支持部30が接続されている。支持部30と側壁20(側壁材20A)は区画線39で区画されている。区画線82,83,39,66,67は、罫線(折線)で構成されていてもよく、ミシン目線で構成されていてもよい。包装容器100を形成する際の作業を円滑にする観点から、区画線83は、他の区画線よりも太くてもよいし、互いに平行な2本の罫線又はミシン目線で構成されていてもよい。これによって、支持部30を内部空間内に収容し易くすることができる。貫通孔70は、区画線82,83上に設けられている。これによって、軽量化を図りつつ、折り曲げ作業をより円滑にすることができる。なお、貫通孔70の数及び位置は特に限定されない。
【0039】
支持部30は、側壁20の側端に接続されており、型紙101を組み立てて内部空間85内に収容されたときに側壁10の内面に当接する接続部材35と、内部空間85内に収容されたときに接続部材35が接続される側壁20の内面に当接するフラップ部材36と、接続部材35とフラップ部材36とを接続する一対の楔状部材31A,31Bを有する。支持部30は、内部空間内に収容されると、茎を保持する保持部40に設けられる。一対の楔状部材31A,31Bの間に形成される挿入穴33に、茎が挿入されて切花等が内部空間内に安定的に保持される。
【0040】
接続部材35、フラップ部材36及びフラップ部材62は、上下方向に延びる罫線37,38,64を有する。接続部材35には、軽量化を図るため、罫線37に沿って複数の貫通孔72が設けられている。罫線37,38,64は、いずれも、外側(内部空間側と反対側)に向かって凸となる罫線又はミシン目線で形成されている。型紙101を用いて包装容器100を形成すると、罫線37及び罫線64と罫線16とが重なり、罫線38と罫線26とが重なる。これによって、保持部40において、茎を収容するスペースを十分に確保するとともに、包装容器100が潰れて茎が傷つくことを十分に抑制できる。
【0041】
図5では、一対の楔状部材31A,31Bの間に形成される挿入穴33は、開口のみで構成されているが、変形例では、挿入穴33は、扉状の部材で開閉可能に構成されていてもよい。例えば、内部空間に切花等を収容する際に、切花等の茎で扉状の部材を押し開けて挿入するように構成すれば、挿入穴に挿通されている茎を扉状の部材で固定することができる。扉状の部材は、一対の楔状部材31A,31Bのそれぞれに連設され、切花等の茎で下壁60に向かって押し開くことによって、観音開き状に開いて挿入穴が形成されるような構造であってよい。これによって、挿入穴に挿通されている茎を、一対の扉状の部材で挟んで固定することができる。
【0042】
図6は、型紙101から包装容器100を組み立てる工程、及び、包装容器100の内部構造を説明するための図である。
図5における支持部30のフラップ部材36を紙面の奥行方向に折り畳むとともに、接続部材35も区画線39に沿って
図5の奥行方向に折り畳むと、
図6に示すように、支持部30(フラップ部材36)が側壁20の内面に当接する。フラップ部材36と接続部材35を接続する楔状部材31A,31Bは、フラップ部材36と接続部材35を折り畳むことに伴って、側壁20の内面に対して立設するように当該内面に当接する。
【0043】
図5に示す下壁60も、フラップ部材62を
図5の奥行方向に折り畳むことによって、側壁20の下端に対して立設する。その後、
図6に示すようにフラップ部材62が接続部材35を覆うように折り畳む。さらに、区画線82に沿って側壁20に対して側壁10を折り曲げて、接続部材35と側壁10の内面とを当接させる。舌状部27A,28Aを切り込み27,28に差し込んだ後、
図3(A)及び
図4に示すように、内側部材52及び外側部材51の順に折り畳んで上壁50を形成すれば、包装容器100が得られる。
【0044】
包装容器100の内部空間に、
図6に示すように切花等を収容すれば、梱包体350を得ることができる。
図6には1本の切花(造花)300のみが示されているが、収容される切花(造花)の本数は制限されない。また、切花と造花の両方を収容してもよい。切花はドライフラワーであってもよい。包装容器100の内部空間は扁平形状を有していることから、収容する切花等の本数を多くすることができる。
【0045】
扁平した横断面形状を有する内部空間を有する包装容器は、横断面形状の長手方向に直交する方向に外力が加わると潰れやすい傾向にある。そこで、一対の楔状部材31A,31Bは、内部空間の横断面の長手方向に沿って対向する一対の区画線82,83に先端が差し込まれるようにして固定されている。このような楔状部材31A,31Bによって、横断面形状の長手方向に直交する方向(包装容器の厚み方向)に外力が加わっても、包装容器100を潰れ難くすることができる。そして、一対の楔状部材31A,31Bの間に茎が挿入される挿入穴33が設けられていることから、茎の移動を十分に抑制しつつ、茎が潰れることを十分に抑制することができる。茎の花側とは反対側の端部は、水分を含む布等で包まれていてもよい。挿入穴33の内径は、このような布で包まれた端部が挿入可能となるようなサイズであってよい。これによって、切花300の収容及び取り出し作業を円滑に行うことができる。
【0046】
図7は、別の実施形態に係る包装容器200の正面側を斜め下方からみたときの図である。
図8は、
図7の包装容器200の背面側を斜め下方からみたときの図である。包装容器200は、4つの側壁210,220,270,280と、側壁210,220,270,280の上端側に設けられる上壁250と、側壁210,220,270,280の下端側に設けられる下壁260と、を備える。側壁210,220,270,280、上壁250及び下壁260に取り込まれて形成される内部空間には、切花等が収容される。
【0047】
側壁210,220,270,280は台形状であり、上壁250及び下壁260は菱形状を呈している。上壁250は下壁260よりも大きく、包装容器200は、上壁250から下壁260に向かって細くなっている。すなわち、包装容器200は、側壁210,220,270,280の上端から下端に向かって細くなる先細り形状となっている。下壁260寄りに切花等の茎が、上壁250寄りに切花等の花がそれぞれ配置されるように、切花等は包装容器200の内部に収容される。
【0048】
包装容器200の下端側における切花等の茎を保持する保持部240の方が、上端側における切花等の花を保持する保持部241よりも細くなっている。これによって、包装容器200の内部空間の容積を小さくして軽量化を図るとともに、包装容器200を持ち運びやすくすることができる。そして、茎を保持する保持部240は、茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成される。これらの要因によって、配送の際に内部空間内で茎が大きく動くことを抑制するとともに、茎が動いても花が側壁210,220,270,280の内面に衝突することを低減し、花が傷むことを抑制できる。上壁250の面積に対する下壁260の面積の比は、好ましくは0.01~0.3であり、より好ましくは0.05~0.2である。
【0049】
包装容器200は、一枚の紙材で構成されていてよい。紙材としては、バスク紙、段ボール及びコートボール紙等が挙げられる。バスク紙を用いることによって、包装容器100の重量を低減することができる。段ボールを用いることによって、軽量で剛性に優れる包装容器200とすることができる。コートボール紙を用いることによって、包装容器100の強度を高くすることができるとともに、山折り及び谷折り等の加工が容易となり、種々の形状に加工することができる。
【0050】
包装容器200の正面に位置し、互いに隣り合う側壁210及び側壁220には、これらを区画する区画線202を分断するように、貫通穴211が形成されており、貫通穴211から側壁210の上端の角部213A,213Bに向かって2本の開封ミシン目線212が放射状に延びている。2本の開封ミシン目線212は、開封予定部214を区画している。内部空間に切花等を収容した後、貫通穴211に指を挿入し、開封予定部214を下端側から上端側に摘み上げることによって、開封予定部214が2本の開封ミシン目線212に沿って切り開かれて、包装容器200(切花等が収容された梱包体351)を開封することができる。
【0051】
貫通穴211よりも下方に、区画線202を分断するように突起部230が設けられている。突起部230は、茎(内部空間)の長手方向に延びる内部空間の中心線に向かって突出している。突起部230は、一対の山折り線232と、一対の山折り線232の上端同士を結ぶ切断線233と、一対の山折り線232の下端同士を結ぶ切断線234と、一対の山折り線の間の領域を二分するように上下方向に沿って延びる谷折り線231と、によって構成される。このような突起部230は、側壁210,220に切り込みを入れるとともに折り目を入れることによって形成することができる。このように、シンプルな構成であるため簡便に設けることができる。山折り線232及び谷折り線231は、罫線(折線)であってよく、ミシン目線であってもよい。
【0052】
一対の山折り線232のそれぞれが、対向する山折り線側とは反対側にある区画線201(区画線203)と平行に延びている。すなわち、
図7の左側の山折り線232は、右側の山折り線232側とは反対側にある区画線203と平行に延びている。
図7の右側の山折り線232は、左側の山折り線232側とは反対側にある区画線201と平行に延びている。これによって、突起部230の強度を十分に大きくすることができる。
【0053】
突起部230を有する包装容器200が外力によって変形する際、突起部230を構成する一対の山折り線232と谷折り線231の全ての折り角度が変化することとなるため、包装容器200は変形し難い。区画線202を正面からみたときに、分断される区画線202と、谷折り線231とが一直線に並んでいる。これによって、変形に対する抵抗力を十分に大きくすることができる。
【0054】
突起部230は、保持部240に設けられることから、内部空間に切花等を収容すると、茎の移動を規制することができる。突起部230のサイズは特に限定されない。茎の長手方向に沿う突起部230の長さは、包装容器200の強度を十分に向上する観点から、上壁250と下壁260の間隔を基準として、5~35%であってよく、10~30%であってもよい。
【0055】
突起部230の高さは、包装容器200の強度を十分に向上する観点から、突起部230が形成されていないと仮定した場合の、突起部230が形成される位置における区画線202と区画線204の間の距離を基準として、5~50%であってよく、10~40%であってもよい。
【0056】
包装容器200は、隣り合う側壁を区画する4本の区画線201,202,203,204を有する。このうち、区画線201と区画線203(これらを「区画線群A」という。)が互いに対角の関係にあり、区画線202と区画線204(これらを「区画線群B」という。)が互いに対角の関係にある。包装容器200の上壁250、下壁260、及び内部空間は、いずれも、扁平形状を有している。すなわち、区画線群Bの間隔よりも、区画線群Aの間隔の方が大きくなっている。これによって、複数本の切花等を収容可能としつつ包装容器100の厚みを薄くすることができる。したがって、郵便ポストに投函し易くなり、配送の利便性を向上することができる。
【0057】
間隔が小さい区画線群Bの区画線202,204が互いに対向する方向の方が、区画線群Aに属する区画線201,203が互いに対向する方向よりも潰れやすい傾向にある。そこで、突起部230を、区画線群Bに属する区画線202を分断するように設けることによって、包装容器200の強度を十分に向上することができる。
【0058】
図9は、包装容器200を形成するための型紙102を示している。型紙102を組み立てることによって、包装容器200を得ることができる。
図9は、包装容器200を展開したときの包装容器200の内面側を示している。側壁270,210,220,280がこの順に並んでいる。側壁270と側壁210は上端から下端にまで延在する区画線201で区画され、側壁210と側壁220は上端から下端にまで延在する区画線202で区画され、側壁220と側壁280は上端から下端にまで延在する区画線203で区画されている。
【0059】
側壁270の側壁210側とは反対側の側端には貼り合わせ部280Bが接続されている。側壁270と貼り合わせ部280Bは区画線204で区画されている。上壁250は、上壁材251,252,253,254で構成され、下壁260は、下壁材261,262,263で構成される。側壁270,210,220,280の上端には、それぞれ、上壁材254,252,251,253が接続されている。側壁210,220,280の下端には、それぞれ、下壁材263,261,262が接続されている。各側壁と各上壁材及び各下壁材は、それぞれ区画線で区画されている。これらの区画線は罫線であってもよいし、ミシン目線であってもよい。
【0060】
包装容器200の組み立ては以下のようにして行ってよい。貼り合わせ部280B、及び、各側壁270,210,220,280の間にある区画線204,201,202,203を折り曲げて筒体にする。このとき、貼り合わせ部280Bの外側の面(
図9でいうと裏側の面)と側壁280の内面とを、接着剤によって接着する。その後、下壁材263,262,261を区画線に沿ってこの順に折り畳んで筒体の下端を閉止する。このとき、下壁材261が最も外側になるように折り畳む。そして、下壁材261の先端に設けられるフラップ部261Aが側壁270の内面に当接するように差し込んで、下壁材261を固定する。これによって、下壁260が得られる。
【0061】
次に、上壁材252,253,251を区画線に沿ってこの順に折り畳んで筒体の上端を閉止する。このとき、上壁材251が最も外側になるように折り畳む。そして、上壁材251の先端に設けられるフラップ部251Aが側壁270の内面に当接するように差し込んで、上壁材251を固定する。その後、舌状部材である上壁材254を、上壁材251の本体部とフラップ部251Aとの区画線上に設けられた切り込み255に差し込む。これによって、上壁250が得られる。このようにして、包装容器200を組み立てることができる。なお、上壁250を形成する前に、切花300を内部空間に収容し、その後、上壁250を形成すれば、梱包体351を得ることができる。
【0062】
以上、本開示の幾つかの実施形態及び変形例を説明したが、本開示は上述のものに限定されない。一方の実施形態の内容を他方の実施形態に適用してもよい。例えば、包装容器200の側壁は、表面に山折り線を有していなかったが、包装容器100と同様に側壁に山折り線を設けてもよい。また、包装容器200の側壁は接着剤ではなく、舌状部材と切り込みを用いて接続してもよい。また、上述の各実施形態における包装容器は、支持部30及び突起部230のどちらか一方のみを備えていたが、これらを両方備えていてもよい。この場合、支持部30よりも突起部230を上端側に設けることが好ましい。貫通孔70,72の形状及び数に制限はなく、貫通孔はなくてもよい。
【0063】
図10に示す型紙400は、
図5に示す型紙101の第1変形例である。一枚の紙材で構成される型紙400を組み立てることによって、包装容器100と同様の形状を有する包装容器を得ることができる。
図10は、包装容器を展開したときの包装容器の表面側を示している。側壁20を構成する側壁材20Aの下端には下壁460が接続され、下壁460の側壁材20A側とは反対側にフラップ部材462が配置されている。側壁材20Aと下壁460は区画線66で区画され、下壁460とフラップ部材462は区画線461で区画されている。
【0064】
支持部430は、側壁材20A側から、側壁材20Aの側端に接続される連結部材433、第1保持部材431、第2保持部材432、支持部材434がこの順に配置されて構成される。第1保持部材431及び第2保持部材432には、軽量化を図るため、複数の貫通孔470が設けられている。側壁材20Aと連結部材433は区画線39で区画され、第1保持部材431と第2保持部材432は区画線412で区画され、第2保持部材432と支持部材434は区画線413で区画される。第1変形例の各区画線は、罫線(折線)で構成されていてもよく、ミシン目線で構成されていてもよい。
【0065】
型紙400を組み立てて包装容器を形成する際、区画線39,412は山折り、区画線411,413は谷折りに折り曲げられる。これによって、連結部材433と側壁材20Aの裏面同士が接触し、支持部材434と側壁材20Aの裏面同士が接触する。支持部材434の側端が区画線82に沿うように、区画線39,412を山折りに、区画線411,413を谷折りに、それぞれ折り曲げることによって、側壁材20A(側壁20)の内面と第1保持部材431及び第2保持部材432との間に切花300(
図6)の茎が挿入される空間が形成される。
【0066】
第1保持部材431及び第2保持部材432の上端には、フラップ部材436,437が、それぞれ設けられている。第1保持部材431とフラップ部材436は区画線416で区画され、第2保持部材432とフラップ部材437は区画線417で区画されている。区画線39,412を山折りに、区画線411,413を谷折りに、それぞれ折り曲げるとともに、区画線416,417を山折りに折り曲げる。フラップ部材436,437の先端が側壁材20Aの内面に向かうように区画線416,417を山折りに折り曲げることによって、支持部430を補強することができる。このとき、切り花の挿入穴(
図6の挿入穴33に相当)は、フラップ部材436,437によって絞られ、茎の長手方向に直交する方向の移動が十分に規制されることとなる。このため、フラップ部材436,437を設けることによって、包装容器(保持部40)の強度を十分に高くしつつ、配送中に切り花が動いて切り花が傷むことを十分に抑制することができる。
【0067】
区画線39,411,412,413,416,417を折り曲げて支持部430を形成した後、区画線66,461を山折りに折り畳んで下壁460を形成するとともに、フラップ部材462が支持部430を構成する連結部材433、第1保持部材431、第2保持部材432及び支持部材434の下部を覆うように、フラップ部材462を折り畳む。フラップ部材462では、区画線461の頂部E付近から放射状に複数の罫線463が延びている。このような罫線463を有することによって、フラップ部材462の形状を、連結部材433、第1保持部材431、第2保持部材432及び支持部材434の表面に沿うように円滑に変形させることができる。この段階で、
図6と同様に、支持部430における挿入穴に切り花を挿入することができる。
【0068】
続いて、区画線82に沿って側壁材20Aに対して側壁10を折り曲げて、第1保持部材431及び第2保持部材432と側壁10の内面とを当接させる。罫線16と区画線412とが重なり合うようして罫線16を山折りに折り曲げることによって、第1保持部材431及び第2保持部材432と側壁10の内面とが十分に接触する。これによって、保持部40の強度を十分に高くすることができる。そして、区画線83を山折りに折り曲げて側壁材20Aの表面の一部を側壁材420Bで覆うとともに、舌状部27A,28Aを切り込み27,28に差し込んで側壁20を形成する。その後、
図3(A)及び
図4に示すのと同様に、内側部材52及び外側部材51の順に折り曲げて上壁50を形成すれば、型紙400から包装容器が得られる。側壁材420Bは、側壁10の下端まで延在する補強部420を有する。このような補強部420を有することによって、保持部及び包装容器の強度を十分に高くすることができる。
【0069】
このようにして得られる包装容器では、切花300の茎が、フラップ部材436,437の先端と側壁材20A(側壁20)の内面とで形成される挿入穴から挿入され、支持部430と側壁20と下壁460で構成される収容部に保持される。このため、型紙400を組み立てて得られる紙製の包装容器も、配送時において切花又は造花を十分に保護することができる。また、フラップ部材436,437の先端の一部(角部436a,437a)が側壁材20A(側壁20)の内面に当接することによって、支持部430(包装容器)の強度を十分に高くすることができる。なお、フラップ部材436,437の先端が、側壁材20A(側壁20)の内面に当接することは必須ではなく、当接しなくても、フラップ部材436,437は支持部430の強度を高くすることができる。
【0070】
側壁材20Aは、ラベルが貼付される貼付領域Rを有していてよい。このような貼付領域Rを有することによって配送用の包装容器として一層好適に用いることができる。貼付領域Rは、舌状部27Aが挿入される切り込み27を含む。貼付領域Rが切り込み27を含むことによって、組み立てられた包装箱の貼付領域Rにラベルを貼付すれば、舌状部27Aをラベルで固定することができる。したがって、配送の際に、偶発的に舌状部27Aが切り込み27から外れてしまうことを抑制できる。
【0071】
図11に示す型紙500は、
図5に示す型紙101の第2変形例である。一枚の紙材で構成される型紙500を組み立てることによって、包装容器100と同様の形状を有する包装容器を得ることができる。
図11は、包装容器を展開したときの包装容器の表面側を示している。側壁材20Aの下端には下壁560が接続され、下壁560の側壁材20A側とは反対側にフラップ部材562が配置されている。側壁材20Aと下壁560は区画線66で区画され、下壁560とフラップ部材562は区画線561で区画されている。
【0072】
支持部530は、側壁材20A側から、側壁材20Aの側端に接続される連結部材533、第1保持部材531、第2保持部材532、支持部材534がこの順に配置されて構成される。第1保持部材531及び第2保持部材532には、軽量化を図るため、複数の貫通孔570が設けられている。側壁材20Aと連結部材533は区画線39で区画され、第1保持部材531と第2保持部材532は区画線512で区画され、第2保持部材532と支持部材534は区画線513で区画される。第2変形例の各区画線は、罫線(折線)で構成されていてもよく、ミシン目線で構成されていてもよい。第1保持部材531及び第2保持部材532は、上側の端部に凹部571を有しており、凹部571から区画線512が下側の端部に向かって延びている。このような凹部571を有することによって、切花300の茎を、側壁材20A(側壁20)の内面、第1保持部材531の上端及び第2保持部材532の上端で構成される挿入穴に挿入し易くすることができる。
【0073】
型紙500を組み立てて包装容器を形成する際、区画線39,512は山折り、区画線511,513は谷折りに折り曲げられる。これによって、連結部材533と側壁材20Aの裏面同士が接触し、支持部材534と側壁材20Aの裏面同士が接触する。支持部材534の側端が区画線82に沿うように、区画線39,512を山折りに、区画線511,513を谷折りに、それぞれ折り曲げることによって、側壁材20A(側壁20)の内面と第1保持部材531及び第2保持部材532との間に切花300の茎が挿入される空間が形成される。
【0074】
区画線39,511,512,513を折り曲げて支持部530を形成した後、区画線66,561を山折りに折り畳んで下壁560を形成するとともに、フラップ部材562が支持部530を構成する連結部材533、第1保持部材531、第2保持部材532及び支持部材534の下部を覆うように、フラップ部材562を折り畳む。 フラップ部材562では、区画線461の頂部E付近から放射状に複数の罫線563が延びている。このような罫線563を有することによって、フラップ部材562の形状を、連結部材533、第1保持部材531、第2保持部材532及び支持部材534の表面に沿うように円滑に変形させることができる。この段階で、
図6と同様に、支持部430における挿入穴に切り花を挿入することができる。この第2変形例では、挿入穴は、側壁材20A(側壁20)の内面、第1保持部材531の上端及び第2保持部材532の上端で形成されてよい。挿入穴は、切り欠き状の凹部571を有する。
【0075】
続いて、区画線82に沿って側壁材20Aに対して側壁10を折り曲げて、支持部材534と側壁10の内面とを当接させる。区画線83を山折りに折り曲げて側壁材20Aの一部を側壁材20Bで覆うとともに、舌状部27A,28Aを切り込み27,28に差し込んで側壁20を形成した後、
図3(A)及び
図4に示すのと同様に、内側部材52及び外側部材51の順に折り畳んで上壁50を形成すれば、型紙500から包装容器が得られる。このようにして得られる包装容器では、切花300の茎が支持部530と側壁20と下壁560で構成される収容部に挿入されて保持される。茎の長手方向に直交する移動は、主として側壁20、第1保持部材531及び第2保持部材532によって規制される。このため、型紙500を組み立てて得られる紙製の包装容器も、配送時において切花又は造花を十分に保護することができる。
【0076】
図12に示す型紙501は、
図5に示す型紙101の第3変形例である。一枚の紙材で構成される型紙501を組み立てることによって、包装容器100と同様の形状を有する包装容器を得ることができる。
図12は、包装容器を展開したときの包装容器の表面側を示している。側壁材20Aの下端には下壁560Aが接続され、下壁560Aの側壁材20A側とは反対側にフラップ部材562Aが配置されている。側壁材20Aと下壁560Aは区画線66で区画され、下壁560Aとフラップ部材562Aは区画線561Aで区画されている。
【0077】
支持部530Aは、側壁材20A側から、側壁材20Aの側端に接続される連結部材533A、第1保持部材531、第2保持部材532、支持部材534Aがこの順に配置されて構成される。側壁材20Aと連結部材533Aは区画線39で区画され、第1保持部材531と第2保持部材532は区画線512で区画され、第2保持部材532と支持部材534Aは区画線513で区画される。第3変形例の各区画線も、罫線(折線)で構成されていてもよく、ミシン目線で構成されていてもよい。
【0078】
この第3変形例では、連結部材533A及び支持部材534Aが、第2変形例の連結部材533A及び支持部材534Aよりも幅広になっている。また、下壁560A及びフラップ部材562Aも、第2変形例の下壁560及びフラップ部材562よりも幅広になっている。これによって、側壁10,20の幅を大きくして、ラベル貼付用の貼付領域Rのサイズを十分に大きくすることができる。なお、第3変形例の第1保持部材531及び第2保持部材532の大きさは、第2変形例と同じであってよい。これによって、支持部530Aの挿入穴に挿入された切り花の茎が配送中に動くことを抑制できる。
【0079】
この第3変形例では、第1変形例と同様に、側壁材520Bが、側壁10の下端まで延在する補強部520を有する。このような補強部520を有することによって、保持部40及び包装容器の強度を十分に高くすることができる。
【0080】
図13に示す型紙502は、
図5に示す型紙101の第4変形例である。一枚の紙材で構成される型紙502を組み立てることによって、包装容器100と同様の形状を有する包装容器を得ることができる。
図13は、包装容器を展開したときの包装容器の表面側を示している。この第4変形例の型紙502は、側壁材20Bが側壁10の下端まで延在していない点で、第3変形例の型紙501と異なっている。また、支持部530Cを構成する各部材の形状及びサイズは、第3変形例の支持部530Aと同じであってもよいし、異なっていてもよい。型紙502のその他の構造は、型紙501と同様であってよい。
【0081】
図14に示す型紙503は、
図5に示す型紙101の第5変形例である。一枚の紙材で構成される型紙503を組み立てることによって、包装容器100と同様の形状を有する包装容器を得ることができる。
図14は、包装容器を展開したときの包装容器の表面側を示している。この第5変形例の型紙503は、支持部530Bを構成する各部材のサイズが第4変形例の支持部530Aの各部材のサイズよりも若干小さくなっている点、貼付領域Rが側壁材20Bではなく側壁10に設けられている点、下壁560Bが第4変形例の下壁560Aよりも小さくなるとともにフラップ部材562Bの下端縁が直線状に形成されている点、外側部材551の先端に差し込み片553が設けられている点、及び、側壁材20Aと内側部材52との境界に差し込み片553を差し込むための切り込み521が設けられている点で、第4変形例の型紙502と異なっている。型紙503のその他の構造は、型紙502と同様であってよい。
【0082】
型紙503を組み立てて包装容器を形成する際、差し込み片553を切り込み521に差し込むことによって、配送中に外側部材551が不意に開放してしまうことを十分に抑制することができる。
【0083】
包装容器を形成するための型紙の幾つかの変形例を挙げたが、型紙も包装容器も上述のものに限定されない。例えば、一つの変形例の構成の一部を別の変形例に適用してもよい。以上のとおり、幾つかの実施形態及び変形例を説明したが、本開示は、以下の内容を含む。
【0084】
[1]側壁、前記側壁の上端側に設けられる上壁、及び、前記側壁の下端側に設けられる下壁に取り囲まれて形成される内部空間に切花又は造花を収容する紙製の包装容器であって、
前記切花又は造花の茎を保持する前記下端側の方が、前記切花又は造花の花を保持する前記上端側よりも細くなっており、
前記茎を保持する保持部は、前記茎の長手方向に直交する方向の移動を規制するように構成される、包装容器。
【0085】
[2]前記保持部は、隣り合う前記側壁の内面に挟まれて当該側壁を支持する支持部、及び、前記側壁の一部を切り欠くようにして形成され、前記茎の長手方向に延びる前記内部空間の中心線に向かって突出する突起部、の少なくとも一方を有する、[1]に記載の包装容器。
【0086】
[3]前記支持部は、隣り合う前記側壁同士を区画する区画線に先端が向かうように差し込まれる一対の楔状部材と、当該一対の楔状部材の間に前記茎が挿入される挿入穴とを有する、[2]に記載の包装容器。
【0087】
[4]前記支持部は、
前記側壁の側端に接続され、当該側壁とは異なる側壁の内面に当接する接続部材と、
当該接続部材が接続される前記側壁の内面に当接するフラップ部材と、を有し、
前記接続部材と前記フラップ部材は前記楔状部材を介して接続されている、[3]に記載の包装容器。
【0088】
[5]前記突起部は、
一対の山折り線と前記一対の山折り線の上端同士及び下端同士を結ぶ切断線と、前記一対の山折り線の間の領域を二分するように上下方向に沿って延びる谷折り線と、によって構成される、[2]に記載の包装容器。
【0089】
[6]前記突起部は、隣り合う前記側壁を区画する区画線を分断するように設けられ、
前記区画線を正面からみたときに、前記区画線と、前記谷折り線とが一直線に並んでいる、[5]に記載の包装容器。
【0090】
[7]前記一対の山折り線は、対向する山折り線側とは反対側の前記区画線と平行に延びる、[6]に記載の包装容器。
【0091】
[8]前記内部空間の横断面のうち、面積が最大となる部分の横断面が扁平形状を有する、[1]~[7]のいずれか一つに記載の包装容器。
【0092】
[9]前記上壁は、基端において前記側壁の上端に接続され、先端に凹凸形状を有する上壁材を有しており、
当該先端の凸部が当該側壁に対向する別の側壁の上端に当接する、[1]~[8]のいずれか一つに記載の包装容器。
【0093】
[10]前記側壁の中央部に切り込み又は貫通穴と、前記切り込み又は前記貫通穴から当該側壁の上端に向かって放射状に延びるミシン目線によって区画される開封予定部と、を含む、[1]~[9]のいずれか一つに記載の包装容器。
【0094】
[11]一枚の紙材で構成される、[1]~[10]のいずれか一つに記載の包装容器。
【0095】
[12]上記[1]~[11]のいずれか一つに記載の包装容器を形成するための型紙。
【0096】
[13]上記[1]~[11]のいずれか一つに記載の包装容器と、前記包装容器に収容された前記切花又は造花と、を備える、梱包体。
【符号の説明】
【0097】
10,20,210,220,270,280…側壁、11,211…貫通穴、12,212…開封ミシン目線、13,213A,213B……角部、14,214…開封予定部、16,26…山折り線(罫線)、20A,20B,420B,520B…側壁材、21…中央部、27A,28A…舌状部、30,430,530,530A,530B…支持部、31A,31B…楔状部材、33…挿入穴、35…接続部材、36,562,562A,562B…フラップ部材、37,38,64,463,563…罫線、39,66,67,82,83,201,202,203,204,411,412,413,416,417,461,511,512,513,561,561A…区画線、40,41,240,241…保持部、50,250…上壁、51,551…外側部材、51A…基端、51B…先端、52…内側部材、52A…基端、52B…先端、54…凸部、55,571…凹部、60,260,460,560,560A,560B…下壁、62,436,437,462…フラップ部材、70,72,470,570…貫通孔、80,81…仮想線、85…内部空間、100,200…包装容器、101,102,500,501,502,503…型紙、230…突起部、231…谷折り線、232…山折り線、233,234…切断線、251,252,253,254…上壁材、261,262,263…下壁材、251A,261A…フラップ部、280B…貼り合わせ部、300…切花(造花)、350,351…梱包体、420,520…補強部、431,531…第1保持部材、432,532…第2保持部材、433,533,533A…連結部材、434,534,534A…支持部材、553…差し込み片。