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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】公園用手洗い設備
(51)【国際特許分類】
   E03B 9/04 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
E03B9/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020134340
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030358
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391028960
【氏名又は名称】内田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕郎
(72)【発明者】
【氏名】黒野 誠一
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-106728(JP,A)
【文献】登録実用新案第3053784(JP,U)
【文献】米国特許第04336619(US,A)
【文献】特開平07-133622(JP,A)
【文献】実開平04-095455(JP,U)
【文献】特許第5346117(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00-11/16
E03C 1/00-1/10
A47K 1/00-1/14
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手洗い者の左右を仕切り一人用の手洗い空間を形成する左右の側板を備えたボックス状の中空ユニットと、
この中空ユニットの前面の中間高さに形成された手の差込口と、
この中空ユニットの天井部に形成され、差込口から差し込まれた手を検出して自動的に水を吐出する吐出口と、
この中空ユニットの底部に形成され、吐出口から流下した水を水受け部を介することなく、地面の下に設けられた集水桝に直接排水する排水口と、を備えた公園用手洗い設備。
【請求項2】
前記差込口に頭部が入らないように、前記差込口の上下に通り抜け防止板を設けた請求項1に記載の公園用手洗い設備。
【請求項3】
前記通り抜け防止板の下部に、背面方向に向かって下り傾斜した水撥ね防止部材を設けた請求項2に記載の公園用手洗い設備。
【請求項4】
前記吐出口の先端以外の部分を覆う遮蔽板を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載の公園用手洗い設備。
【請求項5】
排水口の下に集水桝を設けた請求項1乃至4のいずれかに記載の公園用手洗い設備。
【請求項6】
複数の中空ユニットを、隣接する中空ユニットの差込口がそれぞれ異なった方向を向き手洗い者が互いに隣り合わないように配置した請求項1乃至5のいずれかに記載の公園用手洗い設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公園用手洗い設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、学校や公園などの公共施設において複数の人が利用する手洗い場が設けられることが知られている。昨今、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、こまめな手洗いが推奨されている。また、蛇口やドアノブなど複数の人が触れる場所にウイルスが付着することによる接触感染が懸念されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5346117号公報
【0004】
従来の手洗い場は、特許文献1に記載されているように、複数の人が横一列に並び、横長のシンクを共有して使用する構造のものであった。このような構造の手洗い場では、手を洗う際の飛沫がシンクなどに当たって跳ね返り周囲に飛散することを防ぐのは困難であった。また、水を出したり止めたりするために蛇口を手で操作する必要があるため、接触感染のおそれを払拭できないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、飛沫の飛散を抑制することができる、自動手洗い式の公園用手洗い設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明は、手洗い者の左右を仕切り一人用の手洗い空間を形成する左右の側板を備えたボックス状の中空ユニットと、この中空ユニットの前面の中間高さに形成された手の差込口と、この中空ユニットの天井部に形成され、差込口から差し込まれた手を検出して自動的に水を吐出する吐出口と、この中空ユニットの底部に形成され、吐出口から流下した水を水受け部を介することなく、地面の下に設けられた集水桝に直接排水する排水口とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、前記差込口に頭部が入らないように、前記差込口の上下に通り抜け防止板を設けることが好ましい。
【0008】
前記通り抜け防止板の下部に、背面方向に向かって下り傾斜した水撥ね防止部材を設けることが好ましい。
【0009】
また、前記吐出口の先端以外の部分を覆う遮蔽板を設けることが好ましい。
【0010】
また、排水口の下に集水桝を設けることが好ましい。
【0011】
また、複数の中空ユニットを、隣接する中空ユニットの差込口がそれぞれ異なった方向を向き手洗い者が互いに隣り合わないように配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、飛沫の飛散を抑制することができる、自動手洗い式の公園用手洗い設備を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の公園用手洗い設備を正面側から見た斜視図である。
図2】実施形態の公園用手洗い設備の正面図である。
図3】実施形態の公園用手洗い設備を正面から見た部分断面図である。
図4図2のA-A断面図である。なお、手を洗う人を図示している。
図5】実施形態の公園用手洗い設備を複数設置する場合の第一配置例を表した平面図である。なお、△は手洗い者の位置を表している。
図6】実施形態の公園用手洗い設備を複数設置する場合の第二配置例を表した平面図である。なお、△は手洗い者の位置を表している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1に示すことから理解されるように、実施形態の公園用手洗い設備1は、背面板13と、左右一対の側板12と、側板12間を架け渡す天板14とを有するボックス状の中空ユニット11を備えている。中空ユニット11の左右方向の幅は、人が複数ではなく一人で使用するのに適した幅となっている。中空ユニット11の前面の中間高さには、手洗い者が手を差し込むための差込口15が形成されている。実施形態の差込口15は、人が立位で手を洗うのに適した高さに設けられている。また、実施形態の差込口15の上下には、子どもの頭部が入ることを防ぐ通り抜け防止板15a及び15bが設けられている。差込口15から差し入れた手を洗う空間の少なくとも一部は側板12と背面板13とに囲まれており、手を洗う際に生じる飛沫が周囲に飛散しにくい構造となっている。
【0015】
図2乃至3に示すことから理解されるように、中空ユニット11の天井部には、手洗い用の水5を吐出する吐出口2と、差込口15から差し込まれた手を検出することが可能なセンサ3と、センサ3からの信号を受けて吐出口2から手洗い用の水5を吐出させる制御部4とが設けられ、差込口15から手を差し込むと自動的に吐出口2から水5が吐出される。吐出口2から水5が吐出される時間の長さは制御部4によってあらかじめ適宜設定することができ、設定された時間が経過したら自動的に水5の吐出が停止する。したがって、手を洗う水5を出したり止めたりするために蛇口等を操作する必要がなく、非接触の状態を保って衛生的に手洗いをすることができる。
【0016】
図1乃至3に示すことから理解されるように、中空ユニット11の前面下部には下部カバー17が背面板13と平行となるように設けられている。図4に示すことから理解されるように、中空ユニット11は、左右の側板12と背面板13と下部カバー17とに囲まれた底部が開口して排水口18を形成している。吐出口2から流下した水5は、排水口18を通り中空ユニット11の外部へ排水される。公園用手洗い設備1はシンク等の水受け部を有しておらず、吐出口2から流下した水5はシンク等を介することなく排水口18から直接外部へ排水されるので、飛沫の飛散を抑制することができる。
【0017】
また、差込口15が、子どもの頭部が通り抜ける大きさで開口していると、子どもが頭部を差し込んで中空ユニット11内に転落する事故を引き起こすおそれがある。したがって、前記したように、実施形態では中空ユニット11の前面に、差込口15を狭くして子どもの頭部が入らないようにする通り抜け防止板を設けている。具体的には、差込口15の上に通り抜け防止板15aを、差込口15の下に通り抜け防止板15bを設けている。通り抜け防止板15aは、下辺の中央を半円状に凹ませた長方形の板を備え、天板15の下方に背面板13と平行になるように設けられている。通り抜け防止板15bは、上辺の中央を半円状に凹ませた長方形の板を備え、通り抜け防止板15aの下方に設けられている。通り抜け防止板15a及び15bの半円状の凹みが対向して略楕円形の差込口15を形成している。差込口15の直径は、子どもの頭囲より小さく、かつ、手を洗うには十分な大きさとなっている。
【0018】
図4に示すことから理解されるように、実施形態の公園用手洗い設備1には、通り抜け防止板15bの下部に板状の水撥ね防止部材16を設け、水撥ね防止部材16の少なくとも一部を背面方向に向かって下り傾斜させている。水撥ね防止部材16を背面方向に向かって下り傾斜させて設置することで、手洗い時に手前に撥ねる水5の一部を水撥ね防止部材16が受けて排水口18へスムーズに誘導することができる。
【0019】
また、中空ユニット11の内部で吐出口2の全体が露出していると、子どもが差込口15から手を入れて吐出口2を触るなどのいたずらが行われるおそれがある。そこで、実施形態では吐出口2の先端以外の部分を覆う遮蔽板21を設けている。図3乃至4に示すことから理解されるように、遮蔽板21は、吐出口2を通す孔を備え、前記孔から吐出口2の下端が出る位置で天板14と平行となるように設けられている。遮蔽板21を設けることで吐出口2の先端以外の部分が遮蔽されるので、吐出口2に触れるいたずらを抑制することができる。
【0020】
また、図4に示すことから理解されるように、実施形態では排水口18の下に集水桝6を設けている。実施形態の集水桝6は公園用手洗い設備1を設置する地面の下に設けられ、手洗い後の排水が集水桝6に集められる。集水桝6を設けることで、排水用の側溝のオーバーフローの発生や、落ち葉やごみなどが側溝へ流れることを抑制することができる。また、後述する複数の中空ユニット11を組み合わせて配置する場合においても、それらの中空ユニット11の下に共通する集水桝6を設けることで、効率よく排水させることができる。
【0021】
公園用手洗い設備1は、1台の中空ユニット11を単独で用いるだけでなく、複数の中空ユニット11を組み合わせて使用することができる。実施形態では、隣接する中空ユニットの差込口15がそれぞれ異なった方向を向いて手洗い者が互いに隣り合わないように配置している。図5に示した第一の配置例では、複数の中空ユニット11を、隣接する中空ユニットの差込口15の向きが互い違いになるように横一列に配置している。このように中空ユニット11を配置した公園用手洗い設備1とすれば、手洗い者同士が隣り合わないので、任意の手洗い者によって生じる飛沫が別の手洗い者に対して飛散することをより抑制することができる。なお、第一の配置例のように差込口15の向きを互い違いにするための設置スペースが十分に取れない場合は、中空ユニット11を同じ向きで横一列に並べても良い。その場合においても、側板12が一人用の手洗い空間を仕切っているので、他者の手洗いによる飛沫の飛散を抑制する効果がある。
【0022】
図6に示した第二の配置例では、中空ユニット11を、隣接する中空ユニットの背面板13が直交するような向きで配置している。図6では4台の中空ユニット11を用いた配置例を示しているが、2台または3台の中空ユニット11を用いる構成でもよい。また、2台の中空ユニット11を、背面板13が対向する向きで配置してもよい。第二の配置例も、第一の配置例と同様に、手洗い者同士が隣り合わないので他者の手洗いによる飛沫に接触することを抑制することができる。
【0023】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、十分に時間をかけて手洗いを行うことでウイルス除去に効果があるという観点から、手洗い時間を知らせる音楽が流れるような装置を公園用手洗い設備1に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 公園用手洗い設備
11 中空ユニット
12 側板
13 背面板
14 天板
15 差込口
15a 通り抜け防止板
15b 通り抜け防止板
16 水撥ね防止部材
17 下部カバー
18 排水口
2 吐水口
21 遮蔽板
3 センサ
4 制御部
5 水
6 集水桝
図1
図2
図3
図4
図5
図6