(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ホース接続具
(51)【国際特許分類】
F16L 37/04 20060101AFI20240624BHJP
E03C 1/086 20060101ALI20240624BHJP
F16L 33/04 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F16L37/04
E03C1/086
F16L33/04
(21)【出願番号】P 2020163633
(22)【出願日】2020-09-29
(62)【分割の表示】P 2020041412の分割
【原出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】砂場 孝行
(72)【発明者】
【氏名】竹山 典臣
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219194(JP,A)
【文献】実公昭49-007477(JP,Y1)
【文献】特開平07-103369(JP,A)
【文献】実開平04-126966(JP,U)
【文献】実開昭50-060617(JP,U)
【文献】実開昭49-043825(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/04、37/04
E03C 1/086
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体として一体であり、水栓の吐水管が挿入される本体部材と、
ホースが接続されるホース接続部と、
前記本体部材に挿入された前記吐水管と前記ホース接続部とを水密に接続するパッキンと、
前記本体部材に回動可能に取り付けられ、前記吐水管に吐水方向成分を含む押圧力を付与する押圧部材と、
前記押圧部材を緩み方向及び締め付け方向に回動させうる回動操作部と、
前記本体部材に固定又は係合されている第1係合部と、
前記第1係合部に係合し、前記回動操作部及び前記押圧部材と共に回動する第2係合部と、
を備えており、
前記第2係合部が、前記第1係合部と前記押圧部材との間に位置しており、
前記押圧部材が、前記吐水管に当接する押圧当接面を有しており、前記押圧当接面が、前記押圧部材の回動により前記吐水管との距離が変動するように形成されており、
前記押圧力の反力が前記第2係合部に伝達されて前記第2係合部を前記第1係合部に押し付け
ており、
前記第1係合部が、前記本体部材に形成されているホース接続具。
【請求項2】
全体として一体であり、水栓の吐水管が挿入される本体部材と、
ホースが接続されるホース接続部と、
前記本体部材に挿入された前記吐水管と前記ホース接続部とを水密に接続するパッキンと、
前記本体部材に回動可能に取り付けられ、前記吐水管に吐水方向成分を含む押圧力を付与する押圧部材と、
前記押圧部材を緩み方向及び締め付け方向に回動させうる回動操作部と、
前記本体部材に固定又は係合されている第1係合部と、
前記第1係合部に係合し、前記回動操作部及び前記押圧部材と共に回動する第2係合部と、
を備えており、
前記第2係合部が、前記第1係合部と前記押圧部材との間に位置しており、
前記押圧部材が、前記吐水管に当接する押圧当接面を有しており、前記押圧当接面が、前記押圧部材の回動により前記吐水管との距離が変動するように形成されており、
前記押圧力の反力が前記第2係合部に伝達されて前記第2係合部を前記第1係合部に押し付け
ており、
前記押圧部材の回転軸線の方向が軸方向とされるとき、
前記押圧力の反力が、軸方向上向きの成分を含んでおり、
この成分により、前記第1係合部と前記第2係合部との接触圧が高まるように構成されているホース接続具。
【請求項3】
前記第2係合部の回転軸線の方向が、前記軸方向に一致している請求項
2に記載のホース接続具。
【請求項4】
全体として一体であり、水栓の吐水管が挿入される本体部材と、
ホースが接続されるホース接続部と、
前記本体部材に挿入された前記吐水管と前記ホース接続部とを水密に接続するパッキンと、
前記本体部材に回動可能に取り付けられ、前記吐水管に吐水方向成分を含む押圧力を付与する押圧部材と、
前記押圧部材を緩み方向及び締め付け方向に回動させうる回動操作部と、
前記本体部材に固定又は係合されている第1係合部と、
前記第1係合部に係合し、前記回動操作部及び前記押圧部材と共に回動する第2係合部と、
を備えており、
前記第2係合部が、前記第1係合部と前記押圧部材との間に位置しており、
前記押圧部材が、前記吐水管に当接する押圧当接面を有しており、前記押圧当接面が、前記押圧部材の回動により前記吐水管との距離が変動するように形成されており、
前記押圧力の反力が前記第2係合部に伝達されて前記第2係合部を前記第1係合部に押し付け
ており、
前記第2係合部が、前記第1係合部と係合する第1位置と、前記第1係合部との係合が解除される第2位置とに移動できるように構成されているホース接続具。
【請求項5】
全体として一体であり、水栓の吐水管が挿入される本体部材と、
ホースが接続されるホース接続部と、
前記本体部材に挿入された前記吐水管と前記ホース接続部とを水密に接続するパッキンと、
前記本体部材に回動可能に取り付けられ、前記吐水管に吐水方向成分を含む押圧力を付与する押圧部材と、
前記押圧部材を緩み方向及び締め付け方向に回動させうる回動操作部と、
前記本体部材に固定又は係合されている第1係合部と、
前記第1係合部に係合し、前記回動操作部及び前記押圧部材と共に回動する第2係合部と、
を備えており、
前記第2係合部が、前記第1係合部と前記押圧部材との間に位置しており、
前記押圧部材が、前記吐水管に当接する押圧当接面を有しており、前記押圧当接面が、前記押圧部材の回動により前記吐水管との距離が変動するように形成されており、
前記押圧力の反力が前記第2係合部に伝達されて前記第2係合部を前記第1係合部に押し付け
ており、
前記第1係合部が、凸部で構成されており、
前記凸部が、前記押圧部材側に突出しているホース接続具。
【請求項6】
前記第1係合部と前記第2係合部との接触圧を高める付勢部材が更に設けられている請求項1
から5のいずれか1項に記載のホース接続具。
【請求項7】
前記第1係合部と前記押圧部材との間に係止部材が配置されており、
前記係止部材が前記第2係合部を有している請求項1
から6のいずれか1項に記載のホース接続具。
【請求項8】
前記押圧当接面が、螺旋に沿って形成された斜面及び/又は階段面である請求項1から
7のいずれか1項に記載のホース接続具。
【請求項9】
前記押圧当接面のリード角が10°以上である請求項
8に記載のホース接続具。
【請求項10】
前記回動操作部の回動可能角度が300°以下である請求項
9に記載のホース接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホース接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
水栓にホースを接続するためのホース接続具として、周方向に分散して配置された複数のネジを締め付けて水栓に固定されるタイプが知られている。このタイプでは、複数のネジを均等に締め付けるのに手間と時間とを要する。これに対して、実用新案出願公告昭49-7477号公報は、ボルトを締めることで洗面器用の水栓に取り付けられるホース継手を開示する。特開2017-219194号公報は、上側部材と下側部材とを備え、これらによって曲がって延びる排出管を挟み込むことができるホース接続具を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案出願公告昭49-7477号公報
【文献】特開2017-219194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、水圧による外れにくさ及び操作性において、更なる改善の余地を見いだした。本開示は、耐水圧性能及び操作性に優れたホース接続具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様では、ホース接続具は、全体として一体であり、水栓の吐水管が挿入される本体部材と、ホースが接続されるホース接続部と、前記本体部材に挿入された前記吐水管と前記ホース接続部とを水密に接続するパッキンと、前記本体部材に回動可能に取り付けられ、前記吐水管に吐水方向成分を含む押圧力を付与する押圧部材と、前記押圧部材を緩み方向及び締め付け方向に回動させうる回動操作部と、前記本体部材に固定又は係合されている第1係合部と、前記第1係合部に係合し、前記回動操作部及び前記押圧部材と共に回動する第2係合部と、を備えている。前記第2係合部が、前記第1係合部と前記押圧部材との間に位置している。前記押圧部材が、前記吐水管に当接する押圧当接面を有している。前記押圧当接面が、前記押圧部材の回動により前記吐水管との距離が変動するように形成されている。前記押圧力の反力が前記第2係合部に伝達されて前記第2係合部を前記第1係合部に押し付ける。
【発明の効果】
【0006】
一つの側面では、耐水圧性能及び操作性に優れたホース接続具が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るホース接続具が水栓に取り付けられた固定状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の断面図であって、固定状態の断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に対応する断面図であって、解除状態の断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のホース接続具の分解斜視図である。
【
図5】
図5(a)は本体部材を上側から見た斜視図であり、
図5(b)は本体部材の正面図であり、
図5(c)は本体部材を下側から見た斜視図であり、
図5(d)は本体部材の底面図である。
【
図6】
図6(a)は押圧部材を上側から見た斜視図であり、
図6(b)は押圧部材の平面図であり、
図6(c)は欠け部側から押圧部材を見た正面図であり、
図6(d)は押圧部材を下側から見た斜視図であり、
図6(e)は押圧部材の底面図である。
【
図7】
図7(a)は回動操作部を上側から見た斜視図であり、
図7(b)は回動操作部の平面図であり、
図7(c)は回動操作部の側面図であり、
図7(d)は回動操作部を下側から見た斜視図であり、
図7(e)は回動操作部の底面図である。
【
図8】
図8(a)は係止部材を上側から見た斜視図であり、
図8(b)は係止部材の平面図であり、
図8(c)は係止部材の側面図であり、
図8(d)は係止部材を下側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、固定状態及び解除状態のホース接続具を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、固定状態及び解除状態のホース接続具を示す側面図である。
【
図11】
図11は、固定状態及び解除状態のホース接続具を示す断面図である。
【
図12】
図12は、変形例の押圧部材を上側から見た斜視図であり、
図12(b)はこの押圧部材の平面図であり、
図12(c)はこの押圧部材の側面図であり、
図12(d)はこの押圧部材を下側から見た斜視図であり、
図12(e)はこの押圧部材の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0009】
本願では、典型的な水栓の姿勢に基づいて、「上」、「上側」、「下」、「下側」等の文言が用いられる。水栓の姿勢が典型的ではない場合、これらの文言は、当該姿勢に沿って解釈される。
【0010】
特に説明をした場合を除き、本願では、「半径方向」は押圧部材の回転軸線に垂直な方向を意味し、「周方向」は押圧部材の回転軸線を中心線とする円筒の周方向を意味し、「位相」とは、この周方向における位相を意味し、「軸方向」は、押圧部材の回転軸線の方向を意味する。なお、本願の実施形態では、押圧部材の回転軸線は、回動操作部の回転軸線に一致しており、係止部材の回転軸線にも一致している。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るホース接続具10が取り付けられた水栓f1の斜視図である。
図2は、
図1の断面図である。
図1及び
図2は、ホース接続具10が水栓f1に固定された固定状態を示す。
図3は、水栓f1への固定が解除された解除状態を示す断面図である。
図2及び
図3の断面図において、水栓f1は、輪郭線のみが示されている。
【0012】
水栓f1は、水栓本体f2と、吐水管f3と、ハンドルf4とを有する。吐水管f3は、水栓本体f2に接続されている。水栓本体f2を通過した水は、吐水管f3を経て排出される。水栓f1には、バルブ(図示されず)が内蔵されている。ハンドルf4を操作(回転)させることで、このバルブが開閉される。ハンドルf4の操作により、吐止水の切替及び吐水量の調整がなされる。
【0013】
本実施形態において、水栓f1は、水栓本体f2に対して吐水管f3が固定されている。当業者において、この水栓f1は、横水栓と称されている。この称呼は、JIS B 2061で定められている。なお、この水栓f1では水栓本体f2と吐水管f3との境界が必ずしも明確ではないが、バルブよりも下流側の部分が吐水管f3とみなされてもよい。また、吐水口f6に至る太さ(外径)が一定の部分が吐水管f3と見なされてもよい。
【0014】
ホース接続具10が使用可能な水栓f1として、横水栓の他、横水栓(吐水口回転形)及び横水栓(自在形)が例示される。これらの称呼も、JIS B 2061で定められている。横水栓(吐水口回転形)は、万能ホーム水栓とも称される。横水栓(自在形)は、自在水栓とも称される。
【0015】
吐水管f3は、その少なくとも一部が曲がって延びている。すなわち、吐水管f3は、曲がり部f5を有する。更に吐水管f3は吐水口f6を有する。吐水口f6から水が吐出される。吐水管f3は、水栓本体f2から延び、吐水口f6で終端している。曲がり部f5は、吐水口f6が下向きになるように曲がっている。
【0016】
水栓f1では、吐水方向が定義される。吐水方向は、水が吐出される方向である。正確には、吐水方向は、以下のように定義される。
図2が示すように、吐水管f3が、真っ直ぐに延びて吐水口f6に至るストレート部を有する場合、このストレート部の中心線の方向が、吐水方向Dxと定義される。吐水管f3が吐水口f6まで曲がっている場合、吐水口f6の端面を含む平面に垂直な直線の方向が、吐水方向Dxと定義される。
【0017】
曲がり部f5の外面は、凸曲面f51と凹曲面f52とを有する(
図2参照)。凸曲面f51は、曲がりの外側(外周側)に形成されている。凹曲面f52は、曲がりの内側(内周側)に形成されている。
【0018】
図4は、ホース接続具10の分解斜視図である。ホース接続具10は、本体部材100と、押圧部材200とを有する。押圧部材200は、本体部材100に、回動可能に取り付けられている。押圧部材200が吐水管f3(曲がり部f5)に押し付けられることで、ホース接続具10は水栓f1に固定されている。固定状態において、押圧部材200は、吐水管f3の曲がり部f5に、押圧力を付与している。
【0019】
更に、ホース接続具10は、回動操作部300と、係止部材400と、付勢部材500とを有する。回動操作部300は、操作レバーを構成している。押圧部材200は回動操作部300と共に回動する。回動操作部300を回動操作することで、押圧部材200が回動する。係止部材400は、回動操作部300と共に回動する。係止部材400は、押圧部材200と共に回動する。係止部材400は、固定状態における押圧部材200が緩むのを抑制する。付勢部材500は、押圧部材200と係止部材400との間に位置する。付勢部材500は、係止部材400を上側に常時付勢している。
【0020】
回動操作部300は、本体部材100の外側(上側)に配置されている。押圧部材200は、本体部材100の内側に配置されている。係止部材400は、本体部材100の内側に配置されている。付勢部材500は、本体部材100の内側に配置されている。押圧部材200は、係止部材400の下側に配置されている。係止部材400は、回動操作部300の下側に配置されている。回動操作部300と係止部材400との間に、本体部材100の上壁部が介在している。
【0021】
更に、ホース接続具10は、パッキン510と、下側部材520とを有する。パッキン510は環状である。パッキン510は、環状の基部512と、この基部512から当該基部512の半径方向内側に延びる筒部514とを有する。固定状態において、パッキン510は、吐水管f3の外面に密着する。吐水管f3は筒部514の内側に挿入される。筒部514が吐水管f3の外面に密着する。基部512が本体部材100と下側部材520とに挟まれることで、パッキン510は本体部材100に固定されている。パッキン510は、ホース接続具10の水密な接続を可能とする。
【0022】
下側部材520は、その内部を貫通する流路を構成している。下側部材520は、ホース接続部522と、ネジ部524とを有する。ネジ部524は雄ねじである。ネジ部524は、本体部材100の下部に形成された雌ねじ部とネジ結合している。ホース接続部522は、ホース接続具10の下端部を構成している。ホース接続部522に、ホース(図示されない)が接続される。ホース接続部522に環状シール部材526(Oリング)が装着されている。ネジ部524の上側にも、環状シール部材528(Oリング)が装着されている。
【0023】
ホース接続具10は、吐水管挿入部530を有する。吐水管挿入部530は、ホース接続具10の内部流路を構成しつつ、吐水管f3が挿入される空洞を構成する。本体部材100と下側部材520とは、パッキン510(基部512)を挟み込みつつ、ネジ結合している。結合した本体部材100及び下側部材520が、内側に空洞を有する吐水管挿入部530を構成している。吐水管挿入部530は上側開口を有しており、吐水管f3が当該上側開口から吐水管挿入部530に挿入される。この挿入により、パッキン510は吐水管f3の外面に密着する。
【0024】
図5(a)は本体部材100を上側から見た斜視図であり、
図5(b)は本体部材100を水栓f1が挿入される側から見た正面図であり、
図5(c)は本体部材100を下側から見た斜視図であり、
図5(d)は本体部材100の底面図である。
図5(c)には、部分拡大図が付加されている。
【0025】
本体部材100は、上部102と下部104とを有する。上部102は、下部104の上側に位置する。上部102は、上壁106と、受入開口108とを有する。更に、上部102は、背面開口110と、側壁112とを有する。
【0026】
上壁106は、上面120と下面122とを有する。上面120は、上壁106の外面である。下面122は、上壁106の内面である。上壁106は、貫通孔124を有する。貫通孔124は、上面120から下面122まで延びている。貫通孔124は、上部102の内部空間を本体部材100の外側と連通させている。
【0027】
受入開口108は、吐水管f3を受け入れる。固定状態において、吐水管f3は、受入開口108を通過して本体部材100内に入り、吐水管挿入部530に到達している。受入開口108は、上壁106の下側に設けられている。受入開口108の上縁は上壁106によって構成されている。受入開口108は上壁106と下部104との間に形成されている。
【0028】
上部102において、背面開口110は、受入開口108の反対側に位置する。固定状態において、本体部材100の内部にある吐水管f3が、背面開口110を通して視認される。
【0029】
側壁112は、上面120と下部104との間に形成されている。側壁112は、受入開口108で分断されている。更に、側壁112は、背面開口110で分断されている。側壁112は、左右一対の壁部を構成している。
【0030】
下部104は、管状壁部130と、下側当接部132と、上側開口134とを有する。管状壁部130は、その内面に、雌ねじ部136を有する。雌ねじ部136は、下側部材520のネジ部524とネジ結合している(
図2及び
図3参照)。下側当接部132は、管状壁部130の外面から、管状壁部130の径方向外側に突出している。固定状態において、下側当接部132は、下側から水栓f1(水栓本体f2)に当接しうる(
図2及び
図3参照)。上側開口134は、吐水管挿入部530の入口を構成している。
【0031】
本体部材100は、第1係合部E1を有する。第1係合部E1は、上壁106の下面122に設けられている。本実施形態では、第1係合部E1は、凸部140である。第1係合部E1として、複数(3つ)の凸部140が設けられている。凸部140は、下側に突出している。凸部140は、押圧部材200側に突出している。
【0032】
本体部材100は、回動規制部142を有する。回動規制部142は、回動操作部300の回動範囲を規制する。回動規制部142により、回動操作部300の回動可能角度が規定されている。回動規制部142は、上面120に設けられている。回動規制部142は、第1部分144と第2部分146とを有する。第1部分144は突起である。第2部分146は突起である。回動操作部300のレバー部304が回動規制部142に当接することで、回動操作部300の回動が規制される。回動規制部142により、回動操作部300の回動可能角度が画定されている。
【0033】
本体部材100は、全体として一体である。本体部材100は、一体部材である。本体部材100は、全体として一体成形されている。本体部材100は、一体化された複数の部材により構成されていてもよい。
【0034】
図6(a)は押圧部材200を上側から見た斜視図であり、
図6(b)は押圧部材200の平面図であり、
図6(c)は押圧部材200の側面図であり、
図6(d)は押圧部材200を下側から見た斜視図であり、
図6(e)は押圧部材200の底面図である。
【0035】
押圧部材200は、回動連結部202と、側壁部204とを有する。側壁部204は、回動連結部202の周囲に形成されている。側壁部204は、円周外面208及び円周内面210を有する。押圧部材200は、周方向の一部が欠落した欠け部212を有する。欠け部212は、受入開口108側に配向することで、ホース接続具10内への吐水管f3の挿入を容易とする。
【0036】
側壁部204は、回転軸線Z2からの距離が周方向位置によって徐々に変化する半径方向距離変化部214を有する。半径方向距離変化部214は、側壁部204の下部に形成されている。
【0037】
押圧部材200は、押圧当接面M1を有する。本実施形態では、押圧当接面M1は、押圧部材200の下端面216である。押圧当接面M1は、半径方向距離変化部214の下端面216である。押圧当接面M1は、回転軸線Z2に対して傾斜している。
図6(c)がよく示すように、押圧当接面M1は、螺旋に沿って延在している。この螺旋は、押圧部材200の回転軸線Z2の周囲に形成されている。このように、押圧当接面M1(下端面216)の軸方向位置は、その周方向位置によって変化している。換言すれば、押圧当接面M1の軸方向位置は、その位相によって変化している。押圧当接面M1(下端面216)は、軸方向位置が上側にいくにつれて半径方向位置が小さくなるように変化している。
【0038】
回動連結部202は、連結孔220と、凹部222と、凸部224とを有する。連結孔220は、断面形状が非円形の連結孔である。凹部222の断面形状は非円形である。凹部222は、その内側に連結孔220を形成する孔形成壁部226の外面を第1の側面とし、円周内面210を第2の側面としている。孔形成壁部226の外面は角柱の外面の形状を呈している。凸部224は、周方向の2箇所に設けられている。凸部224は、孔形成壁部226と円周内面210との間に延びている。
【0039】
押圧部材200は、保持係止部230を有する。保持係止部230は、連結孔220の下端に形成されている。
【0040】
図2が示すように、押圧当接面M1は、吐水管f3に当接する。押圧当接面M1は、吐水管f3に、吐水方向成分を含む押圧力を付与する。押圧当接面M1は、曲がり部f5に当接する。押圧当接面M1は、曲がり部f5に、吐水方向成分を含む押圧力を付与する。押圧当接面M1は、曲がり部f5の凸曲面f51に当接する。押圧当接面M1は、凸曲面f51に、吐水方向成分を含む押圧力を付与する。水圧によりホース接続具10が吐水方向Dxに抜けようとすると、前記押圧力における、吐水方向Dxの成分が増加する。
【0041】
なお、固定状態において、吐水方向Dxに沿った直線と、回転軸線Z2に沿った直線とのなす角は、通常、30°以下である。この2直線の成す角は、2直線の方向ベクトルのなす角である。
【0042】
図7(a)は回動操作部300を上側から見た斜視図であり、
図7(b)は回動操作部300の平面図であり、
図7(c)は回動操作部300の側面図であり、
図7(d)は回動操作部300を下側から見た斜視図であり、
図7(e)は回動操作部300の底面図である。
【0043】
回動操作部300は、基部302と、レバー部304と、回動連結部306とを有する。基部302は円板形状を呈している。レバー部304は基部302から半径方向外側に延びている。典型的には、レバー部304が指で操作されることで、回動操作部300が回動する。回動連結部306は、押圧部材200及び係止部材400に相対回転不能に結合されている。
【0044】
回動連結部306は、凸部308と連結軸310とを有する。凸部308は、基部302の下面312に形成されている。
図7(e)がよく示すように、この凸部は周方向の4箇所に形成されている。凸部308は、係止部材400に結合している。連結軸310は、基部302の下面312から下側に延びている。連結軸310は、非円形の断面形状を有している。連結軸310の断面形状は、回転対称性を有さない。回転対称性のない断面形状とすることで、回動操作部300と押圧部材200との位相関係が指定されている。連結軸310は、押圧部材200の連結孔206に嵌め込まれている。
【0045】
前述の通り、回動操作部300(基部302)は、本体部材100の外側に配置される。回動操作部300(基部302)は、本体部材100の上壁106の上に配置される。回動連結部306は上壁106の貫通孔124を通るように構成されており、本体部材100の内側(上壁106の下側)に位置する押圧部材200及び係止部材400と結合している。
【0046】
回動操作部300は、保持部314を有する。保持部314は、連結軸310の先端部に形成されている。保持部314は、くびれ部を構成している。
【0047】
回動操作部300は、回転軸線Z3を有する。回転軸線Z3は、押圧部材200の回転軸線Z2と一致している。押圧部材200は、回動操作部300と共に回転する。押圧部材200は、回動操作部300と一体的に回転する。
【0048】
図8(a)は係止部材400を上側から見た斜視図であり、
図8(b)は係止部材400の平面図であり、
図8(c)は係止部材400の側面図であり、
図8(d)は係止部材400を下側から見た斜視図である。
【0049】
係止部材400は、環状部402と、回動連結部404とを有する。環状部402は、円環形状を呈している。
【0050】
係止部材400は、第2係合部E2を有する。第2係合部E2は、環状部402の上面に形成されている。第2係合部E2は、上側に突出している複数の凸部(歯)により構成されている。第2係合部E2は、円環状に配列された複数の凸部である。凸部のそれぞれは半径方向に延びている。これら複数の凸部が隙間無く周方向に並んでいる。
【0051】
回動連結部404は、貫通孔408と凹部410と下方延在部412と凹部414とを有する。貫通孔408は、環状部402の半径方向内側に設けられている。凹部410は、係止部材400の上面に形成されている。環状部402と貫通孔408との間に環状突起416が形成されており、この環状突起416に凹部410が形成されている。凹部410は、周方向における複数箇所(4箇所)に設けられている。下方延在部412は、環状部402から下方に延びている。下方延在部412の外面は円周面である。下方延在部412の内面は、角柱の表面の形状を呈している。凹部414は、凹部である。凹部414は、環状部402の下面に形成されている。凹部414は複数箇所(2箇所)に形成されている。環状突起416は、本体部材100の貫通孔124に挿入されている。
【0052】
図4が示すように、付勢部材500は、係止部材400と押圧部材200との間に配置されている。回動操作部300の連結軸310は付勢部材500を挿通している。付勢部材500は、係止部材400を、常に上側に付勢している。付勢部材500は、係止部材400を、第1係合部E1側に付勢している。後述の通り、係止部材400は、第2係合部E2と第1係合部E1とが係合する第1位置と、第2係合部E2と前記第1係合部との係合が解除される第2位置とに移動できるように構成されている。付勢部材500は、係止部材400を前記第1位置側に付勢している。付勢部材500によって係止部材400が第1係合部E1へ押圧される方向は、回転軸線Z2と同一である。
【0053】
本体部材100と、押圧部材200と、回動操作部300と、係止部材400との関係は次の通りである。
【0054】
回動操作部300の基部302は、本体部材100の上壁106の上に載せられている。本体部材100において、基部302及びレバー部304は外部に露出している。連結軸310及び凸部308は貫通孔124に挿通されており、回動操作部300は連結軸310を中心として回動する。連結軸310は、係止部材400の貫通孔408を通過し、更に付勢部材500を通過して、押圧部材200の連結孔220に嵌め込まれている。連結軸310は、回動連結部306として、係止部材400及び押圧部材200に回動操作部300の回動を伝達する。回動操作部300は、係止部材400及び押圧部材200と共に回動する。
【0055】
押圧部材200の保持係止部230は、回動操作部300の保持部314に係合している(
図3参照)。保持係止部230は周方向の複数箇所(3箇所)に設けられた爪により構成され(
図6(d)参照)、これらの爪が保持部314(くびれ部)に入り込んでいる。この係合により、押圧部材200が回動操作部300に保持され、本体部材100の内部において押圧部材200の軸方向位置が維持されている。
【0056】
回動操作部300の凸部308(
図7(b)参照)は、係止部材400の凹部410(
図8(a))に係合している。係止部材400の環状突起416は、本体部材100の貫通孔124に挿入されている。貫通孔124の内側において、凸部308と凹部410とが係合している。この係合は、係止部材400と回動操作部300との一体的な回動に寄与している。環状突起416の外周面は貫通孔124の内周面に当接しており、押圧部材200、回動操作部300及び係止部材400の回転中心線が画定されている。
【0057】
係止部材400の凹部414(
図8(a)参照)は、押圧部材200の凸部224(
図6(a))に係合している。この係合は、係止部材400と押圧部材200との一体的な回動に寄与している。
【0058】
係止部材400の下方延在部412(
図8(d)参照)は、押圧部材200の凹部222に係合している。この係合は、係止部材400と押圧部材200との一体的な回動に寄与している。
【0059】
このように、各部材200,300、400に設けられた回動連結部同士の係合により、押圧部材200と回動操作部300と係止部材400とは一体的に回動する。ただし、係止部材400は、軸方向に遊びを有した状態で取り付けられている。
図2には、凹部222の底面と下方延在部412の下端面との間の隙間S1が示されている。この隙間S1は、この遊びを確保している。この遊びは、回動操作部300に保持されている押圧部材200と上壁106との軸方向距離を調節することで、設定されうる。この遊びに起因して、係止部材400は、押圧部材200に対して、軸方向に(僅かに)移動しうる。係止部材400は、上壁106(下面122)に対して、軸方向に(僅かに)移動しうる。係止部材400は、第2係合部E2が第1係合部E1と係合する第1位置と、第2係合部E2と第1係合部E1との係合が解除される第2位置とに移動することができる。この位置変化は、押圧部材200、回動操作部300及び係止部材400の一体回転性を損なわない。係止部材400の軸方向位置に関わらず、押圧部材200、回動操作部300及び係止部材400は一体的に回動する。
【0060】
前述の通り、本体部材100には、第1係合部E1が設けられている(
図5(c)参照)。また、係止部材400には、第2係合部E2が設けられている(
図8(a))。第1係合部E1は第2係合部E2側(下側)に突出している。第1係合部E1と第2係合部E2とは係合しうる。第1係合部E1と第2係合部E2とが係合すると、本体部材100に対して係止部材400は回動できない。第1係合部E1と第2係合部E2との係合は、係止部材400の回動を阻害する。すなわち、この係合は、押圧部材200、回動操作部300及び係止部材400の回動を阻害する。付勢部材500により、第2係合部E2は常時第1係合部E1に押し付けられている。付勢部材500により、第2係合部E2は常時第1係合部E1に係合している。
【0061】
図9は、固定状態及び解除状態におけるホース接続具10の斜視図である。
図10は、固定状態及び解除状態におけるホース接続具10を水栓側から見た
側面図である。
図11は、固定状態及び解除状態におけるホース接続具10の断面図である。
図11の固定状態は
図10のA-A線に沿った断面図であり、
図11の解除状態は
図10のB-B線に沿った断面図である。
【0062】
図9が示すように、固定状態から解除状態への移行では、回動操作部300は、方向R1に回動される。この方向R1が緩み方向と称される。解除状態から固定状態への移行では、回動操作部300は、方向R2に回動される。この方向R2が締め付け方向と称される。
【0063】
[固定状態]
吐水管f3が吐水管挿入部530に挿入された状態で、押圧部材200で吐水管f3を押圧することで、ホース接続具10が水栓f1に固定される(
図2参照)。前述の通り、押圧部材200の押圧当接面M1の軸方向位置は、押圧当接面M1の周方向位置によって変化している。このため、押圧部材200の回動により、吐水管f3と押圧当接面M1との距離が変動する。
図2及び
図3が示すように、吐水管f3は、水栓本体f2側から吐水口f6に向かって下側に延びている。このため、受入開口108の近傍では、吐水管f3は比較的上側に位置する。押圧部材200を締め付け方向R2に回動することで、受入開口108側の周方向位置において、押圧当接面M1の軸方向位置が下がる(
図9から
図11参照)。押圧部材200を回動することで、押圧当接面M1が吐水管f3に当接する。
【0064】
締め付け方向R2の回動では、押圧当接面M1が吐水管f3に当接するまで、回動操作部300が回される。更に、ホース接続具10が固定されるまで、回動操作部300が締め付け方向R2に回される。前述の通り、付勢部材500により第2係合部E2は第1係合部E1に常時係合している。この係合力に打ち勝つ力で回動操作部300を操作することで、回動操作部300を回動させることができる。前述した遊びに起因して、係止部材400は、第2係合部E2と第1係合部E1との係合が解除される位置(第2位置)に移動しうる。操作力を高めることで、付勢部材500の付勢力に抗して係止部材400が下がり、回動操作部300が回動する。この操作力が過大とならないように、付勢部材500の付勢力(ばね定数)が設定される。この操作力が過大とならないように、レバー部304の長さが設定される。
【0065】
水栓f1から水が吐出されると、水圧により水栓f1は吐水方向の力を受ける。この力により、押圧当接面M1の押圧力が高まる。この押圧力は、軸方向下向きの成分を含んでいる。押圧力が高まると、第2係合部E2が第1係合部E1に強く押し付けられる。この押圧力の反力は、軸方向上向きの成分を含む。水圧により、係止部材400が上側に押され、第1係合部E1と第2係合部E2との接触圧が高まる。この結果、係合部E1,E2同士の係合力が高まり、回動操作部300が緩み方向R1に回動しにくくなる。ホース接続具10は、水圧によって外れにくい。ホース接続具10は、耐水圧性能に優れる。
【0066】
なお、付勢部材500は、無くてもよい。水圧が作用しているときには、付勢部材500が存在しなくても、第1係合部E1と第2係合部E2との接触圧は高くなる。よって、付勢部材500が無くても、耐水圧性能は達成される。
【0067】
本実施形態では、付勢部材500が設けられている。前述の通り、係止部材400は軸方向に遊びを有している。この遊びにより、係止部材400は、第2係合部E2が第1係合部E1に係合する第1位置から第2係合部E2と第1係合部E1との係合が解除される第2位置まで移動(下降)することができる。よって、第1係合部E1と第2係合部E2との係合に抗して、回動操作部300を回動することができる。その一方で、この遊びは、緩みの原因となりうる。特に、水圧が作用していない状況では、係合部E1,E2同士の接触圧は弱くなり、回動操作部300が緩み方向R1に回転しやすい。回動操作部300を強く締め付けることで、係合部E1,E2同士の接触圧は高まるが、ホース接続具10の姿勢や位置が僅かでも変動すると、押圧当接面M1と吐水管f3との位置関係に変化が生じ、前記接触圧が低下しうる。付勢部材500は、第2係合部E2を第1係合部E1側に付勢することで、水圧が無い状態でも係合部E1,E2同士の係合力が維持され、緩みの発生が抑制される。
【0068】
[解除状態]
固定状態を解除するには、回動操作部300を緩み方向R1に回動させる。この回動により、押圧部材200の位相が変化し、受入開口108側の周方向位置において押圧当接面M1が上がる(
図9から
図11参照)。この結果、押圧当接面M1が吐水管f3から離れる(
図3参照)。
【0069】
固定状態において、押圧当接面M1は吐水管f3を押圧している。係合部E1,E2同士の係合力は高い。すなわち、この係合力は、水圧(静水圧及び動水圧)の有無に関わらず、不随意に加わる力や各種の振動に対して係合が解除されない程度には十分に高い。しかし、特に水圧が作用していない場合には、この係合力に抗して、回動操作部300を緩み方向R1に回動させることができる。所定以上の操作力を付与することで、付勢部材500の付勢力に抗して係合部E1,E2同士の係合を解除させつつ、回動操作部300を緩み方向R1に回動させることができる。水圧が作用している状態に比べて、水圧が作用していない状態のほうが、係合部E1,E2同士の接触圧が小さい。水圧が作用している状態に比べて、水圧が作用していない状態のほうが、緩み方向R1への回動に要する操作力は少なくて済む。水圧が作用している状況では係合部E1,E2同士の係合を解除することが困難である。このため、水圧が作用している通水状態において、操作ミスによる当該係合の解除を防止することが出来る。
【0070】
吐水管f3が挿入された状態では、ホース接続具10は、吐水管f3に対してほとんど回動できない。ただし、受入開口108と吐水管f3との間には僅かに隙間があるので、ホース接続具10は水栓f1に対して僅かに回動しうる。固定状態から回動操作部300を緩み方向R1に回動させるとき、回動操作部300でなく、ホース接続具10全体が、水栓f1に対して僅かに回動しうる。このホース接続具10全体の動きに起因して、吐水管f3と押圧当接面M1との位置関係が僅かに変化し、押圧当接面M1が吐水管f3に付加する押圧力が低下しうる。このため、固定状態において回動操作部300を強く締め付けていても、回動操作部300を緩み方向R1に回動させようとするときに、係合部E1,E2同士の接触圧が低下しうる。また、回動操作部300が回動しにくい場合でも、回動操作部300に繰り返し操作力を加えると、ホース接続具10の姿勢又は位置が変化し、吐水管f3と押圧当接面M1との位置関係の変化が徐々に進行しうる。更に、ホース接続具10の各部材には撓み(弾性変形)が生ずる。したがって、固定状態において回動操作部300を強く締め付けていても、比較的容易に、回動操作部300を緩み方向R1に回動することができる。
【0071】
上述の通り、係止部材400における前記遊びは、緩み方向R1への回動に要する操作力の低減に寄与する。ただし、この遊びは、無くてもよい。例えば、第1係合部E1及び/又は第2係合部E2の凸部を弾性変形が容易な材質とすることで、係止部材400の変位を伴わずに、係合部E1,E2同士の係合力に抗した緩み方向R1への回動が可能となる。また後述のように、係合部E1,E2同士の係合が摩擦係合とされた場合にも、係止部材400の変位を伴わずに、係合部E1,E2同士の係合力に抗した緩み方向R1への回動が可能となる。この遊びが無い場合、付勢部材500は不要とされうる。
【0072】
図12(a)は押圧部材250を上側から見た斜視図であり、
図12(b)は押圧部材250の平面図であり、
図12(c)は押圧部材250の側面図であり、
図12(d)は押圧部材250を下側から見た斜視図であり、
図12(e)は押圧部材250の底面図である。
【0073】
押圧部材250は、回動連結部252と、側壁部254とを有する。側壁部254は、回動連結部252の周囲に形成されている。側壁部254は、円周外面258及び円周内面260を有する。押圧部材250は、周方向の一部が欠落した欠け部262を有する。
【0074】
側壁部254は、押圧部材250の回転軸線Z2からの距離が周方向位置によって徐々に変化する半径方向距離変化部264を有する。半径方向距離変化部264は、側壁部254の下部に形成されている。
【0075】
押圧部材250は、押圧当接面M2を有する。本実施形態では、押圧当接面M2は、押圧部材250の下端面266である。押圧当接面M2は、半径方向距離変化部264の下端面266である。押圧当接面M2は、回転軸線Z2の回りに延在している。押圧当接面M2は、回転軸線Z2に対して傾斜した部分を有している。また、押圧当接面M2は、回転軸線Z2に対して垂直な部分を有している。
図12(c)がよく示すように、押圧当接面M2は、階段状に形成されている。押圧当接面M2は、周方向に移動するにつれて軸方向位置が変わる部分を有している。押圧当接面M2(下端面266)の軸方向位置は、その周方向位置によって徐々に又は段階的に変化している。押圧当接面M2の軸方向位置は、その位相によって変化している。
【0076】
回動連結部252は、連結孔270と、凹部272と、凸部274とを有する。連結孔270は、断面形状が非円形の連結孔である。凹部272の断面形状は非円形である。凹部272は、その内側に連結孔270を形成する孔形成壁部276の外面を第1の側面とし、円周内面260を第2の側面としている。孔形成壁部227の外面は角柱の外面の形状を呈している。凸部274は、周方向の2箇所に設けられている。凸部274は、孔形成壁部276と円周内面260との間に延びている。
【0077】
この押圧部材250(
図12(a)~(e))と、前述した押圧部材200(
図6(a)~(e))との相違は、押圧当接面の形状である。第1実施形態の押圧当接面M1及び第2実施形態の押圧当接面M2では、周方向位置によって軸方向位置が変化している。押圧当接面M1及び押圧当接面M2では、回転軸線Z2を中心とする押圧部材の回動により吐水管f3(曲がり部f5)との距離が変動する。
【0078】
図6(d)が示すように、押圧当接面M1は、第1端t1と第2端t2とを有する。第1端t1から第2端t2までにおいて、第2端t2の軸方向位置は、第1端t1の軸方向位置よりも下側である。押圧当接面M1の軸方向位置は、第2端t2に近づくにつれて徐々に下がっている。押圧当接面M1では、あらゆる周方向位置において、軸方向に対して傾斜している。
図12(d)が示すように、押圧当接面M2は、第1端t1と第2端t2とを有する。第1端t1から第2端t2までにおいて、押圧当接面M2の軸方向位置は、第2端t2に近づくにつれて段階的に又は徐々に下がっている。押圧当接面M2は、軸方向に垂直な部分と、軸方向に対して傾斜した部分とを有している。押圧当接面M1では、周方向位置が第2端t2に近づくにつれて軸方向位置が下がっている。押圧当接面M2は、周方向位置が第2端t2に近づくにつれて軸方向位置が下がる部分と軸方向位置が一定である部分とを有している。押圧当接面M1及び押圧当接面M2には、周方向位置が第2端t2に近づくにつれて軸方向位置が上がる部分は存在しない。
【0079】
押圧当接面M1及び押圧当接面M2は、螺旋に沿って形成された斜面及び/又は階段面である。斜面とは、回転軸線Z2に対して傾斜した面である。この斜面の回転軸線Z2に対する角度は、一定であってもよいし、変化していてもよい。この斜面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。階段面とは、回転軸線Z2に対して垂直な面と回転軸線Z2に対して垂直でない面とが交互に配置された面である。回転軸線Z2に対して垂直でない面は、回転軸線Z2を含む平面、回転軸線Z2に平行な平面および回転軸線Z2に対して傾斜した面を含む。このような押圧当接面M1及び押圧当接面M2は、固定状態において吐水管f3を押さえ込むことができ、且つ、解除状態においてホース接続具10への吐水管f3の挿入を阻害しない。
【0080】
第1係合部E1と第2係合部E2とが係合することで、第1係合部E1と第2係合部E2との間の相対移動が阻害される。この結果、本体部材100に対して係止部材400は回動しない。すなわち、本体部材100に対して、押圧部材200は回動しない。係合部E1,E2同士の係合により、固定状態が維持される。
【0081】
上記実施形態では、第1係合部E1と第2係合部E2との係合が、形状同士の係合による形状係合である。「形状係合」との用語は本願で定義されたものである。形状係合の典型例は、凸部同士の係合及び凸部と凹部との係合である。この形状係合は、第1係合部E1としての1以上の突起と、第2係合部E2としての複数の突起とが噛み合った噛み合い係合を含む。
【0082】
第1係合部E1と第2係合部E2との係合は、前記形状係合に限定されない。例えば、第1係合部E1と第2係合部E2との係合は、摩擦力による摩擦係合であってもよい。この場合、第1係合部E1及び第2係合部E2は、例えば平面とされうる。水圧により第1係合部E1に対する第2係合部E2の押圧力が高まることで、係合部E1,E2同士の接触面における垂直抗力が増加し、摩擦力(静止摩擦力)が増加する。第1係合部E1と第2係合部E2とが摩擦力(静止摩擦力)により係合することでも、上記実施形態と同じ効果が奏される。
【0083】
本実施形態では、第1係合部E1が本体部材100に設けられている。第1係合部E1は、本体部材100とは別の部材に設けられていてもよい。第1係合部E1は、本体部材100に固定されているか、又は、係合されている。上記実施形態では、第1係合部E1が本体部材100自体に設けられている。第1係合部E1を有する部材が本体部材100とは別の部材であり、この別部材が本体部材100に固定されていてもよい。第1係合部E1を有する部材が本体部材100とは別の部材であり、この別部材が本体部材100に係合されていてもよい。この場合、この係合は、形状係合であってもよいし、摩擦係合であってもよい。例えば、この別部材は、上面及び下面に凹凸を有さず且つ単独で自由に回動しうる状態で配置されたゴム部材とされうる。このゴム部材の上面(平坦面)が本体部材100に摩擦係合していてもよい。更に、このゴム部材の下面(平坦面)が、第1係合部E1として、平坦な第2係合部E2に摩擦係合していてもよい。
【0084】
上記実施形態では、回動操作部300は、レバー部304を有する。レバー部304は、無くてもよい。例えば回動操作部300は、ダイヤルであってもよい。レバー部304により、回転軸線Z3からの距離が増加し、操作力のモーメントが大きくなる。また半径方向外側に突出したレバー部304により、回動操作部300に力を加えやすくなる。この結果、操作力が低減されうる。上述の通り、固定状態から緩み方向R1に回動操作部300を回動する際には、比較的大きな操作力が必要である。レバー部304により、固定状態を解除する際の操作力を抑制することができる。
【0085】
図7(e)において両矢印D3で示されるのは、回転軸線Z3からレバー部304の先端までの距離である。この距離は、回転軸線Z3に垂直な方向に沿って測定される。操作力を抑制して操作性を高める観点から、距離D3は、18mm以上が好ましく、19mm以上がより好ましく、20mm以上がより好ましい。ホース接続具10の小型化の観点から、距離D3は、23mm以下が好ましく、22mm以下がより好ましく、21mm以下がより好ましい。
【0086】
前述した実用新案出願公告昭49-7477号公報では、固定ねじ(ボルト)を締め付けることでホース継手を水栓に取り付けている。固定ねじのリード角が大きいと、水圧やホースが引っ張られた際の振動により緩みが生じ易い。このため、実用新案出願公告昭49-7477号公報では、固定ねじのリード角は小さい。リード角が小さいと、固定ねじを締め付けるために要するねじ回しの回数が多くなり、操作性が悪い。本実施形態では、係合部E1,E2による回り止めにより、緩みが生じにくい。このため、押圧当接面のリード角を大きくすることができる。
【0087】
少ない回動角度での固定を可能とし、操作性を高める観点から、押圧当接面のリード角θ(
図6(c)参照)は、10°以上が好ましく、11°以上がより好ましく、12°以上がより好ましい。緩みにくさの観点から、リード角θは、45°以下が好ましく、40°以下がより好ましく、35°以下がより好ましい。第1実施形態の押圧当接面M1では、リード角θは13°である。リード角θは、回転軸線Z2に垂直な平面と押圧当接面との成す角度である。リード角θは、一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0088】
なお、本願におけるリード角θは、平均リード角であってもよい。この平均リード角の概念により、例えば、
図12(a)~(e)に示される押圧当接面M2でもリード角θを決定することができる。押圧当接面の長手方向長さをL1とし、第1端t1と第2端t2との間の軸方向距離をD1とする(
図6(c))とき、平均リード角θaは次の式を解くことで算出されうる。
tanθa =D1/L1
なお、長さL1は、押圧当接面の幅方向中心点の集合により構成される中心線を平面視で見たときの長さ(道のり長さ)である。この平面視とは、
図6(e)の底面図を意味する。
【0089】
本実施形態では、リード角θを大きくできるので、回動操作部300の回動角度を小さくすることができる。また、回動操作部300の回動角度を360°よりも小さくすることで、回動操作部300(レバー部304)が水栓f1(ハンドルf4)に当たって操作が妨げられる事態が回避されうる(
図1参照)。また、回動操作部300の回動角度を360°よりも小さくすることで、押圧部材200に欠け部212を設けることができ(
図6(a)~(e)参照)、ホース接続具10への吐水管f3の挿入が容易となる。これらの観点から、回動操作部300の回動可能角度は、300°以下が好ましく、280°以下がより好ましく、260°以下がより好ましい。過大なリード角θを避ける観点から、回動操作部300の回動可能角度は、180°以上が好ましく、200°以上がより好ましく、220°以上がより好ましい。ホース接続具10では、回動操作部300の回動可能角度は240°とされた。
【0090】
図6(e)において両矢印θ1で示されるのは、押圧当接面が存在する周方向角度である。この角度θ1は、第1端t1から第2端t2までの周方向角度である。押圧当接面の機能に鑑みれば、この角度θ1を回動操作部300の回動可能角度より大きくする必要はない。この角度θ1は、回動操作部300の回動可能角度以下であるのが好ましい。回動操作部300の回動可能角度及びリード角θの好ましい範囲、異なる水栓に対する汎用性、及び、押圧部材200に開口部(欠け部212)を設けて吐水管f3の挿入を容易とする観点から、角度θ1は、255°以下が好ましく、235°以下がより好ましく、215°以下がより好ましい。過大なリード角θを避ける観点から、角度θ1は、135°以上が好ましく、155°以上がより好ましく、175°以上がより好ましい。ホース接続具10では、角度θ1は、195°とされた。
【0091】
前述した特開2017-219194号公報では、調節部と逆回転防止部材とを有する実施形態が開示されている。この実施形態では、調節部の逆回転が防止されて緩みにくくなるが、逆回転が防止されているため、固定を解除するのに、上側部材を下側部材から取り外す必要が生じうる。この場合、本体部を上側部材と下側部材とに分けることが必須となる。本体部が一体である場合に比較して、上側部材と下側部材とを係合させた本体部では、当該係合部分に起因して、部材間の動きが生じうる。この部材間の動きにより、蛇口に当接する当接部が水栓から離れる方向に動きうる。この動きは、ホース接続具の固定性を低下させる。
【0092】
上記実施形態では、固定状態から回動操作部300を緩み方向R1に回動させることが可能である。よって、本体部材を全体として一体とすることができる。この結果、固定状態において押圧当接面M1が動きにくく、緩みが生じにくい。
【0093】
前述した特開2017-219194号公報では、複数の部材を組み合わせて使用するため、特に使用開始時点において、使用方法が直感的に分かりにくい場合がある。また、複数の部材に分かれているため、部材を紛失するリスクがある。また、リング係合体のような別部材を用いる場合、落下した当該部材を踏むなどして破損してしまうリスクもある。上記実施形態では、使用時に分離している部材がないため、このような問題は生じない。
【0094】
第1係合部E1を構成する凸部140の数は、限定されない。凸部140の数は、1つでもよいし、複数でもよい。押圧部材200の回り止めの観点、更に、一部の凸部140に破損又は摩耗が生じた際の予備の観点から、凸部140の数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。凸部140の数を抑制することで、操作に最低限必要な力が小さくなり、操作性が向上する。また、凸部140の数を抑制することで、金型による成形が容易となる。これらの観点から、凸部140の数は、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がより好ましい。
【0095】
ホース接続具10は、横水栓、横水栓(自在形)及び横水栓(吐水口回転形)に対応している。上述の通り、これら3種類の水栓は、JIS B 2061で規定されている。また、これらの水栓に類似した吐水管f3及び曲がり部f5を有する他の水栓(化学水栓等)にも対応可能である。また、寸法を調整することで、立水栓等にも対応可能である。
【0096】
図11が示すように、吐水管挿入部530(の内面)は、パッキン510の上側に隣接する上側形成部532と、パッキン510が吐水管f3によって変形したときに当該変形部分が収まる空間を形成する空間形成部534と、空間形成部534の下側に隣接する下側形成部536と、下側形成部536の下側に隣接する内面凹部538とを有する。下側形成部536は突起である。空間形成部534と内面凹部538とが凹部を形成しているため、これらの間にある下側形成部536は突起を構成している。下側形成部536と内面凹部538との境界に下向き面540が形成されている。下向き面540は下側形成部536の下面である。内面凹部538の下側には、吐水管挿入部530の内側に向かって突出するリブ542が形成されている。リブ542は、軸方向に延びている。
【0097】
図2及び
図3に示されるように、横水栓の場合、固定状態において、吐水管f3の先端部は下側形成部536に当接する。また、ホース接続具10の姿勢によっては、横水栓の吐水管f3は上側形成部532にも当接しうる。横水栓(自在形)の場合、固定状態において、吐水管f3の先端部は、内面凹部538に配置される。横水栓(自在形)の吐水管f3の先端部には、吐水口f6のエッジに沿って環状突出縁部(フランジ部)が形成されている。この環状突出縁部が内面凹部538(下向き面540)に係合する。横水栓(吐水口回転形)の場合、固定状態において、吐水管f3の先端部は、内面凹部538の下側のリブ542に当接する。
【0098】
形状の異なる水栓に対する汎用性を高める観点から、前記軸方向距離D1(
図6(c))は、5mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、7mm以上がより好ましい。リード角θ及び回動可能角度の好ましい範囲を考慮すると、軸方向距離D1は、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下がより好ましい。
【0099】
水圧でホース接続具10が水栓f1から抜けようとするとき、ホース接続具10は、曲がり部f5の曲がりに沿って回転しようとする。下側当接部132の当接力の反力は、ホース接続具10に、当該回転とは逆方向の回転モーメントを与える。下側当接部132により、ホース接続具10が水栓f1から抜けるときに生ずるホース接続具10の回転が抑制される。下側当接部132は、水圧によるホース接続具10の抜けを効果的に抑制しうる。下側当接部132は、横水栓に取り付けられた固定状態において、下側から水栓f1(水栓本体f2)に当接するのが好ましい。下側当接部132は、横水栓(吐水口回転形)に取り付けられた固定状態において、下側から水栓f1(水栓本体f2)に当接するのが好ましい。
【0100】
以上に説明の通り、ホース接続具10では、全体として一体の本体部材100が水栓f1の吐水管f3(曲がり部f5)を覆っているため、本体部材100の剛性は高く、係合部E1,E2同士の係合が維持されやすい。よって、固定状態からの緩みが生じにくい。第1係合部E1と係合する第2係合部E2が第1係合部E1と押圧部材200との間に設けられているため、押圧部材200が吐水管f3に付与する押圧力の反力が第1係合部E1と第2係合部E2との間に伝達され、第1係合部E1と第2係合部E2との接触圧が高まる。すなわち、押圧部材200が吐水管f3に付与する押圧力の反力が第2係合部E2に伝達されて第2係合部E2を第1係合部E1に押し付ける。押圧部材200から第2係合部E2への伝達は、直接的な伝達であってもよいし、他部材を介した間接的な伝達であってもよい。水圧により本体部材100が吐水方向Dxに動こうとするほど、係合部E1,E2同士の係合力が高まる。よって、水栓f1への接続における耐水圧性が向上する。
【0101】
上記実施形態では、第2係合部E2を有する係止部材400が押圧部材200とは別の部材とされているが、これらは一体部材とされてもよい。換言すれば、押圧部材200が第2係合部E2を有していてもよい。押圧部材200と回動操作部300と係止部材400とは一体で回転するものであり、これらは一体部材とされてもよい。
【0102】
押圧当接面M1、M2は、押圧部材の回動により吐水管f3との距離が変動するように形成されている。押圧当接面M1、M2は、押圧部材の回転軸線Z2の周囲に設けられている。例えば、押圧当接面M1、M2は、回転軸線Z2に対して傾斜した部分を有していればよい。また、押圧当接面が回転軸線Z2に対して傾斜した部分を有していない場合でも、例えば押圧当接面が階段状とされることで、押圧部材の回動により押圧当接面と吐水管f3との距離が変動しうる。この距離の変動により、吐水管f3に対するホース接続具10の締め付けが可能となり、吐水管f3の受入も可能となる。
【0103】
周方向における一つの位置で押圧部材の軸方向位置を測定すると、この押圧当接面の軸方向位置は、押圧部材の回動によって変化する。例えば、受入開口108の周方向中心位置CP(
図5(b)及び(d)参照)において、押圧当接面の軸方向位置は変化する。形状の異なる水栓に対する汎用性を高める観点から、周方向中心位置CPにおける押圧当接面の軸方向位置の変化幅は、5mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、7mm以上がより好ましい。リード角及び回動可能角度の好ましい範囲を考慮すると、周方向中心位置CPにおける押圧当接面の軸方向位置の変化幅は、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下がより好ましい。上記押圧当接面M1及び押圧当接面M2では、この変化幅は、上記軸方向距離D1に略等しい。
【0104】
図9がよく示すように、回動規制部142は、本体部材100に固定されている。回動規制部142は本体部材100の一部として一体成形されている。回動規制部142はレバー部304が水栓f1側に回動するのを規制し、レバー部304が水栓f1(ハンドルf4)に当たるのを防止している。第1部分144は、回動操作部300の回しすぎにより固定状態が解除されることを防止している。第2部分146は、押圧部材200の欠け部212を受入開口108側に配向させて吐水管f3の受入れを可能とする。
【0105】
第2係合部E2を有する係止部材400が、第2係合部E2と前記第1係合部とが係合する第1位置と、当該係合が解除される第2位置とに移動できるように構成されているため、係合部E1,E2同士の係合に抗した回動操作の操作力が過大となることが防止されている。第2係合部E2を前記第1位置に付勢する付勢部材500により、係合部E1,E2同士の係合が維持され、水圧が作用していないときでも緩みが生じにくい。係止部材400を押圧部材200とは別部材とすることで、押圧部材200に対して係止部材400が移動できる構成が可能となる。押圧当接面のリード角が10°以上と大きくされることで、締め付け操作が容易となる。またリード角が大きくても、係合部E1,E2による回り止め機構により緩みにくい。大きいリード角により、回動操作部300の回動可能角度を300°以下としても、複数の水栓に対応できる。また、回動操作部300の回動可能角度を300°以下とすることで、レバー部304が水栓f1のハンドルf4に当たることを回避することできる。回動操作部300の回動可能範囲は、レバー部304の周方向位置が前記周方向中心位置CP(
図5(b)及び(d)参照)に到達できないように制限されている。
【0106】
押圧部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。水栓の傷つきを抑制する観点から、樹脂が好ましい。樹脂としては、強度及び生産性に優れる樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。強度の観点から、ポリアセタール(POM)がより好ましい。上述した各実施形態において、押圧部材の材質は、ポリアセタール(POM)とされた。
【0107】
本体部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。成形性の及び生産性の観点から樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。安価で且つ強度に優れるとの観点から、ポリアセタール(POM)がより好ましい。上記実施形態において、本体部材の材質は、ポリアセタール(POM)とされた。
【0108】
回動操作部の材質として、樹脂及び金属が例示される。成形性の及び生産性の観点から樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。強度の観点から、ポリアセタール(POM)がより好ましい。上記実施形態において、回動操作部の材質は、ポリアセタール(POM)とされた。
【0109】
係止部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。成形性の及び生産性の観点から樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。安価で且つ強度に優れるとの観点から、ポリアセタール(POM)がより好ましい。上記実施形態において、係止部材の材質は、ポリアセタール(POM)とされた。
【0110】
下側部材の材質として、樹脂及び金属が例示される。成形性の及び生産性の観点から樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。成形容易性の観点から、より好ましい樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール(POM)が例示される。安価で且つ強度に優れるとの観点から、ABSがより好ましい。上記実施形態において、下側部材の材質は、ABSとされた。
【0111】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
全体として一体であり、水栓の吐水管が挿入される本体部材と、
ホースが接続されるホース接続部と、
前記本体部材に挿入された前記吐水管と前記ホース接続部とを水密に接続するパッキンと、
前記本体部材に回動可能に取り付けられ、前記吐水管に吐水方向成分を含む押圧力を付与する押圧部材と、
前記押圧部材を緩み方向及び締め付け方向に回動させうる回動操作部と、
前記本体部材に固定又は係合されている第1係合部と、
前記第1係合部に係合し、前記回動操作部及び前記押圧部材と共に回動する第2係合部と、
を備えており、
前記第2係合部が、前記第1係合部と前記押圧部材との間に位置しており、
前記押圧部材が、前記吐水管に当接する押圧当接面を有しており、前記押圧当接面が、前記押圧部材の回動により前記吐水管との距離が変動するように形成されており、
前記押圧力の反力が前記第2係合部に伝達されて前記第2係合部を前記第1係合部に押し付けるホース接続具。
[付記2]
前記第1係合部と前記第2係合部との接触圧を高める付勢部材が更に設けられている付記1に記載のホース接続具。
[付記3]
前記第2係合部が、前記第1係合部と係合する第1位置と、前記第1係合部との係合が解除される第2位置とに移動できるように構成されており、
前記付勢部材が、前記第2係合部を前記第1位置側に付勢している付記2に記載のホース接続具。
[付記4]
前記第1係合部と前記押圧部材との間に係止部材が配置されており、
前記係止部材が前記第2係合部を有している付記1から3のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記5]
前記第1係合部が、前記本体部材に形成された1又は2以上の凸部であり、
前記第2係合部が、前記係止部材に形成され円環状に配列された複数の凸部である付記4に記載のホース接続具。
[付記6]
前記押圧当接面が、螺旋に沿って形成された斜面及び/又は階段面である付記1から5のいずれか1項に記載のホース接続具。
[付記7]
前記押圧当接面のリード角が10°以上である付記6に記載のホース接続具。
[付記8]
前記回動操作部の回動可能角度が300°以下である付記7に記載のホース接続具。
【0112】
本願には、独立形式請求項に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
【0113】
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。
【符号の説明】
【0114】
10・・・ホース接続具
100・・・本体部材
106・・・上壁
108・・・受入開口
132・・・下側当接部
122・・・上壁の下面
200・・・押圧部材
300・・・回動操作部
304・・・レバー部
400・・・係止部材
500・・・付勢部材
510・・・パッキン
520・・・下側部材
530・・・吐水管挿入部
E1・・・第1係合部
E2・・・第2係合部
M1、M2・・・押圧当接面
f1・・・水栓
f2・・・水栓本体
f3・・・吐水管
f5・・・曲がり部