IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社関電工の特許一覧 ▶ 株式会社安田製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】屋外設置機器作業用テント装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20240624BHJP
   E04H 15/04 20060101ALI20240624BHJP
   E04G 21/28 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H02B3/00 K
H02B3/00 D
E04H15/04
E04G21/28 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020170325
(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公開番号】P2022062363
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】000139702
【氏名又は名称】株式会社安田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰彰
(72)【発明者】
【氏名】▲たか▼主 雄介
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純一
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-53104(JP,A)
【文献】特開2008-228404(JP,A)
【文献】特開2009-102808(JP,A)
【文献】特開2005-290862(JP,A)
【文献】実開平7-27210(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0418432(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
E04H 15/00 - 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外設置機器作業用テント装置において、
連接された複数の屋外設置機器の天板の前端縁に沿って天板から浮かせて線条体を設け、
当該線条体の一端は前記天板に着脱自在に設けた固定支持体に固定され、他端は前記天板に着脱自在に設けた支持ローラに掛けて垂下させ、当該垂下した線条体の他端に、当該線条体を緊締・弛緩自在可能手段を設け、
上端部が一側に折り曲げられた複数の支柱を間隔を空けて設け、これらの支柱を、間隔を空けた複数の連結バーで接続してテントフレームを設け、
当該テントフレームの折り曲げ先端部に複数の可動ローラを下方に向けて設け、前記線条体に前記各可動ローラを掛け、当該テントフレームの少なくとも複数の支柱の折り曲げ部の間をシートで覆い固定したことを特徴とする、屋外設置機器作業用テント装置。
【請求項2】
前記線条体を緊締・弛緩自在可能手段は線条体の他端に吊り下げたウエイトであることを特徴とする、請求項1に記載の屋外設置機器作業用テント装置。
【請求項3】
前記各可動ローラの一対の軸受板の一方を下方に向けて延設し、当該延設箇所に、各ローラの外周脇に突出自在な線条体外れ止めピンを設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の屋外設置機器作業用テント装置。
【請求項4】
前記線条体の中間部を支持する線条体中間支持具を前記天板に着脱自在に設けたことを特徴とする、請求項1~3に記載の屋外設置機器作業用テント装置。
【請求項5】
屋外設置機器作業用テント装置において、
連接された複数の屋外設置機器の天板の前端縁に沿って天板から浮かせてレールを設け、
当該レールの両端を天板に着脱自在に設けた固定支持具に支持させ、
上端部が一側に折り曲げられた複数の支柱を間隔を空けて設け、これらの支柱を、間隔を空けた複数の連結バーで接続してテントフレームを設け、
当該テントフレームの折り曲げ先端部に複数の可動ローラを下方に向けて設け、前記レールに前記各可動ローラを掛け、当該テントフレームの少なくとも複数の支柱の折り曲げ部の間をシートで覆い固定したことを特徴とする、屋外設置機器作業用テント装置。
【請求項6】
前記レール及び可動ローラが、レールに掛けた可動ローラが当該レールからの外れ止め構造を有する構成となっていることを特徴とする、請求項5に記載の屋外設置機器作業用テント装置。
【請求項7】
前記テントフレームの各支柱は長さ調整自在であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の屋外設置機器作業用テント装置。
【請求項8】
前記テントフレームは支柱と連結バーがボルト、ボルト・ナット又はピンストッパーのいずれかにより接続自在に形成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の屋外設置機器作業用テント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外に設置されている設備や機器、例えば、キュービクル式高圧受電設備(以下、単に「キュービクル」という)等について扉を開けた状態で各種点検作業等をする際に、作業者や測定機器が風雨に晒されないように簡易に設置するメンテナンス等の作業用テント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置されている受変電等の電気設備又は機器は、キュービクルのような筐体に収められていることが多い。この様なキュービクルは建屋屋上又は地上敷地内のような屋根のない箇所でかつ壁際などの目立たない場所に設置されている。キュービクルは電気使用者の年次点検が法定で義務付けられている。この点検作業は、電力会社と事前に協議して計画停電作業で行われるため、作業当日の天候にかかわらず作業を実施しなければならない。
【0003】
キュービクルの点検作業は、扉を開放して作業者が電気設備の健全性を確認するため、測定機器での計測やケーブル接続箇所のボルトの締付の確認、機器の清掃等を行っている。この点検作業を雨天等の天候不順の中で行う場合は、作業者及び測定機器等が雨等に濡れないようにシートで作業空間を覆っている。具体的にはキュービクルの天板端と周辺のフェンス、手すり、壁の間をシートで被い、シート端をフェンス等に固縛して作業空間を形成している。
【0004】
この様な方法では、シートの固定に手間がかかり、作業効率が悪い。その上、フェンスや手すり等がない場合は取り付けが極めて困難である。この様な場合、一人の作業員が傘やシートを持ち、他の作業員がその中で点検作業をする場合もある。しかしながら、この方法では作業場所に雨水が入る恐れがあり、測定機器が濡れてしまう恐れがある。そこで、以下の様な作業用テントが開発されている。
【0005】
特許文献1のものはキュービクルの扉を開いた状態で扉にボックス状に防水テントを取り付けたものである。また、特許文献2のものは、キュービクルの扉の上方にシートがロッドに巻きまわして収納され、間隔を空けて両側の扉を開けた状態で前記シートを伸ばして、各扉の上端に設けた支持棒にシートを掛けて垂下させ、当該両側の扉の間に、当該扉及びシートで囲まれた作業空間を確保するものである。
【0006】
また、特許文献3は屋外設置型機器の天板状に固定金具を用いて基台を固定し、この基台から支柱を延長し、この支柱の先端で拡げたテントを支持することにより、屋外設置型機器にメンテナンス用の雨よけ、日よけテントを張るものである。
【0007】
また、特許文献4はキャビネットの上部に取り付けられたテント収納ボックスとテント収納ボックスに収納されるとともにこの収納ボックスに収められた状態から引き出し自在に設けられたシート体と、テント収納ボックス内部に軸支されると共に、シート体を取り付けてこのシート体の展開及び収縮をガイドするアジャスタフレームとを具備する作業用テントである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-154058号公報
【文献】特開2002-250152号公報
【文献】特開平08-170450号公報
【文献】特開2000-274116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1のものは、キュービクル点検箇所の扉1単位でのボックス状の覆いのため、連接されたキュービクルの場合は、作業箇所ごとに移動しながら再度設置する必要があり、作業者の多大な労力と時間を要する。また、特許文献2のものは、キュービクルの扉が観音開きのものに限られる。
また、扉の上にシートがロッドに巻きまわして収納されているため、取り外しができず、連接されているキュービクルすべてに予め取り付けておかなければならない。
【0010】
また、特許文献3のものは、キュービクル等の屋外設置型機器の天板上に固定金具を用いて基台を取り付け、当該基台にテントの支柱を設けているため、各キュービクルごとに基台を取り付けなければならない。複数のキュービクルが連接されている場合の点検作業には向かないか、各キュービクルごとのテントの取り付け作業に手間がかかる。
【0011】
また、前記特許文献4のものも1個のキャビネットの上端にテント収納ボックスを取り付ける構成のため、各キャビネットごとに作業用テントを取り付けなければならず、複数のキャビネット又はキュービクルが連接されている場合の点検作業には、キャビネット又はキュービクルごとのテントの取り付け作業に手間がかかる。またはキュービクルに予め取り付けられているものであれば、連接するキュービクルの場合多数のものを用意して取り付けておかなければならない。
【0012】
この発明は、上記の点に着目し、上記キュービクル等の屋外設置機器への取り付け、取り外しが容易であるとともに、複数の連接した屋外設置機器のメンテナンス等の作業の際に、テントを張ったフレームを容易に動かして取り付けることができる屋外設置機器作業用テント装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、屋外設置機器作業用テント装置において、連接された複数の屋外設置機器の天板の前端縁に沿って天板から浮かせて線条体を設け、当該線条体の一端は前記天板に着脱自在に設けた固定支持体に固定され、他端は前記天板に着脱自在に設けた支持ローラに掛けて垂下させ、当該垂下した線条体の他端に、当該線条体を緊締・弛緩自在可能手段を設け、上端部が一側に折り曲げられた複数の支柱を間隔を空けて設け、これらの支柱を、間隔を空けた複数の連結バーで接続してテントフレームを設け、当該テントフレームの折り曲げ先端部に複数の可動ローラを下方に向けて設け、前記線条体に前記各可動ローラを掛け、当該テントフレームの少なくとも複数の支柱の折り曲げ部の間をシートで覆い固定した、屋外設置機器作業用テント装置とした。
【0014】
また、請求項2の発明は、前記線条体を緊締・弛緩自在可能手段は線条体の他端に吊り下げたウエイトである、請求項1に記載の屋外設置機器作業用テント装置とした。
【0015】
また、請求項3の発明は、前記各可動ローラの一対の軸受板の一方を下方に向けて延設し、当該延設箇所に、各ローラの外周脇に突出自在な線条体外れ止めピンを設けた、請求項1又は2に記載の屋外設置機器作業用テント装置とした。
【0016】
また、請求項4の発明は、前記線条体の中間部を支持する線条体中間支持具を前記天板に着脱自在に設けた、請求項1~3に記載の屋外設置機器作業用テント装置とした。
【0017】
また、請求項5の発明は、屋外設置機器作業用テント装置において、連接された複数の屋外設置機器の天板の前端縁に沿って天板から浮かせてレールを設け、当該レールの両端を天板に着脱自在に設けた固定支持具に支持させ、上端部が一側に折り曲げられた複数の支柱を間隔を空けて設け、これらの支柱を、間隔を空けた複数の連結バーで接続してテントフレームを設け、当該テントフレームの折り曲げ先端部に複数の可動ローラを下方に向けて設け、前記レールに前記各可動ローラを掛け、当該テントフレームの少なくとも複数の支柱の折り曲げ部の間をシートで覆い固定した、屋外設置機器作業用テント装置とした。
【0018】
また、請求項6の発明は、前記レール及び可動ローラが、レールに掛けた可動ローラが当該レールからの外れ止め構造を有する構成となっている、請求項5に記載の屋外設置機器作業用テント装置とした。
【0019】
また、請求項7の発明は、前記テントフレームの各支柱は長さ調整自在である、請求項1~6のいずれかに記載の屋外設置機器作業用テント装置とした。
【0020】
また、請求項8の発明は、前記テントフレームは支柱と連結バーがボルト、ボルト・ナット又はピンストッパーのいずれかにより接続自在に形成されている、請求項1~7のいずれかに記載の屋外設置機器作業用テント装置とした。
【発明の効果】
【0021】
請求項1又は5の発明によれば屋外設置機器の定期点検等の際、当該屋外設置機器の天板に線条体又はレールを設け、現場でテントフレームを組立て、テントフレームの上部にある可動ローラを前記線条体又はレールに掛ければ、屋外設置機器の前面又は後面に一定幅の作業空間を設けてテントフレームを立て、当該テントフレームにシートを被せれば作業用テントができ、屋外設置機器への取り付け、取り外しが容易である。従って当該テント装置は屋外設置機器の点検等の時のみ取付け、不要時は取り外して保管することができるため、一つのセットで多数の屋外設置機器に使用できる。
【0022】
また、屋外設置機器が複数連接されている場合は、1つの屋外設置機器の作業が終われば、隣接する屋外設置機器にテント装置を容易に移動させることができる。これはテントフレームの支柱部分を作業者が手で持って、テントフレームの上部の可動ローラを線条体又はレールに沿って移動させれば極めて容易にテント装置を、点検する作業箇所の屋外設置機器の扉の前に持っていくことができ、作業者の労力を軽減できる。また、請求項1の発明の線条体の緊締・弛緩自在可能手段は、線条体の端部に吊るしたウエイトや、一端を固定したターンバックルや緊線器が含まれるものであり、これらの手段により線条体を容易に緊線したり緩めたりすることができる。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、線条体を緩める場合は線条体の端部のウエイトを軽くするよう重量を変更したり、持ち上げたりすれば良く、また、線条体をより緊締させるには、より重いウエイトを吊り下げればよい。
【0024】
また、請求項3の発明によれば、線条体外れ止めピンを可動ローラの脇に突出させていると、線条体に掛けた可動ローラが線条体から外れず、テントフレームを移動させる場合にはテントフレームの下部を作業者が持って線条体に沿って容易に移動できる。また、線条体に中間支持体等が装着されている場合は、線条体を緩めて、当該線条体を持ち上げ、中間支持体から線条体を浮かせた状態でテントフレームの各可動ローラを通過させ、再び線条体を緊線することによりテントフレームを通過させることができる。また、線条体外れ止めピンを可動ローラの外周から引っ張って外すと可動ローラを線条体から外すことができ、中間支持体等を交わしてテントフレームを容易に移動させることもできる。
【0025】
また、請求項4の発明によれば、線条体の中間部に線条体中間支持具を設けているため、線条体が弛まずに支持でき、テントフレーム先端部の可動ローラが線条体から外れにくい。
【0026】
また、請求項6の発明によれば、可動ローラがレールから外れにくく、テント装置の移動の際、作業者がテントフレームの下部をやや浮かせて簡単に移動ができる。
【0027】
また、請求項7の発明によれば、テントフレームの支柱の長さを調節できるため、屋外設置機器の高さが異なる場合でも、その高さに合わせたテントフレームが容易に作成でき、汎用性がある。
【0028】
また、請求項8の発明によれば、テントフレームが支柱と連結バーとをボルト、ボルト・ナット又はピンストッパーのいずれかで接続する構成のため、複数の支柱の間隔を調整でき、また、不要時は分解でき、場所を取らず持ち運び、収納に便利である。また、ピンスットパーを使用する場合はワンタッチで接続、分解が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置の正面図である。
図2】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置の側面図である。
図3】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤ固定具を示すもので、(a)図は正面図、(b)図は平面図、(c)図は側面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置の支持ローラを示すもので、(a)図は正面図、(b)図は平面図、(c)図は側面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤ中間支持具を示すもので、(a)図は正面図、(b)図は平面図、(c)図は側面図である。
図6】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤ固定具の他の例を示すもので、(a)図は平面図、(b)図は正面図、(c)図は側面図である。
図7】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤの正面図である。
図8】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のウエイトを示すもので、(a)図は側面図、(b)図は正面図である。
図9】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のテントフレームの側面図である。
図10】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のテントフレームの平面図である。
図11】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のテントフレームの正面図である。
図12】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のテントフレームの可動ローラの拡大側面図である。
図13】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のテントフレームの支柱と連結バーの接続状態を示す一部斜視図である。
図14】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のテントフレームの支柱を折り畳んだ状態の側面図である。
図15】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のシートを示すもので、(a)図は天板シートの平面図、(b)図は側面シートの平面図である。
図16】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のテントフレームにシートを被せた状態の側面図である。
図17】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤ中間支持具の他の例におけるフレーム側ローラの通過前の状態を示すもので、(a)図は正面図、(b)図は側面図である。
図18】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤ中間支持具の他の例におけるフレーム側ローラの通過直前の状態を示す正面図である。
図19】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤ中間支持具の他の例におけるフレーム側ローラの通過中の状態を示すもので、(a)図は正面図、(b)図は側面図である。
図20】この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置のワイヤ中間支持具の他の例におけるフレーム側ローラの通過直後の状態を示す正面図である。
図21】この発明の実施の形態例2の屋外設置機器作業用テント装置の正面図である。
図22】この発明の実施の形態例2の屋外設置機器作業用テント装置のレール及び可動ローラの他の例を示す斜視図である。
図23】この発明の実施の形態例2の屋外設置機器作業用テント装置のレール及び可動ローラのさらに他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の屋外設置機器作業用テント装置Aを図1図20に基づいて説明する。
【0031】
屋外設置機器の一つであるキュービクルBが多数連接されている場合において、一端のキュービクルBの天板1の外端から前端縁に沿って他端のキュービクルBの天板1の外端まで、キュービクルを傷つけないように、例えば、ビニールで被覆されたワイヤロープ2を設け、当該ワイヤロープ2はその一端を、前記一端のキュービクルBの天板1に固定したワイヤ固定具3により天板1から浮かせて支持、固定され、その他端は、前記他端のキュービクルBの天板1に固定した支持ローラ4に掛けて当該キュービクルBの側面脇に垂下されている。なお、前記ワイヤロープ2はビニールに限らず、他の素材のカバーでもよいし、これらのカバーや被覆はなくてもよい。
【0032】
また、上記ワイヤロープ2の略中間位置の天板1にワイヤ中間支持具5が設けられ、上記ワイヤロープ2が支持されている。上記垂下したワイヤロープ2の他端に掴線器6を介してウエイト7が吊り下がっている。この実施の形態例1ではウエイト7によりワイヤロープ2を緊締させているが、これに替えて、ワイヤロープ2の一端にターンバックルや緊線器を接続し、当該ターンバックルや緊線器の他端を、地中のアンカーに固定した、又はフェンス支持材等の地上設備に固定したワイヤを接続する構成でもよい。
【0033】
前記ワイヤロープ2に上端部を支持させ、キュービクルBの前面前方にテントフレーム8が設けられ、当該テントフレーム8にシート9が掛かっている。
【0034】
図3は前記ワイヤ固定具3を示し、箱型の支持本体3aの一端上面から突出したアイボルト3bに前記ワイヤロープ2の一端のフック2aを引っ掛けている。また、支持本体3a内に磁石3cを有し、支持本体3aの端面に設けられたつまみ3dを回すと磁石3cの磁力でキュービクルBの天板1にワイヤ固定具3が固定される。従ってこのワイヤ固定具3は天板1に着脱自在に固定される。また、上記では磁石を使用しているが、吸盤で固定してもよい。
【0035】
図4は前記支持ローラ4を示し、箱型の支持本体4aの端面にローラ本体4bが設けられ、支持本体4a内に磁石4cが設けられ、支持本体4aの端面に設けられたつまみ4dを回すと磁石4cの磁力でキュービクルBの天板1に支持ローラ4が固定される。その際、当該支持ローラ4のローラ本体4bはキュービクルBの前端縁から前方又はキュービクルBの側面に突出している。この様にして、前記支持ローラ4は天板1に着脱自在に固定される。また、上記では磁石を使用しているが、吸盤で固定してもよい。
【0036】
図5は前記ワイヤ中間支持具5を示し、箱型の支持本体5aの一端上面から突出したU字型受け具5bで前記ワイヤロープ2を支持するものである。また、支持本体5a内に磁石5cを有し、支持本体5aの端面に設けられたつまみ5dを回すと磁石5cの磁力でキュービクルBの天板1にワイヤ中間支持具5が固定される。従って、当該ワイヤ中間支持具5は天板1に着脱自在に固定される。また、上記では磁石を使用しているが、吸盤で固定してもよい。
【0037】
図6は前記ワイヤ固定具3の変形例を示すもので、当該ワイヤ固定具10はコ字型のフレーム本体10aをキュービクルBの屋根板に嵌め込み、押さえボルト10bを回して固定するものである。そして押さえボルト10bの上端に一体に設けたリング状部10cに前記ワイヤロープ2の一端をフック2aを介して係止するものである。なお、前記ワイヤ固定具10のフレーム本体10aの内側のキュービクルBに接する面と押さえボルト10bの押さえ面はゴム貼りしてキュービクルBを傷つけないようにする。
【0038】
前記ワイヤロープ2は図7に示すように、その一端にフック2aが接続されている。また、前記ウエイト7は図8に示すように、前記ワイヤロープ2の他端を掴線器6で把持し、当該掴線器6を介してウエイト7を接続している。当該ウエイト7は容器から成り、中に入れる水等の液体の量により重さを調整可能である。
【0039】
前記テントフレーム8は間隔を空けて設けた2本の支柱11とこれらの支柱11を繋ぐ3本の連結バー12、13、14から構成されている。なお、上記支柱11を2本としているが、2本に限らず、3本以上の支柱11から構成される場合もある。
【0040】
前記支柱11はその上端部に折り曲げ片11aがピン11bに軸支されて折り畳み自在に接続され、当該折り曲げ片11aを略水平にすると端部に下方に曲がった垂下片11cが形成されている。また、当該折り曲げ片11aを略水平にした状態で固定ピン11dを取り付けると支柱11は上端に折り曲げ片11a及び垂下片11cによって変形T字型の支柱に固定される。また、固定ピン11dを抜いて折り曲げ片11a及び垂下片11cを図14に示すように、折り畳むことができる。
【0041】
また、2本の支柱11と連結バー12、13、14との接続は、図13に示すように、前記折り曲げ片11aの先端部、垂下片11c、及び支柱11の中間部に夫々設けた嵌合枠体11eに連結バー12、13及び14を挿入し、各嵌合枠体11eに設けた貫通ボルト11fを夫々締め付けることにより接続される。なお、支柱11と連結バー12、13、14の接続はこれに限らず、ボルト・ナットやピンストッパーによる場合がある。
【0042】
前記連結バー12、13、14の内、前記折り曲げ片11aに設けた連結バー12には一定間隔を空けて2個の可動ローラ15が垂下している。具体的には連結バー12から一対の軸受け板15aが垂下され、これらの一対の軸受け板15aに可動ローラ15の軸が支持されている。これらの可動ローラ15の軸受け板15aの一方を、下方に長く伸ばして延設し、当該延設箇所にワイヤ外れ止めピン16が設けられ、当該ワイヤ外れ止めピン16はバネの力によって常時は可動ローラ15の外周一端に伸び、可動ローラ15の溝に入っているワイヤロープ2が溝から出ないようにしたものでる。バネの力に抗してワイヤ外れ止めピン16を引っ張るとピンが可動ローラ15の脇から引っ込み、ワイヤロープ2から可動ローラ15を外すことができる。
【0043】
なお、ワイヤはずれ止めピン16は、図13では可動ローラ15の後方から前方に突出させているが、前方から後方に向けて突出させても良い。なお、当該実施の形態例1では複数の可動ローラ15を連結バー12に設けているが、支柱11の折り曲げ片11aの先端に設けても良い。すなわち、各可動ローラは前記折り曲げ片11aの連結バー12を含めた先端部に設ければ良い。
【0044】
また、前記各支柱11は下部に突出自在な補助柱17が設けられ、補助柱17の支柱11からの突出長を調整でき、両者に複数設けた孔にピンを挿入すると補助柱17の長さが固定できる。従って、点検対象のキュービクルBの高さに合わせて支柱11の高さを調整できる。
【0045】
前記シート9は天板シート9aと当該天板シート9aの両側に垂下させる側面シート9bとから成り、天板シート9aは図15の(a)図に示すように、長方形状に形成され、前記テントフレーム8の上面、即ち、2本の支柱11の折り畳み片11a及び垂下片11cの間を被う大きさよりやや大きく、両側の折り畳み片11aの外側位置に相応する側端箇所に沿って面ファスナー18が夫々設けられている。これらの面ファスナー18は前記可動ローラ15の位置の折り畳み片11aから垂下片11cの相応する位置まで設けられている。そして当該天板シート9aの垂下片11cと反対側の端部はシートが折り返されて袋状係止部9cが設けられている。
【0046】
また、側面シート9bは、図15の(b)図に示す形状のもので、前記天板シート9bの両側の面ファスナー18に上端を着脱自在に係止する面ファスナー19が設けられている。これらの天板シート9a及び側面シート9bが図16に示すように、テントフレーム8の上部に装着される。なお、図15及び図16ではシート9を、テントフレーム8の上部を被う長さにしているが、これに限らず、地面まで伸ばしたものでもよい。
【0047】
以上のように複数連接されたキュービクルBにワイヤロープ2を張り、また、テントフレーム8を組み立て、可動ローラ15をワイヤロープ2に掛け、この状態で前記天板シート9a及び側面シート9bを取り付けることにより当該屋外設置機器作業用テント装置Aが完成し、当該テント装置Aの内部でキュービクルBの扉を開けて内部機器の点検、計測等が雨天の日でも作業者や計測機器を濡らすことなく安全に作業ができる。勿論、当該屋外設置機器作業用テント装置Aは雨天だけでなく、風や日除けにも利用できる。
【0048】
また、上記実施の形態例1ではテントフレーム8の可動ローラ15にワイヤ外れ止めピン16を設けているためテントフレーム8をワイヤロープ2に沿って移動させる場合、前記ワイヤ中間支持具5の箇所を通過できない。その場合は前記ウエイト7をワイヤロープ2に付けた状態で持ち上げて、ワイヤロープ2をワイヤ中間支持具5のU字型受け具5bから浮かせた状態で可動ローラ15を移動させてワイヤ中間支持具5の箇所を通過させ、その後、再びウエイト7を吊り下げてワイヤ中間支持具5にワイヤロープ2を支持させることもできる。
【0049】
この様に実施の形態例1では可動ローラ15にワイヤ外れ止めピン16を設けたものであるが、ワイヤ外れ止めピン16を設けない場合もある。この場合は、可動ローラ15又はテントフレーム8の先端部分を重くし、自重でワイヤロープ2から容易に外れないようにする。また、前記ワイヤ中間支持具5に代えて、中心の受けローラ20aの両側に大径のガイドローラ20bが設けられた中間受ローラ支持具20を天板1に着脱自在に立設、固定する場合もある。上記中間受ローラ支持具20の中心の受けローラ20aはアンダーローラとしての役目をしているものである。
【0050】
この場合のワイヤロープ2の中間支持具としての中間受ローラ支持具20を前記可動ローラ15が通過する場合について図17図20について説明する。
【0051】
前記中間受ローラ支持具20は受ローラ20aの両側のガイドローラ20bの間隔が前記可動ローラ15のローラ幅よりやや大きくなっている。そして、ワイヤロープ2に沿って移動する可動ローラ15は、図17に示すように、可動ローラ15の溝にワイヤロープ2が入り、中間受ローラ支持具20では受ローラ20aの溝にワイヤロープ2が入っている。
【0052】
そして、可動ローラ15のローラ自体は図18に示すように、中間受ローラ支持具20の箇所では両側のガイドローラ20bの間に入り、図19に示すように、可動ローラ15のローラが中間受ローラ支持具20の受ローラ20aの上にのり、可動ローラ15の溝からワイヤロープ2が外れる。その後、図20に示すように、可動ローラ15は両側のガイドローラ20bにガイドされて再びワイヤロープ2に載り、可動ローラ15のローラ自体の溝にワイヤロープ2が嵌る。
【0053】
この様にして可動ローラ15はワイヤロープ2の中間受ローラ支持具20を通過する。この場合には、ワイヤロープ2を緩めたり、上に持ち上げる必要がない。
【0054】
(実施の形態例2)
次にこの発明の実施の形態例2の屋外設置機器作業用テント装置Cを図21に基づいて説明する。
【0055】
この屋外設置機器作業用テント装置Cは前記ワイヤロープ2に代えて、レール22を連接するキュービクルBの天板1箇所に設けたもので、他の構成は実施の形態例1と同じである。
【0056】
前記レール22は、一端のキュービクルBの天板1の外端から前端縁に沿って他端のキュービクルBの天板1の外端まで設けられており、天板1に着脱自在に設けられた支持具23により夫々レール22の両端又はその中間点が支持されている。このレール22は、連接するキュービクルBの長さにより適宜継ぎ足すことができる。このレール22の上に、テントフレーム8の可動ローラ15が載り、レール22に沿ってテントフレーム8を容易に移動可能となっている。
【0057】
図22は、前記実施の形態例2の変形を示し、レール断面がT字型又は横向きのH型レール24を用いて、当該レール24の上下を挟むように複数対の横向きローラから成る可動ローラ組25を嵌めてなり、当該可動ローラ組25が前記テントフレーム8の折り曲げ片11aの先端に固定される。なお、当該可動ローラ組25は当該折り曲げ片11aに設けた連結バー12を含む前記テントフレーム8の折り曲げ片11aの先端部に固定することもできる。これによりテントフレーム8はレール24に沿って移動自在であり、かつ、レール24からの外れ止めを有する構成となっている。
【0058】
また、図23もまた、前記実施の形態例2の変形を示し、レール断面がT字型又は横向きのH型レール26を用いて当該レール26の上下を挟むように複数対の横向きローラから成る可動ローラ組27を嵌めてなり、かつ、前記レール26の一側に長手方向に多数の孔26aが連続して設けられ、前記可動ローラ組27のラチェット爪が前記孔26aの一つに入り乍ら移動する構成となっており、当該可動ローラ組27はレール26に沿った移動も制御される。この可動ローラ組27もまたテントフレーム8の折り曲げ片11aの先端に固定される。なお、当該可動ローラ組27は当該折り曲げ片11aに設けた連結バー12を含む前記テントフレーム8の折り曲げ片11aの先端部に固定することもできる。
【0059】
なお、実施の形態例1及び2では屋外設置機器作業用テント装置A及びCは、屋外設置機器のメンテナンス作業を含む種々の作業にも使用できるものである。また、前記実施の形態例1及び2では屋外設置機器の一つであるキュービクルにより説明したが、この発明はキュービクルに限らず、他の屋根を具備した屋外設置機器にも適用可能である。
【0060】
この発明は上記実施の形態例1及び2の構成に限定されるものではなく、ワイヤロープの固定構造、テントフレームの構成、及びレールの構成等、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
A 屋外設置機器作業用テント装置
B キュービクル
C 屋外設置機器作業用テント装置
1 天板 2 ワイヤロープ
2a フック 3 ワイヤ固定具
3a 支持本体 3b アイボルト
3c 磁石 3d つまみ
4 支持ローラ 4a 支持本体
4b ローラ本体 4c 磁石
4d つまみ 5 ワイヤ中間支持具
5a 支持本体 5b U字型受け具
5c 磁石 5d つまみ
6 掴線器 7 ウエイト
8 テントフレーム 9 シート
9a 天板シート 9b 側面シート
9c 袋状端部 10 ワイヤ固定具
10a フレーム本体 10b 押さえボルト
10c リン状部 11 支柱
11a 折り曲げ片 11b ピン
11c 垂下片 11d 固定ピン
11e 嵌合枠体 11f 貫通ボルト
12 連結バー 13 連結バー
14 連結バー 15 可動ローラ
15a 軸受け板 16 ワイヤ外れ止めピン
17 補助柱 18 面ファスナー
19 面ファスナー 20 中間受ローラ支持具
20a 受けローラ 20b ガイドローラ
22 レール 23 支持具
24 レール 25 可動ローラ組
26 レール 26a 孔
27 可動ローラ組
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23