(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ボール供給装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/40 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A63B69/40 511C
A63B69/40 511H
A63B69/40 501P
(21)【出願番号】P 2020014254
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】596017602
【氏名又は名称】共和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】田中 完ニ
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一郎
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-198252(JP,A)
【文献】実開平04-075576(JP,U)
【文献】特開平05-237237(JP,A)
【文献】特許第5625098(JP,B1)
【文献】特開2009-039290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00 - 69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボールを収容可能な収容容器と、
収容容器の底面の一部に設けられる、前記ボールを誘導する誘導路と、
前記誘導路の一部に設けられ、到達した前記ボールを落下させる落下口と、
前記収容容器の底面に格納可能であると共に前記底面から突出可能である崩し部材と、を備え、
前記崩し部材は、前記底面からの突出により、前記収容容器内部で密集もしくは密着した前記ボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩し、
前記崩し部材は、前記誘導路の両側面に備わる側壁を含み、
前記誘導路は、前記底面への格納および前記底面からの突出が可能であり、
前記誘導路が、前記底面から突出することで、前記側壁が前記底面から上方に突出し、
前記底面から突出した前記側壁は、前記収容容器内部で密集もしくは密着した前記ボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩す、ボール供給装置。
【請求項2】
前記落下口は、前記誘導路の誘導先に設けられ、
ボール発射装置への移動通路へ、落下した前記ボールを供給する、請求項1記載のボール供給装置。
【請求項3】
前記誘導路は、前記落下口に向けて下方に傾きを有する、請求項1または2記載のボール供給装置。
【請求項4】
前記崩し部材は、前記底面の一部から上方に突出可能な、突出部材を含み、
前記突出部材は、前記底面からの突出および前記底面への格納が可能であり、
前記底面から突出した前記突出部材は、前記収容容器内部で密集もしくは密着した前記ボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩す、請求項1から3のいずれか記載のボール供給装置。
【請求項5】
前記誘導路および前記突出部材のそれぞれは、同時に、前記底面から突出可能である、請求項4記載のボール供給装置。
【請求項6】
前記誘導路および前記突出部材のそれぞれは、異なるタイミングで、前記底面から突出可能である、請求項4記載のボール供給装置。
【請求項7】
前記崩し部材は、通常状態においては、前記底面に格納されている、請求項1から6のいずれか記載のボール供給装置。
【請求項8】
前記誘導路は、前記底面の一部領域(以下、誘導路領域)に設けられ、
前記底面は、前記誘導路領域と残部である残部領域を有し、
前記残部領域は、前記誘導路領域に向けて下る傾斜を有する、請求項1から7のいずれか記載のボール供給装置。
【請求項9】
前記誘導路領域において、前記誘導路以外の領域は、前記落下口に向けて下る傾斜を有する、
請求項8記載のボール供給装置。
【請求項10】
前記崩し部材は、空気圧によって、前記底面から突出可能である、請求項1から9のいずれか記載のボール供給装置。
【請求項11】
前記落下口において、ボールの存在を検出するセンサーを更に備え、
前記センサーが一定時間以上、前記ボールの存在を検出できない場合に、前記崩し部材が突出する、請求項1から10のいずれか記載のボール供給装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか記載のボール供給装置と、
前記落下口からのボールが供給されて前記ボールを発射する発射筒と、
前記発射筒の所定位置と前記落下口との間を結び、前記ボールを移動させる移動通路と、
前記発射筒に空気圧を付与する圧縮空気タンクと、を備え、
前記発射筒に供給された前記ボールを、前記空気圧で発射するボール発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くのボールを収容できると共にボール発射装置に確実にボールを供給できるボール供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野球でのバッティング練習やテニスでのストローク練習などにおいて、野球ボールやテニスボールを自動で発射するボール発射装置が用いられる。野球の練習に使用されるボール発射装置は、ピッチングマシンやバッティングマシーンと呼ばれる。このようにピッチングマシンやバッティングマシーンと呼ばれるボール発射装置が、野球のバッティング練習やテニスのストローク練習などで、練習者にとって利用されている。
【0003】
ボール発射装置が使用されることにより、野球のバッティング練習やキャッチング練習を簡単かつ多くの人力を介さずに行えるようになる。テニスであれば、テニスのストローク練習やボレー練習を、容易かつ連続的に行えるようになる。
【0004】
特に、テニスの場合には、テニスコートを用いたストローク練習やボレー練習を行うことがある。このとき、実際のテニスコートに練習者が立ち、相手方のコートから発射されるボールを打ち返す。ストロークであってもボレーであっても同様である。ここで、より実戦的な練習としては、実際のテニスコートの相手側コートから、テニスプレーヤーが打ってくるボールと同じような軌道や速度のボールが発射されることが好ましい。
【0005】
テニスの練習では、練習者の手元に届くボールを、次々とストローク練習する繰り返し練習が効果的である。あるいは卓球などのようなストロークを含むプレイスタイルの球技では、いずれも同様である。このような繰り返し練習を実現するためには、練習者の手元に、次々とボールが投じられることが必要である。
【0006】
このようなテニスや卓球などの、繰り返しのストローク練習(ボレーやスマッシュも同様)では、練習パートナーやコーチが、練習者に対してボールを次々と出す作業が行われていた。しかしながら、練習パートナーやコーチが、次々とボール出しするのは、作業負担が大きくなる。また、本来は練習者の指導を、練習者の横で務めるべきコーチがボール出し作業をすることは(練習者の反対側の離れた側からボール出し作業をする)、練習者のレベルアップにおいてはマイナスである。
【0007】
もちろん、野球も同様である。
【0008】
このような状況で、練習者にとって必要となるボール出しを、連続的かつ正確に行えるボール発射装置が必要とされている。また、このボール発射装置では、連続的に多くの数のボールを発射することが求められている。このため、ボール発射装置には、あらかじめ多くの数のボールが設置されており、この多数のボールが、1球ずつ次々と発射されることも求められている。
【0009】
このようなボール発射装置に関するいくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許5625098号公報
【文献】実開平1-77784号公報
【文献】特開2009-39290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、ボールを発射させるボール発射手段にボールの発射方向や回転を定める制球手段を接続し、制球手段にボールが通過するボール通過通路を形成し、ボール通過通路の先端の投球口からボールを投げ出すピッチングマシーンにおいて、前記ボール発射手段は、ボールを供給するボール供給機構と、ボール供給機構から供給されたボールを空気圧で発射する空気噴射機構とで構成し、制球手段は、ボール通過通路の下側に回転体を設けるとともに、回転体をボールの進行方向に向けてボールの進行速度よりも速い速度で回転させて前記空気噴射機構から発射されたボールの下側に接触させ、回転体の上方に摩擦体を設け、ボールと接触する摩擦体の表面よりもボールと接触する回転体の表面の動摩擦係数を大きくしたことを特徴とするピッチングマシーンを開示する。
【0012】
しかしながら、特許文献1のボール発射装置は、ボールを一つずつ設置部位に設置して、ボールを発射する。このため、設置部位へのボールの設置に時間がかかってしまう問題がある。このため、次々とボールを発射して、発射されたボールを打ったり受けたりする練習においては、不適である。設置に時間がかかることで、ボールの発射される時間間隔が長くなってしまうからである。
【0013】
また、ボールの投入操作であったり実際のボールの発射操作であったりにおいて、作業者を必要とする問題もある。例えば、ボール発射装置に作業者が寄り添った状態で、ボールの投入、設置、発射制御を行う必要がある。野球などであれば、チーム練習の中で、作業者がボール発射装置を操作することができることもある。しかし、テニスのように一人のコーチが多数のプレーヤーを教えなければならない場合には、コーチがボール発射装置に張り付くこととなり、プレーヤーのコーチングができなくなってしまう問題がある。
【0014】
あるいは、リモコンにより自動操作する場合でも、プレーヤーが行う必要があり、次々とボールを発射する練習をしたい場合には不向きである問題がある。
【0015】
加えて、一度に大量のボールを準備しておいて、短い時間間隔で次々とボールを発射することができない問題もある。この問題により、短い時間間隔でのボール発射を受けて練習することに適してない問題があった。
【0016】
特許文献2は、高圧空気の圧力を受けて筒を移動するボールの面に、山型の凸部を接触させてボールに摩擦を付与するボール回転手段を備えるピッチングマシンを開示する。特許文献4は、筒を移動するボールの一部の面に、2つの凸部が接触することで、人間の投手が二本の指でボールに摩擦を付与することを、模擬的に再現している。この模擬的な再現により、特許文献2に開示されるピッチングマシンは、ボールに回転を付与することができる。
【0017】
しかしながら、特許文献2の技術も、特許文献1と同様の問題を有している。少ない作業者で、短い時間間隔で次々とボールを発射できず、これを必要とする練習に向いていない問題がある。また、特許文献1、2などの技術では、装置のコストが高くなる問題もあり、球技の種類や導入組織によっては、導入が難しい問題もあった。
【0018】
特許文献3は、複数のボール1を収容する筐体10と、ボール1を保持する受け部21が筐体10の下方から上方に向けて送り出されることにより、ボール1を1個づつ上昇させて筐体10からボール発射手段50に供給する搬送手段20とを備えるボール供給装置であって、筐体10の最下部には、受け部21が通過する貫通孔12が形成されており、この貫通孔12の近傍には、筐体10内のボール1を動かすことが可能な回転体30が設けられている。これにより、筐体内のボールを連続して1個づつボール発射手段に供給できるゴール供給装置を開示する。
【0019】
しかしながら、特許文献3の技術では、ボールを供給する装置が大掛かりかつ複雑となって、ボール発射装置に連結することが難しくなる。また、ボール発射装置を含めた装置全体が大型化して、テニス、卓球、野球といった球技での練習に不向きになる。
【0020】
また、装置の高コスト化にもつながる問題がある。プロ野球チームなどであれば可能であるが、アマチュアのチームやテニス教室などでは、高価な装置の導入は困難である。
【0021】
特に、特許文献3の技術は、筐体からボールを一つずつ取り出せることを前提としている。しかしながら、多くのボールを連続的に発射するためには、筐体に多くの数のボールを収容させておく必要がある。多くの数のボールを収容させておくと、ボール同士が密着して、筐体の中から一つずつボールを取り出すことが難しくなる。
【0022】
また、ボールを収容する筐体をボール発射装置の上に設置して、ボールを落下させることでボール発射装置に供給する構成にすることは、ボール供給装置を含めたボール発射装置の小型化、簡易化、低コスト化につながる。しなしながら、多数のボールを筐体に入れると、ボール同士が密着して、筐体から一つずつのボールが落下しにくくなってしまう問題もある。ボール同士が密着する状態を、ブリッジが生じると定義することがあるが、このようなブリッジが生じて、ボールが、筐体から落下しなくなってしまうことが起こりうる。筐体からボール発射装置にボールが落下しないと、ボール発射装置は、次のボールを発射できなくなる。
【0023】
筐体にボールが収容されているにも関わらず、筐体からボール発射装置に供給されず、練習者にボールが発射されない状態となることは好ましくない。このような状況が発生すると、練習者あるいはコーチなどが、筐体の中のボールをばらつかせるなどの作業をしなければならなくなる。これは無駄な負担や時間となってしまう。
【0024】
本発明は、上記の課題に鑑み、多数のボールを収容できると共に、1球ずつ確実にボール発射装置にボールを供給できるボール供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題に鑑み、本発明のボール供給装置は、複数のボールを収容可能な収容容器と、
収容容器の底面の一部に設けられる、ボールを誘導する誘導路と、
誘導路の一部に設けられ、到達したボールを落下させる落下口と、
前記収容容器の底面に格納可能であると共に前記底面から突出可能である崩し部材と、を備え、
崩し部材は、底面からの突出により、収容容器内部で密集もしくは密着したボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩し、
前記崩し部材は、前記誘導路の両側面に備わる側壁を含み、
前記誘導路は、前記底面への格納および前記底面からの突出が可能であり、
前記誘導路が、前記底面から突出することで、前記側壁が前記底面から上方に突出し、
前記底面から突出した前記側壁は、前記収容容器内部で密集もしくは密着した前記ボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩す。
【発明の効果】
【0026】
本発明のボール供給装置は、多数のボールを一度に収容して、ボール発射装置に1球ずつ供給できる。この供給により、多くのボールを連続的に発射して、球技の練習を効率化できる。
【0027】
また、収容容器内部において、ボール同士が密着したりブリッジができたりしたりして、ボールが落下口に落ちてこない場合でも、密着やブリッジを崩して、ボールを1球ずつ落下口に確実に導くことができる。この結果、ボール発射装置に、確実に1球ずつのボールを供給できる。
【0028】
収容容器に収容されているボールのすべてが、1球ずつ確実に発射されるようになり、球技における連続的な反復練習の効率化につながる。特に、ボールを出す作業者が不要となり、人的コストや人的負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるボール発射装置に組み合わされたボール供給装置の側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1におけるボール供給装置の上面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1における誘導路の側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1におけるボール供給装置であって収容容器2においてボールの塊が生じている状態の模式図である。
【
図5】本発明の実施の形態1における崩し部材が飛び出した状態のボール供給装置の模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態1におけるボール供給装置の側面図である。崩し部材5の格納状態と飛び出し状態との両方を示している。
【
図7】本発明の実施の形態1におけるボール供給装置の正面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2におけるボール供給装置の上面図である。
【
図9】本発明の実施の形態2におけるボール供給装置の側面図である。
【
図10】本発明の実施の形態2におけるボール供給装置を組み込んだボール発射措置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の発明に係るボール供給装置は、複数のボールを収容可能な収容容器と、
収容容器の底面の一部に設けられる、ボールを誘導する誘導路と、
誘導路の一部に設けられ、到達したボールを落下させる落下口と、
収容容器の底面からの突出と、底面への格納を行える崩し部材と、を備え、
崩し部材は、底面からの突出により、収容容器内部で密集もしくは密着したボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩す。
【0031】
この構成により、ボール同士が塊を作り、誘導路や落下口に移動しなくなったり、落下しなくなったりする場合でも、ボール同士をバラバラにすることができる。結果として、落下口からのボールの落下を継続させることができる。
【0032】
本発明の第2の発明に係るボール供給装置では、第1の発明に加えて、落下口は、誘導路の誘導先に設けられ、
ボール発射装置への移動通路へ、落下したボールを供給する。
【0033】
この構成により、自由落下で、ボールを供給できる。
【0034】
本発明の第3の発明に係るボール供給装置では、第1または第2の発明に加えて、誘導路は、落下口に向けて下方に傾きを有する。
【0035】
この構成により、誘導路は、効果的にボールを落下口に誘導できる。
【0036】
本発明の第4の発明に係るボール供給装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、崩し部材は、誘導路の両側面に備わる側壁を含み、
誘導路は、底面からの突出および底面への格納が可能であり、
誘導路が、底面から突出することで、側壁が底面から上方に突出し、
底面から突出した側壁は、収容容器内部で密集もしくは密着したボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩す。
【0037】
この構成により、ボール同士が塊を作って、落下口から落下できなくなったり落下口に到達できなくなったりしても、これを解消できる。
【0038】
本発明の第5の発明に係るボール供給装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、崩し部材は、底面の一部から上方に突出可能な、突出部材を含み、
突出部材は、底面からの突出および底面への格納が可能であり、
底面から突出した突出部材は、収容容器内部で密集もしくは密着したボール同士の密集状態もしくは密着状態を崩す。
【0039】
この構成により、より広範かつ確実に、密集状態や密着状態を解消できる。
【0040】
本発明の第6の発明に係るボール供給装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、崩し部材は、通常状態においては、底面に格納されている。
【0041】
この構成により、通常においては、ボールの誘導路での誘導や落下口からの落下を邪魔しない。
【0042】
本発明の第7の発明に係るボール供給装置では、第5の発明に加えて、誘導路および突出部材のそれぞれは、同時に、底面から突出可能である。
【0043】
この構成により、一度に十分な力と切り離しの圧力を加えることができる。結果として、ボール同士の塊を確実かつ広範囲に崩すことができる。
【0044】
本発明の第8の発明に係るボール供給装置では、第5の発明に加えて、誘導路および突出部材のそれぞれは、異なるタイミングで、底面から突出可能である。
【0045】
この構成により、繰り返しの飛び出しで、ボール同士の塊を効果的に崩すことができる。
【0046】
本発明の第9の発明に係るボール供給装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、誘導路は、底面の一部領域(以下、誘導路領域)に設けられ、
底面は、誘導路領域と残部である残部領域を有し、
残部領域は、誘導路領域に向けて下る傾斜を有する。
【0047】
この構成により、収容容器内部のボールを誘導路に集めることができる。ボールが減っていっても同様であり、最後のボールまで、供給することができる。
【0048】
本発明の第10の発明に係るボール供給装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、誘導路領域において、誘導路以外の領域は、落下口に向けて下る傾斜を有する。
【0049】
この構成により、収容容器内部のボールを、落下口に集めることができる。ボールが減っていっても同様であり、最後のボールまで供給することができる。
【0050】
本発明の第11の発明に係るボール供給装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、崩し部材は、空気圧によって、底面から突出可能である。
【0051】
この構成により、崩し部材を、瞬間的かつ強い力で飛び出させることができる。
【0052】
本発明の第12の発明に係るボール供給装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、前記落下口において、ボールの存在を検出するセンサーを更に備え、 前記センサーが一定時間以上、前記ボールの存在を検出できない場合に、前記崩し部材が突出する。
【0053】
この構成により、ボールの密集状態や密着状態で、ボールが供給されない状態を、リアルタイムに解消することができる。
【0054】
本発明の第13の発明に係るボール発射装置は、第1から第12のいずれか記載のボール供給装置と、
落下口からのボールが供給されてボールを発射する発射筒と、
発射筒の所定位置と落下口との間を結び、ボールを移動させる移動通路と、
発射筒に空気圧を付与する圧縮空気タンクと、を備え、
発射筒に供給されたボールを、空気圧で発射する。
【0055】
この構成により、多数のボールを収容容器に投入した後は、最後のボールまで、連続的に確実に発射できる。練習者にとっておよびコーチにとって便利である。
【0056】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態1について説明する。
【0057】
(実施の形態1)
【0058】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1におけるボール発射装置に組み合わされたボール供給装置の側面図である。野球、テニス、卓球などの球技において、これらの練習に用いられるボール発射装置100に、ボール供給装置1は、組み合わされる。ボール発射装置100は、ボール200を、練習者の練習のために発射する。例えば、野球であれば、打者やキャッチャーの練習に、テニスであれば、ストロークやボレーの練習のために、使用される。
【0059】
一例として、
図1のボール発射装置100は、ボール200を空気圧で発射する。このため、ボール発射装置100は、移動通路130、発射筒110および圧縮空気タンク120を備えている。また、ボール発射装置100は、必要に応じた筐体や支持部材を備えていてもよい。
【0060】
ボール発射装置100の上部に、ボール供給装置1が組み合わされる。すなわち、ボール供給装置1は、ボール発射装置100の上に備わって、ボール200を上方からボール発射装置100に供給する。このとき、移動通路130によって、ボール供給装置1と発射筒110とが接続されている。この接続される移動通路130を介して、ボール供給装置1から落下するボール200が、発射筒110に供給される。
【0061】
ボール発射装置200は、上方からの落下で供給されるボール200を、発射筒110にセットして、圧縮空気タンク120からの空気圧を付与する。空気圧が付与されると、ボール200は、発射筒110から発射される。
図1には、発射の様子も示されている。
【0062】
このように、本発明のボール供給装置1は、ボール発射装置100に組み合わされて用いられる。もちろん、ボール発射装置100以外に組み合わされてもよい。また、
図1では、空気圧でボールを発射するボール発射装置100が示されているが、他の方式でのボール発射装置に、ボール供給装置1が組み合わされてもよい。
【0063】
図2は、本発明の実施の形態1におけるボール供給装置の上面図である。ボール発射装置1を、上方から見た状態を示している。
図1で示すボール供給装置1を上から見た状態である。
【0064】
ボール供給装置1は、
図1、
図2に示されるように、多数のボール200を収容している。この収容しているボール200を、落下させて、ボール発射装置100に供給する。すなわち、ボール供給装置1は、ボール200そのものの供給において、ボール200を機械的あるいは電気的なメカニズムで供給するのではなく、自由落下を基本として、供給する。
【0065】
ボール供給装置1は、収容容器2、誘導路3、落下口4、崩し部材5を備える。
【0066】
収容容器2は、複数のボール200を収容可能である。
図1のように、内部に多数のボール200を収容できる。収容容器2は、多数のボール200を収容できるように、かごのような形態を有している。また、一例として、収容容器2の上方は開口している。開口していることで、練習者などが、多数のボール200を投入して収容させることができる。
【0067】
また、収容容器2は、ボール発射装置100の上方に備わるように組み合わされればよい。
図2に示される通りである。このような組み合わせにより、落下口4から自由落下するボール200が、ボール発射装置100に供給される。自由落下での供給が繰り返されることにより、ボール200をボール発射装置100に供給するためだけの機械的機構などが不要となり、ボール供給装置1の簡略化が可能となる。これにより、ボール供給装置1の低コスト化や、ボール発射装置100との組み合わせの容易化ができる。
【0068】
収容容器2は、ボール供給装置1の外形を形成する。
【0069】
収容容器2は、ボール200を収容できるので、底面21を備える。底面21の上に多数のボール200が重なるように収容されている。誘導路3は、この底面21の一部に設けられる。
図2においては、底面21の右側に、誘導路3が設けられる。誘導路3は、両側に側壁31を備えており、側壁31を繋ぐ底面に、底部32を備える。この底部32と側壁31とで囲まれることで、ボール200が、この内部に入り込んで誘導される形態となっている。
【0070】
底面21に対して、底部32は、少し下方になる位置関係であることも好適である。このような位置関係であることで、収容容器2内部のボール200は、この誘導路3にはまり込んで、誘導路3の傾斜に沿って誘導される。誘導路3の一部には、落下口4が備わる。また、誘導路3は、落下口4に向けて下方に傾く傾斜を有する。傾斜の先に、落下口4が備わっている。
【0071】
図3は、本発明の実施の形態1における誘導路の側面図である。
図3は、誘導路3と落下口4にフォーカスした図面である。誘導路3の形態とその機能を説明するために、模式的に示している。上述したように、誘導路3は、側壁31と底部32とで囲まれるレーンのような通路を形成できる。誘導路3そのものは、収容容器2の底面21からすべてが上方に突出(露出)していなくても、一部が底面21から上方に突出している状態でもよい。あるいは、側壁31の上面が底面21とそろっている状態でもよい。あるいは、側壁31の上面が少しだけ底面21から突出している状態でもよい。
【0072】
このときは、誘導路3の底部32は、底面21よりも下方に位置する。
【0073】
いずれの状態であっても、収容容器2内部のボール200は、次第に誘導路3に到達する。到達したボール200は、誘導路3のレーンのような通路形態に入り込みつつ、傾斜に沿って落下口4に向かって下っていく。落下口4は、誘導路3の落下方向の先にある。
図3のように、誘導路3に到達したボール200は、傾斜とレーン形態に合わせて落下口4に向かって移動する(誘導される)。その後、落下口4に到達したボール200が、落下口4から下方に落下する。落下は、自由落下である。
【0074】
自由落下したボール200は、ボール発射装置100に繋がる移動通路130を移動して、発射筒110に供給される。
【0075】
落下口4は、上述のように、誘導路3の一部に設けられる。特に、誘導路3は、傾斜を有しており、傾斜の先に落下口4が設けられる。
図3に示されるように、誘導路3の傾斜によって下ってきたボール200が、落下口4から落下する。
【0076】
落下口4は、誘導路3の誘導先(傾斜の先)に設けられ、ボール発射装置100の移動通路130へ、ボール200を落下させる。
【0077】
崩し部材5は、収容容器2の底面21から突出することと底面21への格納を行える。底面21への格納とは、底面21からの突出のあとで、底面21の下に戻ることである。
【0078】
収容容器2には、多数のボール200が投入される。このため、ボール200は密着や密集してしまうことがある。特に、誘導路3には、ボール200が集中しやすい。誘導する形態を持っているからである。崩し部材5は、底面21からの突出により、収容容器2内部で密集もしくは密着した状態を崩すことができる。密集や密着していると、ボール200が、誘導路3に適切に入り込めず、落下口4からの落下が難しくなる。
【0079】
崩し部材5が、このボールの密集状態や密着状態を崩すことができると、ボール200は、バラバラになって、誘導路3に入り込んで、落下口4へきちんと誘導されるようになる(移動するようになる)。特に、上述したように、ボール200は、誘導路3に集中しやすくなる。また、集中することによって、相互に密着してしまう。このボール200相互の密着によって、ボール200同士が塊を作ってしまうことがある。この塊をブリッジと呼ぶこともある。
【0080】
このような塊が生じると、誘導路3に入るべきボール200が入れなくなったり、誘導路3の途中で停止したりしてしまう。あるいは、誘導路3を塊となったボール200が塞いでしまうこともある。
【0081】
崩し部材5は、底面21から上方に飛び出る。板状あるいはその他の形態を持つ部材が、飛び出すことで、ボール200の塊を崩す。すなわち、密集状態や密着状態が崩れる。この崩されることで、塊となっているボール200は、一つずつにバラバラになり、また誘導路3の塞がれている状態も解消される。これによって、ボール200は、誘導路3を移動できるようになる。上述したように、誘導路3は、落下口4に向けて傾斜を有している。この傾斜に従って、ボール200は誘導路3を移動して、誘導先の落下口4に到着する。到着したボール200は、落下口4から自由落下して、ボール発射装置100に供給される。
【0082】
このように、ボール供給装置1は、収容容器2に多数のボール200を投入するだけで、自由落下を利用してボール200をボール発射装置100に供給できる。特に、底面21に落下口4を備える誘導路3が設けられていることで、収容容器2内部のボール200は、誘導路3に誘導されて落下口4から落下する。落下へと導かれる状態である。
【0083】
加えて、収容容器2内部には多数のボール200が収容される。この多数のボール200が誘導路3に向かって集中する。この集中によって、密集して塊となってしまう。これに対して、本発明のボール供給装置1は、底面21から上方に飛び出す崩し部材5を備えている。崩し部材5が、上方に突出して飛び出すと、塊を崩して、ボール200を一つずつにできる。こうして、分離されたボール200は、誘導路3を誘導されて落下口4から一つずつ落下するようになる。
【0084】
このような組み合わせで、ボール供給装置1は、ボール発射装置100の上に組み合わされる。機械的動作でのボール落下を必要としないので、ボール供給装置1を小型化および低コスト化できる。結果として、ボール発射装置100に組み合わせて、容易に使用することができる。
【0085】
また、大量に投入したボール200を、1球ずつ供給して1球ずつ発射することができる。この結果、ボール発射装置100の操作を自動化して練習者は練習に、コーチはコーチングに集中することができる。練習やコーチの効率を上げることができる。特に、収容容器2にボール200が残っている状態で、ボール同士の塊ができてボール200が供給されずに発射されないといったことも防止できる。
【0086】
この点でも、練習者やコーチなどが、ボール供給装置1への対応(手作業でボール200の塊を崩すなど)も不要となり、練習やコーチングの効率がさらに上がる。結果として、ボール発射装置100への信頼性も高まる。
【0087】
(崩し部材による対応)
【0088】
崩し部材5は、上述の通り、底面21から上方に部材を飛び出させて、複数のボール200の塊を崩す。崩して、ボール200を一つずつにする。塊が崩されると、誘導路3へ入り込むことができなくなっているボール200、誘導路3の途中で止まってしまっているボール200、落下口4で落下できずに止まっているボール200、あるいはこれらの原因として他のボール200を塞いでいるボール200を、ばらつかせることができる。この結果、落下口4からボール200が、落下できるようになる。
【0089】
図4は、本発明の実施の形態1におけるボール供給装置であって収容容器2においてボールの塊が生じている状態の模式図である。
図4の誘導路3の周囲や、落下口4の周囲において、密集したボール200による塊が生じている。この塊によって、ボール200が誘導路3の傾斜による移動ができなくなり、かつ、落下口4での落下も出来なくなってしまっている。
【0090】
テニスボールや軟式の野球ボールなどは、表面の軟性などによって、ボール200同士が密着して密集しやすくなっている。この密着が塊を生じさせる。
図4の誘導路3周辺には、ボール200が集まるように底面21が傾斜を持っている。また、誘導路3の傾斜によって、落下口4にもボール200が集まりやすい。
【0091】
この集中しやすい結果、誘導路3や落下口4において、ボール200の塊が生じてしまうことになる。
【0092】
図5は、本発明の実施の形態1における崩し部材が飛び出した状態のボール供給装置の模式図である。崩し部材5が、底面21から上方に飛び出している。すなわち、突出している。この飛び出しは、ボール200の塊に衝撃を与える。また、崩し部材5が板状の部材である場合には、密着しているボール200同士を切り離すように崩すことができる。
【0093】
図5では、ボール200の塊が崩されている状態が示されている。塊が崩れて、ボール200がバラバラになっている。この状態となることで、ボール200は、誘導路3に入り込み、さらに誘導路3を誘導される。また、落下口4のふさがりもなくなり、落下口4から、ボール200が落下できるようになる。
図5では、このようなボール200の落下状態も示されている。
【0094】
(側壁)
崩し部材5は、誘導路3の両側面に備わる側壁31を含む。すなわち、側壁31が、そのまま崩し部材5の少なくとも一部を構成すればよい。側壁31は、底部32と合わせて、誘導路3に入ったボール200を、落下口4まで誘導する。ボール200の効率的な落下口4までの誘導ができる。
【0095】
この側壁31は、崩し部材5の一部を含む。
【0096】
誘導路3は、底部32および側壁31を一体的に備えている構造を有する。この誘導路3は、通常は底面21の下方に格納されている。格納状態では、誘導路3は、収容容器2の底面21において、底面21から誘導路3に移動してきたボール200を落下口4に誘導する。
【0097】
この誘導路3は、底面21への格納および底面21からの飛び出し(突出)が可能である。誘導路3が底面21から飛び出す場合には、側壁31も底面21から上方に飛び出す。側壁31は、その性質上、板状の部材である。板状の部材が飛び出すことで、密集しているボール200の塊を崩すことができる。すなわち、ボール200の密集状態もしくは密着状態を崩すことができる。
【0098】
また、側壁31は、誘導路3の両側面に備わる。
図2に示される通りである。上述した通り、ボール200は、底面21において誘導路3に集まりやすい。集まってきたボール200が、塊(ブリッジ)を形成する。側壁31が上方に飛び出すと、ちょうど、この誘導路3で形成されたボール200の塊を崩すことができる。
【0099】
また、側壁31が板状であることで、ボール200の塊を切り離すように崩すことができる。切り離すように崩すことで、ボール200の塊を効果的に崩すことができる。結果として、
図5のように、ボール200が、確実に落下口4から落下できるようになる。
【0100】
なお、崩し部材5の少なくとも一部であるので、側壁31は、通常状態においては、底面21(の下方)に格納されている。ボール200の塊が生じた場合などに、上方に飛び出す。飛び出した後は、また格納される。
【0101】
(突出部材)
図2には、底面21の一部から上方に突出可能な突出部材7が示されている。
【0102】
崩し部材5は、この突出部材7を含むこともよい。すなわち、側壁31と合わせて、突出部材7は、崩し部材5を構成する。
図2では、側壁31の両側に、一対の突出部材7が備わっている。もちろん、位置関係や個数は、この
図2に示される場合と異なる場合があってもよい。
【0103】
突出部材7は、通常状態では、底面21に格納されている。ボール200の塊が生じた場合などに、上方に飛び出す。飛び出した後は、また格納される。すなわち、突出部材7は、底面21からの飛び出し(突出)と、底面21への格納が可能である。
【0104】
この突出部材7が、底面21から上方に飛び出すことで、側壁31と同じようにボール200の塊を崩すことができる。すなわち、底面21から飛び出した突出部材7は、収容容器2内部でのボール200の密集状態もしくは密着状態を崩すことができる。これを崩すことができると、
図5のように、ボール200をバラバラにして、落下口4にボールが誘導されて落下できるようになる。
【0105】
また、突出部材7が、板状部材であることで、密集状態などのボールの塊を、切り離すように分離させることができる。これにより、塊となっているボール200を、確実に一つずつに分離できる。
【0106】
(崩し部材の格納と飛び出し(突出))
【0107】
図6は、本発明の実施の形態1におけるボール供給装置の側面図である。崩し部材5の格納状態と飛び出し状態との両方を示している。なお、崩し部材5は、上述したように、側壁31と突出部材7の少なくとも一方を含む。もちろん、両方を含んでもよい。
図6では、側壁31と突出部材7の両方を含む場合を示している。また、
図2のように、側壁31と突出部材7とが平行に設けられている場合を示している。このため、
図6のように側面から見た場合には、側壁31と突出部材7が、重なった状態となっている。
【0108】
また、側壁31は、誘導路3の一部であるので、誘導路3と突出部材7も平行で、側面から見れば重なった状態である。
【0109】
崩し部材5は、底面21から飛び出しも可能でありかつ底面21の下に格納も可能である。すなわち、通常においては、崩し部材5は、底面21の下に格納されている。必要な場合に、崩し部材5は、底面21から上方に飛び出す。飛び出しによって、上述のようにボール200の塊を崩す。
【0110】
ここで、誘導路3および突出部材7のそれぞれは、同時に底面21から突出することも好適である。すなわち、同時に誘導路3の側壁31と突出部材7とが、上方に飛び出す。
図6は、この状態を示している。
【0111】
図6の崩し部材5(側壁31、突出部材7を含む)は、通常状態においては底面21の下に格納されている。この格納によって、誘導路3は、底面21において誘導路3としての機能を果たす。
【0112】
ボール200の塊が生じた場合には、崩し部材5は、上方に飛び出す。このとき、側壁31と突出部材7は一体に連結しており、同時に飛び出す。
図6の斜線で網掛けされている崩し部材5Aなどは、飛び出した後の状態を示している。すなわち、崩し部材5Aが飛び出して、それに合わせて、側壁31A、突出部材7Aが飛び出し状態である(もちろん、誘導路3Aも飛び出し状態である)。
【0113】
この飛び出しによって、ボール200の塊が崩される。
【0114】
その後、再び格納されれば、誘導路3は、崩されて一つずつにされたボール200を、落下口4に誘導する。落下口4に誘導されたボール200は、落下して、ボール発射装置100に供給される。
【0115】
誘導路3と突出部材7が、一体の部材である、あるいは一体に連結されている場合には、側壁31と突出部材7とが、同時に飛び出し状態となる。同時に飛び出すことで、塊となっているボール200に、より強い衝撃と直接的かつ物理的な力を加えることができる。
【0116】
これにより、密集状態や密着状態を、確実に崩すことができる。
【0117】
あるいは、誘導路3と突出部材7とが別体である、あるいは一体に連結されていないこともある。この場合においては、誘導路3(すなわち側壁31)と突出部材7が、異なるタイミングで、底面21から飛び出し可能であることも好適である。異なるタイミングで飛び出すことで、密集状態のボール200の塊を、順々に崩すことができ、ボール200を一つずつにばらすことが確実にできる。
【0118】
また、崩し部材5の飛び出しにおいては、誘導路3そのものが飛び出す。誘導路3が飛び出すことで、側壁31が飛び出すからである。このため、誘導路3の底部32も飛び出すことができる。
【0119】
側壁31は、ボールの塊を切り崩すような力を与えることができる。一方で底部32は、ボール200を跳ね上げるような力を付与することができる。これらが相まって、ボール200の塊を、より確実に崩すことができる。
【0120】
図7は、本発明の実施の形態1におけるボール供給装置の正面図である。
図6の側面図で示されるボール供給装置1を、正面から(落下口4側から)見た状態を示している。正面から見た状態で、誘導路3に合わせて落下口4が備わっている。また、誘導路3は、底部32とこれの両側面にある一対の側壁31が備わっている状態が示されている。
【0121】
また、側壁31のそれぞれの外側に、やはり一対の突出部材7が備わっている。側壁31と突出部材7とは、一体に形成もしくは一体に連結されている。後述する崩し部材制御部51が、これら側壁31(誘導路3)と突出部材7を飛び出させる。これらが飛び出すことで、収容容器2内部で密集状態や密着状態となっているボール200の塊が崩される。
【0122】
(崩し部材制御部)
図6には、崩し部材5の突出(飛び出し)と格納の制御を行う崩し部材制御部51が示されている。崩し部材制御部51は、崩し部材5を必要に応じて底面21から突出させる(飛び出させる)。
図6に示すように、崩し部材5(側壁31、突出部材7)を、上方に飛び出させる。
【0123】
また、突出させた後で、底面21の下に格納する制御も行う。すなわち、崩し部材制御部51は、通常状態においては、崩し部材5を底面21の下方に格納状態とする。一方、ボール200の塊を崩す必要がある場合には、崩し部材5を底面21から上方に飛び出させる。さらに、崩し部材制御部51は、飛び出した崩し部材5を再び底面21の下方に格納する。
【0124】
このように、崩し部材5が制御されることで、必要な場合に、ボール200の塊が崩される。
【0125】
また、側壁31(誘導路3)と突出部材7とが、一体的に飛び出す場合、あるいは異なるタイミングで飛び出す場合のそれぞれに合わせて、崩し部材制御部51が、これらの飛び出しと格納を制御する。また、崩し部材5の飛び出し速度や、飛び出しから格納までの時間を制御できる。
【0126】
ここで、落下口4もしくは移動通路130は、ボール200を検出するセンサーを備えておくことも好適である。センサーは、落下口4をボール200が通過することを検出する、あるいは、移動通路130をボール200が通過することを検出する。
【0127】
このセンサーは、落下口4を落下するボール200および移動通路130を移動するボール200の少なくとも一方を検出できる。センサーが、落下口4を落下するボール200および移動通路130を移動するボール200の両方を検出しない場合がある。これは、落下口4にボール200が落ちていかない状態である。すなわち、ボール200が密集などして塊となり、ボール200が落下口4に到達できない状態である。
【0128】
センサーは、この検出結果を、崩し部材制御部51に出力する。崩し部材制御部51は、検出結果に基づいて、崩し部材5の飛び出しを制御する。検出結果から、ボール200が落下口4に到達できないあるいは落下できない状態であれば、崩し部材制御部51は、崩し部材5を、上方に飛び出させる。
【0129】
逆に、センサーが、このようなボール200が落下口4に到達できないあるいは落下できない状態でないと判断している場合には、崩し部材制御部5は、崩し部材5を飛び出させない。あるいは、このような検出結果の場合には、ボール200が塊となるのを予防するために、崩し部材5を飛び出させることもよい。時々飛び出させることで、ボール200が、収容容器2内部でほぐされて、密集などによりブリッジや塊となることを、防止できるからである。
【0130】
特に詳細には、落下口4にボール200が存在するかどうかを検出するセンサーが備わっている。このセンサーは、例えば光を出力する発光部とこの光を受光する受光部とにより、受光部が受光できればボール200が存在せず、受光部が受光できなければボール200が存在しないことを検出できる。
【0131】
収容容器2内部でボール200が密着や密集状態となっていなければ、ボール200は、連続的に落下口4に到達する。このため、短い時間間隔で、次々とボール200が落下口4を通過する。このため、センサーは、短い間隔でボール200を通過することを検出できる(言い換えれば、ボール200がいないと判定する時間は短い)。
【0132】
一方で、収容容器2内部でボール200が密着状態や密集状態で固まった状態のときは、落下口4にボール200が落ちてこない。センサーは、落下口4において、ボール200を一定時間以上検出できない状態である。この一定時間以上において、センサーがボール200を検出できない場合には、この結果を、崩し部材制御部51に出力する。崩し部材制御部51は、検出結果に基づいて、崩し部材5を飛び出させる。これにより、密集状態あるいは密着状態のボール200がバラバラにされて、再びボール200が落下口4から落下して、ボール発射装置に供給されるようになる。
【0133】
また、崩し部材制御部51は、一定時間間隔で崩し部材5を突出させてもよい。こうすることで、ボール200の塊が生じることを、事前に防止しやすくなる。この一定時間間隔も、センサーからの検出結果によって、その時間を変動させることも好適である。
【0134】
以上のように、実施の形態1におけるボール供給装置1は、ボール200の塊が生じてボール供給が滞ることを解消しつつ、自由落下を用いる簡易な構造で、ボール発射装置100へのボール200の供給を確実に行える。
【0135】
(実施の形態2)
【0136】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、種々のバリエーションなどについて説明する。
【0137】
(底面の傾斜と、ボールの落下への誘導)
図8は、本発明の実施の形態2におけるボール供給装置の上面図である。ボール供給装置1を上方から見た状態を示している。
【0138】
収容容器2は、底面21を有している。この底面21の一部に誘導路3が設けられている。ここで、誘導路3が設けられている底面21の一部領域を、誘導路領域22と定義する。
図8では、底面21の右側部分が、この誘導路領域22である。なお、誘導路領域22は、誘導路3の部分だけでなく、誘導路3を含む領域である。このため、底面21において誘導路3の始まる右側全体が、誘導路領域22である。
【0139】
底面21の内、誘導路領域22の残部の領域を、残部領域23として定義する。
図8では、底面21の左側部分が、残部猟奇23である。このように、底面21を、誘導路3のある位置を基準として、誘導路領域22と残部領域23とに分けて把握することができる。
【0140】
ここで、残部領域23は、誘導路領域22に向けて下る傾斜25を有する。
図8の傾斜25の三角形の表示は、この傾斜25を模式的に表している。
図9においては、この傾斜25が側面から把握できるように示されている。
図9は、本発明の実施の形態2におけるボール供給装置の側面図である。内部構造が分かるように、透視状態で示されている。
【0141】
傾斜25は、残部領域23において、誘導路3に向けて下っている。言い換えれば、底面22は、残部領域23側においては、誘導路3にむけて下るように傾斜している状態である。収容容器2に投入されたボール200は、この傾斜25に従って、誘導路3に向かって移動しやすくなる(誘導路領域22に移動しやすくなる)。
【0142】
特に、多数のボール200が収容容器2に投入された後で、ボール200は、1球ずつ落下して発射されていく。このため、徐々にボール200の数は減っていく。収容容器2内部でボール200の数が減っていくときは、落下口4の周辺から当然に減っていく。このため、落下口4から遠い残部領域23にも、この減少が伝わっていく。
【0143】
この減少が伝わっていく過程で、傾斜25によって、残部領域23にあるボール200が誘導路3に移動していく。このような移動により、収容容器2内部のボールは、残部領域23側から、次々と誘導路3に移動していく。結果として、誘導路3から落下口4に、ボール200が次々と誘導されていく。
【0144】
また、誘導路領域22において、誘導路3以外の領域においては、落下口4に向けた傾斜24を有する。
図8、
図9には、この傾斜24が示されている。
図8の線での網掛けした三角形は、落下口4に向けた傾斜24を、模式的に示している。加えて、
図9では、傾斜24が示されている。
【0145】
傾斜24は、落下口4に向けて下る傾斜である。このため、
図9のように、一方向だけの傾斜ではなく、落下口4に向けた複数方向からの傾斜を備える。このような複数方向からの傾斜全体が、傾斜24である。
【0146】
この傾斜24によって、誘導路領域22にあるボール200は、落下口4(および誘導路3)に集まりやすくなる。これにより、多数のボール200が投入された後で、次々と落下および発射されてボール200が徐々に減っていく状況でも、残ったボール200は、誘導路3および落下口4に移動していくようになる。
【0147】
残部領域23の傾斜25および誘導路領域22の傾斜24によって、収容容器2内部にあるボール200は、次々と誘導路3および落下口4に移動していく。この移動によって、ボール200が減っていっても、次々と落下口4からボール200が落下する。落下したボール200は、次々とボール発射装置100により発射される。
【0148】
このように、傾斜24、傾斜25および誘導路3の傾斜も相まって、収容容器2のボール200は、落下口4に集まって、落下口4から落下するようになる。収容容器2にボール200が残っているのに、ボール200が、落下口4に到達できないということが生じにくいからである。
【0149】
一方で、傾斜24、傾斜25などによって、誘導路3や落下口4にボール200が集まることにより、ボール200同士の密集や密着による塊発生が生じることもある。これについては、実施の形態1で説明したように、崩し部材5がこの塊を崩す。これにより、落下口4に集まっているボール200は、一つずつになって落下口4から落下できるようになる。
【0150】
このように、傾斜24、傾斜25により誘導路3や落下口4にボール200を集めるとともに、必要に応じて崩し部材5が塊を崩すことで、収容容器2にあるボール200は、最後の1個まで、落下口4から自由落下する。結果として、すべてのボール200が、ボール発射装置100に供給される。
【0151】
(崩し部材)
図10は、本発明の実施の形態2におけるボール供給装置を組み込んだボール発射措置の模式図である。
【0152】
崩し部材5は、崩し部材制御部51によって飛び出しや格納が行われる。ここで、ボール発射装置100は、空気圧を利用することがある。
図10のボール発射装置100は、空気圧を利用して、供給されたボール200を発射する。このため、ボール発射装置100は、圧縮空気タンク120を備えている。
【0153】
ここで、圧縮空気タンク120からは、崩し部材制御部51に空気圧を付与する経路が備わっている。
図10の矢印Xは、この空気圧付与の経路である。すなわち、崩し部材5は、空気圧によって、底面21から突出可能である(飛び出し可能である)。ボール発射装置100は、ボール200を発射するための圧縮空気タンク120を備えており、崩し部材制御部51は、この圧縮空気タンク120からの圧縮空気を受けて、崩し部材5を飛び出させればよい。
【0154】
空気圧を利用するボール発射装置100にボール供給装置1が組み合わされる場合には、ボール発射装置100に備わる圧縮空気タンク120の空気圧を利用して、崩し部材5を飛び出させる。空気圧の付与が終われば、崩し部材5の飛び出しが終わり、底面21の下に戻る。
【0155】
このように空気圧を利用することは、瞬間的に強い力で崩し部材5を飛び出させつつ、元の通りに格納させることが容易かつ確実にできる。また、ボール発射装置100に備わる空気圧を利用できるので、エネルギー効率や構造の小型化が容易となる。
【0156】
(ボール発射装置)
【0157】
図10は、ボール発射装置100を示しており、ボール供給装置1が備わっている。実施の形態1、2で説明したボール供給装置1は、このようにボール発射装置100に組み合わされて用いられる。
図10では、空気圧を利用してボール200を発射するボール発射装置100が示されているが、空気圧以外のメカニズムでボール200を発射するボール発射装置に組み込まれてもよい。
【0158】
ボール供給装置1は、発射筒110の上に備わる。ボール供給装置1の落下口4は、発射筒110と移動通路130によってつながっている。落下口4を落下したボール200は、移動通路130を通って、発射筒110の所定位置に到達する。このとき、落下口4を落下するボール200が、一つずつ発射筒110に入るように、センサーとストッパーで制御される。
【0159】
発射筒110に到達したボール200は、圧縮空気タンク120からの空気圧の付与によって発射される。発射筒110の先端から射出されることで発射される。
図10に示すとおりである。
【0160】
所定位置におけるボール200の固定、固定されたボール200を検出して、空気圧を付与する制御など、ボール発射装置100は、ボール200を空気圧で発射するのに必要な要素を備えている。また、ボール発射装置100の台座となる支持部材や、発射筒110の角度や方向を制御する角度制御部も備えている。
【0161】
また、ボール発射装置100の制御を行う操作パネルなども備わっている。発射速度や球種などを決定する操作パネルである。
【0162】
ボール発射装置100そのものは、発射筒110にセットされたボール200を1球ずつ発射する。このボール発射装置100の上にボール供給装置1が組み合わされることで、自由落下するボール200が次々と発射筒110にセットされる。また、ボール供給装置1には、多くのボールが収容されている。実施の形態1,2で説明したように、ボール供給装置1は、機械的な輸送方法を使うことなく、自由落下のみでボール200を発射筒110に供給できる。
【0163】
これらが相まって、ボール発射装置100は、練習者やコーチが、ボール200を発射筒に毎回セットすることなく、ボール200を次々と発射できる。これにより、野球、テニス、卓球など、種々の球技で、練習者は反復練習を行うことができ、コーチは、ボール発射装置の操作やボール出しなどの作業から解放されて、練習者のそばでのコーチングに集中することができる。
【0164】
以上、実施の形態1~2で説明されたボール供給装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0165】
1 ボール供給装置
2 収容容器
21 底面
22 誘導路領域
23 残部領域
24、25 傾斜
3 誘導路
31 側壁
32 底部
4 落下口
5 崩し部材
51 崩し部材制御部
7 突出部材
100 ボール発射装置
110 発射筒
120 圧縮空気タンク
130 移動通路
200 ボール