(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】乳歯保管用品
(51)【国際特許分類】
B65D 77/00 20060101AFI20240624BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240624BHJP
B65D 77/26 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
B65D77/00 C
B65D77/04 A
B65D77/26 S
(21)【出願番号】P 2020145270
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】520284849
【氏名又は名称】MYTHIK合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウ キット ヒング
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04923058(US,A)
【文献】特開2016-154819(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0017567(KR,A)
【文献】登録実用新案第3199927(JP,U)
【文献】特開2019-182487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 69/00-79/02
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる識別
要素が付された少なくとも10個の小容器と、口腔内における各歯の位置と前記識別要素との対応関係を示す情報をユーザに提示する対応関係提示要素と、を有し、
前記少なくとも10個の小容器の各々が、
開口部を備えた上顎歯収納容器と、
開口部を備えた下顎歯収納容器と、
前記上顎歯収納容器の開口部に係合して該開口部を閉塞する第1閉塞部及び前記下顎歯収納容器の開口部に係合して該開口部を閉塞する第2閉塞部を備えた単一の蓋と、
を有することを特徴とする乳歯保管用品。
【請求項2】
前記蓋において、前記第1閉塞部と前記第2閉塞部とが互いに反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の乳歯保管用品。
【請求項3】
前記少なくとも10個の小容器をまとめて収容する大容器、
を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の乳歯保管用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抜けた乳歯をまとめて保管しておくための乳歯保管用品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、抜けた乳歯を記念に保管するための専用のケースが販売されている。このようなケースは、一般的に、蓋を備えた木製の箱と、当該箱にぴったりと収められた木製のブロックと、該ブロックの上に載せられる透明なシート状の中蓋とを備えており、前記ブロックには乳歯を入れるための穴がヒトの乳歯と同じ数だけ(すなわち20個)設けられている。前記ブロック上における各穴の位置は口腔内における各乳歯の位置に対応しており、抜けた乳歯は、当該ブロックに設けられた穴のうち、その乳歯の位置に対応する穴に収容される(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】"桐箱丸型乳歯ケース", [online], 福山市都市ブランド戦略推進協議会, [令和2年8月18日検索], インターネット<URL:http://fukuyama-brand.jp/?p=2591>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の乳歯ケースは、乳歯を出し入れするために蓋及び中蓋を開けた状態で誤ってケースを落下させてしまった場合に、各穴に収容された乳歯が飛び出して混ざり合ってしまい、それぞれの乳歯が口腔内のどの位置に生えていたものであるかが分からなくなるおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、誤って落下させた場合でも、複数の歯が混ざり合って互いに区別が付かなくなることのない乳歯保管用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様に係る乳歯保管用品は、
互いに異なる識別要素が付された少なくとも10個の小容器と、口腔内における各歯の位置と前記識別要素との対応関係を示す情報をユーザに提示する対応関係提示要素と、を有し、
前記少なくとも10個の小容器の各々が、
開口部を備えた上顎歯収納容器と、
開口部を備えた下顎歯収納容器と、
前記上顎歯収納容器の開口部に係合して該開口部を閉塞する第1閉塞部及び前記下顎歯収納容器の開口部に係合して該開口部を閉塞する第2閉塞部を備えた単一の蓋と、
を有することを特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の態様に係る乳歯保管用品は、
前記少なくとも10個の小容器をまとめて収容する大容器、
を更に有するものとしてもよい。
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明の第2の態様に係る乳歯保管用品は、
平板状のプレートと、
前記プレートの上面に設けられた凹部である複数の歯収容部と、
前記複数の歯収容部の各々に着脱自在に取り付けられる複数の蓋と、
を有することを特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の態様に係る乳歯保管用品は、
前記複数の蓋又は前記複数の歯収容部の各々に、互いに異なる識別要素が付されており、
口腔内における各歯の位置と前記識別要素との対応関係を示す情報をユーザに提示する対応関係提示要素、
を更に有するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
上記本発明の第1の態様に係る乳歯保管用品又は上記本発明の第2の態様に係る乳歯保管用品は、誤って落下させた場合でも、複数の歯が混ざり合って互いに区別が付かなくなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る乳歯保管用品の全体構成を示す斜視図。
【
図2】同実施形態における小容器の構成を示す正面図であって、(a)は上側容器、下側容器、及び蓋を互いに分離させた状態を示し、(b)は上側容器、下側容器、及び蓋を連結した状態を示している。
【
図3】同実施形態における冊子の構成を示す平面図。
【
図4】同実施形態における小容器の構成の別の例を示す正面図であって、(a)は上側容器、下側容器、及び蓋を互いに分離させた状態を示し、(b)は上側容器、下側容器、及び蓋を連結した状態を示している。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る乳歯保管用品の全体構成を示す斜視図。
【
図6】同実施形態に係る乳歯収容プレートの構成を示す斜視図。
【
図7】同実施形態における歯収容部への蓋の取り付け方法を説明する模式図であって、(a)は蓋を取り付ける前の状態を示し、(b)は蓋を取り付けた後の状態を示している。
【
図8】同実施形態における冊子の構成を示す平面図。
【
図9】同実施形態における歯収容部及び蓋の別の構成例を示す模式図であって、(a)は歯収容部に蓋を取り付ける前の状態を示し、(b)は歯収容部に蓋を取り付けた後の状態を示している。
【
図10】同実施形態における歯収容部及び蓋の更に別の構成例を示す模式図であって、(a)は歯収容部に蓋を取り付ける前の状態を示し、(b)は歯収容部に蓋を取り付けた後の状態を示している。
【
図11】同実施形態におけるベースプレートの別の構成例を示す平面図。
【
図12】同実施形態におけるベースプレートの更に別の構成例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る乳歯保管用品の全体構成を示す図である。本実施形態に係る乳歯保管用品は、乳歯が収容される10個の小容器100と、各小容器100に収容した乳歯の情報を記入するための冊子200(本発明における対応関係提示要素に相当)と、これら10個の小容器100及び冊子200を収容するための大容器300とを備えている。
【0014】
本実施形態における小容器100の構成を、
図2に示す。なお、前記10個の小容器100は、いずれも同様の構成を有しているため、
図2ではそのうちの1つのみを示している。小容器100は、上側容器110(本発明における上顎歯収納容器に相当)と、下側容器120(本発明における下顎歯収納容器に相当)と、上側容器110と下側容器120の間に配置される蓋130と、を備えている。なお、以下では説明の便宜上、
図2に示す状態に基づいて上側容器110、下側容器120、及び蓋130の上下方向を定義する。
【0015】
上側容器110は中空の胴部111と、胴部111の下端に連接された円筒形の頚部112を有しており、頚部112の外周面には雄ねじ113が形成されている。胴部111の内部空間は、頚部112の内部空間及び頚部112の下端開口(以下、これを上側容器開口部114とよぶ)を介して外部空間と連通している。
【0016】
一方、下側容器120は、中空の胴部121と、胴部121の上端に連接された円筒形の頚部122を有しており、頚部122の外周面には雄ねじ123が形成されている。胴部121の内部空間は、頚部122の内部空間及び頚部122の上端開口(以下、これを下側容器開口部124とよぶ)を介して外部空間と連通している。
【0017】
なお、小容器100は、全体として卵形の形状を有しており、上側容器110は卵の上半分を模した外観形状を有し、下側容器120は卵の下半分を模した外観形状を有している。ただし、机の上などに小容器100を安定して載置することができるよう、下側容器120は平坦な底面125を有している。
【0018】
蓋130は、全体として略円盤状の形状を有しており、その上面には円柱状の凹部である上側凹部131が設けられ、その下面には円柱状の凹部である下側凹部132が設けられている(上側凹部131の底面及び下側凹部132の底面が、それぞれ本発明における第1閉塞部及び第2閉塞部に相当する)。上側凹部131は上側容器110の頚部112の外径と略同一の内径を有しており、その内周面には上側容器110の頚部112の外周に設けられた雄ねじ113と螺合可能な雌ねじ133が形成されている。同様に、下側凹部132は下側容器120の頚部122の外径と略同一の内径を有しており、その内周面には下側容器120の頚部122の外周に設けられた雄ねじ123と螺合可能な雌ねじ134が形成されている。
【0019】
蓋130の外周面には、上面視でU字形のタグ取付部141が設けられており、このタグ取付部141には丸カン142を介して円形のプレートから成るタグ143が取り付けられている。タグ143には、1~10の通し番号のいずれかである識別子144(本発明における識別要素に相当)が付されている。
【0020】
上側容器110、下側容器120、蓋130、及びタグ143は、いずれも金属から成るものとすることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、木、ガラス、又は合成樹脂など、いかなる素材から成るものとしてもよい。なお、合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、又はシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0021】
小容器100を組み立てる際には、下側容器120の頚部122の外周面に設けられた雄ねじ123を、蓋130の下側凹部132の内周面に設けられた雌ねじ134に螺合させると共に、上側容器110の頚部112の外周面に設けられた雄ねじ113を、蓋130の上側凹部131の内周面に設けられた雌ねじ133に螺合させる。これにより、蓋130によって上側容器開口部114と下側容器開口部124が閉塞されると共に、上側容器110と下側容器120が蓋130を介して連結された状態となる。
【0022】
図3に、本実施形態における冊子200の構成を示す。この冊子200には、同図に示すような、口腔内における乳歯の配列を示す配列
図210と、抜けた乳歯に関する情報をユーザが記入するための記入欄220とを備えた頁が、少なくとも20頁含まれている。なお、歯の配列
図210に含まれる各乳歯のイラスト211には、それぞれ1~10の通し番号(上の歯と下の歯は同じ番号)から成る識別子212が付されている。すなわち、この配列
図210と、配列
図210に付された識別子212が本発明における「対応関係を示す情報」に相当する。
【0023】
上記10個の小容器100及び冊子200は、例えば、木箱等から成る大容器300にまとめて収容される。なお、大容器300は、
図1に示すような本体301と本体301に被せる蓋302とを備えた構成に限らず、本体に設けられた溝に沿ってスライド可能な蓋を備えた構成としたり、本体の側面の1つに連接され、該側面との境界線を軸として回動可能な蓋を備えた構成としたりしてもよい。更に、大容器300の形状も、
図1に示すような直方体状のもののほか、円筒状のものや、多角柱状のものなど、いかなる形状であってもよい。また、大容器300は木製のものに限らず、紙、合成樹脂、又は金属等、いかなる素材から成るものであってもよい。更に、大容器300は、箱状のものに限らず、袋状のものであってもよい。
【0024】
ユーザは、乳歯が抜けた際に、冊子200の配列
図210を参照して当該乳歯が生えていた位置に付された識別子212を確認し、対応する識別子144が付された小容器100(上の歯なら上側容器110、下の歯なら下側容器120)に当該乳歯を収容する。そして、冊子200のいずれかの頁の配列
図210に当該乳歯が生えていた位置を記入する。具体的には、例えば、配列
図210に含まれる複数の歯のイラスト211のうち、抜けた乳歯に相当するものに色を塗ったり、矢印や丸印などの印を付したりすることによって、その乳歯が口腔内のどの位置にあったものであるかを記録する。そして、同じ頁の記入欄220に、当該乳歯が抜けた日の日付及びその日の出来事や感想などを記入する。
【0025】
以上の通り、本実施形態に係る乳歯保管用品は、上下の乳歯を分けて収容できる10個の小容器100を備えているため、ユーザが誤って落としてしまった場合でも、複数の乳歯が混ざり合って互いに区別が付かなくなることがない。また、各小容器100に付された識別子144と口腔内における乳歯の位置との対応関係を示す情報が記載された冊子200をユーザが参照することによって、各小容器100に、口腔内のどの位置に生えていた乳歯が保管されているかを容易に把握することができる。また、本実施形態では、上側容器110が卵の上半分を模した形状を有し、下側容器120が卵の下半分を模した形状を有しているため、どちらが上側容器110でどちらが下側容器120であるかをユーザが一目で見分けることができ、抜けた乳歯をどちらに入れたらよいかを直感的に理解することができる。
【0026】
以上、本発明の第1の態様に係る乳歯保管用品を実施するための形態について具体例を挙げて説明を行ったが、同態様に係る乳歯保管用品の構成は、上記の例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。
【0027】
例えば、各小容器100に付与される識別子144は、上記の例のような通し番号に代えて、小容器100ごとに異なる文字(例えばアルファベット)、記号、図形、又は色などとしてもよい。この場合、冊子200の配列
図210における各乳歯の位置にも、上述の通し番号に代えて、各小容器100に付したものと対応する文字、記号、図形、又は色などを付しておく。また、上記の例のように、識別子144が記載されたタグ143を小容器100の蓋130に取り付ける代わりに、各小容器100に含まれる上側容器110、下側容器120、又は蓋130の少なくとも1つに識別子144を直接付すようにしてもよい。具体的には、例えば、上側容器110、下側容器120、又は蓋130のいずれかに識別子144を記載又は刻印したり、識別子144を記載したシールを貼付したり、上側容器110、下側容器120、又は蓋130を、小容器100間で互いに異なる色又は形状(丸形や星形など)にしたりすることが考えられる(この場合、前記色又は形状が本発明における識別要素に相当する)。また、識別子144は予め小容器100に付しておくほか、ユーザにペンなどで記入させたり、識別子144が付されたシールをユーザに貼付させたりするものとしてもよい。
【0028】
また、口腔内における複数の乳歯の各々の位置と、小容器110に付された識別子144との対応関係を示す情報(例えば、上記の配列
図210)は、上記のような冊子200に代えて、紙又は合成樹脂等から成る1枚のシートに記載されていてもよい(この場合、前記1枚のシートが本発明における対応関係提示要素に相当する)。また、前記対応関係を示す情報は、大容器300の内面又は外面に記載されていてもよい(この場合、前記大容器の当該情報が記載された領域が本発明における対応関係提示要素に相当する)。
【0029】
また、上記の例では、上側容器110及び下側容器120に設けられた雄ねじ113、123と、蓋130に設けられた雌ねじ133、134とを螺合させる構成としたが、上側容器110及び下側容器120と蓋130との係合方法はこれに限定されるものではない。例えば、本実施形態における小容器は、
図4に示すように、外周面に円環状の弾性部材335を備えた円柱状の凸部(上側凸部336とよぶ)を蓋330の上部に設けると共に、同様の弾性部材337を備えた凸部(下側凸部338とよぶ)を蓋330の下部に設け、これらの凸部336、338を上側容器開口部314と下側容器開口部324にそれぞれ圧入することによって、各開口部314、324を閉塞すると共に上側容器310及び下側容器320と蓋330とを係合させる構成とすることもできる。この場合、上側凸部336が本発明における第1閉塞部に相当し、下側凸部338が本発明における第2閉塞部に相当する。また、弾性部材335、337に代えて、上側凸部336及び下側凸部338の外周に雄ねじを形成すると共に、上側容器開口部314と下側容器開口部324の内周に雌ねじを形成し、これらの雄ねじと雌ねじを螺合させることによって各開口部314、324を閉塞すると共に上側容器310及び下側容器320と蓋330とを係合させる構成としてもよい。
【0030】
また、上記の例では、蓋130、330において第1閉塞部(上側凹部131の底面又は上側凸部336)と第2閉塞部(下側凹部132の底面又は下側凸部338)とが互いに反対側(すなわち蓋130、330の上側と下側)に設けられている構成を示したが、蓋における第1閉塞部と第2閉塞部の位置はこれに限定されるものではない。例えば、第1閉塞部と第2閉塞部を、蓋の同じ側(例えば下側)に並べて設けた構成とすることもできる。
【0031】
また、上記の例では小容器の数を10個としたが、10個以上の小容器を含む構成としてもよい。具体的には、例えば、上記10個の小容器に加えて、抜去した親知らずを保管するための2個の小容器を備えた構成としてもよい。その場合、前記2個の小容器にも他の小容器とは異なる識別要素を付すと共に、「対応関係を示す情報」として、更に、口腔内における各親知らずの位置と前記2個の小容器に付された識別子との対応関係を示す情報を含めるようにする。
【0032】
<実施形態2>
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0033】
図5は、本実施形態に係る乳歯保管用品の全体構成を示す図である。本実施形態に係る乳歯保管用品は、2枚の乳歯収容プレート400と、各乳歯収容プレート400に収容した乳歯の情報を記入するための冊子500と、これらを収容するための箱600とを備えている。
【0034】
本実施形態における乳歯収容プレート400の構成を
図6に示す。なお、前記2枚の乳歯収容プレート400は、ほぼ同じ構成を有しているため、
図6ではそのうちの1枚のみを示している。乳歯収容プレート400は、上面に10個の歯収容部420が形成された木製の板から成るベースプレート410と、各歯収容部420の上部開口に取り付けられる10個の蓋430とを備えている。
【0035】
各歯収容部420は、ベースプレートに穿設された略円柱形の凹部であり、乳歯が収容される大径部421と、大径部421の上部に設けられた小径部422とを備えている。一方、蓋430は、小径部422の内径よりも小さい外径を有する円柱状の挿入部431と、挿入部431の上部に設けられ、小径部422の内径よりも大きい外径を有するフランジ部432と、挿入部431の下端の外周に取り付けられ、小径部422の内径よりも大きく大径部421の内径よりも小さい外径を有する円環状弾性部材433と、を備えている。なお、蓋430の挿入部431とフランジ部432は木材から形成され、円環状弾性部材433は、例えばシリコーンゴムなどのエラストマーで形成されている。
【0036】
図7に示すように、蓋430の挿入部431を歯収容部420に圧入すると、円環状弾性部材433が圧縮変形されて小径部422を通過し、大径部421で非弾性変形状態に復元する。円環状弾性部材433の外径は小径部422の内径よりも大きいため、例えば、この状態で乳歯収容プレート400を上下反転させたりしても蓋430が外れることはない。
【0037】
なお、本実施形態における2つの乳歯収容プレート400は、合わせて20個の蓋430を備えており、これら20個の蓋430の上面には、1~20の通し番号のいずれかである識別子434(本発明における識別要素に相当)が付されている。なお、これらの識別子434は蓋430に直接記載又は刻印されたものであってもよく、識別子434が記載されたシールを蓋に貼付したものであってもよい。また、これらの識別子434はユーザに記載させたり、識別子434が記載されたシールをユーザに貼付させたりするものとしてもよい。
【0038】
なお、ベースプレート410、並びに蓋430の挿入部431及びフランジ部432は、上記のような木製とするほか、例えば、合成樹脂又は金属等から成るものとすることもできる。
【0039】
図8に、本実施形態における冊子500の構成を示す。この冊子500は、
図3で示したものと同様に、乳歯の配列
図510と、抜けた乳歯に関する情報をユーザが記入するための記入欄520とを備えた頁が、少なくとも20頁含まれている。ただし、乳歯の配列
図510では、全ての乳歯のイラスト511に、1~20の通し番号のいずれかである識別子512が付されている。なお、冊子500の使用方法は実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
本実施形態において、2枚の乳歯収容プレート400及び冊子500を収容する箱600は、木、紙、合成樹脂、又は金属等、いかなる素材から成るものであってもよい。また、箱600は、
図5に示すような本体601と本体601に被せる蓋602とを備えた構成に限らず、本体に設けられた溝に沿ってスライド可能な蓋とを備えた構成としたり、本体の側面の1つに連接され、該側面との境界線を軸として回動可能な蓋を備えた構成としたりしてもよい。
【0041】
以上の通り、乳歯収容プレート400に設けられた複数の歯収容部420には、それぞれに蓋430が設けられているため、本実施形態に係る乳歯保管用品をユーザが誤って落としてしまった場合でも、複数の乳歯が混ざり合って互いに区別が付かなくなることがない。また、各歯収容部420の蓋430には互いに異なる識別子434が付されており、冊子500には、各歯収容部420の蓋430に付された識別子434と口腔内における乳歯の位置との対応関係を示す情報が記載されているため、ユーザは冊子500を参照することで、各歯収容部420に、口腔内のどの位置に生えていた乳歯が保管されているかを容易に知ることができる。
【0042】
以上、本発明の第2の態様に係る乳歯保管用品を実施するための形態について具体例を挙げて説明を行ったが、同態様に係る乳歯保管用品の構成は、上記の例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。
【0043】
例えば、上記の例では歯収容部420の蓋に識別子434を付与するものとしたが、これに代えて、歯収容部420に(具体的にはベースプレート410上面の各歯収容部420の近傍に)識別子434を付与した構成としてもよい。また、各蓋430又は各歯収容部420に付与される識別子434は、上記の例のような通し番号に代えて、互いに異なる文字(例えばアルファベット)、記号、図形、又は色などとしてもよい。この場合、冊子500の配列
図510における各乳歯の位置にも、上述の通し番号に代えて、各蓋430又は各歯収容部420に付したものと対応する文字、記号、図形、又は色などを付しておく。また、識別子434は蓋430又は歯収容部420に直接付与(記載又は刻印)する代わりに、識別子434を記載したシールを貼付するようにしてもよい。また、識別子434は予め蓋430又は歯収容部420に付しておくほか、ユーザにペンなどで記入させたり、識別子434が記載されたシールをユーザに貼付させたりするものとしてもよい。あるいは、蓋430又は歯収容部420を互いに異なる色又は形状(丸形や星形など)を有するものとし、当該色又は形状を識別子434として用いるようにしてもよい。
【0044】
また、前記識別子と、口腔内における乳歯の位置との対応関係を示す情報(例えば、上記の配列
図510及び識別子512)は、上記のような冊子500に代えて、紙又は合成樹脂等から成る1枚のシートに記載されていてもよく、箱600の内面又は外面に記載されていてもよい。前者の場合、前記1枚のシートが本発明における対応関係提示要素に相当し、後者の場合は、箱600の当該情報が記載された領域が本発明における対応関係提示要素に相当する。また、前記対応関係を示す情報を、ベースプレート410の上面に記載又は刻印するようにしてもよい。この場合、ベースプレート410の当該情報が記載された領域が、本発明における対応関係提示要素に相当する。
【0045】
また、上記の例では、挿入部431に円環状弾性部材433が設けられた蓋430を、歯収容部420に圧入する構成としたが、これに限らず、例えば、
図9に示すように、蓋460の挿入部461の外周に設けられた雄ねじ462を、ベースプレート440に設けられた歯収容部450の上端内周に設けられた雌ねじ451と螺合させる構成としてもよい。あるいは、
図10に示すように、コルクやシリコーンゴムなどの弾性体から成る栓490を、ベースプレート470に設けられた歯収容部480の上部開口に圧入する構成としてもよい。この場合には、栓490が本発明における蓋に相当する。
【0046】
また、上記の例では、2枚のベースプレート410の各々に10個の歯収容部420を設けた構成としたが、これに限らず、1枚のベースプレート上に20個の歯収容部を設けた構成としてもよい。また、歯収容部420は、
図5及び
図6に示すようにベースプレート410の上面にマトリックス状に配列させるほか、例えば、
図11又は
図12に示すように、口腔内における乳歯の配列に対応したアーチ状に配列させてもよい。なお、
図11は、2枚のベースプレート711、712の一方に上顎から抜け落ちた歯(上顎歯)を収容し、他方に下顎から抜け落ちた歯(下顎歯)を収容するよう構成した例を示している。この場合、上顎用のベースプレート711と下顎用のベースプレート712を互いに区別可能とするために、各ベースプレート711、712の上面に「上」又は「下」等の文字713を記載又は刻印することが望ましい。一方、
図12は、1枚のベースプレート810に20本の乳歯全てを収容可能な構成を示している。なお、
図11又は
図12のように、ベースプレート711、712、810上における歯収容部720、820の配列を、口腔内における乳歯の配列に対応させた構成とする場合には、必ずしも、各歯収容部720、820又はそれらに取り付けられる蓋(図示略)に識別子を付したり、上記対応関係を記載した冊子などを設けたりする必要はない。
【0047】
また、ベースプレート410、711、712、810の形状は、上記の例のように上面視で略矩形とするほか、上面視で円形又は(四角形以外の)多角形などいかなる形状としてもよい。また、箱600の形状も、
図5に示すような直方体状のほか、円柱状又は多角柱状など、ベースプレート410、711、712、810の形状に応じた様々な形状とすることができる。また、本実施形態においては、必ずしも箱600を設けなくてもよい。
【0048】
更に、本実施形態に係る乳歯保管用品は、上顎用のベースプレートと下顎用のベースプレートにそれぞれ12個の歯収容部を設けるか、1枚のベースプレートに24個の歯収容部を設け、乳歯だけでなく抜去した親知らずを保管できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
100…小容器
110…上側容器
114…上側容器開口部
120…下側容器
124…下側容器開口部
130…蓋
131…上側凹部
132…下側凹部
143…タグ
144…識別子
200…冊子
210…配列図
212…識別子
400…乳歯収容プレート
410…ベースプレート
420…歯収容部
430…蓋
434…識別子
500…冊子
510…配列図
512…識別子