(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】骨盤底筋の機能回復機器
(51)【国際特許分類】
A61F 5/01 20060101AFI20240624BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61F5/01 K
A61H7/00 320A
(21)【出願番号】P 2020151743
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2019165207
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308038831
【氏名又は名称】有限会社OPTI
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】山上 未菜子
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3106889(JP,U)
【文献】米国特許第06436029(US,B1)
【文献】特開2017-29180(JP,A)
【文献】特開2017-29366(JP,A)
【文献】特開2012-110458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座位者の臀部を載せる座面部と、前記座面部上に前端を浅会陰横筋、外端を座骨、内端を肛門、後端を尾骨とした範囲に収まる大きさで突設又は隆起された
2か所の固定された凸状部と、を備えた骨盤底筋の機能回復機器であって、
前記
2か所の凸状部の位置が、平面視で座位者の
左右の恥骨尾骨筋から腸骨尾骨筋にまたがる位置に対応可能となるように
左右の両側に配設されることを特徴とする骨盤底筋の機能回復機器。
【請求項2】
前記凸状部が軟性部材及び/又は硬性部材で形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の骨盤底筋の機能回復機器。
【請求項3】
前記座面部の形態が、足を開いて跨ぐ部位と臀部を載せる部位とを備える略サドル状の形態であることを特徴とする請求項
1又は2に記載の骨盤底筋の機能回復機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出産後の女性などの尿漏れ対策として肛門挙筋を圧迫する骨盤底筋の機能回復機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、お尻を乗せることで肛門括約筋を刺激する半球を備え、半球は、円盤状の基台に連結されている健康機器が開示されている。
【0003】
特許文献2には、長手方向において少なくとも人体の恥骨と尾骨との間の長さを有し、前記長手方向に対する幅方向において人体の一対の坐骨間の長さよりも短い幅を有し、長手方向における人 体の恥骨と尾骨との間の長さに対応する部分の全体は、前記長手方向に対する幅の一端から他端に渡って外方へ湾曲する凸状上面を有し、人体の前後方向に前記長手方向が一致する位置関係で座面に載置され、人体が前記座面に座り前記凸状上面を跨ぐことにより、前記凸状上面が恥骨と尾骨とにそれぞれ対向し、骨盤底筋群を押圧する骨盤底筋群押圧具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実新登録第3218030号公報
【文献】特開2017-29180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出産時に会陰、肛門挙筋及び骨盤筋膜が損傷され、肛門挙筋の主部であり、尿道や膣や直腸を取り囲んでいる恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋が最も裂けやすく出産時に伸展して弱くなる。すると、例えば物を持ち上げるときに緊張性尿失禁が起き尿漏れを生じやすくなる。尿漏れは外尿道統括筋が収縮するときに、その土台となる恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋が伸展状態から十分な緊張状態に至らないために起こる。
【0006】
また、肛門挙筋は、体の外表面部に対応する浅い区域の表層にある会陰膜等から3~4cm上方に位置しており、両者の間には十分な滑走性が確保されている。しかし、加齢とともに肛門挙筋は降下して会陰膜などに密着し、癒着してしまうことが多い。すると、外尿道統括筋が収縮し尿漏れを止める働きをするときに、その土台となる恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋が十分に緊張することができないことによって尿漏れが起こる。
【0007】
骨盤底筋は恥骨、尾骨及び座骨の間に位置する筋肉の総称をいい肛門挙筋などが含まれる。恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋は、恥骨直腸筋とともに総称される肛門挙筋の一部である。肛門挙筋は、前端は恥骨体に付着し後端は坐骨棘に付着するが、平面視では尿道や膣や直腸等を真ん中にして左側の肛門挙筋と右側の肛門挙筋がある。肛門挙筋は、女性の会陰層の深層を示す
図11に示すように、恥骨直腸筋16、腸骨尾骨筋15、恥骨尾骨筋10を有しており、恥骨直腸筋16は肛門挙筋の後側にあり、腸骨尾骨筋15は肛門挙筋の外側にあり、恥骨尾骨筋10は肛門挙筋の内側にある。身体の左右方向の略中央にある尿道14や膣21や直腸19等を恥骨尾骨筋10が左右から取り囲み、その恥骨尾骨筋10の外側を腸骨尾骨筋15が取り囲んでいる。
【0008】
特許文献1の発明は、肛門括約筋を刺激させる半球を主要な構成要件にしているが、肛門括約筋は尿道14には関与していないため尿漏れ改善をできないという問題があった。
【0009】
特許文献2の発明は、骨盤底筋群を押圧する骨盤底筋群押圧具を主要な構成要件にしているが、人体の恥骨(恥骨結合41の接続部位)と尾骨18との間の長さを有しかつ幅方向において人体の一対の坐骨25間の長さを有するため、人体の外表面部に対応する浅い区域の浅層にある会陰膜17とともに、恥骨直腸筋16、腸骨尾骨筋15及び恥骨尾骨筋10のすべてを含む肛門挙筋全体、さらに中央にある尿道14や膣21や直腸19等もいっしょに押圧するため、浅層にある会陰膜17とその会陰膜17に癒着した恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15は乖離し難いという問題があった。そのため尿漏れが改善されにくいという問題があった。
【0010】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、会陰層の表層近傍の浅層にある会陰膜に降下して癒着した恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋を乖離させる骨盤底筋の機能回復機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の骨盤底筋の機能回復機器は、座位者の臀部を載せる座面部と、前記座面部上に前端を浅会陰横筋、外端を座骨、内端を肛門、後端を尾骨とした範囲に収まる大きさで突設又は隆起された2か所の固定された凸状部と、を備えた骨盤底筋の機能回復機器であって、前記2か所の凸状部の位置が、平面視で座位者の左右の恥骨尾骨筋から腸骨尾骨筋にまたがる位置に対応可能となるように左右の両側に配設されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の骨盤底筋の機能回復機器は、請求項1において、前記凸状部が軟性部材及び/又は硬性部材で形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の骨盤底筋の機能回復機器は、請求項1又は2において、前記座面部の形態が、足を開いて跨ぐ部位と臀部を載せる部位とを備える略サドル状の形態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の骨盤底筋の機能回復機器は、会陰層の表層近傍の浅層にある会陰膜とその会陰膜に癒着した恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋を乖離させることができるので、加齢とともに降下してくる恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋を会陰膜からフリーにさせて緊張しやすくし、出産時に伸展して降下して弱くなった恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋を会陰膜からフリーにさせて緊張しやすくして、尿道統括筋が収縮し尿漏れを止める働きをするときに恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋も緊張して尿漏れを止めることができる。
【0015】
請求項1に記載の骨盤底筋の機能回復機器は、凸状部が左右のそれぞれの恥骨尾骨筋や腸骨尾骨筋を下方から押圧をかけるため、凸状部が1個の場合より効果的に尿漏れ防止をすることができる。
【0016】
請求項2に記載の骨盤底筋の機能回復機器は、押圧や圧迫をかけたときに人体に対して強い押圧や圧迫を加える製品設定をする場合は硬性部材でつくり、人体に対して弱い押圧や圧迫を加える製品設定をする場合は軟性部材でつくるというように、製品設定の狙いに合わせた強度の凸状部を造ることができる。
【0017】
請求項3に記載の骨盤底筋の機能回復機器は、座面部が略サドル形状であることから、着座者は足を開いて跨がるので座面部に対する臀部の前後方向及び左右方向の位置が安定する。これにより、着座者が座面部に着座すると、凸状部を着座者の上下方向で恥骨尾骨筋から腸骨尾骨筋にまたがる位置の下方に相当する範囲に確実に自然に自動的に容易に位置決めができ当接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の突起部が2個の場合の平板型エクササイズ器具の概要平面図である。
【
図2】本発明の突起部が2個の場合の平板型エクササイズ器具の概要正面図で、(a)は上面形状が平面状の場合の図で、(b)は上面形状が凸形状の場合の図である。
【
図3】本発明の平板型エクササイズ器具の概要側面図で、上面形状が平面状の場合の図である。
【
図4】本発明の突起部が1個の場合の平板型エクササイズ器具の概要図で、(a)は平面図であり、(b)は正面図で(a)のE矢視図である。
【
図5】本発明の平板型エクササイズ器具のクッション材の厚みが厚い場合で上面形状が平面状の場合の突起部の断面図で、(a)は突起部が2つの材質から造られた場合の
図1におけるA-A断面図で、(b)は突起部が2つの材質から造られた場合の
図1におけるB-B断面図で、(c)は突起部が1つの材質から造られた場合の
図1におけるA-A断面図である。
【
図6】本発明の平板型エクササイズ器具のクッション部材の厚みが薄い場合の説明図で、(a)は概要正面図で、(b)は概要側面図である。
【
図7】本発明の平板型エクササイズ器具のクッション材の厚みが薄い場合で上面形状が平面状の場合の突起部の断面図で、(a)は突起部が2つの材質から造られた場合の
図1におけるA-A断面図で、(b)は突起部が2つの材質から造られた場合の
図1におけるB-B断面図である。
【
図8】本発明の平板型エクササイズ器具の使用状態の説明図で、(a)はクッション材の厚みが厚い場合で着座者の臀部が突起部に当接した瞬間を示す説明図で、(b)はクッション材の厚みが厚い場合で突起部が着座者の臀部を押圧している状態を示す図で、(c)はクッション材の厚みが薄い場合で突起部が着座者の臀部を押圧している状態を示す図である。
【
図9】本発明の平板型エクササイズ器具の使用方法の説明図で、椅子の上に平板型エクササイズ器具を載置した場合を示す説明図である。
【
図12】
図11において浅層にある浅会陰横膜を破線で追加した図に、左右で2個の凸状部が着座者に押圧や圧迫をかける部位の説明図である。
【
図13】
図10において本発明の凸状部が押圧や圧迫する着座者の部位を説明する説明図である。
【
図14】本発明の骨盤底筋の機能回復機器の左右で2個の凸状部が押圧や圧迫する、着座者(女性)の骨盤底筋に相当する部位の説明図である。
【
図15】本発明の骨盤底筋の機能回復機器の1個の凸状部が押圧する、着座者(女性)の骨盤底筋に相当する部位の説明図である。
【
図16】本発明の、凸状部を山脈状の隆起部としたサドル型エクササイズ器具の右側視の説明図である。
【
図17】本発明の、凸状部を山脈状の隆起部としたサドル型エクササイズ器具の平面視の説明図である。
【
図18】本発明の、凸状部を山脈状の隆起部としたサドル型エクササイズ器具の斜視の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、尿漏れのメカニズムを説明する。女性の尿道を圧迫する筋の説明図である
図10や女性の会陰層の深層部分の説明図である
図11に示すように、膀胱13から出た尿道14は直径約6mmで、尿道14を圧迫する筋が尿道圧迫筋11と外尿道括約筋12である。前記尿道圧迫筋11と外尿道括約筋12の外側に恥骨尾骨筋10と腸骨尾骨筋15がある。尿漏れを止める方向に深層に位置する前記尿道圧迫筋11と外尿道括約筋12が収縮しようとするときに、正常状態であれば深層に位置する恥骨尾骨筋10と腸骨尾骨筋15が出産や加齢により降下して会陰層の表層近傍の浅層に位置する会陰膜17に癒着していると恥骨尾骨筋10と腸骨尾骨筋15が弛緩したままで収縮しないので、この影響で前記尿道圧迫筋11と外尿道括約筋12も収縮し切れないことにより尿漏れが発生する。前記恥骨尾骨筋10と腸骨尾骨筋15は、前側が恥骨体に付着し座骨棘に付着し、尿道14や膣21や直腸19等を真ん中にして左右に位置している。また、深層における尿道14は表層では外尿道口につながり、深層における膣21は表層では膣口につながる。
【0020】
また、着座者(女性)の骨盤底筋40の部位を
図14及び
図15に示す。
図14又は
図15において、球海綿体気筋41、座骨海綿体筋42、深会陰横筋45、浅会陰横筋20、肛門挙筋43、肛門22、外肛門括約筋46、大殿筋44を示している。肛門挙筋43は、
図14又は
図15においては一部しか描かれていないが、広い筋肉板であり骨盤底を形成し、前方では恥骨体に付着し、後方では座骨棘に付着している。前記肛門挙筋40を構成する筋肉のうちの内側の筋肉が恥骨尾骨筋10と腸骨尾骨筋15である。
【0021】
本発明の骨盤底筋の機能回復機器80の実施形態は、前記座面部81は着座者が臀部50を載置可能な座面であればいずれの形状でもよく、例えば平板状の板状座面部3又はサドル状のサドル部68がある。また、前記凸状部82は、平面視で前端を浅会陰横筋、外端を座骨、内端を肛門、後端を尾骨とした範囲内に収まる大きさであって、筋肉を下方から押し上げることができる形状であればいずれの形状でもよく、例えば柱状体又は錐体の突起部2、あるいは山脈状の隆起部61がある。
【0022】
そこで、具体的な実施形態の事例として、
図1~
図9に示すように、前記座面部81を板状座面部3とし前記凸状部82を水平断面が楕円状の柱状体の突起部2とした組み合わせの場合の形態を実施例1(以下、平板型エクササイズ器具1という。)とし、
図16~
図19に示すように、前記座面部81を山脈状の隆起部61とし前記凸状部82をサドル状のサドル部68とした組み合わせの場合の形態を実施例2(以下、サドル型エクササイズ器具60という。)とする。なお、本発明の実施形態は実施例1や実施例2に限らない。
【0023】
前記凸状部82には、前記突起部2及び前記隆起部61が含まれ、前記突起部2と前記隆起部61とは、長さが長い凸状部82を隆起部62とし長さが短い凸状部82を突起部2としている点が相違しているが、他の例えば材質や配設位置などは同じ範囲で設定する。
【0024】
前記凸状部82は、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を直腸19の下流側の肛門22、後端を尾骨18とした範囲内に収まる大きさで突設又は隆起された1か所以上座面部81上に設けられる。そして、平面視で着座者の恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲に対応可能となるように配設され、凸状部82は浅会陰横筋20より後方のエリアで恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲を圧迫する。
【0025】
前記凸状部82の高さは、着座者の会陰層の表層近傍の浅層に位置する会陰膜17に癒着している恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を3~4cm上方の深層に位置するように押圧や圧迫可能とする高さであればよく、例えば、着座者が着座したときに左右の座骨25の下端部より会陰膜17は少し上方に位置するので、前記凸状部82の全長高さを例えば約55mmとする。
【0026】
前記凸状部82の配置は、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を直腸19の下流側の肛門22、後端を尾骨18とした範囲内に相当する部位における左右のうちの片側又は左右の両側とする。
【0027】
前記凸状部82は軟性部材及び/又は硬性部材で形成される。前記軟性部材としては、弾性変形可能な可撓性を有し柔らかい材質を有するものであればよく、例えば弾性を有する樹脂、ブチルゴムやシリコーンゴムやイソプレンゴム等のゴム、シリコーン樹脂、SBS樹脂、軟質フッ素樹脂、軟質プラスチック等があり、前記硬性部材としては、外力によって実質的に変化しない程度の機械的強度を有する硬い材質を有するものであればよく、例えばABS樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、硬質プラスチック、非金属、金属、木製等がある。上部の軟性部材は着座者の臀部50等の筋肉に直接的に又は骨に間接的に当接するので痛みを和らげるように弾性変形可能な可撓性を有し柔らかい材質とし、下部の硬性部材は着座者の会陰層の浅層の部分から深層の恥骨尾骨筋10まで影響を与える押圧や圧迫を加えられるように外力によって実質的に変化しない程度の機械的強度を有する硬い材質とする。
【0028】
そして、前記凸状部82は、
図12~
図15に示すように、着座者の上下方向で恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲の下方に相当する範囲に当接させ、正常時には深層に位置する恥骨尾骨筋10及び/又は腸骨尾骨筋15が出産や加齢によって降下してきて前記会陰膜17と癒着した状態から、癒着した恥骨尾骨筋10及び/又は腸骨尾骨筋15を会陰膜17から乖離させる状態にすることができる。前記凸状部82を当接させる位置を、恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲の中で変えることによって、恥骨尾骨筋10及び/又は腸骨尾骨筋15を押し上げることができる。以下において、恥骨尾骨筋10及び/又は腸骨尾骨筋15と、恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15とは、同じ意味を表す。
【0029】
また、前記座面部81は、前記板状座面部3及び前記サドル部68が含まれ、前記サドル部68は足を拡げて跨ぐ跨ぎ部62を備え、一方前記板状座面部3には足を拡げて跨ぐ跨ぎ部62を備えていない点が相違するが、他の構成要素である例えば臀部の載置部位を有することは同じである。
【0030】
次に、実施例1である平板型エクササイズ器具1について説明する。前記平板型エクササイズ器具1は、
図1~
図4に示すように、平板状の板状座面部3と、前記板状座面部3上に、
図10~
図12に示すような前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を直腸19の下流側の肛門22、後端を尾骨18とした範囲に収まる大きさで突設された柱状体の、
図1や
図4に示すように1個以上の突起部2と、を備えた平板型エクササイズ器具1である。前記突起部2を含めた凸状部82の位置は、平面視で着座者の恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲に対応可能となるように配設される。そして、突起部2含めた凸状部82は浅会陰横筋20より後方のエリアで恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を圧迫する。
【0031】
前記平板型エクササイズ器具1の前記板状座面部3は、底面が平面状であるが、上面は平面状又は凹凸状の形状を含み、板状座面部3の平面視の形状は、
図1に示すような四角形状、円形状、楕円形状、又はサドル形等、前記突起部2の配設及び着座者の臀部が載置可能な形状であればよい。
底面を平面状にして椅子やソファー等の上に置いて安定した状態で使用する場合や、底面を固定式自転車などに固定して自転車駆動エクササイズを行う場合等がある。
【0032】
図4(a)、(b)に示すように、前記平板型エクササイズ器具1の場合、前記突起部2が1個の場合は、使用時に着座者が
図14に示すように、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を肛門22、後端を尾骨18とした範囲に相当する部位に位置するように調整して使用する。そして、前記突起部2を左右の前記範囲の片側ずつ使用して、前記突起部2による押圧や圧迫によって浅会陰横筋20より後方のエリアで左右の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を順に会陰膜17から乖離させる。いずれにしても恥骨尾骨筋10と腸骨尾骨筋15を下方から押し上げることが可能に配設する。
【0033】
また、
図1~
図3に示すように、前記突起部2が2個の場合は、使用時に着座者が
図12や
図14に示すように、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を直腸19の下流側の肛門22、後端を尾骨18とした左右別々の範囲にそれぞれ相当する部位に位置するように調整して使用する。この場合は左右の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15の癒着を左右一度に乖離させることができる。いずれにしても恥骨尾骨筋10と腸骨尾骨筋15を下方から押し上げることが可能に配設する。
【0034】
なお、前記突起部2が、3個、4個、5個、6個、多数個等の2個以上の場合は、前記前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を肛門22、後端を尾骨18とした範囲に相当する部位に収まるように、個々の大きさを小さくした複数の突起部2を配設する。
【0035】
前記板状座面部3は、
図1や
図4に示すように前記突起部2が配設可能な面積を有し、
図5や
図7に示すように、上層がクッション部材から形成されるクッション部4で、下層が剛性部材で形成される剛性部5で構成されている。
【0036】
前記剛性部材としては、例えば硬質の樹脂部材、非金属部材、金属部材又は木製部材等があるが、剛性を有する部材であればいずれでもよい。前記剛性部5は、突起部2を固定する土台であり、例えば使用時には
図9に示すように椅子30に載置される。なお、平板型エクササイズ器具1及びサドル型エクササイズ器具60を含む骨盤底筋の機能回復機器1は可搬式であり、椅子30の他に、畳の上、床の上股又は乗り物の座席等の臀部50を載置ことができる場所であればどこに置いて使用してもよい。
【0037】
また、前記クッション部材としては、マットレスやソファなどに使用されるウレタンやスポンジなどの可撓性を有する材質であればよい。着座者が使用したときに、突起部2の先端で人体(恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15の範囲)を下方から押圧や圧迫するために、突起部2の周囲の前記クッション部4は人体の臀部の重さで沈み込みやすく、しかし、ある程度沈んだところで圧縮を受けた状態で上方の反発力を有して臀部50を安定して維持できる材質が適する。
【0038】
前記クッション部4の厚みは、
図2や
図5に示すように例えば約40mmの厚い場合でも、
図6や
図7に示すように例えば約10mmの薄い場合でもよい。厚みが厚い場合は、
図8(b)に示すようにクッション部4が大きく圧縮して臀部50が前記剛性部5近傍まで下降し、厚みが薄い場合は、
図8(c)に示すように突起部2が前記恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15に押圧や圧迫してからクッション部4表面に臀部50が当接する。クッション部4の厚みが厚い場合は、
図2(a)や(b)に示すようにクッション部4に撓み量Tが生ずる。いずれにしても、前記突起部2が、着座者の会陰層の浅層に位置する会陰膜17に癒着している恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を会陰層の表層から3~4cm上方の深層にまで押圧や圧迫を加えても、クッション部4は着座者の臀部50を反力で安定して維持可能なクッション性を有する。
【0039】
次に、前記突起部2は、
図4(a)又は(b)に示すように前記板状座面部3上に1個突設され、あるいは、
図1~
図3に示すように前記板状座面部3上の左右にそれぞれ突設されて2個突設されている。前記2個突設された形態の場合は、
図2(a)及び(b)あるいは
図5(a)に示すように前後方向からの
図1におけるC矢視では前記突起部2は左右それぞれに合計2個で、かつ
図3や
図5(b)に示すように左右方向からのD矢視では前記突起部2は1個分のみとなるので、前記突起部2は着座者の臀部50の前後方向の中央に対して左右対称的に配設されている。なお、突起部2の数は、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を肛門22、後端を尾骨18とした範囲に収まる範囲内の大きさで収まるならば、突起部2の大きさや数は特にこだわらず、3個、4個、5個、6個、7個以上の多数でもよい。
【0040】
前記突起部2の上端形状は、
図2(a)に示すように平面、又は、
図2(b)に示すように凸状面を形成しているが、特に限定しなくてよく、着座者に押圧又は圧迫を加えられる面形状であればいずれの面形状であってもよい。いずれの場合も角には丸みを形成し着座者に前記突起部2の角で損傷を与えないようにしている。
【0041】
前記凸状部82は軟性部材及び/又は硬性部材で形成されている。前記突起部2が軟性部材6及び硬性部材7の2層構造の場合は、
図5(a)、(b)又は
図7に示すように、上部が軟性部材6で形成され下部が硬性部材7で形成されている。前記軟性部材6としては、弾性変形可能な可撓性を有し柔らかい材質を有するものであればよく、例えば弾性を有する樹脂、ブチルゴムやシリコーンゴムやイソプレンゴム等のゴム、シリコーン樹脂、SBS樹脂、軟質フッ素樹脂、軟質プラスチック等があり、前記硬性部材7としては、外力によって実質的に変化しない程度の機械的強度を有する硬い材質を有するものであればよく、例えばABS樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、硬質プラスチック、非金属、金属、木製等がある。上部の軟性部材6は着座者の臀部50等の筋肉に直接的に又は骨に間接的に当接するので痛みを和らげるように弾性変形可能な可撓性を有し柔らかい材質とし、下部の硬性部材7は着座者の会陰層の浅層の部分から深層の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15まで影響を与える押圧や圧迫を加えられるように外力によって実質的に変化しない程度の機械的強度を有する硬い材質とする。
【0042】
そのため、前記凸状部82の高さは、着座者の会陰層の表層近傍の浅層に位置する会陰膜17に癒着している恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を3~4cm上方の深層に位置するように押圧や圧迫可能とするために、例えば上部の前記軟性部材6の高さを約15mmとし下部の前記硬性部材7の高さを少なくとも約10mm以上~約40mmとする。着座者が着座したときに左右の座骨の下端部より会陰膜17は少し上方に位置するので、前記凸状部82の全長高さを例えば約55mmとする。
【0043】
前記凸状部82の高さは、着座者が着座したときに左右の座骨の下端部より少し上方に位置する会陰膜17に当接しその位置から30~40mm上方にまで押圧や圧迫を加えられる高さがあればよく、上部の軟性部材6の高さと下部の硬性部材7の高さも、会陰膜17に当接しその位置から30~40mm上方に押圧や圧迫を加えられるように、前記軟性部材6の弾性力、可撓性や長さなどによって適宜設定すればよい。
【0044】
また、前記凸状部82が軟性部材6又は硬性部材7で、そのうちの1つの材質の場合は、
図5(c)に示すように、軟性部材6又は硬性部材7で形成される。着座者の臀部50等の筋肉に直接的に又は骨に間接的に当接するので痛みを和らげるように設定する場合は弾力性を有する軟性部材6とし、着座者の臀部50等の筋肉に強めの押圧や圧迫を加えたい場合は硬めの硬性部材7で造る。いずれにしても、着座者の会陰層の浅層の部分から深層の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15までに影響を与える押圧や圧迫を加えられる材質であればよい。
【0045】
そして、前記凸状部82の平面視の大きさを、
図12~
図15に示すように、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を肛門22、後端を尾骨18とした範囲又はその範囲内の大きさとする。前記範囲又はその範囲内の大きさを有することによって、
図12に示すように、前記凸状部82は膣21近傍の浅会陰横筋20から尾骨18の間の恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲を十分に押圧や圧迫を加えることができる。これにより、尿道14と膣21との間隔より長い間隔を有する、浅会陰横筋20から尾骨18との間隔の範囲で恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲を下方から押圧をかけて圧迫することができる。しかも尿道14と膣21との間は種々の筋が複雑に交差しているのに対して、膣12近傍と直腸19との間は筋の種類が少ないので、恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15に対する押圧や圧迫を効果的にかけることができる。
【0046】
ここで、仮に恥骨結合41が接続する恥骨から尾骨18までの長さの場合は、会陰膜17もろとも下方から押圧を加える範囲が広くなることにより、恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が癒着した部分とそうでない部分を一体的に押圧が加えられるために恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が会陰膜17から乖離しにくい。
【0047】
次に、前記凸状部82を左右に設けた場合の効果について説明する。前記凸状部82を左右に設ける形態は
図12に示すように恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が尿道14、膣21、直腸19等を中心として左右に対称的に分かれていることに対応するためである。ここで特許文献2に示すような比較例として前記凸状部82が左右の部分を合わせた一つの凸型とする形態の場合ならば会陰膜17を広く押圧するため、恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が癒着している会陰膜17の部分と恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が癒着しない部分も一体的に押圧を加えるため、恥骨尾骨筋10及び腸骨尾骨筋15と会陰膜17との癒着が乖離しにくいという問題があった。前記突起部2を左右に設けかつ浅会陰横筋20から尾骨18の間に設けるので、押圧や圧迫を加えると、恥骨尾骨筋10が癒着した会陰膜17の部位とそうでない部位の会陰膜18の部位を引き離す力が働き、癒着した恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が会陰膜17から乖離する。
【0048】
使用方法を凸状部82が突起部2であって2個の形態の場合で説明する。
図12や
図14、
図8(a)に示すように、平板型エクササイズ器具1の突起部2が着座者の臀部50の中央寄りであるが左右に分かれている恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15の、着座者の上下方向で下方の範囲に該当するように位置を調整する。そして、着座者は、
図8(b)に示すように着座し、左右の突起部2が浅会陰横筋20から肛門22の左右それぞれの恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15に向けて下方から押圧や圧迫を加える。着座者が着座したときにクッション部4の圧縮したときの反発力によって着座者の姿勢を楽に安定させることができる。そして、前記突起部2は
図12に示すように浅会陰横筋20から尾骨18にかけて、肛門22の左側及び右側の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15に向けて下方から押圧や圧迫を加える。これにより左右両側の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が会陰膜17から乖離するので、尿漏れが解消する。なお、
図8(c)に示すようにクッション部4の厚みを薄くした場合でも薄い厚みのクッション部4があった方が着座者の姿勢が安定しやすい。
【0049】
また、突起部2が1個の形態の場合は、
図15に示すように、平板型エクササイズ器具1の突起部2が着座者の臀部50の中央寄りであるが左右に分かれている恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15の片方の下方の範囲に該当するように位置を調整する。なお、サドル型エクササイズ器具60の場合は自然に位置を決めることができる。
【0050】
そして、着座者は着座し、前記突起部2は
図15に示すように浅会陰横筋20から尾骨18の間で、肛門22の左側又は右側の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15に向けて下方から押圧や圧迫を加える。これにより片側の恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が会陰膜17から乖離するので、次に他の片方に対しても同じように押圧や圧迫を加える。これにより尿漏れが解消する。
【0051】
次に、骨盤底筋の機能回復機器80の実施例2のサドル型エクササイズ器具60について説明する。本発明のサドル型エクササイズ器具60は、
図16~
図19に示すように、前記座面部81をサドル部68とし、前記凸状部82を山脈状の隆起部61とする形態である。
【0052】
そして、前記隆起部61は、山脈状で前後方向に隆起した形状をしており、前記平板型エクササイズ器具1と同じように、着座者の上下方向で恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる範囲の下方に相当する範囲に当接させ、正常時には深層に位置する恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15が出産や加齢によって降下してきて前記会陰膜17と癒着した状態から、癒着した恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を会陰膜17から乖離させる状態にすることができる。言い換えると、前記隆起部61の位置が、平面視で着座者の恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる位置に対応可能となるように配設され、前記隆起部61は浅会陰横筋20より後方のエリアで恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を圧迫する。
【0053】
前記隆起部61の材質及び高さについては前記突起部2の材質及び高さと同じである。また、前記隆起部61の平面視の長さについては前記突起部2より長い点が異なるが、
図12~
図15に示すように、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を肛門22、後端を尾骨18とした範囲又はその範囲内の大きさとする点は同じである。
【0054】
前記隆起部61の高さは、着座者の会陰層の表層近傍の浅層に位置する会陰膜17に癒着している恥骨尾骨筋10や腸骨尾骨筋15を3~4cm上方の深層に位置するように押圧や圧迫可能とする高さであればよく、例えば、着座者が着座したときに左右の座骨の下端部より会陰膜17は少し上方に位置するので、前記隆起部61の全長高さを例えば約55mmとする。
【0055】
前記隆起部61の上端形状は、長方形や楕円形があるが特に限定しなくてよく、着座者に押圧又は圧迫を加えられる面形状であればいずれの面形状であってもよい。いずれの場合も角には丸みを形成し着座者に前記隆起部61の角で損傷を与えないようにしている。
【0056】
また、前記座面部81である前記サドル部68の形態は、足を開いて跨ぐ部位である跨ぎ部62と臀部を載せる部位である臀部載置部63とを備える略サドル状の形態である。これにより、着座者が前記サドル部68に着座すると、前記隆起部61を着座者の上下方向で恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる位置の下方に相当する範囲に確実に当接させることができる。なお、前記隆起部61の左右の斜面は急な傾斜にしている。これにより恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる位置の下方に相当する範囲を強く押し上げることができる。
【0057】
股を跨がせる跨ぎ部62を有する形態にすることによって、座面部81に対する臀部50の位置を自然に容易に決めることができる。これにより、左右に対称的に配設した前記隆起部61は、前端を浅会陰横筋20、外端を座骨25、内端を直腸19の下流側の肛門22、後端を尾骨18とした左右別々の範囲にそれぞれ相当する部位に位置するように自然に自動的に容易に位置決めができ当接させることができる。そして、左右の恥骨尾骨筋10の癒着を左右一度に乖離させることができる。
【0058】
なお、臀部載置部63を左右で分離させて、間に溝を形成させることによって、尾骨を座面部81に当接させなくさせることができ、恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる位置の下方に相当する範囲をより強く押し上げることができる。また、臀部載置部63の後端部を上方に跳ね上がり形状にすることによって、例えばサドル型エクササイズ器具60を自転車に設置したときに、臀部50が後方にずれるのを制止することができる。
【0059】
また、前記サドル部68は、外観の形状や大きさを縮小させた形状や大きさのサドル骨格層68aと、該サドル骨格層68aの下面を除く上側、前後側及び左右側の5方面を覆った、外観を形成するサドル表層68bとから構成される。前記サドル骨格層68aは硬質部材で形成され、前記サドル表層68bは軟質部材で形成されている。前記サドル表層68b及び前記サドル骨格層68aには、前記隆起部61、前記跨ぎ部62、前記臀部載置部63が含まれる。
【0060】
前記軟性部材としては、弾性変形可能な可撓性を有し柔らかい材質を有するものであればよく、例えば弾性を有する樹脂、ブチルゴムやシリコーンゴムやイソプレンゴム等のゴム、シリコーン樹脂、SBS樹脂、軟質フッ素樹脂、軟質プラスチック等があり、前記硬性部材としては、外力によって実質的に変化しない程度の機械的強度を有する硬い材質を有するものであればよく、例えばABS樹脂、硬質ポリ塩化ビニル、硬質プラスチック、非金属、金属、木製等がある。上部の軟性部材は着座者の臀部50等の筋肉に直接的に又は骨に間接的に当接するので痛みを和らげるように弾性変形可能な可撓性を有し柔らかい材質とし、下部の硬性部材は着座者の会陰層の浅層の部分から深層の恥骨尾骨筋10から腸骨尾骨筋15にまたがる位置まで影響を与える押圧や圧迫を加えられるように外力によって実質的に変化しない程度の機械的強度を有する硬い材質とする。
【0061】
また、前記サドル部68の底面の形状や形態は、例えば自転車、フィットネスバイク又は椅子等に取付可能な構成になるようにそれぞれの取付方法に合わせて設計して造る。例えば
図19に示すようにサドル部68の底面には自転車のサドルとして取付可能に弾性体付きフレームを取付けている。
【0062】
前記サドル型エクササイズ器具60は、前記エクササイズ器具1と同じ効果を得ることができる。そして、前記サドル型エクササイズ器具60は、自転車のサドル、バイクのサドル、フィットネスバイクのサドル、イスに組み込み、又は、座椅子に組み込みとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 平板型エクササイズ器具
2 突起部
3 板状座面部
4 クッション部
5 剛性部
6 軟性部材
7 硬性部材
10 恥骨尾骨筋
11 尿道圧迫筋
12 外尿道括約筋
13 膀胱
14 尿道
15 腸骨尾骨筋
16 恥骨直腸筋
17 会陰膜
18 尾骨
19 直腸
20 浅会陰横膜
21 膣
22 肛門
25 座骨
30 椅子
41 恥骨結合
50 臀部
60 サドル型エクササイズ器具
61 隆起部
62 跨ぎ部
63 臀部載置部
68 サドル部
68a サドル骨格層
68b サドル表層
80 骨盤底筋の機能回復機器
81 座面部
82 凸状部