(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】横形製袋充填機における製袋装置
(51)【国際特許分類】
B65B 9/22 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
B65B9/22
(21)【出願番号】P 2021025656
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】太田 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘人
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-030870(JP,A)
【文献】特開2001-247102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00- 9/24
B65B47/00-47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送される帯状のフィルムを筒状に成形する製袋装置であって、
フィルム給送方向と交差する幅方向に離間して対向し、対向間隔を調節可能な一対の案内壁と、
各案内壁におけるフィルム給送方向の上流側に配設され、前記帯状のフィルムを、一対の案内壁の間に案内する案内部と、を備え、
各案内部は、
該案内部の最上流に位置するガイド部材を有し、
該ガイド部材は、対応する案内壁より外方に突出すると共に下流側に傾斜して前記帯状のフィルムを筒状成形するようフィルムを引き込み案内するガイド縁部
と、該ガイド縁部における上流端部で下流側に傾斜するよう折れ曲がって案内壁より内方に突出する屈曲端部と、からなり、ガイド縁部と屈曲端部との接続部である屈曲部は、外周面が円弧状に形成され、
前記ガイド縁部における前記帯状のフィルムの引き込み起点の上流端
となる前記屈曲部を中心として
前記ガイド部材を回転することで、帯状のフィルムに対して
前記ガイド縁部が接触する案内角度を調節可能な角度調節手段を備え
、
該角度調節手段は、
前記ガイド部材の屈曲部を中心とする円弧状に形成されたレール部材と、
前記ガイド部材が設けられ、案内体によって前記レール部材に移動可能に支持された可動部材と、を備え、
前記レール部材に対して可動部材を移動することで、前記ガイド部材におけるガイド縁部の案内角度を調節するよう構成した
ことを特徴とする横形製袋充填機における製袋装置。
【請求項2】
前記レール部材または前記可動部材の一方に、前記
ガイド部材におけるガイド縁部の案内角度に応じた目盛りが付されると共に、他方には該目盛りに位置合わせ可能な位置合わせ部が設けられていることを特徴とする請求項
1記載の横形製袋充填機における製袋装置。
【請求項3】
前記
ガイド部材におけるガイド縁部の高さ位置を調節可能な高さ調節手段を設けたことを特徴とする請求項1
または2の何れか一項に記載の横形製袋充填機における製袋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形製袋充填機において、帯状のフィルムを筒状に成形する製袋装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機において、フィルムロールから繰り出される帯状のフィルムを筒状に成形する製袋装置として、特許文献1が提案されている。特許文献1に開示の製袋装置は、幅方向に離間して一対の側部ガイドが配設されると共に、各側部ガイドにおけるフィルム給送方向の上流側に案内ガイドが設けられ、該案内ガイドにおけるフィルム進入側端縁に帯状のフィルムが接触案内されて下流側に給送されることで、該フィルムが筒状に成形される。横形製袋充填機では、筒状フィルムに供給される被包装物の形状・寸法などの諸条件に応じて、筒状フィルムの製袋サイズ(幅および高さ)を変更する要請があり、特許文献1に開示の製袋装置では、一対の側部ガイドを幅方向に位置調節可能に構成すると共に、該側部ガイドに対して案内ガイドを、そのフィルム進入側端縁が上下方向に位置調節可能に構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製袋装置では、前記案内ガイドのフィルム進入側端縁を、フィルムの給送中心から外側方に離間するにつれて下流側に後退するよう傾斜させることで、フィルム進入側端縁に対して接触する帯状のフィルムを張った状態で下流側に案内して、シワなく筒状に成形することができる。帯状のフィルムをシワなく筒状成形し得る、案内ガイドのフィルム進入側端縁とフィルムとが接触する傾斜角度は、案内ガイドに対するフィルムの接触抵抗の違いなどの緒条件によって、フィルムの種類(プラスチックや紙など)やサイズ毎に異なっている。特許文献1に開示の製袋装置では、案内ガイドにおけるフィルム進入側端縁の傾斜角度は一定であるため、フィルムの種類やサイズの変更に際しては、適合する傾斜角度となる案内ガイドに交換する煩雑な作業が必要となり、ロスタイムも長くなる問題が指摘される。また、フィルムの種類やサイズ毎に適合する傾斜角度となる複数種類の案内ガイドを用意しなければならず、管理が煩雑であった。
【0005】
本発明は、フィルムの種類やサイズの変更に際し、部品交換することなく帯状のフィルムをシワなく筒状成形し得る横形製袋充填機における製袋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の横形製袋充填機における製袋装置は、
給送される帯状のフィルム(F)を筒状に成形する製袋装置であって、
フィルム給送方向と交差する幅方向に離間して対向し、対向間隔を調節可能な一対の案内壁(10,10)と、
各案内壁(10)におけるフィルム給送方向の上流側に配設され、前記帯状のフィルム(F)を、一対の案内壁(10,10)の間に案内する案内部(11)と、を備え、
各案内部(11)は、該案内部(11)の最上流に位置するガイド部材(28)を有し、
該ガイド部材(28)は、対応する案内壁(10)より外方に突出すると共に下流側に傾斜して前記帯状のフィルム(F)を筒状成形するようフィルムを引き込み案内するガイド縁部(28a)と、該ガイド縁部(28a)における上流端部で下流側に傾斜するよう折れ曲がって案内壁(10)より内方に突出する屈曲端部(28b)と、からなり、ガイド縁部(28a)と屈曲端部(28b)との接続部である屈曲部(28c)は、外周面が円弧状に形成され、
前記ガイド縁部(28a)における前記帯状のフィルム(F)の引き込み起点の上流端となる前記屈曲部(28c)を中心として前記ガイド部材(28)を回転することで、帯状のフィルム(F)に対して前記ガイド縁部(28a)が接触する案内角度を調節可能な角度調節手段(39)を備え、
該角度調節手段(39)は、
前記ガイド部材(28)の屈曲部(28c)を中心とする円弧状に形成されたレール部材(30)と、
前記ガイド部材(28)が設けられ、案内体(32)によって前記レール部材(30)に移動可能に支持された可動部材(31)と、を備え、
前記レール部材(30)に対して可動部材(31)を移動することで、前記ガイド部材(28)におけるガイド縁部(28a)の案内角度を調節するよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、帯状のフィルムに接触するガイド縁部の角度調節を行い得るので、フィルムの種類やサイズの変更に際して部品交換する煩雑な作業を行うことなく、帯状のフィルムに対してガイド縁部を適正な案内角度で接触させることができ、フィルムを張った状態で案内してシワなく筒状に成形することができる。また、フィルムの種類やサイズの変更時のロスタイムを短くすることができると共に、部品管理が煩雑となることもない。
更に、レール部材に沿って可動部材を移動することで、ガイド縁部における帯状のフィルムを引き込む引き込み起点の上流端となる屈曲部の位置を変化させることなく、ガイド縁部の角度調節を適正に行うことができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記レール部材(30)または前記可動部材(31)の一方に、前記ガイド部材(28)におけるガイド縁部(28a)の案内角度に応じた目盛り(37)が付されると共に、他方には該目盛り(37)に位置合わせ可能な位置合わせ部(38)が設けられていることを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、目盛りと位置合わせ部とを位置合わせすることで、ガイド縁部の案内角度の再現性を高めることができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記ガイド部材(28)におけるガイド縁部(28a)の高さ位置を調節可能な高さ調節手段(42)を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、筒状のフィルムに供給される被包装物の高さの変更に対応することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィルムの種類やサイズを変更する際に、部品交換することなく帯状のフィルムとガイド縁部とが接触する案内角度を適正に調節することができ、帯状のフィルムをシワなく筒状成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る横形製袋充填機における製袋装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0013】
図1~
図3は、実施例に係る横形製袋充填機における製袋装置を示すものであって、該製袋装置は、図示しないフィルムロールから給送される帯状のフィルムFの給送方向と交差する幅方向に対向する一対の案内壁10,10と、各案内壁10におけるフィルム給送方向の上流側に配設され、帯状のフィルムFを、一対の案内壁10,10の間に案内する案内部11,11と、を備え、各案内部11は、対応する案内壁10より外側方(外方)に突出すると共に下流側に傾斜して帯状のフィルムFを筒状成形するようフィルムを引き込み案内するガイド縁部28aを有している。そして、帯状のフィルムFが一対の案内部11,11を経て下流側に給送されるにつれて、ガイド縁部28a,28aに接触するフィルムが一対の案内壁10,10の間に引き込まれるように折り曲げられて筒状に成形される。また、製袋装置は、各ガイド縁部28aを回転することで、帯状のフィルムFに対してガイド縁部28aが接触する案内角度を調節可能な角度調節手段39を備えている。
【0014】
製袋装置は、幅方向に延在する基台12を介して横形製袋充填機の所定位置に取り付けられる。基台12の上面には、
図2に示す如く、フィルム給送中心ラインCを挟んで幅方向に対称に一対の固定プレート13,13が水平に配設されると共に、両固定プレート13,13の間に所要寸法の空所Sがフィルム給送方向と平行に形成される。両固定プレート13,13は、筒状のフィルムFの下部を接触状態で支持案内するべく機能し、該フィルムFは、その長手方向の重合部が空所Sを介して下方に臨んだ状態で下流側に給送される。また、各固定プレート13のフィルム給送方向上流側は、上流側に向かうにつれて他方の固定プレート13から離間するように傾斜し、空所Sの上流側にV字状の導入部が形成される。そして、筒状成形されるフィルムFの長手方向の端縁部近傍が導入部を介して下方に向けて折り込まれることにより、前記重合部が形成される。
【0015】
図1および
図2に示す如く、前記固定プレート13,13の上面には、筒状成形されるフィルムFの側部を接触状態で案内すると共に、筒状のフィルムFの幅寸法を規定する一対の前記案内壁10,10が、フィルム給送中心ラインCを挟む幅方向に離間して対向配置される。両案内壁10,10は、後述する幅調節手段26により、フィルム給送方向に対して斜めに平行移動するよう構成される。また、各固定プレート13の上面には、その上流端部から上流側に水平に延出する揺動プレート14が、固定プレート13に対して水平揺動可能に枢支されている。両揺動プレート14,14の対向辺は、上流側に向かうにつれて他方の揺動プレート14から離間する傾斜辺14aとされ、対向する傾斜辺14a,14a間にV字状の導入部が形成される。
【0016】
図2に示す如く、前記各案内壁10における上流側の下面には、略三角形状の導入プレート15が、その上流側端部で水平揺動可能に支持されると共に、該導入プレート15が前記揺動プレート14の上面に摺接状態で載置されている。すなわち、フィルム給送中心ラインCを挟む両側の導入プレート15,15の上面で、筒状に成形されるフィルムFの下部が接触案内された後に、引き続き該フィルム下部が揺動プレート14,14に接触案内されるよう構成される。また揺動プレート14には、その傾斜辺14aと平行に延在する長孔14bが形成され、該長孔14bに、対応する導入プレート15の底面に突設した一対のピン16,16が摺動可能に挿通されている。この状態で導入プレート15における他方の導入プレート15との対向辺が、対応する揺動プレート14の傾斜辺14aと略同一傾斜角度に設定された傾斜辺15aとされ、後述する幅調節を行っても常に揺動プレート14の傾斜辺14aと導入プレート15の傾斜辺15aとが略直線上に一致するよう構成される。そして、フィルムFの長手方向の端縁部近傍は、両導入プレート15,15の両傾斜辺15a,15aを介して下方に向けて折り込まれ、引き続き前記揺動プレート14,14の両傾斜辺14a,14aで更に下方に向けて折り込まれるようになっている。なお、導入プレート15の上流端部には、対応する案内壁10の外側に向かうにつれて下流側に後退するように傾斜する案内片15bが形成され、該案内片15bに帯状のフィルムFにおける幅方向の両端部近傍が接触案内されるよう構成してある。
【0017】
図1、
図2に示す如く、前記各案内壁10の外側に、取付部材17が配設されている。該取付部材17の外側面は、案内壁10に対して対応する前記揺動プレート14および導入プレート15の傾斜辺14a,15aより大きい角度で傾斜(フィルム給送方向下流側から上流側に向けて案内壁10から外側に離間する傾斜)し、該外側面に、所要長さでラック18が歯部を外側に向けた姿勢で平行に配設されている。取付部材17およびラック18は、前記基台12の幅方向の各端部に配設した支持部材19と、該支持部材19にスペーサ20を介して上方に離間して配設した保持板21との間に摺動自在に支持されると共に、取付部材17の内側面がスペーサ20に摺動可能に支持される。また、支持部材19と保持板21との間には、前記ラック18と噛合するピニオン22が回転可能に枢支されている。
【0018】
図1に示す如く、前記基台12に回転可能に配設されて幅方向に延在するシャフト(図示せず)の両軸端の夫々にベベルギヤ23が固定され、各ベベルギヤ23が対応する前記ピニオン22の回転軸22aの下端に固定したベベルギヤ24に噛合している。また、一方のピニオン22における保持板21の上方に延出する回転軸22aに幅調節ハンドル25が配設されており、該幅調節ハンドル25を正転または逆転方向に回転することで一対のピニオン22,22が相互に逆方向に回転し、該ピニオン22,22と前記ラック18,18との噛合作用下に、一対の案内壁10,10はフィルム給送中心ラインCを挟んで対向した状態で、給送方向に対して斜めに平行移動して相互に近接・離間移動するよう構成される。また、案内壁10,10の幅調節に際しては、案内壁10,10に水平揺動可能に支持されている前記導入プレート15,15が揺動プレート14,14の長孔14b,14bに沿って移動することで、両プレート14,15の傾斜辺14a,15aは略直線上に一致するように維持される。実施例では、ラック18,18、ピニオン22,22、ベベルギヤ23,23,24,24および幅調節ハンドル25から、一対の案内壁10,10の対向間隔を調節する幅調節手段26が構成される。
【0019】
図1および
図2に示す如く、前記案内壁10,10における上流側に、上流から給送される帯状のフィルムFを、一対の案内壁10,10の間に筒状に成形するように引き込み案内すると共に、筒状のフィルムFの製袋高さを規定する一対の前記案内部11,11が、フィルム給送中心ラインCを挟んで対称に配設されている。各案内部11は、支え部材27と、該支え部材27に配設されて、案内部11の最上流に位置するガイド部材28とを備える。支え部材27は、対応する案内壁10の内側面に沿って延在する取付部27aと、該取付部27aの下端縁から外側に向けて上方傾斜するよう延在する受け部27bを備え、前記取付部27aの下流端部が案内壁10に支点ピン29(
図3参照)を介して回転可能に支持されて、案内部11は、案内壁10に対して支点ピン29を支点として上下方向に揺動し得るよう構成される。
【0020】
図1、
図2、
図4に示す如く、前記ガイド部材28は、丸棒材を略へ字状に屈曲形成したものであって、対応する案内壁10より外側方に突出すると共に下流側に傾斜するガイド縁部28aと、該ガイド縁部28aにおけるフィルム給送中心ラインC側の端部で下流上方に向けて折れ曲がった屈曲端部28bとからなり、ガイド縁部28aにおける屈曲端部28bとの接続部である屈曲部28cは、外周面が円弧状に形成されている。ガイド部材28は、ガイド縁部28aの屈曲部28cが上流端となるように配置されると共に、ガイド縁部28aは、屈曲部28cから離間するにつれて上方傾斜している。そして、両案内部11,11に向けて上方から給送される帯状のフィルムFは、両ガイド部材28,28におけるガイド縁部28a,28aを引き込み起点として、該ガイド縁部28a,28aに接触する帯状のフィルムFの幅方向の両側部が下に折り曲げられて、下流側に給送されるにつれて徐々に筒状に成形されるようになっている。具体的に、ガイド縁部28a,28aには、帯状のフィルムFの幅方の両側部であって、成形される筒状のフィルムFの側面、底面および重合部を形成する部分が接触し、成形される筒状のフィルムFの上面を形成する屈曲部28c,28cの間を通過する中央部に対して、ガイド縁部28a,28aに接触する両側部が、屈曲部28c,28cを境(折り曲げ起点)として折り曲げられて両案内壁10,10の間に引き込まれることで筒状に成形される。なお、
図2、
図4において、帯状のフィルムFがガイド縁部28aに接触して該ガイド縁部28aに沿って延在する部分について、線分fで模式的に示している。
【0021】
図1~
図4に示す如く、前記各支え部材27における受け部27bの表側(上面)に、円弧状のレール部材30が固定されると共に、該レール部材30に、前記ガイド部材28が配設された可動部材31が移動可能に支持されている。レール部材30は、対応するガイド部材28のガイド縁部28aによる帯状のフィルムFの引き込み起点の上流端である前記屈曲部28cを中心とした円弧状に形成されており、レール部材30に沿って可動部材31を移動する際には、屈曲部28cを中心としてガイド部材28が回転することで、当該ガイド部材28のガイド縁部28aに対して帯状のフィルムFが接触する案内角度が変化するよう構成される。また、可動部材31の裏側に複数の案内体32が配設されており、可動部材31は、複数の案内体32でレール部材30を延在方向とは直交方向から挟み込むことで、レール部材30に沿って安定して移動し得るよう構成される。実施例では、レール部材30の内周面側に接触する1つの案内体32と、外周面側において周方向に離間して接触する2つの案内体32,32とが設けられ、これら3つの案内体32によって可動部材31は、レール部材30に沿って移動可能に支持されている。
【0022】
前記可動部材31は、前記レール部材30に対して固定手段33によって位置決め固定される。実施例の固定手段33は、
図4に示す如く、レール部材30の延在方向に所定間隔で離間して形成されたネジ孔34と、可動部材31に穿設されてレール部材30に沿って延在する円弧状の長孔35に挿通されてネジ孔34に螺挿されるネジ36とから構成される。また、レール部材30の上面に、延在方向に所定間隔で目盛り37が付されると共に、可動部材31には、目盛り37に位置合わせ可能な角度合わせ面(位置合わせ部)38が形成されており、角度合わせ面38を所定の目盛り37に位置合わせした状態で、ネジ36をネジ孔34に螺挿して締付けることで、ガイド部材28を、目盛り37に対応する傾斜角度(案内角度)で固定し得るよう構成される。すなわち、左右の可動部材31,31の角度合わせ面38,38を、対応するレール部材30,30の同一の目盛り37,37に位置合わせして固定手段33,33により固定することで、一対のガイド部材28,28を対称な傾斜角度で位置決めすることができる。実施例では、可動部材31におけるレール部材30の延在方向に離間する2箇所に角度合わせ面38が形成されており、ガイド部材28の角度調節は、何れか一方の角度合わせ面38を目盛り37に位置合わせすることで行い得るようになっている。実施例では、レール部材30、可動部材31および固定手段33から、帯状のフィルムFに対して各ガイド縁部28aが接触する案内角度を調節可能な前記角度調節手段39が構成される。
【0023】
図1および
図3に示す如く、前記各案内壁10におけるフィルム給送方向の上流部の外側に、高さ調節ハンドル40が回転可能に配設されると共に、該ハンドル40と一体的に回転する連繋部材41が、対応する案内部11の取付部27aに回転可能に枢支されている。そして、高さ調節ハンドル40を正転または逆転方向に回転して連繋部材41を介して案内部11を上下方向に傾動することで、前記ガイド部材28の高さ位置が変わって、筒状のフィルムFの製袋高さが調節される。高さ調節ハンドル40の周面には、製袋高さ寸法に対応する目盛りを所要間隔で付したスケール部40aが設けられると共に、各案内壁10の対応する上面位置に基準線Lが付されている。すなわち、一対の高さ調節ハンドル40,40を個々に回転する場合に、同一目盛りが基準線Lと一致するよう各ハンドル40を回転することで、一対の案内部11,11を同一位置に位置決め調節することができる。実施例では、連繋部材41および高さ調節ハンドル40から、各ガイド縁部28aの高さ位置を調節する高さ調節手段42が構成される。なお、高さ調節ハンドル40は、案内壁10に凹設した周方向に所定間隔離間する凹部に、該ハンドル40に進退可能に配設されて弾勢付勢されているボールを係合することで、周方向に間欠的に位置決め可能に構成される。
【0024】
次に、実施例に係る製袋装置の作用について説明する。
図2に示す如く、フィルムロールから製袋装置に向けて上方から給送される帯状のフィルムFは、その幅方向の両側部が、左右の前記ガイド部材28,28におけるガイド縁部28a,28aに接触して下流側に給送される。ガイド縁部28a,28aで接触案内される帯状のフィルムFは、ガイド部材28,28の屈曲部28c,28cを境として、筒状のフィルムFの上面を構成する部分に対してガイド縁部28a,28aに接触する両側部が下に折れ曲がりつつ下流側に給送されて、前記一対の案内壁10,10の間で略筒状となるよう引き込まれる。また、フィルムFの長手方向の端縁部近傍が、前記導入プレート15,15、揺動プレート14,14および固定プレート13,13の導入部で下方に折り込まれて前記空所Sに導入されることで、長手方向の重合部が形成された筒状のフィルムFが成形され、該筒状のフィルムF内に被包装物が図示しない供給手段により供給される。
【0025】
オーダ変更により製袋幅および高さの異なる筒状のフィルムFを成形する場合は、前記幅調節ハンドル25を所要方向に回転させることで、前記ピニオン22,22とラック18,18との噛合作用によって、一対の案内壁10,10は、フィルム給送方向に対して斜めに平行移動して、新たなオーダに係る筒状のフィルムFの幅に対応する位置に調節される。また、各案内壁10の移動に伴って対応する導入プレート15が揺動プレート14の長孔14bに沿って移動すると共に両プレート14,15が固定プレート13,13に対して水平揺動し、各傾斜辺14a,15aは略直線上に整列一致する。すなわち、一対の案内壁10,10の離間幅(製袋幅)を変更しても、両プレート14,15の傾斜辺14a,15aは常に略直線上に整列一致するので、筒状のフィルムFの重合部の折り込み案内を円滑に行うことができる。また、各案内壁10に配設されている高さ調節ハンドル40を所要方向に回転させ、該ハンドル40に設けた所望の製袋高さ寸法に対応する目盛りが、案内壁10の基準線Lと一致するよう位置決めすることで、案内部11におけるガイド部材28(ガイド縁部28a)が新たなオーダに係る筒状のフィルムFの製袋高さに対応する位置に変更される。
【0026】
ここで、フィルムFの種類やサイズを変更した場合に、前記ガイド縁部28aとフィルムFとの接触抵抗等の緒条件の変化によって、案内部11,11で帯状のフィルムFを張った状態で案内してシワなく筒状に成形することができる、帯状のフィルムFの側部がガイド縁部28a,28aに接触する案内角度は異っている。実施例の製袋装置は、帯状のフィルムFの両側部が接触するガイド縁部28a,28aのフィルムFに対する案内角度を調節する角度調節手段39,39を備えているので、オーダ変更でフィルムFの種類やサイズを変更した場合には、新たなオーダに係るフィルムFの緒条件に適合した案内角度に容易に調節することができ、フィルムFを張った状態で案内してシワなく筒状に成形することができる。すなわち、ガイド縁部28aの案内角度の変更に際し、部品交換する煩雑な作業を必要とせず、フィルムFの種類やサイズの変更時のロスタイムを短くすることができると共に、部品管理が煩雑となることもない。また、各ガイド縁部28aの案内角度の調節は、帯状のフィルムFにおける筒状成形された際の筒状のフィルムFの上面と側面との境(折り曲げ起点)となる前記屈曲部28cを中心としてガイド部材28を回転して行うので、フィルムFの折り曲げ起点を変化させることなく適正な案内角度に調節することができる。また、屈曲部28cにおけるフィルムFが接触する外周面は円弧状に形成されているので、フィルムFを傷付けることなく円滑に折り曲げて良好に製袋できる。
【0027】
前記角度調節手段39は、前記ガイド部材28が配設された前記可動部材31を、前記屈曲部28cを中心とする円弧状に形成されたレール部材30に対して、複数の案内体32で挟み込んで移動するよう構成したので、帯状のフィルムFにおける側部の折り曲げ起点(ガイド縁部28aの上流端の位置)を変化させることなくガイド縁部28aの角度調節を適正に行うことができる。すなわち、フィルムFのサイズ変更を行うことなく種類のみを変更する場合に、ガイド縁部28aの角度調節によっては帯状のフィルムFの折り曲げ起点が変化しないので、該折り曲げ起点を別途調節する手間を省くことができる。また、角度調節手段39は、可動部材31の角度合わせ面38を、レール部材30の所望の目盛り37に位置合わせすることで、ガイド縁部28aを、新たなオーダに係るフィルムFの種類やサイズに対応する案内角度に容易に位置決めすることができる。また、フィルムFの各種の種類やサイズに対応する、ガイド縁部28aの案内角度の再現性を高めることができる。更に、左右の角度調節手段39,39の夫々において、同一の目盛り37,37に角度合わせ面38,38を位置合わせすることで、左右のガイド縁部28a,28aの案内角度を簡単に対称とすることができる。
【0028】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例では、レール部材30に対して移動可能に支持された可動部材31に、別体のガイド部材28を配設したが、可動部材31における幅方向に延在する上流側の端縁部をガイド縁部として一体に形成する構成を採用することができる。可動部材31にガイド縁部を一体形成する場合に、ガイド縁部における帯状のフィルムFの引き込み起点の上流端を含んでフィルムFが接触する領域を円弧形状とすることが好ましい。
(2) 実施例では、レール部材30に目盛り37を付すと共に、可動部材31に角度合わせ部(位置合わせ部)38を設けたが、逆の構成を採用することができる。
(3) 実施例では、支え部材27にレール部材30を配設したが、該レール部材30を可動部材31に配設すると共に、レール部材30を案内支持する案内体32を支え部材27に配設し、支え部材27に付した基準線(位置合わせ部)に対して、可動部材31と共に移動するレール部材30の目盛り37を位置合わせすることで、ガイド縁部28aの案内角度を調節する構成を採用することができる。
(4) 案内体32として、自由回転するローラを採用することで、レール部材30に対して可動部材31をスムーズに移動させることができる。
(5) 実施例では、製袋装置に対して上方から帯状のフィルムFを給送するよう構成したが、製袋装置を上下反転した姿勢で配設し、該製袋装置に対して下方から帯状のフィルムFを給送して、上側に重合部が位置する筒状に成形する構成を採用することができる。また、実施例の製袋装置を、フィルム給送中心ラインCを軸として90度回転した姿勢で配置し、製袋装置に対して側方から帯状のフィルムを給送して、側方に重合部が位置する筒状に成形する構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 案内壁,28a ガイド縁部,28c 屈曲部(上流端)
30 レール部材,31 可動部材,32 案内体,37 目盛り
38 角度合わせ面(位置合わせ部),39 角度調節手段,42 高さ調節手段
F フィルム