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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】薬剤気化吸入器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61M15/00 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022569268
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 KR2021005943
(87)【国際公開番号】W WO2021241921
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0064623
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522443006
【氏名又は名称】ジェイディー コスファーマ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JD COSPHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】(digital empire Bldg.,Yeongtong-dong)B-dong 902-ho,16,Deogyeong-daero 1556-beongil,Yeongtong-gu Suwon-si Gyeonggi-do 16690,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】クォン、オ ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ジ
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-528717(JP,A)
【文献】特表2019-528715(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1039837(KR,B1)
【文献】特表2017-515493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00-15/08
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化促進組成物を収容する第1の貯留空間と、蒸気吐出用の第1の案内流路と、を有する気化容器と、
前記気化容器の下部から前記第1の貯留空間へと嵌入した状態で配設されて毛細管現象を通じて前記第1の貯留空間に収容される気化促進組成物の排出を誘導する誘導体と、
電源の供給時に発熱されながら、前記誘導体により誘導される気化促進組成物を気化させる微粒状気化部と、
前記気化容器の上部に着脱自在に結合されるものであって、上面には末薬剤が密閉・貯留されたカプセルを収容するカプセル収容部が形成され、内部には、上下領域貫通型であって、底面から流れ込んで前記微粒状気化部から誘導される気化蒸気を前記カプセル収容部に位置するカプセルに向かって噴出できるように前記第1の案内流路と連通される蒸気吐出用の第2の案内流路を有する胴体部と、
前記胴体部の上面に回転自在に結合されながら混合空間を形成するものであって、前記混合空間と連通される入接触管と前記カプセル収容部に収容される前記カプセルを切り裂く刃を有し、前記吸入接触管を介して気化された蒸気または前記カプセルから排出される粉末薬剤を前記第2の案内流路を介して導かれる気化された蒸気に含めて喘息またはコロナウィルス感染患者の肺に吸入させる蓋体部と、を備え
前記第2の案内流路は、前記カプセルに向かって気化された蒸気が噴出されるとき、前記蓋体部と前記胴体部との間に設けられる前記混合空間内において渦流を形成できるように上下に貫通するねじれ管状に形成する
ことを特徴とする薬剤気化吸入器。
【請求項2】
気化促進組成物を収容する第1の貯留空間と、蒸気吐出用の第1の案内流路と、を有する気化容器と、
前記気化容器の下部から前記第1の貯留空間へと嵌入した状態で配設されて毛細管現象を通じて前記第1の貯留空間に収容される気化促進組成物の排出を誘導する誘導体と、
電源の供給時に発熱されながら、前記誘導体により誘導される気化促進組成物を気化させる微粒状気化部と、
前記気化容器の上部に着脱自在に結合されるものであって、上面には末薬剤が密閉・貯留されたカプセルを収容するカプセル収容部が形成され、内部には、上下領域貫通型であって、底面から流れ込んで前記微粒状気化部から誘導される気化蒸気を前記カプセル収容部に位置するカプセルに向かって噴出できるように前記第1の案内流路と連通される蒸気吐出用の第2の案内流路を有する胴体部と、
前記胴体部の上面に回転自在に結合されながら混合空間を形成するものであって、前記混合空間と連通される入接触管と前記カプセル収容部に収容される前記カプセルを切り裂く刃を有し、前記吸入接触管を介して気化された蒸気または前記カプセルから排出される粉末薬剤を前記第2の案内流路を介して導かれる気化された蒸気に含めて喘息またはコロナウィルス感染患者の肺に吸入させる蓋体部と、を備え
前記カプセル収容部は、一対からなってカプセルの左右の側面を支持する第1の壁面部材と、前記第1の壁面部材とは方向を異にして隔設されてカプセルの両方の端部を支持する互いに向かい合う一対の第2の壁面部材を介して前記カプセルを収容する空間を形成するが、
前記第1の壁面部材と前記第2の壁面部材との間には、前記蓋体部が回転するときに前記カプセルの上側の一方の面が前記刃により切り裂かれるように前記刃が通過する刃移動流路を形成し、
前記カプセル収容部は凹んだ形状であり、
前記第2の案内流路は、前記胴体部の底面から前記カプセル収容部の内壁面へとつながる「┐」字状の通路をなすようにし、通路の内側の出口が前記カプセル収容部内の板状である前記第1の壁面部材と弧状である前記第2の壁面部材との間に離間した空間として設けられる刃移動流路に隣り合って位置するように構成する
ことを特徴とする薬剤気化吸入器。
【請求項3】
気化促進組成物を収容する第1の貯留空間と、蒸気吐出用の第1の案内流路と、を有する気化容器と、
前記気化容器の下部から前記第1の貯留空間へと嵌入した状態で配設されて毛細管現象を通じて前記第1の貯留空間に収容される気化促進組成物の排出を誘導する誘導体と、
電源の供給時に発熱されながら、前記誘導体により誘導される気化促進組成物を気化させる微粒状気化部と、
前記気化容器の上部に着脱自在に結合されるものであって、上面には末薬剤が密閉・貯留されたカプセルを収容するカプセル収容部が形成され、内部には、上下領域貫通型であって、底面から流れ込んで前記微粒状気化部から誘導される気化蒸気を前記カプセル収容部に位置するカプセルに向かって噴出できるように前記第1の案内流路と連通される蒸気吐出用の第2の案内流路を有する胴体部と、
前記胴体部の上面に回転自在に結合されながら混合空間を形成するものであって、前記混合空間と連通される入接触管と前記カプセル収容部に収容される前記カプセルを切り裂く刃を有し、前記吸入接触管を介して気化された蒸気または前記カプセルから排出される粉末薬剤を前記第2の案内流路を介して導かれる気化された蒸気に含めて喘息またはコロナウィルス感染患者の肺に吸入させる蓋体部と、を備え
前記カプセル収容部は凹んだ形状であり、
前記第2の案内流路は、前記胴体部の底面から垂直方向に向かって形成される垂直流路とともに、前記垂直流路から横方向につながり、その出口が前記カプセル収容部の内壁面に開かれるように形成される水平流路を有することにより、全体的に「┐」字状の断面を持った連結通路をなすように形成される
ことを特徴とする薬剤気化吸入器。
【請求項4】
前記カプセル収容部は、一対からなってカプセルの左右の側面を支持する第1の壁面部材と、前記第1の壁面部材とは方向を異にして隔設されてカプセルの両方の端部を支持する互いに向かい合う一対の第2の壁面部材を介して前記カプセルを収容する空間を形成するが、
前記第1の壁面部材と前記第2の壁面部材との間には、前記蓋体部が回転するときに前記カプセルの上側の一方の面が前記刃により切り裂かれるように前記刃が通過する刃移動流路を形成する
請求項1または3に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項5】
前記胴体部は、前記気化容器の上部から結合されるものであって、前記胴体部の上面の周縁側には前記蓋体部の回転を導くレール溝が形成され、前記レール溝の両端には突起嵌入溝を形成する
請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤気化吸入器。
【請求項6】
前記刃は、前記蓋体部の内側端から一対が突設され、前記蓋体部の内面の周縁側には、前記胴体部の突起嵌入溝に載置されて前記レール溝に沿って回転するロック突起を形成する
請求項5に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項7】
前記突起嵌入溝が形成される前記胴体部の外周面と前記ロック突起が形成される前記蓋体部の外周面には、それぞれ前記吸入接触管を介した気化された蒸気のみの排出位置、または前記カプセルから排出される粉末薬剤が気化された前記蒸気に含まれて排出できるようにする混合蒸気排出位置を導く第1及び第2の目印部を形成する
請求項6に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項8】
前記カプセルは略回転楕円体状であり、前記カプセル収容部において、一対からなって前記カプセルの短軸側の側面を支持する第1の壁面部材と、一対からなって前記カプセルの長軸側の側面を支持する第2の壁面部材との間に収容可能であり、
その一対からなって前記カプセルの短軸側の側面を支持する前記第1の壁面部材と、一対からなって前記カプセルの長軸側の側面を支持する前記第2の壁面部材との間の空間に、前記蓋体部の底面から下向きにカプセル表面の部分切裂用の刃が突設され、
前記カプセル収容部の内壁面に開かれる前記水平流路は、その出口開口が前記第1の壁面部材及び前記第2の壁面部材とは離隔して位置し、前記胴体部の中心から一方の側に15~45°の勾配を保つ向きで配設され、前記第1の案内流路を経て蒸気吐出用の第2の案内流路を介して噴出される気化蒸気が前記カプセル表面の部分切裂用の刃によって上側の一方の面が切り裂かれた前記カプセルの切裂面を向くようにするとともに、前記混合空間内において渦流を形成できるようにする
請求項3に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項9】
前記気化容器は、前記気化促進組成物を投入するための投液弁をさらに備える
請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤気化吸入器。
【請求項10】
前記第1の案内流路は、前記気化容器の中央に画設されるか、あるいは、前記気化容器の内周面に沿って形成される
請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤気化吸入器。
【請求項11】
前記誘導体は、前記気化容器または微粒状気化部の内部の空間を内部空間及び外部空間に仕切るように空気流入孔が形成される固定板に固定する
請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤気化吸入器。
【請求項12】
前記誘導体は、多層の発泡性ニッケル網、ステンレス繊維フェルト、高分子発泡体、金属多孔体、繊維質のうちのいずれか一つの素材またはこれらの組み合わせから製造する
請求項11に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項13】
前記微粒状気化部は、
前記気化容器の一方の端に結合されるものであって、前記誘導体が固定される前記固定板が収容される霧化容器と、
前記霧化容器内において螺旋結合される電源供給用の電極部と、
前記霧化容器に収容される前記誘導体の外部面に形成されながら、前記電極部から供給される電源に応じて、前記誘導体を介して誘導される気化促進組成物を気化させるように発熱される発熱体と、を備える
請求項11に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項14】
前記電極部は、
前記第1の案内流路と連通される吸入口、及び両方の端が開口された中空状の構造を有する前記霧化容器の内側の底面に電気的な接触をなしながら固定される結合ねじ部を有する電極ボディと、
前記電極ボディの一方の側に形成されるものであって、前記発熱体と電気的な接触を有するマイナス(-)電極と、
前記電極ボディの一方の側に形成されるものであって、前記発熱体と電気的な接触を有するプラス(+)電極と、を備える
請求項13に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項15】
前記発熱体には、前記電極に接続されながら前記誘導体に捲線されるものであって、ニッケル合金または希土類元素の合成体から製造されるコイル構造を有するフィラメント状の発熱線、あるいは、前記電極に接続される高周波または超高周波発生装置であって、前記誘導体は、前記高周波または超高周波発生装置と密着される平板構造に成形されるもの、あるいは、前記電極に電気的に並列接続されたペルチェ素子を備えるが、前記ペルチェ素子の吸熱板は前記発熱体と物理的に接触されるもの、あるいは、前記電極に接続されながら前記誘導体に捲線されるものであって、ニッケル合金または希土類元素の合成体から製造されるコイル構造を有するフィラメント状の発熱線及び高周波または超高周波発生装置を並行するもののうちから選ばれたいずれか一つが適用される
請求項14に記載の薬剤気化吸入器。
【請求項16】
前記気化促進組成物は、一般栄養素、無機質、ビタミン、アミノ酸、生理活性剤のうちのいずれか一種である
請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤気化吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤気化吸入器に係り、さらに詳しくは、喘息またはコロナウィルスなど感染患者が微粒子状の薬剤を吸入するときに、その薬剤が気化蒸気に混合されて吸入することにより、薬剤が肺まで十分に達せられるようにする薬剤気化吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の文明の発達には目を見張るものがあり、これに伴い、一般に、各種の公害と汚染により、現代人は、気管支喘息及びアトピーなど文明病と呼ばれる疾病に苦しんでいる。
【0003】
上記のような問題に対する解決策として、心身の安定及び免疫力の増加を図り、健康づくり及びタバコなどわが社会の否定的な文化にとって代わるような効果を得るために、アロマや薬剤などをいつでもどこでも時と場所を問わずにその有益が得られるように持ち運び可能な携帯型吸入器に関する数多くの研究が盛んに行われてきている。
【0004】
すなわち、喘息患者、または最近猖獗を極めていて全世界的に甚だしい被害を引き起こしているコロナウィルスなど感染患者の治療用に開発される薬剤は、計量されたエアロゾル及び吸入性溶剤タイプの気管支活性化合物を投与することの他に、活性物質を含む吸入粉末の用途が特に重要である。
【0005】
特に、高い有効性を有する活性物質の場合、治療学的な効果をもたらすためには、単一投与当たりにただの少量の活性物質しか必要ではない。このような場合、活性物質を好適な賦形剤にて希釈して吸入粉末を製造する。
【0006】
多量の賦形剤によって、吸入粉末の特性は、賦形剤の選択により大きく影響を受ける。賦形剤を選択するときに、粒子径が特に重要である。一般に、賦形剤が微細であれば微細であるほど、流動特性は不良になる。
【0007】
しかしながら、剤形の個別的な容量を梱包して分割する場合、例えば、粉末吸入用のカプセル(inhalette)を製造する場合、または患者が多重投与用の粉末吸入器を使用する前に個別的な容量を計量する場合、優れた流動特性は、非常に正確な計量のために欠かせない必要不可欠な条件である。
【0008】
また、賦形剤の粒子径は、吸入器に用いられる場合、カプセルの排出特性に非常に重要である。さらに、賦形剤の粒子径は、吸入により届く吸入粉末のうち、活性物質の割合に重要な影響を与えると言われている。活性物質の吸入比率は、呼吸により吸入される場合、肺の分枝(branch)に深く移動する吸入粉末の粒子を指し示すものであるが、求められる粒子径は、1~10μm、好ましくは、6μm未満である。
【0009】
しかしながら、従来、微細な粉末を微粒子にして噴射する粉末吸入器は、微粒子状の薬剤を吸入するときにその吸入される微粒子状の薬剤が肺まで十分に吸入できず、薬剤の一部が吸入器内に留まってしまう場合が頻繁に生じており、これにより、従来には、喘息またはコロナウィルスなど感染患者が損失量を考慮して薬剤を過剰に吸入するという不都合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、喘息または最近発病が拡散して数多くの患者を増加させているコロナウィルスなど感染患者が微粒子状の薬剤を吸入するときにその薬剤が気化蒸気に含まれるように構成することにより、薬剤が喘息またはコロナウィルスなど感染患者の肺まで損失なしに十分に達せられるようにして、薬剤の一部が吸入器内に留まることを防ぐことはもとより、薬剤の過剰な吸入を防ぐ薬剤気化吸入器を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題解決手段である一実施形態の薬剤気化吸入器は、気化促進組成物を収容する第1の貯留空間と、蒸気吐出用の第1の案内流路と、を有する気化容器と、前記気化容器の下部から前記第1の貯留空間へと嵌入した状態で配設されて毛細管現象を通じて前記第1の貯留空間に収容される気化促進組成物の排出を誘導する誘導体と、電源の供給時に発熱されながら、前記誘導体により誘導される気化促進組成物を気化させる微粒状気化部と、前記気化容器の上部に着脱自在に結合されるものであって、上面には喘息またはコロナウィルス感染患者用の粉末薬剤が密閉・貯留されたカプセルを収容するカプセル収容部が形成され、内部には、上下領域貫通型であって、底面から流れ込んで前記気化部から誘導される気化蒸気を前記カプセル収容部に位置するカプセルに向かって噴出できるように前記第1の案内流路と連通される蒸気吐出用の第2の案内流路を有する胴体部と、前記胴体部の上面に回転自在に結合されながら混合空間を形成するものであって、前記混合空間と連通される喘息またはコロナウィルス感染患者用の吸入接触管と前記カプセル固定部に収容される前記カプセルを切り裂く刃を有し、前記吸入接触管を介して気化された蒸気または前記カプセルから排出される粉末薬剤を前記第2の案内流路を介して導かれる気化された蒸気に含めて喘息またはコロナウィルス感染患者の肺に吸入させる蓋体部と、を備える。
【0012】
本発明の一局面により、前記カプセル収容部は、一対からなってカプセルの左右の側面を支持する第1の壁面部材と、前記第1の壁面部材とは方向を異にして隔設されてカプセルの両方の端部を支持する互いに向かい合う一対の第2の壁面部材を介して前記カプセルを収容する空間を形成するが、前記第1の壁面部材と前記第2の壁面部材との間には、前記蓋体部が回転するときに前記カプセルの上側の一方の面が前記刃により切り裂かれるように前記刃が通過する刃移動流路を形成する。
【0013】
本発明の他の一局面により、前記胴体部は、前記気化容器の上部から結合されるものであって、前記胴体部の上面の周縁側には前記蓋体部の回転を導くレール溝が形成され、前記レール溝の両端には突起嵌入溝を形成する。
【0014】
本発明のさらに他の一局面により、前記刃は、前記蓋体部の内側端から一対が突設され、前記蓋体部の内面の周縁側には、前記胴体部の突起嵌入溝に載置されて前記レール溝に沿って回転するロック突起を形成する。
【0015】
本発明のさらに他の一局面により、前記突起嵌入溝が形成される前記胴体部の外周面と前記ロック突起が形成される前記蓋体部の外周面には、それぞれ前記吸入接触管を介した気化された蒸気のみの排出位置、または前記カプセルから排出される粉末薬剤が気化された前記蒸気に含まれて排出できるようにする混合蒸気排出位置を導く第1及び第2の目印部を形成してもよい。
【0016】
本発明のさらに他の一局面により、前記第2の案内流路は、前記胴体部と前記蓋体部との間に置かれた前記カプセルに向かって気化された蒸気が噴出されるとき、前記蓋体部と前記胴体部との間に設けられる前記混合空間内において渦流を形成できるように上下に貫通するねじれ管状に形成してもよい。
【0017】
本発明のさらに他の一局面により、前記第2の案内流路は、前記胴体部の底面から前記カプセル収容部の内壁面へとつながる「┐」字状の通路をなすようにし、通路の内側の出口が前記カプセル収容部内の前記板状の第1の壁面部材と前記弧状の第2の壁面部材との間に離間した空間として設けられる刃移動流路に隣り合って位置するように構成することが好ましい。
【0018】
本発明のさらに他の一局面により、前記第2の案内流路は、前記胴体部の底面から垂直方向に向かって形成される垂直流路とともに、前記垂直流路から横方向につながり、その出口が前記カプセル収容部の内壁面に開かれるように形成される水平流路を有することにより、全体的に「┐」字状の断面を持った連結通路をなすように形成される。
【0019】
本発明のさらに他の一局面により、前記カプセル収容部の内壁面に開かれる前記水平流路は、前記胴体部の中心から一方の側に15~45°の勾配を保つように配設して、前記第1の案内流路を経て蒸気吐出用の第2の案内流路を介して噴出される気化蒸気が前記カプセル表面の部分切裂用の刃によって上側の一方の面が切り裂かれた前記カプセルの切裂面を向くようにするとともに、前記混合空間内において渦流を形成できるようにすることが好ましい。
【0020】
また、前記気化容器は、前記気化促進組成物を投入するための投液弁をさらに備える。
【0021】
さらに、前記第1の案内流路は、前記気化容器の中央に画設されるか、あるいは、前記気化容器の内周面に沿って形成される。
【0022】
さらにまた、前記誘導体は、前記気化容器または前記微粒状気化部の内部の空間を内部空間及び外部空間に仕切るように空気流入孔が形成される固定板に固定される。
【0023】
さらにまた、前記誘導体は、多層の発泡性ニッケル網、ステンレス繊維フェルト、高分子発泡体、金属多孔体、繊維質のうちのいずれか一つの素材またはこれらの組み合わせから製造される。
【0024】
さらにまた、前記微粒状気化部は、前記気化容器の一方の端に結合されるものであって、前記誘導体が固定される前記固定板が収容される霧化容器と、前記霧化容器内において螺旋結合される電源供給用の電極部と、前記霧化容器に収容される前記誘導体の外部面に形成されながら、前記電極部から供給される電源に応じて、前記誘導体を介して誘導される気化促進組成物を気化させるように発熱される発熱体と、を備える。
【0025】
さらにまた、前記電極部は、前記第1の案内流路と連通される吸入口、及び両方の端が開口された中空状の構造を有する前記霧化容器の内側の底面に電気的な接触をなしながら固定される結合ねじ部を有する電極ボディと、前記電極ボディの一方の側に形成されるものであって、前記発熱体と電気的な接触を有するマイナス(-)電極と、前記電極ボディの一方の側に形成されるものであって、前記発熱体と電気的な接触を有するプラス(+)電極と、を備える。
【0026】
さらにまた、前記発熱体には、前記電極に接続されながら前記誘導体に捲線されるものであって、ニッケル合金または希土類元素の合成体から製造されるコイル構造を有するフィラメント状の発熱線、あるいは、前記電極に接続される高周波または超高周波発生装置であって、前記誘導体は、前記高周波または超高周波発生装置と密着される平板構造に成形されるもの、あるいは、前記電極に電気的に並列接続されたフェルティエ素子を備えるが、前記フェルティエ素子の吸熱板は前記発熱体と物理的に接触されるもの、あるいは、前記電極に接続されながら前記誘導体に捲線されるものであって、ニッケル合金または希土類元素の合成体から製造されるコイル構造を有するフィラメント状の発熱線及び高周波または超高周波発生装置を並行するもの、あるいは、前記電極に電気的に並列接続されたフェルティエ素子を備えるが、前記フェルティエ素子の吸熱板は前記発熱体と物理的に接触されるもののうちから選ばれたいずれか一つが適用される。
【0027】
さらにまた、前記気化促進組成物は、一般栄養素、無機質、ビタミン、アミノ酸、生理活性剤のうちのいずれか一種であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
このように、本発明は、喘息またはコロナウィルスなど感染患者が微粒子状の薬剤を吸入するとき、その薬剤が気化蒸気に含まれるように構成したものであり、これを通じて、薬剤が喘息またはコロナウィルスなど感染患者の肺まで損失なしに十分に達せられるようにして、薬剤の一部が吸入容器内に留まることを防ぎ、薬剤の過剰な吸入を防ぎながら、喘息またはコロナウィルスなど感染患者の薬剤の吸入効率を向上させるという効果を期待することができる。
【0029】
本発明の効果は、上述した効果に何ら制限されるものではなく、未言及の他の効果は、特許請求の範囲の記載から当業者にとって明らかに理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態であって、薬剤気化吸入器の構造を示す分解斜視図。
図2】本発明の一実施形態であって、薬剤気化吸入器の構造を示す組み立て状態の断面図。
図3】本発明の一実施形態であって、胴体部の構造を示す拡大斜視図。
図4】本発明の一実施形態であって、図3の平面概略図。
図5】本発明の一実施形態であって、蓋体部の構造を示す拡大斜視図。
図6】本発明の一実施形態であって、図5の平面概略図。
図7】本発明の第2の実施形態であって、胴体部の構造を示す拡大斜視図。
図8】(ア)(イ)は、本発明の第2の実施形態を示している図7の平面図及び底面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態であって、薬剤気化吸入器の構造を示す分解斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態であって、薬剤気化吸入器の構造を示す組み立て状態の断面図であり、図3は、本発明の一実施形態であって、胴体部の構造を示す拡大斜視図である。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態であって、図3の平面概略図であり、図5は、本発明の一実施形態であって、蓋体部の構造を示す拡大斜視図であり、図6は、本発明の一実施形態であって、図5の平面概略図である。
【0034】
添付の図1から図6を参照すると、本発明の一実施形態に係る薬剤気化吸入器は、気化容器10と、誘導体20と、微粒状気化部30と、胴体部40と、蓋体部50と、を備える。
【0035】
前記気化容器10には、気化促進組成物を収容する第1の貯留空間11、及び前記気化促進組成物が前記微粒状気化部30により気化されるときにその気化された蒸気を前記胴体部40に吐出するための蒸気吐出用の第1の案内流路12が形成されてもよい。
【0036】
ここで、前記気化容器10には前記気化促進組成物を投入するための投液弁13が形成され、前記第1の案内流路12は、前記気化容器10の中央に画設されるか、あるいは、前記気化容器10の内周面に沿って形成される。
【0037】
すなわち、前記気化容器10は、中央に前記第1の案内流路12が埋め込まれた状態で配設された中空状の構造物であって、前記第1の案内流路12の周りは一体化された連通構造を有することができる。
【0038】
ここで、前記気化促進組成物は、人体に無害な要素であって、一般栄養素、無機質、ビタミン、アミノ酸、生理活性剤のうちのいずれか一種であってもよい。
【0039】
前記一般栄養素としては、水分、タンパク質、脂質、炭水化物、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維、総食物繊維及び糖のうちのいずれか一種が選ばれるか、あるいは、無機質のカルシウム、リン、鉄、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、コバルト、銅、モリブデン、セレニウム、フッ素、ヨウ素、灰分のうちのいずれか一種または二種以上の組み合わせが選ばれてもよく、あるいは、ビタミンとして、ビタミンA、レチノール(RE)、ベータカロチン、チアミン、リボフラビン、ニアシン、ビタミンC、ビタミンB6、パントテン酸、ビタミンB12、葉酸、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンのうちのいずれか一種または二種以上の組み合わせが選ばれてもよく、あるいは、アミノ酸として、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリンのうちのいずれか一種または二種以上の組み合わせが選ばれてもよく、あるいは、生理活性剤として、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、ペチュニジン、エピカテキン、エピカテキン3-ガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキン3-ガレート、カテキン、ガロカテキン、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ナリンゲニン、アピゲニン、ルテオリン、イソラムネチン、ケンフェロール、ミリセチン、ケルセチン、モノマープロアントシアニジン、ダイマープロアントシアニジン、トリマープロアントシアニジン、4-6mersプロアントシアニジン、7-10mersプロアントシアニジン、ポリマープロアントシアニジン、コリン、ベタニン、プロコリン、グリセロホスホコリン、ホスホコリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンのうちのいずれか一種または二種以上の組み合わせが選ばれてもよい。
【0040】
また、前記気化促進組成物は、アミノ酸、ギンコビローバ(Gingko Biloba)、コエンザイムQ10(Co-Q10)、ホスファチジルセリン(Phosphatidyl Serine;PS)、α-リポ酸(AlphaLipoic Acid)、無機塩類、ミネラルのうちのいずれか一種の栄養成分と、緑茶、アマドコロ、チョウセンゴミシ茶、ヤブラン茶、とうもろこしのひげ茶、梅茶、みかんの皮茶、菊花茶、ゴカヒ、カリン、クズ、クコの実、サンシュユの実、柿の葉、トチュウ、ウーロン茶、フユアオイの種茶のうちのいずれか一種の茶成分と、オレンジ、レモン、グレープフルーツのうちのいずれか一種の果物成分と、ブロッコリーエキス、キャベツエキス、玉ねぎ、ニンニク、ショウガ、レタスエキス、ケールエキス、キキョウエキス、トマトエキスのうちのいずれか一種の野菜成分と、イチョウの葉、覆盆子(トックリイチゴ)、クコの実、チョウセンゴミシ、蛇床子(ヤブジラミの成熟果実)、兎絲子(ネナシカズラの種子)、サンシュユの実、決明子(エビスグサの種)のうちのいずれか一種の漢方成分と、ローヤルゼリー、梅、ケンポナシ、キシリトールのうちのいずれか一種の機能性成分のうちのいずれか一種または二種以上の組み合わせが選ばれる群をさらに含んでいてもよいものである。
【0041】
前記誘導体20は、前記気化容器10の下部に密着または嵌入した状態で配設されて毛細管現象を通じて前記第1の貯留空間11に収容される気化促進組成物の排出を誘導するものであって、これは、前記気化容器10または前記微粒状気化部30の内部の空間を内部空間及び外部空間に仕切るように前記第1の案内流路12と連通される空気流入孔21aが形成される固定板21に固定されてもよい。
【0042】
このとき、前記誘導体20は、多層の発泡性ニッケル網、ステンレス繊維フェルト、高分子発泡体、金属多孔体、繊維質のうちのいずれか一種の素材またはこれらの組み合わせから製造されてもよい。
【0043】
ここで、前記誘導体20は、第1の貯留空間11内の気化促進組成物と直接的に接触されることにより、気化促進組成物の移動経路を短縮することができ、これは、気化促進組成物の粘性が高い場合に粘性による流体の移動が阻害されることを防ぐためである。
【0044】
前記誘導体20は、配設の過程において前記気化容器10の下部と互いに隙間ができることがあり、このような隙間により前記第1の貯留空間11に貯留される気化促進組成物が流出されることが懸念されるため、前記第1の貯留空間11の内部に繊維材質を収容することにより、気化促進組成物の流出を防げるようにしている。
【0045】
一方、本発明の実施形態において、前記誘導体20の終端部は、前記気化容器10の下部に嵌入した状態で配設されると説明したが、気化促進組成物の流出の懸念を考慮したとき、図示はしないが、本発明の他の実施形態によると、前記誘導体20の終端部が前記気化容器10の下部に密着または接着されるようにしてもよいが、このとき、前記気化容器10の下部は、誘導体20が嵌入した状態で配設されるための構造ではないため、連通溝が形成されてもよい。
【0046】
結局、本発明の他の実施形態によれば、前記誘導体20が連通溝に密着されるための構造として、前記誘導体20の直径を前記連通溝よりも大きく設計した後、シリコンを用いて前記誘導体20の終端部を連通溝の外周部に接着する構造を有してもよく、あるいは、前記誘導体20の直径が前記連通溝よりも大きくなるように設計した後、誘導体20を連通溝に圧力を加えて配設することにより、連通溝を介して流出される気化促進組成物が前記誘導体20に吸収されるようにしててもよい。
【0047】
前記微粒状気化部30は、電源の供給時に発熱されながら、前記誘導体20により誘導される気化促進組成物を気化させるものであって、霧化容器31と、電極部32と、発熱体33及びケース34を備える。
【0048】
前記霧化容器31は、前記気化容器10の一方の端に結合され、他方の端には前記ケース34が結合されるものであって、前記誘導体20が固定される前記固定板21が収容されてもよい。
【0049】
前記電極部32は、前記霧化容器31内に結合されるものであって、前記発熱体33に電源を供給するように構成される。
【0050】
すなわち、前記電極部32は、前記第1の案内流路12と連通される吸入口321a、及び両方の端が開口された中空状の構造を有する前記霧化容器31の内側の底面に電気的な接触をなしながら固定される結合ねじ部321bを有する電極ボディ321を備え、かつ、前記電極ボディ321の一方の側には前記発熱体33と電気的な接触を有するマイナス(-)電極322とプラス(+)電極323を有する。
【0051】
前記発熱体33は、前記霧化容器31に収容される前記誘導体20の外部面に形成されながら、前記電極部32から供給される電源に応じて、前記誘導体20を介して誘導される気化促進組成物を気化させるように発熱される。
【0052】
このとき、前記発熱体33は、前記電極322、323に接続されながら、前記誘導体20に捲線されるものであって、ニッケル合金または希土類元素の合成体から製造されるコイル構造を有するフィラメント状の発熱線が使用可能である。
【0053】
一方、前記発熱体33は、前記電極322、323に接続される高周波または超高周波発生装置であってもよく、この場合、前記誘導体20は、前記高周波または超高周波発生装置と密着される平板構造に成形されてもよい。
【0054】
また、前記発熱体33は、前記電極322、323に電気的に並列接続されたフェルティエ素子を備えるが、前記フェルティエ素子の吸熱板は、前記発熱体33と物理的に接触できるように構成されてもよい。
【0055】
のみならず、前記発熱体33は、前記電極322、323に接続されながら、前記誘導体20に捲線されるものであって、ニッケル合金または希土類元素の合成体から製造されるコイル構造を有するフィラメント状の発熱線及び高周波または超高周波発生装置が並行できるようにしてもよく、あるいは、前記電極322、323に電気的に並列接続されたフェルティエ素子を備えるが、前記フェルティエ素子の吸熱板は、前記発熱体33と物理的に接続されるように構成してもよい。
【0056】
前記胴体部40は、前記気化容器10の上部に着脱自在に結合されるものであって、上面には喘息またはコロナウィルスなど感染患者用の粉末薬剤が密閉・貯留されたカプセル41を収容するカプセル収容部42が第1の実施形態として例示される図1から図4でのように突出する形状に、あるいは、第2の実施形態として例示される図7から図8でのように凹んだ形状に形成され、その内部には、上下領域貫通型であって、前記第1の案内流路12と連通される蒸気吐出用の第2の案内流路43が形成されるが、このような第2の案内流路43は、喘息またはコロナウィルスなど感染患者用の粉末薬剤が密閉・貯留されたカプセル41に向かうように位置するように形成されてもよい。
【0057】
併せて、前記胴体部40の上面の周縁側には、前記蓋体部50の回転を導くレール溝44が形成されることはもとより、前記レール溝44の両端には、突起嵌入溝45が形成されてもよい。
【0058】
前記カプセル収容部42の第1の実施形態は、図1から図6に例示されている。前記胴体部40の上面から突出する形状の前記カプセル収容部42は、一対からなって前記カプセル41の左右の側面を支持する板状の第1の壁面部材42a、42a’と、前記第1の壁面部材42a、42a’と方向を異にして隔設されてカプセル41の両方の端部を弧状に支持する互いに向かい合う一対の第2の壁面部材42b、42b’を介して前記カプセル41を収容する空間を形成する。
【0059】
前記板状の第1の壁面部材42a、42a’と前記弧状の第2の壁面部材42b、42b’との間には、離間した距離を保ちながら形成される刃移動流路42cを配設して、前記蓋体部50が回転するときに前記カプセル41の上側の一方の面が切り裂かれるように後述する刃53が通過する空間を確保する。
【0060】
また、前記カプセル収容部42の第2の実施形態は、図7から図8に例示されている。図7は、本発明の他の実施形態であって、胴体部の構造を拡大して示しており、図8の(ア)(イ)は、本発明の他の一実施形態を示している図7の胴体部の平面図と底面図を区別してそれぞれ示している。
【0061】
本発明の第2の実施形態に係る前記カプセル収容部42は、前記胴体部40の上面から凹んだ形状の前記カプセル収容部42を示しているものであって、一対からなって前記カプセル41の左右の側面を支持する板状の第1の壁面部材42aと、前記第1の壁面部材42aと方向を異にして隔設されてカプセル41の両方の端部を支持する互いに向かい合う一対の弧状の第2の壁面部材42bと、を備える一方、前記板状の第1の壁面部材42aと前記弧状の第2の壁面部材42bとの間には、前記蓋体部50が回転するときに前記カプセル41の上側の一方の面が切り裂かれるように刃移動流路42cを確保している。
【0062】
なお、前記蓋体部50は、前記胴体部40の上面に回転自在に結合されるものであって、内側の下部には、前記胴体部40の上面に配設される前記カプセル収容部42と向かい合う混合空間51が形成される。
【0063】
前記混合空間51の中央には、上側につながる喘息またはコロナウィルス感染患者用の吸入接触管52が上下に貫通する開放状の構造に形成され、前記蓋体部50の内側の底面には、前記カプセル収容部42に置かれる前記カプセル41の表面を部分的に切り裂くための刃53が下向きに突設されている。
【0064】
このようなカプセル表面の部分切裂用の刃53は、前記蓋体部50が回転するときに前記胴体部40の上面に配設される前記カプセル収容部42内の前記板状の第1の壁面部材42aと前記弧状の第2の壁面部材42bとの間に離間した空間として設けられる刃移動流路42cを通過しながら、前記カプセル収容部42に置かれた前記カプセル41の上側の一方の面を切り裂くことにより、前記カプセル41から粉末薬剤が排出できるようにする。
【0065】
前記胴体部40の上面に配設される前記カプセル収容部42の外側には、前記板状の第1の壁面部材42aと前記弧状の第2の壁面部材42bにより固定された状態で収容される前記カプセル41に向かって気化された蒸気を噴出できるように第2の案内流路43を形成する。
【0066】
このとき、前記第2の案内流路43は、前記第1の案内流路12を経て誘導される気化された蒸気が前記カプセル41に向かって噴出されるようにして、前記カプセル表面の部分切裂用の刃53によって上側の一方の面が切り裂かれた前記カプセル41から排出される粉末薬剤を気化された蒸気に含めて前記吸入接触管52を介して利用者が吸入できるように上下領域貫通型に配設する。
【0067】
このような前記第2の案内流路43は、前記胴体部40と前記蓋体部50との間に置かれた前記カプセル41に向かって気化された蒸気が噴出されるとき、前記蓋体部50と前記胴体部40との間に設けられる前記混合空間51内において渦流を形成できるようにすることが好ましく、したがって、第1の実施形態として例示される図1から図6でのように上下貫通型に形成する場合、ねじれ管状に形成する。
【0068】
しかしながら、第2の実施形態として例示される前記第2の案内流路43は、図7から図8でのように、前記カプセル収容部42が凹んだ形状に形成されるものであって、前記胴体部40の底面から垂直方向に向かって形成される垂直流路43aとともに、前記垂直流路43aから横方向につながり、その出口が前記カプセル収容部42の内壁面に開かれるように形成される水平流路43bにより全体的に「┐」字状の断面を持った連結通路をなすように形成する。
【0069】
このとき、前記カプセル収容部42の内壁面に開かれる水平流路43bは、前記胴体部40の中心から一方の側に向かって15~45°の勾配を保つようにするものであるが、これは、前記第1の案内流路12を経て蒸気吐出用の第2の案内流路43を介して噴出される気化蒸気が前記カプセル表面の部分切裂用の刃53によって上側の一方の面が切り裂かれた前記カプセル41の切裂面を向くようにするとともに、上下の両方向から噴出される気化蒸気の噴出圧によって前記カプセル41の切裂面において分離される粉末薬剤が回転して混合されながら、前記蓋体部50と前記胴体部40との間に設けられる前記混合空間51内において渦流を形成できるようにするためである。
【0070】
換言すれば、前記第2の案内流路43の出口が前記カプセル収容部42内の第1の壁面部材42aと第2の壁面部材42bとの間に離間した空間として設けられる刃移動流路42cを向くように配設するのである。
【0071】
これにより、前記カプセル41に向かって噴出される気化蒸気が前記カプセル表面の部分切裂用の刃53によって上側の一方の面が切り裂かれた前記カプセル41から排出される粉末薬剤に直接的に接触できるようにし、これを通じて、粉末薬剤の混合効果を極大化させることが可能になる。
【0072】
前記蓋体部50の内面の周縁側には、前記突起嵌入溝45に載置されて前記レール溝44に沿って回転するロック突起54が形成され、前記突起嵌入溝45が形成される前記胴体部40の外周面と前記ロック突起54が形成される前記蓋体部50の外周面には、それぞれ第1及び第2の目印部T1、T2が形成されてもよい。
【0073】
前記第1及び第2の目印部T1、T2は、前記蓋体部50の回転範囲に応じて、前記カプセル収容部42に位置する前記カプセル41を損傷させることなく、前記第1の案内流路12を経て誘導される気化された純粋な蒸気のみを前記吸入接触管52を介して選択的に排出できるようにするか、あるいは、前記カプセル41から排出される粉末薬剤が気化された前記蒸気に含まれて粉末混合気体として排出できるようにする位置を導くことができる。
【0074】
以上の実施形態に係る薬剤気化吸入器は、添付の図1から図8でのように、まず、気化容器10の投液弁13を開いて、前記気化容器10内の第1の貯留空間11に気化促進組成物を充填する。
【0075】
次いで、胴体部40のカプセル収容部42に微粒子状の粉末薬剤が密閉・貯留されるカプセル41を載置した状態で、前記気化容器10の上部に前記胴体部40を螺旋結合する一方、前記胴体部40の上部に蓋体部50を結合する。
【0076】
次いで、前記気化容器10の一方の端に形成される微粒状気化部30に電源を供給すると、前記微粒状気化部30内の電極部32を介して発熱体33に電源が供給されながら、前記発熱体33は、誘導体20に誘導される気化促進組成物を気化させて蒸気を生じさせ、このような気化された蒸気は、前記誘導体20が固定される固定板21の空気流入孔21aを介して前記気化容器10内の第1の案内流路12を経て前記胴体部40に形成される第2の案内流路43に吐出されることが可能になる。
【0077】
このとき、喘息またはコロナウィルスなど感染患者が前記第2の案内流路43に吐出される気化された蒸気のみを吸入しようとする場合、喘息またはコロナウィルスなど感染患者は、前記胴体部40と前記蓋体部50の外周面に形成される第1及び第2の目印部T1、T2を注視しながら、前記蓋体部50の回転を最小限に抑える。
【0078】
すなわち、前記蓋体部50に形成されるロック突起54が前記胴体部40に形成される一方の端の突起載置溝45に載置された後、レール溝44に沿って回転ガイドされるとき、前記カプセル収容部42に形成される刃移動流路42cを通過しないように前記蓋体部50の回転を最小限に抑えるのである。
【0079】
すると、前記カプセル収容部42に載置されるカプセル41は、前記蓋体部50に形成される刃53により切り裂かれなくなり、かつ、前記カプセル41からの粉末薬剤の排出は行われず、これにより、喘息またはコロナウィルスなど感染患者が前記蓋体部50に形成される吸入接触管52を口にくわえて呼吸をすると、前記第2の案内流路43を介して気化された蒸気のみが喘息またはコロナウィルスなど感染患者の肺に達することができる。
【0080】
これに対し、喘息またはコロナウィルスなど感染患者が前記第2の案内流路43に吐出される気化された蒸気に前記カプセル41内の粉末薬剤を混合した後、これを吸入しようとする場合、喘息またはコロナウィルスなど感染患者は、前記胴体部40と前記蓋体部50の外周面に形成される第1及び第2の目印部T1、T2を注視しながら、前記蓋体部50の回転量を増やす。
【0081】
すなわち、前記蓋体部50に形成されるロック突起54が前記胴体部40に形成される一方の端の突起載置溝45に載置された後、レール溝44に沿って回転ガイドされながら、前記カプセル収容部42に形成される刃移動流路42cを通過して他方の端の突起載置溝45に載置するように前記蓋体部50の回転量を増やすのである。
【0082】
すると、前記カプセル収容部42に載置されるカプセル41は、前記蓋体部50に形成される刃53により切り裂かれながら、前記カプセル41に密閉・貯留されていた粉末薬剤が排出されるわけであるため、前記蓋体部50の吸入接触管52を口にくわえて前記粉末薬剤を吸入すると、前記粉末薬剤は、前記第2の案内流路43を介して混合空間51に吐出される気化された蒸気に混合されながら、前記吸入接触管52を介して損失なしに喘息またはコロナウィルスなど感染患者の肺に達することができる。
【0083】
すなわち、喘息またはコロナウィルスなど感染患者が前記吸入接触管52を介して前記カプセル41から排出される粉末薬剤を吸入すると、前記粉末薬剤は、前記第2の案内流路43を介して混合空間51から吐出される気化された蒸気に混合されることが可能になり、このように粉末薬剤の混合された気化された蒸気は、前記粉末薬剤を喘息またはコロナウィルスなど感染患者の肺に漫勉なく届けることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上、本発明の薬剤気化吸入器に関する技術思想について添付図面と結び付けて述べたが、これは、単に本発明の最も好適な実施形態を例示的に説明したものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0085】
よって、本発明は、上述した特定の実施形態に何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、誰でも種々の変形実施が可能であるということはいうまでもなく、そのような変更は、特許請求の範囲に記載の範囲内に収まることになる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8