(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】電池モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/591 20210101AFI20240624BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240624BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240624BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20240624BHJP
H01M 50/528 20210101ALI20240624BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240624BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20240624BHJP
【FI】
H01M50/591 101
H01M50/178
H01M50/211
H01M50/50 201A
H01M50/528
H01M50/588
H01M50/593
(21)【出願番号】P 2021540427
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 KR2019017026
(87)【国際公開番号】W WO2020184813
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0028249
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ブム・チョ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジュン・キム
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-158434(JP,A)
【文献】特表2019-500736(JP,A)
【文献】特表2016-513855(JP,A)
【文献】特表2013-502675(JP,A)
【文献】特開2000-011969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/588 - 595
H01M 50/211
H01M 50/50 - 526
H01M 50/178
H01M 50/528
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体に連結されたバスバーフレームと、
前記電池セル積層体に含まれている電池セルのうち互いに隣り合う電池セルからそれぞれ突出したセルテラスと、
前記セルテラスからそれぞれ突出する電極リードと、
前記電極リードのうち互いに隣り合う電極リードの間に位置し、前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分を覆う絶縁接着層とを含み、
前記絶縁接着層は、前記セルテラスと前記電極リードとによって形成される段差部分に密着して、前記段差部分の前後の、前記セルテラスの上面および前記電極リードの上面ならびに/または前記セルテラスの下面および前記電極リードの下面を覆
い、
前記絶縁接着層の末端から前記電池セルの端部までの直線距離は、前記絶縁接着層を挟んで互いに隣接した第1電極リードおよび第2電極リードそれぞれが前記セルテラスから突出する開始点と前記電池セルの端部までの直線距離のうちより短い直線距離に等しいか、より短い、電池モジュール。
【請求項2】
前記絶縁接着層は、一液型液状接着剤で形成される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記絶縁接着層を挟んでいる前記互いに隣り合う電極リードの極性は、同一である、請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
互いに同一の極性を有する前記電極リードが突出して出る前記セルテラスは、前記電極リードが突出して出る方向に沿って間隔が狭くなる、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記電極リードは、前記バスバーフレームに形成されたリードスロットに挿入され、互いに隣り合うセルテラスの端部のうちの1つの端部と、他の1つの端部に連結された電極リードは、前記絶縁接着層によって離隔が維持される、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体に連結されたバスバーフレームと、
前記電池セル積層体に含まれている電池セルのうち互いに隣り合う電池セルからそれぞれ突出したセルテラスと、
前記セルテラスからそれぞれ突出する電極リードと、
前記電極リードのうち互いに隣り合う電極リードの間に位置し、前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分を覆う絶縁接着層とを含み、
前記絶縁接着層は、前記セルテラスと前記電極リードとによって形成される段差部分に密着し、
前記絶縁接着層の末端から前記電池セルの端部までの直線距離は、前記絶縁接着層を挟んで互いに隣接した第1電極リードおよび第2電極リードそれぞれが前記セルテラスから突出する開始点と前記電池セルの端部までの直線距離のうちより短い直線距離に等しいか、より短い、電池モジュール。
【請求項7】
前記絶縁接着層を挟んで互いに隣り合う電極リードは、前記バスバーフレームに形成されたリードスロットを通過して前記バスバーフレームの後面で接して溶接される、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記バスバーフレームには、前記電極リードを離隔させる複数のパスガイダが形成されており、前記複数のパスガイダのうち互いに隣り合うパスガイダの間には、少なくとも1つの絶縁接着層が形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、
前記電池セル積層体に連結されたバスバーフレームと、
前記電池セル積層体に含まれている電池セルのうち互いに隣り合う電池セルからそれぞれ突出したセルテラスと、
前記セルテラスからそれぞれ突出する電極リードと、
前記電極リードのうち互いに隣り合う電極リードの間に位置し、前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分を覆う絶縁接着層とを含み、
前記絶縁接着層は、前記セルテラスと前記電極リードとによって形成される段差部分に密着し、
前記電極リードは、互いに隣り合う第1電極リードと、第2電極リードと、第3電極リードとを含み、
前記絶縁接着層は、前記第1電極リードと前記第2電極リードとの間に位置する第1絶縁接着層と、前記第2電極リードと前記第3電極リードとの間に位置する第2絶縁接着層とを含み、
前記第1絶縁接着層と前記第2絶縁接着層は、前記第2電極リードに接触する、電池モジュール。
【請求項10】
複数の電池セルを積層して電池セル積層体を形成する段階と、
前記電池セルそれぞれから突出したセルテラスの間に絶縁接着層が配置されるようにバスバーフレームを前記電池セル積層体に連結する段階とを含み、
前記絶縁接着層は、前記セルテラスからそれぞれ突出する電極リードのうち互いに隣り合う電極リードの間に位置し、
前記絶縁接着層は、前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分に形成される段差を塗布して、前記段差の前後の、前記セルテラスの上面および前記電極リードの上面ならびに/または前記セルテラスの下面および前記電極リードの下面を覆う一液型液状接着剤で形成され
、
前記絶縁接着層の末端から前記電池セルの端部までの直線距離は、前記絶縁接着層を挟んで互いに隣接した第1電極リードおよび第2電極リードそれぞれが前記セルテラスから突出する開始点と前記電池セルの端部までの直線距離のうちより短い直線距離に等しいか、より短い、電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記一液型液状接着剤は、ジェッティングバルブ、スプレー方式およびパッドプリンティング方式のうちの1つを用いて塗布する、請求項10に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項12】
複数の電池セルを積層して電池セル積層体を形成する段階と、
前記電池セルそれぞれから突出したセルテラスの間に絶縁接着層が配置されるようにバスバーフレームを前記電池セル積層体に連結する段階とを含み、
前記絶縁接着層は、前記セルテラスからそれぞれ突出する電極リードのうち互いに隣り合う電極リードの間に位置し、
前記絶縁接着層は、前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分に形成される段差を塗布する一液型液状接着剤で形成され、
前記絶縁接着層を形成する段階は、
前記電池セルの一面上に前記一液型液状接着剤の供給部を配置する段階と、
前記供給部を介して前記電池セルの一面と同一の平面上に位置する前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分に前記一液型液状接着剤を形成する段階と、
前記電池セルの他の一面が前記供給部を向くように前記電池セルを180度反転する段階と、
前記電池セルの他の一面と同一の平面上に位置する前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分に前記一液型液状接着剤を形成する段階とを含む、電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2019年3月12日付の韓国特許出願第10-2019-0028249号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池モジュールおよびその製造方法に関し、より具体的には、意図しない電気的連結による安定性の問題を防止する電池モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
製品群による適用の容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車またはハイブリッド自動車、電力貯蔵装置などに普遍的に応用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少させることができるという一次的な利点だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという点から、環境配慮およびエネルギー効率性アップのための新たなエネルギー源として注目されている。
【0004】
上記電気自動車などに適用される電池パックは、高出力を得るために、複数の単位セルを含む多数のセルアセンブリを直列に連結した構造を有している。そして、上記単位セルは、正極および負極集電体、セパレータ、活物質、電解液などを含み、構成要素間の電気化学的反応により繰り返しの充放電が可能である。
【0005】
一方、近年、エネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量構造への必要性が高まるにつれ、多数の二次電池が直列および/または並列に連結された多数の電池モジュールを集合させたマルチモジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0006】
一方、複数の電池セルを直列/並列に連結して電池パックを構成する場合、少なくとも1つの電池セルからなる電池モジュールを先に構成し、このような少なくとも1つの電池モジュールを用いてその他の構成要素を追加して電池パックを構成する方法が一般的である。
【0007】
従来の電池モジュールは、相互積層される複数の電池セルと、複数の電池セルの電極リードを電気的に連結するバスバーアセンブリとを含んで構成される。ここで、バスバーアセンブリは、それぞれの電池セルの電極リードを個別的に通過させるリードスロットを備えるバスバーフレームと、バスバーフレームに装着され、リードスロットの個数に対応するように備えられるバスバースロットを備え、バスバースロットを通過した電極リードと溶接などで連結されるバスバーとを含んで構成される。
【0008】
しかし、従来の電池モジュールでは、セルテラスと電池セルの個数が増えると、その分電極リードの個数も増加し、電極リードとセルテラスの形状がコンパクトになる場合が発生するので、隣り合う電極リードとセルテラスの周縁とが接触することがある。
【0009】
図1は、従来の電池モジュールにおけるバスバーフレームを示す図である。
図2は、
図1の「A」領域の拡大図である。具体的には、
図2Aは、電極リード40とセルテラス30の周縁とが接触する可能性を示す断面図であり、
図2Bは、電極リード40とセルテラス30の周縁とが接触するのを防止するために絶縁テープ60を付着させたことを示す断面図である。
【0010】
図1を参照すれば、複数の電池セル10が積層され、電池セル10を覆うパウチから延びたセルテラス30から突出する電極リード40が少なくとも1つ接して1つのリードスロットを通過している。
【0011】
図2Aを参照すれば、隣り合うセルテラス30間の間隔が電池セル10から遠くなるにつれて次第に狭くなる構造を有する時、電極リード40とセルテラス30の周縁とが近接するようになり、これらが接触しうる。電極リード40とセルテラス30の周縁とが接触すれば、セルテラス30が電位を呈して、電池セル10の寿命が低下したり、パウチが腐食することがある。
【0012】
図2Bを参照すれば、先に言及した電極リード40とセルテラス30の周縁との接触を防止するために、別途の絶縁テープ60を付着させることができる。しかし、絶縁テープ60を付着させる方式は、追加の費用および工程が発生し、付着位置が適切でなくなれば依然として接触が発生する可能性がある。また、絶縁テープ60の接着力を永久的に維持できず、絶縁テープ60が離脱する可能性も発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、電極リードが、これに隣接したセルテラスの周縁に当たらないようにする電池モジュールおよびその製造方法を提供することである。
【0014】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例による電池モジュールは、複数の電池セルが積層されている電池セル積層体と、前記電池セル積層体に連結されたバスバーフレームと、前記電池セル積層体に含まれている電池セルのうち互いに隣り合う電池セルからそれぞれ突出したセルテラスと、前記セルテラスからそれぞれ突出する電極リードと、前記電極リードのうち互いに隣り合う電極リードの間に位置し、前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分を覆う絶縁接着層とを含み、前記絶縁接着層は、前記セルテラスと前記電極リードとによって形成される段差部分に密着する。
【0016】
前記絶縁接着層は、一液型液状接着剤で形成される。
【0017】
前記絶縁接着層を挟んでいる前記互いに隣り合う電極リードの極性は、同一であってよい。
【0018】
互いに同一の極性を有する前記電極リードが突出して出る前記セルテラスは、前記電極リードが突出して出る方向に沿って間隔が狭くなる。
【0019】
前記電極リードは、前記バスバーフレームに形成されたリードスロットに挿入され、互いに隣り合うセルテラスの端部のうちの1つの端部と、他の1つの端部に連結された電極リードは、前記絶縁接着層によって離隔が維持できる。
【0020】
前記絶縁接着層の末端から前記電池セルの端部までの直線距離は、前記絶縁接着層を挟んで互いに隣接した第1電極リードおよび第2電極リードそれぞれが前記セルテラスから突出する開始点と前記電池セルの端部までの直線距離のうちより短い直線距離に等しいか、より短い。
【0021】
前記絶縁接着層を挟んで互いに隣り合う電極リードは、前記バスバーフレームに形成されたリードスロットを通過して前記バスバーフレームの後面で接して溶接できる。
【0022】
前記バスバーフレームには、前記電極リードを離隔させる複数のパスガイダが形成されており、前記複数のパスガイダのうち互いに隣り合うパスガイダの間には、少なくとも1つの絶縁接着層が形成される。
【0023】
前記電極リードは、互いに隣り合う第1電極リードと、第2電極リードと、第3電極リードとを含み、前記絶縁接着層は、前記第1電極リードと前記第2電極リードとの間に位置する第1絶縁接着層と、前記第2電極リードと前記第3電極リードとの間に位置する第2絶縁接着層とを含み、前記第1絶縁接着層と前記第2絶縁接着層は、前記第2電極リードに接触することができる。
【0024】
本発明の他の実施例による電池モジュールの製造方法は、複数の電池セルを積層して電池セル積層体を形成する段階と、前記電池セルそれぞれから突出したセルテラスの間に絶縁接着層が配置されるようにバスバーフレームを前記電池セル積層体に連結する段階とを含み、前記絶縁接着層は、前記セルテラスからそれぞれ突出する電極リードのうち互いに隣り合う電極リードの間に位置し、前記絶縁接着層は、前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分に形成される段差を塗布する一液型液状接着剤で形成される。
【0025】
前記一液型液状接着剤は、ジェッティングバルブ(jetting valve)、スプレー方式およびパッドプリンティング方式のうちの1つを用いて塗布することができる。
【0026】
前記絶縁接着層を形成する段階は、前記電池セルの一面上に前記一液型液状接着剤の供給部を配置する段階と、前記供給部を介して前記電池セルの一面と同一の平面上に位置する前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分に前記一液型液状接着剤を形成する段階と、前記電池セルの他の一面が前記供給部を向くように前記電池セルを180度反転する段階と、前記電池セルの他の一面と同一の平面上に位置する前記セルテラスと前記電極リードとの境界部分に前記一液型液状接着剤を形成する段階とを含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
実施例によれば、電極リードが、これに隣接したセルテラスの周縁の間に一液型液状接着剤からなる絶縁接着層を形成することによって、電極リードがこれに隣接したセルテラスの周縁に当たらないようにして、パウチの腐食とセルの寿命が低下する現象を防止する電池モジュールを実現することができる。
【0028】
また、液状接着剤を用いて絶縁接着層を形成することによって、既存の絶縁テープに比べて接着力に対する信頼性を高めることができる。
【0029】
さらに、一液型液状接着剤を用いることによって、二液型液状接着剤に必要な原液と硬化剤との混合工程を削除して費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来の電池モジュールにおけるバスバーフレームを示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による電池モジュールにおけるセルテラスと電極リードとの境界に絶縁接着層が形成された様子を示す図である。
【
図5】本発明の一実施例による電池モジュールに含まれている複数の電池セルとバスバーフレームの分解斜視図である。
【
図6】
図5の複数の電池セルとバスバーフレームとが結合された様子を示す斜視図である。
【
図7】
図6の電池モジュールに含まれている電池セルの斜視図である。
【
図8】本発明の一実施例による電池セル積層体にバスバーフレームが装着された構造を示す図である。
【
図10】
図9の絶縁接着層の配置が変形された実施例を示す図である。
【
図11】本発明の他の実施例による電池モジュールの製造方法を示す図である。
【
図12】本発明の他の実施例による電池モジュールの製造方法を示す図である。
【
図13】本発明の他の実施例による電池モジュールの製造方法を示す図である。
【
図14】本発明の他の実施例による電池モジュールの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0032】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0033】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0034】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置するものであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上に」位置することを意味するわけではない。
【0035】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0036】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは、対象部分を上からみた時を意味し、「断面上」とする時、これは、対象部分を垂直に切断した断面を横からみた時を意味する。
【0037】
図3は、本発明の一実施例による電池モジュールにおけるセルテラスと電極リードとの境界に絶縁接着層が形成された様子を示す図である。
図4は、比較例による絶縁テープを示す図である。
【0038】
図3を参照すれば、本実施例による電池モジュールにおいてセルテラス135と電極リード160との境界部分を絶縁接着層530が覆っている。絶縁接着層530は、セルテラス135と電極リード160とによって形成される段差SP部分に密着できる。絶縁接着層530は、一液型液状接着剤で形成される。これに関連し、液状接着剤を用いて絶縁接着層530を形成することによって、既存の絶縁テープに比べて接着力に対する信頼性を高めることができる。具体的には、
図4を参照すれば、比較例として、電池セル10から突出したセルテラス30と、セルテラス30から突出した電極リード40との間に絶縁テープ60が形成される。この時、セルテラス30がフレキシブルでセルテラス30と絶縁テープ60との間の接着力のばらつきが発生することがあり、絶縁テープ60の脱離および流動現象によって、
図4に示すように、絶縁テープ60の未付着区間Bが発生することがある。これに対し、本実施例により絶縁接着層530を形成すれば、セルテラス135と電極リード160との境界部分に絶縁接着層530が密着するため、接着信頼性を向上させることができる。
【0039】
また、一液型液状接着剤を用いることによって、二液型液状接着剤に必要な原液と硬化剤との混合工程を省いて費用を節減することができる。
【0040】
図5は、本発明の一実施例による電池モジュールに含まれている複数の電池セルとバスバーフレームの分解斜視図である。
図6は、
図5の複数の電池セルとバスバーフレームとが結合された様子を示す斜視図である。
図7は、
図6の電池モジュールに含まれている電池セルの斜視図である。
【0041】
図5および
図6を参照すれば、本実施例による電池モジュール1000は、複数の電池セル100と、バスバーフレーム500とを含む。電池モジュール1000は、複数の電池セル積層体を覆うトップカバー400を含み、トップカバー400の両端にバスバーフレーム500が装着されている。複数の電池セル100が積層されて形成された電池セル積層体の外側には圧縮パッド200が位置できる。複数の電池セル100それぞれから突出した電極タブ(図示せず)は、延びて電極リード160に連結され、電極リード160は、バスバーフレーム500に形成されたリードスロット510に挿入可能である。バスバーフレーム500は、互いに異なる一側に配置される第1バスバーフレームと第2バスバーフレームとを含む。
【0042】
以下、
図7を参照して、1つの電池セル100の構成について説明する。
【0043】
電池セル100は、二次電池であって、パウチ型二次電池から構成される。このような電池セル100は、複数個から構成され、複数の電池セル100は、相互電気的に連結可能に相互積層されて電池セル積層体を形成することができる。
【0044】
このような複数の電池セル100はそれぞれ、電極組立体110と、電池ケース130と、電極組立体110から突出した電極リード160とを含むことができる。
【0045】
電極組立体110は、正極板、負極板およびセパレータなどから構成される。電池ケース130は、電極組立体110をパッケージングするためのもので、樹脂層と金属層とを含むラミネートシートからなってもよい。このような電池ケース130は、ケース本体132と、セルテラス135とを含むことができる。
【0046】
ケース本体132は、電極組立体110を収容することができる。このために、ケース本体132には、電極組立体110を収容可能な収容空間が設けられている。セルテラス135は、ケース本体132から延び、電極組立体110を密封できるようにシーリングできる。このようなセルテラス135の一側、具体的には、セルテラス135の前方(+X軸方向)には電極リード160が一部に突出できる。
【0047】
電極リード160は、電極組立体110と電気的に連結可能である。このような電極リード160は、負の電極リード160aと正の電極リード160bとを含む一対で備えられる。一対の電極リード160の一部はそれぞれ、電池ケース130の前方(+X軸方向)および後方(-X軸方向)でセルテラス135の外部に突出できる。
【0048】
先に説明した電池セル100の構成は一例であり、電池セル積層体を構成するための電池セル100の形態は多様に変形可能である。
【0049】
再び
図5および
図6を参照すれば、バスバーフレーム500は、図示しないが、バスバーアセンブリに含まれる構成であって、バスバーアセンブリは、複数の電池セル100の電極リード160を電気的に連結可能に複数の電池セル100をカバーすることができる。このようなバスバーアセンブリは、電極リード160の突出方向(X軸方向)で複数の電池セル100をカバーすることができる。
【0050】
上記バスバーアセンブリは、一対で備えられる。一対のバスバーアセンブリはそれぞれ、複数の電池セル100の前方(+X軸方向)に突出した電極リード160および複数の電池セル100の後方(-X軸方向)に突出した電極リード160を電気的に連結可能にカバーすることができる。
【0051】
このような一対のバスバーアセンブリはそれぞれ、バスバーフレーム500のほか、バスバー(図示せず)と、セル連結ボード(図示せず)とを含むことができる。
【0052】
バスバーフレーム500は、複数の電池セル100の前方(+X軸方向)または後方(-X軸方向)をカバーすることができる。このために、バスバーフレーム500は、複数の電池セル100の前方(+X軸方向)または後方(-X軸方向)に対応する面積を有するように備えられる。
【0053】
リードスロット510は、複数の電池セル100の電極リード160を通過させるためのものであって、バスバーフレーム500の左右方向(Y軸方向)に沿って長く形成される。リードスロット510は、隣接する3つの電池セル100の電極リード160の延長部を共同で通過させることができる。つまり、本実施例において、互いに隣り合う3つの電池セル100の電極リード160が延びて1つの電極リード160群を形成し、このような電極リード160群に含まれている電極リード160がリードスロット510を通過した後、バスバーフレーム500の後面でバスバーと共にレーザ溶接により電気的に連結可能である。互いに隣り合うリードスロット510は、それぞれ互いに異なる極性の電極リード160を通過させることができる。言い換えれば、互いに隣り合うリードスロット510のうち1つのリードスロット510が正極の電極リード160を通過させる場合、互いに隣り合うリードスロット510のうち他の1つのリードスロット510は負極の電極リード160を通過させることができる。負極リードは銅で形成され、正極リードはアルミニウムで形成される。
【0054】
リードスロット510は、複数個備えられ、複数のリードスロット510は、バスバーフレーム500の上下方向(Z軸方向)に沿って相互所定距離離隔配置される。
【0055】
本実施例では、1つのバスバーフレーム500に隣接した電池セル積層体の一側面に示される電池セル100の電極リードの配置構造が、負極リードと正極リードの交互配列構造であり得る。しかし、このような交互配列構造は一例であり、このようなリードの配置構造は、電池セルの直列および並列連結構造の設計変更により変形可能である。また、本実施例において、3つの電池セル100からそれぞれ突出した電極リード160が延びて1つの電極リード160群を形成するものとして説明したが、これは一例に過ぎず、電池セル100の連結関係は、正極リードおよび負極リードに連結される電池セル100の配置により多様に変更可能である。したがって、1つの電極リード160群を形成するための電極リード160が延びて出る電池セル100の個数も3つに限定されず、多様に変形可能である。
【0056】
以上に説明した電池モジュール1000に含まれているセルテラス135と電極リード160との境界部分には、
図3で説明した絶縁接着層530が形成される。以下、
図8および
図9を参照して、電池セル積層体とバスバーフレームとの間に絶縁接着層530が形成される様子を詳しく説明する。
【0057】
図8は、本発明の一実施例による電池セル積層体にバスバーフレームが装着された構造を示す図である。
図9は、
図8の「B」領域の拡大図である。
【0058】
図8の左上の図は、電池セル積層体105にバスバーフレーム500が装着された構造を上から眺めた平面図であり、左下の図は、上記構造を正面から眺めた正面図であり、右図は、正面図の一部分を拡大した図である。
図9は、
図8の「B」領域の拡大図である。
【0059】
図8を参照すれば、複数の電池セル100それぞれの電極リード160が突出した方向に沿って間隔が狭くなるセルテラス135が形成される。この時、電極リード160の極性は、同一であってよい。バスバーフレーム500は、パスガイダ260を含む。パスガイダ260は、隣接する3つの電池セル100それぞれの電極リード160が延びているセルテラス135を形成する前に、電極リード160がリードスロット510を通過するようにガイドするためのものであって、バスバーフレーム500の一側に形成される。具体的には、バスバーフレーム500は、電池セル100から離れて位置するバスバーフレーム500の後面内側にパスガイダ260を備えることができる。
【0060】
このようなパスガイダ260は、リードスロット510を通過する前に3つの電極リード160およびこれを含むケース本体132の延長部が互いに近接できるようにバスバーフレーム500の後面で所定のガイド空間を形成することができる。このために、
図6に示したXYZ座標を参照する時、上記ガイド空間の幅は、バスバーフレーム500の後方(-X軸方向)でリードスロット510を備えるバスバーフレーム500の前方(+X軸方向)へいくほど狭くなる。
【0061】
パスガイダ260は、複数個備えられる。ここで、複数のパスガイダ260は、複数のリードスロット510の個数に対応して備えられる。これによって、複数の電池セル100のうち隣接する電極リード160は、3つずつ対をなした後、それぞれのパスガイダ260を介して電極リード160がリードスロット510を通過して電極リード160群を形成することができる。この時、セルテラス135と電極リード160とが接する境界部分に絶縁接着層530が形成される。絶縁接着層530は、互いに隣り合う電極リード160の間に位置できる。絶縁接着層530を挟んでいる互いに隣り合う電極リード160の極性は、同一であってよい。パスガイダ260のうち互いに隣り合うパスガイダ260の間には、少なくとも1つの絶縁接着層530が形成される。
【0062】
図8および
図9を参照すれば、電極リード160は、バスバーフレーム500に形成されたリードスロット510に挿入され、互いに隣り合うセルテラス135の端部のうちの1つの端部と、他の1つの端部に連結された電極リード160は、絶縁接着層530によって離隔が維持できる。
【0063】
図9を参照すれば、絶縁接着層530の末端から電池セル100の端部までの直線距離d1は、絶縁接着層530を挟んで互いに隣接した第1電極リード160aおよび第2電極リード160bそれぞれがセルテラス135から突出する開始点と電池セル100の端部までの直線距離のうちより短い直線距離d2に等しいか、より短い。
【0064】
電極リード160群を形成する電極リード160の個数は3つ限定されず、電池セル100の正極および負極の電極リードの配置により変形可能である。
【0065】
図10は、
図9の絶縁接着層の配置が変形された実施例を示す図である。
【0066】
図10を参照すれば、本実施例による電池モジュールでは、1つの電極リード160bの両側にそれぞれ絶縁接着層530が形成された様子を示す。このような構造によれば、電池セル積層体において順次に積層された電池セル100のすべてに絶縁接着層530を形成するための一液型液状接着剤を塗布する過程が不要であり、電池セルの反転により1つの電池セル100の両側面に塗布することができる。ここで、電極リード160は、第1電極リード160aと、第2電極リード160bと、第2電極リード160bの下に位置する第3電極リードとを含む。絶縁接着層530は、第1電極リード160aと第2電極リード160bとの間に位置する第1絶縁接着層530と、第2電極リード160bと上記第3電極リードとの間に位置する第2絶縁接着層530とを含み、第1絶縁接着層530と第2絶縁接着層530はいずれも、第2電極リード160bに接触することができる。
【0067】
図11~
図14は、本発明の他の実施例による電池モジュールの製造方法を示す図である。
【0068】
図11を参照すれば、本実施例による電池モジュールの製造方法は、1つの電池セル100の一面100a上に一液型液状接着剤の供給部の一例として、ジェッティングバルブ700を配置する段階を含む。
【0069】
図12を参照すれば、本実施例による電池モジュールの製造方法は、ジェッティングバルブ700を介して電池セル100の一面100aと同一の平面上に位置するセルテラス135と電極リード160との境界部分に一液型液状接着剤530pを形成する段階を含む。一液型液状接着剤530pは、塗布後、初期硬化前に流れる問題を低減するために、一定水準の粘度を有する物質を使用することが好ましい。一定水準の粘度を有する物質を決定するために、工程上の汚染および塗布厚さを管理できる粘度を考慮できる。本実施例による一液型液状接着剤は、ソルベント硬化後に100%で高分子のみ残るため、セルテラスと分離されずにそのまま最初の接着位置が維持できる。これに対し、既存の絶縁テープは、ベースフィルム上に接着成分の固形分が塗布されており、セルテラスの形状が変更されると、ベースフィルムの剛性によって、セルテラスの面と100%密着しにくい。
【0070】
図13を参照すれば、本実施例による電池モジュールの製造方法は、電池セル100の他の一面100bがジェッティングバルブ700を向むように電池セル100を180度反転する段階を含む。
【0071】
図14を参照すれば、本実施例による電池モジュールの製造方法は、ジェッティングバルブ700を介して電池セル100の他の一面100bと同一の平面上に位置するセルテラス135と電極リード160との境界部分に一液型液状接着剤530pを形成する段階を含む。
【0072】
図13および
図14の段階を除き、
図12および
図13で説明した一液型液状接着剤530pを形成することによって、先に説明した絶縁接着層530を形成した後、複数の電池セルを積層して電池セル積層体を形成し、バスバーフレームに電池セル積層体を連結すれば、
図9に示した形態の電池モジュールを製造することができる。
【0073】
図11~
図14で説明した段階をすべて含めて一液型液状接着剤530pを形成することによって、先に説明した絶縁接着層530を形成した後、複数の電池セルを積層して電池セル積層体を形成し、バスバーフレームに電池セル積層体を連結すれば、
図10に示した形態の電池モジュールを製造することができる。この時、
図11~
図14で説明した一液型液状接着剤530pを形成する段階は、複数の電池セルのすべてに適用せず、一部のみ適用可能である。仮に、複数の電池セルのうち2つごとに1つずつ一液型液状接着剤530pを両面に形成することができる。
【0074】
以上、ジェッティングバルブの塗布方式を用いるものとして説明したが、これに限定されず、スプレー方式またはパッドプリンティング方式で一液型液状接着剤を塗布することも可能である。ジェッティングバルブ方式の場合、所望の位置にのみ塗布可能であるという利点があり、スプレー方式の場合、所望の位置に塗布可能なだけでなく、厚さも薄く塗布することができ、パッドプリンティング方式の場合、同様に所望の位置に塗布可能であり、厚さがスプレー方式の場合に比べてより薄く塗布可能である。ジェッティングバルブ方式の場合、スプレー方式に比べて塗布する幅を薄くすることができ、パッドプリンティング方式とは異なり、紫外線硬化工程を別途に必要としないという利点がある。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施例について詳しく説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0076】
135:セルテラス
160:電極リード
500:バスバーフレーム
530:絶縁接着層
530p:一液型液状接着剤