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特許7508172過融着防止構造を有する電池パックケース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】過融着防止構造を有する電池パックケース
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/271 20210101AFI20240624BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20240624BHJP
   H01M 50/278 20210101ALI20240624BHJP
【FI】
H01M50/271 B
B29C65/08
H01M50/271 S
H01M50/278
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022564467
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 KR2021017118
(87)【国際公開番号】W WO2022108398
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0157624
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヨン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ジン・キム
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021454(JP,A)
【文献】特開2001-313014(JP,A)
【文献】特開2002-245993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
B29C63/00-63/48
B29C65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを収納する電池パックケースであって、
前記電池パックケースは、互いに噛み合って結合する第1ケース及び第2ケースを含み、
前記第1ケースの結合部には、前記第1ケースの厚さ方向の中心部が突出した形態の突出部が形成されており、
前記第2ケースの結合部には、前記突出部が挿入できるように、前記第2ケースの厚さ方向の中心部に溝部が形成されており、
前記第1ケースと第2ケースとが結合して熱融着した状態で、前記第1ケースの突出部の外側部と前記第2ケースの溝部の外側部との間には、均一な離隔間隔が形成されており
前記第2ケースの溝部の内部には、前記離隔間隔を形成するための支持構造が形成されている、電池パックケース。
【請求項2】
前記支持構造として、前記第2ケースの溝部内部にはストッパーリブが形成されている、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項3】
前記第1ケースの突出部において前記ストッパーリブに対応する位置にストッパー溝が形成されている、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項4】
前記ストッパー溝の深さは、前記突出部の高さよりも小さい、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項5】
前記突出部の溶融前の状態を基準に、前記ストッパー溝の深さは、前記ストッパーリブの高さよりも大きい、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項6】
前記突出部は、熱融着によって溶融する融着山、及び前記融着山を除いた支持部を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電池パックケース。
【請求項7】
前記第1ケースと前記第2ケースとが結合して熱融着した状態で、前記ストッパーリブの高さと前記ストッパー溝が形成された部分の突出部の長さとの和は、前記第2ケースの溝部の深さよりも大きい、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項8】
前記第1ケースと前記第2ケースとが熱融着する前、前記突出部と前記溝部の内側面との間には、離隔間隔があり、
前記第1ケースと前記第2ケースとが熱融着した状態で、前記突出部と前記溝部とは、融着した状態である、請求項1からのいずれか一項に記載の電池パックケース。
【請求項9】
前記支持構造は、前記第1ケースと前記第2ケースとが結合する外周辺のうちの少なくとも一側外周辺上に形成されている、請求項に記載の電池パックケース。
【請求項10】
前記支持構造は、前記第1ケースと前記第2ケースとが結合する全外周辺上に形成されている、請求項に記載の電池パックケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年11月23日付の韓国特許出願第2020-0157624号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は過融着防止構造を有する電池パックケースに関するものである。具体的には、電池パックケースの結合のために超音波溶接を遂行する場合、過融着によって結合部に外観不良が発生することを防止するように、過融着防止構造を有する電池パックケースに関するものである。
【背景技術】
【0003】
高出力及び高容量のエネルギーが必要な中大型デバイスのエネルギー源として二次電池を直列にまたは並列に連結した電池パックが使われる。前記電池パックは、電池パックケースの内部に、複数の電池セル、前記電池セルの電気的連結のための構造、電池セルの作動を制御するための構造、及び電池セルの発熱/放熱を調節するための構造などを含むことができ、前記構造を収容した状態で前記電池パックケースを結合することで製造される。
【0004】
高分子樹脂を使って製造された電池パックケースの結合方法として、超音波振動による摩擦熱を用いて前記高分子樹脂を溶融させた状態で押圧して溶着する方法が使われる。電池パックケースの接合部が過溶融するか押圧力の制御が誤った場合、溶融した樹脂が外側に漏れるバリ(Burr)が発生する。
【0005】
図1は従来の電池パックケース結合部の垂直断面図であり、図2図1の電池パックケースの結合部の正面図である。
【0006】
図1及び図2を参照すると、電池パックケースは、上部に位置する第1ケース10と、下部に位置する第2ケース20とからなる。第1ケース10の結合部には、厚さ方向Dの中心部が下方に突出した突出部11が形成され、第2ケース20の結合部には、厚さ方向Dの中心部が凹んでいる溝部22が形成されている。第1ケース10の突出部11が第2ケース20の溝部22に挿入されて固定されることで、電池パックケースが組み立てられる。
【0007】
突出部11は、末端に厚さ方向Dの幅が小さくなる融着山15を含む。第1ケース10及び第2ケース20に振動を印加すれば、融着山15が第2ケース20の溝部22内で振動しながら溶融するので、溝部22が突出部11で満たされる。
【0008】
ここで、融着山15が溶融した状態で第1ケースを第2ケース側に過度に押圧すれば、過融着し、溶融した融着山の一部がケースの外に溢れて、図2のように、バリ(burr)30が発生する。
【0009】
図2は第1ケース10と第2ケース20との結合部で過融着によってバリ30が発生した状態を示している。このように、バリが生じる不良が発生することを防止するために、第1ケースと第2ケースとの結合部で、第1ケースと第2ケースとの高さ方向の間隔を一定に維持することが重要である。
【0010】
これに関連して、特許文献1は、バッテリーパックケースが前面ケース及び後面ケースを含み、前記後面ケースの縁面に沿って、すなわち、前記前面ケースと接触する部分には樹脂材の多数の融着突起が形成され、前記前面ケースの縁面に沿って後面ケースの融着突起と接触する部位に、融着突起が流出することを防止するための流出防止溝が形成されたバッテリーパックを開示する。
【0011】
しかし、特許文献1の流出防止溝は、融着突起が溶融して前記流出防止溝から溢れることを完全に防止しにくい形態を有する。すなわち、前面ケースと後面ケースとを結合する時間及び力の調節が必要であり、融着突起が溶融した状態で前記流出防止溝を溢れて流出すれば、図2のバリのように電池ケースの間で外観不良が発生することを防止しにくい。
【0012】
特許文献2は、樹脂材ケースと樹脂材カバーとを振動溶着するときに発生したバリが前記樹脂材ケース及び前記樹脂材カバーで取り囲まれた内部空間側に漏れることを防止するための樹脂材ケースと樹脂材カバーとの振動溶着構造であり、前記樹脂材ケースと前記樹脂材カバーとの溶着部は、前記樹脂材ケース及び前記樹脂材カバーのそれぞれから突出した突出部が互いに振動溶着して接合部が形成され、前記突出部が溶融して流れることを遮断するために、内側バリ隠蔽壁、外側バリ隠蔽壁、及び中間バリ隠蔽壁が形成される。
【0013】
特許文献2は、複数の隠蔽壁が形成されているので、融着部が溶融する場合、樹脂材ケースと樹脂材カバーとの結合部で溢れることをある程度は防止することができるが、前記特許文献1のように、バリが樹脂材ケースと樹脂材カバーとの結合部で溢れることを完全に遮断することはできない形態を有する。
【0014】
したがって、振動熱によって溶融した電池ケースの融着山が前記電池ケースの外側に溢れて外観不良が発生することを根本的に遮断することができる構造を有する電池パックケースが必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】韓国公開特許第2004-0085478号公報
【文献】特許第4948004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、電池パックケースの過融着によって電池パックケースの結合部にバリが発生することを防止して外観不良を改善するように過融着防止構造を有する電池パックケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本発明による電池パックケースは、複数の電池セルを収納する電池パックケースであって、前記電池パックケースは、互いに噛み合って結合する第1ケース及び第2ケースを含み、前記第1ケースの結合部には、前記第1ケースの厚さ方向の中心部が突出した形態の突出部が形成されており、前記第2ケースの結合部には、前記突出部が挿入できるように、前記第2ケースの厚さ方向の中心部に溝部が形成されており、前記第1ケースと第2ケースとが結合して熱融着した状態で、前記第1ケースの突出部の外側部と前記第2ケースの溝部の外側部との間には均一な離隔間隔を形成することができる。
【0018】
前記第2ケースの溝部には、前記離隔間隔を形成するための支持構造を形成することができる。
【0019】
前記支持構造として、前記第2ケースの溝部内部にはストッパーリブを形成することができる。
【0020】
前記第1ケースの突出部において前記ストッパーリブに対応する位置にストッパー溝を形成することができる。
【0021】
前記ストッパー溝の深さは前記突出部の高さよりも小さくてもよい。
【0022】
前記突出部の溶融前の状態を基準に、前記ストッパー溝の深さは前記ストッパーリブの高さよりも大きくてもよい。
【0023】
前記突出部は、熱融着によって溶融する融着山、及び前記融着山を除いた支持部を含むことができる。
【0024】
前記第1ケースと前記第2ケースとが結合して熱融着した状態で、前記ストッパーリブの高さと前記ストッパー溝が形成された部分の突出部の長さとの和は前記第2ケース溝部の深さよりも大きくてもよい。
【0025】
前記第1ケースと前記第2ケースとが熱融着する前、前記突出部と前記溝部の内側面との間には離隔間隔があり、前記第1ケースと前記第2ケースとが熱融着した状態で、前記突出部と前記溝部とは融着した状態であることができる。
【0026】
前記支持構造は、前記第1ケースと第2ケースとが結合する外周辺のうちの少なくとも一側外周辺上に形成することができる。
【0027】
前記支持構造は、前記第1ケースと第2ケースとが結合する全外周辺上に形成することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明による電池パックケースは、第1ケースと第2ケースとの結合部に支持構造が形成されているので、第1ケースの突出部が溶融した状態で第1ケースと第2ケースとが結合する方向の力が過度に印加されても、前記第1ケースと第2ケースとの結合距離を一定の程度に維持することができる。
【0029】
このように、第1ケースと第2ケースとの間の結合距離が一定に維持されることにより、前記第1ケースと第2ケースとの結合部で過融着によるバリが発生することを防止することができ、外観不良率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の電池パックケース結合部の垂直断面図である。
図2図1の電池パックケースの結合部の正面図である。
図3】本発明による第1ケースと第2ケースとの結合部の垂直断面図である。
図4】本発明による第1ケースの斜視図である。
図5】本発明による第2ケースの斜視図である。
図6】第1ケースと第2ケースとが融着した状態の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0032】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0034】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0035】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、A及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0036】
また、すべての数値範囲は、はっきりと除くという記載がない限り、両端の値とその間のすべての中間値とを含む。
【0037】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0038】
本発明による電池パックケースは、互いに分離された形態の第1ケース及び第2ケースを含む。前記第1ケースと第2ケースとは互いに噛み合って結合される構造を有する。
【0039】
具体的には、前記第1ケースの結合部には前記第1ケースの厚さ方向の中心部が突出した形態の突出部が形成され、前記第2ケースの結合部には前記突出部が挿入できるように前記第2ケースの厚さ方向の中心部に溝部が形成される。したがって、前記突出部が前記溝部に挿入されて噛み合うことができる。
【0040】
これに関連して、図3は本発明による第1ケースと第2ケースとの結合部の垂直断面図である。
【0041】
図3を参照すると、図3(a)は第1ケース100と第2ケース200とが結合した状態で超音波溶接を遂行している状態であり、図3(b)は超音波溶接が完了した状態である。
【0042】
電池パックケースは第1ケース100と第2ケース200とを含む。第1ケース100の結合部には第1ケース100の厚さ方向Dの中心部が下方に突出した形態の突出部110が形成され、第2ケース200の結合部には突出部110が挿入できるように第2ケース200の厚さ方向Dの中心部に溝部220が形成されているので、溝部220に突出部110が挿入されることにより、まず第1ケースと第2ケースとが結合する。
【0043】
この状態で、第1ケース100及び第2ケース200に超音波振動を印加すれば、第1ケース100の突出部110と第2ケース200の溝部220とが会う部分で摩擦熱が発生して突出部110の末端が溶融する。すなわち、突出部110は、熱によって溶融する融着山150と、融着山150を除いた支持部160とからなる。
【0044】
第1ケース100と第2ケース200とが熱融着する前には、突出部110と溝部220の内側面との間に離隔空間が存在する。図3(a)は超音波溶接が遂行されている状態で、融着山150が半分以上に溶融した状態であるので、融着山150が溶融するのに伴って第1ケース100と第2ケース200とがさらに近づくように押圧されれば、溶融した融着山が突出部110と溝部220の内側面との間の離隔空間を完全に満たすようになる。
【0045】
第2ケース200の溝部220は凹んでいる溝を中心に両側が突出した構造を有する。したがって、突出部110が溝部220に挿入されて超音波溶接が遂行されるときに撓うことを防止することができ、溝部220内で突出した形態を維持することができる。
【0046】
また、超音波溶接によって融着山150が溶融した状態でも、図4及び図5に示すように、本発明は、第1ケース100及び第2ケース200に支持構造が形成されているので、前記第1ケースの突出部110の外側部111と前記第2ケースの溝部220の外側部222との間には均一な離隔間隔Hが形成される。
【0047】
このように、第1ケースと第2ケースとの結合部において、第1ケースの突出部の外側部111と前記第2ケースの溝部の外側部222との間の離隔間隔Hを全外周辺で一定に形成することができるので、従来のように電池ケースの過融着によって結合部にバリが発生した問題を解決することができる。したがって、外観不良が発生することを著しく減らすことができる。
【0048】
図4は本発明による第1ケースの斜視図であり、図5は本発明による第2ケースの斜視図である。
【0049】
図4及び図5を一緒に参照すると、第1ケース100の開放した一面の外周辺と第2ケース200の開放した一面の外周辺とには、図3の離隔間隔Hを形成するように、支持構造が形成されている。
【0050】
具体的には、第1ケース100の突出部110は融着山150と支持部160とを含み、突出部110にはストッパー溝170が形成されている。
【0051】
第2ケース200の溝部220の内部には、第1ケース100と第2ケース200との間の離隔間隔Hを維持するための支持構造としてストッパーリブ270が形成されている。ストッパーリブ270は溝部220内で上方に突出した形態に形成されるので、第1ケース100の突出部が過度に溶融しても溝部に深く結合することを遮断する機能を果たす。
【0052】
ただ、突出部110が溝部220内に挿入される挿入深さをある程度以上に確保した状態で超音波溶接を遂行する場合に安定した融着をなすことができるという点を考慮すると、突出部110のうちストッパーリブ270に対応する位置にストッパー溝170が形成され、ストッパーリブ270上にストッパー溝170が装着されることが好ましい。
【0053】
また、ストッパー溝170がストッパーリブ270に装着された状態で融着山150が溶融し、溶融した融着山150が溝部220を満たすことによって電池パックの密封をなすという点を考慮すると、ストッパー溝170が形成される部分にも支持部160がある場合に電池パックが完全に密封されることができる。したがって、ストッパー溝の深さa1は突出部の高さa2より小さく形成されることが好ましい。
【0054】
一方、突出した形態のストッパーリブ270にストッパー溝170が配置された状態で融着山が溶融して高さが減少するかまたはなくなる。この際、ストッパー溝の最内側までストッパーリブが深く挿入される場合にのみ第1ケースと第2ケースとを安定的に固定することができる。したがって、融着山が溶融する前の状態を基準に、ストッパー溝170の深さはストッパーリブ270の高さよりも大きく形成することができる。
【0055】
図6は第1ケースと第2ケースとが融着した状態の垂直断面図である。
【0056】
図6を参照すると、第1ケース100と第2ケース200とが結合して熱融着した状態で、ストッパーリブ270の高さとストッパー溝が形成された部分の突出部110の長さとの和b1は第2ケース200の溝部の深さb2よりも大きく形成される。すなわち、第1ケースと第2ケースとが結合して熱融着した状態で、支持部の下端はストッパーリブと接触するように結合し、支持部の高さとストッパーリブの高さとを合わせた高さは第2ケースの溝部の深さb2よりも大きく形成することができる。
【0057】
これは、第1ケースと第2ケースとが結合して熱融着した状態で第1ケースの突出部の外側部111と第2ケースの溝部の外側部222との間に均一な離隔間隔Hが形成されるように第1ケースと第2ケースとに支持構造が形成されているからである。
【0058】
一具体例で、前記支持構造は一対のストッパー溝及びストッパーリブから構成することができ、前記支持構造は前記第1ケースと第2ケースとが結合する外周辺のうちの少なくとも一側外周辺上に形成することができる。すなわち、前記一側外周辺上に一対以上のストッパー溝及びストッパーリブを形成することができる。
【0059】
もしくは、前記支持構造は前記第1ケースと第2ケースとが結合する全外周辺上に形成されることができる。すなわち、一側外周辺を基準にストッパー溝及びストッパーリブからなる支持構造を一対以上形成することができ、このような形態に全外周辺に複数の支持構造を配置することができる。前記支持構造の配置間隔は一定の間隔で離隔するように配置することができ、または外周辺のコーナー部を除いた直線形外周辺上にのみ配置することができる。
【0060】
このように、本発明は、第1ケースと第2ケースとが結合した状態で熱融着するとき、第1ケースと第2ケースとがあまりにも近くに結合して過融着が発生することを防止するための支持構造を有しているので、前記支持構造により第1ケースのストッパー溝が第2ケースのストッパーリブによって遮断されることにより、それ以上溝部に挿入されることができない。したがって、溶融した電池ケースの樹脂が溝部の側壁を越えて外部に溢れることを防止することができるので、電池パックケースの結合部で外観不良が発生することを防止することができる。
【0061】
さらに、本発明による電池パックケースは多様な形態のデバイスのエネルギー源として使われる電池パック用ケースであるので、前記電池パックケースには、内部に収容された電池セルの電極端子を外部に引き出すための貫通口を形成することができる。
【0062】
もしくは、本発明による電池パックケースは、前記多様な形態のデバイスの内部に安定的に装着するためのフック構造のような結合のための構造が付加された形態を有することができる。
【0063】
本発明が属した分野で通常の知識を有する者であれば、前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は複数の電池セルを収納する電池パックケースに関するものであり、前記電池パックケースは、互いに噛み合って結合する第1ケース及び第2ケースを含み、前記第1ケースの結合部には前記第1ケースの厚さ方向の中心部が突出した形態の突出部が形成され、前記第2ケースの結合部には、前記突出部が挿入できるように、前記第2ケースの厚さ方向の中心部に溝部が形成され、前記第1ケースと第2ケースとが結合して熱融着した状態で、前記第1ケースの突出部の外側部と前記第2ケースの溝部の外側部との間には均一な離隔間隔を形成することができるので、超音波溶接時に溶融した前記突出部が前記第1ケースの突出部の外側部及び前記第2ケースの溝部の外側部に流出することを遮断する電池パックケースに関するものであるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
10、100 第1ケース
11、110 突出部
15、150 融着山
20、200 第2ケース
22、220 溝部
30 バリ
111 突出部の外側部
160 支持部
170 ストッパー溝
222 溝部の外側部
270 ストッパーリブ
a1 ストッパー溝の深さ
a2 突出部の高さ
b1 ストッパーリブの高さとストッパー溝が形成された部分の突出部の長さとの和
b2 溝部の深さ
D 厚さ方向
H 離隔間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6