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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】断熱部材を含むバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/658 20140101AFI20240624BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240624BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240624BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240624BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/613
H01M50/548 301
H01M50/178
H01M50/505
H01M50/293
H01M10/647
H01M50/211
H01M50/204 401H
H01M50/291
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022566246
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2021010732
(87)【国際公開番号】W WO2022039442
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0104768
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・ゲン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ヒョン・ジョ
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068101(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191519(JP,U)
【文献】国際公開第2020/013120(WO,A1)
【文献】特開2012-142288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/658
H01M 10/613
H01M 50/548
H01M 50/178
H01M 50/505
H01M 50/293
H01M 10/647
H01M 50/211
H01M 50/204
H01M 50/291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセル(100)において熱暴走発生の際に隣接バッテリーセル(100)に熱が伝達されることを防止することができるバッテリーモジュール(1000)であって、
前記バッテリーモジュール(1000)は、
それぞれの電極リード(110)を備えた複数のバッテリーセル(100)と、
前記複数のバッテリーセル(100)を収納するケース(200)と、
前記複数のバッテリーセル(100)の間に位置し、隣接したバッテリーセル(100)に熱が伝達されることを遮断する断熱部材(300)と、を含み、
前記断熱部材(300)は、外部が前記熱暴走の際の温度より低い融点を有するプラスチックから形成され、内部には前記熱暴走の際の温度より高い融点を有する耐熱材料から形成された支持部(310)を含む複合構造を有
前記複合構造において、前記プラスチックが溶融していない状態では、前記支持部(310)が前記バッテリーセル(100)と接触しておらず、前記熱暴走によって前記プラスチックが溶融した状態では、前記支持部(310)が前記バッテリーセル(100)と接触して支持する、
バッテリーモジュール(1000)。
【請求項2】
前記バッテリーセル(100)は、正極及び負極の両電極リード(110)が互いに向き合う方向に突出したパウチ型バッテリーセル(100)である、
請求項1に記載のバッテリーモジュール(1000)。
【請求項3】
前記ケース(200)は、前記バッテリーセル(100)及び前記断熱部材(300)を収納する下部ケース(210)と、前記下部ケース(210)の上部に位置するカバー(220)とを含む、
請求項1または2に記載のバッテリーモジュール(1000)。
【請求項4】
前記バッテリーモジュール(1000)は、前記電極リード(110)の間の電気的連結のためのバスバーをさらに含む、
請求項3に記載のバッテリーモジュール(1000)。
【請求項5】
前記断熱部材(300)は、前記バッテリーセル(100)と前記ケース(200)との間にさらに備えられる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール(1000)。
【請求項6】
前記支持部(310)は、熱暴走発生の際にも形状を維持して前記バッテリーセル(100)の間に空気層を形成する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール(1000)。
【請求項7】
前記支持部(310)は、金属または高耐熱性ポリアミド系プラスチックのうちの1種からなる、
請求項6に記載のバッテリーモジュール(1000)。
【請求項8】
前記支持部(310)は、薄プレートの両面に複数の突起が形成された形態を有する、
請求項7に記載のバッテリーモジュール(1000)。
【請求項9】
バッテリーセル(100)において熱暴走発生の際に隣接バッテリーセル(100)に熱が伝達されることを防止することができるバッテリーモジュール(1000)であって、
前記バッテリーモジュール(1000)は、
それぞれの電極リード(110)を備えた複数のバッテリーセル(100)と、
前記複数のバッテリーセル(100)を収納するケース(200)と、
前記複数のバッテリーセル(100)の間に位置し、隣接したバッテリーセル(100)に熱が伝達されることを遮断する断熱部材(300)と、を含み、
前記断熱部材(300)は、外部が前記熱暴走の際の温度より低い融点を有するプラスチックから形成され、内部には前記熱暴走の際の温度より高い融点を有する耐熱材料から形成された支持部(310)を含む複合構造を有し、
前記支持部(310)はリング形部材または角形部材が接合された形状を有する、
ッテリーモジュール(1000)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール(1000)を含む、バッテリーパック。
【請求項11】
請求項10に記載のバッテリーパックを含む、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年8月20日付の韓国特許出願第2020-0104768号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はバッテリーセルの熱暴走の際にも隣接したバッテリーセルに熱が転移することを防止することができる複合構造の断熱部材を含むバッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン、ノートブック型PC、デジタルカメラなどのモバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するのに伴い、充放電の可能な二次電池に関する技術が活発に開発されている。また、二次電池は大気汚染物質を発生させる化石燃料の代替エネルギー源であり、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)、エネルギー貯蔵デバイス(ESS)などに適用されている。
【0004】
現在広く使われる二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セル、すなわち、単位バッテリーセルの作動電圧は約2.0V~5.0Vである。よって、これより高い出力電圧が要求される場合、複数のバッテリーセルを直列に連結してバッテリーセルアセンブリーを構成することもあり、またバッテリーセルアセンブリーを所要出力電圧または充放電容量に応じて直列にまたは並列に連結してバッテリーモジュールを構成することもできる。このように、少なくとも一つのバッテリーモジュールを用い、追加的な構成要素を付け加えてバッテリーパックを製作することが一般的である。
【0005】
このようなバッテリーモジュールは、エネルギー密度を高めるために、ケース内に密集した形態に製造されるので、特定のバッテリーセルで熱暴走現象などが発生する場合、隣接したバッテリーセルに熱が転移する危険がある。
【0006】
一方、従来は、熱が転移することを防止し、バッテリーセルが直接的に接触しないようにする役割を果たすために、バッテリーセルの間に断熱材を付け加えることもある。
【0007】
しかし、従来の断熱材は、例えばバッテリーセルの熱暴走の際に発生する熱によって物性が変わる吸熱材として機能する場合には、熱暴走の後、バッテリーセルを支持し、バッテリーセルの間を遮断する役割を果たすことができない問題がある。
【0008】
また、従来の熱暴走の後にその形態をそのまま維持している断熱材の場合には、熱暴走現象が発生したバッテリーセルと密着しているので、バッテリーセルで発生した熱の排出が難しくて高温状態を維持することになり、よって一定の時点で隣接したバッテリーセルに熱が転移する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような問題点を解決するために、バッテリーセルの熱暴走の際にも隣接したバッテリーセルに熱が転移することを防止し、熱暴走現象が発生したバッテリーセルを冷却することができる複合構造の断熱部材を含むバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するための本発明によるバッテリーモジュールは、それぞれ電極リードを備えた複数のバッテリーセルと、複数バッテリーセルを収納するケースと、複数のバッテリーセルの間に位置し、隣接したバッテリーセルに熱が伝達されることを遮断する断熱部材とを含み、前記断熱部材は、外部が熱暴走の際の温度より低い融点を有するプラスチックから形成され、内部には熱暴走の際の温度より高い融点を有する耐熱材料から形成された支持部を含む複合構造を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、バッテリーセルが正極及び負極の両電極リードが互いに向き合う方向に突出したパウチ型バッテリーセルであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、ケースがバッテリーセル及び断熱部材を収納する下部ケースと、下部ケースの上部に位置するカバーとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、電極リードの間の電気的連結のためのバスバーをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、断熱部材がバッテリーセルとケースとの間にさらに備えられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、支持部が熱暴走発生の際にも形状を維持してバッテリーセルの間に空気層を形成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、支持部が金属または高耐熱性ポリアミド系プラスチックのうちの一種からなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、支持部が薄プレートの両面に複数の突起が形成された形態を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明によるバッテリーモジュールは、支持部がリングが接合された形状を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明によるバッテリーパックは、本発明のバッテリーモジュールを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明によるデバイスは、本発明のバッテリーパックを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のバッテリーモジュールは、複合構造の断熱部材を備えることで、バッテリーセルの熱暴走の際、内部の支持台のみ維持されてバッテリーセルの間に空気層を形成することにより、隣接したバッテリーセルとの間隔は維持しながら断熱及び冷却の効果を極大化することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールにおいてバッテリーセルの間に位置する断熱部材を示す平面図である。
図3】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールにおいてバッテリーセルとケースとの間に位置する断熱部材を示す平面図である。
図4】本発明の一実施例による断熱部材の熱暴走の前後の形状を示す正面図である。
図5】本発明の一実施例による支持部の多様な形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願で、「含む」、「有する」または「備える」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、部分品またはこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組合せなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0024】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0025】
以下、本発明によるバッテリーモジュールについて添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施例によるバッテリーモジュールの分解斜視図である。
【0027】
図1を参照して本発明のバッテリーモジュール1000について詳細に説明すると、バッテリーモジュール1000は、それぞれ電極リードを備えた複数のバッテリーセル100と、バッテリーセル100を収納するケース200と、バッテリーセル100の間に位置する断熱部材300とを含む。
【0028】
ここで、バッテリーセル100は、円筒型バッテリーセル、角型バッテリーセル、パウチ型バッテリーセルなどのように多様に存在するが、本発明のバッテリーモジュール1000はそのうちでパウチ型バッテリーセル100の場合を重点的に説明しようとする。
【0029】
パウチ型バッテリーセル100は、電極組立体を収納する電池ケース及び一対の電極リードを含む。
【0030】
ここで、電極組立体は、長いシート状の正極及び負極の間に分離膜が介在されてから巻き取られる構造を有するゼリーロール型組立体、または長方形の正極及び負極が分離膜を挟む状態で積層される構造を有するスタック型組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタックフォルディング型組立体、または電池セルが分離膜を挟む状態で積層されて互いに付着されるラミネーションスタック型組立体などからなることができるが、これらに限定されない。
【0031】
また、電解質は一般的に通用される液体電解質の他にも、固体電解質、または固体電解質に添加剤を加えて液体と固体との中間形態を有するゲル状の準固体電解質に置換されても問題がないというのは言うまでもない。
【0032】
前記のような電極組立体は電池ケースに収納され、電池ケースは、通常に、内部層/金属層/外部層のラミネートシート構造を有するように構成されている。内部層は電極組立体と直接的に接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有しなければならなく、また外部に対する密閉のためにシーリング性、すなわち内部層同士熱接着されたシーリング部位は優れた熱接着強度を有しなければならない。
【0033】
このような内部層の材料としては、耐化学性に優れるとともにシーリング性がよいポリプロピレン、ポリエチレン、酢酸ポリエチレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイミド樹脂から選択されることができるが、これらに限定されず、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性及び耐化学性に優れたポリプロピレンが最も好ましい。
【0034】
内部層と接している金属層は外部から水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使うことができる。
【0035】
そして、金属層の他側面には外部層が備えられる。このような外部層は、電極組立体を保護しながら耐熱性及び耐化学性を確保することができるように、引張強度、透湿防止性及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使うことができ、一例としてナイロンまたはポリエチレンテレフタレートを使うことができるが、これに限定されない。
【0036】
一方、一対の電極リード110は正極リード及び負極リードからなり、電極組立体の正極タブ及び負極タブがそれぞれ電気的に連結された後、電池ケースの外部に露出されるか、タブなしに電極組立体と直接連結されても関係ない。
【0037】
また、パウチ型バッテリーセル100は、電極リード110の正極リードと負極リードとが同じ方向に突出した形態である単方向リードセルであってもよく、正極リードと負極リードとが互いに向き合う方向に突出した形態の両方向リードセルであってもよい。
【0038】
特に、本発明のバッテリーセル100は、パウチ型バッテリーセル100のうちで両方向リードセル100の場合を中心に説明しようとする。
【0039】
このような両方向リードセル100は、一般的に単方向リードセルに比べて、リードが突出した方向に長い形態を有し、長さが大きくなるから、モジュール内に収納されるとき、バッテリーセル100を支持する部材を必要とする。
【0040】
次に、ケース200は、バッテリーセル100及び断熱部材300を収納する下部ケース210と、下部ケース210の上部に位置し、バッテリーセル100及び断熱部材300の収納の後に上部を覆うカバー220とを含む。
【0041】
また、本発明のバッテリーモジュール1000は、その他にも、電極リード同士を電気的に連結するためのバスバー、バッテリーセルの電圧情報をセンシングするセンシング基板などの多様な部品を必要に応じて付け加えることもできる。
【0042】
一方、図2は本発明の一実施例によるバッテリーモジュールにおいてバッテリーセルの間に位置する断熱部材を示す平面図であり、図3は本発明の一実施例によるバッテリーモジュールにおいてバッテリーセルとケースとの間に位置する断熱部材を示す平面図である。
【0043】
図2及び図3を参照してバッテリーモジュール1000内に断熱部材300が備えられる位置について説明すると、断熱部材300はバッテリーセル100とバッテリーセル100との間に位置するか、バッテリーセル100とバッテリーセル100との間、及び最外郭バッテリーセル100と収納された下部ケース210の側面との間に位置することができる。
【0044】
このように位置することにより、正常温度ではバッテリーセル100の間の絶縁及び支持部の役割を果たし、バッテリーセル100の熱暴走の際には断熱部材300としての役割を果たすようになる。
【0045】
一方、断熱部材300の形状は特に限定されないが、バッテリーモジュール1000のエネルギー密度などを考慮するとき、断熱部材300と接するバッテリーセル100の側面と密着することができる形状を有することが好ましい。
【0046】
また、本発明では、断熱部材300の側面の面積がバッテリーセル100の電極組立体が収納された部分の側面の面積と同じものとして示されているが、断熱部材300の側面の面積はこれに限定されず、本発明で説明した断熱部材300としての機能を果たすことができ、バッテリーモジュール1000が他の部品と干渉しない範囲内で多様に選択することができる。
【0047】
図4は本発明の一実施例による断熱部材の熱暴走の前後の形状を示す正面図であり、図5は本発明の一実施例による支持部の多様な形状を示す斜視図である。
【0048】
図4及び図5を参照して本発明の断熱部材300の構造及び熱暴走の際の挙動について詳細に説明すると、断熱部材300は、外部が熱暴走の際の温度より低い融点を有するプラスチックから形成され、内部には熱暴走の際の温度より高い融点を有する耐熱材料から形成された支持部310を含む複合構造を有するように形成されている。
【0049】
一方、図5には支持部310の形状の一例として薄いプレートに突起が形成された構造、一定の幅を有する薄帯がリング形または角形に連結された構造が開示されているが、支持部310の形状はバッテリーセル100を支持することができる限り、バッテリーセル100との接触面積が可能な限り小さい形状であれば、これに限定されずに多様な形状が可能である。
【0050】
仮に、支持部310とバッテリーセル100との接触面積が大きくなるほど、支持部310を介して隣接したバッテリーセル100への熱伝達の可能性が高くなるので、支持部310とバッテリーセル100との接触面積は小さくなるほど断熱の側面で有利である。
【0051】
また、支持部310の材料は熱暴走の際の温度より高い融点を有する耐熱材料であれば、金属、セラミック、高耐熱性プラスチックなどの公知の多様な材料を使うことができるが、支持部310及び支持部310を含む断熱部材300の製作の容易性及び費用などを考慮するとき、金属または高耐熱性ポリアミド系プラスチックのうちの1種であることが好ましい。
【0052】
このような支持部310を内部に備えている断熱部材300は、バッテリーセル100が正常温度の場合には外部のプラスチックが維持されて隣接したバッテリーセル100と広い面積にわたって密着している形態であるが、熱暴走の際には、外部のプラスチックが溶融し、内部の支持部310のみが残って隣接したバッテリーセル100を最小の面積で支持するようになる。
【0053】
したがって、バッテリーセル100とバッテリーセル100との間またはバッテリーセル100とケース200との間に空気層が形成されることで、断熱性能を向上させ、空気層の対流により、熱暴走によって発生した熱を排出させることにより、熱暴走が発生したバッテリーセル100を冷却させる機能も同時に果たすことができる。
【0054】
すなわち、本発明において、支持部310は、熱暴走の際、自ら熱伝達を遮断する断熱材としての機能を果たすか、熱を吸収する吸収材としての機能を果たす既存の断熱材とは違い、熱暴走の際、バッテリーセル100を最小の接触面積で支持し、バッテリーセル100の間に断熱及び冷却の機能を果たす空気層を形成するという点で違いがある。
【0055】
以上で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当該分野で通常の知識を有する者にこのような具体的技術はただ好適な実施様態であるだけで、これによって本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるというのは当業者に明らかなものであり、このような変形及び修正も添付の特許請求範囲に属するものであるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
1000 バッテリーモジュール
100 バッテリーセル
110 電極リード
200 ケース
210 下部ケース
220 カバー
300 断熱部材
310 支持部
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】