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特許7508175リチウム二次電池用正極及びこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極及びこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20240624BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240624BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240624BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240624BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20240624BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/62 Z
H01M4/36 E
H01M4/131
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023524197
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 KR2021019830
(87)【国際公開番号】W WO2022139547
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0182745
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・イル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ハク・ユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ラ・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ヒュク・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フィ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スル・キ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ワン・モ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フン・イ
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/027204(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0117387(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111384372(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/525
H01M 4/505
H01M 4/62
H01M 4/36
H01M 4/131
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表され、結晶粒の大きさが150nm以上である第1正極活物質;
単層カーボンナノチューブを含む導電材;及び
バインダー;を含む正極活物質層を含む、リチウム二次電池用正極:
[化1]
Lix1[Nia1Cob1 c1 d1]O
前記化学式1において、
はMn、Alまたはこれらの組み合わせで、
はZr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群から選択される1種以上であり、
0.9≦x1≦1.1、0.8≦a1<1、0<b1<0.2、0<c1<0.2、0≦d1≦0.1である。
【請求項2】
前記第1正極活物質は結晶粒の大きさが150nmないし200nmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項3】
前記第1正極活物質は平均粒径D50が10μmないし20μmである、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項4】
前記正極活物質層は平均粒径D50が1μmないし8μmである第2正極活物質をさらに含むものである、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項5】
前記第2正極活物質は下記化学式2で表され、結晶粒の大きさが90nmないし160nmのものである、請求項4に記載のリチウム二次電池用正極:
[化2]
Lix2[Nia2Cob2 c2 d2]O
前記化学式2において、
はMn、Alまたはこれらの組み合わせで、
はZr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群から選択される1種以上であり、
0.9≦x2≦1.1、0.6≦a2≦0.90、0<b2<0.40、0<c2<0.40、0≦d2≦0.1である。
【請求項6】
前記第1正極活物質と第2正極活物質は50:50ないし95:5の重量の割合で含まれるものである、請求項4または5に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項7】
前記単層カーボンナノチューブはBET比表面積が700m/gないし1,500m/gである、請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項8】
前記導電材は、黒鉛、カーボンブラック、導電性繊維、金属粉末、導電性ウィスカー、及び導電性金属酸化物からなる群から選択される1種以上をさらに含むものである、請求項1から7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項9】
前記単層カーボンナノチューブは、前記正極活物質層の全体重量を基準にして0.01重量%ないし2重量%の量で含まれるものである、請求項1から8のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年12月24日付にて出願された韓国特許出願第10-2020-0182745号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明はリチウム二次電池用正極及びこれを含むリチウム二次電池に係り、より詳細には、寿命特性及び抵抗特性に優れる正極及びこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれ、エネルギー源として二次電池の需要が急増している。このような二次電池の中で高いエネルギー密度と電圧を持ち、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が常用化されて広く使われている。
【0004】
最近、電気自動車などの技術発展によって高容量二次電池に対する需要が増加していて、これによって容量特性に優れる高ニッケル(high-Ni)正極活物質に対する研究が活発に行われている。高ニッケル正極活物質はニッケル含有量が80atm%以上の正極活物質で高い容量具現が可能であるが、ニッケル含有量が増加するにつれ、正極活物質の構造安定性が低下して高温寿命特性が落ちるという問題点がある。
【0005】
また、高ニッケル(high-Ni)正極活物質は、正極活物質自体の抵抗が大きく、充放電時に体積変化が大きくて充放電が繰り返されることによって導電経路(Conductive path)が切れ、これによって抵抗増加率が大きくなるという問題点がある。
【0006】
前記のような問題点を改善するために、正極活物質の結晶粒の大きさを小さくして充放電時の体積変化を減少させる方案が考慮されることができるが、結晶粒の大きさが小さくなる場合、体積変化は減るが初期抵抗が増加するという問題点がある。特に、ニッケル含有量が高い高ニッケル(High-Ni)正極活物質の場合、表面にNiOの岩塩相(rocksalt phase)が多く存在するため、低いSOC(State of Charge)状態で抵抗特性が劣化され、出力特性が低下されるという問題点があるが、初期抵抗が増加する場合、前記のような問題点がもっと大きくなる。特に、電気自動車用電池として使われるためには、低い充電状態でも自動車運行ができる程度の十分な出力を出せなければならない。
【0007】
したがって、高ニッケル(High-Ni)正極活物質を使って高容量特性を持ちながら抵抗増加率が低くて十分な出力を出すことができ、高温寿命特性に優れるリチウム二次電池に対する開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記のような問題点を解決するためのもので、抵抗特性及び高温寿命特性が改善された高容量正極及びこれを含むリチウム二次電池を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記化学式1で表されて、結晶粒の大きさが150nm以上の第1正極活物質;単層カーボンナノチューブ(Single-Walled Carbon NanoTube、SWCNT)を含む導電材;及びバインダー;を含む正極活物質層を含むリチウム二次電池用正極を提供する。
【0010】
[化1]
Lix1[Nia1Cob1 c1 d1]O
前記化学式1において、
はMn、Alまたはこれらの組み合わせで、
はZr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群から選択される1種以上であり、
0.9≦x1≦1.1、0.8≦a1<1、0<b1<0.2、0<c1<0.2、0≦d1≦0.1である。
【0011】
また、本発明は前記リチウム二次電池用正極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による正極は、特定の結晶粒の大きさを持つ高ニッケル正極活物質と単層カーボンナノチューブを一緒に使用することで、高容量特性を具現しながらも抵抗増加率が減少して出力特性改善効果を得られるようにした。具体的には、本発明は結晶粒の大きさが150nm以上と大きい正極活物質を使用することで、低い初期抵抗及び優れる容量特性を具現することができ、単層カーボンナノチューブを使用することで、反復的な充放電時も導電経路損失を最小化することができるようにした。これによって、本発明による正極を適用したリチウム二次電池は、容量特性、抵抗特性及び高温寿命特性が優秀である。
【0013】
これに比べて、単層カーボンナノチューブを使用しても正極活物質の結晶粒の大きさが本発明の範囲を脱する場合は、抵抗改善効果がほとんどなく、本発明の範囲を満たす結晶粒の大きさを持つ正極活物質を使用しても、単層カーボンナノチューブを使わない場合は抵抗改善効果が微々たるものであり、高温寿命特性が低下される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】比較例1と実施例1~3によって製造されたリチウム二次電池のSOCによる抵抗特性を示すグラフである。
図2】比較例2及び3によって製造されたリチウム二次電池のSOCによる抵抗特性を示すグラフである。
図3】実施例4及び比較例4によって製造されたリチウム二次電池のSOCによる抵抗特性を示すグラフである。
図4】比較例1と実施例1~3によって製造されたリチウム二次電池の高温寿命特性を示すグラフである。
図5】実施例4及び比較例4によって製造されたリチウム二次電池の高温寿命特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、「結晶粒(Crystalline)」は規則的な原子配列を持つ単結晶粒子単位を意味する。前記結晶粒の大きさは正極活物質粉末をX線回折分析して得られたXRDデータをリートベルト解析(Rietveld refinement)法で分析して測定することができる。この時、前記X線回折分析は、LynxEye XE-T-position sensitive detectorが装着されたBruker D8 Endeavor(Cu-Kα、λ=1.54Åを利用して、一般粉末用ホルダー(holder)の溝に試料を入れて、スライドガラス(slide glass)を利用して試料表面を均一にし、試料の高さがホルダーの端に一致するように充填した後、FDS 0.5゜、2θ=15゜~90゜領域に対してステップサイズ(step size)=0.02゜、総スキャン時間(total scan time)=約20分の条件で測定した。測定されたデータに対して各サイト(site)でのcharge(遷移金属サイトにおける金属は+3、LiサイトのNiの+2)と陽イオン混合(cation mixing)を考慮してリートベルト解析(Rietveld refinement)を遂行した。具体的には、結晶粒の大きさ分析時にinstrumental broadeningはBruker TOPASプログラムに内蔵されているFundamental Parameter Approach(FPA)を利用して考慮され、フィッティング(fitting)時に測定範囲の全体ピークを使用した。ピーク形態(Peak shape)は、TOPASで使用可能なピークタイプ(peak type)の中でFP(First Principle)でLorentzian contributionのみ使用してフィッティング(fitting)し、ストレーン(strain)は考慮しなかった。
【0016】
本発明において、「1次粒子」は走査電子顕微鏡(SEM)を通じて正極活物質の断面を観察した時、1個の塊で区別される最小粒子単位を意味するもので、一つの結晶粒からなることもでき、複数個の結晶粒からなることもできる。本発明において、前記1次粒子の平均粒径は、正極活物質粒子の断面SEMイメージで区別されるそれぞれの粒子の大きさを測定し、これらの算術平均値を求める方法で測定されることができる。
【0017】
本発明において、「2次粒子」は複数個の1次粒子が凝集されて形成される2次構造体を意味する。前記2次粒子の平均粒径は、粒度分析機を利用して測定されることができ、本発明では粒度分析機でMicrotrac社のs3500を使用した。
【0018】
本発明において、正極活物質の「粒径Dn」は、粒径による体積累積分布のn%地点での粒径を意味する。すなわち、D50は粒径による体積累積分布の50%地点での粒径で、D90は粒径による体積累積分布の90%地点での粒径を、D10は粒径による体積累積分布の10%地点での粒径である。前記Dnはレーザー回折法(laser diffraction method)を利用して測定することができる。具体的に、測定対象粉末を分散媒(蒸溜水)の中に分散させた後、市販されるレーザー回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して粒子がレーザービームを通過する時、粒子の大きさによる回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。測定装置における粒径による体積累積分布の10%、50%及び90%になる地点での粒子直径を算出することで、D10、D50及びD90を測定することができる。
【0019】
本発明において、「比表面積」はBET法によって測定したことで、具体的にはBEL Japan社のBELSORP-mini IIを利用して液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出されることができる。
【0020】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0021】
本発明者らは高ニッケル正極活物質を適用したリチウム二次電池の抵抗特性を改善するために研究を繰り返した結果、特定大きさの結晶粒を持つ高ニッケル正極活物質と単層カーボンナノチューブを一緒に適用することで、高容量正極の抵抗特性を改善することができることを見つけ出して、本発明を完成した。
【0022】
正極
本発明による正極は、(1)正極活物質、(2)導電材及び(3)バインダーを含む正極活物質層を含む。この時、前記正極活物質は、下記化学式1で表され、結晶粒の大きさが150nm以上の第1正極活物質を含み、前記導電材は単層カーボンナノチューブ(Single-Walled Carbon NanoTube、SWCNT)を含む。
【0023】
[化1]
Lix1[Nia1Cob1 c1 d1]O
前記化学式1において、
はMn、Alまたはこれらの組み合わせで、
はZr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P 及びSからなる群から選択される1種以上であり、
0.9≦x1≦1.1、0.8≦a1<1、0<b1<0.2、0<c1<0.2、0≦d1≦0.1である。
【0024】
以下、本発明による正極の各構成成分について具体的に説明する。
【0025】
(1)正極活物質
本発明による正極は第1正極活物質として下記[化1]で表されるリチウム複合遷移金属酸化物を含む。
【0026】
[化1]
Lix1Nia1Cob1 c1 d1
前記化学式1において、前記MはMn、Alまたはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくはMn、またはMn及びAlの組み合わせである。
【0027】
はZr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群から選択される1種以上であって、リチウム複合遷移金属酸化物の構造安定性の改善側面で、Zrを含むことが特に好ましい。
【0028】
前記x1はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムのモル比を示すもので、0.9≦x1≦1.1、好ましくは0.95≦x1≦1.08、より好ましくは1≦x1≦1.08である。
【0029】
前記a1はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でニッケルの原子の割合を示すもので、0.80≦a1<1、0.80≦a1≦0.99、または0.85≦a1≦0.95である。ニッケル含有量が前記範囲を満たす場合、高容量特性を具現することができる。
【0030】
前記b1はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でコバルトの原子の割合を示すもので、0<b1<0.2、0<b1≦0.15、または0.01≦b1≦0.10である。
【0031】
前記c1はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でMの原子の割合を示すもので、0<c1<0.2、0<c1≦0.15、または0.01≦c1≦0.10である。
【0032】
前記d1はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でMの原子の割合を示すもので、0≦d1≦0.1、または0≦d1≦0.05である。
【0033】
一方、前記第1正極活物質は結晶粒の大きさが150nm以上、好ましくは150nmないし200nm、より好ましくは160nmないし190nmである。結晶粒の大きさが150nm未満である高ニッケル正極活物質を使用する場合、初期抵抗が高く、充放電容量が十分ではないため、高容量及び高出力特性を具現しにくい。
【0034】
一方、前記第1正極活物質は、平均粒径D50が10μmないし20μm、好ましくは10μmないし18μm、より好ましくは10μmないし16μmである。第1正極活物質の平均粒径が前記範囲を満たす時、優れる寿命特性を具現することができる。
【0035】
一方、本発明による正極は、正極活物質で前記第1正極活物質以外に第2正極活物質をさらに含むことができる。前記第2正極活物質は前記第1正極活物質と平均粒径が相違する正極活物質である。
【0036】
平均粒径が相違する2種以上の正極活物質を一緒に使用する場合、相対的に粒径が大きい正極活物質の間に相対的に粒径が小さい正極活物質が充填されて正極活物質層の充填密度が増加し、これによってエネルギー密度が改善される効果を得ることができず、圧延工程で旋圧によって活物質が割れることを防ぐ効果を得ることができる。
【0037】
例えば、前記第2正極活物質は、平均粒径D50が1μmないし8μm、好ましくは1μmないし7μm、より好ましくは2μmないし7μmである。第2正極活物質の平均粒径D50が前記範囲を満たす時、電極充填度が増加してエネルギー密度が向上され、出力特性が改善される効果を得られる。
【0038】
一方、前記第2正極活物質の組成は、前記第1正極活物質と同一であっても、異なってもよい。例えば、本発明において、前記第1正極活物質のニッケル含有量が第2正極活物質のニッケル含有量より高いことがある。大粒径の第1正極活物質のニッケル含有量が小粒径の第2正極活物質のニッケル含有量より高い場合、容量特性がより優秀に表れる。
【0039】
具体的には、前記第2正極活物質は下記化学式2で表されるリチウム複合遷移金属酸化物を含むことができる。
【0040】
[化2]
Lix2Nia2Cob2 c2 d2
前記化学式1において、前記MはMn、Alまたはこれらの組み合わせであって、好ましくはMn、またはMn及びAlの組み合わせである。
【0041】
はZr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群から選択される1種以上であって、リチウム複合遷移金属酸化物の構造安定性の改善側面で、Zrを含むことが特に好ましい。
【0042】
前記x2はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムのモル比を示すことで、0.9≦x2≦1.1、好ましくは0.95≦x2≦1.08、より好ましくは1≦x2≦1.08である。
【0043】
前記a2はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でニッケルの原子の割合を示すことで、0.60≦a2≦0.90、0.65≦a2≦0.85または0.80≦a≦0.85である。ニッケル含有量が前記範囲を満たす場合、高容量特性を具現することができる。
【0044】
前記b2はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でコバルトのモル比を示すことで、0<b2<0.40、0<b2≦0.35、または0.01≦b2≦0.20である。
【0045】
前記c2はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でMのモル比を示すことで、0<c2<0.40、0<c2≦0.35、または0.01≦c2≦0.20である。
【0046】
前記d2はリチウム複合遷移金属酸化物内のリチウムを除いた金属の中でMのモル比を示すことで、0≦d2≦0.1、または0≦d2≦0.05である。
【0047】
一方、前記第2正極活物質の結晶粒の大きさが90nmないし160nm、好ましくは100nmないし160nm、より好ましくは100nmないし150nmである。結晶粒の大きさが前記範囲を満たす正極活物質を第2正極活物質で使用する場合、圧延工程時の正極活物質粒子の破れ現象を効果的に抑制することができる。第2正極活物質の結晶粒の大きさが大きすぎるか、小さすぎる場合は、粒子の破れを制御し難い。
【0048】
一方、本発明による正極は、前記第1正極活物質と第2正極活物質を50:50ないし95:5、好ましくは60:40ないし90:10、より好ましくは70:30ないし90:10の重量の割合で含むことができる。第1正極活物質と第2正極活物質の配合比が前記範囲を満たす時、正極活物質粒子の充填密度を高めることができ、電池容量増加効果に優れる。
【0049】
一方、前記正極活物質は、正極活物質層全体重量を基準にして、70重量%ないし99重量%、好ましくは80重量%ないし99重量%、より好ましくは90重量%ないし99重量%で含まれることができる。正極活物質の含量が前記範囲を満たす時、電極抵抗が低く、エネルギー密度が高い正極を製造することができる。
【0050】
この時、前記正極活物質の含量は第1正極活物質と第2正極活物質を合した重量である。
【0051】
(2)導電材
本発明の正極は導電材で単層カーボンナノチューブを含む。前記単層カーボンナノチューブは、正極活物質と正極活物質の間に導電経路(conductive path)を提供することで正極の導電性を向上させるためのものである。
【0052】
単層カーボンナノチューブは、他の導電材に比べて比表面積が高く、導電経路を3次元に形成することができるので、単層カーボンナノチューブを高ニッケル正極活物質とともに適用する場合、充放電時に正極活物質の膨脹、収縮による導電経路損失を最小化することができる。
【0053】
前記単層カーボンナノチューブはBET比表面積が700m/gないし1,500m/g、好ましくは800m/gないし1,400m/g、より好ましくは900m/gないし1,300m/gである。また、前記単層カーボンナノチューブは平均直径が0.5mないし3mで、好ましくは0.7mないし2mである。単層カーボンナノチューブの比表面積及び平均直径が前記範囲を満たす時、分散性に優れて正極活物質層で均一な導電経路を形成することができる。
【0054】
一方、前記単層カーボンナノチューブは前記正極活物質層全体重量を基準にして0.01重量%ないし2重量%、好ましくは0.05重量%ないし1.5重量%、より好ましくは0.1重量%ないし1.2重量%の量で含まれることができる。正極活物質層内の単層カーボンナノチューブの含量が前記範囲を満たす時、十分な導電経路を形成することができる。
【0055】
一方、本発明の正極は必要に応じて、導電材で前記単層カーボンナノチューブと共に他の種類の導電材をさらに含むことができる。例えば、前記導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;及び酸化チタンなどの導電性金属酸化物からなる群から選択される1種以上をさらに含むことができ、好ましくはカーボンブラックをさらに含むことができる。前記のように単層カーボンナノチューブ以外の導電材をさらに含む場合、導電性向上効果がもっと優秀である。
【0056】
一方、前記単層カーボンナノチューブ以外の導電材をさらに含む場合、前記単層カーボンナノチューブ以外の導電材は前記正極活物質層全体重量を基準にして0.1重量%ないし10重量%、好ましくは0.1重量%ないし5重量%、より好ましくは0.5重量%ないし5重量%の量で含まれることができる。単層カーボンナノチューブ以外の導電材の含量が前記範囲を満たす時、活物質含量減少による容量低下を最小化しながら導電性を向上させることができる。
【0057】
(3)バインダー
本発明の正極はバインダーを含む。前記バインダーは正極活物質粒子の間の付着及び正極活物質と集電体との接着力を向上させるためのもので、当該技術分野で一般的に知られているバインダーを使用することができる。
【0058】
例えば、前記バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などを使用することができ、これらの中で1種単独または2種以上の混合物が使われることができる。
【0059】
前記バインダーは正極活物質層の総重量に対して0.1重量%ないし10重量%、好ましくは0.15重量%ないし7重量%、より好ましくは0.2重量%ないし5重量%で含まれることができる。バインダーの含量が前記範囲を満たす時、抵抗増加を最小化しながら正極活物質の脱離を抑制することができる。
【0060】
本発明による正極は、前記正極活物質、導電材及びバインダーを溶媒の中で混合して正極スラリー組成物を製造し、前記正極スラリー組成物を正極集電体または別途支持体上に塗布した後、乾燥及び圧延して正極活物質層を形成する方法で製造されることができる。
【0061】
この時、前記溶媒としては、当該技術分野で正極スラリー組成物の製造のために利用される一般的な溶媒が使われることができ、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、アセトン(acetone)または水などを単独または2種以上混合して使用することができる。前記溶媒の使容量はスラリーの塗布の厚さ、製造収率を考慮して前記正極活物質、導電材及びバインダーを溶解または分散させ、以後、正極製造のための塗布時、優れる厚さ均一度を示すことができる粘度を持たせる程度であれば十分である。
【0062】
前記正極集電体は電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を持つものであれば特に制限されず、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使われることができる。また、前記正極集電体は通常3ないし500μmの厚さを持つことができ、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使われることができる。
【0063】
リチウム二次電池
次に、本発明によるリチウム二次電池について説明する。
【0064】
前記リチウム二次電池は、上述した本発明による正極を含み、具体的には、正極、前記正極と対向して位置する負極、及び前記正極と負極の間に介在される分離膜及び電解質を含むことができる。
【0065】
また、前記リチウム二次電池は、前記正極、負極、分離膜の電極組立体を収納する電池容器、及び前記電池容器を密封する密封部材を選択的にさらに含むことができる。
【0066】
正極は前述したものと同一であるので、具体的な説明を省略し、以下、他の構成についてのみ具体的に説明する。
【0067】
前記リチウム二次電池において、前記負極は負極集電体及び前記負極集電体上に位置する負極活物質層を含む。
【0068】
前記負極集電体は電池に化学的変化を引き起こさずに高い導電性を持つものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使われることができる。また、前記負極集電体は、通常3μmないし500μmの厚さを持つことができ、正極集電体と同様、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使われることができる。
【0069】
前記負極活物質層は負極活物質とともに選択的にバインダー及び導電材を含む。
【0070】
前記負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な化合物が使用されることができる。具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金などリチウムと合金化可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物と一緒にリチウムをドープ及び脱ドープすることができる金属酸化物;またはSi-C複合体またはSn-C複合体のように前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などを挙げることができ、これらの中でいずれか一つまたは2つ以上の混合物が使われることができる。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が使われることもできる。また、炭素材料は低結晶炭素及び高結晶性炭素などがいずれも使われることができる。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的で、高結晶性炭素としては、無定形、板状、麟片状、球形または繊維型の天然黒鉛または人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、メソ相ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソ炭素微小球体(meso-carbon microbeads)、メソ相ピッチ(Mesophase pitches)及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0071】
前記負極活物質は負極活物質層の総重量に対して80重量%ないし99重量%で含まれることができる。
【0072】
前記バインダーは、導電材、活物質及び集電体の間の結合に助力する成分であって、通常負極活物質層の総重量に対して0.1重量%ないし10重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などを挙げることができる。
【0073】
前記導電材は負極活物質の導電性をさらに向上させるための成分であって、負極活物質層の総重量に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下で添加されることができる。このような導電材は当該電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を持つものであれば特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使われることができる。
【0074】
例えば、前記負極活物質層は負極集電体上に負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した負極スラリー組成物を塗布して乾燥することで製造されるか、または前記負極スラリー組成物を別途支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して得たフィルムを負極集電体上にラミネーションすることで製造されることができる。
【0075】
一方、前記リチウム二次電池において、分離膜は負極と正極を分離してリチウムイオンの移動通路を提供するもので、通常、リチウム二次電池で分離膜として使われるものであれば特に制限せずに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液の含湿能力に優れるものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使われることができる。また、通常的な多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使われることもできる。また、耐熱性または機械的強度を確保するためにセラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされた分離膜が使われることもでき、選択的に単層または多層構造で使われることができる。
【0076】
また、本発明で使用される電解質では、リチウム二次電池製造時、使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル形高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などを挙げることができ、これらに限定されるものではない。
【0077】
具体的に、前記電解質は有機溶媒及びリチウム塩を含むことができる。
【0078】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関わるイオンが移動することができる媒質の役目をすることができるものであれば特に制限されずに使われることができる。具体的に、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは炭素数2ないし20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使われることができる。
【0079】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使われるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば特に制限されずに使われることができる。具体的に、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、またはLiB(Cなどが使われることができる。前記リチウム塩の濃度は0.1ないし2.0M範囲内で使用した方がよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を持つので、優れる電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0080】
前記のように本発明による正極活物質を含むリチウム二次電池は優れる放電容量、出力特性及び寿命特性を安定的に示すので、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用である。
【0081】
これによって、本発明の他の一具現例によると、前記リチウム二次電池を単位セルで含む電池モジュール及びこれを含む電池パックが提供される。
【0082】
前記電池モジュールまたは電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車、及びプラグ-インハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムの中でいずれか一つ以上の中大型デバイス電源で利用されることができる。
【0083】
本発明のリチウム二次電池の外形は特に制限しないが、カンを利用した円筒状、角形、ポーチ(pouch)型またはコイン(coin)型などになることができる。
【0084】
本発明によるリチウム二次電池は、小型デバイスの電源で使われる電池セルに使用されるだけでなく、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても好ましく使われることができる。
【0085】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は幾つか異なる形態で変形されることができ、本発明の範囲が以下で述べる実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0086】
実施例1
結晶粒のサイズが180nmで、平均粒径D50が14μmであるLi[Ni0.9Co0.05Mn0.05]O、単層カーボンナノチューブ(OCSiAl、TUBALL、BET比表面積=1160m/g)、カーボンブラック、PVDFバインダーを96:0.5:1:2.5の重量の割合でN-メチルピロリドンの中に混合して正極スラリー組成物を製造した。前記正極スラリー組成物をアルミニウム集電体の一面に塗布した後、130℃で乾燥後、圧延して正極を製造した。
【0087】
また、人造黒鉛、カーボンブラック(SUPER C-65)及びアクリル系バインダー(BM-L302、Zeon社)を95:1:4の重量比で混合して溶媒の水に添加して負極スラリー組成物を製造した。これを銅集電体上に塗布して乾燥した後、圧延して負極を製造した。
【0088】
前記で製造した正極と負極の間にポリエチレン分離膜を介在して電極組立体を製造した後、これを電池ケース内部に位置させた後、前記ケース内部に電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0089】
この時、前記電解液としては、エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC):ジエチルカーボネート(DEC)を3:4:3の体積の割合で混合した有機溶媒にLiPFを1Mで溶解させた電解液を使用した。
【0090】
実施例2
正極活物質として結晶粒のサイズが156nmで、平均粒径D50が14μmであるLi[Ni0.9Co0.05Mn0.05]Oを使った点を除いては、実施例1と同様の方法で、正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0091】
実施例3
正極活物質として結晶粒のサイズが180nmで、平均粒径D50が14μmであるLi[Ni0.9Co0.05Mn0.05]Oと、結晶粒のサイズが139nmで、平均粒径D50が4μmであるLi[Ni0.8Co0.1Mn0.1]Oを75:25の重量比で混合して使った点を除いては、実施例1と同様の方法で、正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0092】
実施例4
正極活物質として結晶粒のサイズが159nmで、平均粒径D50が14μmである Li[Ni0.8Co0.1Mn0.1]Oを使った点を除いては、実施例1と同様の方法で、正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0093】
比較例1
単層カーボンナノチューブを使わない点を除いては、、実施例1と同様の方法で、正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0094】
比較例2
正極活物質として結晶粒のサイズが124nmで、平均粒径D50が14μmであるLi[Ni0.9Co0.05Mn0.05]Oを使った点を除いては、実施例1と同様の方法で、正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0095】
比較例3
単層カーボンナノチューブを使わない点を除いては、比較例2と同様の方法で、正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0096】
比較例4
単層カーボンナノチューブを使わない点を除いては、実施例4と同様の方法で、正極及びリチウム二次電池を製造した。
【0097】
実験例1-抵抗特性評価
前記実施例1~4及び比較例1~4によって製造されたリチウム二次電池を充電しながらHPPC法(Hybrid Pulse Power Characterization test)でSOCによる抵抗を測定した。具体的には、前記実施例1~4及び比較例1~4によって製造されたリチウム二次電池を常温(25℃)でCCCVモードで、0.3Cの律速で4.2Vになるまで充電した後、2.5Vまで放電した。その後、0.3Cの律速でCCCVモードで4.2Vまで充電した後、放電させながらSOC別に2C律速で放電させる時、60秒電圧降下抵抗を測定した。
【0098】
測定結果は、図1ないし図3に示す。図1は比較例1と実施例1~3によって製造されたリチウム二次電池のSOCによる抵抗特性を示すグラフで、図2は比較例2及び3によって製造されたリチウム二次電池のSOCによる抵抗特性を示すグラフである。図3は実施例4及び比較例4によって製造されたリチウム二次電池のSOCによる抵抗特性を示すグラフである。
【0099】
図1を通じて、実施例1~3のリチウム二次電池が比較例1のリチウム二次電池に比べてSOC全体範囲でより低い抵抗を示すことを確認することができる。
【0100】
また、図2を通じて、単層カーボンナノチューブを使用せずに、結晶粒の大きさが150nm未満の小さい正極活物質を使用した比較例3の場合、比較例1に比べて初期抵抗が大きく増加したことを確認することができる。一方、結晶粒の大きさが150nm未満で小さく、単層カーボンナノチューブを使用した比較例2の場合、比較例3と比べると初期抵抗が減少したが、結晶粒の大きさが180nmである正極活物質を使用した比較例1と比べると初期抵抗の減少効果が微々たるものであって、充電が進められてSOCが高くなるにつれ、抵抗が増加して比較例3と同等水準の抵抗特性を示すことを確認することができる。
【0101】
一方、図3を通じて、実施例4のリチウム二次電池が同一な組成及び結晶粒の大きさを持つ正極活物質を適用した比較例のリチウム二次電池に比べてSOC全体範囲でより低い抵抗を示すことを確認することができる。
【0102】
実験例2-寿命特性評価
前記実施例1~4及び比較例1及び4によって製造されるリチウム二次電池のそれぞれを45℃で0.33Cで、2.5V~4.2Vの範囲を充放電条件にして100サイクル充放電させながら容量維持率及び抵抗増加率を測定した。
【0103】
容量維持率は二回目の放電容量を基準にして各サイクルの容量分率を測定し、抵抗増加率は放電初期60秒間の電圧降下で抵抗を測定し、二回目の放電後に抵抗を基準にして増加率を測定した。
【0104】
測定結果は、図4及び図5に示す。図4は比較例1と実施例1~3によって製造されたリチウム二次電池の寿命特性を示すグラフで、図5は実施例4と比較例4によって製造されたリチウム二次電池の寿命特性を示すグラフである。
【0105】
図4を通じて、実施例1~3のリチウム二次電池の寿命特性が比較例1のリチウム二次電池に比べて著しく優れるものとして示されることを確認することができる。また、図5を通じて、実施例4のリチウム二次電池の寿命特性、特に、抵抗特性が比較例4のリチウム二次電池に比べて著しく優れることを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5