(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】情報伝達システム
(51)【国際特許分類】
G10L 19/018 20130101AFI20240624BHJP
【FI】
G10L19/018
(21)【出願番号】P 2020178418
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2022-11-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163979
【氏名又は名称】濱名 哲也
(72)【発明者】
【氏名】兵庫 寿昭
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207380(JP,A)
【文献】特開2020-091854(JP,A)
【文献】特開2020-016901(JP,A)
【文献】特開2019-153986(JP,A)
【文献】特開2019-133162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-31/00
G10L 19/018
H04R 27/00-27/04
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアのエリア状態を画像認識処理によって検出するエリア状態検出装置と、
前記エリア状態の取得に基づいて、前記エリア状態に対応付けられた識別情報を含む透かし音響信号を出力する放送装置と、
前記透かし音響信号から前記識別情報を抽出して、前記識別情報に対応付けられた処理を実行する端末装置と、を備
え、
前記所定エリアは、複数のサブエリアを含み、
前記所定エリアのエリア状態は、複数の前記サブエリアそれぞれのサブエリア状態に基づいて設定される
情報伝達システム。
【請求項2】
前記エリア状態は、人の密集状態である
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項3】
前記端末装置は、前記識別情報に対応付けられた関連情報を表示する
請求項1または2に記載の情報伝達システム。
【請求項4】
前記エリア状態は、前記所定エリア内に要支援者の存否、および、前記要支援者の障害の種別を示す
請求項1に記載の情報伝達システム。
【請求項5】
所定エリアのエリア状態を画像認識処理によって検出するエリア状態検出装置と、
前記エリア状態の取得に基づいて、前記エリア状態に対応付けられた識別情報を含む透かし音響信号を出力する放送装置と、
前記透かし音響信号から前記識別情報を抽出して、前記識別情報に対応付けられた処理を実行する端末装置と、を備
え、
前記エリア状態は、前記所定エリア内に要支援者の存否、および、前記要支援者の障害の種別を示す
情報伝達システム。
【請求項6】
前記端末装置は、前記所定エリアの地面に設置されるものであり、前記識別情報を取得することによって前記識別情報に対応する発光態様で発光する
請求項4または5に記載の情報伝達システム。
【請求項7】
前記端末装置は、前記識別情報に対応付けられた関連情報を表示する
請求項4または5に記載の情報伝達システム。
【請求項8】
前記端末装置は、携帯端末として構成される
請求項4または5に記載の情報伝達システム。
【請求項9】
前記識別情報は、共通の原音信号に埋め込まれる
請求項1~8のいずれか一項に記載の情報伝達システム。
【請求項10】
前記透かし音響信号の原音信号は、前記識別情報毎に異なる
請求項1~8のいずれか一項に記載の情報伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報伝達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報を人に伝達する方法には、様々な方式がある(例えば、特許文献1)。例えば、情報伝達の方法として、テレビ放送、ラジオ放送、信号線を介した情報通信、インターネットまたは電話を介した情報通信、および、音声放送が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、所定エリアに関する情報を所定エリアの人または物に伝達したい場合がある。例えば、店舗内にいる人にその店舗に関する情報を伝達したいことがある。また、所定場所を通る人にだけその場所の情報を伝達したい場合もある。具体的には、駅構内において、段差および凹みによって歩行し難い部分がある場合に、その周囲の人に注意喚起することがある。他の例では、駅構内において、段差および凹みによって歩行し難い部分がある場合に、人への注意喚起のための情報を所定エリア内の表示装置に伝達する。
【0005】
テレビ放送やラジオ放送の場合、放送エリアが広いことから、所定エリアに情報を伝達するシステムとしては、適当ではない。インターネットや電話回線を介した情報通信の場合、利用者にアクセスすることが前提となるため、適切なタイミングで情報を伝達することができない。音声放送の場合、所定エリア内の人にアナウンスで情報を伝達することができる。しかし、音声放送の場合、音として情報を伝達するため、伝達できる情報が限られている。以上のような事情から、既存のシステムでは、所定エリアに関する情報を所定エリアの端末装置に伝達し難い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決する情報伝達システムは、前記所定エリアのエリア状態を検出するエリア状態検出装置と、前記エリア状態の取得に基づいて、前記エリア状態に対応付けられた識別情報を含む透かし音響信号を出力する放送装置と、前記透かし音響信号から前記識別情報を抽出して、前記識別情報に対応付けられた処理を実行する端末装置と、を備える。
【0007】
この構成によれば、所定エリアに関する情報を所定エリア内にある端末装置に伝達できる。例えば、所定エリアに関する情報を、音、画像、文字等によって端末装置に伝達できる。
【0008】
(2)上記情報伝達システムにおいて、前記所定エリアは、複数のサブエリアを含み、前記所定エリアのエリア状態は、複数の前記サブエリアそれぞれのサブエリア状態に基づいて設定される。この構成によれば、複数のサブエリアそれぞれのサブエリア状態を含む情報を端末装置に伝達できる。
【0009】
(3)上記情報伝達システムにおいて、前記エリア状態は、人の密集状態である。
この構成によれば、人の密集状態を端末装置に伝達できる。
【0010】
(4)上記情報伝達システムにおいて、前記端末装置は、前記識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。
この構成によれば、端末装置は、エリア状態に関する関連情報を画面表示によって端末装置の使用者に提供できる。
【0011】
(5)上記情報伝達システムにおいて、前記エリア状態は、前記所定エリア内に要支援者の存否、および、前記要支援者の障害の種別を示す。
この構成によれば、要支援者の存否、および、要支援者の障害の種別を端末装置に伝達できる。
【0012】
(6)上記情報伝達システムにおいて、前記端末装置は、前記所定エリアの地面に設置されるものであり、前記識別情報を取得することによって前記識別情報に対応する発光態様で発光する。
【0013】
端末装置は、識別情報に対応するような発光態様で発光する。識別情報は、エリア状態に対応付けられている情報であり、エリア状態は、要支援者の存否、および、要支援者の障害の種別を示す。このような構成によって、端末装置は、要支援者に応じた発光態様で発光する。これによって、要支援者を適切に案内できる。
【0014】
(7)上記情報伝達システムにおいて、前記端末装置は、前記識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。
この構成によれば、エリア状態に関する関連情報を画面表示によって端末装置の使用者に提供できる。
【0015】
(8)上記情報伝達システムにおいて、前記端末装置は、携帯端末として構成される。この構成によれば、端末装置を使用する使用者に、エリア状態に関する情報を提供できる。
【0016】
(9)上記情報伝達システムにおいて、前記識別情報は、共通の原音信号に埋め込まれる。
人の密集状態は時間とともに大きく変化する。識別情報毎に原音信号を替えると、透かし音響信号が頻繁に変わり、耳障りになる虞がある。耳障りの対処のため、透かし音響信号を短周期で出力し難くなる。この点、識別情報は、共通の原音信号に埋め込まれる。このため、埋め込まれる識別情報が替わったとしても透かし音響信号は変わらない。このようにして、透かし音響信号が耳障りとなることを抑制できる。
【0017】
(10)上記情報伝達システムにおいて、前記透かし音響信号の原音信号は、前記識別情報毎に異なる。この構成によれば、透かし音響信号を聞くだけで、エリア状態に関して示唆を与えることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記情報伝達システムは、所定エリアに関する情報を所定エリア内にある端末装置に伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】サブエリア状態と、エリア状態との関係を示すテーブル。
【
図3】透かし音響信号と、エリア状態と、識別情報と、原音信号との関係を示すテーブル。
【
図5】識別情報と、表示信号と、関連情報との関係を示すテーブル。
【
図8】透かし音響信号と、エリア状態と、識別情報と、原音信号との関係を示すテーブル。
【
図9】第1端末装置において、識別情報と、発光制御信号と、発光態様との関係を示すテーブル。
【
図10】第2端末装置において、識別情報と、表示信号と、関連情報との関係を示すテーブル。
【
図12】第3端末装置において、識別情報と、表示信号と、関連情報との関係を示すテーブル。
【
図13】時間軸において、エリア状態の出力と、透かし音響信号の出力と、第1端末装置の動作と、第2端末装置の動作と、第3端末装置の動作との関係を示すチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1~
図6を参照して、情報伝達システムについて説明する。情報伝達システム1は、駅のホーム、駅構内、地下街、公共施設、および、店舗に設置される。情報伝達システム1は、所定エリアARのエリア状態を端末装置20に伝達する。
【0021】
図1に示されるように、情報伝達システム1は、エリア状態検出装置5と、放送装置10と、端末装置20と、を備える。
エリア状態検出装置5は、所定エリアARのエリア状態を検出する。本実施形態では、エリア状態は、人の密集状態である。
【0022】
密集状態は、人の密集と、人の密集の分布状態とを含む。所定エリアARが1つの部屋などのように狭い空間である場合、密集状態は、人の密集度で示される。建物やイベント会場のように、場所によって人の密集度の分布が変わる場合には、密集状態は、密集度の分布によって示される。
【0023】
本実施形態では、所定エリアARは、3階建ての建物の各フロアを含む。所定エリアARは、複数のサブエリアSARを含む。複数のサブエリアSARは、各階のフロアに対応付けられる。所定エリアARのエリア状態は、複数のサブエリアSARそれぞれのサブエリア状態に基づいて設定される。所定エリアARのエリア状態は、複数のサブエリア状態を総合して定められる状態であり、人の密集度の分布を示す。
【0024】
エリア状態検出装置5は、カメラ6と、画像認識処理装置7と、エリア状態特定装置8とを備える。本実施形態では、カメラ6および画像認識処理装置7は、各サブエリアSARに設けられる。カメラ6および画像認識処理装置7は、サブエリアSARのサブエリア状態を検出する。
【0025】
カメラ6は、予め設定された所定エリアARを撮影する。所定エリアARは、建物内において予め設定される。カメラ6は、撮影画像を所定時間おきに画像認識処理装置7に送る。
【0026】
画像認識処理装置7は、撮影画像の認識処理に基づいてサブエリア状態を検出し、サブエリア状態に関するサブエリア状態情報をエリア状態特定装置8に出力する。具体的には、サブエリア状態は、人の密集度である。具体的には、画像認識処理装置7は、画像認識によって人を認識し、人の数をカウントすることによって人の密集度を導き出し、人の密集度をサブエリア状態として出力する。
【0027】
一例では、サブエリア状態は、人の密集度に応じた3個のランクを有する。サブエリア状態は、「1」と、「2」と、「3」とによって表される。「3」は、「2」よりも人の密集度が高い。「2」は、「1」よりも人の密集度が高い。このように数値で表されたサブエリア状態は、サブエリア状態情報としてエリア状態特定装置8に出力される。
【0028】
エリア状態特定装置8は、各サブエリアSARのサブエリア状態情報に基づいて所定エリアARのエリア状態を特定する。各サブエリアSARのサブエリア状態と所定エリアARのエリア状態との関係は、予め設定されてもよいし、計算によって規定されてもよい。
【0029】
図2を参照して、エリア状態とブエリア状態との関係を説明する。
図2に示されるように、所定エリアARのエリア状態は、3個のサブエリアSARのサブエリア状態の組によって定義される。
図2に示されるテーブルは、エリア状態特定装置8の記憶部に記憶されている。
【0030】
例えば、1階のサブエリアSAR(1F)のサブエリア状態が「1」であり、2階のサブエリアSAR(2F)のサブエリア状態が「1」であり、3階のサブエリアSAR(3F)のサブエリア状態が「1」である場合、エリア状態は「S1」と定義される。所定エリアARのエリア状態が「S1」であることは、3階の建物の全階で人が少ないことを示す。
【0031】
他の例において、所定エリアARのエリア状態は、各サブエリアSARのサブエリア状態の総和または積として定義されてもよい。
さらに、他の例において、各サブエリアSARのサブエリア状態は、文字列によって定義されてもよい。この場合、所定エリアARのエリア状態は、各サブエリアSARのサブエリア状態の文字列の結合として定義される。
【0032】
人の密集度は、画像認識処理とは異なる別の手段によって検出されてもよい。他の手段の例として、光検出、サーモグラフィーによる温度分布の検出、および、無線通信に基づく検出が挙げられる。光検出の場合、密集度は、光が遮られる頻度によって定義される。サーモグラフィーによる人検出の場合、密集度は、高温部分の分布の広さによって定義される。無線通信に基づく検出の場合、密集度は、通信量によって定義される。
【0033】
放送装置10は、スピーカ10aと、管理装置10bとを備える。スピーカ10aは、端末装置20が設置される建物の各階の天井92または壁に設けられる。
【0034】
放送装置10は、透かし音響信号を出力する。透かし音響信号は、音エリアASに出力される。音エリアASは、放送装置10が透かし音響信号を出力するエリアとして予め設定される。音エリアASは、エリア状態検出装置5が認識処理する所定エリアARと少なくとも部分的に重なることが好ましい。さらに好ましくは、音エリアASは、所定エリアARの全部を含む。本実施形態では、放送装置10は、全フロアに同時に透かし音響信号を出力する。これによって、人の密状態に関する情報が同時に全フロアの人に伝達できる。
【0035】
放送装置10は、エリア状態の取得に基づいて、エリア状態に対応付けられた識別情報を含む透かし音響信号を出力する。具体的には、放送装置10は、エリア状態を受信するとき、エリア状態と透かし音響信号とが対応付けられたテーブル(
図3参照)を参照し、エリア状態に対応する透かし音響信号を出力する。
【0036】
透かし音響信号は、エリア状態に対応する識別情報を含む。透かし音響信号は、エリア状態の案内に関する音声を含み、かつ、エリア状態に対応する識別情報が埋め込まれた音である。
【0037】
具体的には、
図3に示されるように、透かし音響信号は、原音信号と、原音信号に埋め込められる識別情報とを含む。原音信号は、エリア状態を知らせる案内の音声信号を含む。識別情報は、エリア状態に対応する情報である。識別情報は、エリア状態と一対一に対応付けられる。複数のエリア状態それぞれの識別情報は、共通の原音信号に埋め込まれる。
【0038】
識別情報の埋め込み方法は限定されない。例えば、エコー拡散、またはスペクトラム拡散によって、拡散符号を使用して識別情報が原音信号に埋め込まれる。
【0039】
管理装置10bは、透かし音響信号を管理する。管理装置10bは、予め、識別情報を含む透かし音響信号を記憶してもよい。管理装置10bは、エリア状態を受信する都度、エリア状態に対応する識別情報を含む透かし音響信号を形成してもよい。管理装置10bは、識別情報が埋め込まれていない非透かし音響信号を管理してもよい。例えば、非透かし音響信号は、アナウンス、音楽、警告音、等である。非透かし音響信号は、適宜、スピーカ10aから出力される。
【0040】
本実施形態では、管理装置10bは、エリア状態と、エリア状態と対応付けられた透かし音響信号とを記憶媒体に記憶する。具体的には、管理装置10bは、エリア状態と、透かし音響信号と、識別番号とが対応付けられたテーブル(
図3参照)を記憶する。
【0041】
透かし音響信号の一例を説明する。透かし音響信号(X1)は、原音信号として、端末装置20の使用者に密集状態を意識させるためのアナウンス(MS01)を含む。原音信号として、「感染予防に関するお知らせです。詳しくは、人の密集情報を更新いたしましたので専用アプリにてご覧ください。」というアナウンスを含む。
【0042】
図4を参照して、端末装置20を説明する。
端末装置20は、透かし音響信号から識別情報を抽出して、識別情報に対応付けられた処理を実行する。端末装置20は、実行する処理として、識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。
【0043】
端末装置20は、受信装置21と、抽出装置22と、制御装置23と、表示部24とを備える(
図4参照)。端末装置20は、携帯電話として構成されてもよい。表示部24は、識別情報に対応する関連情報を表示する。
【0044】
受信装置21は、少なくとも透かし音響信号を受信する。受信装置21は、音を受信できるものとして構成される。例えば、受信装置21は、マイクによって構成される。端末装置20が携帯電話である場合、受信装置21は、携帯電話のマイクを含む。受信装置21は、受信した音を抽出装置22に出力する。
【0045】
抽出装置22は、透かし音響信号から識別情報を抽出する。抽出装置22は、埋め込み方法に対応する方法によって透かし音響信号から識別情報を抽出する。抽出装置22は、識別情報を抽出するとき、埋め込み時に使用された拡散符号と同じ拡散符号を使用する。拡散符号は、公開されてもよいし、また、秘匿管理されてもよい。拡散符号は、端末装置20の記憶部に記憶されていることが好ましい。抽出装置22は、透かし音響信号から識別情報を抽出する計算プログラムと、計算プログラムを実行するプロセッサと、計算プログラムおよび拡散符号を記憶する記憶媒体とによって構成される。例えば、プロセッサは、MPU(Micro-Processing Unit)またはCPU(Central Processing Unit)である。抽出装置22は、識別情報の抽出に特化した回路によって構成されてもよい。抽出装置22は、識別情報を抽出するとき、抽出した識別情報を制御装置23に出力する。
【0046】
制御装置23は、識別情報に対応付けられる表示信号に基づいて、表示部24を動作させる。制御装置23は、複数の表示信号を記憶する。表示信号は、制御装置23の制御対象である表示部24に関連情報の表示を行わせるための指令信号である。
【0047】
図5に示されるように、複数の表示信号それぞれは、識別情報および関連情報に対応付けられる。制御装置23は、表示信号と識別情報と関連情報とが対応付けられたテーブルを記憶する。制御装置23は、抽出装置22から識別情報を受け取ると、テーブルを参照して、受け取った識別情報に対応する表示信号を特定する。制御装置23は、特定した表示信号によって関連情報を表示部24に表示させる。制御装置23は、関連情報として、27個の表示画面情報とを有する。具体的には、制御装置23は、第1表示画面情報~第27表示画面情報を有する。第1表示画面情報~第27表示画面情報それぞれは、表示信号(C001)~表示信号(C027)に対応付けられている。
【0048】
表示部24は、液晶パネルおよび有機ELパネル少なくとも1つを備える。表示部24は、制御装置23によって制御される。表示部24は、表示信号に基づいて、表示信号に対応付けられる関連情報としての表示画面情報を表示する。
【0049】
図6を参照して、表示画面情報について説明する。
表示画面情報は、複数のサブエリアSARそれぞれのサブエリア状態について、図情報を含む。サブエリア状態を示す図情報は、人の密集度を示すものであり、密を表す模様、色、または文字によって表される。一例では、表示画面情報は、サブエリアSARに対応する第1領域PIC1、第2領域PIC2、および、第3領域PIC3を含む。表示画面情報は、第1領域PIC1~第3領域PIC3とサブエリアSARとの関係を示すための情報を含む。具体的には、第1領域PIC1が1階のサブエリアSAR(1F)に対応する場合、表示画面情報は、第1領域PIC1に隣接するように配置される「1F」の文字情報を含む。
【0050】
第1領域PIC1~第3領域PIC3の領域模様は、サブエリア状態と対応付けられる。第1領域PIC1~第3領域PIC3の領域模様は、サブエリア状態に応じて変わるように構成される。領域模様は、模様、色、および文字の少なくとも1つによって表される。
【0051】
サブエリア状態が「1」である場合、領域模様は、所定のドットの第1模様を含む。サブエリア状態が「2」である場合、領域模様は、第1模様よりも濃いドットの第2模様を含む。サブエリア状態が「3」である場合、領域模様は、第2模様よりも濃いドットの第3模様を含む。表示画面情報は、領域模様の凡例を含む。
図6は、識別番号(106)に対応する関連情報(F6)の表示画面情報を示す。具体的には、
図6に示される表示画面情報は、1階のサブエリア状態が「1」であり、2階のサブエリア状態が「2」であり、3階のサブエリア状態が「3」であるエリア状態を示す。
【0052】
本実施形態の作用を説明する。
エリア状態検出装置5は、所定エリアARのエリア状態を検出する。放送装置10は、エリア状態を受けることによって、エリア状態に対応付けられた識別情報を含む透かし音響信号を出力する。透かし音響信号を受信する端末装置20は、透かし音響信号から識別情報を抽出し、識別情報に対応付けられた処理を実行する。このようにして、所定エリアARのエリア状態を所定エリアAR内の端末装置20の使用者に伝達できる。透かし音響信号には、様々な情報を含ませることができるため、端末装置20の使用者に様々な情報を伝達できる。
【0053】
所定エリアARのエリア状態は、透かし音響信号を介して端末装置20の使用者に伝達される。透かし音響信号は、任意のタイミングで出力できる。例えば、エリア状態が変化したタイミングで透かし音響信号は出力される。これによって、端末装置20の使用者は、エリア状態が変化した時点でエリア状態を取得できるようになり、タイミングを逸せず、適切に行動できる。
【0054】
本実施形態の効果を説明する。
(1)情報伝達システム1は、エリア状態検出装置5と、エリア状態の取得に基づいて透かし音響信号を出力する放送装置10と、識別情報に対応付けられた処理を実行する端末装置20と、を備える。この構成によれば、所定エリアARに関する情報を所定エリアAR内にある端末装置20に伝達できる。例えば、所定エリアARに関する情報を、音、画像、文字等によって端末装置20に伝達できる。
【0055】
(2)所定エリアARは、複数のサブエリアSARを含む。所定エリアARのエリア状態は、複数のサブエリアSARそれぞれのサブエリア状態に基づいて設定される。
この構成によれば、複数のサブエリアSARそれぞれのサブエリア状態を含む情報を端末装置20に伝達できる。端末装置20の使用者は、複数のサブエリアSARのサブエリア状態を同時に知ることができる。これによって、端末装置20の使用者は、複数のサブエリアSARのサブエリア状態を比較して、自身の行動を適切に決めることができる。
【0056】
(3)エリア状態は、人の密集状態である。この構成によれば、人の密集状態を端末装置20に伝達できる。端末装置20の使用者は、所定エリアARの人の密集状態に基づいて、自身の行動を適切に決めることができる。
【0057】
人の密集状態は、感染症が流行している時期において感染予防を取る上で有用な情報の1つである。特に、新型の感染症の場合であって有効な薬が開発されていない状況では、人が密集すると感染が拡大し易いから、人の密集を避けて、他人との接触リスクを下げることが好ましい。一方、シッピングモールなどの施設では、買い物に夢中になっているが故に密集状態に気づかないまま、他人との接触が上がってしまう。人の密集状態を提供する参考のシステムの一例として、インターネット上に構成されるホームページがある。ホームページで、建物または施設内の密集状態を表示することが考えられる。しかしながら、ホームページへは自発的にアクセスすることが必要である。また、建物がシッピングモールである場合、その利用者は、買い物に集中するため、密状態であることに気づかないことがある。このようなことから、所定エリアAR内の人に密集状態を適切に知らせることが求められる。
【0058】
この点で、本実施形態の情報伝達システム1によれば、透かし音響信号が出力されるから、所定エリアAR内の人は、透かし音響信号の音に気づくことができる。透かし音響信号の音の気づきによって、人は、所定エリア内の人の密集状態がどのような状況になっているかの確認することを促される。このようにして、所定エリアAR内の人に密集状態を適切に知らせることができる。
【0059】
(4)端末装置20は、識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。この構成によれば、端末装置20は、エリア状態に関する関連情報を画面表示によって端末装置20の使用者に提供できる。端末装置20の使用者は、視覚で、エリア状態に関する関連情報を把握できる。
【0060】
(5)識別情報は、共通の原音信号に埋め込まれる。人の密集状態は時間とともに大きく変化する。識別情報毎に原音信号を替えると、透かし音響信号が頻繁に変わり、耳障りになる虞がある。耳障りの対処のため、透かし音響信号を短周期で出力し難くなる。この点、識別情報は、共通の原音信号に埋め込まれる。このため、埋め込まれる識別情報が替わったとしても透かし音響信号は変わらない。このようにして、透かし音響信号が耳障りとなることを抑制できる。
【0061】
<第2実施形態>
図7~
図13を参照して、情報伝達システム1について説明する。情報伝達システム1は、駅のホーム、駅構内、地下街、公共施設、および、店舗に設置される。情報伝達システム1は、要支援者99の通行を支援する。
【0062】
図7に示されるように、情報伝達システム1は、エリア状態検出装置5と、放送装置10と、端末装置20と、を備える。
エリア状態検出装置5は、所定エリアARのエリア状態を検出する。本実施形態では、エリア状態は、所定エリアAR内に要支援者99の存否、および、要支援者99の障害の種別を示す。
【0063】
要支援者99として、高齢者、視覚障害者、聴覚障害者、および、車椅子使用者が挙げられる。要支援者99の検出方法は限定されない。本実施形態では、エリア状態検出装置5は、画像認識によって要支援者99および要支援者99の障害を検出する。
【0064】
エリア状態検出装置5は、カメラ6と、画像認識処理装置7とを備える。カメラ6は、予め設定された所定エリアARを撮影する。要支援者99の通行を検出するべき場所が、所定エリアARとして設定される。例えば、工事現場の周辺または段差部がある場所の周辺が所定エリアARとして設定される。カメラ6の撮影範囲は、所定エリアARの全部を含むことが好ましい。複数のカメラ6によって所定エリアARが撮影されてもよい。カメラ6は、撮影画像を所定時間おきに画像認識処理装置7に送る。
【0065】
画像認識処理装置7は、撮影画像の認識処理に基づいてエリア状態を検出し、エリア状態に関する情報を放送装置10に出力する。具体的には、画像認識処理装置7は、撮影画像の認識処理に基づいて要支援者99および要支援者99の種別を検出する。画像認識処理装置7は、高齢者と、視覚障害者と、聴覚障害者と、車椅子使用者とをそれぞれ画像認識し、それぞれを異なる種別に分類する。画像認識処理装置7は、所定エリアARにおいて要支援者99を認識すると、要支援者99の種別を含む情報をエリア状態として出力する。
【0066】
例えば、画像認識処理装置7は、高齢者が所定エリアARを通行する場合において高齢者を認識すると、高齢者を示す情報としてエリア状態(N1)を出力する。画像認識処理装置7は、視覚障害者が所定エリアARを通行する場合において視覚障害者を認識すると、視覚障害者を示す情報としてエリア状態(N2)を出力する。画像認識処理装置7は、聴覚障害者が所定エリアARを通行する場合において聴覚障害者を認識すると、聴覚障害者を示す情報としてエリア状態(N3)を出力する。画像認識処理装置7は、車椅子使用者が所定エリアARを通行する場合において車椅子使用者を認識すると、車椅子使用者を示す情報としてエリア状態(N4)を出力する。
【0067】
画像認識処理装置7は、高齢者の特徴に基づいて高齢者を認識する。高齢者の特徴として、歩行速度、高い立止り頻度、腰の曲がりが挙げられる。画像認識処理装置7は、撮影画像から高齢者を学習した学習モデルに基づいて、高齢者を認識してもよい。
【0068】
画像認識処理装置7は、視覚障害者の特徴に基づいて視覚障害者を認識する。視覚障害者の特徴として、白杖98の所持が挙げられる。画像認識処理装置7は、撮影画像から視覚障害者を学習した学習モデルに基づいて、視覚障害者を認識してもよい。
【0069】
画像認識処理装置7は、聴覚障害者の特徴に基づいて聴覚障害者を認識する。聴覚障害者の特徴として、手話の際の手の動きが挙げられる。画像認識処理装置7は、撮影画像から手話の動きを学習した学習モデルに基づいて、聴覚障害者を認識してもよい。
【0070】
画像認識処理装置7は、車椅子使用者の特徴に基づいて車椅子使用者を認識する。車椅子使用者の特徴として、車椅子が挙げられる。画像認識処理装置7は、撮影画像から車椅子を学習した学習モデルに基づいて、車椅子使用者を認識してもよい。
【0071】
放送装置10は、スピーカ10aと、透かし音響信号を管理する管理装置10bとを備える。スピーカ10aは、端末装置20が設置される施設の天井92または壁に設けられる。
【0072】
放送装置10は、透かし音響信号を出力する。透かし音響信号は、音エリアASに出力される。音エリアASは、放送装置10が透かし音響信号を出力するエリアとして予め設定される。音エリアASは、エリア状態検出装置5が認識処理する所定エリアARと少なくとも部分的に重なることが好ましい。さらに好ましくは、音エリアASは、所定エリアARの全部を含む。
【0073】
放送装置10は、エリア状態の取得に基づいて、エリア状態に対応付けられた識別情報を含む透かし音響信号を出力する。具体的には、放送装置10は、エリア状態を受信するとき、エリア状態と透かし音響信号とが対応付けられたテーブル(
図7参照)を参照し、エリア状態に対応する透かし音響信号を出力する。
【0074】
透かし音響信号は、エリア状態に対応する識別情報を含む。透かし音響信号は、エリア状態に関連する音声を含み、かつ、エリア状態に対応する識別情報が埋め込まれた音である。
【0075】
具体的には、
図8に示されるように、透かし音響信号は、原音信号と、原音信号に埋め込められる識別情報とを含む。原音信号は、エリア状態に対応する要支援者99の支援に関連する音声信号を含む。原音信号は、識別情報毎に異なる。原音信号は、要支援者99の種別に応じた音声信号を含むことが好ましい。識別情報は、エリア状態に対応する情報である。識別情報は、エリア状態と一対一に対応付けられる。識別情報は、実質的に、要支援者99の種別に対応する。
【0076】
識別情報の埋め込み方法は限定されない。例えば、エコー拡散、またはスペクトラム拡散によって、拡散符号を使用して識別情報が原音信号に埋め込まれる。
【0077】
管理装置10bは、透かし音響信号を管理する。管理装置10bは、予め、識別情報を含む透かし音響信号を記憶してもよい。管理装置10bは、エリア状態を受信する都度、エリア状態に対応する識別情報を含む透かし音響信号を形成してもよい。管理装置10bは、識別情報が埋め込まれていない非透かし音響信号を管理してもよい。例えば、非透かし音響信号は、アナウンス、音楽、警告音、等である。非透かし音響信号は、適宜、スピーカ10aから出力される。
【0078】
本実施形態では、管理装置10bは、エリア状態と、エリア状態と対応付けられた透かし音響信号とを記憶媒体に記憶する。具体的には、管理装置10bは、エリア状態と、透かし音響信号と、識別番号とが対応付けられたテーブル(
図8参照)を記憶する。
【0079】
図8を参照して、透かし音響信号の例を説明する。この例の透かし音響信号は、所定エリアARまたは所定エリアARの近辺において工事が行われている場合に、要支援者99および要支援者99の近辺にいる人に向けて出力される。
【0080】
透かし音響信号(A1)は、高齢者を支援することを目的とする(
図8の第1行目参照)。透かし音響信号(A1)は、原音信号として、通行止めであることを知らせるアナウンス(M01)を含む。透かし音響信号(A1)は、エリア状態(N1)に対応する識別情報(001)を有する。
【0081】
透かし音響信号(A2)は、視覚障害者を支援することを目的とする(
図8の第2行目参照)。透かし音響信号(A2)は、原音信号として、通行止めであることを知らせるアナウンス(M02)を含む。透かし音響信号(A2)は、エリア状態(N2)に対応する識別情報(002)を有する。
【0082】
透かし音響信号(A3)は、聴覚障害者を支援することを目的とする(
図8の第3行目参照)。透かし音響信号(A3)は、原音信号として、ダミーアナウンス(M03)を含む。ダミーアナウンスは、識別情報を端末装置20に伝達するためのものである。ダミーアナウンスの例として、音楽が挙げられる。透かし音響信号(A3)は、エリア状態(N3)に対応する識別情報(003)を有する。
【0083】
透かし音響信号(A4)は、車椅子使用者を支援することを目的とする(
図8の第4行目参照)。透かし音響信号(A4)は、原音信号として、通行止めであり、迂回路があることを知らせるアナウンス(M04)を含む。透かし音響信号(A4)は、エリア状態(N4)に対応する識別情報(004)を有する。
【0084】
図7を参照して、端末装置20を説明する。
端末装置20は、透かし音響信号から識別情報を抽出して、識別情報に対応付けられた処理を実行する。端末装置20は、実行する処理として、要支援者99を支援するための処理を実行する。本実施形態では、情報伝達システム1は、異なる機能を有する3個の端末装置20を備える。以下で、3個の端末装置20を、第1端末装置31、第2端末装置41、および、第3端末装置51と呼ぶ。
【0085】
図7および
図9を参照して、第1端末装置31を説明する。
第1端末装置31は、透かし音響信号から識別情報を抽出して、識別情報に対応付けられた発光態様で発光する。第1端末装置31は、所定エリアARの地面に設置される。
【0086】
第1端末装置31は、受信装置32と、抽出装置33と、制御装置34と、発光部35とを備える(
図7参照)。発光部35は、識別情報を取得することによって識別情報に対応する発光態様で発光する。
【0087】
受信装置32は、少なくとも透かし音響信号を受信する。受信装置32は、音を受信できるものとして構成される。例えば、受信装置32は、マイクによって構成される。受信装置32は、発光部35の近くに配置されてもよく、発光部35から離れた場所に配置されてもよい。受信装置32は、少なくとも放送装置10から出される音を受音できる場所に配置される。受信装置32は、受信した音を抽出装置33に出力する。抽出装置33は、第1実施形態に示される抽出装置22に準ずる構造を有する。
【0088】
制御装置34は、識別情報に対応付けられる発光制御信号に基づいて発光部35を動作させる。制御装置34は、複数の発光制御信号を記憶する。発光制御信号は、制御装置34の制御対象である発光部35を所定の発光態様で発光させるための指令信号である。
【0089】
図9に示されるように、複数の発光制御信号それぞれは、識別情報に対応付けられる。
図9に示されるように、異なる複数の識別情報は、同じ発光制御信号に対応付けられてもよい。制御装置34は、発光制御信号と識別情報とが対応付けられたテーブルを記憶する。制御装置34は、抽出装置33から識別情報を受け取ると、テーブルを参照して、受け取った識別情報に対応する発光制御信号を特定する。制御装置34は、特定した発光制御信号を発光部35に出力し、発光部35を発光制御信号に対応した発光態様で発光させる。このように、制御装置34は、識別情報に対応する発光制御信号に基づいて発光部35を動作させる。
【0090】
図9を参照して、識別情報と発光制御信号との対応付けの一例を説明する。
高齢者には視力が低下している人が多いことから、高齢者を示す識別情報(001)は、強く発光させる発光制御信号(C11)と対応付けられる。視覚障害者は強い光を感知できる場合もいることから、視覚障害者を示す識別情報(002)は、強く発光させる発光制御信号(C11)と対応付けられる。聴覚障害者は通常の視覚を有することから、聴覚障害者を示す識別情報(003)は、中程度で発光させる発光制御信号(C12)と対応付けられる。車椅子使用者は通常の視覚を有することから、車椅子使用者を示す識別情報(004)は、中程度で発光させる発光制御信号(C12)と対応付けられる。
【0091】
発光部35は、電球、LED(light emitting diode)、有機エレクトロルミネッセンス、および無機エレクトロルミネッセンスの少なくとも1つを備える。上述のように、発光部35は、制御装置34によって制御される。
【0092】
発光部35は、複数の発光態様を有する。本実施形態では、発光部35は、発光態様として、2つの発光状態とを有する。具体的には、発光部35は、強く発光する第1発光状態と、中程度で発光する第2発光状態とを有する。発光部35は、発光制御信号を受けることによって、発光制御信号に対応する発光態様で動作する。
【0093】
図7および
図10を参照して、第2端末装置41を説明する。
第2端末装置41は、透かし音響信号から識別情報を抽出して、識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。第2端末装置41は、サイネージとして構成される。
【0094】
図7に示されるように、第2端末装置41は、受信装置42と、抽出装置43と、制御装置44と、表示部45とを備える。表示部45は、識別情報に対応する情報を表示する。受信装置42および抽出装置43は、第1端末装置31の受信装置32および抽出装置33に準じた構造を有するため、その説明を省略する。
【0095】
制御装置44は、識別情報に対応付けられる表示信号に基づいて、表示部45を動作させる。制御装置44は、複数の表示信号を記憶する。表示信号は、制御装置44の制御対象である表示部45に所定の表示を行わせるための指令信号である。
【0096】
図10に示されるように、複数の表示信号それぞれは、識別情報および関連情報に対応付けられる。制御装置44は、表示信号と識別情報と関連情報とが対応付けられたテーブルを記憶する。制御装置44は、抽出装置43から識別情報を受け取ると、テーブルを参照して、受け取った識別情報に対応する表示信号を特定する。制御装置44は、特定した表示信号によって関連情報を表示部45に表示させる。制御装置44は、関連情報として、複数の表示画面情報を有する。具体的には、制御装置44は、関連情報として、第1表示画面情報~第4表示画面情報を有する。第1表示画面情報~第4表示画面情報それぞれは、表示信号(C21)~表示信号(C24)に対応付けられている。
【0097】
表示部45は、液晶パネルおよび有機ELパネル少なくとも1つを備える。表示部45は、制御装置44によって制御される。表示部45は、表示信号に基づいて、表示信号に対応付けられる表示画面情報を表示する。表示画面情報は、要支援者99の種別を含む。さらに、表示画面情報は、要支援者99を案内することを呼びかけるメッセージを含む。
【0098】
図7、
図11および
図12を参照して、第3端末装置51を説明する。
第3端末装置51は、透かし音響信号から識別情報を抽出して、識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。第3端末装置51は、携帯端末として構成される。
【0099】
図11に示されるように、第3端末装置51は、受信装置52と、抽出装置53と、制御装置54と、表示部55とを備える。表示部55は、識別情報に対応する情報を表示する。一例では、1つのケースに、受信装置52と、抽出装置53と、制御装置54と、表示部55とが設けられる。表示部55の表示画面はケースから露出する。受信装置52および抽出装置53は、第1端末装置31の受信装置32、および抽出装置33に準じた構造を有するため、その説明を省略する。好ましくは、抽出装置53は、第1端末装置31の抽出装置33の機能に加えて次の機能を有する。抽出装置53は、識別情報の抽出に基づいて第3端末装置51の音出力装置およびバイブレータの少なくとも一方を動作させる。これによって、第3端末装置51の携帯所持者に情報の受信を気付かせることができる。
【0100】
制御装置54は、識別情報に対応付けられる表示信号に基づいて表示部55を動作させる。制御装置54は、複数の表示信号を記憶する。表示信号は、制御装置54の制御対象である表示部55に所定の表示を行わせるための指令信号である。
【0101】
図12に示されるように、複数の表示信号それぞれは、識別情報および関連情報に対応付けられる。制御装置54は、表示信号と識別情報と関連情報とが対応付けられたテーブルを記憶する。制御装置54は、抽出装置53から識別情報を受け取ると、テーブルを参照して、受け取った識別情報に対応する表示信号を特定する。制御装置54は、特定した表示信号によって関連情報を表示部55に表示させる。制御装置54は、関連情報として、複数の表示画面情報を有する。具体的には、制御装置54は、関連情報として、第1表示画面情報~第4表示画面情報を有する。第1表示画面情報~第4表示画面情報それぞれは、表示信号(C31)~表示信号(C34)に対応付けられている。
【0102】
表示部55は、液晶パネルおよび有機ELパネル少なくとも1つを備える。表示部55は、制御装置54によって制御される。表示部55は、表示信号に基づいて、表示信号に対応付けられる表示画面情報を表示する。表示画面情報は、要支援者99が近くにいることを知らせる情報を含む。要支援者99が近くにいることを第3端末装置51の携帯所持者に知らせることができる。
【0103】
図13を参照して、情報伝達システム1の動作を説明する。
この例では、情報伝達システム1は、駅構内に設置される。放送装置10のスピーカ10aは、天井92または壁に設置される。透かし音響信号は、音エリアASに出力される。音エリアASは、所定エリアARを含む。この例では、透かし音響信号は、工事エリアの周辺に出力される。
【0104】
エリア状態検出装置5のカメラ6は、天井92または壁に設置される。カメラ6は、所定エリアARを撮影する。所定エリアARは、駅構内の工事現場の近くであって人が通行するエリアに設定される。画像認識処理装置7は、要支援者99を認識すると、要支援者99の種別を含むエリア状態を放送装置10に出力する。
【0105】
放送装置10は、エリア状態に基づいて、エリア状態に対応する透かし音響信号を特定し、特定した透かし音響信号をスピーカ10aを介して出力する。この例では、放送装置10は、視覚障害者が検出されていることを示すエリア状態に対応して、「この先は通行止めです」というアナウンスを含む透かし音響信号を出力する。視覚障害者は、このアナウンスによって通行止めがあることを知ることが出来る。
【0106】
第1端末装置31の発光部35は、点字ブロック93に設けられる。第1端末装置31の受信装置32は、点字ブロック93の近くの壁または点字ブロック93に設けられる。第2端末装置41の表示部45および受信装置42は、天井92に設置される。第3端末装置51は、携帯所持者に所持される。この例では、携帯所持者は、駅員、駅のアシスタント、または、工事現場の作業者である。第1端末装置31、および、第2端末装置41は、音エリアAS内に設置される。
【0107】
第1端末装置31は、透かし音響信号を受信することに基づいて、発光部35を強く発光させる。これによって、視覚障害者は、強い光によって、通行止めの場所に近づいていることを察知できる。
【0108】
第2端末装置41は、透かし音響信号を受信することに基づいて、表示部45に、「視覚障害者をご案内ください。」と表示する。工事エリアの周辺にいる人は、表示部45の表示に気づくと、立ち往生している視覚障害者を案内できる。
【0109】
第3端末装置51は、透かし音響信号を受信することに基づいて、着信音を発出しまたは振動し、さらに、所定エリアARに視覚障害者が通行していることを表示部55に表示する。携帯所持者は、所定エリアARに視覚障害者が通行していることを時機を逃さずに知ることが出来る。
【0110】
本実施形態の作用を説明する。
エリア状態検出装置5は、所定エリアARにおいて要支援者99を検出するとき、要支援者99が検出されていることを示すエリア状態を放送装置10に出力する。放送装置10は、エリア状態を受信するとき、エリア状態に対応する透かし音響信号を音エリアASに出力する。そして、透かし音響信号に基づいて少なくとも1つの端末装置20が動作する。このように、エリア状態検出装置5のエリア状態が遅滞なく端末装置20に伝達されて、端末装置20が動作する。これによって、要支援者99に対して適切な時期に要支援者99の障害に応じた支援を行うことができる。
【0111】
本実施形態の効果を説明する。
(1)情報伝達システム1は、エリア状態検出装置5と、エリア状態の取得に基づいて透かし音響信号を出力する放送装置10と、識別情報に対応付けられた処理を実行する端末装置20と、を備える。この構成によれば、所定エリアARに関する情報を所定エリアAR内にある端末装置20に伝達できる。例えば、所定エリアARを通行する要支援者99に関わる情報を、音、画像、文字等の情報を端末装置20に伝達できる。
【0112】
また、情報伝達システム1は、情報伝達システム1の構築において信号線の敷設を少なくできる。このため、情報伝達システム1は構築し易い。例えば、要支援者99の支援は様々な場所において必要である。工事が行われている場所、段差がある場所、交通規制される場所、または、災害によって封鎖されている場所において、要支援者99の支援が必要である。これらの場所では、信号線の敷設が困難な場合があり、情報伝達システム1を簡単に構築できない。この点、上記構成によれば、支援を実行する端末装置20は、放送装置10から音を介して情報を取得する。このため、端末装置20と放送装置10との間を信号線で繋ぐ必要がない。情報伝達システム1は、システムの構築において信号線の敷設作業が少ないため、構築し易いシステムとなっている。
【0113】
(2)端末装置20は、識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。この構成によれば、端末装置20は、エリア状態に関する関連情報を画面表示によって端末装置20の使用者に提供できる。端末装置20の使用者は、視覚で、エリア状態に関する関連情報を把握できる。
【0114】
(3)エリア状態は、所定エリアAR内に要支援者99の存否、および、要支援者99の障害の種別を示す。
この構成によれば、要支援者99の存否、および、要支援者99の障害の種別を端末装置20に伝達できる。
【0115】
(4)第1端末装置31は、所定エリアARの地面に設置されるものであり、識別情報を取得することによって識別情報に対応する発光態様で発光する。
第1端末装置31は、識別情報に対応するような発光態様で発光する。識別情報は、エリア状態に対応付けられている。エリア状態は、要支援者99の存否、および、要支援者99の障害の種別を示す。このような構成によって、第1端末装置31は、要支援者99に応じた発光態様で発光する。これによって、要支援者99を適切に案内できる。
【0116】
(5)第2端末装置41は、識別情報に対応付けられた関連情報を表示する。
この構成によれば、エリア状態に関する関連情報を第2端末装置41の使用者に提供できる。
【0117】
(6)第3端末装置51は、携帯端末として構成される。この構成によれば、第3端末装置51を使用する使用者に、エリア状態に関する情報を提供できる。
【0118】
(7)透かし音響信号の原音信号は、識別情報毎に異なる。この構成によれば、透かし音響信号を聞くだけで、エリア状態に関して示唆を与えることができる。例えば、透かし音響信号を聞くだけで、所定エリアAR内にいる要支援者99の障害の種別についての示唆を音エリアASの通行人に与えることができる。
【0119】
(8)放送装置10は、エリア状態の取得に基づいて透かし音響信号を出力する。
要支援者99が通行しているか否かに関係なく、常時、支援するための情報を人々にアナウンスしてもよいが、この場合、通行人は、アナウンスに慣れてしまうことがあり、アナウンスが効果を発揮しない虞がある。この点で、この構成によれば、放送装置10は、エリア状態の取得に基づいて透かし音響信号を出力し、これに伴って端末装置20が動作する。このように、端末装置20は、要支援者99が検出されていることを示すエリア状態を取得するときだけ動作するため、人の注意が要支援者99に向き易くなり、要支援者99に対する支援を促進できる。
【0120】
<その他の実施形態>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0121】
・第2実施形態に示される情報伝達システム1は、複数の種別の要支援者99を支援するものであるが、所定種別の要支援者99を支援するものとして構成してもよい。例えば、情報伝達システム1は、視覚障害者用のシステムとして構成できる。
【0122】
・第2実施形態において、エリア状態検出装置5の画像認識処理装置7は、盲導犬を認識する機能を備えてもよい。この場合、画像認識処理装置7は、盲導犬の認識に基づいて視覚障害者の存否を判定する。画像認識処理装置7は、撮影画像の認識処理によって盲導犬の検出する場合、視覚障害者が検出されていることを示すエリア状態を出力する。
【符号の説明】
【0123】
AR…所定エリア
AS…音エリア
SAR…サブエリア
1…情報伝達システム
5…エリア状態検出装置
9…要支援者
10…放送装置
20…端末装置
99…要支援者