(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240624BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240624BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240624BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240624BHJP
【FI】
B60K1/04 Z ZHV
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/6563
(21)【出願番号】P 2020205894
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】上辻 昭博
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 健介
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-032934(JP,A)
【文献】特開2007-091034(JP,A)
【文献】特開2013-229182(JP,A)
【文献】特開2009-292216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008060(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014214470(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 10/6556
H01M 10/625
H01M 10/6563
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックおよび前記電池パックに冷却風を供給する冷却ブロワが防水トレイ内に収容され、前記防水トレイがボデーフロア上に配置されて、前記電池パックおよび前記冷却ブロワが前記ボデーフロアに固定される構造を有する車両であって、
前記防水トレイの底面を貫通して開口する貫通部が形成され、
前記底面上にシール部材が前記貫通部の周囲を取り囲んで設けられ、
ブラケットが前記底面との間に前記シール部材を挟んで前記貫通部を覆うように配置され、
前記冷却ブロワは、前記貫通部の内側にて前記ブラケットを介して前記ボデーフロアに固定されるフロア固定部を有している、車両。
【請求項2】
前記防水トレイには、複数の前記貫通部が形成され、
前記ブラケットは、複数の前記貫通部に跨がって配置され、
前記冷却ブロワは、前記ブラケット上に配置され、
前記フロア固定部には、前記ブラケットおよび一の前記貫通部を介して前記ボデーフロアに固定される第1フロア固定部と、前記ブラケットおよび他の前記貫通部を介して前記ボデーフロアに固定される第2フロア固定部とが含まれる、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記冷却ブロワは、前記ブラケットに固定されるブラケット固定部を有している、請求項1または2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)や電気自動車(EV:Electric Vehicle)などの車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車などの車両では、ボデーフロア(フロアパネル)上に、走行用の駆動源としてのモータに供給される電力を蓄える電池パックが配置され、その電池パックの側方に、電池パックに冷却のための風を供給する冷却ブロワが配置されている。
【0003】
かかる車両において、ボデーフロア上に水などの液体が浸入した場合に、その液体が電池パックや冷却ブロワにかかるのを防止するため、樹脂製の防水トレイが設定されることがある。防水トレイは、ボデーフロアに固定され、電池パックおよび冷却ブロワは、防水トレイ内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却ブロワの取り付けの剛性を確保するため、防水トレイに貫通孔が形成されて、その貫通孔に挿通されるボルトにより、冷却ブロワの取付部がボデーフロアに締結される。防水トレイが樹脂製であることから、貫通孔の周囲がボルトの振動によりクリープ(変形)して、そのクリープがボルトの緩みの発生の原因となる懸念があるので、貫通孔に金属製のカラーが内嵌されて、ボルトがカラーに挿通される。
【0006】
防水トレイの寸法ばらつき(成形誤差)が比較的大きいため、ボルトがカラーとの干渉によりボデーフロアに結合できない不良の発生を防ぐため、カラーの内径は、ボルト径(ねじ径)に対してある程度大きく設定される。しかし、ボルトとカラーとの間に隙間が生じるので、隙間を冷却ブロワの取付部で塞ぎきれないと、その隙間から防水トレイ内に水などの液体が浸入する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、防水トレイ内への液体の浸入を防止できる、車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両は、電池パックおよび電池パックに冷却風を供給する冷却ブロワが防水トレイ内に収容され、防水トレイがボデーフロア上に配置されて、電池パックおよび冷却ブロワがボデーフロアに固定される構造を有する車両であって、防水トレイの底面を貫通して開口する貫通部が形成され、底面上にシール部材が貫通部の周囲を取り囲んで設けられ、ブラケットが底面との間にシール部材を挟んで貫通部を覆うように配置され、冷却ブロワは、貫通部の内側にてブラケットを介してボデーフロアに固定されるフロア固定部を有している。
【0009】
この構成によれば、電池パックおよび冷却ブロワを収容する防水トレイの底面に貫通部が形成され、その貫通部を覆うように、ブラケットが防水トレイの底面上に配置される。冷却ブロワは、フロア固定部を有しており、フロア固定部は、貫通部の内側にて防水トレイを挟まずに、ブラケットを介してボデーフロアに固定される。そのため、貫通部の周辺部分のクリープを防止するためのカラーの設定が不要である。そして、防水トレイの底面上に貫通部の周囲を取り囲むシール部材が設けられ、そのシール部材が防水トレイの底面とブラケットとの間に挟まれることにより、防水トレイの底面とブラケットとの間に隙間が生じない。よって、防水トレイ内への水などの液体の浸入を良好に防止することができる。
【0010】
しかも、貫通部は、ブラケットにより塞がれ、冷却ブロワで塞ぐ必要がない。そのため、貫通部のサイズを大きく設定して、冷却ブロワの取付位置の調整量を大きく確保できるので、その取付位置のばらつきを容易に吸収することができる。
【0011】
また、防水トレイの底面とブラケットとの間にシール部材が挟まれるので、車体振動による揺れをシール部材で吸収することができ、ブラケットの揺れの振幅を小さくすることができる。また、ブラケットおよび冷却ブロワの揺れによる異音の発生を抑制することができる。
【0012】
防水トレイには、複数の貫通部が形成され、ブラケットは、複数の貫通部に跨がって配置され、冷却ブロワは、ブラケット上に配置され、フロア固定部には、ブラケットおよび一の貫通部を介してボデーフロアに固定される第1フロア固定部と、ブラケットおよび他の貫通部を介してボデーフロアに固定される第2フロア固定部とが含まれてもよい。
【0013】
この構成では、冷却ブロワがブラケット上に配置されて、冷却ブロワの第1フロア固定部および第2フロア固定部がブラケットを介してボデーフロアに固定されることにより、冷却ブロワとブラケットとが一体化されて、それらの剛性が高くなる。その結果、冷却ブロワの取付剛性を向上することができる。そのため、冷却ブロワのボデーフロアへの取付点(締結点)が2点であり、その2点が冷却ブロワの重心位置から離れていても、冷却ブロワの取付剛性を確保することができる。
【0014】
また、冷却ブロワの取付点の設定自由度が高くなるので、この車両で他の車種の冷却ブロワを共用することも可能となる。
【0015】
冷却ブロワは、ブラケットに固定されるブラケット固定部を有していてもよい。
【0016】
冷却ブロワがブラケット固定部を有し、そのブラケット固定部がブラケットに固定されることにより、冷却ブロワの取付剛性をさらに高めることができる。
【0017】
ブラケット固定部は、ブラケットにおける貫通部と重なる部分に固定されていることが好ましい。
【0018】
この構成により、ブラケット固定部をブラケットに固定するためのボルトなどを挿通する貫通孔を防水トレイに設けなくてよいので、防水トレイ内に液体が浸入することを一層良好に防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、防水トレイ内への液体の浸入を良好に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電池パック、冷却ブロワおよび防水トレイの斜視図である。
【
図2】車両のフロア構造および防水トレイの分解斜視図であり、防水トレイが取り付けられるときの状態を示す。
【
図3】車両のフロア構造、電池パックおよび防水トレイの分解斜視図であり、電池パックが取り付けられるときの状態を示す。
【
図4】車両のフロア構造、冷却ブロワおよび防水トレイの分解斜視図である。
【
図5】低圧ワイヤハーネスの配索について説明するための分解斜視図である。
【
図6】高圧ワイヤハーネスおよびブロワ配線の配索について説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
<要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る電池パック2、冷却ブロワ3および防水トレイ4の斜視図である。
図2は、車両1のフロア構造(ボデーフロア)および防水トレイ4の分解斜視図であり、防水トレイ4が取り付けられるときの状態を示す。
【0023】
ハイブリッド車や電気自動車などの車両1には、走行用の駆動源としてのモータに供給される電力を蓄える電池パック2が搭載されている。電池パック2は、
図1に示されるように、電池パック2に冷却のための風を供給する冷却ブロワ3と横並びの状態で、冷却ブロワ3とともに、樹脂製の防水トレイ4内に収容されている。防水トレイ4は、平面視略矩形状で上面が解放された容器状に形成されている。
【0024】
車両1は、
図2に示されるように、左右1対のサイドメンバ5L,5Rと、クロスメンバ6F,6Rとを備えている。サイドメンバ5L,5Rは、左右方向(車幅方向)に間隔を空けて配置されている。クロスメンバ6F,6Rは、前後方向に間隔を空けて、サイドメンバ5L,5R間に架設されて、それぞれ左右方向に延びている。これにより、サイドメンバ5L,5Rおよびクロスメンバ6F,6Rは、梯子状の構造物をなしている。また、サイドメンバ5L,5R間には、フロアパネル7が架設されている。防水トレイ4は、サイドメンバ5L,5Rおよびクロスメンバ6F,6Rに囲まれる空間に配置されて、フロアパネル7およびクロスメンバ6Rにボルトおよびナットにより4点で締結される。
【0025】
図3は、車両1のフロア構造、電池パック2および防水トレイ4の分解斜視図であり、電池パック2が取り付けられるときの状態を示す。
【0026】
電池パック2は、防水トレイ4内で右側に寄せて配置される。電池パック2は、左右方向に長い略直方体形状の電池パック本体11を備えている。
【0027】
電池パック本体11には、その前下端から前側に延出する前側固定部12,13が左右方向に間隔を空けて一体に形成されている。前側固定部12,13には、ボルトを挿通可能なボルト挿通孔14が上下方向に貫通して形成されている。前側固定部12,13のボルト挿通孔にフロアパネル7および防水トレイ4の底面15を貫通するボルトが挿通されて、それらのボルトにナット16が螺合されることにより、前側固定部12,13がフロアパネル7に締結される。
【0028】
また、電池パック本体11には、図示されていないが、その後下端から後側に延出する後側固定部が左右方向に間隔を空けて一体に形成されている。後側固定部には、ボルトを挿通可能なボルト挿通孔が上下方向に貫通して形成されている。後側固定部のボルト挿通孔に上方からボルトが挿通されて、それらのボルトがクロスメンバ6Rに形成されているねじ穴にねじ込まれることにより、後側固定部がクロスメンバ6Rに固定される。
【0029】
図4は、車両1のフロア構造、冷却ブロワ3および防水トレイ4の分解斜視図である。
【0030】
冷却ブロワ3は、防水トレイ4内で左側に寄せて配置される。冷却ブロワ3は、略円筒状の外形を有するブロワケース21と、ブロワケース21の下部から前側に延出する第1フロア固定部22と、ブロワケース21から後側に延出する第2フロア固定部23と、第1フロア固定部22の右側でブロワケース21の下部から前側に延出するブラケット固定部24とを備えている。ブロワケース21、第1フロア固定部22、第2フロア固定部23およびブラケット固定部24は、樹脂材料で一体に形成されている。第1フロア固定部22、第2フロア固定部23およびブラケット固定部24の先端部には、それぞれボルト挿通孔25,26,27が上下方向に貫通して形成されている。
【0031】
防水トレイ4の底面15には、第1フロア固定部22およびブラケット固定部24の各先端部が一括して対向する領域に、略扇形ないしは略四角形状の貫通部28が貫通して形成されている。また、底面15には、第2フロア固定部23の先端部が対向する領域に、その先端部よりも平面視で大きいサイズの略四角形状の貫通部29が貫通して形成されている。
【0032】
フロアパネル7には、防水トレイ4の貫通部28,29と対応する位置に、それぞれブロワ締結ブラケット31,32が設けられている。ブロワ締結ブラケット31,32はいずれも、板金の折り曲げ加工により略台形状ないしは略矩形状に形成されて、各下端部がフロアパネル7に溶接により固定されている。ブロワ締結ブラケット31,32の上端面は、フロアパネル7と平行に延びており、その上端面には、ねじ穴33,34が形成されている。
【0033】
防水トレイ4がフロアパネル7に対して取り付けられた状態では、
図3に示されるように、ブロワ締結ブラケット31の上端面が防水トレイ4の貫通部28に対向して露出し、ブロワ締結ブラケット32の上端面が防水トレイ4の貫通部29に対向して露出する。
【0034】
防水トレイ4の底面15と冷却ブロワ3との間には、
図4に示されるように、板金ブラケット41および2個のシールパッキン42,43が介在される。
【0035】
板金ブラケット41は、板金からなり、防水トレイ4の貫通部28,29に跨がって貫通部28,29を覆うことができる平板状に形成されている。冷却ブロワ3は、板金ブラケット41上に載せられる。板金ブラケット41には、冷却ブロワ3が板金ブラケット41上に載せられた状態で、冷却ブロワ3の第1フロア固定部22のボルト挿通孔25および第2フロア固定部23のボルト挿通孔26がそれぞれ対向する位置に、ボルト挿通孔44,45が貫通して形成されている。また、板金ブラケット41には、冷却ブロワ3が板金ブラケット41上に載せられた状態で、冷却ブロワ3のブラケット固定部24のボルト挿通孔27が対向する位置に、ねじ穴46が貫通して形成されている。
【0036】
シールパッキン42は、貫通部28に対応した形状で、貫通部28より大きいサイズに形成されている。シールパッキン42は、貫通部29に対応した形状で、貫通部29より大きいサイズに形成されている。
【0037】
シールパッキン42,43は、防水トレイ4の底面15上に配置されて、それぞれ貫通部28,29の周囲を取り囲む。板金ブラケット41は、シールパッキン42,43を防水トレイ4の底面15との間に挟んで、貫通部28,29を覆うように配置される。そして、冷却ブロワ3の取り付けの際には、冷却ブロワ3が板金ブラケット41上に載せられて、第1フロア固定部22のボルト挿通孔25、第2フロア固定部23のボルト挿通孔26およびブラケット固定部24のボルト挿通孔27に、それぞれボルト47,48,49が上方から挿通される。ボルト47は、板金ブラケット41のボルト挿通孔44に挿通されて、貫通部28を介して、ブロワ締結ブラケット31のねじ穴33にねじ込まれる。ボルト48は、板金ブラケット41のボルト挿通孔45に挿通されて、貫通部29を介して、ブロワ締結ブラケット31のねじ穴34にねじ込まれる。これにより、冷却ブロワ3がフロアパネル7に対して固定される。また、ボルト49は、板金ブラケット41のねじ穴46にねじ込まれる。これにより、冷却ブロワ3が板金ブラケット41に対して固定される。
【0038】
図5は、低圧ワイヤハーネス51の配索について説明するための分解斜視図である。
【0039】
電池パック2には、低圧ワイヤハーネス51が接続されている。防水トレイ4の左前角部には、2個のクランプ穴52,53が上下方向に貫通して形成されている。低圧ワイヤハーネス51は、その途中部に設けられたクランプ54,55がそれぞれクランプ穴52,53に嵌められることにより、防水トレイ4に保持される。
【0040】
図6は、高圧ワイヤハーネス61およびブロワ配線71の配索について説明するための分解斜視図である。
【0041】
電池パック2には、高圧ワイヤハーネス61が接続されている。防水トレイ4の前端部には、クランプ穴62が上下方向に貫通して形成されている。また、板金ブラケット41には、
図4には示されていないが、
図5に示されるように、ハーネスステー63が設けられている。ハーネスステー63は、下端部が板金ブラケット41に溶接により固定され、上方に立ち上がり、左側に屈曲して延びている。ハーネスステー63の先端部には、クランプ穴64が上下方向に貫通して形成されている。高圧ワイヤハーネス61は、その途中部に設けられたクランプ65,66がそれぞれクランプ穴62,64に嵌められることにより、防水トレイ4および板金ブラケット41に保持される。
【0042】
また、冷却ブロワ3には、ブロワ配線71が接続される。防水トレイ4の左端部には、2個のクランプ穴72,73が上下方向に貫通して形成されている。ブロワ配線71は、その途中部に設けられたクランプ74,75がそれぞれクランプ穴72,73に嵌められることにより、防水トレイ4に保持される。
【0043】
<作用効果>
以上のように、電池パック2および冷却ブロワ3を収容する防水トレイ4の底面15に貫通部28,29が形成され、その貫通部28,29を覆うように、板金ブラケット41が防水トレイ4の底面15上に配置される。冷却ブロワ3は、第1フロア固定部22および第2フロア固定部23を有しており、第1フロア固定部22および第2フロア固定部23は、それぞれ貫通部28,29の内側にて防水トレイ4を挟まずに、板金ブラケット41を介してフロアパネル7に固定される。そのため、貫通部28,29の周辺部分のクリープを防止するためのカラーの設定が不要である。そして、防水トレイ4の底面15上に貫通部28,29の周囲をそれぞれ取り囲むシールパッキン42,43が設けられ、そのシールパッキン42,43が防水トレイ4の底面15と板金ブラケット41との間に挟まれることにより、防水トレイ4の底面15と板金ブラケット41との間に隙間が生じない。よって、防水トレイ4内への水などの液体の浸入を良好に防止することができる。
【0044】
しかも、貫通部28,29は、板金ブラケット41により塞がれ、冷却ブロワ3で塞ぐ必要がない。そのため、貫通部28,29のサイズを大きく設定して、冷却ブロワ3の取付位置の調整量を大きく確保できるので、その取付位置のばらつきを容易に吸収することができる。
【0045】
また、防水トレイ4の底面15と板金ブラケット41との間にシールパッキン42,43が挟まれるので、車体振動による揺れをシールパッキン42,43で吸収することができ、板金ブラケット41の揺れの振幅を小さくすることができる。また、板金ブラケット41および冷却ブロワ3の揺れによる異音の発生を抑制することができる。
【0046】
さらに、冷却ブロワ3が板金ブラケット41上に配置されて、冷却ブロワ3の第1フロア固定部22および第2フロア固定部23が板金ブラケット41を介してフロアパネル7に固定されることにより、冷却ブロワ3と板金ブラケット41とが一体化されて、それらの剛性が高くなる。その結果、冷却ブロワ3の取付剛性を向上することができる。そのため、冷却ブロワ3のフロアパネル7への取付点(締結点)が2点であり、その2点が冷却ブロワ3の重心位置から離れていても、冷却ブロワ3の取付剛性を確保することができる。
【0047】
また、冷却ブロワ3の取付点の設定自由度が高くなるので、車両1において、他の車種の冷却ブロワ3を共用することも可能となる。
【0048】
さらに、冷却ブロワ3がブラケット固定部24を有し、そのブラケット固定部24が板金ブラケット41に固定されることにより、冷却ブロワ3の取付剛性をさらに高めることができる。しかも、ブラケット固定部24が板金ブラケット41における貫通部28と重なる部分に固定されるので、ブラケット固定部24を板金ブラケット41に固定するためのボルトなどを挿通する貫通孔を防水トレイ4に設けなくてよいので、防水トレイ4内に液体が浸入することを一層良好に防止できる。
【0049】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0050】
たとえば、前述の実施形態では、電池パック2が防水トレイ4内で右側に寄せて配置され、冷却ブロワ3が防水トレイ4内で左側に寄せて配置されるとしたが、左右反転させた構成が採用されてもよい。
【0051】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:車両
2:電池パック
3:冷却ブロワ
4:防水トレイ
7:フロアパネル(ボデーフロア)
15:底面
22:第1フロア固定部
23:第2フロア固定部
24:ブラケット固定部
28,29:貫通部
41:板金ブラケット(ブラケット)
42,43:シール部材