(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】電池セパレーターの形成方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/457 20210101AFI20240624BHJP
H01G 11/52 20130101ALI20240624BHJP
H01M 50/406 20210101ALI20240624BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240624BHJP
【FI】
H01M50/457
H01G11/52
H01M50/406
H01M50/414
(21)【出願番号】P 2022089772
(22)【出願日】2022-06-01
(62)【分割の表示】P 2019524266の分割
【原出願日】2017-11-10
【審査請求日】2022-06-01
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,カン,カレン
(72)【発明者】
【氏名】ペネガー,エリック,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】近藤 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】ナーク,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,エリック,アール.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】ストークス,クリストファー,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ライナルツ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】岡田 賢明
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0207376(US,A1)
【文献】特開2015-141814(JP,A)
【文献】特開2015-050121(JP,A)
【文献】特開2016-029647(JP,A)
【文献】特開2014-060146(JP,A)
【文献】特開2014-004771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40
H01G 11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層マイクロポーラス膜を含む改良された電池セパレーターを形成する方法であって:
少なくとも3つの層を共押出することと;
前記少なくとも3つの共押出層を少なくとも1つの他の層に積層して、前記多層マイクロポーラス膜を形成することと
を含み、
前記共押出は気泡共押出方法であり、吹出比0.5~2.0で行われる、前記方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの他の層が、共押出層又は単押出層である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも3つの共押出層が、他の2層に積層されている、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
この出願は、2017年5月18日に出願された米国仮特許出願第62/508,360号および2016年11月11日に出願された米国仮特許出願第62/420,781号の両方の、米国特許法第119条(e)(1)下の利益および優先権を主張する。これらの仮特許出願は、それぞれ、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
少なくとも選択された実施形態によると、本出願、開示及び発明は、改良された特性を有する新規もしくは改良された膜、セパレーター膜、セパレーター、電池セパレーター、リチウム二次電池セパレーター、多層膜、多層セパレーター膜、多層セパレーター、多層電池セパレーター、多層リチウム二次電池セパレーター、および/もしくは多層電池セパレーター、新規もしくは改良された電池、コンデンサー、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/あるいは、かかる膜、セパレーター膜、セパレーター、電池セパレーター、リチウム二次電池セパレーター、電池、コンデンサー、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/またはこれを含むデバイス、車両もしくは製品を作製ならびに/または使用する方法に関する。少なくともある実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良された膜層、膜もしくはセパレーター膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくともある選択された実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良された多孔質重合体膜もしくはセパレーター膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくとも特定の実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良されたマイクロポーラスポリオレフィン膜もしくはセパレーター膜、ミクロ層膜、1以上のミクロ層もしくはナノ層膜を含む多層膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくともある特定の実施形態によると、本開示または発明は、1以上の新規または改良された外層および/または内層、ミクロ層膜、外層および内層を有する多層状マイクロポーラス膜またはセパレーター膜を有する、新規の、最適化された、または改良されたマイクロポーラス延伸重合体膜またはセパレーター膜に関し、かかる層またはサブ層のいくつかが、共押出によって作り出され、次いで一緒に積層されることにより、上記の新規の、最適化された、または改良された膜またはセパレーター膜を形成している。いくつかの実施形態において、ある層、ミクロ層またはナノ層は、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマーブレンドを含んでいてよい。選択された実施形態において、少なくともある層、ミクロ層またはナノ層は、異なるまたは別個の重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマーブレンドを含んでいてよい。本開示または発明はまた、かかる膜、セパレーター膜、もしくはセパレーターを作製する、新規もしくは改良された方法、および/または、かかる膜、セパレーター膜もしくはセパレーターを、例えば、リチウム電池セパレーターとして使用する、新規もしくは改良された方法にも関する。少なくとも選択された実施形態によると、本出願または発明は、新規または改良された、多層および/もしくはミクロ層の多孔質もしくはマイクロポーラス膜、セパレーター膜、セパレーター、複合材、電気化学デバイス、および/または電池、ならびに/あるいは、かかる膜、セパレーター、複合材、デバイスおよび/または電池を作製および/または使用する方法を対象とする。少なくとも特定の選択された実施形態によると、本出願または発明は、新規または改良された、多層状であるセパレーター膜であって、多層構造の1以上の層が、複数の押出機を有する多層またはミクロ層共押出ダイにおいて製造される、上記セパレーター膜を対象とする。上記の新規または改良された膜、セパレーター膜、またはセパレーターは、改良されたシャットダウン、改良された強度、改良された絶縁破壊強さ、および/または低減された裂け傾向を好ましくは実証し得る。
【背景技術】
【0003】
電池セパレーター膜としての使用のための、マイクロポーラスの二層または三層膜を作製する公知の方法は、2以上の単層前駆体を一緒に積層または接着すること、または共押出ダイを使用して1を超える膜層を同時に共押出することを含む。かかる方法は、例えば、米国特許第5,952,120号、米国特許第2014/0079980号、米国特許第5,223,032号、米国特許第5,240,655号、および米国特許第2005/031943号に記載されている。
【0004】
上記の方法では、リチウムイオン充電式電池などのある特定の一次および/または二次電池などの用途における使用のための強度および/または性能特性のバランスを完全に最適化することができない。このことは、消費者がより薄くより強い電池セパレーターを望むに従って電池セパレーターの必要条件への要求がより厳しくなるときに特に当てはまる。例えば、3つの層の共押出によって形成されるマイクロポーラス三層膜は、低減された強度を有し得る。単層を積層することによって形成されるセパレーターもまた、増え続ける要求を最終的には満たし得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゆえに、改良された引張強度および改良された絶縁破壊強さなどの種々の改良を有する、新しいかつ改良された多層のマイクロポーラス膜、ベース薄膜、または電池セパレーターが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも選択された実施形態によると、本出願、開示及び発明は、上記の必要性、課題もしくは問題に対処することができ、かつ/あるいは、改良された特性を有する新規もしくは改良された膜、セパレーター膜、セパレーター、電池セパレーター、リチウム二次電池セパレーター、多層膜、多層セパレーター膜、多層セパレーター、多層電池セパレーター、多層リチウム二次電池セパレーター、および/もしくは多層電池セパレーター、新規もしくは改良された電池、コンデンサー、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/あるいは、かかる膜、セパレーター膜、セパレーター、電池セパレーター、リチウム二次電池セパレーター、電池、コンデンサー、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/またはこれを含むデバイス、車両もしくは製品を作製ならびに/または使用する方法を提供することができる。少なくともある実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良された膜層、膜もしくはセパレーター膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくともある選択された実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良された多孔質重合体膜もしくはセパレーター膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくとも特定の実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良されたマイクロポーラスポリオレフィン膜もしくはセパレーター膜、ミクロ層膜、1以上のミクロ層もしくはナノ層膜を含む多層膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくともある特定の実施形態によると、本開示または発明は、1以上の新規または改良された外層および/または内層、ミクロ層膜、外層および内層を有する多層状マイクロポーラス膜またはセパレーター膜を有する、新規の、最適化された、または改良されたマイクロポーラス延伸重合体膜またはセパレーター膜に関し、かかる層またはサブ層のいくつかが、共押出によって作り出され、次いで一緒に積層されることにより、上記の新規の、最適化された、または改良された膜またはセパレーター膜を形成している。いくつかの実施形態において、ある層、ミクロ層またはナノ層は、ホモ重合体、共重合体、ランダム共重合体、PPおよび/またはPE共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマーブレンドを含んでいてよい。選択された実施形態において、少なくともある層、ミクロ層またはナノ層は、異なるまたは別個の重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマーブレンドを含んでいてよい。本開示または発明はまた、かかる膜、セパレーター膜、もしくはセパレーターを作製する、新規もしくは改良された方法、および/または、かかる膜、セパレーター膜もしくはセパレーターを、例えば、リチウム電池セパレーターとして使用する、新規もしくは改良された方法にも関する。少なくとも選択された実施形態によると、本出願または発明は、新規または改良された、多層および/もしくはミクロ層の多孔質もしくはマイクロポーラス膜、セパレーター膜、セパレーター、複合材、電気化学デバイス、および/または電池、ならびに/あるいは、かかる膜、セパレーター、複合材、デバイスおよび/または電池を作製および/または使用する方法を対象とする。少なくとも特定の選択された実施形態によると、本出願または発明は、新規または改良された、多層状であるセパレーター膜であって、多層構造の1以上の層が、複数の押出機を有する多層またはミクロ層共押出ダイにおいて製造される、上記セパレーター膜を対象とする。上記の新規または改良された膜、セパレーター膜、またはセパレーターは、改良されたシャットダウン、改良された強度、改良された絶縁破壊強さ、および/または低減された裂け傾向を好ましくは実証し得る。
【0007】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層電池セパレーターは、いくつかの実施形態において、従前の二層、三層、または多層電池セパレーターと比較して、改良された安全性、強度、および耐久性を示す。例えば、上記セパレーターは、増加した平均絶縁破壊(DB)、増加した最小DB、増加したシャットダウン速度、および増加した屈曲度を示し得、これらの全てが、より安全な電池セパレーターを示すものである。上記セパレーターはまた、より強く、より耐久性のある電池であることを示す増加した穿刺強度および増加した混合侵入値も示し得る。
【0008】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層電池セパレーターのこれらの特性は、少なくとも部分的には、当該セパレーターが作製される方法の結果である。この方法は、いくつかの実施形態において、2以上のポリマー混合物を共押出して、第一の共押出二層、三層、または多層薄膜を形成することと、2以上の他のポリマー混合物を共押出して、第二の共押出二層、三層、または多層薄膜を形成することと、2以上のさらなるポリマー混合物を共押出して、第三の共押出二層、三層、または多層薄膜を形成することとを少なくとも含む。共押出は、共押出ダイを、当該ダイを供給する1以上の押出機(典型的には、二層、三層、または多層薄膜の層あたり1の押出機)と共に使用することを典型的には含む。第一、第二、および第三の二層、三層、または多層薄膜の各層を形成するのに使用されるポリマー混合物は、同じであっても異なっていてもよい。上記混合物は、1のポリマー、または1を超えるポリマー、例えば、ポリマーブレンドを含んでいればよい。また、3を超える、二層、三層、または多層薄膜が形成されてよい。第一、第二、および第三の二層、三層、または多層薄膜が形成された後、これらの薄膜は、これらの薄膜のうちの1つの対向する面に形成されている薄膜のうちの2つと一緒に積層されて、本明細書に記載されている、場合により好ましいマイクロポーラス電池セパレーターを形成する。
【0009】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層電池セパレーターは、リチウム二次電池を含めたリチウムイオン電池において使用されて、改良された安全性および耐久性を有する電池を結果として生じさせることができる。
【0010】
本明細書における電池セパレーターは、いくつかの異なる方法で記載され得る。
【0011】
第一態様において、リチウム電池用の電池セパレーターが本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、上記電池セパレーターは、複数の多孔質またはマイクロポーラスの高分子ミクロ層またはナノ層を含む少なくとも1つのマイクロポーラスセパレーター膜またはサブ膜を含み、個別のミクロ層またはナノ層のうち少なくとも1つが、隣接個別ミクロ層またはナノ層と比較して、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、および/もしくはポリマーブレンドを含むか、異なるもしくは別個の添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーを含むか、あるいは、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、エチレンおよび/もしくはプロピレンのランダム共重合体、ポリマーブレンド、添加剤、薬剤、材料、エラストマー、SEPS、SEBS、PVDF、EVOH、PMP、フィラー、粒子、セラミック粒子、ビーズ、ファイバー、スカベンジャー、架橋剤、接着促進剤、表面改質剤の組み合わせ、ならびに/またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層の複数の上記のセパレーター膜またはサブ膜が、互いにまたはマイクロポーラス高分子膜に積層されている。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層の上記セパレーター膜またはサブ膜のうち少なくとも1つが、少なくとも3つのミクロ層またはナノ層を有する。場合により、高分子ミクロ層またはナノ層の上記セパレーター膜またはサブ膜のうちの少なくとも1つが、1以上のポリオレフィンからできている。場合により、高分子ミクロ層またはナノ層の上記セパレーター膜またはサブ膜のうちの少なくとも1つが、共押出された乾式プロセスポリオレフィンミクロ層またはナノ層からできている。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層のうちの少なくとも2つの上記のセパレーター膜またはサブ膜。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層のうちの少なくとも3つの上記セパレーター膜またはサブ膜。
【0012】
別の態様において、直上に記載されている任意の電池セパレーターを含むリチウム電池が、本明細書において記載されている。
別の態様において、改良されたセパレーター、膜またはベース薄膜が、本明細書において記載されている。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記セパレーターは、別の高分子膜に積層または接着するように適合された1以上のマイクロポーラスの共押出ミクロ多層またはナノ多層高分子膜またはサブ膜を含む多層セパレーター、膜、またはベース薄膜であり、個別のミクロ層またはナノ層のうち少なくとも1つが、隣接個別ミクロ層またはナノ層と比較して、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、および/もしくはポリマーブレンドを含むか、異なるもしくは別個の添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーを含むか、または、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、ポリマーブレンド、添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーの組み合わせを含む。
【0014】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つの電池セパレーターを含む電池が、本明細書において記載されている。
【0015】
1つの他の態様において、電池セパレーターまたはセパレーター膜が、本明細書において記載されている。いくつかの実施形態において、上記電池セパレーターまたはセパレーター膜は、別の高分子膜に積層または接着された1以上の共押出ミクロ多層膜を含み、上記セパレーターまたはセパレーター膜が、特に、ある厚さにおいて、改良された強度、例えば、改良された穿刺強度を付与し得、また、改良されたシャットダウンおよび/または低減された裂け傾向を示し得、個別ミクロ層のうちの少なくとも1つが、隣接個別ミクロ層と比較して、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、および/もしくはポリマーブレンドを含むか、異なるもしくは別個の添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーを含むか、または、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、ポリマーブレンド、添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーの組み合わせを含む。
【0016】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
別の態様において、電池セパレーターまたはセパレーター膜が、本明細書において記載されている。
【0017】
電池セパレーターまたはセパレーター膜は、いくつかの実施形態において、別の高分子膜に任意選択的に積層または接着された1以上の共押出ミクロ多層またはナノ多層膜を含む。上記セパレーターまたはセパレーター膜は、ある厚さにおいて、改良された強度、改良された穿刺強度を示し得、かつ/または、改良されたシャットダウンおよび/もしくは低減された裂け傾向を示し得る。いくつかの実施形態において、個別のミクロ層またはナノ層のうち少なくとも1つが、隣接個別ミクロ層またはナノ層と比較して、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、および/もしくはポリマーブレンドを含むか、異なるもしくは別個の添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーを含むか、または、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、ポリマーブレンド、添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーの組み合わせを含む。
【0018】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0019】
別の態様において、多層マイクロポーラス薄膜を含む改良された電池セパレーターが、本明細書において記載されている。いくつかの実施形態において、多層マイクロポーラス薄膜は、9以上の層、12以上の層、15以上の層、18以上の層、21以上の層、24以上の層、27以上の層、30以上の層を含む。いくつかの実施形態において、マイクロポーラス薄膜のうちの少なくとも3つの連続層が、0.1~5ミクロン、0.1~3ミクロン、0.1~2.5ミクロン、または0.1~2.0ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態において、上記電池セパレーター自身が、1ミクロン~30ミクロン、2ミクロン~20ミクロン、3ミクロン~15ミクロン、または4ミクロン~10ミクロンの厚さを有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、少なくとも3つの連続層は、それぞれ個別に、ポリオレフィンまたはポリオレフィンブレンドを含み、いくつかの実施形態において、これらの層は、それぞれが、ポリエチレンを含み、いくつかの実施形態において、それぞれが、ポリプロピレンを含む。
【0021】
いくつかの場合において、少なくとも3つの連続層は、共押出層である。いくつかの実施形態において、これらの少なくとも3つの連続層は、少なくとも1つの他の層と共に積層されて、マイクロポーラス高分子薄膜を形成する。いくつかの実施形態において、この少なくとも1つの他の層はまた、少なくとも1つの他の層と一緒に共押出された、共押出層でもある。請求項28に記載の電池セパレーターにおいて、上記少なくとも1つの他の層が、共押出層である。記載されている電池セパレーターは、いくつかの実施形態において、290gf以上、300gf以上、または310gf以上の穿刺強度を有する。
【0022】
別の態様において、前述の段落に記載されている電池セパレーターうちの1以上を含む、リチウムイオン電池を含めた電池、特に、リチウムイオン二次電池が、本明細書において記載されている。上記電池は、特に、電池セパレーターが290gf以上、300gf以上、または310gf以上の穿刺強度を有する実施形態において、少なくともより耐久性がある。
【0023】
なお別の態様において、マイクロポーラス多層電池セパレーターが、本明細書において記載されている。当該電池セパレーターは、2以上の層を含み、SEMを使用して薄膜のz方向に見たときに大部分が不連続の無定形領域を含んでいる、第一領域と;少なくとも1つの層を含む第二領域とを含む。いくつかの実施形態において、第一領域における無定形領域の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上が、不連続である。いくつかの実施形態において、第二領域は、2以上の層、好ましくは3以上の層と、0.8ミクロンの最大幅、0.7ミクロンの最大幅、または0.6ミクロンの最大幅を有する無定形領域とを含む。本明細書に記載されている実施形態のいくつかにおいて、第一および第二領域のうち少なくとも1つが、ポリオレフィンを含む1以上の層を含む。いくつかの実施形態において、第一領域が、ポリエチレンを含む少なくとも1つの層を含み、第二領域が、ポリプロピレンを含む少なくとも1つの層を含む。場合により、第一領域および第二領域のうちの少なくとも1つが、共押出二層、三層、または多層薄膜を含む。場合により、第一領域が、共押出二層、三層または多層薄膜を含む。場合により、第一領域および第二領域が、共押出二層、三層または多層薄膜を含む。場合により、マイクロポーラス多層電池セパレーターの第一領域、第二領域、および第三領域が、それぞれ、共押出二層、三層または多層薄膜を含む。場合により、マイクロポーラス多層電池セパレーターの第二および第三領域のうちの少なくとも1つが、共押出二層、三層または多層薄膜を含む。場合により、第二領域が、共押出二層、三層または多層薄膜を含む。場合により、第三領域が、共押出二層、三層または多層薄膜を含む。
【0024】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0025】
別の態様において、多層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さ、Gurley、および多孔率のうちの少なくとも1つを有する典型的な三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも高い平均絶縁破壊(DB)値を有する多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーター。例えば、平均DB値は、1~35%高く、5~35%高く、10~35%高く、15~35%高く、または20~35%高くてよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている電池セパレーターのマイクロポーラス多層薄膜のDB最小値は、多層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する典型的なまたは従来の三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも高くてよい。例えば、上記DB最小値は、多層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも3~20%高く、5~15%高く、または10~15%高くてよい。場合により、多層マイクロポーラス薄膜は、9以上の層、12以上の層、15以上の層、18以上の層、21以上の層、24以上の層、27以上の層、または30以上の層を含む。いくつかの実施形態において、かかる層のうち少なくとも1つが、ポリオレフィンまたはポリオレフィンブレンドを含む。ポリオレフィンブレンドは、ポリエチレンもしくはポリエチレンブレンドまたはポリプロピレンもしくはポリプロピレンブレンドであってよい。いくつかの他の実施形態において、本明細書における絶縁破壊値を有する多層マイクロポーラス薄膜は、2以上の層を含む第一領域と、少なくとも1つの層を含む第二領域とを含んでいてよい。第一領域は、SEMを使用して薄膜のz方向に見たときに、ポリプロピレンと、大部分が不連続の無定形領域とを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている絶縁破壊改善を有する、電池セパレーターの多層マイクロポーラス薄膜は、以下:(1)2以上の層を含む第一領域、少なくとも1つの層を含む第二領域、および少なくとも1つの層を含む第三領域を含んでいてよい。第一領域は、SEMを使用して薄膜のz方向(または厚さ方向)に見たときに、ポリプロピレンと、大部分が不連続の無定形領域とを含んでいてよい。
【0026】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0027】
本明細書における別の態様において、水銀圧入ポロシメトリーを使用して測定したときに、水銀に細孔を充填させるのに十分な圧力で、5mL/g以下、4.5mL/g以下、4mL/g以下、または3.5mL/g以下の対数差分圧入の水銀圧入値を示す多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーター。
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書に記載されている。
【0028】
別の態様において、5超、5.5超、6超、6.5超、7超、8超、9超、または10超のマクミラン数を有する多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーターが、本明細書において記載されている。
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書に記載されている。
【0029】
本明細書における別の態様において、1.6以上、1.8以上、または2.0以上の屈曲度値を有する多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーターが、本明細書において記載されている。いくつかの実施形態において、本明細書における電池セパレーターは、マイクロポーラス電池セパレーターである。いくつかの実施形態において、上記電池セパレーターは、マイクロポーラス多層電池セパレーターである。
【0030】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0031】
別の態様において、50ニュートン、40ニュートン、30ニュートン、20ニュートン、15ニュートン、または10ニュートン未満のピン除去力を示す多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーター。
【0032】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つの膜またはセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書に記載されている。当該電池は、膜またはセパレーターが、乾式プロセスまたは乾式延伸プロセスポリオレフィン系膜、特に、吹出または気泡押出MD延伸またはMD+TD延伸膜であることが好ましい場合があるが、他の膜、例えば、スロットダイ押出または鋳造、湿式プロセス、BNBOPP、BOPP、粒子延伸、および/または同等の膜が使用されてよい。例えば、乾式プロセス多層PO膜が、BNBOPP膜に積層されてよい。
【0033】
別の態様において、電池セパレーターが、本明細書において記載されている。電池セパレーターは、以下:(1)2以上の層を含む第一領域;(2)第一領域の第一面上にある2以上の層を含む第二領域;および(3)第一領域の第一面と反対の面上にある2以上の層を含む第三領域を含むマイクロポーラス多層薄膜を含み、第一、第二または第三領域のうちの少なくとも1つが、PEを含み、DSCによって測定したときに、三層マイクロポーラス薄膜のPE含有層よりも低い結晶化度を有しており、ここで、三層マイクロポーラス薄膜が、多層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さを有している。例えば、結晶化度は、1~20%低く、1~15%低く、1~10%低く、または1~5%低くてよい。
【0034】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0035】
別の態様において、380N超、400N超、450N超、500N超、550N超、600N、650N超、または700N超の混合侵入(N)値を有する多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーターが、本明細書において記載されている。
【0036】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0037】
別の態様において、電池セパレーターが、本明細書において記載されている。電池セパレーターは、いくつかの実施形態において2以下、いくつかの実施形態において、1.7以下、いくつかの実施形態において、1.6以下、いくつかの実施形態において、1.5以下、いくつかの実施形態において、1.4以下、いくつかの実施形態において、1.3以下、いくつかの実施形態において、1.2以下、いくつかの実施形態において、1.0以下の電気抵抗値を有するマイクロポーラス薄膜を含む。
【0038】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0039】
別の態様において、380N以上、400N以上、450N以上、500N以上、550N以上、600N以上、650N以上、または700N以上の混合侵入値を有する多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーターが記載されている。
【0040】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0041】
別の態様において、2.0以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、または1.0以下の電気抵抗を有する多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーターが記載されている。
【0042】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0043】
別の態様において、2以上の層またはミクロ層および当該層またはミクロ層のうちの1以上におけるポリエチレンを含む領域を含む多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーター。上記領域が、本明細書に記載されている機械学習試験に従って試験されるとき、以下のうちの少なくとも1つが満たされる:WTx'≧-4、WTx'≧-2.654、WTx'≧1.3、およびWTx'≧2、WTx'≧2が最も好ましい。
【0044】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0045】
別の態様において、2以上の層またはミクロ層および当該層またはミクロ層のうちの1以上におけるポリプロピレンを含む領域を含む多層マイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーター。上記領域が、本明細書に記載されている機械学習試験に従って試験されるとき、以下のうちの少なくとも1つが満たされる:WTx'≧-5、WTx'≧-3、WTx'
≧0、WTx'≧3、WTx'≧3が最も好ましい。
【0046】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0047】
別の態様において、同じ厚さ、多孔率およびGurleyの典型的なセパレーターよりも良好である絶縁破壊均一性を有する多層膜またはマイクロポーラス薄膜を含む電池セパレーター。
【0048】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0049】
別の態様において、電池セパレーターが記載されている。電池セパレーターは、それぞれ少なくとも2つのミクロ層を含む少なくとも2つの領域またはサブ層を有する少なくとも1つの多層マイクロポーラス膜または薄膜を含み、上記多層膜が、以下のうちの少なくとも1つを有するまたは示す:(a)380N超の混合侵入(N)値;(b)600N超の混合侵入(N)値;(c)1.8以上の屈曲度;(d)多層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも1~35%高い平均絶縁破壊値(V);(e)多層マイクロポーラス膜と同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス膜または薄膜のそれよりも3~20%高い最小絶縁破壊値(V);(f)絶縁破壊均一性を有する;(g)釘刺試験を通過する;(h)PO、PPおよび/またはPEならびにエラストマーを含む少なくとも1つのミクロ層を有する;(i)シロキサンを含む少なくとも1つのミクロ層を有する;(j)PPおよびエラストマーを含む少なくとも1つのミクロ層を有する;(k)共重合体を含む少なくとも1つのミクロ層を有する;(l)PPおよび共重合体を含む少なくとも1つのミクロ層を有する;(m)異なる樹脂または樹脂ブレンドを含む少なくとも2つのミクロ層を有する;(n)上記領域のうちの1つが、ミクロ層のうちの1以上においてポリプロピレンを含むとき、この領域が、本明細書に記載されている機械学習試験に従って試験されるとき、以下のうちの少なくとも1つが満たされる:WTx'≧-
5またはWTx'≧-3;(o)上記領域のうちの1つが、ミクロ層のうちの1以上にお
いてポリプロピレンを含むとき、この領域が、本明細書に記載されているPCAとして知られている次元縮小技術に従って試験されるとき、以下のうちの少なくとも1つが満たされる:WTx'≧0、およびWTx'≧3;(p)上記領域のうちの1つが、ミクロ層のうちの1以上においてポリエチレンを含むとき、この領域が、本明細書に記載されている機械学習試験に従って試験されるとき、以下のうちの少なくとも1つが満たされる:WTx'≧-4およびWTx'≧-2.654;(q)上記領域のうちの1つが、ミクロ層のうちの1以上においてポリエチレンを含むとき、この領域が、本明細書に記載されている機械学習試験に従って試験されるとき、以下のうちの少なくとも1つが満たされる:WTx'
≧1.3、およびWTx'≧2;(r)上記領域のうちの1つが、PEを含み、また、多
層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス膜または薄膜のPE含有層のそれよりも、DSCによって測定したときに、1~20%低い結晶化度を有する;(s)マイクロポーラス多層膜または薄膜が、30~100のミクロ層またはこれより多くの層を有する;(t)ミクロ層のうちの少なくとも1つが、ステアリン酸リチウムを含む;(u)多層マイクロポーラス薄膜が、低減されたMDまたはTD裂度を示す;(v)ミクロ層のうちの少なくとも1つが、PEビーズを含む;(w)50N未満のピン除去を有する;(x)ピンとの低減された接触を示す;(y)低減されたMDまたはTD裂度を有する;(z)横方向(TD)延伸、カレンダリング、および細孔充填のうちの少なくとも1つのための前駆体であってよい。いくつかの実施形態において、マイクロポーラス多層膜は、26の選択肢のうち1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、または26を示す。上記セパレーターは、他の特性を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、上記電池セパレーターは、その1以上の表面において被覆されており、いくつかの実施形態においては、被覆されていない。いくつかの実施形態において、被膜は、セラミック被膜である。
【0050】
別の態様において、前述の段落に記載されている少なくとも1つのセパレーターを含む電池、特にリチウムイオン電池が、本明細書において記載されている。
【0051】
別の態様において、多層マイクロポーラス膜または薄膜を含む改良された電池セパレーターを形成する方法が、本明細書において記載されている。上記方法は、少なくとも2つの層を共押出する工程と、少なくとも2つの共押出層を、他の1層、または、いくつかの実施形態においては、他の2層に積層して、多層マイクロポーラス膜を形成する工程とを少なくとも含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の層が共押出される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの他の層、または少なくとも2つの他の層のうちの少なくとも1つが、共押出層である。いくつかの実施形態において、他の層のうちの少なくとも1つが、単押出された層である。少なくとも2つの共押出層が他の2層に積層されている実施形態において、場合により、他の2層のうちの一方が、少なくとも2つの共押出層の第一面に積層されており、他の2層のうちの第二の層が、少なくとも2つの共押出層の、第一面とは反対にある面に積層されている。他の2層のうちの少なくとも1つが、共押出層であってよい。いくつかの実施形態において、他の2層のうち両方が、共押出層である。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの共押出層のうちの少なくとも1つ、および他の層が、ポリオレフィンまたはポリオレフィンブレンドを含む。例えば、これらが、ポリエチレンもしくはポリエチレンブレンドまたはポリプロピレンもしくはポリプロピレンブレンドを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの共押出層のうちの少なくとも1つが、ポリエチレンを含み、他の層のうち少なくとも1つまたは両方が、ポリプロピレンまたはポリエチレンブレンドを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの共押出層のうちの少なくとも1つが、ポリエチレンを含み、他の層のうち少なくとも1つまたは両方が、ポリプロピレンまたはポリプロピレンブレンドを含む。いくつかの実施形態において、他の2層のそれぞれが、ポリエチレンまたはポリエチレンブレンドを含む。いくつかの実施形態において、他の2層のそれぞれが、ポリプロピレンまたはポリプロピレンブレンドを含む。いくつかの実施形態において、他の2層の一方または両方が、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、または9以上の他の層と共押出された、共押出層である。層が9つの他の層と共押出されているとき、共押出層の合計数は10である。
【0052】
別の態様において、前述の段落に記載されている方法によって作製された電池セパレーター。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、例示的な本発明の積層された3層または三重の三層マイクロポーラス膜、三層/三層/三層(各三層につき9つの共押出ミクロ層を有し、各三層の各PPまたはPEサブ層につき3つのミクロ層を有する)の、2,500xの倍率における部分断面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である(少なくとも、各層の外側PP層がマイクロポーラスである)。
【
図2】
図2は、
図1の複合積層膜の表面三層構成要素またはサブ膜のポリプロピレン表面サブ層(PPの3つのミクロ層)の部分の、15,000xの倍率における部分断面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である(PPサブ層が拡大されており、実際には、界面を識別することが困難である3つの共押出PPミクロ層である)。
【
図3】
図3は、
図1の3層膜のうち9つのミクロ層三層層のポリエチレンサブ層(PEの3つのミクロ層)の、15,000xの倍率における部分断面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である(PEサブ層が拡大されている)。
【
図4】
図4は、COM EX1と比較して、例示的な本発明構造物のサイクル挙動が改良されていることを実証するグラフである。
【
図5】
図5は、COM EX1と比較した、ある構造物の圧縮弾性結果を実証するグラフである。
【
図6】
図6は、COM EX1と比較した、ある構造物のMix P侵入試験結果を実証するグラフである。
【
図7】
図7は、どのようにしてミクロ層が共押出プロセスにおいて層増加によってフィードブロックにおいて作り出され得るかの概略図である。
【
図8】
図8は、どのようにしてミクロ層が共押出プロセスにおいて層裂けによって作り出され得るかの概略図である。
【
図9】
図9は、例示的な本発明の3つの層または三層(一緒に積層された3つの三重ミクロ層サブ層を有する合計9つのミクロ層)PP/PE/PPマイクロポーラス膜の、5,000xの倍率における断面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である(少なくとも、外側PPサブ層がマイクロポーラスである)。
【
図10】
図10は、
図9の9ミクロ層の層、3層の膜のポリプロピレン表面サブ層(表面PPミクロ層)の表面の、3,000xの倍率における表面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。この9ミクロ層の膜は、例えば
図1に示されているように3層(9サブ層、27ミクロ層)の膜のうちの1つの層として使用することができた。
【
図11】
図11は、
図9の9ミクロ層の層、3層の膜のポリプロピレン表面サブ層(表面PPミクロ層)の表面の部分の、10,000xの倍率における表面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【
図12】
図12は、
図9の9ミクロ層の層、3層の膜のポリプロピレン表面サブ層(表面PPミクロ層)の表面の部分の、30,000xの倍率における表面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【
図13】
図13は、隣接共押出ミクロ層の界面(界面ゾーン)をより明確に示す、ミクロ層PO1とは異なる樹脂または樹脂ブレンドからなるミクロ層PO2を有する、例としての本発明の3つの「ミクロ層」共押出サブ層(PO1/PO2/PO1)マイクロポーラス膜の、5,000xの倍率における断面走査型電子顕微鏡写真(SEM)である(少なくとも、外側のPO1ミクロ層がマイクロポーラスである)。隣接サブ層間の複数の共押出ミクロ層界面及び積層界面が、本発明多層構造の固有の特徴、特性および/または性能を付与するとされている。
図13の例のサブ層は、外側の2層とは異なるPP樹脂の中央PP層を有する3つのPP層でできており、中央PP層のより低い粘度に起因してより厚い前駆体によってなされなければならなかった(典型的には、ミクロ層が、それぞれ、4um未満、好ましくは3um未満、より好ましくは2um未満であった)。
【
図14】
図14は、
図13のSEMの部分のマークアップであり、赤および緑の横線で界面ゾーンを示している。
【
図15】
図15は、
図13の拡大バージョンであり、固有の細孔構造および膜構造を示している。
【
図16】
図16は、本発明の少なくとも1つの実施形態による例示的な12umの三層の概略表示である(一緒に積層されたPP/PE/PPサブ層またはミクロ層、サブ層は、それぞれが異なり、頂部PPサブ層は、3つの共押出PPミクロ層を有し、中央PEサブ層は、互いに同じであっても異なっていてもよい3つのPEミクロ層を有し、底部PPサブ層は、2つのPPブレンドミクロ層および1つのPPミクロ層を有する)。
図16は、多数の異なる実施形態が、1つの、9ミクロ層の膜において可能であること、ならびに、サブ層および個別ミクロ層の変化が可能であり、場合によっては望ましいことを示している。例えば、最外PPミクロ層においていくらかのPPを添加して、接着、湿潤性、積層接着強度、および/または同類のものを増大させなければならないことがある。
【
図17】
図17は、本発明の例示的な3、9、18、または21ミクロ層の実施形態または実施例の概略表示である(青色はPPミクロ層を表し、黄色はPEミクロ層を表し、番号が付された黒色の線は、界面を示す)。
図17は、多数の異なる実施形態が可能であること、ならびに、PPまたはPEサブ層の使用の変化が可能であり、場合によっては望ましいことを示している。例えば、外側または中央のサブ層においていくらかのPEを添加して、接着、湿潤性、積層接着強度を増加させる、または中央のシャットダウン機能、および/もしくは同類のものを付与しようとする場合がある。
【
図18】
図18は、他のより従来的な三層生成物と比較して、多層生成物(EX1、EX3、EX6)のいくつかの例において改良されたDB均一性データを示す。
【
図19】
図19は、従来の12um三層生成物と比較して、例示的な本発明構造物(EX1)のサイクル挙動が改良されていることを実証するグラフである。ここで示す比較薄膜は、12um三層(PP/PE/PP)(ミクロ層なし)である。これは、グラファイト系に対して523NCMで4.3VのカットオフによってC/3のCレートで行われた。示すデータは、各サンプル(または10個のセルの合計)についての5個のセルの平均を提示している。界面の増加および細孔構造の複雑さに起因して改良された電解液取り込みに場合によっては起因して、本発明者らは、従来の三層よりもEX1にてサイクル寿命の繰り返し可能な改良を見ることができる。
【
図20】
図20は、本発明多層生成物および概念の多くの非限定的な、例示的な実施形態、特徴、利点、または構造を列挙する。
【
図21】
図21は、約3.11um厚の中央PEサブ層を有する約14um膜である9ミクロ層(各サブ層が3つのミクロ層を有する)のPP/PE/PPサブ層を示す10,000Xの断面SEMである(各PEミクロ層が、それぞれたった約1.037um厚である)。本発明を使用して、それぞれ2um以下の厚さのミクロ層、それぞれ1.5um以下の厚さのミクロ層、それぞれ1.3um以下の厚さのミクロ層、それぞれ1.15um以下の厚さのミクロ層、それぞれ1.05um以下の厚さのミクロ層、および/または同類のものを有する、他のPO膜よりも優れた性能を有するミクロ多層構造をポリオレフィン樹脂から作り出すことができる。
【
図22A】
図22Aは、他のより従来的な三層生成物(COM EX1、COM EX3、COM EX2、COM EX4)と比較した、多層生成物のいくつかの例(EX1、EX3、EX2、EX4、およびEX6)におけるデータを示す。厚さおよび多孔率の正規化は、新しい多層構造の利益のいくつかを示すのに役立つ。
【
図22B】
図22Bは、他のより従来的な三層生成物(COM EX1、COM EX3、COM EX2、COM EX4)と比較した、多層生成物のいくつかの例(EX1、EX3、EX2、EX4、およびEX6)におけるデータを示す。厚さおよび多孔率の正規化は、新しい多層構造の利益のいくつかを示すのに役立つ。
【
図23】
図23は、他のより従来的な三層生成物(COM EX1、COM EX3、COM EX2、COM EX4)と比較した、多層生成物のいくつかの例(EX1、EX3、EX4、およびEX6)のさらなるデータを示す。厚さおよび多孔率の正規化は、新しい多層構造の利益のいくつかを示すのに役立つ。屈曲度をN
m=T
2/Pによって算出した。ここで、N
mは、マクマリン数であり、Tは屈曲度であり、Pは多孔率である。
【
図24】
図24は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態による多層生成物のポリプロピレン層のSEM像を含む。
【
図25】
図25は、本明細書に記載されているより従来的な三層生成物のポリプロピレン層のSEM像を含む。
【
図26】
図26は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態による多層生成物のポリエチレン層のSEM像を含む。
【
図27】
図27は、本明細書に記載されているより従来的な三層生成物のポリエチレン層のSEM像を含む。
【
図28】
図28は、本明細書に記載されている三層および多層生成物のポリプロピレン層の対照比較を示すSEM像を含む。
【
図29】
図29は、本明細書に記載されている三層および多層生成物のポリエチレン層の対照比較を示すSEM像を含む。
【
図30】
図30は、本明細書に記載されている三層または多層生成物の対照比較を示すSEM像を含む。
【
図31】
図31は、本明細書に記載されている三層および多層生成物のポリエチレン層のDSCデータの表である。
【
図32】
図32は、本明細書に記載されている三層および多層生成物のポリプロピレン層のDSCデータの表である。
【
図33】
図33は、本明細書に記載されている三層および多層生成物の(水銀圧入ポロシメトリーを使用した)細孔直径分布の定量的評価を示すグラフである。
【
図34】
図34は、本明細書に記載されている機械学習試験によるxのx'への正規化(PPにおける)を示す。
【
図35】
図35は、本明細書に記載されている機械学習試験による係数および境界パラメータ(PP)を示す。
【
図36】
図36は、本明細書に記載されている機械学習試験によるxのx'への正規化(PEにおける)を示す。
【
図37】
図37は、本明細書に記載されている機械学習試験による係数および境界パラメータ(PE)を示す。
【
図38】
図38は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図39】
図39は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図40】
図40は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図41】
図41は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図42】
図42は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図43】
図43は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図44】
図44は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図45】
図45は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図46】
図46は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図47】
図47は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図48】
図48は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図49】
図49は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【
図50】
図50は、本明細書に記載されているいくつかのさらなる実施形態によるある共押出多層前駆体、膜またはセパレーターの代表的な概略表示である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書に記載されている実施形態は、以下の詳細な説明、例、および図を参照することによってより容易に理解され得る。しかしながら、本明細書に記載されている要素、装置、および方法は、詳細な説明、例、および図に提示されている具体的な実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる説明的なものであることが認識されるべきである。多くの変更および改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかである。
【0055】
また、本明細書に開示されている全ての範囲が、ここに含まれるありとあらゆるサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1.0~10.0」と記述されている範囲は、1.0以上の最小値で開始して10.0以下の最大値で終端するありとあらゆるサブ範囲、例えば、1.0~5.3、または4.7~10.0、または3.6~7.9を含むと考えられるべきである。
【0056】
本明細書に開示されている全ての範囲はまた、別途明確に記述されていない限り、当該範囲の両端を含むと考えられなければならない。例えば、「5および10の間」、「5から10まで」、または「5~10」の範囲は、概して、両端5および10を含むと考えられるべきである。
【0057】
さらに、句「最大で(up to)」が量(amount)または量(quantity)と併せて使用されているときには、当該量が、少なくとも、検出可能な量(amount)または量(quantity)であることが理解されるべきである。例えば、「最大で」特定された量の量で存在する材料は、検出可能な量から当該特定された量までかつこれを含んで存在し得る。
【0058】
以下が本明細書に記載されている:マイクロポーラス多層薄膜または膜;マイクロポーラス多層薄膜または膜のうち少なくとも1つを含む電池セパレーター;本明細書に記載されている電池セパレーターのうち少なくとも1つを含む電池、特にリチウムイオン電池、本明細書に記載されている電池を含むデバイス、およびマイクロポーラス多層薄膜または膜を作製する方法。
【0059】
多層マイクロポーラス薄膜または膜は、特に、同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する過去の三層および多層マイクロポーラス薄膜と比較したときに、改良された特性を示す。薄膜または膜の改良された特性として、限定されないが、先行の三層および多層生成物と比較して改良された穿刺強度(gf)、先行の三層および多層生成物と比較して改良された混合侵入平均(N)、先行の三層および多層生成物と比較して改良された伸び(kgf/cm2)、先行の三層および多層生成物と比較してより速いシャットダウン速度(Ω-cm2)、先行の三層および多層生成物と比較してより高い平均絶縁破壊(DB)値(V)、先行の三層および多層生成物と比較してより低いDB標準偏差(V)、先行の三層および多層生成物と比較してより高い最小DB値(V)、先行の三層及び多層マイクロポーラス薄膜では通らなかった工業上の釘刺試験の通過、ならびに過去の三層および多層生成物と比較して改良されたサイクル寿命が挙げられる。本明細書における多層マイクロポーラス薄膜が固有の構造を有することも分かった。これらの薄膜の固有の構造は、観察された改良された特性の多くを説明している。
【0060】
電池セパレーター
本明細書における電池セパレーターは、1つの(すなわち、1以上の)多層膜または多層マイクロポーラス薄膜、および、任意選択的に、当該膜の一方または両面上の被膜層を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。薄膜自体、すなわち、被膜またはいずれの他のさらなる構成要素も有さない上記薄膜は、上記に記載されている改良された特性を示す。上記薄膜の性能は、被膜または他のさらなる構成要素の付加によって向上され得る。
【0061】
(1)多層マイクロポーラス薄膜または膜
いくつかの実施形態において、多層膜または多層マイクロポーラス薄膜は、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、または100以上の層を含む。「層」という用語によって意味されるものには、2~20ミクロンの厚さを有する単押出層が含まれる。当業者によって理解されるように、単押出層とは、いずれの他のものも伴わずそれ自体が押出された層である。また、共押出二層、三層、または多層薄膜の層も、それぞれが、所与の電池セパレーターが多層電池セパレーターであるか否かを決定する目的で「層」であると考えられる。共押出二層における層の数は2であり、共押出された三層における層の数は3であり、共押出された多層薄膜における層の数は2以上、好ましくは3以上である。二層、三層、または多層共押出薄膜の層の正確な数は、ダイ設計によって定められ、必ずしも、共押出されて共押出薄膜を形成する材料ではない。例えば、共押出の二、三または多層薄膜は、2、3、または4以上の層のそれぞれを形成する同じ材料を使用して形成されてよく、これらの層は、それぞれが同じ材料からできていても、依然として別々の層であると考えられる。正確な数は、同様に、ダイ設計によって定められる。共押出の二、三または多層薄膜の層は、それぞれ、0.01~20ミクロン、好ましくは0.1~5ミクロン、最も好ましくは0.1~3ミクロン、0.1~2ミクロン、0.1~1ミクロン、0.01~0.9ミクロン、0.01~0.8ミクロン、0.01~0.7ミクロン、0.01~0.6ミクロン、0.01~0.5ミクロン、0.01~0.4ミクロン、0.01~0.3ミクロン、または0.01~0.2ミクロンの厚さを有する。これらの層はミクロ層である。
【0062】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている多層マイクロポーラス薄膜または多層マイクロポーラス膜は、2以上、または好ましくは3以上の共押出層を含む。共押出層は、共押出プロセスによって形成される層である。少なくとも2、好ましくは少なくとも3つの連続共押出層が、同じまたは別々の共押出プロセスによって形成されてよい。例えば、少なくとも2つまたは少なくとも3つの連続層が、同じ共押出プロセスによって形成されてよく、2以上の層が、1つのプロセスによって共押出されてよく、2以上の層が、別々のプロセスによって共押出されてよく、1つのプロセスによって形成される2以上の層が、4以上の連続共押出層が組み合わされるように別々のプロセスによって形成される2以上の層に積層されてよい。いくつかの好ましい実施形態において、2以上、または好ましくは3以上の共押出層が同じ共押出プロセスによって形成される。例えば、2以上、または好ましくは3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上または60以上の共押出層が、同じ共押出プロセスによって形成されてよい。さらに好ましい実施形態において、押出プロセスは、同じであっても異なっていてもよい2以上のポリマー混合物を、溶媒を用いずに押出することによって実施される。好ましい共押出プロセスは、乾式プロセス、例えば、Celgard(登録商標)乾式プロセスである。
【0063】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている多層マイクロポーラス薄膜または多層膜は、共押出二層(2の共押出層)、三層(3の共押出層)、または多層(2以上、好ましくは3以上の共押出層)薄膜を形成し、次いで、当該二層、三層、または多層薄膜を、少なくとも1、しかし、好ましくは2の他の薄膜に積層することによって作製される。少なくとも1、しかし、好ましくは2の他の薄膜は、不織布薄膜、単押出薄膜または共押出薄膜であってよい。好ましい実施形態において、他の薄膜は、共押出二層、三層、または多層薄膜と同じ数の共押出層を有する共押出薄膜である。例えば、共押出三層薄膜が形成されるとき、他のものも共押出三層である。
【0064】
二層、三層、または多層共押出薄膜と、少なくとも1つの他の単押出単層薄膜または二層、三層、もしくは多層薄膜との積層は、熱、圧力、または好ましくは熱および圧力の使用を含んでいてよい。
【0065】
現電池セパレーターにおいて使用され得る重合体または共重合体は、押出可能である重合体または共重合体である。かかる重合体は、典型的には、熱可塑性重合体と称される。
【0066】
いくつかの実施形態において、多層マイクロポーラス薄膜または多層膜の層のうちの1以上が、重合体もしくは共重合体、またはポリマーもしくはコポリマーブレンド、好ましくはポリオレフィンまたはポリオレフィンブレンドを含む。ポリオレフィンブレンドは、当業者によって理解されているように、2以上の異なる種類のポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンの混合物、各ポリオレフィンが異なる特性を有する2以上の同じ種類のポリオレフィンのブレンド、例えば、超高分子量ポリオレフィンおよび低もしくは超低分子量ポリオレフィン、あるいは、ポリオレフィンと別のタイプの重合体もしくは共重合体との混合物、または任意の添加剤を含んでいてよい。
【0067】
ポリオレフィンとして、限定されないが:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、これらの共重合体、およびこれらのブレンドが挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリオレフィンは、超低分子量、低分子量、中分子量、高分子量、または超高分子量ポリオレフィン、例えば、中または高分子ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)であり得る。例えば、超高分子量ポリオレフィンは、450,000(450k)以上、例えば500k以上、650k以上、700k以上、800k以上、1000000以上、2000000以上、3000000以上、4000000以上、5000000以上、6000000以上などの分子量を有していてよい。高分子量ポリオレフィンは、250k~450k、例えば、250k~400k、250k~350k、または250k~300kの範囲の分子量を有していてよい。中分子量ポリオレフィンは、150~250k、例えば、100k、125k、130k、140k、150k~225k、150k~200k、150k~200kなどの分子量を有していてよい。低分子量ポリオレフィンは、100k~150k、例えば、100k~125kの範囲の分子量を有していてよい。超低分子量ポリオレフィンは、100k未満の分子量を有していてよい。上記値は、重量平均分子量である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているのと同じものを含むマイクロポーラス多層膜または電池の強度または他の特性を増加させるために、より高分子量のポリオレフィンが使用されてよい。いくつかの実施形態において、より低分子量の重合体、例えば、中、低、または超低分子量重合体が有益であり得る。例えば、いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、より低分子量のポリオレフィンの結晶化挙動が、細孔を形成する少なくともMD延伸プロセスから得られる、より小さな細孔を有するマイクロポーラス多層薄膜を結果として生じさせ得るとされている。
【0068】
ポリオレフィン重合体、ブレンド、または混合物以外の例示的な熱可塑性重合体、ブレンド、混合物または共重合体として、限定されないが:ポリアセタール(またはポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、およびポリビニリデン(PVDF、PVDF:HFP、PTFE、PEO、PVA、PANなどを挙げることができる)を挙げることができる。ポリアミド(ナイロン)として、限定されないが:ポリアミド6、ポリアミド66、ナイロン10、10、ポリフタルアミド(PPA)、これらの共重合体、およびこれらのブレンドが挙げられる。ポリエステルとして、限定されないが:ポリエステルテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、これらの共重合体、およびこれらのブレンドが挙げられる。ポリスルフィドとして、限定されないが、ポリフェニルスルフィド、これらの共重合体、およびこれらのブレンドが挙げられる。ポリビニルアルコールとして、限定されないが:エチレン-ビニルアルコール、これらの共重合体、およびこれらのブレンドが挙げられる。ポリビニルエステルとして、限定されないが、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、これらの共重合体、およびこれらのブレンドが挙げられる。ポリビニリデンとして、限定されないが:フッ素化ポリビニリデン(例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン)、これらの共重合体、およびこれらのブレンドが挙げられる。種々の材料が重合体に添加されてよい。これらの材料は、個別層またはセパレーター全体の性能または特性を変更または向上するために添加される。かかる材料として、限定されないが:重合体の融点を低下させるために添加されてよい材料が挙げられる。典型的には、多層状セパレーターは、電池の電極間のイオンの流れを遮断する所定の温度で細孔を閉鎖するように設計された層を含む。この機能は、一般的に、シャットダウンと称される。
【0069】
いくつかの実施形態において、多層マイクロポーラス薄膜または多層膜の各層は、異なる重合体もしくは共重合体またはポリマーもしくはコポリマーブレンドを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。いくつかの実施形態において、各層は、同じ重合体もしくは共重合体またはポリマーもしくはコポリマーブレンドを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。いくつかの実施形態において、多層マイクロポーラス薄膜または多層膜の交互の層は、同じ重合体もしくは共重合体またはポリマーもしくはコポリマーブレンドを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。他の実施形態において、多層膜またはマイクロポーラス多層薄膜の層のいくらかが、同じポリマーまたはポリマーブレンドを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になり、いくらかは、そうではない。
【0070】
層またはミクロ層のそれぞれが、ポリオレフィン(PO)、例えば、PPもしくはPEまたはPE+PPブレンド、混合物、共重合体などを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になることが好ましい場合があるが、他の重合体(PY)、添加剤、薬剤、材料、フィラー、および/もしくは粒子(M)、ならびに/または同類のものが添加または使用され得、また、これらが、層またはミクロ層、例えば、PP+PY、PE+PY、PP+M、PE+M、PP+PE+PY、PE+PP+M、PP+PY+M、PE+PY+M、PP+PE+PY+M、またはこれらのブレンド、混合物、共重合体、および/もしくは同類のものを形成し得ることが企図される。
【0071】
また、同一、同様、違った、または異なるPPもしくはPEまたはPE+PP重合体、ホモ重合体、共重合体、分子量、ブレンド、混合物、共重合体などが使用されてよい。例えば、同一、同様、違った、または異なる分子量のPP、PE、および/もしくはPP+PE重合体、ホモ重合体、共重合体、多重合体、ブレンド、混合物、ならびに/または同類のものが各層において使用されてよい。このように、構造物は、PP、PE、PP+PE、PP1、PP2、PP3、PE1、PE2、PE3、PP1+PP2、PE1+PE2、PP1+PP2+PP3、PE1+PE2+PE3、PP1+PP2+PE、PP+PE1+PE2、PP1/PP2、PP1/PP2/PP1、PE1/PE2、PE1/PE2/PP1、PE1/PE2/PE3、PP1+PE/PP2の種々の組み合わせおよびサブ組み合わせ、または他の組み合わせもしくは構造物を含んでいてよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、1以上の添加剤が多層マイクロポーラス薄膜または多層膜の最外層に添加されて、その特性または電池セパレーターもしくはこれを含む電池の特性を改良することができる。最外層は、添加剤に加えて、PE、PP、またはPE+PPを含んでいてよい。例えば、ピン除去を改良するために(すなわち、薄膜または膜の摩擦係数を低下させるために)、添加剤、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウムPEビーズ、シロキサン、およびポリシロキサンが添加されてよい。
【0073】
加えて、特定の重合体、共重合体、またはポリマーもしくはコポリマーブレンドが、多層マイクロポーラス薄膜または多層膜の最外層において使用されて、その特性または電池セパレーターもしくはこれを含む電池の特性を改良することができる。例えば、最外層において超分子量重合体または共重合体を添加することにより、穿刺強度を改良し得る。
【0074】
さらなる実施形態において、耐酸化性を改良するための添加剤が、多層マイクロポーラス薄膜または膜の最外層に添加されてよい。添加剤は、有機もしくは無機添加剤、または高分子もしくは非高分子添加剤であってよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、多層薄膜または膜の最外層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの混合物を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になっていてよい。
【0076】
いくつかの実施形態において、マイクロポーラス多層薄膜または膜は、3以上の違った領域またはサブ膜エリアを含んでいてよい。好ましい実施形態において、領域またはサブ膜エリアの1以上が、共押出層であってもなくてもよい2以上の層を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になっていてよい。いくつかの好ましい実施形態において、2以上の層が、共押出層である。いくつかの実施形態において、領域またはサブ膜エリアと隣接領域またはサブ膜エリアとの間に積層バリアが存在する。積層バリアは、2表面、例えば、異なる薄膜または層の2表面が、熱、圧力、しかし好ましくは熱および圧力を使用して一緒に積層されているとき、形成される。いくつかの実施形態において、サブ膜エリアは、以下の非限定的な構造物を有する:PP、PE、PP/PP、PP/PE、PE/PP、PE/PE、PP/PP/PP、PP/PP/PE、PP/PE/PE、PP/PE/PP、PE/PP/PE、PE/PE/PP、PP/PP/PP/PP、PP/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PE、PP/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP、PE/PP/PE/PP、PP/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PE、PP/PP/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PE/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE、PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP、PE/PE/PE/PP/PE/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PP/PP/PE/PE/PP/PP/PE/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PP/PE/PE/PEPE/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PP/PP/PP/PE/PP/PP/PP/PP、PE/PE/PE/PE/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP、PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE、PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE/PE/PE/PE、PE/PE/PE/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP、PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE、PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP/PE/PP、PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE、PP/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PE/PP、PP/PP/PE/PE/PP/PP/PE/PE/PP/PP、PE/PE/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PP/PE/PE、PP/PP/PP/PE/PE/PP/PP/PP/PP/PE、PE/PE/PE/PP/PP/PE/PE/PE/PP/PP。本明細書において、PEは、PEを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる領域またはサブ膜エリアの層またはミクロ層、例えば、共押出層またはミクロ層を表す。本明細書において、PPは、PPを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる領域またはサブ膜エリアの層またはミクロ層、例えば、共押出層またはミクロ層を表す。異なる層またはミクロ層のPEまたはPPは、同じであっても異なっていてもよい。領域またはサブ膜エリアあたり最大で50の層またはミクロ層、特に、共押出層またはミクロ層を含む同様の変形例が、適切な押出ダイによって形成され得る。
【0077】
1つの好ましい実施形態において、共押出前駆体は、構造(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP3/PP2/PP2/PP2/PP1/PP1/PP1)などを有していてよい。
【0078】
PP1は、ホモ重合体PP、および、ポリシロキサンまたはシロキサンのような任意のスリップ防止添加剤または抗ブロック添加剤を含めた添加剤でできていて、表面摩擦係数を変更する。PP2は、PP1と同じまたは異なるPPホモ重合体、およびPPの共重合体からできていてよい。PP共重合体は、任意のプロピレン-エチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体、またはエラストマーであってよい。PP3は、PP1およびPP2と同じまたは異なるホモ重合体PPからできていてよく、また、PP1において使用されているものと同じであっても異なっていてもよい、表面摩擦係数を変更するための添加剤も含む。
【0079】
他の好ましい実施形態において、共押出前駆体は、構造(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP2/PP2/PP1/PP1)、(PP3/PP3/PP3/PP2/PP2/PP2/PP1/PP1/PP1)などを有し得る。PP1は、任意のポリプロピレンブレンドであってよい。PP2は、本明細書に記載されているものを含めた任意のPPブロック共重合体からできていてよい。PP3は、PP2において使用されているものと同じまたは異なるPP-ブロック共重合体からできていてよい。
【0080】
領域またはサブ膜エリアは、マイクロポーラス多層膜またはマイクロポーラス多層薄膜を形成する任意の順序で配置されていてよい。例えば、マイクロポーラス多層膜またはマイクロポーラス多層薄膜は、以下の非限定的な構造物を有していてよい:(PP/PP)(PE/PE)/(PP/PP);(PE/PE)(PP/PP)(PE/PE);(PP/PE)(PP/PE)(PP/PE);(PP/PE)(PE/PP)(PE/PP);(PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP);(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)(PE/PE/PE);(PP/PE/PP)(PE/PP/PE)(PP/PE/PP);(PP/PP/PE)(PE/PE/PE)(PE/PP/PP);(PE/PE/PP)(PP/PP/PP)(PP/PE/PE);(PE/PP/PE)/(PP/PE/PP)(PE/PP/PE);(PP/PE/PP)(PE/PP/PE)(PP/PE/PP);(PP/PE/PP)(PP/PE/PP)(PP/PE/PP);(PP/PP/PP)(PP/PP/PP)(PP/PP/PP);(PE/PE/PE)(PE/PE/PE)(PE/PE/PE);(PE/PE/PE)(PP)(PE/PE/PE);(PP/PP/PP)(PE)(PP/PP/PP);(PE/PE/PE)(PP/PP)(PE/PE/PE);(PP/PP/PP)(PE/PE)(PP/PP/PP);(PE/PP/PE)(PP)(PE/PP/PE);(PP/PE/PP)(PE)(PP/PE/PP);(PE/PP/PE)(PP/PP)(PE/PP/PE);(PP/PE/PP)(PE/PE)(PP/PE/PP);(PP/PP/PP/PP)(PE)(PP/PP/PP/PP);(PE/PE/PE/PE)(PP)(PE/PE/PE/PE);(PP/PP/PP/PP/PP)(PE)(PP/PP/PP/PP/PP);(PE/PE/PE/PE/PE)(PP/PP)(PE/PE/PE/PE/PE);(PP/PP/PP/PP/PP)(PE/PE/PE/PE/PE)(PP/PP/PP/PP/PP);(PE/PE/PE/PE/PE/PE)(PP/PP/PP/PP/PP)(PE/PE/PE/PE/PE);(PP/PE/PP/PE/PP)(PE/PP/PE/PP/PE)(PP/PE/PP/PE/PP);(PE/PP/PE/PP/PE)(PP/PE/PP/PE/PP)(PE/PP/PE/PP/PE)。上記の変形例が使用されて、最大で10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200の層またはミクロ層を有するマイクロポーラス多層薄膜または多層膜を形成し得る。
【0081】
マイクロポーラス多層薄膜または多層膜の厚さは、さほど限定されないが、好ましくは50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、25ミクロン未満、20ミクロン未満、19ミクロン未満、18ミクロン未満、17ミクロン未満、16ミクロン未満、15ミクロン未満、14ミクロン未満、13ミクロン未満、12ミクロン未満、11ミクロン未満、10ミクロン未満、9ミクロン未満、8ミクロン未満、7ミクロン未満、6ミクロン未満、または5ミクロン未満である。これは、任意の被覆または処理が適用される前の多層薄膜または膜の厚さである。
【0082】
マイクロポーラスは、本明細書において使用されているとき、薄膜、膜、または被膜の平均細孔径が、2ミクロン以下、好ましくは1ミクロン以下、0.9ミクロン以下、0.8ミクロン以下、0.7ミクロン以下、0.6ミクロン以下、0.5ミクロン以下、0.4ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.2ミクロン以下、好ましくは0.1ミクロン以下、0.09ミクロン以下、0.08ミクロン以下、0.07ミクロン以下、0.06ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.04ミクロン以下、0.03ミクロン以下、0.02ミクロン以下、または0.01ミクロン以下であることを意味する。好ましい実施形態において、細孔は、例えば、Celgard(登録商標)乾式プロセスにおいて行われるように、例えば、前駆体薄膜において延伸プロセスを実施することによって形成され得る。
【0083】
いくつかの好ましい実施形態において、多層マイクロポーラス薄膜または膜がPEを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になるサブ膜または領域を含み、これらはマイクロポーラスであり、0.03および0.1の間、好ましくは0.05~0.09、0.05~0.08、0.05~0.07、または0.05~0.06の間の平均細孔径を有する。
【0084】
他の好ましい実施形態において、多層マイクロポーラス薄膜または膜PPを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になるサブ膜または領域を含み、これらはマイクロポーラスであり、0.02~0.06の間、好ましくは0.03~0.05、より好ましくは0.04~0.05または0.03~0.04の間の平均細孔径を有する。
【0085】
いくつかの他の好ましい実施形態において、多層マイクロポーラス薄膜または膜が、PPを含むか、これらからなるか、もしくはこれらから本質的になるサブ膜もしくは領域を含むか、または、PEを含むか、これらからなるか、もしくはこれらから本質的になるサブ膜もしくは領域を含み、PPサブ膜または領域の平均細孔径は、PEサブ膜または領域のそれよりも小さい。
【0086】
マイクロポーラス多層薄膜または膜のGurleyは、さほど限定されず、電池セパレーターとしとの使用に許容可能にするいずれのGurleyを有していてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているマイクロポーラス多層薄膜または膜は、150以上、160以上、170以上、180以上、190以上、200以上、210以上、220以上、230以上、240以上、250以上、260以上、270以上、280以上、290以上、300以上、310以上、320以上、330以上、340以上、または350以上のJIS Gurley(s/100cc)を有する。
【0087】
マイクロポーラス多層薄膜の多孔率は、さほど限定されない。例えば、許容可能な電池セパレーターを形成し得るいずれの多孔率も許容可能である。いくつかの実施形態において、薄膜または膜の多孔率は、10~60%、20~60%、30~60%、または40~60%であってよい。
【0088】
マイクロポーラス多層薄膜または膜は、被覆されていないときの穿刺強度が、290gf以上、300gf以上、310gf以上、320gf以上、330gf以上、340gf以上、350gf以上、または400gf以上と高くてよい。
【0089】
マイクロポーラス多層薄膜または膜は、本明細書に記述されている目標と一致するいずれの平均絶縁破壊を有していてもよい。いくつかの実施形態において、平均絶縁破壊値は、同じ厚さ、Gurley、および多孔率のうち少なくとも1つを有する三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも改良されているか、またはそれより高い。例えば、同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも1~35%高く、5~35%高く、10~35%高く、15~35%高く、20~35%高く、25~35%高く、または30~35%高くてよい。
【0090】
マイクロポーラス多層薄膜または膜の最小絶縁破壊値は、さほど限定されない。いくつかの実施形態において、最小値は、同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも改良されていてよい(またはそれより高くてよい)。例えば、最小絶縁破壊値が、同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス薄膜のそれよりも3~20%高く、5~15%高く、10~15%高く、5~10%高く、3~10%高く、3~15%高く、15~20%高く、10~20%高く、または5~20%高くてよい。
【0091】
絶縁破壊値の標準偏差も、さほど限定されない。いくつかの実施形態において、標準偏差は、同じ厚さ、Gurley、および/または多孔率を有する三層マイクロポーラス薄膜と比較して改良されている(またはより低い)。例えば、標準偏差は、10~55%低く、10~50%低く、10~45%低く、10~40%低く、10~35%低く、10~30%低く、10~25%低く、10~20%低く、または10~15%低くてよい。
【0092】
より高い平均DB値、最小DB値、および、より低いDB標準偏差は、薄膜が、より安全な電池セパレーターおよび電池を付与するために使用され得ることを示している。絶縁破壊とは、電流が絶縁体を横断して流れ始める電圧値である。より高い値は、より高い電圧に耐え得るセパレーターを明白に示している。より高い最小値はまた、電池セパレーターがその最も弱い点と同じぐらいただ安全であるため重要でもある。より高い平均値によっても、薄膜における1つの点が、より低い値で破壊すると、良好ではない。本明細書に記載されている多層マイクロポーラス薄膜でのDB値のより低い標準偏差は、本明細書に記載されているマイクロポーラス多層薄膜の安全性において整合性を示す。
【0093】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層薄膜または膜の混合侵入平均(N)も、さほど限定されない。例えば、混合侵入値は、380N以上、390N以上、400N以上、410N以上、420N以上、440N以上、450N以上、460N以上、470N以上、480N以上、500N以上、510N以上、520N以上、550N以上、560N以上、580N以上、600N以上、620N以上、640N以上、660N以上、680N以上、690N以上、700N以上、710N以上、720N以上、740N以上、750N以上、760N以上であってよい。
【0094】
本明細書に記載されている多層マイクロポーラス薄膜または膜のMD収縮率は、さほど限定されないが、従前の三層マイクロポーラス薄膜のそれらよりも好ましくは低い。例えば、105℃におけるMD収縮率(%)は、3%未満、好ましくは2.5%未満、より好ましくは2%未満または1.5%未満、最も好ましくは1%未満である。
【0095】
マイクロポーラス多層薄膜のMD引張強度は、さほど限定されないが、好ましくは高い。例えば、1800kgf/cm2超、2000kgf/cm2超、2100kgf/cm2超、2200kgf/cm2超、2250kgf/cm2超、2300kgf/cm2超、2400kgf/cm2超、または2500kgf/cm2超である。
【0096】
マイクロポーラス多層薄膜のMD伸びは、さほど限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%超である。
【0097】
マイクロポーラス多層薄膜のTD引張強度は、さほど限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、TD引張強度は、120kgf/cm2以上、125kgf/cm2以上、130kgf/cm2以上、135kgf/cm2以上、140kgf/cm2以上、145kgf/cm2以上、150kgf/cm2以上、155kgf/cm2以上、160kgf/cm2以上、165kgf/cm2以上、170kgf/cm2以上、175kgf/cm2以上、180kgf/cm2以上、185kgf/cm2以上、または190kgf/cm2以上、または195kgf/cm2以上である。
【0098】
マイクロポーラス多層薄膜のTD伸びは、さほど限定されない。例えば、500%超、550%超、600%超、650%超、700%超、750%超、800%超、850%超、900%超、950%超、または1000%超であってよい。
【0099】
マイクロポーラス多層薄膜のシャットダウン温度は、さほど限定されないが、好ましくは120℃以上、130℃以上、140℃以上、150℃以上、160℃以上、170℃以上、180℃以上、190℃以上、または200℃以上である。
【0100】
マイクロポーラス多層薄膜のシャットダウン速度は、さほど限定されないが、好ましくは6,000Ω-cm2以上、7,000Ω-cm2以上、8,000Ω-cm2以上、9,000Ω-cm2以上、10,000Ω-cm2以上、11,000Ω-cm2以上、12,000Ω-cm2以上、13,000Ω-cm2以上、14,000Ω-cm2以上、15,000Ω-cm2以上、16,000Ω-cm2以上、17,000Ω-cm2以上、18,000Ω-cm2以上、19,000Ω-cm2以上または20,000Ω-cm2以上である。
【0101】
より高いシャットダウン速度はまた、より安全な電池セパレーターも示す。電池がより速くシャットダウンできるほど、熱暴走を防止する能力が高くなる。
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているマイクロポーラス多層膜または薄膜は、同じ(またはそれを超える)厚さの公知の電池セパレーターと比較したとき、特に、同じ(またはそれを超える)厚さの公知の乾式プロセス電池セパレーターと比較したとき、低減された裂度または低減された裂け傾向によって定義されるように、増加した強度性能を驚くべきことに示し得る。裂けまたは裂度の改良は、複合裂度指数(CSI)として本明細書において開示されている試験方法によって定量化され得、本明細書に記載されている膜または薄膜から形成される新規または改良されたセパレーターは、改良されたCSIを有し得る。
【0103】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層薄膜および膜の構造的特徴に関して、いくつかの実施形態において、薄膜の屈曲度は、1.6超、1.7超、1.8、1.9超、2.0超、2.1超、または2.2超である。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、観察された屈曲度値、特に、2.0、2.1、または2.2超の値は、本明細書に開示されている増加した穿刺強度および混合侵入平均値の原因であり得るとされている。より屈曲した薄膜もまた、リチウムイオン電池用の電池セパレーターとして使用されるとき、より安全であるとされている。
【0104】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層薄膜または膜のマクマリン数は、5.0超、5.5超、6.0超、6.5超、7.0超、7.5超、8.0超、8.5超、9.0超、9.5超、10.0超、または10.5超である。
【0105】
いくつかの実施形態において、マイクロポーラス多層薄膜または膜の電気抵抗は、0.9超、1.0超、1.1超、1.2超、1.3超、1.4超、1.5超、1.6、または1.7超である。
【0106】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層薄膜の結晶化度は、従前の多層および三層薄膜のそれとは異なることが見出された。例えば、マイクロポーラス多層薄膜が、以下:(1)2以上の層を含む第一領域;(2)第一領域の第一面上にある2以上の層を含む第二領域;および(3)第一領域の第一面と反対の面上にある2以上の層を含む第三領域を含むいくつかの実施形態において、第一、第二または第三領域の少なくとも1つは、PEを含み、三層マイクロポーラス薄膜が多層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さを有する場合、三層マイクロポーラス薄膜のPE含有層よりも、DSCによって測定したときに、より低い結晶化度を有する。例えば、結晶化度は、三層マイクロポーラス薄膜が多層マイクロポーラス薄膜と同じ厚さを有する場合、三層マイクロポーラス薄膜のPE含有層よりも1~20%低く、1~19%、1~18%、1~17%、1~16%、1~15%低く、1~14%、1~13%、1~12%、1~11%、1~10%、1~9%、1~8%、1~7%、1~6%、1~5%、1~4%、1~3%、または1~2%低くてよい。
【0107】
本明細書に記載されている多層マイクロポーラス薄膜と従前の三層および多層薄膜との間の別の構造的差異は、走査電子顕微鏡を使用して見られ得る。例えば、
図25~31を参照されたい。例えば、
図25~31に示すように、多層マイクロポーラス薄膜または膜は、少なくとも、2以上の層を含む第一領域と、少なくとも1つの層を含む第二層とを含み得る。第一領域は、SEMを使用して薄膜のz方向に見たときに、大部分が不連続の無定形領域を含み得る。「大部分」という用語が意味するのは、第一層における無定形領域の、必ずしも全てではないが、ほとんどが不連続であるということである。このことは、第一層における無定形領域の少なくとも50%、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、99%超、または100%が連続的であるということを意味し得る。「不連続の無定形領域」は、第一層のサンプルを例えばSEMによって分析したとき、無定形領域の経路が、第一層の全厚さ方向に沿って結晶(ラメラ)領域によって中断またはブロックされていることを意味する。不連続とは、無定形領域の経路が、第一層の全厚さ方向に沿って結晶(ラメラ)領域によって中断またはブロックされていることを意味する。無定形領域の経路は、結晶(ラメラ)領域を周回していない。代わりに、結晶(ラメラ)領域が、第一層の全厚さ方向に沿って無定形領域の経路を完全に分断させる。無定形領域の経路は、線状であっても遠回りであってもよい。不連続の無定形領域と連続的な無定形領域との間の差異の一例は、COM EX4のポリエチレン層のSEMを
図29におけるポリエチレン層RO397のSEMと比較することにより見られる。不連続とはまた、無定形領域が、層の厚さに沿って非円柱状、非垂直連続的、または非支柱様であることも意味し得る。いくつかの好ましい実施形態において、大部分が不連続の無定形領域である第一領域は、当該領域における層のいくつかまたは全てにおいて、ポリプロピレンを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になっていてよい。いくつかの他の実施形態において、第二領域は、2以上の層を含み、薄膜または膜の当該領域の無定形エリアが、0.85ミクロン、0.8ミクロン、0.75ミクロン、0.70ミクロン、0.65ミクロン、または0.6ミクロンの最大幅を有する。例えば、このことは、COM EX4を
図30におけるR037と比較することによって分かる。いくつかの好ましい実施形態において、第二領域は、当該領域における層のいくつかまたは全てにおいて、ポリエチレンを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になっていてよい。
【0108】
(2)任意選択的な被膜
いくつかの実施形態において、1以上の被膜層が、マイクロポーラス膜または薄膜の1または2面に適用されて、電池セパレーターを形成し得る。いくつかの実施形態において、被膜の1以上が、高分子バインダーならびに有機および/または無機粒子を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になるセラミック被膜であってよい。いくつかの実施形態において、セラミック被膜のみが、マイクロポーラス膜または薄膜の一方または両方の面に適用されている。他の実施形態において、異なる被膜が、セラミック被膜の適用の前または後にマイクロポーラス膜または薄膜に適用されてよい。異なるさらなる被膜が、上記膜または薄膜の一方または両方の面にも適用されてよい。いくつかの実施形態において、異なる高分子被膜層が、ポリ二フッ化ビニリデン(PVdF)またはポリカーボネート(PC)のうちの少なくとも1つを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になってよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、被膜層の厚さは、約12μm未満、場合により10μm未満、場合により9μm未満、場合により8μm未満、場合により7μm未満、場合により5μm未満である。少なくともある選択された実施形態において、被膜層は、4μm未満、2μm未満、または1μm未満である。
【0110】
被覆方法は、さほど限定されず、本明細書に記載されている被膜層は、以下の被覆方法の少なくとも1つによって多孔質構造の上に被覆され得る:押出被覆、ロール被覆、グラビア被覆、印刷、ナイフ被覆、エアーナイフ被覆、スプレー被覆、浸漬被覆、またはカーテン被覆。被覆プロセスは、室温または高温で行われ得る。
【0111】
被膜層は、非多孔質、ナノポーラス、マイクロポーラス、メソポーラス、またはマクロポーラスのいずでか1つであってよい。被膜層は、700以下、場合により600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、または100以下のJIS Gurleyを有していてよい。
【0112】
1以上の層、処理、材料、もしくは被膜(CT)および/またはネット、メッシュ、マット、織布もしくは不織布(NW)が、CT/M、CT/M/CT、NW/M、NW/M/NW、CT/M/NW、CT/NW/M/NW/CT、CT/M/NW/CTなどを含んでいてよい本明細書に記載されている多層薄膜または膜(M)の一方もしくは両方の面に、または、当該薄膜もしくは膜内に添加されてよい。
【0113】
方法
本明細書に記載されている多層マイクロポーラス薄膜または膜を形成する方法は、さほど限定されず、乾式プロセス、好ましくはCELGARD(登録商標)乾燥-延伸プロセス、乾式プロセス、例えばBNOPP、または溶媒もしくは油を利用する湿式プロセスであってよい。
【0114】
本明細書に記載されている多層マイクロポーラス薄膜または膜を形成する方法は、少なくとも以下の工程を含む:(1)同じであっても異なっていてもよい2以上のポリマー混合物を共押出して、2以上の層またはミクロ層を有する、本明細書において上記に記載されている共押出薄膜を形成する工程;(2)共押出薄膜を、少なくとも1つの他の単押出薄膜、共押出薄膜、または不織布に積層する工程であり、いくつかの好ましい実施形態において、共押出薄膜は、2以上のミクロ層を有する他の2つの共押出薄膜に積層される;(3)任意選択的に、1以上のさらなる工程。
【0115】
(1)共押出工程
共押出は、さほど限定されない。例示的な共押出プロセスは、
図7に示されており、共押出ダイは、
図8に示されている。いくつかの実施形態において、共押出ダイを、当該ダイを供給する1以上の押出機と共に使用して実施する。典型的には、最終的に形成される共押出薄膜のそれぞれ所望の層またはミクロ層につき1の押出機が存在する。例えば、所望の共押出薄膜が3つのミクロ層を有するとき、3つの押出機が、共押出ダイと共に使用される。少なくとも1つの実施形態において、本発明の膜は、最終生成物が50以上の層の個別ミクロ層またはナノ層を含有し得る多くのミクロ層またはナノ層から構成され得る。少なくともある実施形態において、ミクロ層またはナノ層の技術は、キャストフィルムまたはブローフィルムダイに入る前に、予備カプセル化フィードブロックによって引き起こされ得る。
【0116】
いくつかの好ましい実施形態において、共押出は、気泡共押出方法であり、吹出比が、0.5~2.0、好ましくは、0.7~1.8、最も好ましくは0.9~1.5で変動し得る。この吹出比を使用した共押出の後、薄膜は、MD延伸されても、MD延伸、次いでTD延伸されても(MD緩和により、もしくはこれによらず)、または同時にMDおよびTD延伸されてもよい。薄膜は、多孔率をさらに制御するために任意選択的にカレンダリングされてよい。
【0117】
共押出の利益には、限定されないが、層(界面)の数の増加が含まれ、いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、穿刺強度を改良するとされている。また、共押出は、いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、結果として、DBの改良が観察されるとされている。具体的には、DBの改良は、共押出プロセスが使用されるときに観察される低減されたPP細孔径に関係し得る。また、共押出は、ミクロ層にブレンドを混入させることによって幅広い材料の選択肢を可能にする。共押出はまた、薄い三層または多層薄膜(共押出薄膜)の形成も可能にする。例えば、8もしくは10ミクロンまたはこれより薄い厚さを有する三層共押出薄膜が形成され得る。共押出は、より高いMD伸び、異なる細孔構造(より少ないPP、より多いPE)を可能にする。共押出は、積層と組み合わされて、所望の本発明の多層構造を作り出すことができる。例えば、構造は、実施例において形成される通りである。
【0118】
最小の達成可能な厚さは、押出プロセスによって決定される。いくつかの例において、最も薄いPPミクロ層は、約0.19ミル(約4.83umのサブ層)であってよく、PEは、約0.17ミル(サブ層は約4.32umである)であり、PPおよびPEの3つのミクロ層の層それぞれについて、それぞれ、0.19ミルまたは0.17ミルである。ある21層構造の例について、本発明者らによると、1.31ミル(33um)の合計押出厚さで、約1.14ミルのPP(または各面において0.57ミル)および0.17ミルのPEを有し得る。本発明者らは、この構成を有するたった30um以下の21層生成物を作製することが可能であり得る。
【0119】
(2)
積層は、さほど限定されず、共押出薄膜の表面を少なくとも1つの他の薄膜の表面と一緒にすることと、熱、圧力、ならびに/または熱および圧力を使用して、かかる2つの表面を互いに固定することとを含む。熱を使用することにより、例えば、共押出薄膜および少なくとも1つの他の薄膜のいずれかまたは両方の表面の粘性を増加させて積層をより容易にし、これにより、2つの表面を粘着性にして、より良好に一緒に接着させることができる。
【0120】
いくつかの好ましい実施形態において、共押出薄膜を少なくとも1つの他の薄膜に積層することによって形成される積層体は、緩和を伴うまたは伴わないその後のMDおよび/またはTD延伸工程のための前駆体となる。いくつかの実施形態において、共押出薄膜は、積層前に延伸される。
【0121】
(3)さらなる工程
さらなる工程は、MD、TD、または逐次もしくは同時のMDおよびTD延伸工程を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になっていてよい。延伸工程は、積層工程の前または後に行われてよい。延伸は、MDおよび/またはTD緩和によりまたはこれによらずに実施されてよい。2017年3月23日に公開された、同時係属中の共同所有の米国特許出願公報第US2017/0084898A1号は、本明細書において参照によりここに全体が組み込まれる。
【0122】
他のさらなる工程は、カレンダリングを含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態において、カレンダリング工程は、細孔径および/もしくは多孔率を低減する、ならびに/または多孔質の二軸延伸膜前駆体の横方向(TD)引張強度および/もしくは穿刺強度をさらに改良する手段としての、厚さを低減する手段として実施され得る。カレンダリングはまた、強度、湿潤性、および/または均一性を改良し得、また、製造プロセスの間、例えば、MDおよびTD延伸プロセスの間に混入することとなる表面層欠陥を低減し得る。カレンダリングされた薄膜または膜は、改良された被覆能を有し得る(平滑なカレンダーロールを使用する)。加えて、テクスチャ化されたカレンダリングロールの使用は、薄膜または膜への改良された被膜接着を助け得る。
【0123】
カレンダリングは、コールド(室温未満)、周囲環境(室温)、またはホット(例えば、90℃)であってよく、膜または薄膜の厚さを制御的に低減するための圧力の適用または熱および圧力の適用を含み得る。カレンダリングは、1以上の工程、例えば、低圧カレンダリング、続いてのより高い圧力でのカレンダリング、コールドカレンダリング、続いてのホットカレンダリング、および/または同類のものにおけるものであり得る。加えて、カレンダリングプロセスは、熱、圧力および速度のうちの少なくとも1つを使用して、感熱材料を緻密化し得る。加えて、カレンダリングプロセスは、均一または不均一な熱、圧力、および/または速度を使用して、感熱材料を選択的に緻密化し、(例えば、平滑なロール、粗いロール、パターン化ロール、マイクロパターンロール、ナノパターンロールの使用、速度変化、温度変化、圧力変化、湿度変化、ダブルロール工程、多重ロール工程、またはこれらの組み合わせ)均一または不均一なカレンダー状態を付与し、改良された、所望のまたは固有の構造、特徴、および/または性能を生じさせ、得られる構造、特徴、および/または性能、および/または同類のものを生じさせまたは制御することができる。
【0124】
別のさらなる工程は、細孔充填を含んでいてよい。細孔充填工程は、さほど限定されず、本明細書に記述されている目標と一致するいずれの方法で実施されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、細孔は細孔充填組成物、材料、重合体、ゲル重合体、層、または堆積(PVD)によって部分的または完全に被覆されていても、処理されていても、充填されていてもよい。好ましくは、細孔充填組成物は、細孔の表面積の50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上などを被覆する。細孔充填組成物は、重合体および溶媒を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になっていてよい。溶媒は、オクタンなどの有機溶媒、水、または有機溶媒および水の混合物を含めた、細孔を被覆または充填するための組成物を形成するのに有用ないずれの好適な溶媒であってもよい。重合体は、アクリレート重合体、または低分子量ポリオレフィンを含めたポリオレフィンを含めたいずれの好適な重合体であってもよい。細孔充填組成物中の重合体の濃度は、細孔充填組成物の粘度が、上記組成物が本明細書に開示されているいずれの多孔質の二軸延伸前駆体膜の細孔の壁も被覆できるようになっている限りさほど限定されないが、1%および30%の間、2%および25%の間、3%および20%の間、4%および15%の間、5%および10%の間などであってよい。細孔充填は、機械方向(MD)および横方向(TD)の引っ張りのいずれかまたは両方を増加させる。
【0125】
複合材、車両、またはデバイス
本明細書において上記に記載されている電池セパレーターと、これと直接接触して設けられている1以上の電極、例えば、アノード、カソード、またはアノードおよびカソードとを含む複合材。電極のタイプは、さほど限定されない。例えば、電極は、リチウムイオン二次電池における使用に好適なものであり得る。
【0126】
好適なアノードは、372mAh/g以上、好ましくは≧700mAh/g、最も好ましくは≧1000mAH/gのエネルギー容量を有し得る。アノードは、リチウム金属箔もしくはリチウム合金箔(例えば、リチウムアルミニウム合金)、またはリチウム金属および/もしくはリチウム合金と材料、例えばカーボン(例えば、コークス、グラファイト)、ニッケル、銅との混合物から構成されている。アノードは、リチウムを含有する層間化合物またはリチウムを含有する挿入化合物から単にできているのではない。
【0127】
好適なカソードは、アノードと適合するいずれのカソードであってもよく、層間化合物、挿入化合物、または電気化学的に活性な重合体を含んでいてよい。好適な層間材料として、例えば、MoS2、FeS2、MnO2、TiS2、NbSe3、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V6O13、V2O5、およびCuCl2が挙げられる。好適な重合体として、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、およびポリチオフェンが挙げられる。
【0128】
本明細書において上記に記載されているいずれのセパレーターも、完全にまたは部分的に電池式であるいずれの車両、例えば電気自動車、またはデバイス、例えば携帯電話もしくはラップトップ型コンピュータにも組み込まれ得る。
【0129】
本発明の種々の実施形態は、本発明の種々の目的の達成において記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる説明的なものであることが認識されるべきである。多くの変更および改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかである。
【実施例】
【0130】
実施例の調製
本発明(多層)生成物を調製し、比較(三層)生成物と比較した。多層生成物は、本明細書に記載されている方法によって形成し、3つの共押出層を含む3つの別々の薄膜を共押出する工程と、当該3つの薄膜を一緒に積層する工程とを含んでいる。三層生成物は、3つの別々の押出単層薄膜を形成し、当該単層を一緒に積層することによって形成した。
【0131】
調製した本発明生成物のミクロ層の組成は、以下の通りである:
【0132】
実施例1(EX1)-(PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに0.955~0.966g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0133】
実施例2(EX2)-(PP1/PP2/PP1)(PE1/PE2/PE3)(PP1/PP2/PP1)-PP1は、ホモ重合体PPである。PP2は、PP1より高いMFRを有するホモ重合体ポリプロピレンである。PE1は、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレンである。PE2は、超高密度ポリエチレンである。PE3は、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに0.955~0.966g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドである。
【0134】
実施例3(EX3)-(PP/PP/PP)(PE1/PE2/PE1)(PP/PP/PP)-PP層が、ホモ重合体PPからなっており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。PE1は、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレンでできている。PE2は、超高分子量ポリエチレンでできている。
【0135】
実施例4(EX4)-(PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに密度0.955~0.966g/cm3の範囲の密度を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0136】
実施例5(EX5)-PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに密度0.955~0.966g/cm3の範囲の密度を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0137】
実施例6(EX6)-(PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)-PPは、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。PEは、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレンでできている。
【0138】
実施例7-(EX7)-(PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに密度0.955~0.966g/cm3の範囲の密度を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0139】
実施例8(EX8)-(PP1/PP2/PP1)(PE1/PE2/PE1)(PP1/PP2/PP1) PP1はホモ重合体PPであり、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。PP2は、ホモ重合体PPでできており、0.25のMFR、0.9の密度である。PE1は、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックスを有する高密度ポリエチレンである。PE2は、超高分子量ポリエチレンである。
【0140】
実施例9(EX9)-(PP1/PP2/PP1)(PE/PE/PE)(PP1/PP2/PP1)-PP1はホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。PP2は、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRの95%のホモ重合体PPと、5%のプロピレン-エチレン共重合体とのブレンドである。PEは、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックスを有する92%の高密度ポリエチレンと、8%のオレフィンブロック共重合体とのブレンドである。
【0141】
実施例10(EX10)-(PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm
3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに密度0.955~0.966g/cm
3の範囲の密度を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
図38~50およびさらなる多層の実施形態を主に参照し、ここで、さらなる実施例11~38は以下である:
【0142】
実施例11-三層構造の各PPおよびPE層は、それ自体が、複数層、好ましくは共押出され次いで積層された-(PP/PP/PP)(PE/PE/PE)(PP/PP/PP)-でできている-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに密度0.955~0.966g/cm3の範囲の密度を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0143】
実施例12-(PP1/PP2/PP3)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、PP1、PP2と同じであるか、または異なるブレンドもしくはブロック共重合体である。
【0144】
実施例13-(PP1/PP1)または(PP2/PP2)または(PP1/PP2)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体である。
【0145】
実施例14-(PP1/PP1/PP1)または(PP2/PP2/PP2)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体である。
【0146】
実施例15-(PP1/PP2/PP3)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0147】
実施例16-(PP3/PP2/PP1)/(PP3/PP2/PP1)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0148】
実施例17-(PP1/PP2/PP3)/(PP3/PP2/PP1)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0149】
実施例18-(PP1/PP2)/(PP3/PP1)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0150】
実施例19-(PP1/PP2/PP3/PP1)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0151】
実施例20-(PP1/PP2/PP3)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、接着促進剤を含む。
【0152】
実施例21-(PO3/PP2/PP1)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PO3は、ポリオレフィンブレンド(例えばPP+PE)である。
【0153】
実施例22-(PP1/PP2/PP3)-PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PPであり、いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってよい共重合体PPを含む。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数(COF)を変更する添加剤を含む。
【0154】
実施例23-(PP3/PP2/PP1)-PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数(COF)を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PPであり、いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってよい共重合体PPを含む。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数を変更する添加剤を含む。
【0155】
実施例24-(PP3/PP2/PP1)または(PP1/PP2/PP3)-PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数(COF)を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。
【0156】
比較生成物の層の組成は、以下の通りであってよい:
比較-典型的な単層PP(例えばCelgard 2500)
比較-典型的な積層三層(PP/PE/PP)
比較-典型的な単層PPまたは典型的な三層(PP/PE/PP)の典型的なセラミック被覆バージョン
【0157】
実施例25:共押出PP前駆体を以下の構造で提案する:
ホモ重合体PP+表面COFを変更する添加剤
----------------------
ホモ重合体PP+共重合体PP
----------------------
ホモ重合体PP+表面COFを変更する添加剤
【0158】
表面修飾のための添加剤は、シロキサンなどのいずれのスリップまたは抗ブロック添加剤を含んでいてもよい。共重合体は、いずれのプロピレン-エチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい。
【0159】
共押出PP前駆体を0.9~1.5の間のいずれかの吹出比(BUR)で押出して多孔率を制御することができる。共押出PP前駆体を次いで逐次的にMD-続いてTD-で延伸するか、または同時に二軸延伸するかのいずれかを行う。二軸延伸薄膜をさらにカレンダリングして多孔率を制御することができる。
【0160】
実施例26:第二の提案する構造を電池セパレーターまたはテキスタイル用途について以下のようにすることができる:
【0161】
PPブレンド
--------------
PPブロック共重合体
--------------
PPブロック共重合体
【0162】
この構造により、高速水試験において水のバリアのためのより高い屈曲度の表面層を設計することができる。
【0163】
上記構造に組み込むことができる共重合体のタイプには、限定されないが、プロピレン-エチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーが含まれる。
【0164】
共押出形式においてPPを押出することにより、PP層の表面特徴を修飾することができ、同時に、より低い融点の共重合体樹脂中間層に組み込んで、シャットダウン温度を低下させることができる。異なる共重合体樹脂を上記構造のいずれかの箇所に組み込んで、TD延伸薄膜の多孔率を制御することもできる。
【0165】
前駆体薄膜にBURを組み込むことにより、種々の用途において必要とされる多孔率をさらに制御することができる。
【0166】
実施例27-(PP1/PP2/PP3)(PP1/PP2/PP3)(PP1/PP2/PP3)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0167】
実施例28-(PP3/PP2/PP1)/(PP3/PP2/PP1)/(PP3/PP2/PP1)-PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0168】
実施例29-(PP3/PP2/PP1)(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1) PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0169】
実施例30-(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1)(PP1/PP2/PP3) PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0170】
実施例31-(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1)(PP3/PP2/PP1) PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0171】
実施例32-(PP3/PP2/PP1)(PP1/PP2/PP3)(PP1/PP2/PP3) PP1は、ポリプロピレンブレンドであり、PP2は、PPブロック共重合体であり、PP3は、同じまたは異なるPPブロック共重合体である。
【0172】
実施例33-(PP1/PP2/PP3)(PP1/PP2/PP3)(PP1/PP2/PP3)-PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数を変更する添加剤を含む。
【0173】
実施例34-(PP3/PP2/PP1)/(PP3/PP2/PP1)/(PP3/PP2/PP1)-PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数を変更する添加剤を含む。
【0174】
実施例35-(PP3/PP2/PP1)(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1) PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数を変更する添加剤を含む。
【0175】
実施例36-(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1)(PP1/PP2/PP3) PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数を変更する添加剤を含む。
【0176】
実施例37-(PP1/PP2/PP3)(PP3/PP2/PP1)(PP3/PP2/PP1) PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数を変更する添加剤を含む。
【0177】
実施例38-(PP3/PP2/PP1)(PP1/PP2/PP3)(PP1/PP2/PP3) PP1は、ホモ重合体PP+本明細書に記載されている、摩擦係数を変更する、シロキサンなどのいずれのスリップまたはブロック添加剤を含んでいてもよい添加剤である。PP2は、PP1およびPP3において使用されるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+いずれのプロピレンエチレンもしくはエチレン-プロピレンランダム共重合体、ブロック共重合体またはエラストマーであってもよい共重合体PPである。PP3は、PP1およびPP2におけるものと同じまたは異なるホモ重合体PP+PP1において使用されるものと同じまたは異なる、表面摩擦係数を変更する添加剤を含む。
【0178】
ある比較生成物の層の組成を以下のように調製した:
【0179】
比較例1(COM EX1)-(PP)(PE)(PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに0.955~0.966g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0180】
比較例2(COM EX2)-(PP)(PE)(PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに0.955~0.966g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0181】
比較例3(COM EX3)-(PP)(PE)(PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに0.955~0.966g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0182】
比較例4(COM EX4)-(PP)(PE)(PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに0.955~0.966g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0183】
比較例5(COM EX5)-(PP)(PE)(PP)-全てのPP層が、ホモ重合体PPでできており、密度=0.90g/cm3、0.5MFR~2MFRの範囲のMFRである。全てのPE層が、2.16kgおよび190℃において0.25~0.5g/10分の間のメルトインデックス、ならびに0.955~0.966g/cm3の密度範囲を有する95%の高密度ポリエチレンと、5%のmLLDPEとのブレンドでできている。
【0184】
実施例の特性決定-セパレーターに関する特性および電池性能
厚さ(μm)
Emveco Microgage 210-Aマイクロメートル厚さ試験機および試験手順ASTM D374を使用して、厚さをマイクロメーターμmで測定する。実施例1~6および比較例1~4の厚さを求めた。
図22および23における表において報告する。実施例に相当する厚さを有する比較例を、セパレーターが有意に比較され得るように調製した。
【0185】
基本重量(mg/cm
2)
実施例1~6および比較例1~4の基本重量を求めた。
図22における表において報告する。
【0186】
JIS Gurley(s/100cc)
Gurleyを日本工業規格(JIS Gurley)におけるようにここで定義し、OHKEN透過率試験機を使用してここで測定する。JIS Gurleyを、水の4.9インチの一定圧力において100ccの空気が1平方インチの薄膜を通過するのに必要とする時間を秒単位にして定義する。実施例1~6および比較例1~4のJIS Gurleyを測定した。
図22における表において報告する。
【0187】
105℃/1時間におけるMD収縮率(%)
収縮率は、試験サンプルを2枚の紙の間に置き、これを次いで一緒に留めて、サンプルを上記紙の間に保持し、オーブン中で懸架することによって測定する。「105℃で1時間」の試験のために、サンプルを、105℃で1時間、オーブンに置く。オーブンにおいて指示された加熱時間の後、各サンプルを除去し、両面粘着テープを使用して平坦な反対の表面にテープで貼り、サンプルを平坦化して滑らかにし、正確な長さおよび幅を測定した。収縮率を機械方向(MD)および横方向(TD)の両方の方向で測定し、MD収縮率(%)およびTD収縮率(%)として表す。
【0188】
実施例1~6および比較例1~4のMD収縮率を測定した。
図22における表において報告する。
【0189】
MD引張強度(kgf/cm
2)
機械方向(MD)引張強度を、ASTM-882手順に従ってInstron Model4201を使用して測定する。実施例1~6および比較例1~4のMD引張強度を測定した。
図22における表において報告する。
【0190】
MD伸び(%)
MD破断伸び(%)は、サンプルを破断するのに必要な最大引張強度において測定される試験サンプルの機械方向に沿った試験サンプルの伸長の百分率である。実施例1~6および比較例1~4のMD伸びを測定した。
図22における表において報告する。
【0191】
TD引張強度(kgf/cm
2)
横方向(TD)引張強度をASTM-882手順に従ってInstron Model4201を使用して測定する。実施例1~6および比較例1~4のTD引張強度を測定した。
図22における表において報告する。
【0192】
TD伸び(%)
TD破断伸び(%)は、サンプルを破断するのに必要な最大引張強度において測定される試験サンプルの横方向に沿った試験サンプルの伸長の百分率である。実施例1~6および比較例1~4のTD伸びを測定した。
図22における表において報告する。
【0193】
穿刺強度(gf)
穿刺強度を、ASTM D3763に基づいてInstron Model4442を使用して測定する。測定を、マイクロポーラス膜の幅を横断して行い、穿刺強度を、試験サンプルをする穿刺するのに必要とされる力として定義する。実施例1~6および比較例1~4の穿刺強度を測定した。
図22における表において報告する。
【0194】
1つの考えとして、穿刺強度を増加させるためにUHMW重合体を使用している。しかし、1000000より大きい分子量を有し得るこれらの重合体は、特に、プロセスが、CELGARD(登録商標)乾式プロセスのような乾式プロセスであるときに、処理の困難さを引き起こす。これらの技術を活用することにより、特に乾式プロセス膜において処理が非常に困難であり得る1Mを超える分子量を有する重合体を使用する必要性を軽減することができる。
【0195】
DB平均(V)
サンプルの絶縁破壊が観察されるまでセパレーター膜に電圧を印加する。強いセパレーターは、高いDBを示す。セパレーター膜におけるいずれの非均一性も、より低いDB値を引き起こす。より高い平均DB、特に、より高い最小DB値を有する電池セパレーターは、電池において使用されるとき、当該電池をより安全にする。実施例1~6および比較例1~4の平均DBを測定した。
図22における表において報告する。
【0196】
DB最小値(V)
サンプルの絶縁破壊が観察されるまでセパレーター膜に電圧を印加する。強いセパレーターは、高いDBを示す。セパレーター膜におけるいずれの非均一性も、より低いDB値を引き起こす。より高い平均DB、特に、より高い最小DB値を有する電池セパレーターは、電池において使用されるとき、当該電池をより安全にする。実施例1~6および比較例1~4についての最小DBを測定した。
図22における表において報告する。
【0197】
DB均一性
実施例1、4、および5のDB値を、比較例1、2、および4と比較した。結果を
図18に示す。DB標準偏差を算出した。これらを報告する。
【0198】
混合侵入平均(N)
混合侵入は、カソード材料とアノード材料との間に置いたときにセパレーターを通して短絡を引き起こすのに必要とされる力である。この試験を使用して、電池の組み立ての際に短絡回路を生じさせるセパレーターの傾向を示す。この方法の詳細は、全体が本明細書に組み込まれるUS2010/209758に記載されている。実施例1~6および比較例1~4での混合侵入値を算出した。
図22における表において報告する。
【0199】
釘刺試験
実施例1~9および比較例1~5を試験したところ、実施例1および6は、釘刺試験を通過した。比較例はいずれも釘刺試験を通過しなかった。1cm/秒の速度および10cm/秒の速度での釘刺試験が、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,065,152号に記載されている。
【0200】
シャットダウン温度(℃)
シャットダウンの開始温度を100W×cm
2の抵抗読み取り値で記録し、℃で報告する。実施例1~6および比較例1~4についてのシャットダウン温度を測定した。
図22における表において報告する。
【0201】
シャットダウン速度(Ω-cm
2)
実施例の薄膜を2つのニッケルディスクで挟持し、PC溶媒で湿潤させる。湿潤したセパレータースタックを次いで60℃/分の温度傾斜に供する。試験の継続期間の間、2つのニッケルディスク間の抵抗をマルチメーターによってモニタリングする。この試験でのシャットダウンの定義によると、抵抗は100W×cm
2~10,000W×cm
2よりも2桁増加するはずであり、この抵抗の上昇に必要とされる時間によって正規化される。シャットダウン速度についての結果をW×cm
2/秒の単位で報告する。実施例1~6および比較例1~4のシャットダウン速度を測定した。
図22における表において報告する。
【0202】
ER(Ω-cm2)
ER方法は、DI水および2-プロパノールの溶媒混合物から構成される電解液溶液を使用する。電気抵抗は、2つの金属電極間に4つの円形セパレーターディスク(38mm直径)を連続的に付加することによって評価する。セパレーターの抵抗値は、LCRメーターを使用してΩで測定し、次いで、電極の面積で乗算して、Ω-cm2を得る。電解液の抵抗率は、YSIメーターを使用して測定する。
【0203】
算出:
1)連続的なセパレーター層の平均セパレーター抵抗、(Ω)=(R
層4Ω-R
層3Ω+R
層3Ω-R
層2Ω/2
2)電気抵抗、Ω-cm
2=連続的なセパレーター層の平均抵抗Ω
*ニッケルめっき電極の面積cm
2
実施例1~6および比較例1~4についてのQC-ERを求めた。
図23における表において報告する。
【0204】
マクマリン数
電気抵抗(ER)測定値を使用してマクマレン数を算出する。算出は以下の通りである:マクマレン数=(電気抵抗、Ω-cm2/セパレーター厚さ、cm)/電解液抵抗率(Ω-cm)。
【0205】
実施例1~6および比較例1~4についてのマクマリン数を求めた。
図23における表において報告する。
【0206】
サイクル寿命
全てのサイクリングを一定電流(CC)モードで行った。使用したカソードは523NMCである。使用したアノードはsuperior graphiteである。電解液には3:7v:vのEC:EMC溶媒中1MのLiPF6塩を使用した。電圧ウィンドウは3.0~4.3Vである。サイクル1~5は充電率および放電率がC/10である。サイクル6~10は、充電率および放電率がC/5である。サイクル11~15は、充電率がC/5、放電率がC/2である。サイクル16~20は、充電率がC/5、放電率が1Cである(充電/放電率容量;1Cは、60分におけるフル充電または放電率である)。サイクル21~25は、充電率がC/5であり、放電率が5Cである。サイクル26~30は、充電率がC/5であり、放電率が10Cである。サイクル31~35は、充電率および放電率がC/10である。
【0207】
実施例1および比較例1のサイクル寿命を比較した。これは、グラファイト系に対して523NCMで4.3VのカットオフによってC/3のCレートで行われた。示すデータは、各サンプル(または10個のセルの合計)についての5個のセルの平均を提示している。結果を
図19に示す。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、これは、恐らく、増加した界面、例えば、積層界面と、細孔構造の複雑さとに起因する改良された電解液取り込みに起因するとされている。従来の三層と比較して多層生成物でのサイクル寿命の繰り返し可能な改良が、この試験によって示される。
【0208】
圧縮弾性 圧縮弾性率を、TMA Q400および半球プローブを使用して評価した。5mm×5mmのサンプルを最大で1N(568N/cm2)の一定速度で圧縮し、次いで圧力を周囲温度において0Nまで一定速度で戻して解放した。圧縮および回復の間の寸法変化の百分率をサンプルの初期厚さに基づいて見積もる。実施例1および比較例1の圧縮弾性を試験した。結果を
図5および以下の表1に報告する。
【0209】
【0210】
ミクロ層構造物は、同等の湿式プロセス膜よりも高い圧縮回復を付与する。ある用途において、圧搾がより少なく、かつ/または圧縮回復がより良好であることが望ましくあり得る。
【0211】
ピン除去
取り付けにおけるピン除去データを、ピン除去巻線機を用いて収集した。当該機械に45mmスリットロールを搭載し、セパレーターロールを、当該機械上で、スプリットピンマンドレル(4mm直径)に装着する。セパレーターをマンドレル上に巻き、ピンを引き離す。最大除去力を記録しニュートンで報告する。各試験サンプルで、外径を一定に保ち、薄膜の張力および長さが薄膜厚さに基づいて変化する。同じまたは略同じ厚さの薄膜を比較することが最も良い。
【0212】
実施例の特性決定-構造的特性
AQ多孔率(%)
マイクロポーラス薄膜サンプルの多孔率を、ASTM方法D-2873を使用して測定し、機械方向(MD)および横方向(TD)の両方で測定したマイクロポーラス膜における空隙百分率として定義する。実施例1~6および比較例1~4についてのAQ多孔率を算出した。
図22における表において報告する。実施例1についてのいくつかのさらなる多孔率データを求めた。以下の表2において報告する:
【0213】
【0214】
Aquapore多孔率(%)
実施例1~6および比較例1~4についてのAquapore(AQ)多孔率を測定した。
図23における表において報告する。
【0215】
AQ PP細孔径(μm)
細孔径を、Porous Materials Inc.(PMI)を通して入手可能なAquaporeを使用して測定する。細孔径をμmで表す。実施例1~6および比較例1~4についてのAQ PP細孔径を算出した。
図22における表において報告する。実施例1、9、および10についてのさらなるデータを求めた。表2において報告する。
【0216】
AQ PE細孔径(μm)
細孔径を、Porous Materials Inc.(PMI)を通して入手可能なAquaporeを使用して測定する。細孔径をμmで表す。実施例1~6および比較例1~4についてのAQ PE細孔径を求めた。
図22における表において報告する。実施例1、9、および10についてのさらなるデータを求めた。表2において報告する。
【0217】
AQ表面積(m
2/g)
Aquaporeは、水侵入測定技術であり、ベース薄膜を試験するためにのみ利用可能である。この測定において、薄膜の広範囲を水に浸漬し、3,000psiに加圧する。試験の結果は、薄膜の全体の多孔率(%で報告)、PPおよび/またはPEの細孔径(μmで報告)、ならびに細孔の内側および外側の表面積(m
2/gで報告)である。サンプル質量は、各aquapore測定について≧3gでなければならない。実施例1~6および比較例1~4についてAQ表面積を求めた。
図22における表において報告する。実施例1、9、および10についてのさらなるデータを求めた。表2において報告する。
【0218】
細孔直径分布
実施例6および11ならびに比較例4の細孔直径分布を、水銀圧入ポロシメトリーを使用して測定した。結果を
図33に示す。比較例4における細孔直径は、本発明実施例におけるよりも大きく、また、より狭い分布を有した。
【0219】
算出屈曲度。
屈曲度を以下の式(1)によって算出した:
N
m=T
2/P(1),
式中、N
mは、マクマリン数であり、Tは屈曲度であり、Pは多孔率である。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、より高い屈曲度を有する電池セパレーターがより安全であるとされる。この理由は、成長する樹枝状結晶がアノードからカソードに進むようにたどらなければならないより曲がりくねった経路に起因して、樹枝状結晶が電極間で成長することがより困難であるとされている。実施例1~6および比較例1~4についての算出屈曲度を
図23における表において付与する。
【0220】
SEM像
1.処理条件
走査電子顕微鏡(SEM)による断面観察の手順。
a.)サンプルを適当なサイズに切断する(数mm平方)。
b.)イオンミリング処理により平坦な断面を生じさせる(MD-ND面)。
イオンミリング機器:E-3500(Hitachi High-Technologies Corporation.)
イオン源:Ar+
加速電圧:3.5kV
放電電圧:2.0kV
ステージ制御:5(設定値)
処理時間:4時間
温度:20~25℃
c.)サンプルを、両面カーボン導電性テープおよびカーボンペーストを用いてスタブに取り付ける。
d.)オスミウムプラズマコーティングを適用して、サンプルに導電性を付与する。
2.SEM観察条件
a.)機器:S-4800(Hitachi High-Technologies Corporation.)
加速電圧:1kV
作動距離:約5mm
【0221】
実施例1、2、4、および6ならびに比較例1、4、および5のSEM像を採取した。これらの像のいくつかを
図24~30に示す。実施例における多層生成物と比較例の三層生成物との間に違った構造的差異が存在したことが分かった。例えば、三層生成物のPP層が、より円柱状または垂直に連続的な無定形領域を含んでいた一方で、多層のPP領域(実施例におけるPPの3層を有する)の無定形領域は、大部分が不連続であり非円柱状であった。
図28~30における対照比較は、多層および三層生成物間のこれらの差異を示している。
【0222】
機械学習試験
詳細な手順
1:機械学習用ベクターを得るための画像特徴量抽出
・OpenCV pythonモジュールcv2によって画像を読み取る
・PPまたはPEのいずれかの領域から均一にランダムな位置で50の240×160ピクセル^2部分画像を得、α=0、β=255およびnorm_type=cv2.NORM_MINMAXによるcv2.normalizeを使用することにより画像を正規化する。
・各部分画像について、SIFT特徴検出器cv2.x features 2d.SIFT_createをデフォルト設定で使用して、角度およびサイズを有する特徴を得る・得られた特徴の各角度aをa'=90-|a mod 180-90|に変換する
・ビンカウントと呼ばれる、1~9までのiについて、[10*(i-1)、10*i]の範囲で変換された角度a'の数をカウントする
・9ビンカウント、平均特徴サイズ(スカラー)および特徴の数(スカラー)を連結させ、その特徴ベクターxk(11次元)(k番目画像)とする
・50の部分画像から11の特徴の中央値を採取し、入力画像の特徴ベクターxとする。
【0223】
OpenCV pythonモジュールcv2についての規則には、Raschka(ISBN1783555130)によるPython機械学習、およびMichael Beyeler(1785282697)によるPython BlueprintsによるOpenCVが含まれる。これらの規則はいずれも、全体が参照により本明細書に組み込まれる。OpenCVのさらなる情報は、https://en.wikipedia.org/wiki/OpenCVに見出される。
【0224】
PP層の実施例:
・PP層からの特徴ベクターxを、以下に記載されている手順1により得た後、xにおける各値xを、以下の平均ベクターm=[0.121252742025,0.0932702969461、0.0637613832138、0.0471628522627、0.0410994787666、0.0455612990903、0.0663893557564、0.143913936237、0.373695714612、3.470413863、569.830508475]および標準偏差ベクターs=[0.0177890460233、0.0126226741459、0.0109280746046、0.00952236047605、0.00919810029221、0.00802167410741、0.00965575771023、0.0135729399588、0.0556357096109、0.181326979354、52.6681415756]を使用してx'=(x-m)/sとして標準化する
・wを[-2.29884147179、-0.120953660963、0.609748975014、-0.354807579078、0.0742943451505、-0.0596756155513、0.679531409197、1.18484320645、0.639551068782、-0.123277373445、0.495565514875]とし、内積をwTx'演算する
・wTx'>-1.27465281948であるとき、画像を9層と分類する。
【0225】
PE層の実施例:
・PE層からの特徴ベクターxを、以下に記載されている手順1により得た後、xにおける各値xを、以下の平均ベクターm=[0.0753659021681,0.0647442404474、0.052445934828、0.0441842705626、0.0424971059836、0.0495261454071、0.0745156791392、0.15315494777、0.434028151238、3.51412063686、480.02173913]および標準偏差ベクターs=[0.0212709138539、0.0156303526361、0.0100887199823、0.00610554172426、0.00588628646619、0.00509466227247、0.00868424601387、0.0177249443105、0.0499726205047、0.217925555283、60.5317430669]を使用してx'=(x-m)/sとして標準化し、wを[0.0026717153、-0.2072501509、-0.4883326802、0.0172248418、-0.5467527574、-0.3892225728、0.7356477088、1.1574408691、-1.1992044378、-1.920101147、0.1068808983、0.6542173447]とし、内積をw
Tx'演算する
・w
Tx'>-0.6542173447であるとき、画像を9層と分類する。
実施例1、2、4、7、8、および10、ならびに比較例1、4、および5を機械学習試験に供することで、比較(三層)例および本発明(多層)実施例をこの試験によって識別することができたか否かが分かった。結果を
図34~37に示す。比較(三層)例および本発明(多層)実施例を識別することができた。
【0226】
DSC
DSC分析を行って融点(T
m)および結晶化の開始を決定する。Netzsch DSC200F3モデルを、穿孔蓋を有するシールされたアルミニウムサンプルホルダーと共に使用する。窒素をキャリアガスとして40ml/分で使用して、サンプルの酸化を防止する。分析したサンプルの質量は5~6mgで変動する。T
mおよび結晶化の開始を決定するために、サンプルを最初に熱処理に供し、熱履歴を消去する。次いで、機器により、25℃から開始して300℃までの10℃/分での別の加熱および冷却サイクルを実施する。データの取得および取り扱いは、Proteus Analysisソフトウェアによって行う。実施例1、3、5、および6ならびに比較例1、2、3、および4をDSCによって評価した。PE層およびPP層を別々に評価した。結果を
図31および32に示す。
【0227】
少なくとも選択された実施形態によると、本出願、開示及び発明は、改良された特性を有する新規もしくは改良された膜、セパレーター膜、セパレーター、電池セパレーター、リチウム二次電池セパレーター、多層膜、多層セパレーター膜、多層セパレーター、多層電池セパレーター、多層リチウム二次電池セパレーター、および/もしくは多層電池セパレーター、新規もしくは改良された電池、コンデンサー、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/あるいは、かかる膜、セパレーター膜、セパレーター、電池セパレーター、リチウム二次電池セパレーター、電池、コンデンサー、燃料電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウム二次電池、および/もしくはリチウムイオン二次電池、ならびに/またはこれを含むデバイス、車両もしくは製品を作製ならびに/または使用する方法に関する。少なくともある実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良された膜層、膜もしくはセパレーター膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくともある選択された実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良された多孔質重合体膜もしくはセパレーター膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくとも特定の実施形態によると、本開示または発明は、新規もしくは改良されたマイクロポーラスポリオレフィン膜もしくはセパレーター膜、ミクロ層膜、1以上のミクロ層もしくはナノ層膜を含む多層膜、かかる膜を含む電池セパレーター、および/または関連方法に関する。少なくともある特定の実施形態によると、本開示または発明は、1以上の新規または改良された外層および/または内層、ミクロ層膜、外層および内層を有する多層状マイクロポーラス膜またはセパレーター膜を有する、新規の、最適化された、または改良されたマイクロポーラス延伸重合体膜またはセパレーター膜に関し、かかる層またはサブ層のいくつかが、共押出によって作り出され、次いで一緒に積層されることにより、上記の新規の、最適化された、または改良された膜またはセパレーター膜を形成している。いくつかの実施形態において、ある層、ミクロ層またはナノ層は、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマーブレンドを含んでいてよい。選択された実施形態において、少なくともある層、ミクロ層またはナノ層は、異なるまたは別個の重合体、ホモ重合体、共重合体、ブロック共重合体、エラストマー、および/またはポリマーブレンドを含んでいてよい。本開示または発明はまた、かかる膜、セパレーター膜、もしくはセパレーターを作製する、新規もしくは改良された方法、および/または、かかる膜、セパレーター膜もしくはセパレーターを、例えば、リチウム電池セパレーターとして使用する、新規もしくは改良された方法にも関する。少なくとも選択された実施形態によると、本出願または発明は、新規または改良された、多層および/もしくはミクロ層の多孔質もしくはマイクロポーラス膜、セパレーター膜、セパレーター、複合材、電気化学デバイス、および/または電池、ならびに/あるいは、かかる膜、セパレーター、複合材、デバイスおよび/または電池を作製および/または使用する方法を対象とする。少なくとも特定の選択された実施形態によると、本出願または発明は、新規または改良された、多層状であるセパレーター膜であって、多層構造の1以上の層が、複数の押出機を有する多層またはミクロ層共押出ダイにおいて製造される、上記セパレーター膜を対象とする。上記の新規または改良された膜、セパレーター膜、またはセパレーターは、改良されたシャットダウン、改良された強度、改良された絶縁破壊強さ、および/または低減された裂け傾向を好ましくは実証し得る。
【0228】
少なくとも選択された実施形態によると、この出願または発明は、改良された電池性能のための添加剤、改良された添加剤含有膜、改良された電池セパレーター、および/もしくは改良された電池、ならびに/またはこれらの製造および/もしくは使用の改良された関連方法を対象とする。少なくともある実施形態によると、この出願または発明は、添加剤含有膜、セパレーター膜、および/もしくは電池セパレーター、ならびに/またはかかる膜、セパレーター膜、および/もしくは電池セパレーターを作製および/または使用する方法を対象とする。少なくとも特定の実施形態によると、この出願または発明は、リチウム二次電池、例えばリチウムイオン二次電池での使用のためのマイクロポーラス膜もしくはセパレーター膜への添加剤の組み込み、改良された電池セパレーター、および/または関連方法を対象とする。いくつかの実施形態において、上記膜は、例えばリチウムイオン電池における電池化学において性能を改良する添加剤を含有していてよい。他の選択された実施形態において、上記膜は、シロキサンまたはステアリン酸リチウムなどの、ピン除去性能を改良する添加剤を含有していてよい。他のある実施形態において、本発明はまた、かかる膜またはセパレーター膜を作製する方法、およびかかる膜またはセパレーター膜を例えばリチウム電池セパレーターとして使用する方法にも関し得る。少なくとも選択された実施形態によると、本出願または発明は、新規または改良された多孔質膜、セパレーター膜、セパレーター、乾式プロセスセパレーター、複合材、電気化学デバイス、電池、かかる膜、セパレーター、複合材、デバイスおよび/または電池を作製する方法を対象とする。少なくともある選択された実施形態によると、本発明は、添加剤またはエラストマーを含有する新規または改良されたセパレーター膜を対象とする。改良された膜は、改良されたシャットダウン、改良された強度、改良された絶縁破壊強さ、および/または低減された裂け傾向を好ましくは実証し得る。少なくともある選択された実施形態によると、この出願または発明は、マイクロポーラス高分子薄膜または膜と、マイクロポーラス高分子薄膜の少なくとも1つの面における任意選択的な被膜層とを有する電池セパレーターであって、マイクロポーラス高分子薄膜および任意選択的な被膜のうちの少なくとも1つが添加剤を含む、上記セパレーターを対象とする。添加剤は、潤滑剤、可塑剤、核剤、収縮率低減薬剤、界面活性剤、SEI改質剤、カソード保護剤、難燃添加剤、LiPF6塩安定剤、過充電防止剤、アルミニウム腐食防止剤、リチウム析出剤もしくは析出調整剤、または溶媒和促進剤、アルミニウム腐食防止剤、湿潤剤、粘度調整剤、摩擦低減剤、COF低減剤、ピン除去力低減剤、共重合体、ブロック共重合体、および/あるいはこれらの組み合わせの群から選択されてよい。また、リチウムイオン一次または二次電池を含めた電池であって、上記の薄膜、膜、被膜、および/またはセパレーターのうちの1以上を含む上記電池も本明細書に記載されている。上記薄膜、膜、被膜、および/または電池セパレーターを作製する方法も記載されている。少なくとも特定の実施形態によると、この出願または発明は、増加した穿刺強度、減少したピン除去力、改良された電解液湿潤性、および増加した細孔径のうちの少なくとも1つを有する改良されたまたは新規の電池セパレーター、その少なくとも1つの面において任意選択的な被膜層を有するマイクロポーラス高分子薄膜、任意選択的な被膜ならびにその中および/またはその上のマイクロポーラス高分子薄膜のうちの少なくとも1つを有する電池セパレーター、潤滑剤、界面活性剤、核剤、収縮率低減薬剤、および/または可塑剤の群から選択される添加剤、マイクロポーラス高分子薄膜であって、当該薄膜の少なくとも1つの表面領域に主に存在するか、または当該薄膜の単一の表面領域に存在するか、当該薄膜の第一表面領域、および当該薄膜の、第一表面領域と対向する第二表面領域に存在するか、当該薄膜の全体を通して存在する添加剤を有する上記マイクロポーラス高分子薄膜、マイクロポーラス高分子薄膜の表面に適用された被膜であって、当該被膜は、マイクロポーラス高分子薄膜の1つの表面にのみ適用されていても、マイクロポーラス高分子薄膜の第一面に適用されていてもよく、別の被膜が、第一面と対向するマイクロポーラス高分子薄膜の第二面に適用されていてもよい、上記の被膜、ならびに/あるいはこれらの組み合わせを対象とする。少なくとも場合により好ましい実施形態によると、マイクロポーラス高分子薄膜または膜は、単層乾式プロセス薄膜、二層乾式プロセス薄膜、または多層乾式プロセス薄膜などの乾燥延伸プロセスマクなどのマイクロポーラスポリオレフィン膜である。また、少なくとも場合により好ましい実施形態によると、異なるタイプの添加剤のうち1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つ全てが添加されていてよく、または異なるタイプの添加剤のうち1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つ全てとして作用する単一の添加剤が、薄膜、被膜またはセパレーターに添加されていてよく、例えば、潤滑剤および界面活性剤の両方である添加剤がこれらの中または上に添加されていてよい。
【0229】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層電池セパレーターは、いくつかの実施形態において、従前の二層、三層、または多層電池セパレーターと比較して、改良された安全性、強度、および耐久性を示す。例えば、上記セパレーターは、増加した平均絶縁破壊(DB)、増加した最小DB、増加したシャットダウン速度、および増加した屈曲度を示し得、これらの全てが、より安全な電池セパレーターを示すものである。上記セパレーターはまた、より強く、より耐久性のある電池であることを示す増加した穿刺強度および増加した混合侵入値も示し得る。
【0230】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層電池セパレーターのこれらの特性は、少なくとも部分的には、当該セパレーターが作製される方法の結果である。この方法は、いくつかの実施形態において、2以上のポリマー混合物を共押出して、第一の共押出二層、三層、または多層薄膜を形成することと、2以上の他のポリマー混合物を共押出して、第二の共押出二層、三層、または多層薄膜を形成することと、2以上のさらなるポリマー混合物を共押出して、第三の共押出二層、三層、または多層薄膜を形成することとを少なくとも含む。共押出は、共押出ダイを、当該ダイを供給する1以上の押出機(典型的には、二層、三層、または多層薄膜の層あたり1の押出機)と共に使用することを典型的には含む。第一、第二、および第三の二層、三層、または多層薄膜の各層を形成するのに使用されるポリマー混合物は、同じであっても異なっていてもよい。上記混合物は、1のポリマー、または1を超えるポリマー、例えば、ポリマーブレンドを含んでいればよい。また、3を超える、二層、三層、または多層薄膜が形成されてよい。第一、第二、および第三の二層、三層、または多層薄膜が形成された後、これらの薄膜は、これらの薄膜のうちの1つの対向する面に形成されている薄膜のうちの2つと一緒に積層されて、本明細書に記載されているマイクロポーラス電池セパレーターを形成する。
【0231】
本明細書に記載されているマイクロポーラス多層電池セパレーターは、リチウム二次電池を含めたリチウムイオン電池において使用されて、改良された安全性および耐久性を有する電池を結果として生じさせることができる。
【0232】
本明細書における電池セパレーターは、いくつかの異なる方法で記載され得る。
【0233】
第一態様において、リチウム電池用の電池セパレーターが本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、上記電池セパレーターは、複数の多孔質またはマイクロポーラスの高分子ミクロ層またはナノ層を含む少なくとも1つのマイクロポーラスセパレーター膜またはサブ膜を含み、個別のミクロ層またはナノ層のうち少なくとも1つが、隣接個別ミクロ層またはナノ層と比較して、異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、および/もしくはポリマーブレンドを含むか、異なるもしくは別個の添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーを含むか、または異なるもしくは別個の重合体、分子量重合体、ホモ重合体、共重合体、ポリマーブレンド、添加剤、薬剤、材料、および/もしくはフィラーの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層の複数の上記のセパレーター膜またはサブ膜が、互いにまたはマイクロポーラス高分子膜に積層されている。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層の上記セパレーター膜またはサブ膜のうち少なくとも1つが、少なくとも3つのミクロ層またはナノ層を有する。場合により、高分子ミクロ層またはナノ層の上記セパレーター膜またはサブ膜のうちの少なくとも1つが、1以上のポリオレフィンからできている。場合により、高分子ミクロ層またはナノ層の上記セパレーター膜またはサブ膜のうちの少なくとも1つが、共押出された乾式プロセスポリオレフィンミクロ層またはナノ層からできている。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層のうちの少なくとも2つの上記のセパレーター膜またはサブ膜。いくつかの実施形態において、高分子ミクロ層またはナノ層のうちの少なくとも3つの上記セパレーター膜またはサブ膜。
【0234】
同じ厚さの従前の単層または三層マイクロポーラス膜と比較して、改良された絶縁破壊および強度を含めた改良された特性を示し得る多層マイクロポーラス薄膜または膜が本明細書に記載されている。好ましい多層マイクロポーラス膜は、ミクロ層および1以上の積層バリアを含む。多層マイクロポーラス薄膜または膜のうちの1以上を含む電池セパレーターまたは電池も開示されている。本発明の電池および電池セパレーターは、従前の単層および三層マイクロポーラス膜を使用した電池および電池セパレーターよりも好ましくは安全でありかつ堅牢である。また、本明細書に記載されている多層マイクロポーラスセパレーター、膜または薄膜を作製する方法が本明細書に記載されている。
【0235】
本発明の種々の実施形態は、本発明の種々の目的の達成において記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる説明的なものであることが認識されるべきである。多くの変更および改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかである。
【0236】
本発明は、その精神および本質的な特質から逸脱することなく具現化され得、したがって、本発明の範囲を示すとして、上記の明細書よりもむしろ、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。開示されている方法およびシステムを実施するのに使用され得る構成要素が開示されている。これらおよび他の構成要素は、本明細書に開示されており、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが、これらのそれぞれの種々の個別および集合的組み合わせならびに並べ替えが明確に開示されていない場合がありながら、開示されているとき、それぞれが、全ての方法およびシステムについて具体的に企図されて本明細書に記載されていると理解される。このことは、限定されないが、開示されている方法における工程を含めたこの出願の全ての態様に当てはまる。そのため、実施され得る種々のさらなる工程が存在するとき、これらのさらなる工程は、それぞれが、開示されている方法のいずれの具体的な実施形態または実施形態の組み合わせによっても実施され得ることが理解される。
【0237】
構造および方法の上記に記載されている詳細な説明は、説明目的のみで提示されている。例を使用して、最良の形態を含めた例示的な実施形態を開示しており、また、いずれの当業者も、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実施することを含めた本発明を実施することができるようになる。これらの例は、排他的であること、または本発明を開示されている厳密な工程および/もしくは形態に限定することを意図しておらず、上記の教示に照らして多くの変更および変形が可能である。本明細書に記載されている特徴は、いずれの組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書に記載されている方法の工程は、物理的に可能であるいずれの順序で実施されてもよい。本発明の特許請求可能な範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されており、当業者が思い浮かぶ他の例を含んでいてよい。かかる他の例は、これらが特許請求の範囲の逐語的言葉と異ならない構造的要素を有するとき、または特許請求の範囲の逐語的言葉と実質的に差異がない等価の構造的要素を含むとき、特許請求の範囲内にあると意図される。
【0238】
添付の特許請求の範囲の組成物および方法は、本明細書に記載されている具体的な組成物および方法によって範囲が限定されない。本明細書に示され記載されているものに加えて、組成物および方法の種々の変更が、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。さらに、本明細書に開示されているある代表的な組成物および方法工程のみが具体的に記載されているが、かかる組成物および方法工程の他の組み合わせもまた、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。そのため、工程、要素、構成要素、または構成成分の組み合わせが本明細書または以下において明確に言及され得るが、工程、要素、構成要素、または構成成分の他の組み合わせが、明確に記述されていなくても包含される。
【0239】
明細書および添付の特許請求の範囲において使用されているとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明らかに示さない限り複数の指示対象を含む。範囲は、「約」もしくは「およそ」1つの特定値から、かつ/または「約」もしくは「およそ」別の特定値までとして本明細書において表され得る。かかる範囲が表されているとき、別の実施形態には、1つの特定値から、かつ/または他の特定値までが含まれる。同様に、値が先行詞「約」を使用して近似値として表されているとき、特定値が別の実施形態を形成すると理解される。範囲のそれぞれの終点が、両方とも、他の終点に関連して、また、他の終点から独立して有意であることがさらに理解される。「任意選択的な」または「任意選択的に」は、続いて記載されている事象または状況が、起こっても起こらなくてもよいこと、および、記載が、当該事象または状況が起こる場合および起こらない場合を含んでいることを意味する。
【0240】
本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise)」という語および当該語の変形、例えば「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むが限定されない」を意味し、例えば、他の添加剤、構成要素、整数値、または工程を排除することを意図するものではない。「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」という用語は、本発明のより具体的な実施形態を付与するために「含む(comprising)」および「含む(including)」の代わりに使用されてよく、また、開示されている。「例示的な(exemplary)」または「例えば(for example)」は、「の例(an example of)」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態を示すものを伝えることを意図するものではない。同様に、「例えば(such as)」は、制限的な意味で使用されるのではなく、説明的または例示的目的で使用される。
【0241】
注記されている以外の、本明細書および特許請求の範囲において使用されている幾何学的形状、寸法などを表す全ての数が、少なくともと理解されるべきであり、特許請求の範囲と等価物の原理の適用を制限しようとする試みとしてではなく、有効数字の数および通常の四捨五入のアプローチの観点で解釈されるべきである。
【0242】
別途定義しない限り、本明細書で使用されている全ての技術的および科学的用語は、開示されている発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に列挙されている公開公報および列挙されている材料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0243】
加えて、本明細書において説明的に開示されている発明は、好適には、本明細書に具体的に開示されていないいずれの要素の非存在下であっても実施され得る。