(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 25/10 20230101AFI20240624BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240624BHJP
【FI】
H04N25/10
H04N23/60 500
(21)【出願番号】P 2018202927
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-10-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田岡 峰樹
【合議体】
【審判長】畑中 高行
【審判官】木方 庸輔
【審判官】高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/064760(WO,A1)
【文献】特開2017-11273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 - 5/378,
H04N 9/04 - 9/11 ,
H04N 5/222 - 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが積層され又は同一層に配置された撮像素子から、前記第1撮像画素及び前記第2撮像画素が同時に撮像したときの前記第1撮像画素による第1撮像画像及び前記第2撮像画素による第2撮像画像を入力し、
前記第1撮像画像から対象画素を選択し、
前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが積層される場合、前記対象画素に対応する前記第2撮像画像の画素
の輝度値に近い輝度値を有する画素を前記第2撮像画像から抽出し、前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが同一層に配置される場合、前記対象画素に対応する前記第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素
を前記補間画像から抽出し、
前記抽出した画素に対応する画素を前記第1撮像画像から選択し、
前記選択した画素の輝度値に基づいて、前記対象画素の輝度値を補正する画像処理部を備える
画像処理装置。
【請求項2】
前記第1撮像画素が赤色波長帯域、緑色波長帯域又は青色波長帯域で撮像し、
前記第2撮像画素が近赤外波長帯域で撮像する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1撮像画素が、緑色波長帯域又は青色波長帯域で撮像し、
前記第2撮像画素が、赤色波長帯域で撮像する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが積層される場合、前記撮像素子において、第2撮像画素が第1撮像画素よりも上層にある
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが同一層に配置される場合、前記画像処理部は、前記抽出した画素に対応する画素を前記第1撮像画像の補間画像から更に選択する
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1記載の撮像素子及び画像処理部
を備える撮像装置。
【請求項7】
SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが積層され又は同一層に配置された撮像素子から、前記第1撮像画素及び前記第2撮像画素が同時に撮像したときの前記第1撮像画素による第1撮像画像及び前記第2撮像画素による第2撮像画像を入力するステップと、
前記第1撮像画像から対象画素を選択するステップと、
前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが積層される場合、前記対象画素に対応する前記第2撮像画像の画素
の輝度値に近い輝度値を有する画素を前記第2撮像画像から抽出し、前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが同一層に配置される場合、前記対象画素に対応する前記第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素
を前記補間画像から抽出するステップと、
前記抽出した画素に対応する画素を前記第1撮像画像から選択するステップと、
前記選択した画素の輝度値に基づいて、前記対象画素の輝度値を補正するステップと
を有する画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが積層され又は同一層に配置された撮像素子から、前記第1撮像画素及び前記第2撮像画素が同時に撮像したときの前記第1撮像画素による第1撮像画像及び前記第2撮像画素による第2撮像画像を入力する手順と、
前記第1撮像画像から対象画素を選択する手順と、
前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが積層される場合、前記対象画素に対応する前記第2撮像画像の画素
の輝度値に近い輝度値を有する画素を前記第2撮像画像から抽出し、前記第1撮像画素と前記第2撮像画素とが同一層に配置される場合、前記対象画素に対応する前記第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素
を前記補間画像から抽出する手順と、
前記抽出した画素に対応する画素を前記第1撮像画像から選択する手順と、
前記選択した画素の輝度値に基づいて、前記対象画素の輝度値を補正する手順と
を実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、スマートフォンなどの撮像装置において、暗い場面のような暗時でも適切な撮像を実現できることが求められている。例えば、特許文献1には、スマートフォンなどの情報処理装置において、赤外光画像及び可視光画像を撮像し、赤外光画像より顔画像を認識し、顔画像より器官毎の画像を抽出し、抽出した器官に応じて、可視光画像及び赤外光画像を利用して器官毎の画像を補正し、補正した器官画像を合成して、画像を再構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、撮像装置において、高感度化、特に暗部でのノイズ耐性への要求は依然として大きい。これは、暗時でもフラッシュを使用せずに自然な撮像をしたいという要求によるものであるが、撮像装置の性能面から考えると暗時に感度を上げた撮像はノイズの除去が必須となる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、暗時に撮像された、ノイズが多い画像であっても、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができる画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが積層され又は同一層に配置された撮像素子から、第1撮像画素及び第2撮像画素が同時に撮像したときの第1撮像画素による第1撮像画像及び第2撮像画素による第2撮像画像を入力し、第1撮像画像から対象画素を選択し、対象画素に対応する第2撮像画像の画素、又は、対象画素に対応する第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素を第2撮像画像又は補間画像から抽出し、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像から選択し、選択した画素の輝度値に基づいて、対象画素の輝度値を補正する画像処理部を備えるものである。
【0007】
また、本発明に係る画像処理方法は、SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが積層され又は同一層に配置された撮像素子から、第1撮像画素及び第2撮像画素が同時に撮像したときの第1撮像画素による第1撮像画像及び第2撮像画素による第2撮像画像を入力するステップと、第1撮像画像から対象画素を選択するステップと、対象画素に対応する第2撮像画像の画素、又は、対象画素に対応する第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素を第2撮像画像又は補間画像から抽出するステップと、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像から選択するステップと、選択した画素の輝度値に基づいて、対象画素の輝度値を補正するステップとを有するものである。
【0008】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが積層され又は同一層に配置された撮像素子から、第1撮像画素及び第2撮像画素が同時に撮像したときの第1撮像画素による第1撮像画像及び第2撮像画素による第2撮像画像を入力する手順と、第1撮像画像から対象画素を選択する手順と、対象画素に対応する第2撮像画像の画素、又は、対象画素に対応する第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素を第2撮像画像又は補間画像から抽出する手順と、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像から選択する手順と、選択した画素の輝度値に基づいて、対象画素の輝度値を補正する手順とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、暗時に撮像された、ノイズが多い画像であっても、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得る画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】比較例に係る画像処理方法を説明するための図である。
【
図2】実施の形態1に係る撮像装置1の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係る補間処理を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1に係る撮像画像及びその補間画像の例である。
【
図6】実施の形態1に係る画像処理方法を説明するための図である。
【
図7】実施の形態1及び比較例に係るノイズ除去画像の例である。
【
図8】実施の形態2に係る撮像素子22の概略構成を説明するための図である。
【
図9】色温度、波長及び放射エネルギーの関係を示す図である。
【
図10】実施の形態3に係る画像処理方法を概念的に説明するための図である。
【
図11】実施の形態3に係る撮像素子32の概略構成を説明するための図である。
【
図12】実施の形態3に係る画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】実施の形態3に係る画像処理方法を説明するための図である。
【
図14】実施の形態3の変形例に係る撮像素子42の概略構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施の形態に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明するが、その前に比較例として、周辺画素の輝度値を用いて対象画素の輝度値を補正してノイズを除去する画像処理方法について説明する。
【0012】
(比較例)
図1は、比較例に係る画像処理方法を説明するための図である。
この画像処理方法では、赤色波長帯域、緑色波長帯域又は青色波長帯域でそれぞれ撮像する、光電変換部を含む撮像画素(以下、「R撮像画素」、「G撮像画素」、「B撮像画素」という。)が、例えば、ベイヤ―配列のように規則正しく配置された公知の撮像素子で撮像された画像について、ノイズ除去の対象となる画素(以下、「対象画素」という。)を順番に選択してそれぞれ補正する。
【0013】
このため、まずは、撮像画像の中から対象画素を選択する〈51〉。なお、図面中の丸数字を、本明細書中では〈〉付き数字で表す。例えば、図面中の丸数字の55を本明細書中では〈55〉で表す。
次に、対象画素の輝度値(信号値)Ctrの大きさによって定まる輝度範囲±Aを設定する〈52〉。例えば、輝度値Ctrが小さければ輝度範囲±Aを小さく設定し、輝度値Ctrが大きければ輝度範囲±Aを大きく設定する。
【0014】
次に、対象画素が赤色波長帯域で撮像した画素(以下、「R画素」という。緑色波長帯域、青色波長帯域で撮像した画素についても同様に「G画素」、「B画素」という。)であるならば、輝度値が次の式(51)の範囲に入るR画素を対象画素の周囲の縦横方向の±8画素、±10画素などの画素(以下、「周辺画素」という。)から探索して抽出する〈53〉。これによって、対象画素に似た画素を抽出することができる。
Ctr-A≦周辺画素の輝度値≦Ctr+A ・・・式(51)
【0015】
そして、抽出したR画素の輝度値の平均値Aveを算出し〈54〉、次の式(52)を用いて出力値Outputを算出し、出力値Outputをもって対象画素の輝度値Ctrを置換して、対象画素のノイズを除去する〈55〉。
Output=Ctr+(Ave-Ctr)×Gain ・・・式(52)
ここで、Gain≦1.0
【0016】
一般に、画像のノイズを削減するには複数の画素の加算平均値を対象画素の値とすることが最も効果的であるが、周辺画素の加算平均値を単純に用いると画像自体がぼやけてしまう。このため、上記のように、対象画素に類似する画素をエッジ、勾配などの特徴に基づいて見つけること、すなわち、同じ色、輝度分布の領域を探索して当該領域の画素を用いることが行われる。しかし、対象画素に類似する画素を探索するときに、最もノイズを除去したい場面、例えば、暗時には、信号に対するノイズの割合が大きくなり、対象画素に類似する画素と、そうではない画素との区別がつきにくくなる。
【0017】
上記の比較例の画像処理方法でも、平均値Aveを算出するための画素の探索を対象画素と同じ色の画素において行っている。このことは信号強度が大きい色の画素、つまり、SN比(信号雑音比)がある程度大きい色の画素(例えば、暗時又は暗部におけるR画素)ではよく機能し、対象画素がエッジ部分であったときに同じエッジ部分を探索し、対象画素が背景部分であったときに同じ背景部分を探索するような、似ている領域の画素を探索することができる。
【0018】
しかしながら、SN比が小さい色の画素(例えば、暗時又は暗部におけるG画素、B画素)では信号がノイズに埋もれ、似ている領域の画素を探索することが難しくなって、ノイズ除去性能が低下する。その結果、
(1)ノイズ除去効果を上げようとして輝度範囲±Aを広くすると、補正画像がぼやける
(2)補正画像のぼけを防ごうとして輝度範囲±Aを狭くすると、ノイズ除去効果が減少する
というようなトレードオフの関係が生じ、本当にノイズを削減したい部分で画像が不鮮明になったり、逆に、十分にノイズを削減できなかったりする。
【0019】
そこで、暗時に撮像されたノイズが多い画像であっても、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができる、各実施の形態に係る画像処理装置及び画像処理方法について以下に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る画像処理装置及び画像処理方法は、RGBの撮像画素が同一層に配置された公知の撮像素子により撮像された画像からノイズを除去するものである。このとき、暗時又は暗部においてSN比が小さいG画素又はB画素の対象画素について、対象画素に対応する暗時又は暗部においてSN比が大きいR画素の輝度値に基づいて周辺のR画素を抽出し、抽出したR画素に対応するG画素又はB画素を選択し、選択したG画素又はB画素の輝度値に基づいて対象画素を補正する。
【0021】
以下、図面を参照して、このような本実施の形態1に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
まず、本実施の形態1に係る画像処理装置の構成について説明する。
本実施の形態1に係る画像処理装置は撮像装置であって、特に、画像処理部として機能し、撮像画像からノイズを除去するものである。
【0022】
図2は、本実施の形態1に係る撮像装置1の概略構成を示すブロック図である。
撮像装置1は、例えば、デジタルカメラであって、レンズ光学系11、撮像素子12、アナログフロントエンド(AFE)回路13、画像処理部14、画像表示部15、画像記録部16などを備えている。
【0023】
レンズ光学系11は、レンズ(Lens)、絞り、シャッター(Shutter)などを有し、被写体像を撮像素子12の撮像面に結像する。
撮像素子12は、CCD、CMOSなどの公知のイメージセンサであり、被写体像を光電変換して撮像画像の画像信号(RGB色信号)を生成して出力する。撮像素子12では、RGBの撮像画素が同一層にベイヤ―配列で配置されている。
【0024】
AFE回路13は、撮像素子12が出力し、CDS回路(図示せず)が信号処理を施したアナログの画像信号をA/D変換してデジタルの画像信号とし、画像処理部14に出力する。
画像処理部14は、撮像画像のG画素及びB画素の位置のR信号を補間により算出し、全画素のR信号を生成する。
【0025】
また、画像処理部14は、G画素又はB画素を順番に対象画素として選択し、対象画素に対応するR画素と輝度値が近い周辺のR画素を抽出し、抽出したR画素に対応するG画素又はB画素を選択し、選択したG画素又はB画素の輝度値に基づいて対象画素を補正する。
なお、画像処理部14の処理の詳細については、後述する。
【0026】
画像表示部15はノイズを除去した撮像画像などを表示し、画像記録部16はノイズを除去した撮像画像などを記録する。
なお、画像処理部14が実現する各構成要素は、例えば、コンピュータである画像処理部14が備える演算装置(図示せず)の制御によって、プログラムを実行させることにより実現できる。
【0027】
より具体的には、画像処理部14は、記憶部(図示せず)に格納されたプログラムを主記憶装置(図示せず)にロードし、演算装置の制御によってプログラムを実行して実現する。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせなどにより実現しても良い。
【0028】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、画像処理部14に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。
【0029】
非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0030】
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によって画像処理部14に供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、または無線通信路を介して、プログラムを画像処理部14に供給できる。
【0031】
次に、本実施の形態1に係る撮像装置1の動作、すなわち、画像処理方法について説明する。
図3は、本実施の形態1に係る画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
処理を開始して、撮像装置1のシャッターが押され、撮像素子12が画像を撮像する(ステップS10)と、画像処理部14は、撮像画像のG画素及びB画素の位置におけるR信号をその周辺のR画素を用いた補間処理により算出して、全画素がR画素であるRの補間画像を生成する(ステップS20)。
【0032】
図4は、本実施の形態1に係る補間処理を説明するための図である。左図は撮像画像の一部を拡大したものを示し、RGBの画素がベイヤ―配列で配置されている。右図はRの補間画像の一部を拡大したものを示し、撮像画像のG画素及びB画素がそれぞれR画素に置換されて、全画素がR画素になっている。
【0033】
なお、本明細書では、2つの画像において同じ位置(座標)にある画素同士をそれらの画素が「対応している」というように表現する。例えば、
図4の撮像画像のB画素P1と補間画像のR画素P2とは、それらが同じ位置にある限りにおいて「対応している」と表現する。
【0034】
図5は、本実施の形態1に係る撮像画像及びその補間画像の例である。上段は撮像画像を示し、下段は、左からRの補間画像、参考用のG又はBの補間画像を示す。
撮像画像は都市部の夜景を斜め上方向から写したもので、画像中央よりも少し下を左右に高速道路が走り、高速道路よりも画像上側には複数の高層ビルが林立し、高層ビルのいくつかの窓からは光が洩れ、また、高層ビルの間を一般道路が画像斜め方向に走っている。また、この撮像画像では、高速道路及び一般道路は赤みがかって写り、高層ビルは灰色又は黄土色に写っている。
【0035】
また、このような撮像画像の色を反映して、Rの補間画像は信号強度が大きく、SN比も大きい。G、Bの補間画像、特に、Bの補間画像は信号強度が小さく、SN比も小さい。
図6は、本実施の形態1に係る画像処理方法を説明するための図である。
【0036】
次に、画像処理部14は、撮像画像において、対象画素となるG画素又はB画素を選択する〈1〉(ステップS30)。以下では、対象画素としてB画素を選択した場合について説明するが、対象画素としてG画素を選択した場合も同様の処理となる。
次に、Rの補間画像において、ステップS30で選択したB画素に対応するR画素を選択する〈2〉(ステップS40)。例えば、
図4を参照して説明すると、ステップS30で撮像画像のB画素P1を対象画素として選択したときは、ステップS40でRの補間画像のR画素P2を対応する画素として選択する。
【0037】
次に、ステップS40で選択したR画素の輝度値Ctrの大きさによって定まる輝度範囲±Aを設定する〈3〉(ステップS50)。
次に、Rの補間画像において、ステップS40で選択したR画素の周辺画素から、輝度値が次の式(1)の範囲に入るR画素を探索して抽出する〈4〉(ステップS60)。ステップS50、S60の処理は、比較例のものと同様の処理であって良い。
Ctr-A≦周辺R画素の輝度値≦Ctr+A ・・・式(1)
【0038】
次に、撮像画像において、ステップS60で抽出したR画素に対応するB画素を選択する〈5〉(ステップS70)。撮像画像においては、ステップS60で抽出したR画素に対応する画素がR画素又はG画素であることもあるが、ここでは、あくまでも、対象画素と同じ色のB画素だけを選択する。
【0039】
次に、ステップS70で選択したB画素の輝度値の平均値Aveを算出し〈6〉(ステップS80)、次の式(2)を用いて出力値Outputを算出し、出力値Outputをもって対象画素であるB画素の輝度値Ctrを置換して、対象画素のノイズを除去する〈7〉(ステップS90)。ステップS80、S90の処理も、比較例のものと同様の処理であって良い。
Output=Ctr+(Ave-Ctr)×Gain ・・・式(2)
ここで、Gain≦1.0
【0040】
そして、画像処理部14が撮像画像中のB画素又はG画素をそれぞれ対象画素として選択して補正し、ノイズを除去した後に、画像表示部15がノイズを除去した撮像画像などを表示し、画像記録部16がノイズを除去した撮像画像などを記録する(ステップS100)。
【0041】
図7は、本実施の形態1及び比較例に係るノイズ除去画像の例である。
図5に示した撮像画像にノイズ除去処理をそれぞれ施したものであり、左が比較例に係るノイズ除去画像であり、右が本実施の形態1に係るノイズ除去画像である。
【0042】
比較例に係るノイズ除去画像と本実施の形態1に係るノイズ除去画像とを比較すると、本実施の形態1に係るノイズ除去画像の方が各高層ビルの窓(枠)、画像右側にある照明器具、道路上の車両などのエッジが明確になっており、本実施の形態1に係る画像処理装置及び画像処理方法により、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができることが分かる。
【0043】
なお、本実施の形態1に係る画像処理装置又は画像処理方法では、種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態1では、撮像画像のSN比の大きいR画素のノイズ除去については特に説明しなかったが、R画素についてはノイズを除去しなくても良いし、比較例の手法又は公知の手法を用いてノイズを除去しても良い。
【0044】
また、本実施の形態1では、ステップS20で全画素がR画素であるRの補間画像のみを生成していたが、全画素がG画素又はB画素であるG、Bの補間画像を併せて生成しても良い。このようにすれば、ステップS60で抽出したR画素に対応するB画素(又は、G画素)をステップS70で選択するときに、対応するB画素(又は、G画素)が必ず存在することとなり、より多くのB画素(又は、G画素)を用いて、ステップS80で平均値Aveを算出することができる。
【0045】
また、本実施の形態1では、暗時又は暗部の赤色が優勢な画像を想定してR画素に基づいてG、Bの画素を補正したが、被写体が昼間の空であるときのように青色が優勢な画像においては、SN比が大きいB画素に基づいてSN比が小さいR、Gの画素を補正しても良いし、被写体が昼間の森林であるときのように緑色が優勢な画像においては、SN比が大きいG画素に基づいてSN比が小さいR、Bの画素を補正しても良い。すなわち、SN比が大きい色の画素に基づいてSN比が小さい色の画素を補正しても良い。
【0046】
また、本実施の形態1では、抽出したR画素に対応するB画素をステップS70で選択し、選択したB画素の輝度値の平均値AveをステップS80で算出し、ステップS90で式(2)を用いて出力値Outputを算出し、出力値Outputをもって対象画素であるB画素の輝度値Ctrを置換して、対象画素のノイズを除去したが、ステップS70で選択したB画素を用いて対象画素であるB画素のノイズを除去する方法は上記に限られるものではない。
【0047】
また、本実施の形態1では、撮像装置1はデジタルカメラに限られるものではなく、スマートフォンなどの、撮像素子を備える各種の情報処理装置であっても良い。
また、本実施の形態1では、画像処理装置が撮像装置であって、特に、画像処理部14として機能して撮像画像からノイズを除去するものであったが、画像処理装置が撮像装置とは別に存在し、撮像装置が出力する撮像画像からノイズを除去するものであっても良く、例えば、監視カメラが出力する撮像画像からノイズを除去する監視システムのようなものであっても良い。
【0048】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る画像処理装置1は、SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが同一層に配置された撮像素子12から、第1撮像画素及び第2撮像画素が同時に撮像したときの第1撮像画素による第1撮像画像及び第2撮像画素による第2撮像画像を入力し、第1撮像画像から対象画素を選択し、対象画素に対応する第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素を補間画像から抽出し、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像から選択し、選択した画素の輝度値に基づいて、対象画素の輝度値を補正する画像処理部14を備えるものである。
このような構成により、暗時に撮像された、ノイズが多い画像であっても、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができる。
【0049】
また、本実施の形態1に係る画像処理装置1は、第1撮像画素が、緑色波長帯域又は青色波長帯域で撮像し、第2撮像画素が、赤色波長帯域で撮像することが好ましい。
このような構成により、暗時にSN比が大きいR画素に基づいてSN比が小さいGB画素を補正することができる。
【0050】
また、本実施の形態1に係る画像処理装置1は、画像処理部14が、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像の補間画像から更に選択することが好ましい。
このような構成により、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像及び第1撮像画像の補間画像から選択して、G、Bの画素を補正することができる。
また、本実施の形態1に係る撮像装置1は、撮像素子12及び画像処理部14を備えることが好ましい。
【0051】
また、本実施の形態1に係る画像処理方法は、SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが同一層に配置された撮像素子12から、第1撮像画素及び第2撮像画素が同時に撮像したときの第1撮像画素による第1撮像画像及び第2撮像画素による第2撮像画像を入力するステップS10と、第1撮像画像から対象画素を選択するステップS30と、対象画素に対応する第2撮像画像の画素、又は、対象画素に対応する第2撮像画像の補間画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素を第2撮像画像又は補間画像から抽出するステップS60と、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像から選択するステップS70と、選択した画素の輝度値に基づいて、対象画素の輝度値を補正するステップS90とを有するものである。
このような構成により、暗時に撮像された、ノイズが多い画像であっても、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができる。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る画像処理装置及び画像処理方法は、RGBの撮像画素が同一層に配置された撮像素子12により撮像された画像からノイズを除去するものであったが、本実施の形態2に係る画像処理装置及び画像処理方法は、RGBの撮像画素が積層された撮像素子により撮像された画像からノイズを除去するものである。このとき、暗時又は暗部においてSN比が小さいG画素又はB画素の対象画素について、対象画素に対応する暗時又は暗部においてSN比が大きいR画素の輝度値に基づいて周辺のR画素を抽出し、抽出したR画素に対応するG画素又はB画素を選択し、選択したG画素又はB画素の輝度値に基づいて対象画素を補正する点は実施の形態1に係る処理と同様である。
【0053】
以下、図面を参照して、本実施の形態2に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
本実施の形態2に係る画像処理装置も撮像装置であって、とくに、画像処理部として機能し、撮像画像からノイズを除去するものである。撮像装置の概略構成は
図2に示した実施の形態1に係るものと同様で良く、ここでは、図示及び説明を省略する。
【0054】
図8は、本実施の形態2に係る撮像素子22の概略構成を説明するための図である。撮像素子22を撮像画素の積層方向と垂直な方向から視たときの断面を示している。
撮像素子22は、公知技術を用いて、例えば、下層がシリコン基板などの半導体材料で形成され、上層が半導体材料又は有機膜で形成された積層構造になっている。そして、下層には撮像する画像のSN比が小さい、すなわち、SN比の小さなG撮像画素及びB撮像画素が市松模様状に配置され、上層にはSN比の大きなR撮像画素がそれぞれ下層のG撮像画素又はB撮像画素と対応するように全面に配置されている。つまり、上層では全ての撮像画素がR撮像画素である。
【0055】
このような撮像素子22が撮像する撮像画像では、画像の同じ位置(座標)でSN比の大きなR画素と、SN比の小さなG画素又はB画素とが得られることから、G画素又はB画素のノイズを除去するときは、実施の形態1に係る画像処理方法と同様の処理をすれば良い。もちろん、全画素のR画素が得られているので、本実施の形態2ではRの補間画像を生成する必要はない。
【0056】
すなわち、B画素(又は、G画素)を対象画素として選択し、対象画素に対応するR画素を選択し、選択したR画素の輝度値に近い輝度値を有するR画素を周辺画素から抽出し、抽出したR画素に対応するB画素(又は、G画素)を選択し、選択したB画素(又は、G画素)の輝度値の平均値Ave、出力値Outputをそれぞれ算出して、出力値Outputをもって対象画素の輝度値を置換して、ノイズを除去すれば良い。
【0057】
このように、本実施の形態2に係る画像処理装置及び画像処理方法でも、実施の形態1に係るものと同様に、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができる。
【0058】
なお、本実施の形態2に係る画像処理装置又は画像処理方法でも、種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態2では、撮像素子22を2層の撮像画素で構成したが、撮像素子22を3層以上の撮像画素で構成しても良い。
また、被写体が昼間の空などである場合には、B画素を用いて対象画素であるR画素又はG画素を補正したり、被写体が昼間の森林などである場合には、G画素を用いて対象画素であるR画素又はB画素を補正したりしても良い。
【0059】
以上、説明したように、本実施の形態2に係る画像処理装置は、SN比が小さい第1撮像画素とSN比が大きい第2撮像画素とが積層された撮像素子22から、第1撮像画素及び第2撮像画素が同時に撮像したときの第1撮像画素による第1撮像画像及び第2撮像画素による第2撮像画像を入力し、第1撮像画像から対象画素を選択し、対象画素に対応する第2撮像画像の画素の輝度値に近い輝度値を有する画素を第2撮像画像から抽出し、抽出した画素に対応する画素を第1撮像画像から選択し、選択した画素の輝度値に基づいて、対象画素の輝度値を補正する画像処理部を備えるものである。
このような構成により、暗時に撮像された、ノイズが多い画像であっても、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができる。
【0060】
また、本実施の形態2に係る画像処理装置は、撮像素子22において、第2撮像画素が第1撮像画素よりも上層にあることが好ましい。
このような構成により、SN比が大きい第2撮像画素のSN比を維持することができる。
【0061】
(実施の形態3)
実施の形態1、2に係る画像処理装置及び画像処理方法は、RGBの撮像画素を有する撮像素子により撮像されたRGB画像からノイズを除去するものであったが、本実施の形態3に係る画像処理装置及び画像処理方法は、暗時又は暗部におけるSN比がRGBの撮像画素よりも大きい近赤外(NIR)の撮像画素を更に有する撮像素子を用いて、RGB画像からノイズを除去するものである。
【0062】
まずは、本実施の形態3に係る画像処理装置及び画像処理方法においてNIR撮像画素を用いる理由について簡単に説明する。
図9は、色温度、波長及び放射エネルギーの関係を示す図である。横軸は波長(nm)、縦軸は放射エネルギー(W/nm)、実線は太陽光の放射スペクトル(色温度:5762K)、破線は夜景の放射スペクトル(色温度:3200K)を示す。
【0063】
放射エネルギーは、色温度の大きい太陽光では各波長で大きいが、色温度の小さい夜景では各波長で小さく、辛うじて近赤外にそのピークを有する。そこで、暗時には可視光波長帯域に加えて近赤外波長帯域でも撮像して、可視光波長帯域で撮像するよりもSN比が大きいNIR画素を得ることにする。
【0064】
図10は、本実施の形態3に係る画像処理方法を概念的に説明するための図である。左図は実施の形態1、2に係る画像処理方法を示し、右図は本実施の形態3に係る画像処理方法を示す。実施の形態1、2では暗時又は暗部においてSN比が大きいR信号を用いて暗時又は暗部においてSN比が小さいG、Bの信号からノイズを除去していたが、本実施の形態3では暗時又は暗部においてSN比がR信号よりも更に大きいNIR信号を用いてR、G、Bの信号からノイズを除去する。
【0065】
以下、図面を参照して、本実施の形態3に係る画像処理装置及び画像処理方法について説明する。
本実施の形態3に係る画像処理装置も撮像装置であって、特に、画像処理部として機能し、撮像画像からノイズを除去するものである。撮像装置の概略構成は
図2に示した実施の形態1に係るものと同様で良く、ここでは、図示及び説明を省略する。
【0066】
図11は、本実施の形態3に係る撮像素子32の概略構成を説明するための図である。撮像素子32の撮像面の一部を拡大したものを示す。
撮像素子32では、ベイヤ―配列の奇数行又は偶数行のG撮像画素がNIR撮像画素に置き換えられ、NIR撮像画素及びRGBの撮像画素が同一層に配置されている。NIR撮像画素は、例えば、800~900nmの近赤外波長帯域で撮像する光電変換部を含む撮像画素である。
【0067】
図12は、本実施の形態3に係る画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
図13は、本実施の形態3に係る画像処理方法を説明するための図である。
本実施の形態3に係る画像処理方法では、撮像素子32の同一層に配置されたNIR撮像画素及びRGBの撮像画素で同時に撮像し(ステップS210)、得られた画像中のNIR画素を用いてNIRの補間画像を生成する(ステップS220)。
【0068】
次に、撮像画像から対象画素としてR、G又はBの画素を選択し(ステップS230)、その対応画素としてNIR画素をNIRの補間画像から選択し(ステップS240)、探索輝度範囲を設定し(ステップS250)、対応画素の輝度値に近い輝度値を有する周辺のNIR画素をNIRの補間画像から抽出する(ステップS260)。
【0069】
次に、抽出したNIR画素の対応画素としてR、G又はBの画素を撮像画像から選択し(ステップS270)、置換値を算出し(ステップS280)、対象画素を補正してノイズを除去し(ステップS290)、補正画像を表示、記録する(ステップS300)。
【0070】
このように、本実施の形態3に係る画像処理装置及び画像処理方法でも、実施の形態1、2に係るものと同様に、ノイズを適切に除去して色再現性及び色解像度に優れた画像を得ることができる。
【0071】
(実施の形態3の変形例)
なお、本実施の形態3に係る画像処理装置又は画像処理方法でも、種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態3では、撮像素子32としてNIR撮像画素及びRGBの撮像画素が同一層に配置されているものを用いたが、撮像素子としてNIR撮像画素とRGBの撮像画素とが積層されたものを用いても良い。
【0072】
図14は、本実施の形態3の変形例に係る撮像素子42の概略構成を説明するための図である。撮像素子42のある画素行(又は、画素列)とその隣の画素行(又は、画素列)とをそれぞれ撮像素子42の積層方向と垂直な方向から視たときの断面を示している。
【0073】
撮像素子42も、公知技術を用いて、例えば、下層がシリコン基板などの半導体材料で形成され、上層が半導体材料又は有機膜で形成された積層構造になっている。そして、下層には暗時又は暗部においてSN比の小さなR、G、Bの撮像画素がベイヤ―配列で配置され、上層には暗時又は暗部においてSN比の大きなNIR撮像画素がそれぞれ下層のR、G、Bの撮像画素と対応するように全面に配置されている。つまり、上層では全ての撮像画素がNIR撮像画素である。
【0074】
このような撮像素子42が撮像した撮像画像でも、画像の同じ位置(座標)でSN比の大きなNIR画素と、SN比の小さなRGBの画素とが得られることから、RGBの画素のノイズを除去するときは、実施の形態3に係る画像処理方法と同様の処理をすれば良い。もちろん、全画素のNIR画素が得られているので、本実施の形態3の変形例ではNIRの補間画像を生成する必要はない。
【0075】
なお、本実施の形態3の変形例では、撮像素子42を2層の撮像画素で構成したが、撮像素子42を3層以上の撮像画素で構成しても良く、また、SN比の大きな撮像画素が必ずしも上層でなくても良い。
【0076】
以上、説明したように、本実施の形態3に係る画像処理装置は、第1撮像画素が赤色波長帯域、緑色波長帯域又は青色波長帯域で撮像し、第2撮像画素が近赤外波長帯域で撮像することが好ましい。
このような構成により、更にSN比が大きいNIR画素を用いて、RGBの画素を補正して、ノイズを除去することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 撮像装置
11 レンズ光学系
12、22、32、42 撮像素子
13 アナログフロントエンド(AFE)回路
14 画像処理部(画像処理装置)
15 画像表示部
16 画像記録部
P1 B画素
P2 R画素