(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンのシュラウド冷却のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F01D 11/24 20060101AFI20240624BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F01D11/24
F02C7/28 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019192517
(22)【出願日】2019-10-23
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】イブラハム・セザー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ポール・レーシー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェームス・ブラント
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・レイ・グレッグ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-257003(JP,A)
【文献】特開昭58-065901(JP,A)
【文献】米国特許第05584651(US,A)
【文献】特開2014-095381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24
F01D 13/00-15/12;23/00-25/36
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械(10)用の冷却システム(100)であって、前記回転機械(10)
が、回転軸を画定する少なくとも1つの回転可能部材(18)と、前記回転可能部材(18)の少なくとも一部
の上方で円周方向に延びるケーシング(36)とを含
んでおり、前記ケーシング(36)
が、第1のターゲット衝突面(102)
及び第2のターゲット衝突面(104)を有する半径方向外面(102,104)を含
んでおり、
当該冷却システム(100)
が、
前記ケーシング(36)の前記第1のターゲット衝突面(102)
の上及び前記ケーシング(36)の前記第2のターゲット衝突面(104)の少なくとも一部の上に配置された第1の衝突板(126)であって、前記第1の衝突板(126)
が第1の冷却流体の流れ(134)を前記第1のターゲット衝突面(102)に向けて導くように構成された複数の第1の衝突孔(200)を画定する、第1の衝突板(126)と、
前記第1のターゲット衝突面(102)から延在しかつ前記ケーシング(36)の前記第2のターゲット衝突面(104)上に配置された第2の衝突板(128)であって、前記第2の衝突板(128)
が、第2の冷却流体の流れ(136)を前記第2のターゲット衝突面(104)に向けて導くように構成された複数の第2の衝突孔(200)を画定し、前記第1のターゲット衝突面(102)の前記ケーシング(36)の厚さ(120)
が、前記第2のターゲット衝突面(104)の前記ケーシング(36)の厚さ(122)
よりも厚い、第2の衝突板(128)と
を備え
ており、前記少なくとも1つの回転可能部材(18)がロータブレード(70)を含んでおり、前記第2のターゲット衝突面(104)が、前記ロータブレード(70)の円周方向列の真上に配置される、冷却システム(100)。
【請求項2】
前記第1の衝突板(126)、前記第2の衝突板(128)
及び前記第1のターゲット衝突面(102)が、第1の衝突ゾーン(130)を画定し、前記第1の衝突板(126)
が前記第1の冷却流体の流れ(134)を前記第1の衝突ゾーン(130)に導くように構成され
る、請求項1に記載の冷却システム(100)。
【請求項3】
前記第2の衝突板(128)及び前記第2のターゲット衝突面(104)が第2の衝突ゾーン(132)を画定し、前記第2の衝突板(128)が、前記第2の冷却流体の流れ(136)を前記第2の衝突ゾーン(132)に導くように構成される、請求項2に記載の冷却システム(100)。
【請求項4】
前記第1の冷却流体の流れ(134)が、前記第1のターゲット衝突面(102)から熱を吸収し、前記第2の冷却流体の流れ(136)として再循環され
る、請求項1
乃至請求項3のいずれか1項に記載の冷却システム(100)。
【請求項5】
前記第2の衝突板(128)が、第3の冷却流体の流れ(404)を前記第2のターゲット衝突面(104)に向けて導くように構成された第2の衝突板ダクト(402)を含んでおり、前記第3の冷却流体の流れ(404)が前記第2の冷却流体の流れ(136)と混合する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の冷却システム(100)。
【請求項6】
前記第2の衝突板(128)が、前記第2の冷却流体の流れ(136)を冷却するように構成された第2の衝突板熱交換器(602)を含
んでいる、請求項1
乃至請求項5のいずれか1項に記載の冷却システム(100)。
【請求項7】
前記第2の衝突板熱交換器(602)が、前記第2の衝突板(128)上に配置された板及びフレーム熱交換器を備える、請求項6に記載の冷却システム(100)。
【請求項8】
回転機械(10)であって、
回転軸を画定する
少なくとも1つの回転可能部材(18)と、
前記回転可能部材(18)の少なくとも一部の上方で円周方向に延びるケーシング(36)であって、前記ケーシング(36)
が、第1のターゲット衝突面(102)
及び第2のターゲット衝突面(104)を有する半径方向外面(102,104)を含
む、ケーシング(36)と、
前記ケーシング(36)に配置された
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の冷却システム(100)
と
を備
える、回転機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、一般に、ガスタービンエンジン用の冷却システムに関し、より具体的には、ガスタービンエンジン内のシュラウド上の局所領域を冷却するための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの既知のガスタービンエンジンは、高圧圧縮機、低圧圧縮機、燃焼室、およびタービンのうちの1つまたは複数を囲むシュラウドを含む。ガスタービンエンジンがより強力になると、ガスタービンエンジン内で生成される温度が上昇する。ガスタービンエンジン内の温度が上昇すると、シュラウドの局所領域が、より強力でないガスタービンエンジンでシュラウドが膨張するよりも大きく膨張および収縮する可能性がある。具体的には、回転するタービンブレードに隣接するシュラウドのこれらの領域は、シュラウドを膨張させてシュラウドとタービンブレードとの間に画定される先端クリアランスを増大させる高温に曝される可能性がある。先端クリアランスを大きくすると、先端漏れが増加し、タービン効率が低下する場合がある。
【0003】
さらに、ブレード先端のクリアランスとシュラウドクリアランスを密に維持するために必要な追加の冷却フローの量は、シュラウド全体の領域によって異なる。例えば、少なくともいくつかの領域では、その場所のシュラウドの厚さとその場所のシュラウドの温度に応じて、追加の冷却が必要になる場合がある。少なくともいくつかの既知のガスタービンエンジンについては、シュラウド全体に増加した量の冷却流体を供給すると、ガスタービンエンジンの運転効率が低下する。したがって、ガスタービンエンジンの効率の向上を促進するために、シュラウドの局所冷却システムを考案することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、回転機械用の冷却システムが提供される。回転機械は、回転軸を画定する少なくとも1つの回転可能部材と、回転可能部材の少なくとも一部にわたって円周方向に延びるケーシングとを含む。ケーシングは、第1のターゲット衝突面と第2のターゲット衝突面とを有する半径方向外面を含む。冷却システムは、第1の衝突板と第2の衝突板を含む。第1の衝突板は、ケーシングの第1のターゲット衝突面およびケーシングの第2のターゲット衝突面の少なくとも一部の上に配置されている。第1の衝突板は、第1の冷却流体の流れを第1のターゲット衝突面に向けて導くように構成された複数の第1の衝突孔を画定する。第2の衝突板は、ケーシングの第2のターゲット衝突面上に配置される。第2の衝突板は、第2の冷却流体の流れを第2のターゲット衝突面に向けて導くように構成された複数の第2の衝突孔を画定する。第1のターゲット衝突面におけるケーシングの厚さは、第2のターゲット衝突面におけるケーシングの厚さとは異なる。
【0005】
別の態様では、ケーシングを冷却する方法が提供される。この方法は、第1の冷却流体の流れを、冷却流体源から、第1の衝突板に画定された複数の第1の衝突孔を通じてケーシングの第1の領域に導くステップを含む。ケーシングの第1の領域は第1の厚さを有する。この方法はまた、第2の冷却流体の流れを、冷却流体源から、第2の衝突板に画定された複数の第2の衝突孔を通じてケーシングの第2の領域に導くステップを含む。ケーシングの第2の領域は第2の厚さを有する。第1の厚さは第2の厚さとは異なる。
【0006】
別の態様では、回転機械が提供される。回転機械には、部分、ケーシング、および冷却システムが含まれる。部分は回転軸を画定する。ケーシングは、部分を取り囲み、第1のターゲット衝突面と第2のターゲット衝突面を有する半径方向外面を含む。冷却システムは、ケーシング上に配置され、第1の衝突板と第2の衝突板を含む。第1の衝突板は、ケーシングの第1のターゲット衝突面およびケーシングの第2のターゲット衝突面の少なくとも一部の上に配置されている。第1の衝突板は、第1の冷却流体の流れを第1のターゲット衝突面に向けて導くように構成された複数の第1の衝突孔を画定する。第2の衝突板は、ケーシングの第2のターゲット衝突面上に配置される。第2の衝突板は、第2の冷却流体の流れを第2のターゲット衝突面に向けて導くように構成された複数の第2の衝突孔を画定する。第1のターゲット衝突面におけるケーシングの厚さは、第2のターゲット衝突面におけるケーシングの厚さとは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】
図1に示す回転機械のケーシングの外面に配置された冷却システムの拡大概略図である。
【
図3】
図2に示すケーシング冷却システムをまた備えた第1の衝突板および第2の衝突板の概略上面図である。
【
図4】
図1に示す回転機械のケーシングの外面に配置された別の冷却システムの拡大概略図である。
【
図5】
図1に示す回転機械のケーシングの外面に配置された別の冷却システムの拡大概略図である。
【
図6】
図1に示す回転機械のケーシングの外面に配置された別の冷却システムの拡大概略図である。
【
図7】
図1に示す回転機械のケーシングの外面に配置された別の冷却システムの拡大概略図である。
【
図8】
図1に示す回転機械のケーシングの外面に配置された別の冷却システムの拡大概略図である。
【
図9】
図1に示す回転機械のケーシングの外面に配置された別の冷却システムの拡大概略図である。
【
図10】
図1に示す回転機械のケーシングを冷却する方法の例示的な実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で説明する例示的なケーシング冷却システムおよび方法は、回転機械の効率の向上、回転機械の重量の減少、および回転機械のケーシングの冷却を促進する。本明細書に記載のケーシング冷却システムの実施形態は、第1のターゲット衝突面上に配置された第1の衝突板と、第2のターゲット衝突面上に配置された第2の衝突板とを含む。第1および第2の衝突板はそれぞれ、衝突空気の流れを第1および第2のターゲット衝突面にそれぞれ導くように構成された複数の衝突孔を含む。第1および第2のターゲット衝突面は、回転機械のケーシングの外面に配置されている。第2のターゲット衝突面は、温度が上昇したケーシングの領域にわたって配置され、したがって、第1のターゲット衝突面よりも高い動作温度を有する。第2のターゲット衝突面でのケーシングの厚さは、第1のターゲット衝突面でのケーシングの厚さとは異なる。したがって、衝突空気とターゲット衝突面との間の熱伝達効率は、所与の冷却流について、第1のターゲット衝突面よりも第2のターゲット衝突面の方が高い。
【0009】
各実施形態において、第1の衝突空気の流れは、第1の衝突板により第1のターゲット衝突面に導かれ、第1のターゲット衝突面から熱を吸収した後、第1の衝突空気の流れよりも暖かい第2の衝突空気の流れになる。次に、第2の衝突空気の流れは、第2の衝突板を介して第2のターゲット衝突面に導かれ、第2のターゲット衝突面から熱を吸収する。したがって、各実施形態では、第1および第2のターゲット衝突面は、単一の衝突空気の流れによって冷却され、回転機械の効率を高める。
【0010】
別途指定のない限り、本明細書で使用される「一般に」、「実質的に」、および「およそ」などの近似を表す文言は、そのように修飾された用語が、絶対的または完全な程度ではなく、当業者によって認識されるようなおおよその程度にのみ適用することができることを示している。近似する文言は、それが関連する基本的機能の変更をもたらすことなく許容範囲で変化することができる定量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、範囲の限界が特定されてもよい。このような範囲は、組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈または文言が特に指示しない限り、本明細書に含まれるすべての部分範囲を含む。
【0011】
さらに、別途指定のない限り、「第1の」、「第2の」、などの用語は、本明細書において単に標識として使用されているにすぎず、これらの用語が言及する要素について順序、位置、または階層上の要件を加えることを意図するものではない。さらに、例えば、「第2の」要素への言及は、例えば、「第1の」要素またはより小さい数字で言及される要素あるいは「第3の」要素またはより大きな数字で言及される要素の存在を、必要とするものでも、排除するものでもない。
【0012】
図1は、本開示の実施形態が使用され得る例示的な回転機械10の概略図である。この例示的な実施形態では、回転機械10は、吸気部12、吸気部12の下流側に結合された圧縮機部14、圧縮機部14の下流側に結合された燃焼器部16、燃焼器部16の下流側に結合されたタービン部18、およびタービン部18の下流側に結合された排気部20を含むガスタービンである。ほぼ管状のケーシング36は、吸気部12、圧縮機部14、燃焼器部16、タービン部18、および排気部20のうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に取り囲む。ケーシング冷却システム100は、ケーシング36の外面38に配置され、ケーシング36の領域を冷却するように構成される。例示的な実施形態では、ケーシング冷却システム100は、タービン部18に近接した外面38に配置される。別の実施形態では、ケーシング冷却システム100は、回転機械10が本明細書で説明されるように動作することを可能にする任意の位置で外面38に配置される。代替の実施形態では、回転機械10は、本開示の実施形態が本明細書に記載されるように機能することができるロータブレードを有する任意の機械である。
【0013】
例示的な実施形態では、タービン部18は、ロータシャフト22を介して圧縮機部14に結合される。本明細書で使用される場合、「結合する」という用語は、構成要素間の直接的な機械的、電気的、および/または通信接続に限定されず、複数の構成要素間の間接的な機械的、電気的、および/または通信接続も含むことができることに留意されたい。
【0014】
ガスタービン10の動作中には、吸気部12は、圧縮機部14に向けて空気を導く。圧縮機部14は、空気を圧縮してより高い圧力および温度にする。より具体的には、ロータシャフト22は、圧縮機部14内のロータシャフト22に結合された圧縮機ブレード40の少なくとも1つの円周方向列に回転エネルギーを与える。例示的な実施形態では、圧縮機ブレード40の各列に先行して、ケーシング36から半径方向内側に延在する圧縮機ステータベーン42の円周方向列が設けられ、圧縮機ブレード40内に空気流を案内する。圧縮機ブレード40の回転エネルギーは、空気の圧力および温度を上昇させる。圧縮機部14は、燃焼器部16に向けて圧縮空気を排出する。
【0015】
燃焼器部16では、圧縮空気が燃料と混合され、点火されて、タービン部18に向けて導かれる燃焼ガスを発生する。より具体的には、燃焼器部16は少なくとも1つの燃焼器24を含み、そこでは、例えば、天然ガスおよび/または燃料オイルなどの燃料が空気流内に噴射され、燃料空気混合気が点火されて、タービン部18に向けて導かれる高温の燃焼ガスを発生する。
【0016】
タービン部18は、燃焼ガス流の熱エネルギーを機械的回転エネルギーに変換する。より具体的には、燃焼ガスは、タービン部18内のロータシャフト22に結合されたロータブレード70の少なくとも1つの円周方向列に回転エネルギーを与える。例示的な実施形態では、ロータブレード70の各列に先行して、ケーシング36から半径方向内側に延在するタービンステータベーン72の円周方向列が設けられ、ロータブレード70内に燃焼ガスを案内する。ロータシャフト22は、限定はしないが、発電機および/または機械的駆動用途などの負荷(図示せず)に結合することができる。排出された燃焼ガスは、タービン部18から下流へ流れ、排気部20に入る。限定ではないが、ロータブレード70などの回転機械10の高温ガス経路内の回転機械10の構成要素は、高温ガスへの暴露による摩耗および/または損傷を受けやすい。
【0017】
図2は、回転機械10(
図1に示す)のタービン部18に隣接するケーシング外面38上に配置されたケーシング冷却システム100の拡大概略図である。具体的には、例示的な実施形態では、ケーシング冷却システム100は、ロータブレード70の円周方向列に近接して配置される。あるいは、ケーシング冷却システム100は、回転機械10が本明細書で説明されるように動作することを可能にする回転機械10の任意の部分の上に配置されてもよい。例えば、ケーシング冷却システム100は、限定ではないが、第1段タービンノズルなどの高温および/または高速ガスに曝されるケーシング36の任意の部分の上に配置されてもよい。ケーシング外面38は、それぞれ少なくとも部分的にケーシング36を取り囲む第1のターゲット衝突面102および第2のターゲット衝突面104を含む。ケーシング36は、回転機械10を取り囲む内面106も含む。例示的な実施形態では、内面106は、タービン部18のロータブレード70を取り囲んでいる。代替の実施形態では、内面106は、回転機械10が本明細書で説明されるように動作することを可能にする回転機械10の任意の部分を取り囲んでもよい。コーティング108が内面106に塗布されて、高温高速ガスからのケーシング36の保護を促進する。具体的には、例示的な実施形態では、コーティング108は遮熱コーティングである。あるいは、コーティング108は、回転機械10が本明細書で説明されるように動作することを可能にする任意のタイプのコーティングであってもよい。
【0018】
例示的な実施形態では、ケーシング36は、第1のターゲット衝突面102と第2のターゲット衝突面104とを含む。
図2には2つのターゲット衝突面102および104が示されているが、代わりに、ケーシング36は、3つ、4つ、または5つのターゲット衝突面を含むがこれらに限定されない、回転機械10が本明細書で説明するように動作することを可能にする多数のターゲット衝突面を含んでもよい。ケーシング36は通常、複数の周方向ケーシングフックまたはシュラウドフック116および118によって互いに結合された複数の周方向部分110,112,および114を含む。例示的な実施形態では、第1の周方向部分110は第1のケーシングフック116によって第2の周方向部分112に結合され、第2の周方向部分112は第2のケーシングフック118によって第3の周方向部分114に結合される。
【0019】
図2に示されるように、第2の周方向部分114は、第1のターゲット衝突面102と第2のターゲット衝突面104とを含む。第1のターゲット衝突面102は第1のターゲット衝突面の厚さ120を有し、第2のターゲット衝突面104は第2のターゲット衝突面の厚さ122を有する。同様に、第1の周方向部分110は第1の周方向部分の厚さ124を有し、第3の周方向部分114は第3の周方向部分の厚さ125を有する。以下で説明するように、厚さ120~125は、回転機械10に機械的支持を提供すると同時に、周方向部分110,112,および114を通じて熱伝達を可能にするように選択される。
【0020】
ケーシング冷却システム100は、第1の衝突板126および第2の衝突板128を含む。例示的な実施形態では、第1の衝突板126が第1のターゲット衝突面102および第2のターゲット衝突面104上に配置されるように、第1の衝突板126は第1のケーシングフック116および第2のケーシングフック118に結合される。代替の実施形態では、第1の衝突板126は、第1のターゲット衝突面102上のみに配置されてもよく、または第1の衝突板126は、第1のターゲット衝突面102上および部分的にだけ第2のターゲット衝突面104上に配置されてもよい。例示的な実施形態では、第2の衝突板128は、第2のターゲット衝突面104上にのみ配置される。代替の実施形態では、第2の衝突板128は、第2のターゲット衝突面104上および部分的にだけ第1のターゲット衝突面102上に配置されてもよい。さらに、例示的な実施形態では、第2の衝突板128は、第1の衝突板126が第2の衝突板128上に配置されるように第2の周方向部分112に結合される。代替の実施形態では、第1の衝突板126は第2の衝突板128上に配置されなくてもよく、または第1の衝突板126は第2の衝突板128上に部分的にだけ配置されてもよい。
【0021】
例示的な実施形態では、第1の衝突板126、第2の衝突板128、第1のケーシングフック116、第2のケーシングフック118、および第1のターゲット衝突面102は、第1の衝突ゾーン130を画定する。第2の衝突板128および第2のターゲット衝突面104は、第2の衝突ゾーン132を画定する。第1の衝突ゾーン130は、ケーシング36の周りに円周方向に延び、冷却流体の流れをケーシング36の周りに導いて、第1のターゲット衝突面102を冷却する。同様に、第2の衝突ゾーン132は、ケーシング36の周りに円周方向に延び、冷却流体の流れをケーシング36の周りに導いて、第2のターゲット衝突面104を冷却する。例示的な実施形態では、冷却流体の流れは衝突空気の流れである。ただし、冷却流体の流れは、ケーシング冷却システム100が本明細書で説明されるように動作することを可能にする任意のタイプの冷却流体であり得る。
【0022】
図3は、第1の衝突板126および第2の衝突板128の概略上面図である。第1の衝突板126および第2の衝突板128はそれぞれ、それらを貫通して延びる複数の衝突孔200を含む。衝突孔200は、衝突空気の流れを第1の衝突ゾーン130および/または第2の衝突ゾーン132に導くように編成およびサイズ決めされ、第1のターゲット衝突面102および/または第2のターゲット衝突面104の冷却を促進する。各衝突孔200は、重心202と衝突孔直径204を含む。
図3に示されている衝突孔200は、隣接する衝突孔200の重心202の間に画定された衝突孔距離206で編成されている。第1の衝突板126および第2の衝突板128に画定された衝突孔200は、衝突孔密度パターン208に編成されている。例示的な実施形態では、衝突孔距離206は、衝突孔密度パターン208が一定の衝突孔密度パターン208であるように、すべての衝突孔200の間で一定である。代替の実施形態では、衝突孔距離206は、衝突孔密度パターン208が変動する衝突孔密度パターン208であるように、隣接する衝突孔200間で変動し得る。
【0023】
第1の衝突板126および第2の衝突板128の局所領域内に画定される衝突孔密度パターン208は、流量、速度、圧力降下、レイノルズ数、および最終的には衝突空気の流れの熱伝達係数を決定する主要なパラメータの1つである。パラメータのその組み合わせは、第1のターゲット衝突面102および/または第2のターゲット衝突面104に沿った最終的な熱伝達係数および熱伝達率を決定する。
【0024】
冷却ゾーンを第1の衝突ゾーン130および第2の衝突ゾーン132に区画化するとともに、第1のターゲット衝突面102および/または第2のターゲット衝突面104の局所領域内に画定される衝突孔密度パターン208を調整することにより、流量、速度、圧力降下、レイノルズ数の調整、および最終的に、第1のターゲット衝突面102および/または第2のターゲット衝突面104に沿った熱伝達係数の調整が容易になる。熱伝達係数を局所要件に合わせて調整することにより、ケーシング冷却システム100はケーシング36を効率的に冷却できる。
【0025】
図2を参照すると、動作中、矢印134で示される第1の衝突空気の流れは、ケーシング冷却システム100に導かれる。例示的な実施形態では、第1の衝突空気の流れ134は、圧縮機部14(
図1に示す)からケーシング冷却システム100に導かれる。第1の衝突空気の流れ134は、ケーシング冷却システム100が本明細書で説明されるように動作することを可能にする任意の空気源から生じてもよい。第1の衝突空気の流れ134は第1の温度にある。第1の衝突板126内の衝突孔200は、第1の衝突空気の流れ134を第1のターゲット衝突面102に向けて第1の衝突ゾーン130に導く。第1の衝突空気の流れ134は、第1のターゲット衝突面102からの熱を吸収し、これにより、第1の衝突空気の流れ134の動作温度が第1の温度から第2の温度まで上昇し、第1のターゲット衝突面102の温度が低下し、第1の衝突空気の流れ134は、矢印136によって示される、より高い動作温度を有する第2の衝突空気の流れになる。第1の衝突空気の流れ134の一部または全部は、第2の衝突空気の流れ136になる。例えば、第1の衝突空気の流れ134の一部は、第2の衝突ゾーン132に入る前に、複数の冷却出口孔(図示せず)を通って第1の衝突ゾーン130を出ることができる。さらに、第1の衝突空気の流れ134の一部は、第2の衝突ゾーン132に入る前に、第1の衝突板126内の衝突孔200を通って第1の衝突ゾーン130を出ることができる。したがって、第1の衝突空気の流れ134の一部は、第1の衝突板126内の複数の冷却出口孔または衝突孔200から出ることができ、一方で、第1の衝突空気の流れ134の一部は、第2の衝突板128内の衝突孔200を通って第2の衝突ゾーン132に入る。あるいは、第1の衝突空気の流れ134のすべては、第2の衝突空気の流れ136となり、第2の衝突ゾーン132に流れ込むことができる。次に、第2の衝突空気の流れ136は、第2の衝突板128内の衝突孔200により、第2のターゲット衝突面104に向けて第2の衝突ゾーン132に導かれる。第2の衝突空気の流れ136は、第2のターゲット衝突面104から追加の熱を吸収し、これにより、第2の衝突空気の流れ136の温度が第2の温度から第3の温度に上昇し、第2のターゲット衝突面104の温度が低下する。したがって、例示的な実施形態では、第1のターゲット衝突面102および第2のターゲット衝突面104は、第1の衝突空気の流れ134から生じる単一の衝突空気の流れによって冷却される。第2の衝突空気の流れ136は第1の衝突空気の流れ134から生じるため、第2の衝突空気の流れ136の流量は第1の衝突空気の流れ134の流量以下である。逆に、第1の衝突空気の流れ134の流量は、第2の衝突空気の流れ136の流量以上である。
【0026】
図2に示されるように、第2のターゲット衝突面104は、ロータブレード70の円周方向列の真上に配置される。ロータブレード70の円周方向列(第2のターゲット衝突面104)の真上のケーシング36の領域は、ロータブレード70の円周方向列(第1のターゲット衝突面102)の真上ではないケーシング36の領域よりも高温に曝される。したがって、第1のターゲット衝突面102の温度は一般に、第2のターゲット衝突面104の温度よりも低い。ただし、第1のターゲット衝突面102の温度は、第2のターゲット衝突面104の温度以上であってもよい。衝突空気の流れ134および136とターゲット衝突面102および104との間の温度差は、とりわけ、衝突空気の流れ134および136とターゲット衝突面102および104との間の全体的な熱伝達率を部分的に決定する。例示的な実施形態では、衝突空気の流れ136は第1の衝突面102から熱を吸収したため、衝突空気の流れ134は衝突空気の流れ136よりも冷たい。第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の十分な温度差は、第2のターゲット衝突面104から第2の衝突空気の流れ136への熱伝達を促進する。さらに、第1の衝突空気の流れ134を第2の衝突空気の流れ136として再利用することにより、第2のターゲット衝突面104を冷却するための専用の追加冷却流が不要になるため、回転機械10の効率を高めることが容易になる。
【0027】
加えて、第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の熱伝達効率は、第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達率を部分的に決定する。熱伝達効率は、第2のターゲット衝突面の厚さ122によって部分的に決定される。具体的には、第1のターゲット衝突面の厚さ120は、第2のターゲット衝突面の厚さ122とは異なる。例示的な実施形態では、第2のターゲット衝突面の厚さ122は、第2の衝突空気の流れ136が熱負荷(すなわち、ロータブレード70の円周方向列)により近く、第1のターゲット衝突面の厚さ120が第2のターゲット衝突面の厚さ122よりも厚くなるように減少する。したがって、第2のターゲット衝突面の厚さ122を減らすことにより、第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の熱伝達効率を高めることが容易になり、そして第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達率を高めることが容易になる。第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達率を高めることにより、回転機械10の効率を高めることが容易になる。さらに、第2のターゲット衝突面の厚さ122を減らすことで、回転機械10の重量も減らすことができる。
【0028】
しかし、第2のターゲット衝突面の厚さ122を減らすと、回転機械10の熱効率の向上が促進されるが、第2のターゲット衝突面の厚さ122を減らすと、第2のターゲット衝突面104に近接するケーシング36の機械的応力の増大も促進する可能性がある。したがって、ケーシング36の厚さは、ケーシング36に沿って(すなわち、ロータブレード70の円周方向列上の第2のターゲット衝突面104まで)最も高い熱負荷が位置する領域でのみ減少する。加えて、第2の衝突板128は、第2のターゲット衝突面104の周りでケーシング36に機械的支持を提供するために、第2のターゲット衝突面104の真上に配置される。したがって、第2の衝突板128はまた、第2のターゲット衝突面の厚さ122を減少させることにより生じる機械的応力を減少させる機械的利点を提供する。さらに、第1の周方向部分の厚さ124および第3の周方向部分の厚さ125は、第2のターゲット衝突面の厚さ122を減少させることにより生じる機械的応力を減少させる機械的利点を提供するために増加され得る。
【0029】
加えて、上述のように、流量、速度、圧力降下、レイノルズ数、および最終的には、第2の衝突空気の流れ136の熱伝達係数は、衝突孔距離206、衝突孔直径204、および第1の衝突板126および第2の衝突板128内の衝突孔200の衝突孔密度パターン208を変えることにより調整され得る。さらに、流量、速度、圧力降下、レイノルズ数、および最終的には、第2の衝突空気の流れ136の熱伝達係数は、第1の衝突板126と第1のターゲット衝突面102との間の距離を変えることにより調整され得る。したがって、第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の熱伝達係数は、第2のターゲット衝突面104の局所領域で増加または減少して、回転機械10の効率の向上を促進できる。
【0030】
図2に示された例示的な実施形態は、第1の衝突ゾーン130と第2の衝突ゾーン132の2つの衝突ゾーンのみを含んでいた。しかしながら、ケーシング冷却システム100は、ケーシング冷却システム100が本明細書に記載されるように動作することを可能にする、3つ、4つ、またはそれ以上の衝突ゾーンを含むがこれらに限定されない任意の数の衝突ゾーンを含んでもよい。さらに、ケーシング冷却システム100は、第1のターゲット衝突面102および第2のターゲット衝突面104の2つのターゲット衝突面のみを含むが、ケーシング冷却システム100は、ケーシング冷却システム100が本明細書に記載されるように動作することを可能にする、3つ、4つ、またはそれ以上のターゲット面を含むがこれらに限定されない任意の数の任意の数のターゲット面を含んでもよい。すなわち、ケーシング冷却システム100は、3つ以上のターゲット面を冷却するために衝突空気を2回以上再利用する3つ以上の衝突ゾーンを含んでもよい。
【0031】
したがって、
図2および
図3に示される例示的な実施形態では、ロータブレード70の円周方向列の真上の第2のターゲット衝突面104を冷却し、第1の衝突空気の流れ134を再利用して第2のターゲット衝突面104を冷却することにより、回転機械10の効率を高めることが容易になる。
【0032】
図4は、回転機械10(
図1に示す)のタービン部18に近接したケーシング36の外面38に配置されたケーシング冷却システム400の拡大概略図である。ケーシング冷却システム400は、ケーシング冷却システム100と実質的に同様であるが、ケーシング冷却システム400は、矢印404で示される第3の衝突空気の流れを第2の衝突ゾーン132に導くように構成された第2の衝突ゾーンダクト402を含む点が異なる。動作中、第3の衝突空気の流れ404は、圧縮機部14(
図1に示す)からケーシング冷却システム400に導かれる。第3の衝突空気の流れ404は、第2の衝突ゾーン132内の第2の衝突空気の流れ136と混合し、矢印406によって示される、第2のターゲット衝突面104に向かう第4の衝突空気の流れに合流する。すなわち、第3の衝突空気の流れ404と第2の衝突空気の流れ136の両方が第2の衝突ゾーン132に入ると、第3の衝突空気の流れ404は第2の衝突空気の流れ136と混合して第4の衝突空気の流れ406になる。したがって、第3の衝突空気の流れ404の温度は第2の衝突空気の流れ136の温度よりも低く、第3の衝突空気の流れ404は第2の衝突空気の流れ136の温度を低下させるため、第4の衝突空気の流れ406の温度は、第2の衝突空気の流れ136の温度よりも低い。したがって、第4の衝突空気の流れ406と第2のターゲット衝突面104との間の温度差が増大し、第4の衝突空気の流れ406と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達も増大する。したがって、第2の衝突空気の流れ136を第3の衝突空気の流れ404と混合することにより、第2のターゲット衝突面104からの全体的な熱伝達を高めることが容易になる。
【0033】
図5は、回転機械10(
図1に示す)のタービン部18に近接したケーシング36の外面38に配置されたケーシング冷却システム500の拡大概略図である。ケーシング冷却システム500は、ケーシング冷却システム100と実質的に同様であるが、ケーシング冷却システム500は、矢印504で示される第5の衝突空気の流れを第2の衝突ゾーン132に導くように構成された第2の衝突ゾーンダクト502を含む点が異なる。加えて、第2の衝突板128は衝突孔200(
図3に示す)を含まず、そのため、第2の衝突空気の流れ136は第2の衝突ゾーン132に導かれない。動作中、第5の衝突空気の流れ504は、圧縮機部14(
図1に示す)からケーシング冷却システム500に導かれ、第2のターゲット衝突面104に向けられる。したがって、第5の衝突空気の流れ504の温度は、第2の衝突空気の流れ136の温度よりも低い。したがって、第5の衝突空気の流れ504と第2のターゲット衝突面104との間の温度差が増大し、第5の衝突空気の流れ504と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達も増大する。したがって、より暖かい第2の衝突空気の流れ136ではなく、より冷たい第5の衝突空気の流れ504を第2のターゲット衝突面104に案内することにより、第2のターゲット衝突面104からの全体的な熱伝達を高めることが容易になる。
【0034】
図6は、回転機械10(
図1に示す)のタービン部18に近接したケーシング36の外面38に配置されたケーシング冷却システム600の拡大概略図である。ケーシング冷却システム600は、ケーシング冷却システム100と実質的に同様であるが、ケーシング冷却システム600は、第2の衝突空気の流れ136を冷却するように構成された第2の衝突板熱交換器602を含む点が異なる。例示的な実施形態では、第2の衝突板熱交換器602は、第2の衝突空気の流れ136を冷却するように構成された複数のチャネル604を含む板およびフレーム熱交換器である。第2の衝突板熱交換器602は、チャネル604を含むように付加的に製造されてもよく、または第2の衝突板熱交換器602が本明細書で説明されるように動作することを可能にする任意の方法によって製造されてもよい。動作中、第2の衝突空気の流れ136は、第2の衝突空気の流れ136の温度が低下して、矢印606で示される第6の衝突空気の流れになるように、第2の衝突板熱交換器602のチャネル604を通じて導かれる。したがって、第6の衝突空気の流れ606の温度は、第2の衝突空気の流れ136の温度よりも低い。第6の衝突空気の流れ606と第2のターゲット衝突面104との間の温度差は増大し、第6の衝突空気の流れ606と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達も増大する。したがって、より暖かい第2の衝突空気の流れ136ではなく、より冷たい第6の衝突空気の流れ606を第2のターゲット衝突面104に案内することにより、第2のターゲット衝突面104からの全体的な熱伝達を高めることが容易になる。
【0035】
図7は、回転機械10(
図1に示す)のタービン部18に近接したケーシング36の外面38に配置されたケーシング冷却システム700の拡大概略図である。ケーシング冷却システム700は、ケーシング冷却システム100と実質的に同様であるが、ケーシング冷却システム700は、第1の衝突空気の流れ134および/または第2の衝突空気の流れ136を冷却するように構成された複数のチャネル706をそれぞれ含む第1のケーシングフック702および第2のケーシングフック704を含む点が異なる。すなわち、第1のケーシングフック702および第2のケーシングフック704は、第1の衝突空気の流れ134および/または第2の衝突空気の流れ136を冷却するように構成された熱交換器である。例示的な実施形態では、第1のケーシングフック702および第2のケーシングフック704は、チャネル706を含むように付加的に製造されるか、または第1のケーシングフック702および第2のケーシングフック704が本明細書に記載されるように動作することを可能にする任意の方法によって製造され得る。動作中、第1の衝突空気の流れ134および/または第2の衝突空気の流れ136は、第1のケーシングフック702および第2のケーシングフック704のチャネル706を通じて導かれ、これにより、第1の衝突空気の流れ134および/または第2の衝突空気の流れ136の温度が低下する。より冷たい第1の衝突空気の流れ134および/または第2の衝突空気の流れ136は、第1の衝突空気の流れ134および/または第2の衝突空気の流れ136の温度を下げるために第1の衝突ゾーン130および/または第2の衝突ゾーン132に戻される。したがって、第1の衝突空気の流れ134と第1のターゲット衝突面102との間、および/または第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の温度差が大きくなり、第1の衝突空気の流れ134と第1のターゲット衝突面102との間、および/または第2の衝突空気の流れ136と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達も増加する。したがって、第1の衝突空気の流れ134および/または第2の衝突空気の流れ136の温度を下げることにより、第2のターゲット衝突面104からの全体的な熱伝達を高めることが容易になる。
【0036】
図8は、回転機械10(
図1に示す)のタービン部18に近接したケーシング36の外面38に配置されたケーシング冷却システム800の拡大概略図である。ケーシング冷却システム800は、ケーシング冷却システム100と実質的に同様であるが、ケーシング冷却システム800は、第1の衝突板126および第2の衝突板128とは異なる構造的特徴を有する第1の衝突板802および第2の衝突板804を含む点が異なる。例えば、第1の衝突板802はくぼみ806を画定し、したがって、第1のターゲット衝突面102により近い。くぼみ806は、第1の衝突板802と第1のターゲット衝突面102との間の距離を短縮し、そのため、第1の衝突板802と第1のターゲット衝突面102との間の熱伝達効率を改善し得る。第2の衝突板804は、第2の衝突板804が中間衝突ゾーン810を画定するように、追加の中間衝突ゾーン壁808を含む。中間衝突ゾーン810は、第1の衝突ゾーン130から第2の衝突ゾーン132への衝突空気の圧力降下を制御する。中間衝突ゾーン壁808は、衝突空気を第2のターゲット衝突面104に案内するように構成された複数の衝突孔200(
図3に示す)を含む。動作中、第1の衝突空気の流れ134は、第1のターゲット衝突面102に導かれ、第1のターゲット衝突面102から熱を吸収して、第2の衝突空気の流れ136になる。次に、第2の衝突空気の流れ136は、第2の衝突板804内の中間衝突ゾーン810に導かれる。次に、第2の衝突空気の流れ136は、中間衝突ゾーン壁808内の衝突孔200によって、第2のターゲット衝突面104に向けて第2の衝突ゾーン132に導かれる。第2の衝突空気の流れ136は、第2のターゲット衝突面104の温度が低下するように、第2のターゲット衝突面104からの追加の熱を吸収する。したがって、例示的な実施形態では、第1のターゲット衝突面102および第2のターゲット衝突面104は、単一の衝突空気の流れによって冷却される。
【0037】
図9は、回転機械10(
図1に示す)のタービン部18に近接したケーシング36の外面38に配置されたケーシング冷却システム900の拡大概略図である。ケーシング冷却システム900は、ケーシング冷却システム800と実質的に同様であるが、ケーシング冷却システム900は、矢印908で示される第7の衝突空気の流れを中間衝突ゾーン810に導くように構成された第2の衝突ゾーンダクト906を有する第2の衝突板904を含む点が異なる。動作中、第7の衝突空気の流れ908は、圧縮機部14(
図1に示す)からケーシング冷却システム900に導かれる。第7の衝突空気の流れ908は、第2の衝突空気の流れ136と混合し、中間衝突ゾーン810内で矢印910によって示される第8の衝突空気の流れに結合する。次に、第8の衝突空気の流れ910は、中間衝突ゾーン壁808内の衝突孔200によって、第2のターゲット衝突面104に向けて第2の衝突ゾーン132に導かれる。第8の衝突空気の流れ910は、第2のターゲット衝突面104の温度が低下するように、第2のターゲット衝突面104から追加の熱を吸収する。したがって、第7の衝突空気の流れ908の温度は第2の衝突空気の流れ136の温度よりも低く、第7の衝突空気の流れ908は第2の衝突空気の流れ136の温度を低下させるため、第8の衝突空気の流れ910の温度は、第2の衝突空気の流れ136の温度よりも低い。したがって、第8の衝突空気の流れ910と第2のターゲット衝突面104との間の温度差が増大し、第8の衝突空気の流れ910と第2のターゲット衝突面104との間の全体的な熱伝達も増大する。したがって、第2の衝突空気の流れ136を第7の衝突空気の流れ908と混合することにより、第2のターゲット衝突面104からの全体的な熱伝達を高めることが容易になる。
【0038】
図9に示すように、第2の周方向部分114は、第3のターゲット衝突面912と第4のターゲット衝突面914を含む。第3のターゲット衝突面912は第3のターゲット衝突面の厚さ916を有し、第4のターゲット衝突面914は第4のターゲット衝突面の厚さ918を有する。
図2および
図4~
図8に示すように、第1のターゲット衝突面の厚さ120は、第2のターゲット衝突面の厚さ122とは異なる。具体的には、第1のターゲット衝突面の厚さ120は、第2のターゲット衝突面の厚さ122よりも大きい。しかしながら、ターゲット衝突面の厚さ120,122,916,および918は、ターゲット衝突面102,104,912,および914の全体の熱伝達率および熱伝達効率が回転機械10の要件に調整されるように変更され得る。例えば、
図9に示されるように、第3のターゲット衝突面の厚さ916は、第4のターゲット衝突面の厚さ918よりも小さい。例示的な実施形態では、第3のターゲット衝突面の厚さ916は、第1の衝突空気の流れ134が第3のターゲット衝突面912より下の熱負荷により近くなるように減少する。したがって、第3のターゲット衝突面の厚さ916を低減することにより、第1の衝突空気の流れ134と第3のターゲット衝突面912との間の熱伝達効率を高めることが容易になり、そして第1の衝突空気の流れ134と第3のターゲット衝突面912との間の全体的な熱伝達率を高めることが容易になる。第1の衝突空気の流れ134と第3のターゲット衝突面912との間の全体的な熱伝達率を増大させることにより、回転機械10の効率を高めることが容易になる。さらに、第3のターゲット衝突面の厚さ916を低減することにより、回転機械10の重量も低減することができる。加えて、第1の衝突空気の流れ134と第3のターゲット衝突面912との間の熱伝達効率は、第1の衝突空気の流れ134と第3のターゲット衝突面912との間の全体的な熱伝達率を部分的に決定する。熱伝達効率は、第3のターゲット衝突面の厚さ916によって部分的に決定される。
【0039】
図10は、ケーシング36を冷却する方法1000の例示的な実施形態のフロー図である。方法1000は、第1の冷却流体の流れを冷却流体源(圧縮機部14)から第1の衝突板126に画定された複数の第1の衝突孔200を通じてケーシング36の第1の領域102に導くステップ1002を含む。ケーシングの第1の領域102は、第1の厚さ120を有する。この方法はまた、第2の冷却流体の流れを冷却流体源(圧縮機部14)から第2の衝突板128に画定された複数の第2の衝突孔200を通じてケーシング36の第2の領域104に導くステップ1004を含む。ケーシング36の第2の領域104は、第2の厚さ122を有する。第1の厚さ120は、第2の厚さ122よりも大きい。
【0040】
本明細書に記載のケーシング冷却システムおよび方法の例示的な実施形態は、回転機械の効率の向上、回転機械の重量の減少、および回転機械のケーシングの冷却を促進する。本明細書に記載のケーシング冷却システムの実施形態は、第1のターゲット衝突面上に配置された第1の衝突板と、第2のターゲット衝突面上に配置された第2の衝突板とを含む。第1および第2の衝突板はそれぞれ、衝突空気の流れを第1および第2のターゲット衝突面にそれぞれ導くように構成された複数の衝突孔を含む。第1および第2のターゲット衝突面は、回転機械のケーシングの外面に配置されている。第2のターゲット衝突面は、温度が上昇したケーシングの領域上に配置され、したがって、第1のターゲット衝突面よりも高い温度を有する。第2のターゲット衝突面でのケーシングの厚さは、第1のターゲット衝突面でのケーシングの厚さよりも薄い。したがって、衝突空気とターゲット衝突面との間の熱伝達係数は、第1のターゲット衝突面よりも第2のターゲット衝突面の方が高い。第1の衝突板によって第1のターゲット衝突面に導かれた第1の衝突空気の流れは、第1のターゲット衝突面から熱を吸収し、第1の衝突空気の流れよりも暖かい第2の衝突空気の流れとなる。次に、第2の衝突空気の流れは、第2の衝突板によって第2のターゲット衝突面に導かれ、第2のターゲット衝突面から熱を吸収する。したがって、第1および第2のターゲット衝突面は、単一の衝突空気の流れによって冷却され、これにより、回転機械の効率の向上が促進される。
【0041】
本明細書に記載の方法、装置、およびシステムは、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。例えば、各装置またはシステムの構成要素および/または各方法のステップは、本明細書に記載した他の構成要素および/またはステップから独立してかつ別個に使用および/または実施することができる。さらに、各構成要素および/またはステップはまた、他のアセンブリおよび方法で使用および/または実施することができる。
【0042】
本開示について様々な特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本開示が特許請求の範囲の趣旨および範囲内で変更形態を使用して実施できることを認識するであろう。本開示の様々な実施形態の具体的な特徴をいくつかの図面には示してあって、他の図面には示していないが、これは単に便宜上のためである。さらに、上記の説明における「一実施形態」への言及は、記載した特徴も組み込んだ付加的な実施形態の存在を除外するものと解釈されることを意図しない。本開示の原理によれば、図面の任意の特徴が、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照および/または請求することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 回転機械、ガスタービン
12 吸気部
14 圧縮機部
16 燃焼器部
18 タービン部
20 排気部
22 ロータシャフト
24 燃焼器
36 ケーシング
38 ケーシング外面
40 圧縮機ブレード
42 圧縮機ステータベーン
70 ロータブレード
72 タービンステータベーン
100 ケーシング冷却システム
102 第1のターゲット衝突面、第1の領域
104 第2のターゲット衝突面、第2の領域
106 内面
108 コーティング
110 第1の周方向部分
112 第2の周方向部分
114 第3の周方向部分
116 第1のケーシングフック
118 第2のケーシングフック
120 第1のターゲット衝突面の厚さ
122 第2のターゲット衝突面の厚さ
124 第1の周方向部分の厚さ
125 第3の周方向部分の厚さ
126 第1の衝突板
128 第2の衝突板
130 第1の衝突ゾーン
132 第2の衝突ゾーン
134 第1の衝突空気の流れ
136 第2の衝突空気の流れ
200 第1の衝突孔、第2の衝突孔
202 重心
204 衝突孔直径
206 衝突孔距離
208 衝突孔密度パターン
400 ケーシング冷却システム
402 第2の衝突ゾーンダクト
404 第3の衝突空気の流れ
406 第4の衝突空気の流れ
500 ケーシング冷却システム
502 第2の衝突ゾーンダクト
504 第5の衝突空気の流れ
600 ケーシング冷却システム
602 第2の衝突板熱交換器
604 チャネル
606 第6の衝突空気の流れ
700 ケーシング冷却システム
702 第1のケーシングフック
704 第2のケーシングフック
706 チャネル
800 ケーシング冷却システム
802 第1の衝突板
804 第2の衝突板
806 くぼみ
808 中間衝突ゾーン壁
810 中間衝突ゾーン
900 ケーシング冷却システム
904 第2の衝突板
906 第2の衝突ゾーンダクト
908 第7の衝突空気の流れ
910 第8の衝突空気の流れ
912 第3のターゲット衝突面
914 第4のターゲット衝突面
916 第3のターゲット衝突面の厚さ
918 第4のターゲット衝突面の厚さ
1000 方法