(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】高内水相エマルション
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20240624BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240624BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20240624BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240624BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240624BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240624BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240624BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240624BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240624BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240624BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240624BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240624BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240624BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240624BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240624BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/9794
A61K8/55
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q1/00
A61K47/06
A61K47/44
A61K47/24
A61K47/14
A61K47/10
A61K9/107
A61P17/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019197618
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロヒット・ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】リテシュ・シンハ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・バーレーラ・モンテロー
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/020778(WO,A1)
【文献】特開2010-248173(JP,A)
【文献】特開2012-067049(JP,A)
【文献】特開2010-229103(JP,A)
【文献】特開2002-348210(JP,A)
【文献】特開2000-308820(JP,A)
【文献】特開2008-024630(JP,A)
【文献】特開平11-158032(JP,A)
【文献】特開昭61-037710(JP,A)
【文献】Okuro. K. Paula, et al,Formation and stability of W/O-high internal phase emulsions (HIPEs) and derived O/W emulsions stabilized by PGPR and lecithin,Food Research International,2019年04月13日,Volume122,p.252-262
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
W/Oエマルションの形態の組成物であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の乳化剤と、
(c)水と
(d)少なくとも1種のアルコールと
を含み、
前記(b)乳化剤が、レシチン、ジステアリン酸グリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ステアレス-2、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記組成物中の前記(b)乳化剤の量が、前記組成物の総質量に対して、1質量%から25質量%であり、
前記(a)油及び前記(b)乳化剤の混合物の融点が、5℃から50℃の間であり、
前記組成物中の前記(c)水の量が、前記組成物の総質量に対して、50質量%以上である、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、連続相及び分散相を含み、
前記連続相が、前記(a)油及び前記(b)乳化剤を含み、
前記分散相が、前記(c)水を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(a)油のハンセン溶解度パラメーターが、13.5~18MPa
0.5である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(a)油が、炭化水素油、植物油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(a)油が、ドデカン、ヘミスクワラン、スクワラン、ヤシ油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の前記(a)油の量が、前記組成物の総質量に対して、1質量%から25質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(b)乳化剤のHLB値が、1.7超7未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記(b)乳化剤が、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記(b)乳化剤として、第1及び第2の乳化剤を含み、
前記第1の乳化剤が、5℃未満の融点を有し、
前記第2の乳化剤が、30℃超の融点を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中の前記(b)乳化剤の量が、前記組成物の総質量に対して、
3質量%から
20質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
1質量%以下の増粘剤を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
化粧用組成物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質のための美容方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に塗布する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の水を含むW/Oエマルションの形態の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料又は皮膚科学の分野において、W/Oエマルションを使用することは既知の実践法である。油相中に分散された水相からなるこれらのエマルションは、外油相を有し、したがって、W/Oエマルションベースの化粧料/皮膚科用製品は、快適な触感をもたらすことができる。
【0003】
相対的に多量の水を含むW/Oエマルションは、高内相W/Oエマルションと呼ばれている。一般に、高内相W/Oエマルションは、エマルションの外油相に起因する良好な耐水性又は耐汗性に加えて、相対的に多量の水に起因する、よりみずみずしい感覚をもたらすことができる。
【0004】
しかしながら、安定性の高内水相エマルションを調製することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第2,528,378号
【文献】米国特許第2,781,354号
【文献】米国特許第4,874,554号
【文献】米国特許第4,137,180号
【文献】US-A-5364633
【文献】US-A-5411744
【非特許文献】
【0006】
【文献】Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Press
【文献】Cosmetics and Toiletries、91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」
【文献】「Hansen Solubility Parameters: A User's Handbook」、Charles M. Hansen著、CRC Press (2007)
【文献】「Solubility parameter values」、Eric A. Gruike著、「Polymer Handbook」、第3版、VII章、519~559頁
【文献】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【文献】「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、多量の水を含むW/Oエマルションの形態の安定性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の乳化剤と、
(c)水と
を含み、
(a)油及び(b)乳化剤の混合物の融点が、5℃から50℃の間であり、
組成物中の(c)水の量が、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である、W/Oエマルションの形態の組成物によって達成することができる。
【0009】
本発明による組成物は、連続相及び分散相を含んでもよく、連続相は、(a)油及び(b)乳化剤を含むことができ、分散相は、(c)水を含むことができる。
【0010】
(a)油のハンセン溶解度パラメーターは、13.5~18MPa0.5、好ましくは14.0~17.5MPa0.5、より好ましくは14.5~17MPa0.5であってもよい。
【0011】
(a)油は、炭化水素油、植物油、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0012】
(a)油は、ドデカン、ヘミスクワラン、スクワラン、ヤシ油、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0013】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であってもよい。
【0014】
(b)乳化剤のHLB値は、1.7超7未満、好ましくは2.0超6.5未満、より好ましくは3.0超6.0未満であってもよい。
【0015】
(b)乳化剤は、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0016】
(b)乳化剤は、レシチン、ジステアリン酸グリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ステアレス-2、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0017】
本発明による組成物は、(b)乳化剤として第1及び第2の乳化剤を含んでもよく、ここで、第1の乳化剤は、5℃未満の融点を有し、第2の乳化剤は、30℃超の融点を有する。
【0018】
本発明による組成物中の(b)乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であってもよい。
【0019】
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルコールを更に含んでもよい。
【0020】
本発明による組成物は、1質量%以下の増粘剤、好ましくは0.1質量%以下の増粘剤を含んでもよく、より好ましくは増粘剤を含まなくてもよい。
【0021】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは皮膚化粧用組成物であってもよい。
【0022】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のための美容方法、好ましくは保湿(moisturizing or hydrating)方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、本発明者らは、多量の水を含むW/Oエマルションの形態の安定性組成物を提供することが可能であることを発見した。したがって、本発明によるW/Oエマルションの形態の組成物は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)少なくとも1種の乳化剤と、
(c)水と
を含み、
(a)油及び(b)乳化剤の混合物の融点は5℃から50℃の間であり、
組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
【0024】
本発明によるW/Oエマルションの形態の組成物は、安定性であり、そのW/O構造を長時間維持することができる。これは、可視相分離なしに一様又は均一な外観によって目視的に確認することができる。
【0025】
本発明による組成物は、油相及び油相中に分散された水相を含む。乳化剤は、油相と水相との間の境界面に存在することができる。乳化剤は、水相の周囲に保護層を形成し得、油相中の水相の分散を安定化することができる。
【0026】
多量の水を含む組成物中、油相中の水相周囲の保護層の厚さは薄い傾向があり、又はあまり剛性でない可能性があり、したがって、油相中の水相の分散を安定化することは概して困難である。しかしながら、本発明では、保護層の剛性は、硬質すぎず軟質すぎないように制御することが可能であり、したがって、保護層は脆弱でない。これに応じて、本発明による組成物中の水相を十分に保護することができ、油相中での該水相の分散を維持することが可能である。一方で、保護層は、本発明による組成物をケラチン物質に塗布するとき、指等によって加えられ得る剪断力によって急速に破壊し得る。したがって、水相をケラチン物質に塗り広げて水を放出させてもよく、これによってみずみずしい使用感がもたらされ得る。
【0027】
本発明による組成物の粘性は、増粘剤なしで制御することができる。本発明による組成物の粘性は、液滴サイズ及び水相の質量パーセント等の内相構造によって制御することができる。
【0028】
更に、本発明による組成物は、内水相中の水溶性美容有効成分の量を増加させることができるため、優れた美容効果をもたらすことができる。更に、本発明によるW/Oエマルションの形態の組成物は、特有のテクスチャ特性をもたらすことができる。塗布すると、使用者は、組成物の柔らかさ及び滑らかさを感じ取ることができる(これらの感触は、主に油相から得ることができる)。使用者が、ケラチン物質に十分に塗布しようと、より大きな剪断力を加えると、エマルションは硬質になり得る。次いで、エマルションが破壊して、水相から水が放出され得る。
【0029】
本発明による組成物中の(a)油が、13.5~18MPa0.5、好ましくは14.0~17.5MPa0.5、より好ましくは14.5~17MPa0.5のハンセン溶解度パラメーターを有する場合、本発明による組成物の安定性は更に改善され得る。
【0030】
(b)乳化剤が、1.7超7未満、好ましくは2.0超6.5未満、より好ましくは3.0超6.0未満のHLB値を有する場合、本発明による組成物の安定性は更に改善され得る。
【0031】
以下、本発明による組成物、方法等をより詳細に説明する。
【0032】
[組成物]
本発明による組成物は、連続相及び分散相を含んでもよく、連続相は、(a)油及び(b)乳化剤を含むことができ、分散相は、(c)水を含むことができる。
【0033】
(a)油と(b)乳化剤は、互いに異なる物質である。
【0034】
(a)油及び(b)乳化剤の混合物の融点は5℃から50℃の間、好ましくは10℃から50℃の間、より好ましくは15℃から50℃の間である。
【0035】
(a)油及び(b)乳化剤は、油及び界面活性剤の混合物の最高融解温度より高い温度で混合することができる。任意の従来の方法及び手段を用いて(a)油及び(b)乳化剤を混合してもよい。(a)油及び(b)乳化剤の混合物は、均一又は一様であるべきである。
【0036】
(a)油及び(b)乳化剤の混合物の融点は、例えば、当該技術分野において一般的なDSC(示差走査熱量測定)分析によって決定することができる。
【0037】
混合物が、出発温度で液体(例えば、ペースト)の形態でない場合、混合物を加熱してもよい。融解曲線(加熱中)のピークにおいて読み取る温度は、混合物の融点と見なすことができる。
【0038】
混合物が、出発温度で液体の形態である場合、混合物を冷却してもよい。第1の氷点(冷却中)において読み取る温度は、混合物の融点と見なすことができる。
【0039】
(油)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油を含む。2種以上の(a)油を用いる場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
本明細書において、「油」とは、大気圧(1atm)下、室温(25℃)で、液体又はペースト(非固体)の形態である、脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品において一般的に使用されるものを、単独で、又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0041】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油、植物油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0042】
油は、植物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪アルコールからなる群から選択してもよい。
【0043】
植物油の例として、例えば、ヤシ油、亜麻仁油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、菜種油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0044】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドが挙げられ得る。
【0045】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0046】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中で、少なくとも1つは分枝状である。
【0047】
一酸及び一価アルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルが挙げられ得る。
【0048】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用してもよい。
【0049】
セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを特に挙げることができる。
【0050】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含み、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、かつ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0051】
挙げることができる適当な糖の例としては、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にメチル誘導体等のアルキル誘導体、例えばメチルグルコースがある。
【0052】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から特に選択することができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0053】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物からも選択することができる。
【0054】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えばとりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0055】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0056】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0057】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0058】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0059】
シリコーン油の例として挙げることができるのは、例えば、直鎖状のオルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状のオルガノポリシロキサン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びこれらの混合物である。
【0060】
好ましくは、シリコーン油は、液状ポリジアルキルシロキサン、特に液状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液状ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0061】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上記に定義されるシリコーン油であり、これらの構造中に、炭素水素系基によって結合させた1つ以上の有機官能基を含むシリコーン油である。
【0062】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著「Chemistry and Technology of Silicones」(1968) Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0063】
これらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選択され、更に、より詳細には、以下のものから選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特に、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7207という名称で、又はRhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V2という名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標)7158という名称で、Rhodia社によりSilbione(登録商標)70045 V5という名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217という名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。次式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのようなタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109を挙げることもできる。
【0064】
【0065】
また、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物のような環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物が挙げられる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含み、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社からSH 200の名称で販売されるデカメチルテトラシロキサンである。この部類に属するシリコーン類は、Cosmetics and Toiletries、91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」において公表されている論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
【0066】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用することもできる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中では、トリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0067】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社によって販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度60000mm2/sのDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0068】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られている、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0069】
アリール基を含むシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0070】
フェニルシリコーン油は、以下の式のフェニルシリコーンから選択してもよい:
【0071】
【0072】
(式中、
R1からR10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、0~900(両端の値を含む)、好ましくは0~500(両端の値を含む)、より好ましくは0~100(両端の値を含む)の整数であり、
但し、n+m+qの和は0以外である)。
【0073】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製のDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid油、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0074】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1からR10は、メチルであり、p、q、及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0075】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含んでいてもよい。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製Silwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
【0076】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、ヘミスクワラン、及びイソパラフィン、例としてイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれ、且つ
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン(liquid petroleum jelly)、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクワランが含まれる。
【0077】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクワラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物が挙げられ得る。
【0078】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子が含まれるものを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0079】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有してもよい。少なくとも1つの実施形態において、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択され得る。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。
【0080】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0081】
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0082】
そのため、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0083】
ここで、用語「飽和脂肪アルコール」とは、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪アルコールが、好ましくは使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪アルコールが、より好ましくは使用されうる。分枝状のC16~C20脂肪アルコールが、更により好ましくは使用されうる。
【0084】
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0085】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びこれらの混合物から選択される。
【0086】
ここで、「ハンセン溶解度パラメーター」という用語は、「Hansen Solubility Parameters: A User's Handbook」、Charles M. Hansen著、CRC Press (2007)においてC. M. Hansenによって定義されている溶解度パラメーターを意味する。(a)油は、三次元空間内の3点によって定義され得、これらの3点は、次のように定義することができるハンセン溶解度パラメーター(HSP)として知られている。
【0087】
本明細書で利用する溶解度パラメーターは、計算される数値定数であり、(a)油の挙動を推測する上で便利なツールである。分散力成分(δd)、極性又は双極子相互作用成分(δp)及び水素結合成分(δh)の3つの経験的及び理論的に導かれたハンセン溶解度パラメーターがある。3つのパラメーター(すなわち、分散、極性及び水素結合)はそれぞれ、異なる溶解力の特性、又は溶媒能を表す。組み合わせると、3つのパラメーターは、溶媒の全体的な強度及び選択性を測る基準となる。合計ハンセン溶解度パラメーターは、前述の3つのパラメーターの二乗和平方根であり、(a)油の溶解力のより概略的な説明を提供する。個々の及び合計の溶解度パラメーター単位は、(MPa)0.5で表す。
【0088】
ハンセン溶解度空間によるグローバル溶解度パラメーターδは、文献「Solubility parameter values」、Eric A. Gruike著、「Polymer Handbook」、第3版、VII章、519~559頁において、次の関係式によって規定される:
δ2=δd
2+δp
2+δh
2
[式中、
δdは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴づけ、
δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力を特徴づけ、
δhは、特定の相互作用力(例えば水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴づける]。
【0089】
本発明による組成物中で使用する(a)油は、13.5~18MPa0.5、好ましくは14.0~17.5MPa0.5、より好ましくは14.5~17MPa0.5の範囲のハンセン溶解度パラメーター(δ)を有することが好ましい。
【0090】
(a)油は、炭化水素油、植物油、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0091】
(a)油は、ドデカン、ヘミスクワラン、スクワラン、ヤシ油、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0092】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
【0093】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0094】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であってもよい。
【0095】
(乳化剤)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の乳化剤を含む。2種以上の(b)乳化剤を使用する場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0096】
(b)乳化剤のタイプは、限定されない。そのため、例えば、両親媒性粉末を(b)乳化剤として使用してもよい。この場合、本発明による組成物は、ピッカリングエマルションの形態であってもよい。
【0097】
(b)乳化剤は、界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0098】
したがって、本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含んでもよい。2種以上の界面活性剤が組み合わせて使用されてよい。したがって、単一のタイプの界面活性剤、又は異なるタイプの界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0099】
本発明において使用される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から、好ましくは非イオン性界面活性剤から選択することができる。
【0100】
(c-1)アニオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含んでよい。2種以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0101】
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキルスルフェート、(C6~C30)アルキルエーテルスルフェート、(C6~C30)アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート;(C6~C30)アルキルスルホネート、(C6~C30)アルキルアミドスルホネート、(C6~C30)アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;(C6~C30)アルキルホスフェート;(C6~C30)アルキルスルホスクシネート、(C6~C30)アルキルエーテルスルホスクシネート、(C6~C30)アルキルアミドスルホスクシネート;(C6~C30)アルキルスルホアセテート;(C6~C24)アシルサルコシネート;(C6~C24)アシルグルタメート;(C6~C30)アルキルポリグリコシドカルボキシルエーテル;(C6~C30)アルキルポリグリコシドスルホスクシネート;(C6~C30)アルキルスルホスクシナメート;(C6~C24)アシルイセチオネート;N-(C6~C24)アシルタウレート;C6~C30脂肪酸塩;ヤシ油脂肪酸塩又は水添ヤシ油脂肪酸塩;(C8~C20)アシル乳酸塩;(C6~C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩;並びに対応する酸の形態からなる群から選択されることが好ましい。
【0102】
少なくとも1つの実施形態において、ア二オン性界面活性剤は塩の形態にあり、例えばアルカリ金属(例としてはナトリウム)の塩;アルカリ土類金属(例としてはマグネシウム)の塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩等である。条件によっては、アニオン性界面活性剤は酸の形態にあってもよい。
【0103】
アニオン性界面活性剤は、(C6~C30)アルキルスルフェート、(C6~C30)アルキルエーテルスルフェート又は塩化されていても塩化されていなくてもよいポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸の塩から選択されることがより好ましい。
【0104】
(c-2)両性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の両性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0105】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的に列挙すると)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び任意選択により四級化されているアミン誘導体であってよく、その脂肪族基は、8から22個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1個の水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含有する、直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0106】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0107】
両性界面活性剤は、ベタイン型界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0108】
ベタイン型両性界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から好ましくは選択される。一実施形態では、ベタイン型両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン及びホスホベタインから選択される。
【0109】
挙げることができる非限定的な例には、単独の又は混合物としての、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、及びココスルタインの名称で、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年において分類されている化合物が含まれる。
【0110】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特に、ココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0111】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中では、米国特許第2,528,378号及び同第2,781,354号に記載され、それぞれ以下の構造式を有するアンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称でCTFA辞典、第3版、1982年(この開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる)で分類されている、Miranolの名称で販売されている製品を挙げることができる。
【0112】
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-)M+X- (B1)
【0113】
[式中、
R1は、加水分解したヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル、又はウンデシルの各基を示し、
R2は、β-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示し、
M+は、ナトリウム等のアルカリ金属に由来するカチオン性イオン;アンモニウムイオン;又は有機アミンに由来するイオンを示し、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキル(C1~C4)硫酸イオン、アルキル(C1~C4)-若しくはアルキル(C1~C4)アリール-スルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオン等の有機若しくは無機のアニオン性イオンを示し;又はM+及びX-は存在しない];
【0114】
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C) (B2)
【0115】
[式中、
R1'は、ヤシ油中若しくは加水分解した亜麻仁油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11若しくはC13アルキル基等のアルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和のC17基を示し、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'を表し、z=1又は2であり、
X'は、-CH2-COOH基、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3Z'、-CH2-CHOH-SO3H基又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z'基を示し、
Z'は、ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを表す];
及び
【0116】
Ra''-NH-CH(Y'')-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)n'-N(Rd)(Re) (B'2)
【0117】
[式中、
Y''は、-C(O)OH、-C(O)OZ''、-CH2-CH(OH)-SO3H又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z''(式中、Z''は、ナトリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に由来するカチオン性イオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを示す)を示し、
Rd及びReは、C1~C4アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、
Ra''は、酸からのC10~C30アルキル基又はアルケニル基を示し、
n及びn'は、独立に、1から3の整数を示す]。
【0118】
式B1及び式B2の両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルアンホモノアセテート、(C8~C24)アルキルアンホジアセテート、(C8~C24)アルキルアンホモノプロピオネート及び(C8~C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
【0119】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年において、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸の名称で分類されている。
【0120】
例として、Rhodia Chimie社によりMiranol(登録商標)C2M縮合物という商標名で販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0121】
式(B'2)の化合物の中では、CHIMEX社によってCHIMEXANE HBの呼称で市販されているジエチルアミノプロピルココアスパルトアミドナトリウム(CTFA)を挙げることができる。
【0122】
(c-3)カチオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上のカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0123】
カチオン性界面活性剤は、任意選択でポリオキシアルキレン化された第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0124】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:
以下の一般式(B3)のもの:
【0125】
【0126】
(式中、
R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なってもよく、1から30個の炭素原子並びに任意選択で酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を含む、直鎖状及び分枝状の脂肪族基から選択される)。脂肪族基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、C2~C6ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、(C12~C22)アルキルアミド(C2~C6)アルキル基、(C12~C22)アルキルアセテート基及びヒドロキシアルキル基;並びに芳香族基、例えばアリール基及びアルキルアリール基から選択することができ;X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2~C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキルスルホン酸イオン又はアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される);
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例えば次式(B4)のもの:
【0127】
【0128】
(式中、
R5は、8から30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基、例えば獣脂の、若しくはヤシの脂肪酸誘導体から選択され、
R6は、水素、C1~C4アルキル基、並びに8個から30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択され、
R7は、C1~C4アルキル基から選択され、
R8は、水素及びC1~C4アルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される)。一実施形態では、R5及びR6は、例えば12から21個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選択される基の混合物、例えば獣脂の脂肪酸誘導体であり、R7はメチルであり、R8は水素である。このような製品の例には、Witco社により名称「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGで販売されているクオタニウム-27(CTFA 1997年)及びクオタニウム-83(CTFA 1997年)が挙げられるが、これらに限定されない;
式(B5)のジ又はトリ第四級アンモニウム塩:
【0129】
【0130】
(式中、
R9は、16から30個の炭素原子を含む脂肪族基から選択され、
R10は、水素、1から4個の炭素原子を含むアルキル基、又は(CH2)3(R16a)(R17a)(R18a)N+X-基から選択され、
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a、及びR18aは、同一であっても異なってもよく、水素、及び1から4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチル硫酸イオン及びメチル硫酸イオンから選択される)。
【0131】
そのようなジ第四級アンモニウム塩の一例は、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)又はFINQUAT CT(クオタニウム-75)である;
及び
少なくとも1つのエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば次式(B6)のもの:
【0132】
【0133】
(式中、
R22は、C1~C6アルキル基、並びにC1~C6ヒドロキシアルキル基及びジヒドロキシアルキル基から選択され、
R23は、
以下の基:
【0134】
【0135】
直鎖状及び分枝状の飽和及び不飽和C1~C22炭化水素系基R27、並びに水素から選択され、
R25は、
以下の基:
【0136】
【0137】
直鎖状及び分枝状の飽和及び不飽和C1~C6炭化水素系基R29、並びに水素から選択され、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の飽和及び不飽和C7~C21炭化水素系基から選択され、
r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2~6の範囲の整数から選択され、
r1及びt1の各々は、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、r2+r1=2r及びt1+2t=2tであり、
yは、1~10の範囲の整数から選択され、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の範囲の整数から選択され、
X-は、単体及び錯体の、有機及び無機のアニオンから選択され、ただし、和x+y+zは、1から15の範囲であり、xが0である場合、R23は、R27を示し、zが0である場合、R25は、R29を示すことを条件とする。R22は、直鎖状及び分枝状のアルキル基から選択することができる。一実施形態では、R22は、直鎖状のアルキル基から選択される。別の実施形態では、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、及びジヒドロキシプロピル基から選択され、例えば、メチル基及びエチル基から選択される。一実施形態では、和x+y+zは、1~10の範囲である。R23が炭化水素系基R27である場合、これは、長鎖であり、12から22個の炭素原子を含んでもよく、又は短鎖であり、1から3個の炭素原子を含んでもよい。R25が炭化水素系基R29である場合、これは、例えば、1から3個の炭素原子を含んでいてもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21アルキル基及びアルケニル基から選択される。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態では、yは1に等しい。別の実施形態では、r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン;並びにC1~C4アルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンから選択することができる。しかしながら、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオン、有機酸に由来するアニオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオン、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合する任意の他のアニオンは、本発明に従って使用することができるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選択される。
【0138】
別の実施形態では、
R22が、メチル基及びエチル基から選択され、x及びyが、1に等しく、
zが、0又は1に等しく、
r、s及びtが、2に等しく、
R23が、
以下の基:
【0139】
【0140】
メチル、エチル、及びC14~C22炭化水素系基、水素から選択され、
R25が、
以下の基:
【0141】
【0142】
及び水素から選択され、
R24、R26及びR28が、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17炭化水素系基から選択され、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17アルキル基及びアルケニル基から選択される、
式(B6)のアンモニウム塩を使用することができる。
【0143】
一実施形態では、炭化水素系基は、直鎖状である。
【0144】
挙げることができる式(B6)の化合物の非限定的な例には、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの、塩、例えば塩化物及びメチル硫酸塩、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態では、アシル基は、14から18個の炭素原子を含んでいてもよく、例えば、植物油、例としてパーム油及びヒマワリ油に由来してもよい。化合物がいくつかのアシル基を含有する場合、これらの基は同一であっても異なっていてもよい。
【0145】
これらの生成物は、例えば、任意選択でオキシアルキレン化されたトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に若しくは植物起源の脂肪酸の混合物に直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えばハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選択される。
【0146】
このような化合物は、例えば、Cognis社により名称Dehyquart(登録商標)で、Stepan社により名称Stepanquat(登録商標)で、Ceca社により名称Noxamium(登録商標)で、且つRewo-Goldschmidt社により名称「Rewoquat(登録商標)WE 18」で販売されている。
【0147】
本発明による組成物中で使用することができるアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4,874,554号及び同第4,137,180号に記載されている少なくとも1個のエステル官能基を含むアンモニウム塩が含まれる。
【0148】
本発明による組成物中で使用することができる上述の第四級アンモニウム塩には、式(I)に相当するもの、例えば、塩化テトラアルキルアンモニウム、例として塩化ジアルキルジメチルアンモニウム及び塩化アルキルトリメチルアンモニウム(そのアルキル基は、約12から22個の炭素原子を含む)、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム;塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム;並びにVan Dyk社によって「Ceraphyl(登録商標)70」の名称で販売されている塩化ステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
一実施形態によれば、本発明による組成物中で使用することができるカチオン性界面活性剤は、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、塩化ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム、塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択される。
【0150】
(c-4)非イオン性界面活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0151】
非イオン性界面活性剤は、それ自体又はそれだけで周知の化合物である(例えば、この点に関して、「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい)。したがって、非イオン界面活性剤は、例えば、アルコール、アルファ-ジオール、アルキルフェノール及び脂肪酸のエステルから選択することができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が2~50の範囲であり、グリセロール基の数が1~30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体を挙げることもできる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、脂肪アルコールとの縮合物;例えば2~30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5~5つの、例えば1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2~30molのエチレンオキシドを含む、ソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物由来のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノエステル又はジエステル;N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体;(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド;シリコーン界面活性剤;並びにこれらの混合物もまた、非限定的に挙げることができる。
【0152】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化、又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択することができる。オキシアルキレン単位は、より特定するとオキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組み合わせであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0153】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下のものが含まれる:
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸とモノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸とソルビトールとのモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、並びに
とりわけ単独又は混合物としてのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0154】
界面活性剤は、好ましくは、モル数が1から100の間、好ましくは1から50の間、より好ましくは1から20の間の、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。
【0155】
本発明の実施形態の1つによれば、モノオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、モノオキシエチレン化脂肪アルコール(エチレングリコールと脂肪アルコールとのエーテル)、モノオキシエチレン化脂肪酸エステル(エチレングリコールと脂肪酸とのエステル)、及びこれらの混合物から選択してもよい。
【0156】
挙げることができるモノオキシアルキレン化脂肪酸エステルの例には、ジステアリン酸グリコールが含まれる。
【0157】
本発明の実施形態の1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(ポリエチレングリコールと脂肪アルコールとのエーテル)、ポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールと脂肪酸とのエステル)、及びこれらの混合物から選択してもよい。
【0158】
挙げることができるポリオキシエチレン化飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2から10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはラウレス-2からラウレス-20);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス-2からベヘネス-20);セテアリルアルコール(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス-2からセテアレス-20);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテス-2からセテス-20);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはステアレス-2からステアレス-20);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス-2からイソステアレス-20);並びにこれらの混合物が含まれる。
【0159】
挙げることができるポリオキシエチレン化不飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2から10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはオレス-2からオレス-20);及びこれらの混合物が含まれる。
【0160】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは使用される。
【0161】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、次式:に対応する:
【0162】
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H、又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
【0163】
[式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル又はアルケニル基を表し、mは、1から30、好ましくは1.5から10の範囲の数を表す]。
【0164】
本発明との関係において好適な化合物の例として、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0165】
mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールは、アルコールの混合物を表してもよく、このことは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存してもよいことを意味する。
【0166】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールのうち、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0167】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪酸エステルは、次式に対応することができる:
【0168】
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''、又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
【0169】
[式中、R'、R''及びR'''のそれぞれは、独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-若しくはアルケニル-CO-基を表し、ただし、R'、R''及びR'''の少なくとも1つは、水素原子ではないことを条件とし、mは、1から30、好ましくは1.5から10の範囲の数を表す]。
【0170】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪酸エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルとのエチレンオキシドの付加物及びこれらの混合物、とりわけ、ラウリン酸PEG-2からPEG-20(CTFA名:ラウリン酸PEG-2からラウリン酸PEG-20)、パルミチン酸PEG-2からパルミチン酸PEG-20(CTFA名: パルミチン酸PEG-2からパルミチン酸PEG-20)、ステアリン酸PEG-2からPEG-20(CTFA名:ステアリン酸PEG-2からステアリン酸PEG-20)、パルミトステアリン酸PEG-2からPEG-20、ベヘン酸PEG-2からPEG-20(CTFA名: ベヘン酸PEG-2からベヘン酸PEG-20)、及びこれらの混合物等の2から20個のオキシエチレン単位を含有するものが含まれる。
【0171】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を有するそのポリオキシアルキレン化誘導体、例えば、C8~C24の、好ましくはC12~C22の脂肪酸(複数可)のグリセリルエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪酸(複数可)のソルビトールエステル、及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪酸(複数可)の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース及び/又はアルキルグリコース)エステル及び好ましくは10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を有するそのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖と、C8~C24、好ましくはC12~C22の脂肪アルコール(複数可)とのエーテル;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0172】
脂肪酸のグリセリルエステルとしては、ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)、ラウリン酸グリセリル又はリシノレイン酸グリセリル、並びにそれらの混合物を列挙することができ、それらのポリオキシアルキレン化誘導体としては、脂肪酸とポリオキシアルキレン化グリセロールとのモノ-、ジ-、又はトリエステル(脂肪酸とグリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとのモノ-、ジ-、又はトリエステル)、好ましくはポリオキシエチレン化ステアリン酸(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸)グリセリル、例えばステアリン酸(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸)PEG-20グリセリル、並びにポリオキシエチレン化ヤシ油脂肪酸(モノ-、ジ-、及び/又はトリヤシ油脂肪酸)グリセリル、例えばヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを列挙することができる。
【0173】
これらの界面活性剤の混合物、例えばUniqema社により名称ARLACEL 165で市販されている、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100を含有する製品、並びにGoldschmidt社により名称TEGINで市販されている、ステアリン酸グリセリル(モノステアリン酸グリセリル及びジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリル、SE)等もまた使用することができる。
【0174】
C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、並びに、脂肪酸と、例えば20~100個のEOを含有するアルコキシル化ソルビタンとのエステル、例えばICI社により名称Span 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社により名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)、又はUniqema社により商標名Tween 20若しくはTween 60で市販されている化合物から選択することができる。
【0175】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエステルとして、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース(セスキステアリン酸メチルグルコース等)、パルミチン酸アルキルグルコース(パルミチン酸メチルグルコース又はエチルグルコース等)、メチルグルコシド脂肪族エステル、メチルグルコシドとオレイン酸とのジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸混合物との混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとラウリン酸とのエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキイソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとステアリン酸とのモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、特にAMERCHOL社により名称Glucate SSで市販されている製品、及びこれらの混合物を列挙することができる。
【0176】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエトキシル化エーテルとして、脂肪酸とメチルグルコースとのエトキシル化エーテル、特にメチルグルコースとステアリン酸とのジエステルの、約20モルのエチレンオキシドを有する、ポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:ジステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、例えばAMERCHOL社により名称Glucam E-20ジステアレートで市販されている製品、メチルグルコースとステアリン酸とのモノエステル及びジエステルの混合物の、約20モルのエチレンオキシドを有する、ポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、特にAMERCHOL社により名称Glucamate SSE-20で市販されている製品及びGOLDSCHMIDT社により名称Grillocose PSE-20で市販されている製品、並びにこれらの混合物を例として列挙することができる。
【0177】
スクロースエステルとして、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース及びモノラウリン酸サッカロースを、例えば列挙することができる。
【0178】
糖エーテルとして、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、MYDOL 10の名称で花王株式会社によって市販されている製品、PLANTAREN 2000の名称でHenkel社によって市販されている製品、及びORAMIX NS 10の名称でSeppic社によって市販されている製品等のデシルグルコシド、ORAMIX CG 110の名称でSeppic社によって、又はLUTENSOL GD 70の名称でBASF社によって市販されている製品等の(カプリリル/カプリル)グルコシド、PLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200の名称でHenkel社によって市販されている製品等のラウリルグルコシド、PLANTACARE 818/UPの名称でHenkel社によって市販されている製品等のココ-グルコシド、場合によってはセトステアリルアルコールと混合されているセトステアリルグルコシドで、例えばMONTANOV 68の名称でSeppic社によって、TEGO-CARE CG90の名称でGoldschmidt社によって、及びEMULGADE KE3302の名称でHenkel社によって市販されているもの、アラキジルグルコシド、例えばアラキジルとベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形態でMONTANOV 202の名称でSeppic社によって市販されているもの、ココイルエチルグルコシド、例えばセチルとステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態でMONTANOV 82の名称でSeppic社によって市販されているもの、並びにこれらの混合物を、特に列挙することができる。
【0179】
アルコキシル化植物油のグリセリドの混合物、例えばエトキシル化(200 EO)パームとコプラ(7 EO)グリセリドとの混合物もまた、列挙することができる。
【0180】
本発明による非イオン性界面活性剤は、アルケニル又は分枝状のC12~C22アシル鎖、例えばオレイル基又はイソステアリル基を好ましくは含有することができる。より好ましくは、本発明による非イオン性界面活性剤は、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルである。
【0181】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、特に次式:
【0182】
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cH
【0183】
[式中、a、b及びcは、a+cが、2~100までの範囲であり、bが、14~60までの範囲であるような整数である]のコポリマー、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0184】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、シリコーン界面活性剤から選択することができる。非限定的に挙げられるのは、US-A-5364633及びUS-A-5411744の文献に開示されたものである。
【0185】
シリコーン界面活性剤は、好ましくは、次式(I):
【0186】
【0187】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1、R2又はR3基はアルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但しA及びBが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは0~5の範囲の整数である]の化合物であってもよい。
【0188】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中で、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0189】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(II):
【0190】
【0191】
[式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である]の化合物を挙げることができる。
【0192】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(III):
【0193】
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
【0194】
(式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である)の化合物も挙げることができる。
【0195】
用いることができる本発明の化合物は、Dow Corning社によりDC5329、DC7439-146、DC2-5695及びQ4-3667の名称で販売されているものである。それぞれ、化合物DC5329は、Aが22、Bが2、yが12であり、DC7439-146は、Aが103、Bが10、yが12であり、DC2-5695は、Aが27、Bが3、yが12である、式(II)の化合物である。
【0196】
化合物Q4-3667は、Aが15であり、yが13である、式(III)の化合物である。
【0197】
(b)乳化剤のHLB値は、1.7超7未満、好ましくは2.0超6.5未満、より好ましくは3.0超6.0未満であることが好ましい。
【0198】
(b)乳化剤は、レシチン、ジステアリン酸グリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ステアレス-2、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、及びこれらの混合物からなる群から選択することが好ましい。
【0199】
(b)乳化剤として第1及び第2の乳化剤を使用することが好ましい場合があり、第1の乳化剤は、5℃未満の融点を有し、第2の乳化剤は、30℃超の融点を有する。
【0200】
本発明による組成物中の(b)乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
【0201】
本発明による組成物中の(b)乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0202】
本発明による組成物中の(b)乳化剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~25質量%、好ましくは3質量%~20質量%、より好ましくは5質量%~15質量%であってもよい。
【0203】
(水)
本発明による組成物は、(c)水を含む。
【0204】
本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
【0205】
本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは88質量%以下、より好ましくは86質量%以下であってもよい。
【0206】
本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~90質量%、好ましくは60質量%~88質量%、より好ましくは70質量%~86質量%でありうる。
【0207】
(アルコール)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルコールを含んでもよい。
【0208】
アルコールは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0209】
「揮発性」という用語は、アルコールが、標準大気圧、例えば1atm及び室温、例えば25℃で蒸発することができることを意味する。
【0210】
アルコールとしては、例えば、2から6個の炭素原子を含有する一価アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール;とりわけ2から20個の炭素原子を含有する、好ましくは2から10個の炭素原子を含有する、優先的には2から8個の炭素原子を含有するポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール又はジエチレングリコール;グリコールエーテル(とりわけ3から16個の炭素原子を含有する)、例えばモノ、ジ又はトリプロピレングリコール(C1~C4)アルキルエーテル、モノ、ジ又はトリエチレングリコール(C1~C4)アルキルエーテル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0211】
本発明による組成物中のアルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0212】
本発明による組成物中のアルコールの量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0213】
本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0214】
(美容有効成分)
本発明による組成物は、少なくとも1種の美容有効成分を含んでもよい。美容有効成分は限定されない。2種以上の美容有効成分を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの美容有効成分、又は異なるタイプの美容有効成分の組合せを使用することができる。
【0215】
使用される美容有効成分のうち、UV遮蔽剤、抗酸化剤、クレンジング剤、フリーラジカル捕捉剤、保湿剤、美白剤、脂質調節剤(liporegulator)、抗ニキビ剤、抗フケ剤、抗老化剤、軟化剤、抗しわ剤、角質溶解剤、抗炎症剤、フレッシュナー、ヒーリング剤、血管保護剤、抗菌剤、抗真菌剤、発汗抑制剤、デオドラント、皮膚コンディショナー、麻酔剤、免疫モジュレーター、栄養剤、及び皮脂吸収剤又は水分吸収剤を挙げることができる。
【0216】
美容有効成分は油溶性であることが好ましい場合がある。
【0217】
本発明による組成物は、美容有効成分を、組成物の総質量に対して0.01質量%から25質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から15質量%、更により好ましくは2質量%から10質量%の量で含んでもよい。
【0218】
(pH)
本発明による組成物の分散相のpHは、3から9、好ましくは3.5から8、より好ましくは4から7であってもよい。
【0219】
組成物の分散相のpHは、少なくとも1種のアルカリ剤及び/又は少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによって調整することができる。
【0220】
(アルカリ剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種のアルカリ剤を含んでもよい。2種以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのアルカリ剤、又は異なるタイプのアルカリ剤の組合せを使用することができる。
【0221】
アルカリ剤は、無機アルカリ剤であってもよい。無機アルカリ剤は、アンモニア;アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩(monohydrogenophosphate)、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0222】
無機アルカリ金属水酸化物の例として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを挙げることができる。アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを挙げることができる。無機アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0223】
アルカリ剤は、有機アルカリ剤であってもよい。有機アルカリ剤は、モノアミン及びその誘導体;ジアミン及びその誘導体;ポリアミン及びその誘導体;塩基性アミノ酸及びその誘導体;塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体;塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体;尿素及びその誘導体;並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0224】
有機アルカリ剤の例としては、アルカノールアミン、例えばモノ、ジ及びトリエタノールアミン、及びイソプロパノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン;並びにジアミン、例えば下記の構造:
【0225】
【0226】
(式中、Rは、ヒドロキシル又はC1~C4アルキル基で任意選択により置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立して、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示す)に記載されているものを挙げることができ、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示することができる。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい。
【0227】
アルカリ剤は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.001質量%から10質量%、好ましくは0.01質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の総量で使用することができる。
【0228】
(酸)
本発明による組成物は、少なくとも1種の酸を含んでもよい。2種以上の酸を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの酸、又は異なるタイプの酸の組合せを使用することができる。
【0229】
酸としては、化粧料において一般に使用される任意の無機又は有機酸を挙げることができる。一価の酸及び/又は多価の酸を使用することができる。クエン酸、乳酸、硫酸、リン酸及び塩酸(HCl)等の一価の酸を使用することができる。HClが好ましい。
【0230】
酸は、その溶解度に応じて、組成物の総質量に対して、0.001質量%から10質量%、好ましくは0.01質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の総量で使用することができる。
【0231】
(緩衝剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の緩衝剤を含んでもよい。2種以上の緩衝剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの緩衝剤、又は異なるタイプの緩衝剤の組合せを使用することができる。
【0232】
緩衝剤としては、酢酸緩衝液(例えば、酢酸+酢酸ナトリウム)、リン酸緩衝液(例えば、リン酸二水素ナトリウム+リン酸水素二ナトリウム)、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸+クエン酸ナトリウム)、ホウ酸緩衝液(例えば、ホウ酸+ホウ酸ナトリウム)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸+酒石酸ナトリウム二水和物)、トリス緩衝液(例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、及びHepes緩衝液(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)を挙げることができる。
【0233】
(任意選択の添加剤)
本発明による組成物は、前述の成分に加えて、化粧品において典型的に用いられる成分、具体的には、例えば染料、粉末、増粘剤、ポリマー、シリコーン及びシリコーン誘導体、植物に由来する天然抽出物、ワックス等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0234】
本発明による組成物は、上記の任意選択の添加剤を、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%、好ましくは0.01質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の量で含んでもよい。
【0235】
本発明による組成物は、1質量%以下の増粘剤を含むことが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下の増粘剤を含み、更により好ましくは増粘剤を含まない。
【0236】
(調製)
本発明による組成物は、
工程(i)の、
(a)少なくとも1種の油及び
(b)少なくとも1種の乳化剤を混合することと、
工程(ii)の、上記成分(a)及び(b)の混合物を上記成分(a)及び(b)の混合物の融点より高い温度に加熱することによって等方相を調製することと、
工程(iii)の、工程(ii)における温度と同じ温度を有する(c)水を、混合しながら、等方相にゆっくり添加することと、
を含む、方法によって調製することができる。
【0237】
工程(iii)における混合速度は、エマルションを調製する上で重要であるが、その理由は、水を添加すると、バルクの粘度が増加するためである。過度に低い混合速度は、バルク表面上の水の滞留、また、場合によっては、不安定な組成物をもたらし得る水滴の多分散分布を招き得る。一方、過度に高い混合速度は、組成物の高内相エマルション構造を不可逆的に破壊する恐れがある。したがって、単分散分布する微細水滴にするために適度な混合速度が推奨される。本発明では、工程(iii)における混合に、VMI Linxis Group(フランス)から供給されている回転子/固定子ホモジナイザ(ブレード直径は55mmである)を備えたRayneriミキサー[TURBOTEST Type V2004]を使用してもよい。例えば、本発明による組成物500gを調製するために、工程(iii)における混合速度を、好ましくは、1500rpmで維持してよい。
【0238】
(形態)
本発明による組成物は、W/Oエマルションの形態である。(a)油及び(b)乳化剤は、エマルションの連続相を形成することができ、(c)水は、エマルションの分散相を形成することができる。
【0239】
本発明による組成物は、化粧用組成物として使用することを意図したものであってもよい。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質への塗布を意図したものであってもよい。本明細書におけるケラチン物質とは、ケラチンを主要構成要素として含有する材料を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が含まれる。したがって、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質、特に皮膚のための美容方法に使用することが好ましい。
【0240】
したがって、本発明による化粧用組成物は、皮膚の化粧用組成物、好ましくは皮膚のケア組成物又は皮膚のメイクアップ組成物であってもよい。
【0241】
[美容方法及び使用]
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のための美容方法、好ましくは保湿方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法にも関する。
【0242】
本明細書における美容方法とは、皮膚等のケラチン基質の表面をケア及び/又はメイクアップするための非治療的美容方法を意味する。
【0243】
本発明はまた、安定性のW/Oエマルションを調製するための、(a)少なくとも1種の油及び(b)少なくとも1種の乳化剤の使用であって、(a)油及び(b)乳化剤の混合物の融点が、5℃から50℃の間であり、エマルション中の(c)水の量が、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である、使用に関する。
【0244】
本発明による組成物についての成分(a)から(c)に関する上記の説明は、上記の使用におけるそれらの成分に適用され得る。
【実施例】
【0245】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明することにする。しかし、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0246】
(実施例1~3及び比較例1)
[調製]
実施例1~3及び比較例1による各組成物を、表1に示す成分を混合することによって調製した。成分の量の数値は、全て、有効原料の「質量%」に基づく。
【0247】
【0248】
[評価]
(乳化剤及び油の混合物の融点)
他の成分とブレンドする前の乳化剤及び油の混合物を、以下の条件下でHitachi X-DSC7000を用いたDSC(示差走査熱量測定法)による融点分析に供した:
パンタイプ: Alodine
(分析する)混合物の量: 10mg
プロトコル: 加熱サイクル: 0℃~80℃、冷却サイクル: 80℃~-50℃、及び加熱/冷却速度: 5℃/分
【0249】
混合物が、出発温度で液体でなかった場合、混合物を加熱した。融解曲線(加熱中)のピークにおいて読み取る温度は、混合物の融点と見なした。
【0250】
混合物が、出発温度で液体であった場合、混合物を冷却した。第1の氷点において読み取る温度は、混合物の融点と見なした。
【0251】
結果を表1に示す。
【0252】
(安定性)
W/Oエマルションの形態である実施例1~3及び比較例1による各組成物を、室温で少なくとも1週間、透明なガラス容器中に貯蔵した。組成物の安定性を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
【0253】
安定: エマルションの均一性が維持されていた。
不安定: エマルションの均一性が維持されていなかった。
【0254】
結果を表1に示す。
【0255】
(実施例4及び比較例2)
[調製]
実施例4及び比較例2による各組成物を、表2に示す成分を混合することによって調製した。成分の量の数値は、全て、有効原料の「質量%」に基づく。
【0256】
【0257】
[評価]
(乳化剤及び油の混合物の融点)
他の成分とブレンドする前の乳化剤及び油の混合物を、以下の条件下でHitachi X-DSC7000を用いたDSCによる融点分析に供した:
パンタイプ: Alodine
(分析する)混合物の量: 10g
プロトコル: 加熱サイクル: 0℃~80℃、冷却サイクル: 80℃~-50℃、及び加熱/冷却速度: 5℃/分
【0258】
混合物が、出発温度で液体でなかった場合、混合物を加熱した。融解曲線(加熱中)のピークにおいて読み取る温度は、混合物の融点と見なした。
【0259】
混合物が、出発温度で液体であった場合、混合物を冷却した。第1の氷点において読み取る温度は、混合物の融点と見なした。
【0260】
結果を表2に示す。
【0261】
(安定性)
W/Oエマルションの形態である実施例4及び比較例2による各組成物を、4℃、25℃及び45℃で1週間、透明な容器中に貯蔵した。組成物の安定性を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
【0262】
安定: エマルションの均一性が維持されていた。
不安定: エマルションの均一性が維持されていなかった。
【0263】
結果を表2に示す。