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特許7508222風力発電装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】風力発電装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20240624BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F03D7/04 L
F03D1/06 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019234560
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021102941
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】児玉 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】小森 啓史
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-003820(JP,A)
【文献】国際公開第2011/096078(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0051222(US,A1)
【文献】特開2011-127551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 7/04
F03D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置に含まれる第1の構造体に対して第2の構造体を相対的に停止させるための制動力を発生する制動部であって供給される電力が高いほど高い制動力を発生する前記制動部と、前記第1の構造体に対して前記第2の構造体を相対的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、前記制動力および前記駆動力を前記第1の構造体に伝達する伝達部と、を備える複数の駆動装置と、
前記複数の駆動装置の前記制動部に第1電力を供給する第1電源部と、
前記複数の駆動装置の前記制動部に前記第1電力よりも高い第2電力を供給する第2電源部と、
前記複数の駆動装置に前記第1電源部から第1電力を供給する状態と、前記複数の駆動装置に前記第2電源部から第2電力を供給する状態と、の間で切り換える切換部と、
前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記第1の構造体と前記第2の構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、
前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記第1電源部および前記第2電源部を制御することによって前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記取得部により取得した前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるように、前記切換部を制御することで、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記複数の駆動装置を制御する制御部と、
を含む風力発電装置。
【請求項2】
風力発電装置に含まれる第1の構造体に対して第2の構造体を相対的に停止させるための制動力を発生する制動部であって供給される電力が高いほど高い制動力を発生する前記制動部と、前記第1の構造体に対して前記第2の構造体を相対的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、前記制動力および前記駆動力を前記第1の構造体に伝達する伝達部と、を備える複数の駆動装置と、
前記複数の駆動装置の前記制動部に第1電力を供給する第1電源部と、
前記複数の駆動装置の前記制動部に前記第1電力よりも高い第2電力を供給する第2電源部と、
前記複数の駆動装置に前記第1電源部から第1電力を供給する状態と、前記複数の駆動装置に前記第2電源部から第2電力を供給する状態と、の間で切り換える切換部と、を備える風力発電装置を制御する制御方法であって、
前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記第1の構造体と前記第2の構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、
前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記第1電源部および前記第2電源部を制御することによって前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記切換部を制御することで、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記複数の駆動装置を制御するステップと、を含む、制御方法。
【請求項3】
風力発電装置に含まれる第1の構造体に対して第2の構造体を相対的に停止させるための制動力を発生する制動部であって供給される電力が高いほど高い制動力を発生する前記制動部と、前記第1の構造体に対して前記第2の構造体を相対的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、前記制動力および前記駆動力を前記第1の構造体に伝達する伝達部と、を備える複数の駆動装置と、
前記複数の駆動装置の前記制動部に第1電力を供給する第1電源部と、
前記複数の駆動装置の前記制動部に前記第1電力よりも高い第2電力を供給する第2電源部と、
前記複数の駆動装置に前記第1電源部から第1電力を供給する状態と、前記複数の駆動装置に前記第2電源部から第2電力を供給する状態と、の間で切り換える切換部と、を備える風力発電装置のコンピュータに、
前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記第1の構造体と前記第2の構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、
前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記第1電源部および前記第2電源部を制御することによって前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記切換部を制御することで、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記複数の駆動装置を制御するステップと、を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車用駆動制御装置、風車用電源装置、風力発電装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、風向きに応じてブレードの方向を調整するヨー制御機能を備えた風力発電装置が知られている。この種の風力発電装置は、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された風力発電装置は、地上または洋上に設置され、発電機の支柱となるタワーと、タワー上に設けられ、発電機を内蔵するナセルと、ナセルの一端に設けられ、風を受けて回転エネルギーへ変換するハブおよびブレードからなるロータと、を有する風力発電装置である。この風力発電装置は、タワーとナセルの連結部に設けられ、タワーに対するナセルおよびロータの位置を制御するヨー駆動装置を有する。特許文献1には、ヨー駆動装置によりヨー駆動力の伝達を解除することによって、ヨー駆動装置の故障によるヨー制御トラブルの影響を最小限に抑え、利用可能率の高い風力発電装置を提供すると記載されている。
【0003】
上述した風力発電装置は、台風等の暴風によるギアの変形によるヨーベアリングギアとピニオンギアの固着が生じた場合に、ピニオンギアからヨーベアリングギアへのヨー駆動力の伝達を解除する。上述した風力発電装置は、ヨーインバータの電流が定格電流を超えた場合や所定のインターロック値を超えた場合に、ヨーベアリングギアとピニオンギアとの固着を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-140777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
風力発電装置は、風車の大型化によりヨー駆動装置の設置台数が多くなる。ヨー駆動装置の設置台数が多くなった場合、ヨーベアリングギアとピニオンギアとの間に生ずる負荷がヨー駆動装置間でばらついてしまう場合がある。ヨー駆動装置で負荷のばらつきが大きくなった場合、特定のヨー駆動装置に過大な負荷が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる風車用駆動制御装置、風車用電源装置、風力発電装置、制御方法、およびプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置を制御する風車用駆動制御装置であって、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記取得部により取得した前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの駆動装置の制動力を上昇させるように、前記複数の駆動装置を制御する制御部と、を備えた風車用駆動制御装置である。
この構成によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの駆動装置の制動力を上昇させることができるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高い駆動装置の制動力を低減することができる。この結果、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置を制御する風車用駆動制御装置であって、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記取得部により取得した前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記複数の駆動装置を制御する制御部と、を備えた風車用駆動制御装置である。
この構成によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生する制動部を備える複数の駆動装置に電力を供給する風車用電源装置であって、前記複数の駆動装置のそれぞれに電力を供給する電源部と、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記電源部を制御している状態において、前記取得部により取得した前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の前記制動部に供給する電力を上昇させるように、前記電源部を制御する制御部と、を備える、風車用電源装置である。
この構成によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の前記制動部に供給する電力を上昇させることができるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高い駆動装置の制動力を低減することができる。この結果、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生する制動部を備える複数の駆動装置に電力を供給する風車用電源装置であって、前記複数の駆動装置のそれぞれに電力を供給する電源部と、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記電源部を制御している状態において、前記取得部により取得した前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるように、前記電源部を制御する制御部と、を備える、風車用電源装置である。
この構成によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる第1の構造体に対して第2の構造体を相対的に停止させるための制動力を発生する制動部であって供給される電力が高いほど高い制動力を発生する前記制動部と、前記第1の構造体に対して前記第2の構造体を相対的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、前記制動力および前記駆動力を前記第1の構造体に伝達する伝達部と、を備える複数の駆動装置と、前記複数の駆動装置の前記制動部に第1電力を供給する第1電源部と、前記複数の駆動装置の前記制動部に前記第1電力よりも高い第2電力を供給する第2電源部と、前記複数の駆動装置に前記第1電源部から第1電力を供給する状態と、前記複数の駆動装置に前記第2電源部から第2電力を供給する状態と、の間で切り換える切換部と、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記電源部を制御することによって前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記取得部により取得した前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるように、前記切換部を制御することで、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記複数の駆動装置を制御する制御部と、を含む風力発電装置である。
この構成によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるように、切換部を制御することで、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、複数の駆動装置を制御するので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置を制御する制御方法であって、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの駆動装置の制動力を上昇させるように、前記複数の駆動装置を制御するステップと、を含む制御方法である。
この方法によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの駆動装置の制動力を上昇させることができるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高い駆動装置の制動力を低減することができる。この結果、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置を制御する制御方法であって、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記複数の駆動装置を制御するステップと、を含む制御方法である。
この方法によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生する制動部を備える複数の駆動装置に電力を供給する制御方法であって、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記複数の駆動装置のそれぞれに電力を供給する電源部を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の前記制動部に供給する電力を上昇させるように、前記電源部を制御するステップと、を含む制御方法である。
この方法によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の前記制動部に供給する電力を上昇させることができるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高い駆動装置の制動力を低減することができる。この結果、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生する制動部を備える複数の駆動装置に電力を供給する制御方法であって、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記複数の駆動装置のそれぞれに電力を供給する電源部を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるように、前記電源部を制御するステップと、を含む制御方法である。
この方法によれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置を備える風力発電装置のコンピュータに、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの駆動装置の制動力を上昇させるように、前記複数の駆動装置を制御するステップと、を実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの駆動装置の制動力を上昇させることができるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高い駆動装置の制動力を低減することができる。この結果、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置を備える風力発電装置のコンピュータに、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれが所定の制動力を発生させるように前記複数の駆動装置を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるように、前記複数の駆動装置を制御するステップと、を実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置の制動力を低減させるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生する制動部を備える複数の駆動装置を備える風力発電装置のコンピュータに、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記複数の駆動装置のそれぞれに電力を供給する電源部を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の前記制動部に供給する電力を上昇させるように、前記電源部を制御するステップと、を実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置の前記制動部に供給する電力を上昇させることができるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高い駆動装置の制動力を低減することができる。この結果、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、風力発電装置に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数の駆動装置であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生する制動部を備える複数の駆動装置を備える風力発電装置のコンピュータに、前記複数の駆動装置のそれぞれと、前記2つの構造体のうち前記複数の駆動装置により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得するステップと、前記複数の駆動装置のそれぞれに所定の電力を供給させるように前記複数の駆動装置のそれぞれに電力を供給する電源部を制御している状態において、前記複数の情報に基づいて、前記複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に前記第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるように、前記電源部を制御するステップと、を実行させるプログラムである。
このプログラムによれば、複数の駆動装置のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるので、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、駆動装置間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態における風力発電装置の一例を示す斜視図である。
図2】実施形態におけるタワーとヨー駆動装置との関係を示す上面図である。
図3】実施形態におけるヨー駆動装置の一例を示す図である。
図4】実施形態における風力発電装置の機能的な一例を示すブロック図である。
図5】実施形態における電源回路の一例を示すブロック図である。
図6】実施形態における制御の期間を示す図である。
図7】実施形態における負荷を均一に近づける動作の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態において制動力および電圧を制御する一例を示す図であり、(a)は負荷が閾値以上ではないヨー駆動装置の制動部160に供給する電圧の変化を示す図であり、(b)は負荷が閾値以上ではないヨー駆動装置の制動力の変化を示す図であり、(c)は負荷が閾値以上であるヨー駆動装置の制動部160に供給する電圧の変化を示す図であり、(d)は負荷が閾値以上であるヨー駆動装置の制動力の変化を示す図である。
図9】実施形態における複数のヨー駆動装置のそれぞれにおける負荷の変化を示す図である。
図10】実施形態において4台の電磁ブレーキの制動力を制御する一例を示す図であり、(a)はヨー駆動装置100-1の制動力の変化を示す図であり、(b)はヨー駆動装置100-2の制動力の変化を示す図であり、(c)はヨー駆動装置100-3の制動力の変化を示す図であり、(d)はヨー駆動装置100-4の制動力の変化を示す図である。
図11】実施形態において4台の電磁ブレーキの制動力を制御する一例を示す図であり、(a)はヨー駆動装置100-1の制動力の変化を示す図であり、(b)はヨー駆動装置100-2の制動力の変化を示す図であり、(c)はヨー駆動装置100-3の制動力の変化を示す図であり、(d)はヨー駆動装置100-4の制動力の変化を示す図であり、(e)は油圧ブレーキの制動力の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態に係る風車用駆動制御装置、風車用電源装置、風力発電装置、制御方法、およびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態における風力発電装置の一例を示す斜視図である。風力発電装置1は、例えば、ナセル10と、タワー20と、ブレード30と、ハブ40とを備える。なお、タワー20およびナセル10は風力発電装置1に含まれる2つの構造体の一例であり、タワー20およびナセル10は駆動装置(ヨー駆動装置100)からの力により相対的に移動する。また、タワー20は、第1の構造体の一例であり、第1の構造体は固定的に備えられた風力発電装置1の一部であり、ナセル10は、第2の構造体の一例であり、第2の構造体は、ヨー駆動装置100からの駆動力により第1の構造体に対して相対的に移動し、ヨー駆動装置100からの制動力により第1の構造体に対して相対的に停止する。
【0024】
ナセル10は、タワー20の上端(Z方向端部)に取り付けられる。ナセル10には、ハブ40を介してブレード30が取り付けられる。ナセル10は、ブレード30およびハブ40の向きをヨー方向で調整するために旋回駆動する。ナセル10には、当該ナセル10をヨー方向に回転させるヨー駆動力を発生するヨー駆動機構が内蔵される。ヨー駆動装置は、駆動装置および風車用駆動装置の一例である。駆動装置および風車用駆動装置は、風向きに応じてブレード30およびハブ40の向き(風車の向き)を回転させる力を発生させる。ヨー駆動装置は、風向きに応じてブレード30およびハブ40の向き(風車の向き)を回転させるものである。なお、ナセル10は、駆動装置により発生した力が与えられていない構造体の一例である。タワー20は、駆動装置により発生した力が与えられている構造体の一例である。
【0025】
タワー20は、地上または海上に埋め込まれる。タワー20は、地上または海上から鉛直方向上向きに延在する形状を有する。タワー20は、その上端にナセル10が取り付けられる。タワー20には、ナセル10をヨー方向に旋回駆動させるためのリングギア22が内蔵される。
【0026】
ブレード30は、風力を受けて回転力を発生する羽である。本実施形態においてブレード30は、三枚である。
【0027】
ハブ40は、ナセル10に取り付けられると共に、複数のブレード30が取り付けられる。ハブ40は、ブレード30が受けた風力による回転力(動力)を回転軸に伝達する。ハブ40は、回転軸を介してナセル10に風力に基づく回転力を伝達する。
【0028】
ハブ40には、各ブレード30をピッチ方向に回転させるピッチ駆動力を発生するピッチ駆動機構が内蔵される。ピッチ駆動力を発生する駆動機構は、ブレード30ごとに設けられる。ピッチ駆動機構は、風速に応じて各ブレード30をピッチ方向に回転させることで各ブレード30の角度を制御する。
【0029】
風力発電装置1は、ブレード30の回転による動力をハブ40からナセル10内の発電機(不図示)に伝達し、発電機により動力を電力に変換する。これにより、風力発電装置1は、風力発電を行う。
【0030】
図2は、実施形態におけるタワーとヨー駆動装置との関係を示す上面図である。
ナセル10には、ヨー駆動力を発生させるヨー駆動装置100が取り付けられる。本実施形態において、4台のヨー駆動装置100-1、100-2、100-3、および100-4がナセル10に取り付けられる。以下、ヨー駆動装置を総称する場合には単に「ヨー駆動装置100」と記載する。図2において、タワー20の内壁には、リングギア22が形成されている。リングギア22は、ヨー駆動装置100のピニオンギア150と噛み合う。ヨー駆動装置100は、モータ駆動力により図2中のR方向に回転駆動する。なお、ヨー駆動装置100は、R方向とは反対方向にも回転可能であってよい。
【0031】
リングギア22とピニオンギア150とが噛み合っている状態で、ナセル10、またはタワー20等に突風等の力が与えられた場合、リングギア22とピニオンギア150との間に接線力が発生する。接線力とは、リングギア22のギア形成面の接線方向に生ずる力である。接線力は、ヨー駆動装置100における減速部164に捻り応力を与える。また、接線力は、ヨー駆動装置100における固定具に引っ張り応力および圧縮応力を与える。なお、実施形態においては、タワー20にリングギア22が設けられ、ナセル10にヨー駆動装置100が固定された一例を説明したが、これに限定されず、ナセル10にリングギア22に相当するギア部が設けられ、タワー20にヨー駆動装置100に相当するヨー駆動装置が設けられてよい。
【0032】
図3は、実施形態におけるヨー駆動装置の一例を示す図である。ヨー駆動装置100は、例えば、ケース110と、フランジ120と、締結ボルト130と、出力軸140と、ピニオンギア150とを備える。ケース110には、フランジ120が取り付けられる。フランジ120は、締結ボルト130によりナセル10と接続される。出力軸140の一方端はケース110およびフランジ120の内部に接続され、出力軸140の他方端にはピニオンギア150が設けられる。ピニオンギア150は、リングギア22と噛み合うように配置される。ピニオンギア150は、出力軸140から出力された駆動力により回線し、ヨー駆動装置100を旋回方向(装置移動方向、-X方向)に旋回させる。これにより、ヨー駆動装置100は、タワー20に対してナセル10の方向を旋回させる。締結ボルト130は固定具の一例である。固定具は、ヨー駆動装置100をナセル10に固定する要素である。固定具は、締結ボルト130に限定されず、他の既知の部材であってよい。出力軸140およびピニオンギア150は伝達部の一例である。伝達部は、ヨー駆動装置100からタワー20に駆動力および制動力を伝達する要素である。なお、タワー20に駆動装置が固定される場合、伝達部は、タワー20からナセル10に力を伝達する要素である。
【0033】
ヨー駆動装置100は、制動部160と、モータ駆動部162と、減速部164とを備える。制動部160は、出力軸140に対して制動力を発生させる。なお、モータ制動部160は、出力軸140に直接的に制動力を与えているが、これに限定されず、出力軸140に間接的に制動力を与えてよい。例えば、モータ制動部160の力は、出力軸140とは異なる部材に与えられ、当該部材から出力軸140に伝達されてよい。モータ駆動部162は、出力軸140に対して駆動力を発生させる。制動部160は、外部から供給された制御信号に応じて電磁作用により制動力を発生する。制動部160は、電圧が供給された状態で制動力を発生させ、電圧が供給されていない状態では制動力を発生させない型の電磁ブレーキである。制動部160は、供給される電力が高いほど高い制動力を発生する電磁ブレーキとして機能する。モータ駆動部162は、外部から供給された制御信号に応じて電磁作用により駆動力を発生する。減速部164は、出力軸140により発生した駆動力に応じた回転速度を低減させ、駆動トルクを上昇させる。なお、本実施形態は、駆動力および制動力を発生させるが、これに限定されず、ナセル10の回転させるための駆動力の方向から逆転した方向の駆動力を制動力として発生させてよい。この場合、ヨー駆動装置100は、モータ制動部160を備えなくてもよい。
【0034】
さらに、ヨー駆動装置100は、歪みセンサ166aおよび歪みセンサ166bを備える。歪みセンサ166は、負荷に関する情報を取得する取得部の一例である。歪みセンサ166aおよび歪みセンサ166bを総称する場合には単に「歪みセンサ166」と記載する。歪みセンサ166は、締結ボルト130に生ずる歪みに応じた信号を出力する。締結ボルト130に生ずる歪みは、接線力に応じて変化する値である。なお、本実施形態において負荷に関する情報として締結ボルト130の歪みを検出するが、これに限定されず、出力軸140とリングギア22との間に生ずるトルクを検出してよい。ヨー駆動装置100は、例えば、出力軸140に作用する力量を測定することによってトルクを検出する。さらに、ヨー駆動装置100は、モータ駆動部162とモータ制動部160とを連結する出力軸140における捻れを検出するためのトルクメータを備え、トルクメータの出力信号を負荷に関する情報として取得してもよい。さらに、ヨー駆動装置100は、ピニオンギア150等の駆動力または制動力を伝達するギアにおける歯車の根元に歪みゲージを備え、歪みゲージの出力信号を負荷に関する情報として取得してもよい。さらに、ヨー駆動装置100は、出力軸140の出力ねじれ角と出力軸140の入力ねじれ角との差分を検出し、検出した差分を示す情報を負荷に関する情報として取得してもよい。出力軸140の出力ねじれ角は、モータ制動部160またはモータ駆動部162付近における出力軸140のねじれ角であり、入力ねじれ角は、ピニオンギア150付近における出力軸140のねじれ角である。
【0035】
風力発電装置1は、リングギア22に制動力を与える油圧ブレーキを備える。油圧ブレーキは、例えば、キャリパーブレーキ機構である。油圧ブレーキは、油圧ブレーキ駆動部52と、摩擦体50とを備える。油圧ブレーキ駆動部52は、外部から供給された制御信号に応じて摩擦体50を図3中のZ方向に移動させる。油圧ブレーキ駆動部52は、摩擦体50をリングギア22に押し当てることでリングギア22に制動力を与える。風力発電装置1は、リングギア22に付与する制動力を調整することができることが望ましい。
【0036】
図4は、実施形態における風力発電装置の機能的な一例を示すブロック図である。なお、図4は、風力発電装置1においてヨー駆動力を制御するための機能的な一例を示している。ヨー駆動装置100は、例えば、制御部170と、歪みセンサ166-1、166-2、166-3、166-4と、制動部160-1、160-2、160-3、160-4と、モータ駆動部162-1、162-2、162-3、162-4と、電源回路180-1、180-2、180-3、180-4と、油圧ブレーキ駆動部52と、風センサ200とを備える。なお、以下の説明において歪みセンサ166-1、166-2、166-3、166-4を総称する場合には単に「歪みセンサ166」と記載し、制動部160-1、160-2、160-3、160-4を総称する場合には単に「制動部160」と記載し、モータ駆動部162-1、162-2、162-3、162-4を総称する場合には単に「モータ駆動部162」と記載し、電源回路180-1、180-2、180-3、180-4を総称する場合には単に「電源回路180」と記載する。
【0037】
歪みセンサ166-1は、ヨー駆動装置100-1における歪みセンサ166aおよび歪みセンサ166bに相当する。歪みセンサ166-2は、ヨー駆動装置100-2における歪みセンサ166aおよび歪みセンサ166bに相当する。歪みセンサ166-3は、ヨー駆動装置100-3における歪みセンサ166aおよび歪みセンサ166bに相当する。歪みセンサ166-4は、ヨー駆動装置100-4における歪みセンサ166aおよび歪みセンサ166bに相当する。なお、歪みセンサ166は、1つのヨー駆動装置100に対して2個より多く備えてよい。
【0038】
制動部160-1は、ヨー駆動装置100-1における制動部160に相当する。制動部160-2は、ヨー駆動装置100-2における制動部160に相当する。制動部160-3は、ヨー駆動装置100-3におけるモータ駆動部162に相当する。制動部160-4は、ヨー駆動装置100-4における制動部160に相当する。モータ駆動部162-1は、ヨー駆動装置100-1におけるモータ駆動部162に相当する。モータ駆動部162-2は、ヨー駆動装置100-2におけるモータ駆動部162に相当する。モータ駆動部162-3は、ヨー駆動装置100-3におけるモータ駆動部162に相当する。モータ駆動部162-4は、ヨー駆動装置100-4におけるモータ駆動部162に相当する。
【0039】
風センサ200は、例えばナセル10の上面に設けられる。風センサ200は、風の強度、および風の向きを表す信号(風検出信号)を生成し、制御部170に供給する。
【0040】
制御部170は、複数のヨー駆動装置100を統括的に制御する。制御部170は、電源コントローラ172を備える。制御部170は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。制御部170は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。制御部170は風車用駆動制御装置の一例であるが、制御部170および歪みセンサ166が風車用駆動制御装置の一例であってよい。制御部170、歪みセンサ166、および電源回路180が風車用淵源装置の一例であってよい。
【0041】
制御部170には、歪みセンサ166-1、166-2、166-3、および166-4のそれぞれから歪み検出信号が供給される。制御部170には、風センサ200から風検出信号が供給される。制御部170は、歪み検出信号および風検出信号に基づいて、制動部160-1、160-2、160-3、160-4、モータ駆動部162-1、162-2、162-3、162-4、および油圧ブレーキ駆動部52に制御信号を出力する。電源コントローラ172は、歪み検出信号に基づいて電源回路180-1、電源回路180-2、電源回路180-3、および電源回路180-4のそれぞれに制御信号を出力する。
【0042】
図5は、実施形態における電源回路180の一例を示すブロック図である。
電源回路180は、例えば、電源181と、リレー182と、SSR(ソリッドステート・リレー(Solid State Relay))183と、SSRドライバ184と、ブースト電源185と、ブースト用SSR186と、ブースト用ドライバ187とを備える。図5に示した電源回路180は、各ヨー駆動装置100に対応する。すなわち電源回路180は、ヨー駆動装置100の数だけ風力発電装置1に設けられる。複数の電源回路180は、一つの電源コントローラ172に接続される。
【0043】
電源181は、第1電力を各ヨー駆動装置100に供給する第1電源部の一例である。第1電力は、ナセル10をタワー20に固定させる必要がある制動力をヨー駆動装置100の個数で除算した所定の制動力を発生させるための電力である。電源181は、第1電力をヨー駆動装置100に供給するため、例えば、ヨー駆動装置100に24ボルトの電圧を供給する。なお、第1電力は、ナセル10をタワー20に固定させる必要がある制動力をヨー駆動装置100の個数で除算した制動力よりも高くてもよく、ナセル10をタワー20に固定させる必要がある制動力およびヨー駆動装置100の個数に基づいて変化する。
【0044】
リレー182は、電源181とSSR183との接続状態を遮断と導通との間で切り換える開閉器である。リレー182は、電源コントローラ172からの制御信号、または図示しない制御部からの信号により開閉動作する。リレー182は、電源181からヨー駆動装置100に電圧を供給する場合に導通(閉)状態に切り換えられ、電源181からヨー駆動装置100に電圧を供給しない場合に遮断(開)状態に切り換えられる。
【0045】
SSR183は、半導体素子を用いた電力スイッチの一例である。SSRドライバ184は、電源コントローラ172からの制御信号に基づいてSSR183の半導体素子を駆動する駆動信号を発生する。SSR183は、SSRドライバ184から供給された駆動信号に基づいてリレー182とヨー駆動装置100との接続状態を遮断と導通との間で切り換える。SSR183は、ヨー駆動装置100に通常の制動力を発生させる場合に導通(閉)状態に切り換えられ、ヨー駆動装置100に通常の制動力を発生させない場合に遮断(開)状態に切り換えられる。
【0046】
ブースト電源185は、第1電力よりも高い第2電力を各ヨー駆動装置100に供給する第2電源部の一例である。第2電力は、一部のヨー駆動装置100の制動力を低減させた場合に、他のヨー駆動装置100により発生させる必要がある制動力を、当該他のヨー駆動装置100の個数で除算した制動力を発生させるための電力である。ブースト電源185は、第2電力をヨー駆動装置100に供給するため、例えば、ヨー駆動装置100に35ボルトの電圧を供給する。
【0047】
ブースト用SSR186は、半導体素子を用いた電力スイッチの一例である。ブースト用ドライバ187は、電源コントローラ172からの制御信号に基づいてブースト用SSR186の半導体素子を駆動する駆動信号を発生する。ブースト用SSR186は、ブースト用ドライバ187から供給された駆動信号に基づいてブースト電源185とヨー駆動装置100との接続状態を遮断と導通との間で切り換える。
【0048】
なお、電源回路180は、電源181とブースト電源185との間で電圧供給元を切り換えることで各ヨー駆動装置100に供給する電圧値を切り換えるが、これに限定されず、電力を切り換える構成であればよい。電源回路180は、例えば、ヨー駆動装置100に供給する電圧のデューティ比を制御することで、電力を切り換えてよい。
【0049】
図6は、実施形態における制御の期間を示す図である。
制御部170は、例えば図6に示すように、予め駆動期間と停止期間とを設定する。駆動期間とは、風力発電装置1が受ける風の向きに基づいてナセル10の向きを移動させる期間である。停止期間とは、ナセル10の向きを固定させる期間である。制御部170は、駆動期間中にタワー20に対してナセル10を目標位置まで移動させる制御を行う。制御部170は、停止期間中にタワー20に対してナセル10を目標位置で停止させる制御を行う。タワー20に対してナセル10を目標位置で停止させる制御は、複数のヨー駆動装置100のそれぞれに第1電力を供給させるように電源回路180を制御することである。目標位置とは、風の向きに基づいて決定されるタワー20に対するナセル10の最適な位置である。
【0050】
制御部170は、駆動期間の開始タイミングが到来した場合、タワー20に対してナセル10を目標位置まで移動させる制御を開始する。制御部170は、駆動期間の終了タイミングが到来するまでに、ナセル10の位置を目標位置に位置決めする。制御部170は、停止期間中にナセル10の位置を目標位置に固定するように制動力を発生させる。これにより、制御部170は、駆動期間と停止期間との間で制御を切り換える。なお、駆動期間は例えば数分であり、停止期間は例えば十数分であるが、望ましくは、より効率的に発電できるように風向の変化に追従して風力発電装置1の向きを変更することができることが望ましく、さらには、風力発電装置1が風向センサを備えている場合には風向の変化の累積値が所定の角度を超えた場合に停止期間を終了して駆動期間を開始してよい。さらに、駆動期間および停止期間は、風力発電装置1が設置されている土地の特性に合わせて調整できるようにしてもよい。さらに、一時的に電磁ブレーキの制動力を低減する期間は、負荷を確実に低減することができる期間であればよく、例えば、数マイクロ秒であり、電磁ブレーキの制動力を低減する期間に対応する電圧がオフになっている期間は、例えば、数マイクロ秒であってよく、さらには、歪みセンサ166の検出値に基づいて変更してもよい。
【0051】
以下、複数のヨー駆動装置100間で負荷を均一に近づける動作について説明する。図7は、実施形態における負荷を均一に近づける動作の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示した動作は、停止期間において所定期間ごとに実行される。
【0052】
制御部170は、まず、歪みセンサ166-1、166-2、166-3、および166-4のそれぞれから負荷に関する情報を取得する(ステップS10)。制御部170は、負荷に関する情報のそれぞれについて、負荷が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS12)。制御部170は、負荷が閾値以上であると判定しない場合(ステップS12:NO)、ステップS10の処理を繰り返す。制御部170は、負荷が閾値以上である場合(ステップS12:YES)、負荷が閾値以上ではないヨー駆動装置100の制動力を上昇させ、負荷が閾値以上であるヨー駆動装置100の制動力を低減する(ステップS14)。なお、負荷が閾値以上ではないヨー駆動装置100が、第1の駆動装置の一例であり、負荷が閾値以上であるヨー駆動装置100が、第2の駆動装置の一例である。
【0053】
図8は、実施形態において電圧および制動力を制御する一例を示す図であり、(a)は負荷が閾値以上ではないヨー駆動装置100の制動部160に供給する電圧の変化を示す図であり、(b)は負荷が閾値以上ではないヨー駆動装置100の制動力の変化を示す図であり、(c)は負荷が閾値以上であるヨー駆動装置100の制動部160に供給する電圧の変化を示す図であり、(d)は負荷が閾値以上であるヨー駆動装置100の制動力の変化を示す図である。
【0054】
風力発電装置1は、例えば停止期間において、制動部160(電磁ブレーキ)による制動力、および摩擦体50による制動力を合計した制動力F1をリングギア22に与えているとする。
【0055】
制御部170は、ヨー駆動装置100-1の負荷が閾値以上であり、ヨー駆動装置100-2~4の負荷が閾値以上ではないと判定された場合、図8(a)に示すようにヨー駆動装置100-2~4に供給する電圧を上昇させることによって、図8(b)に示すようにヨー駆動装置100-2~4の電磁ブレーキの制動力を一時的に上昇し、図8(c)に示すようにヨー駆動装置100-1に供給する電圧を低減させることによって、図8(d)に示すようにヨー駆動装置100-1の電磁ブレーキの制動力を一時的に低減する。この結果、ヨー駆動装置100-1の制動力がピニオンギア150とリングギア22との間の力より低い場合、負荷が小さくなる方向にピニオンギア150が回転する。これにより、電磁ブレーキの制動力が低減される前の負荷よりも、ピニオンギア150が回転した後の負荷が小さくなる。なお、「制動力を低減させる」とは、電磁ブレーキの制動力を低減することに加え、制動力を0にすることを含む。
【0056】
図9は、実施形態における複数のヨー駆動装置100のそれぞれにおける負荷の変化を示す図である。図9は、4台のヨー駆動装置100における負荷が100%である場合において4台のヨー駆動装置100のそれぞれに分散されている負荷(L)を示している。
【0057】
図9(a)に示すように、ヨー駆動装置100-1、100-2、100-3、および100-4の負荷のそれぞれが25%であるとする。この状態は、風力発電装置1全体の負荷が4台に均等に分散されている状態である。期間T1後、図9(b)に示すように、ヨー駆動装置100-4の負荷が0%に変化し、ヨー駆動装置100-1の負荷が50%に変化したものとする。この場合、制御部170は、ヨー駆動装置100-1の負荷が閾値以上であると判定し、T1+t1のタイミングでヨー駆動装置100-2~4の制動力を上昇させた後、ヨー駆動装置100-1の制動力を低減する。なお、制御部170は、ヨー駆動装置100-2~4の制動力を上昇させる動作と、ヨー駆動装置100-1の制動力を低減する動作とを同時に実行させてよい。これにより、図9(c)に示すように、ヨー駆動装置100-1の負荷を0%に変化させ、他のヨー駆動装置100-2、100-3、100-4の負荷を33%に変化させる。これにより、期間T1後に、最も高い負荷が50%であって、最も低い負荷が0%であった状態から、最も高い負荷を33%、最も低い負荷を0%に変化させることで、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0058】
その後の4台のヨー駆動装置100の制動力を均等に制御する。なお、制御部170は、まず、風力発電装置1全体で必要な制動力の1/4分の制動力をヨー駆動装置100-1で発生させた後に、ヨー駆動装置100-2、100-3、100-4の制動力を風力発電装置1全体で必要な制動力の1/4分の制動力に制御してよい。また、制御部170は、4台のヨー駆動装置100のそれぞれの制動力を、同時に風力発電装置1で必要な制動力の1/4分の制動力に制御してよい。これにより、図9(d)に示すように、T1+t1+t2のタイミングでヨー駆動装置100-1、100-2、100-3、および100-4の負荷のそれぞれを25%に近づけることができる。この結果、さらに、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0059】
図10は、実施形態において4台の電磁ブレーキの制動力を制御する一例を示す図である。(a)はヨー駆動装置100-1の制動力の変化を示す図であり、(b)はヨー駆動装置100-2の制動力の変化を示す図であり、(c)はヨー駆動装置100-3の制動力の変化を示す図であり、(d)はヨー駆動装置100-4の制動力の変化を示す図である。
【0060】
例えば時刻t10において停止期間が開始した場合、4台のヨー駆動装置100はそれぞれ、電磁ブレーキにより制動力BF1を発生させる。その後、ヨー駆動装置100-1における負荷が閾値以上であることが検出された場合、時刻t11において、ヨー駆動装置100-2、100-3、および100-4の電磁ブレーキの制動力をBF1からBF2に上昇させる。その後、時刻t12においてヨー駆動装置100-1の電磁ブレーキの制動力を低減し、所定期間後の時刻t13においてヨー駆動装置100-1の電磁ブレーキの制動力をBF1に回復する。所定期間とは、ヨー駆動装置100-1の負荷を低減させるために十分な期間であればよい。その後、時刻t14において、ヨー駆動装置100-2、100-3、および100-4の電磁ブレーキの制動力をBF2からBF1に低下させる。時刻t15において停止期間が終了した場合、4台のヨー駆動装置100はそれぞれ、電磁ブレーキにより制動力を0に低減する。なお、第1の駆動装置としてのヨー駆動装置100-2、100-3、および100-4の電磁ブレーキの制動力を上昇させたが、例えば、ヨー駆動装置100-2および100-3だけのように、ヨー駆動装置100-1以外の少なくとも一つの第1の駆動装置の制動力を上昇させればよい。
【0061】
図11は、実施形態において4台の電磁ブレーキの制動力を制御する一例を示す図である。(a)はヨー駆動装置100-1の制動力の変化を示す図であり、(b)はヨー駆動装置100-2の制動力の変化を示す図であり、(c)はヨー駆動装置100-3の制動力の変化を示す図であり、(d)はヨー駆動装置100-4の制動力の変化を示す図であり、(e)は油圧ブレーキの制動力の変化を示す図である。
【0062】
時刻t10において停止期間が開始した場合、油圧ブレーキによる制動力BF3、および4台のヨー駆動装置100のそれぞれの電磁ブレーキにより制動力BF1を発生させる。その後、ヨー駆動装置100-1における負荷が閾値以上であることが検出された場合、時刻t11において、油圧ブレーキの制動力をBF3からBF4に上昇させ、ヨー駆動装置100-2、100-3、および100-4の電磁ブレーキの制動力をBF1からBF2に上昇させる。その後、時刻t12においてヨー駆動装置100-1の電磁ブレーキの制動力を低減し、所定期間後の時刻t13においてヨー駆動装置100-1の電磁ブレーキの制動力をBF1に回復する。その後、時刻t14において、油圧ブレーキの制動力をBF4からBF3に低減させ、ヨー駆動装置100-2、100-3、および100-4の電磁ブレーキの制動力をBF2からBF1に低減させる。時刻t15において停止期間が終了した場合、油圧ブレーキは制動力を0に低減し、4台のヨー駆動装置100はそれぞれ、電磁ブレーキにより制動力を0に低減する。
【0063】
(実施形態の効果)
以上説明した実施形態によれば、風力発電装置1に含まれる2つの構造体(ナセル10およびタワー20)を相対的に移動させる複数のヨー駆動装置100を制御する風車用駆動制御装置であって、複数のヨー駆動装置100のそれぞれと、2つの構造体のうち複数のヨー駆動装置100により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれが所定の制動力を発生させるように複数のヨー駆動装置100を制御している状態において、取得部により取得した複数の情報に基づいて、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100の制動力を上昇させるように、複数のヨー駆動装置100を制御する制御部170とを備える。この実施形態によれば、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100の制動力を上昇させることができるので、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高いヨー駆動装置100の制動力を低減することができる。この結果、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。すなわち、この実施形態によれば、ヨー駆動装置100の制動力を上昇させることができるので、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制するためにあるヨー駆動装置100の制動力を低減しても風力発電装置1の全体で制動力が不足することを抑制することができる。
【0064】
実施形態の風力発電装置1は、風力発電装置1の寿命の観点より、タワー20に対するナセル10の位置を固定する際に複数のヨー駆動装置100にかかる負荷を均一にすることが望ましい。しかし、ヨー駆動装置100における出力軸140やピニオンギア150など、リングギア22の機械的な精度や剛性に起因してヨー駆動装置100間で負荷の不均一が発生する場合がある。また、実施形態の風力発電装置1は、ナセル10の旋回軸に対して複数個のヨー駆動装置100を配置することで負荷を分担する構造を採用している。しかし、ヨー駆動装置100等の部品形状や部品取付精度の関係により、実際のヨー駆動装置100間の負荷は均一にならない場合がある。さらに、近年の風力発電装置1の大型化に伴ってヨー駆動装置100の設置台数が多くなる。これにより、ヨー駆動装置100における過大負荷の抑制と、ヨー駆動装置100間の負荷均一の重要性が高まっている。実施形態によれば、このような課題を解決するため、ヨー駆動装置100の制動力を上昇させることにより他のヨー駆動装置100の制動力を低減した時に過大な負荷を分散し、複数のヨー駆動装置100間で負荷を均一に近づけることができる。
【0065】
この結果、実施形態によれば、風力発電装置1の寿命の短縮を抑制することができる。さらに、実施形態によれば、ヨー駆動装置100の破損による稼働期間の短縮を抑制することができる。
【0066】
実施形態によれば、風力発電装置1に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数のヨー駆動装置100を制御する風車用駆動制御装置であって、複数のヨー駆動装置100のそれぞれと、2つの構造体のうち複数のヨー駆動装置100により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれが所定の制動力を発生させるように複数のヨー駆動装置100を制御している状態において、取得部により取得した複数の情報に基づいて、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100の制動力を上昇させると共に当該ヨー駆動装置100以外のヨー駆動装置100の制動力を低減させるように、複数のヨー駆動装置100を制御する制御部170と、を備える。この実施形態によれば、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100の制動力を上昇させると共に当該ヨー駆動装置100以外のヨー駆動装置100の制動力を低減させるので、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0067】
実施形態によれば、風力発電装置1に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数のヨー駆動装置100であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生するモータ制動部160を備える複数のヨー駆動装置100に電力を供給する風車用電源装置であって、複数のヨー駆動装置100のそれぞれに電力を供給する電源回路180と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれと、2つの構造体のうち複数のヨー駆動装置100により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれに所定の電力を供給させるように電源回路180を制御している状態において、取得部により取得した複数の情報に基づいて、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100のモータ制動部160に供給する電力を上昇させるように、電源回路180を制御する電源コントローラ172と、を備える。この実施形態によれば、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100のモータ制動部160に供給する電力を上昇させることができるので、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制するために、負荷が高いヨー駆動装置100の制動力を低減することができる。この結果、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制することに貢献することができる。すなわち、この実施形態によれば、ヨー駆動装置100の制動力を上昇させることができるので、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制するためにあるヨー駆動装置100の制動力を低減しても風力発電装置1の全体で制動力が不足することを抑制することができる。
【0068】
実施形態によれば、風力発電装置1に含まれる2つの構造体を相対的に移動させる複数のヨー駆動装置100であって、供給される電力が高いほど高い制動力を発生するモータ制動部160を備える複数のヨー駆動装置100に電力を供給する風車用電源装置であって、複数のヨー駆動装置100のそれぞれに電力を供給する電源回路180と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれと、2つの構造体のうち複数のヨー駆動装置100により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する取得部と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれに所定の電力を供給させるように電源回路180を制御している状態において、取得部により取得した複数の情報に基づいて、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つの第1の駆動装置に供給する電力を上昇させると共に第1の駆動装置以外の第2の駆動装置に供給する電力を低減させるように、電源回路180を制御する電源コントローラ172と、を備える。この実施形態によれば、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100の制動力を上昇させると共に当該ヨー駆動装置100以外のヨー駆動装置100の制動力を低減させることができるので、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0069】
実施形態によれば、風力発電装置1に含まれる第1の構造体に対して第2の構造体を相対的に停止させるための制動力を発生するモータ制動部160であって供給される電力が高いほど高い制動力を発生するモータ制動部160と、第1の構造体に対して第2の構造体を相対的に移動させるための駆動力を発生するモータ駆動部162と、制動力および駆動力を第1の構造体に伝達する出力軸140およびピニオンギア150と、を備える複数のヨー駆動装置100と、複数のヨー駆動装置100のモータ制動部160に第1電力を供給する電源181と、複数のヨー駆動装置100のモータ制動部160に第1電力よりも高い第2電力を供給するブースト電源185と、複数のヨー駆動装置100に電源181から第1電力を供給する状態と、複数のヨー駆動装置100にブースト電源185から第2電力を供給する状態と、の間で切り換える切換部(183,186)と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれと、2つの構造体のうち複数のヨー駆動装置100により発生した力が与えられている構造体との間に生じる負荷に関する複数の情報を取得する歪みセンサ166と、複数のヨー駆動装置100のそれぞれに所定の電力を供給させるように電源回路180を制御することによって複数のヨー駆動装置100のそれぞれが所定の制動力を発生させるように複数のヨー駆動装置100を制御している状態において、歪みセンサ166により取得した複数の情報に基づいて、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つの第1のヨー駆動装置100に供給する電力を上昇させると共に第1のヨー駆動装置100以外の第2のヨー駆動装置100に供給する電力を低減させるように、切換部を制御することで、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つの第1のヨー駆動装置100の制動力を上昇させると共に第1のヨー駆動装置100以外の第2のヨー駆動装置100の制動力を低減させるように、複数のヨー駆動装置100を制御する制御部172と、を含む風力発電装置1を実現することができる。この実施形態によれば、複数のヨー駆動装置100のうち少なくとも一つのヨー駆動装置100に供給する電力を上昇させると共に当該ヨー駆動装置100以外のヨー駆動装置100に供給する電力を低減させるので、ヨー駆動装置100間の負荷のばらつきを抑制することができる。
【0070】
以上に示した実施形態に係る制御部170の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0071】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合の情報処理装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…風力発電装置1、10…ナセル、20…タワー、30…ブレード、40…ハブ、50…摩擦体、52…油圧ブレーキ駆動部、100…ヨー駆動装置、110…ケース、120…フランジ、130…締結ボルト、150…ピニオンギア、160…制動部、162…モータ駆動部、164…減速部、166…歪みセンサ、170…制御部、172…電源コントローラ、180…電源回路、181…電源、182…リレー、183…SSR、184…SSRドライバ、185…ブースト電源、186…ブースト用SSR、187…ブースト用ドライバ、200…風センサ
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